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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150684
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/275 20180101AFI20231005BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20231005BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20231005BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231005BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20231005BHJP
【FI】
F21S41/275
F21S41/143
F21V5/04 600
F21Y115:10
F21W102:135
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059907
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】榑林 徹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】照射領域における光のムラをより低減させることのできる車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具100は、発光素子12と、発光素子の前方側に配置され、発光素子からの光が出射される出射面の一部に、当該光を拡散させる光拡散部が設けられたレンズ10と、備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具であって、
発光素子と、
前記発光素子の前方側に配置され、前記発光素子からの光が出射される出射面の一部に、前記光を拡散させる光拡散部が設けられたレンズと、
を備える、車両用灯具。
【請求項2】
前記光拡散部は、前記レンズの前方側へ突出した複数のシリンドリカルレンズを含む、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光拡散部は、前記発光素子からの光を縦方向に拡散させる第1拡散部を含み、
前記第1拡散部は、縦方向に連結された複数の前記シリンドリカルレンズを有し、前記第1拡散部における各前記シリンドリカルレンズは、延在方向が横方向に沿うように設けられる、請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光拡散部は、前記発光素子からの光を横方向に拡散させる第2拡散部を含み、
前記第2拡散部は、横方向に連結された複数の前記シリンドリカルレンズを有し、前記第2拡散部における各前記シリンドリカルレンズは、延在方向が縦方向に沿うように設けられる、請求項2または請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記発光素子と前記レンズとは、カットオフラインを含む配光パターンが形成されるように設けられ、
前記光拡散部は、前記レンズの出射面のうち前記カットオフラインを形成する光が出射される領域以外の領域に設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用灯具に関する。
【0002】
従来、車両に搭載される車両用灯具に関する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、車体が左側にバンクしたときには、相対的に高い位置にある右側の補助灯具ユニットの補助発光素子を点灯させるとともに、車体が右側にバンクしたときには、相対的に高い位置にある左側の補助灯具ユニットの補助発光素子を点灯させる二輪車用前照灯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-76364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発光素子からの直射光の光度が強い場合、車両用灯具により照らされる領域内において光のムラが生じることがあり、照射領域における光のムラをより低減させることのできる技術が望まれる。
【0005】
本発明の目的は、照射領域における光のムラをより低減させることのできる車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る車両用灯具は、発光素子と、前記発光素子の前方側に配置され、前記発光素子からの光が出射される出射面の一部に、前記光を拡散させる光拡散部が設けられたレンズと、備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、照射領域における光のムラをより低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す正面図である。
図2図2は、図1に示す車両用灯具の構成を示す裏面斜視図である。
図3図3は、図1のIII-III線断面図である。
図4図4は、図1に示すレンズの詳細を示す正面図である。
図5図5は、図4に示すレンズを上方から見た図である。
図6図6は、図5に示す領域Xの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<全体の概略構成>
本発明について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す正面図である。図2は、図1に示す車両用灯具の構成を示す裏面斜視図である。
【0010】
図1および図2を参照して、車両用灯具100は、例えば、自動二輪車両に搭載されるロービーム用の前照灯である。車両用灯具100は、レンズ10と、レンズ10を囲むように設けられたエクステンション部11とを備える。図1および図2では、1組のレンズ10およびエクステンション部11を示しているが、例えば、レンズ10およびエクステンション部11の組が2つ、自動二輪車両の前部において左右方向に並んで配列される。この場合、2つのエクステンション部11は一体的に形成されてもよい。
【0011】
ここでは、図2に示す矢印Fの方向が「前方」であり、矢印Bの方向が「後方」であるとする。また、図1および図2に示す矢印Rの方向が「右方向」であり、矢印Lの方向が「左方向」であるとする。また、図1に示す矢印Uの方向が「上方向」であり、矢印Dの方向が「下方向」であるとする。
【0012】
<各部分の詳細な構成>
図3は、図1のIII-III線断面図である。図3を参照して、車両用灯具100は、さらに、レンズ10の後方に配置された発光素子12と、発光素子12を支持する基板14とを備える。レンズ10および発光素子12は、カットオフラインを含む配光パターンを形成するように構成されている。
【0013】
発光素子12は、例えば、白色発光ダイオードであり、矩形状の発光面を有している。発光素子12の発光面が前方側に設けられ、発光素子12の後方側の面が基板14に支持されている。
【0014】
レンズ10は、例えばモノフォーカスレンズであり、本体部21と、脚部22とを含む。また、レンズ10は、例えば投影レンズである。本体部21は、発光素子12からの光が出射される出射面である前面23と、発光素子12からの光が入射する入射面である後面24とを有する。
【0015】
前面23は、前方側へ円弧状に突出している。後面24は、後方側へ放物面状に突出している。後面24の曲率半径は、前面23の曲率半径よりも小さく形成されている。前面23と後面24との組み合わせにより、発光素子12からの光を屈折させて、所望の領域を有する配光パターンを形成することができる。
【0016】
脚部22は、本体部21の外周縁から後方側に延在する。発光素子12の発光面がレンズ10を向くように配置され、レンズ10がモノフォーカスレンズである場合、このような脚部22を設けることにより、例えば基板14を支持するハウジングに対して脚部22を位置決めすることができる。すなわち、レンズ10の本体部21と発光素子12との位置合わせを容易に行うことができる。脚部22は、例えば本体部21と同じ材質であり、本体部21と一体的に形成されている。
【0017】
エクステンション部11は、例えばポリカーボネートにより形成されている。エクステンション部11には開口部11aが形成されており、車両用灯具100の正面視において、開口部11aからレンズ10の前面23が露出している。
【0018】
再び図2を参照して、レンズ10の脚部22は、例えば、後方側の端部において、上方向に突出した第1突出部31と、下方向に突出した第2突出部32とを有する。第1突出部31には、上下方向に直交する方向に中心軸を有する円形の孔31aが形成されている。第2突出部32には、上下方向に直交する方向に中心軸を有する円形の孔32aが形成されている。
【0019】
エクステンション部11には、レンズ10が組み付けられた状態において、レンズ10の第1突出部31における孔31aに対向する位置に形成された円形の孔41が形成されている。また、エクステンション部11には、レンズ10が組み付けられた状態において、レンズ10の第2突出部32における孔32aに対向する位置に形成された円形の孔42が形成されている。
【0020】
エクステンション部11にレンズ10が組み付けられた状態において、レンズ10の孔31aおよびエクステンション部11の孔41に固定部材15が挿入され、レンズ10の孔32aおよびエクステンション部11の孔42に別の固定部材15が挿入される。これにより、エクステンション部11に対してレンズ10の位置を固定することができる。
【0021】
固定部材15は、例えば、図2に示すような、レンズ10とエクステンション部11とを共締めするスクリュ部材またはピン部材である。なお、固定部材15は、エクステンション部11と組み合わせることでレンズ10を挟む図示しないハウジング部材に設けられた突起などであってもよい。
【0022】
なお、エクステンション部11に対してレンズ10の位置を固定するための構成は、上記のような構成に限定されない。例えば、第1突出部31および第2突出部32は、上方向および下方向にそれぞれ突出する構成に限らず、左方向および右方向にそれぞれ突出してもよい。
【0023】
また、レンズ10は、第1突出部31および第2突出部32の2つの突出部を備える構成に限らず、突出部を備えなくてもよいし、1つまたは3つ以上の突出部を備えてもよい。また、レンズ10の孔31a、32aおよびエクステンション部11の孔41、42の形状は、円形に限定されない。
【0024】
また、車両用灯具100は、2組のレンズ10およびエクステンション部11を備える構成に限らず、例えば、1組のレンズ10およびエクステンション部11を備える構成であってもよい。この場合、レンズ10は、例えば、車両の左右方向における中央付近に設けられる。また、車両用灯具100は、自動二輪車両に搭載されるものに限らず、自動四輪車両に搭載されてもよい。
【0025】
また、レンズ10は、脚部22を含まない構成であってもよい。さらに、レンズ10は、モノフォーカスレンズに限定されない。
【0026】
また、車両用灯具100は、ロービーム用の前照灯に限らず、例えばハイビーム用の前照灯であってもよい。
【0027】
<レンズの前面における光拡散部>
(光拡散部の概略構成)
図4は、図1に示すレンズの詳細を示す正面図である。図4を参照して、レンズ10の出射面である前面23には、上述したカットオフラインを形成する領域Eが含まれる。領域Eは、ロービーム配光パターンのうちカットオフラインの近傍に照射される光が出射される領域である。また、レンズ10の前面23の一部には、発光素子12からの光を拡散させる光拡散部25が設けられている。
【0028】
詳細には、光拡散部25は、前面23の領域E以外の領域に設けられている。すなわち、発光素子12からの光のうち、カットオフラインを形成する光は光拡散部25を通らないように、当該光拡散部25が設けられている。
【0029】
ここで、レンズ10がモノフォーカスレンズである場合、照射領域の中央付近における輝度が高くなる傾向がある。このため、光拡散部25は、領域E以外の領域であり、かつレンズ10の前面23の中央付近に設けられることが好ましい。
【0030】
(光拡散部の詳細)
図5は、図4に示すレンズを上方から見た図である。図6は、図5に示す領域Xの部分拡大図である。図5および図6を参照して、光拡散部25は、レンズ10の前方側へ突出し、円柱の一部を切り取った形状を有する複数のシリンドリカルレンズ51を含む。より詳細には、光拡散部25は、図4に示すように、発光素子12からの光を縦方向、すなわち上下方向に拡散させる第1拡散部25aと、発光素子12からの光を横方向、すなわち左右方向に拡散させる第2拡散部25bとを含む。
【0031】
第1拡散部25aは、レンズ10の前面23の左側端部に設けられ、縦方向に連結された複数のシリンドリカルレンズ51を有する。第1拡散部25aにおける各シリンドリカルレンズ51は、延在方向、すなわち円柱の中心軸方向が横方向に沿うように設けられている。なお、第1拡散部25aは、レンズ10の前面23の右側端部に設けられてもよい。
【0032】
第2拡散部25bは、レンズ10の前面23の中央付近に設けられ、横方向に連結された複数のシリンドリカルレンズ51を有する。第2拡散部25bにおける各シリンドリカルレンズ51は、延在方向、すなわち円柱の中心軸方向が縦方向に沿うように設けられている。
【0033】
なお、シリンドリカルレンズ51の形状は、円柱の円周方向にのみ曲率を有する形状であってもよいし、円周方向に加え中心軸方向(長手方向)にも曲率を有する形状であってもよい。また、シリンドリカルレンズ51の長手方向の形状は、中心軸が直線状となる形状に限らず前面23の曲面に合わせて曲がっていても良い。
【0034】
また、光拡散部25は、第1拡散部25aおよび第2拡散部25bの両方を含む構成に限定されない。例えば、光拡散部25は、第1拡散部25aおよび第2拡散部25bのいずれか一方を含む構成であってもよいし、第1拡散部25aおよび第2拡散部25bの代わりに、発光素子12からの光を縦方向および横方向の両方に拡散させる他の光拡散部を含む構成であってもよい。
【0035】
また、光拡散部25は、シリンドリカルレンズ51を含む構成に限定されず、例えば、シボ加工またはフロスト処理が施されてもよいし、ブロック状の部材が設けられてもよい。
【0036】
また、光拡散部25は、カットオフラインを形成する領域E以外の領域に設けられる構成に限定されない。例えば、レンズ10が、ハイビーム配光パターンの形成に用いられる場合、当該レンズ10の前面23には領域Eが存在しない。このような場合、光拡散部25は、レンズ10の前面23のいずれの領域に設けられてもよい。
【0037】
上記のように、本発明の実施形態に係る車両用灯具100では、発光素子12の前方側にレンズ10が配置され、当該レンズ10のうち、発光素子12からの光が出射される出射面の一部に、光を拡散させる光拡散部25が設けられている。このような構成により、発光素子12からの直射光を効果的に拡散させて、照射領域における光のムラをより低減させることができる。
【0038】
また、本発明の実施形態に係る車両用灯具100では、光拡散部25は、レンズ10の前方側へ突出した複数のシリンドリカルレンズ51を含む。このような構成により、複雑な構成を用いることなく、発光素子12からの直射光を効果的に拡散させることができる。
【0039】
また、本発明の実施形態に係る車両用灯具100では、光拡散部25は、発光素子12からの光を縦方向に拡散させる第1拡散部25aを含む。第1拡散部25aは、縦方向に連結された複数のシリンドリカルレンズ51を有し、第1拡散部25aにおける各シリンドリカルレンズ51は、延在方向、すなわち円柱の中心軸方向が横方向に沿うように設けられている。また、光拡散部25は、発光素子12からの光を横方向に拡散させる第2拡散部25bを含む。第2拡散部25bは、横方向に連結された複数のシリンドリカルレンズ51を有し、第2拡散部25bにおける各シリンドリカルレンズ51は、延在方向、すなわち円柱の中心軸方向が縦方向に沿うように設けられている。このような構成により、発光素子12からの光を、縦方向または横方向、もしくは縦方向および横方向の両方向に確実に拡散させることができる。
【0040】
また、本発明の実施形態に係る車両用灯具100では、発光素子12とレンズ10とは、カットオフラインを含む配光パターンが形成されるように設けられている。光拡散部25は、レンズ10の出射面である前面23のうち、カットオフラインを形成する光が出射される領域E以外の領域に設けられている。このような構成により、照射領域における光のムラをより低減させつつ、カットオフラインが不鮮明になることを抑制することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲およびその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0042】
10:レンズ、11:エクステンション部、11a:開口部、12:発光素子、14:基板、15:固定部材、21:本体部、22:脚部、23:前面、24:後面、25:光拡散部、25a:第1拡散部、25b:第2拡散部、31:第1突出部、32:第2突出部、31a:孔、32a:孔、41:孔、42:孔、51:シリンドリカルレンズ、100:車両用灯具
図1
図2
図3
図4
図5
図6