(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150742
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】情報処理方法、通信システム、及び、ノード
(51)【国際特許分類】
H04W 40/24 20090101AFI20231005BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20231005BHJP
H04W 40/12 20090101ALI20231005BHJP
【FI】
H04W40/24
H04W84/18
H04W40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059996
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】冨尾 勇太
(72)【発明者】
【氏名】武田 輝人
(72)【発明者】
【氏名】星 浩司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直晃
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE16
5K067EE53
5K067GG09
(57)【要約】
【課題】階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる情報処理方法等を提供する。
【解決手段】情報処理方法は、情報端末と通信可能なノードを探索し、探索したノードを管理ノードとして複数の下位メッシュネットワークのいずれかに参入させる第一参入処理を実行する。情報処理方法は、通信可能なノードを探索し、探索したノードを自身が所属する下位メッシュネットワークに参入させる第二参入処理を、管理ノードに実行させる。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行される、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理方法であって、
前記階層型メッシュネットワークは、複数の第一メッシュネットワークと、前記複数の第一メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される第二メッシュネットワークを含み、
前記情報処理方法は、
情報端末と通信可能なノードを探索し、探索した前記ノードを前記管理ノードとして前記複数の第一メッシュネットワークのいずれかに参入させる第一参入処理を実行し、
通信可能な前記ノードを探索し、探索した前記ノードを自身が所属する第一メッシュネットワークに参入させる第二参入処理を、前記管理ノードに実行させる、
情報処理方法。
【請求項2】
前記管理ノードが所属する第一メッシュネットワークにおいて、自身が受信する電波の強度に基づいて中継ノードを決定する決定処理を、前記管理ノードに実行させる、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記第二参入処理を前記中継ノードに実行させる、
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記中継ノードは、前記管理ノードが所属する第一メッシュネットワークとは異なる第一メッシュネットワークに所属する新たな管理ノードであって、
前記中継ノードが前記第二参入処理において前記ノードを探索できない場合、前記中継ノードを前記管理ノードが所属する第一メッシュネットワークに復帰させる
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記中継ノードが前記第二参入処理において前記ノードを探索できた場合、前記中継ノードが、前記管理ノードが所属する第一メッシュネットワークとは異なる第一メッシュネットワークに所属する新たな管理ノードに決定される
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記中継ノードが前記第二参入処理において前記ノードを探索できない場合、前記中継ノードを前記管理ノードが所属する第一メッシュネットワークの前記ノードとして復帰させる
請求項4又は5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記中継ノードが前記第二参入処理において前記ノードを探索できた場合、前記決定処理を前記中継ノードに実行させる
請求項3~6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記決定処理において、前記電波の強度が閾値以上である複数の前記ノードのうち、最も前記電波の強度が小さい前記ノードを前記中継ノードに決定する
請求項2~7のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記階層型メッシュネットワークに参入している前記ノードが、前記階層型メッシュネットワークに参入していない前記ノードを探索した場合、前記階層型メッシュネットワークに参入している前記ノードを新たな管理ノードに決定し、前記新たな管理ノードに前記第二参入処理を実行させる
請求項3~8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記階層型メッシュネットワークに参入した前記管理ノードを示す登録情報を取得する
請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理を実行する情報処理部を備える情報端末と、
複数のノードと、を備え、
前記階層型メッシュネットワークは、複数の第一メッシュネットワークと、前記複数の第一メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される第二メッシュネットワークを含み、
前記情報処理部は、複数の前記ノードから通信可能な前記ノードを探索し、探索した前記ノードを前記管理ノードとして前記複数の第一メッシュネットワークのいずれかに参入させる第一参入処理を実行し、
複数の前記ノードのうちの前記管理ノードは、
通信可能な前記ノードを探索し、探索した前記ノードを自身が所属する第一メッシュネットワークに参入させる第二参入処理を実行する
通信システム。
【請求項12】
前記複数のノードには、照明器具が含まれる
請求項11に記載の通信システム。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の通信システムに用いられるノードであって、
前記管理ノードである場合に、前記第二参入処理を実行する、
ノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、通信システム、及び、ノードに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワークを介して照明機器と通信を行う照明制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる情報処理方法等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータによって実行される、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理方法であって、前記階層型メッシュネットワークは、複数の第一メッシュネットワークと、前記複数の第一メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される第二メッシュネットワークを含み、前記情報処理方法は、情報端末と通信可能なノードを探索し、探索した前記ノードを前記管理ノードとして前記複数の第一メッシュネットワークのいずれかに参入させる第一参入処理を実行し、通信可能な前記ノードを探索し、探索した前記ノードを自身が所属する第一メッシュネットワークに参入させる第二参入処理を、前記管理ノードに実行させる。
【0006】
本発明の一態様に係る通信システムは、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理を実行する情報処理部を備える情報端末と、複数のノードと、を備え、前記階層型メッシュネットワークは、複数の第一メッシュネットワークと、前記複数の第一メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される第二メッシュネットワークを含み、前記情報処理部は、複数の前記ノードから通信可能な前記ノードを探索し、探索した前記ノードを前記管理ノードとして前記複数の第一メッシュネットワークのいずれかに参入させる第一参入処理を実行し、複数の前記ノードのうちの前記管理ノードは、通信可能な前記ノードを探索し、探索した前記ノードを自身が所属する第一メッシュネットワークに参入させる第二参入処理を実行する。
【0007】
本発明の一態様に係るノードは、前記通信システムに用いられるノードであって、前記管理ノードである場合に、前記第二参入処理を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報処理方法等は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る通信システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、階層型メッシュネットワークを概念的に示す図である。
【
図4】
図4は、初期設定作業の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施例1における設定画面の一例を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、実施例1の変形例におけるテンプレートを示す第一図である。
【
図7B】
図7Bは、実施例1の変形例におけるテンプレートを示す第二図である。
【
図7C】
図7Cは、実施例1の変形例におけるテンプレートの縮小(拡大)の例を示す図である。
【
図7D】
図7Dは、実施例1におけるテンプレートの表示範囲の別の例を示す第一図である。
【
図7E】
図7Eは、実施例1におけるテンプレートの表示範囲の別の例を示す第二図である。
【
図9】
図9は、実施例2において決定された管理ノードの位置を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例2において新たに決定された管理ノードの位置を示す図である。
【
図11】
図11は、実施例2の変形例1のフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施例2の変形例1における複数の下位メッシュネットワークの配置を説明するための図である。
【
図13】
図13は、実施例2の変形例2のフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施例2の変形例2における管理ノードの決定方法を説明するための第一の図である。
【
図15】
図15は、実施例2の変形例2における管理ノードの決定方法を説明するための第二の図である。
【
図16】
図16は、実施例2の変形例2における管理ノードの決定方法を説明するための第三の図である。
【
図18】
図18は、制御グループと、下位メッシュネットワークとの対応付けの第一の例を示す図である。
【
図19】
図19は、制御グループと、下位メッシュネットワークとの対応付けの第二の例を示す図である。
【
図20】
図20は、実施例3の変形例のフローチャートである。
【
図21】
図21は、区画情報を含む配置情報の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、実施例4における通信システムの動作を示すフローチャートである。
【
図23】
図23は、実施例4における情報端末による第一参入処理の説明図である。
【
図24】
図24は、実施例4における管理ノードによる第二参入処理の説明図である。
【
図25】
図25は、実施例4における管理ノードによる決定処理の説明図である。
【
図26】
図26は、実施例4における中継ノードによる第二参入処理の説明図である。
【
図27】
図27は、実施例4の変形例における通信システムの動作の説明図である。
【
図28】
図28は、実施例5におけるエリア情報の一例を示す図である。
【
図30】
図30は、実施例5における最長距離の一例及び分割処理の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、実施例5における分割処理の他の一例を示す図である。
【
図32】
図32は、実施例5における分割処理の更に他の一例を示す図である。
【
図33】
図33は、実施例5におけるエリアと下位メッシュネットワークとの対応例を示す図である。
【
図34】
図34は、実施例6における通信システムの動作を示すフローチャートである。
【
図35】
図35は、実施例6における探索処理及び決定処理の第一過程を示す図である。
【
図36】
図36は、実施例6における探索処理及び決定処理の第二過程を示す図である。
【
図37】
図37は、実施例6における探索処理及び決定処理の第三過程を示す図である。
【
図38】
図38は、実施例6における探索処理及び決定処理の第四過程を示す図である。
【
図39】
図39は、実施例6の変形例における出力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る通信システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る通信システムの機能構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、通信システム10は、複数のノード20と、情報端末30とを備える。
【0013】
通信システム10において、複数のノード20のそれぞれは無線通信機能を有し、複数のノード20は、ユーザ(以下、設定者とも記載される)による、情報端末30を用いた初期設定作業が完了した後に、階層型の無線メッシュネットワーク(以下、単に階層型メッシュネットワークと記載される)を構成する。なお、初期設定作業が完了した後に階層型のメッシュネットワークが構築されることは一例に過ぎず、設定したノード20からメッシュネットワークを構築する方法などのその他の方法も考えられる。
【0014】
図2は、階層型メッシュネットワークを概念的に示す図である。
図2におけるN1またはN2は、
図1における1つのノード20に相当する。階層型メッシュネットワークは、複数の下位メッシュネットワークと、上位メッシュネットワークとを含む。
図2の例では、下位メッシュネットワークは、各々が複数のノード(N1及びN2)によって構成され、上位メッシュネットワークは、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノード(N2)によって構成される。管理ノードは、ブリッジノード、基幹ノード、または、ゲートウェイノードなどと言い換えることができる。なお、階層型メッシュネットワークに含まれる下位メッシュネットワークの数は特に限定されない。階層型メッシュネットワークにおける階層数についても特に限定されない。
【0015】
下位メッシュネットワークにおいては、あるノード(第一ノードとも記載される)からもう一つのノード(第二ノードとも記載される)へ情報を伝送するときには、当該情報は、例えば、フラッディング方式で伝送される。
【0016】
具体的には、上記第一ノードが第二ノードのアドレス情報(宛先情報)を含む情報をブロードキャスト送信すると、これを受信した上記第一の通信ノードと同一の下位メッシュネットワークに所属する他のノードのそれぞれは、受信した情報をさらにブロードキャスト送信する。つまり、他のノードのそれぞれは、情報を中継する。このような情報の中継が同一の下位メッシュネットワーク内で繰り返されることにより、第一ノードが送信した上記の情報は、第一ノードと同一の下位メッシュネットワーク内に所属する全てのノードに行き渡る。したがって、第二ノードは、第一ノードが送信した情報を受信することができる。
【0017】
なお、フラッディング方式は、下位メッシュネットワーク内の情報の伝送に用いられる方式の一例である。下位メッシュネットワーク内の情報の伝送においては、ルーティング方式などの他の方式が採用されてもよい。例えば、上位メッシュネットワーク、及び、下位メッシュネットワークの少なくとも一部のメッシュネットワークにおいて、一部のノード20のみに中継機能を許容するような方式が採用されてもよい。
【0018】
第一ノードから、他の下位メッシュネットワークに所属する第三ノードへ情報を伝送する場合には、管理ノードによって情報が中継される。つまり、上位メッシュネットワークを通じた情報の伝送が行われる。管理ノードは、例えば、1つの下位メッシュネットワークに少なくとも1つ設けられる。上位メッシュネットワーク内の情報の伝送に用いられる方式は、フラッディング方式、ルーティング方式、及び、その他の方式のいずれであってもよい。
【0019】
仮に、全てのノードが同一のメッシュネットワークに所属するものとすると、情報を伝送するときに全てのノードが情報の中継を行うため、単位時間あたりの通信量が大きくなってしまう。これに対し、階層型メッシュネットワークにおいては、ある下位メッシュネットワーク内で情報を伝送するときには、他の下位メッシュネットワークにおいては、当該情報の中継が行われない。階層型メッシュネットワークにおいては、必要なときにのみ、ある下位メッシュネットワークから他の下位メッシュネットワークへ管理ノードを介して情報が伝送される。したがって、階層型メッシュネットワークによれば、単位時間あたりの通信量を抑制することで、システムの堅牢性の向上を図ることができる。
【0020】
以下、主として
図1を参照しながら、ノード20及び情報端末30について説明する。まず、ノード20について説明する。ノード20は、言い換えれば、無線通信装置である。ノード20としては、照明器具、照明用リモートコントローラ、及び、ACリレーなどが例示される。
【0021】
なお、ACリレーには、以下の第一ACリレー及び第二ACリレーの2種類が含まれるが、これに限定されない。第一ACリレーは、配線ダクトに取り付けられ、配線ダクトに取り付けられた1台の照明器具への交流電力をオンオフすることにより、当該1台の照明器具を点灯及び消灯することができる装置である。第二ACリレーは、配線ダクトの根本に取り付けられ、当該配線ダクトへの交流電力の供給をオン及びオフすることにより、当該配線ダクトに取り付けられた全ての照明器具を点灯及び消灯することができる装置である。
【0022】
ノード20は、空気調和機、換気装置、カメラ、人感センサ、スピーカ、または、環境センサなどの照明に直接的に関連しない装置であってもよい。なお、環境センサには、温度センサ、湿度センサ、明るさセンサ、二酸化炭素濃度センサ、及び、PM(Particle Matter)センサなどが含まれる。なお、ノード20となる装置は上述した各装置の単体の機能を2つ以上有する装置であっていてもよく、ノード20となる装置の種類は特に限定されるものではない。
【0023】
なお、複数のノード20に照明器具が含まれる場合に、階層型メッシュネットワークを通じて伝送される情報は、例えば、照明器具を点灯制御、消灯制御、調光制御、調色制御、カラー制御、または、配光制御するための制御情報である。また、複数のノード20に環境センサが含まれるような場合には、階層型メッシュネットワークを通じて環境センサの計測値(センシング情報)が伝送されるような場合もある。複数のノード20にカメラ、スピーカ、または、その他の装置が含まれるような場合、動画、画像、音声、その他の情報、または、制御値が伝送される場合もある。
【0024】
ノード20は、無線通信部21を備える。無線通信部21は、ノード20が他のノード20、及び、情報端末30と無線通信(より具体的には、電波通信)を行うための無線通信回路である。ノード20が階層型メッシュネットワークに参入した後には、無線通信部21は、上述の階層型メッシュネットワークを通じた通信を行う。また、ノード20が階層型メッシュネットワークに参入する前には、例えば、無線通信部21は、ビーコン信号(アドバタイズ信号などと呼ばれることもある)を定期的に送信し、ビーコン信号を受信した情報端末30と無線通信を行う。無線通信部21は、具体的には、BLE(Blutooth(登録商標) Low Energy)またはWi-Fi(登録商標)などの通信規格にしたがって無線通信を行うが、通信規格についてはこれに限定されない。
【0025】
次に、情報端末30について説明する。情報端末30は、複数のノード20を階層型メッシュネットワークに参入させるための初期設定作業に用いられる情報端末である。情報端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、またはPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末である。また、情報端末30は、通信システム10において用いられる専用のリモートコントローラであってもよい。情報端末30は、上記初期設定作業を行うユーザ(以下、設定者とも記載される)によって使用される。情報端末30は、具体的には、操作受付部31と、表示部32と、無線通信部33と、情報処理部34と、記憶部35とを備える。なお、
図1に示される情報端末30が備える各構成要素(~部)の接続形態は、一例に過ぎず、この構成に限定されない。
【0026】
操作受付部31は、設定者の操作を受け付ける。操作受付部31は、具体的には、タッチパネルなどによって実現される。
【0027】
表示部32は、上記初期設定作業のために必要な画像を表示する。表示部32は、例えば、液晶パネルまたは有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される。
【0028】
無線通信部33は、情報端末30が複数のノード20のそれぞれと無線通信(より具体的には、電波通信)を行うための無線通信回路である。無線通信部33は、具体的には、BLEまたはWi-Fi(登録商標)などの通信規格にしたがって無線通信を行う。
【0029】
情報処理部34は、操作受付部31によって受け付けられた設定者の操作に応じて初期設定作業に関する情報処理を行う。この情報処理は、言い換えれば、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理である。情報処理部34は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。情報処理部34の機能は、情報処理部34を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサなどのハードウェアが記憶部35に記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。
【0030】
記憶部35は、初期設定作業に関する情報処理に必要な情報が記憶される記憶装置である。このような情報には、情報処理部34が実行するコンピュータプログラムが含まれる。記憶部35は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0031】
記憶部35には、複数のノード20の配置を示す配置情報があらかじめ記憶されている。
図3は、配置情報の一例を示す図である。配置情報は、例えば、複数のノード20が設置される空間の平面図における複数のノード20の配置(複数のノード20それぞれの二次元座標)を示す情報であり、
図3は、配置情報を可視化したものである。
図3において、丸印は、ノード20の位置(後述の仮想ノード)を示している。なお、情報端末30は、あらたな配置情報を読み込むこと、及び、新たな配置情報を作成することもできる。また、記憶部35に記憶された配置情報は、修正または削除可能である。
【0032】
複数のノード20の配置は、例えば、上記空間の設計者などによってあらかじめ決定される。複数のノード20が照明器具である場合には、配灯図などを流用して配置情報を記憶部35に記憶することができる。なお、以下の
図4の説明においては、配置情報におけるノードを実在のノード20と区別するために仮想ノードと記載する。
【0033】
[初期設定作業の手順]
次に、階層型メッシュネットワークを構築するための初期設定作業の手順について説明する。
図4は、初期設定作業の手順の一例を示すフローチャートである。
【0034】
まず、設定者は、配置情報における複数の仮想ノードのそれぞれが所属する下位メッシュネットワークを決定する作業を行う(S11)。また、設定者は、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれにおいて、当該下位メッシュネットワークに所属する仮想ノードの中から管理ノードを決定する作業を行う(S12)。この作業は、例えば、設定者の情報端末30の操作受付部31への操作によって行われるが、後述のように、情報処理部34によって自動的または半自動的に行われる場合もある。
【0035】
ステップS11及びステップS12の処理の結果、配置情報における複数の仮想ノードのそれぞれについて、当該仮想ノードが所属する下位メッシュネットワークのネットワークID、及び、当該仮想ノードが管理ノードであるか否かが記憶部35に記憶される。
【0036】
次に、設定者は、配置情報が示す複数のノード20の配置と、実在の複数のノード20のIDとを対応付ける作業を行う(S13)。言い換えれば、設定者は、配置情報における仮想ノードに、実在のノード20のIDを対応付ける作業を行う。ノードのIDとしては、例えば、MAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。この作業は、設定者の操作受付部31への操作によって行われる。
【0037】
ステップS13の処理の結果、配置情報における仮想ノードがどの実在のノード20であるかが特定される。ステップS11~S13の処理の結果を総合すると、実在のノード20のIDと、当該IDを有するノード20が所属する下位メッシュネットワークのネットワークIDと、当該IDを有するノード20が管理ノードであるか否かが対応付けられる。以下、この対応関係を示す情報を管理情報と記載する。管理情報は、記憶部35に記憶される。
【0038】
次に、設定者は、実在する複数のノード20のそれぞれに、当該ノード20を階層型メッシュネットワークに参入させるための設定情報を記憶する作業を行う(S14)。情報端末30は、設定者の操作受付部31への操作に基づいて、ノード20とユニキャストで通信を行うことにより、当該ノード20へ設定情報を送信する。ノード20は、受信した設定情報を当該ノード20が備える記憶部(図示せず)に記憶する。ここでの、ユニキャストとは、特定のノード20を最終宛先に指定して通信を行うことを意味し、情報端末30と当該特定のノード20とが直接通信する必要はない。ステップS14において、情報端末30は、既に機能しているメッシュネットワークを介したユニキャスト通信を行ってもよい。
【0039】
設定情報には、ノード20が所属する下位メッシュネットワークのネットワークID、及び、階層型メッシュネットワーク内での通信に用いられるノード20のアドレス情報(ユニキャストアドレス)が含まれる。設定情報には、必要に応じて、下位メッシュネットワーク内での通信に用いられるセキュリティパスコード、及び、情報端末30に関する情報(階層型メッシュネットワークを管理する装置に関する情報)などが含まれてもよい。ノード20がステップS12において決定された管理ノードに該当する場合には、設定情報には、ノード20が管理ノードとして機能するために必要な情報が含まれる。どのノード20にどのような設定情報を送信するかは、上記管理情報によって特定することができる。
【0040】
設定情報が記憶部に記憶されたノード20は、階層型メッシュネットワークに参入することができる。階層型メッシュネットワークに参入したノード20は、参入前に行っていたビーコン信号の定期的な送信を停止する。
【0041】
ここで、上記ステップS11の下位メッシュネットワークの決定方法と、上記ステップS12の管理ノードの決定方法については様々な方法が考えられる。以下では、下位メッシュネットワークの決定方法、及び、管理ノードの決定方法の実施例について説明する。
【0042】
[実施例1]
実施例1では、テンプレートを用いて下位メッシュネットワーク、及び、管理ノードを決定する方法について説明する。
図5は、実施例1のフローチャートである。
【0043】
情報端末30の情報処理部34は、複数のノード20の配置を示す配置情報を記憶部35から取得する(S21)。配置情報は、例えば、ステップS21よりも前に情報処理部34によって生成、読み込み、または、修正等されたものである。また、情報処理部34は、テンプレートを記憶部35から取得する(S22)。なお、テンプレートは、例えば、通信システム10の設計者等によって経験的または実験的に作成されたものであり、あらかじめ記憶部35に記憶されている。
【0044】
次に、情報処理部34は、下位メッシュネットワーク、及び、管理ノードを決定するための設定画面を表示部32に表示する(S23)。
図6は、設定画面の一例を示す図である。
【0045】
図6の設定画面においては、ステップS21において取得された配置情報にステップS22において取得されたテンプレートが重ね合わされている。テンプレートは、正方形(
図6では角丸の矩形として図示)が千鳥状に敷き詰められた第一テンプレートと、正三角形が敷き詰められた第二テンプレートとの組み合わせによって構成される。
【0046】
第一テンプレートは、配置情報が示す複数のノード20の配置に対する複数の範囲を示す範囲情報の一例である。第一テンプレートにおける1つの正方形の枠(範囲に相当)が1つの下位メッシュネットワークに対応する。情報処理部34は、配置情報に第一テンプレートを重ね合わせたときに、1つの正方形の中に位置するノード20を、同一の1つの下位メッシュネットワークに所属するものと決定する。配置情報に第一テンプレートを重ね合わせたときとは、言い換えれば、配置情報が示す複数のノード20の配置に範囲情報が示す範囲を当てはめたときである。
【0047】
第二テンプレートは、範囲情報が示す複数の範囲それぞれにおける基準位置を示す基準位置情報の一例である。第二テンプレートにおける正三角形の頂点(第二テンプレート全体としてみたときには交点とも考えられる)の位置が基準位置に相当する。言い換えれば、第二テンプレートが示す複数の基準位置は、正三角形の頂点に対応する位置関係となっている。第二テンプレートは、第一テンプレートの1つの正方形の中に基準位置が1つ位置するように、第一テンプレートと組み合わされている。
【0048】
情報処理部34は、配置情報に第二テンプレートが重ね合わせられた状態において、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち基準位置の最も近くに位置するノード20を、当該下位メッシュネットワークの管理ノードに決定する。配置情報に第二テンプレートが重ね合わせられた状態とは、言い換えれば、テンプレート(第一テンプレート)の配置情報への当てはめが行われた状態である。
【0049】
なお、第二テンプレートにおいて複数の基準位置が正三角形の頂点に対応する位置関係となっているのは、1つの管理ノードが少なくとも3つの他の管理ノードと通信できることを担保する意図である。このことは、第二テンプレートの端部に設けられた基準位置が他の3つの基準位置と線分で結ばれており、第二テンプレートにおいて中央部に設けられた基準位置が他の6つの基準位置と線分で結ばれていることから把握される。
【0050】
また、後述のように、テンプレートは拡大及び縮小が可能である。第一テンプレート及び第二テンプレートは、例えば、一体的に拡大または縮小される。つまり、第一テンプレートの拡大または縮小は、第一テンプレートと第二テンプレートとの位置関係を維持した状態で行われる。
【0051】
ここで、第二テンプレートの正三角形の一辺の長さは、管理ノード同士の設計上の間隔に相当する。この一辺の長さには、管理ノード同士が確実に通信可能な距離が設計上の長さとして定められている。ステップS23において配置情報にテンプレートを重ね合わせて表示するときには、情報処理部34は、第二テンプレートの正三角形の一辺の設計上の長さが、配置情報における長さと一致するように、テンプレート(第一テンプレートが示す正方形(範囲))を自動的に拡大または縮小する。つまり、情報処理部34は、配置情報に基づいてテンプレートの初期サイズを決定する。なお、情報処理部34は、条件が合うと設定者が判断するまで、テンプレートを段階的に拡大または縮小してもよい。
【0052】
例えば、情報処理部34は、第二テンプレートの正三角形の一辺の設計上の長さが10mである場合、第二テンプレートの正三角形の一辺の長さが配置情報における10mの長さと一致するように、配置情報に基づいてテンプレートを自動的に拡大または縮小する。
【0053】
ステップS23の次に、操作受付部31は、配置情報に対するテンプレートの位置の変更操作、テンプレートの拡大操作、及び、テンプレートの縮小操作などの調整操作を設定者から受け付ける(S24)。情報処理部34は、調整操作に応じて、設定画面におけるテンプレートの表示位置、及び、設定画面に表示されているテンプレートの大きさを調整する(S25)。
【0054】
ここで、上述のように第二テンプレートの正三角形の一辺の長さには、管理ノード(より詳細には、管理ノードに決定されるノード20)の通信性能に基づいて設計上の長さが定められており、テンプレートが際限なく拡大されると、管理ノード同士の通信ができなくなってしまう懸念がある。そこで、テンプレートの拡大においては上限が定められる。この上限は、管理ノードが他の管理ノードと通信可能な距離に基づいて定められる。上限は、例えば、デフォルトで表示される第二テンプレートの一辺の長さが10m相当である場合、第二テンプレートの正三角形の一辺の長さで12m相当まで拡大できる、というように定められる。
【0055】
次に、操作受付部31は、テンプレートの位置及び大きさの確定操作を設定者から受け付ける(S26)。情報処理部34は、確定操作が行われたときの配置情報とテンプレートとの位置関係において、1つの正方形の内に位置するノード20を、同一の下位メッシュネットワークに所属するものと決定する(S27)。また、情報処理部34は、確定操作が行われたときの配置情報とテンプレートとの位置関係において、基準位置の最も近くに位置するノード20を管理ノードに決定する。(S28)。なお、基準位置の最も近くに位置するノード20が複数存在する場合には、そのうちの任意の1つが管理ノードとして決定されればよい。
【0056】
情報処理部34は、設定画面において、決定された管理ノードの位置を表示する(S29)。言い換えれば、表示部32は、配置情報が示す複数のノード20の配置における、決定された管理ノードの位置を表示する。
図6の例においては、管理ノードがグレー(ハッチングあり)で表示され、通常ノードが白で表示されている。
【0057】
なお、ステップS29において、表示部32には、管理ノードの位置だけでなく、下位メッシュネットワークの総数、最多ノード数、及び、最少ノード数などが表示されてもよい。最多ノード数は、複数の下位メッシュネットワークのうち当該メッシュネットワークに所属するノード20が最も多い下位メッシュネットワークにおけるノード数を意味する。最少ノード数は、複数の下位メッシュネットワークのうち当該メッシュネットワークに所属するノード20が最も少ない下位メッシュネットワークにおけるノード数を意味する。
【0058】
以上説明したように、情報端末30は、複数のノード20の配置を示す配置情報、配置情報が示す複数のノードの配置に対しての複数の範囲を示す範囲情報、及び、複数の範囲それぞれにおける基準位置を示す基準位置情報を取得する。情報端末30は、取得された配置情報、及び、取得された範囲情報に基づいて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定し、取得された配置情報、取得された範囲情報、及び、取得された基準位置情報に基づいて、複数のノード20の中から複数の管理ノードを決定する。情報端末30は、具体的には、取得された配置情報が示す複数のノード20の配置に、複数の範囲の当てはめを行うことで複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定し、当てはめが行われた後の状態において、同一の下位メッシュネットワークに所属するノードのうち、基準位置に最も近いノードを管理ノードとして決定する。
【0059】
このような情報端末30は、設定者が下位メッシュネットワーク、及び、管理ノードを決定することを支援することができる。
【0060】
[実施例1の変形例]
実施例1において、下位メッシュネットワークの総数、最多ノード数、及び、最少ノード数の少なくとも1つには所定の要件(上限値及び下限値の少なくとも一方)が設けられてもよい。この場合、所定の要件が満たされない場合には、確定操作が受け付けられない(有効な操作とみなされない)ような構成であってもよい。これにより、情報端末30は、設定者が適切な階層型メッシュネットワークを構築することを支援することができる。
【0061】
なお、本構成においては、設定者は、所定の要件が満たされるまで、上記の調整操作を行う必要がある。そこで、下位メッシュネットワークに所属するノード数に要件が定められるような場合、情報処理部34は、ステップS24の調整操作が行われるときの設定画面において、ノード数の要件を満たさない下位メッシュネットワーク(つまり、第一テンプレートの正方形)を可視化してもよい。例えば、情報処理部34は、第一テンプレートが示す複数の正方形(範囲)のうち、ノード数の要件を満たす正方形を通常表示し、ノード数の要件を満たさない正方形をウォッシュアウト表示(グレー表示)してもよい。つまり、情報処理部34は、ノード数の要件を満たすか否かに応じて、第一テンプレートが示す枠内の色を変更してもよい。これにより、情報端末30は、設定者の調整操作を支援することができる。
【0062】
また、情報処理部34は、ノード数の要件を満たすか否かに応じて、第一テンプレートが示す枠の太さを変更してもよく、例えば、ノード数の要件を満たさない枠を、ノード数の要件を満たす枠よりも太く表示してもよい。情報処理部34は、ノード数の要件を満たすか否かに応じて、第一テンプレートが示す枠の色を変更してもよいし、第一テンプレートが示す枠を点滅させてもよい。つまり、情報処理部34は、ノード数の要件を満たすか否かに応じて、第一テンプレートが示す範囲(枠)の表示態様を変更することで通知を行ってもよい。
【0063】
情報処理部34は、複数のノード20がリスト形式で表示されているときに、ノード数の要件を満たさない下位メッシュネットワークの所属するノード20の枠の表示態様(枠内の色、枠の太さ、枠の色、または)を変更してもよい。つまり、上記通知は、複数のノード20がリスト形式で表示されているときに行われてもよい。
【0064】
また、情報処理部34は、複数のノード20の配置図が表示されているとき、及び、複数のノード20がリスト表示されているときのいずれにおいても、ノード数の要件を満たさない第一テンプレートが存在することを、画像に代えて、または、画像に加えて、音声(アラーム音など)、風圧、または、においなどによって通知してもよい。この場合、情報端末30は、スピーカ、送風ファン、または、におい発生装置などを備えるか、あるいは、スピーカ、送風ファン、または、におい発生装置などと通信接続される。
【0065】
同様に、情報処理部34は、いずれの下位メッシュネットワークにも所属していないノード20が存在する(第一テンプレートの枠内に位置していないノード20が存在する)ことについても、画像、音声、風圧、または、においなどによって通知してもよい。この通知も複数のノード20の配置図が表示されているときに行われてもよいし、及び、複数のノード20がリスト表示されているときに行われてもよい。
【0066】
また、実施例1において使用されたテンプレートのパターンは一例であり、他のパターンを有するテンプレートが用いられてもよい。
図7A及び
図7Bは、実施例1の変形例におけるテンプレートを示す図である。
【0067】
図7Aに示されるテンプレートは、正方形(
図7Aでは、第二テンプレートと区別するために角丸の正方形として図示)がマトリクス状に敷き詰められた第一テンプレートと、正方形がマトリクス状に敷き詰められた第二テンプレートとの組み合わせによって構成される。
【0068】
第一テンプレートは、配置情報が示す複数のノード20の配置に対する複数の範囲を示す範囲情報の一例である。第一テンプレートは、複数の正方形の配置を除いて、
図6に示されるテンプレートと同様の構成を有する。
【0069】
第二テンプレートは、範囲情報が示す複数の範囲それぞれにおける基準位置を示す基準位置情報の一例である。第二テンプレートにおける正方形の頂点の位置が基準位置に相当する。言い換えれば、第二テンプレートが示す複数の基準位置は、正方形の頂点に対応する位置関係となっている。第二テンプレートは、第一テンプレートの1つの正方形の枠内に基準位置が1つ位置するように、第一テンプレートと組み合わされている。
【0070】
また、
図7Bに示されるテンプレートは、正六角形が敷き詰められた第一テンプレートと、正三角形が敷き詰められた第二テンプレートとの組み合わせによって構成される。
【0071】
第一テンプレートは、配置情報が示す複数のノード20の配置に対する複数の範囲を示す範囲情報の一例である。
【0072】
第二テンプレートは、範囲情報が示す複数の範囲それぞれにおける基準位置を示す基準位置情報の一例である。
図7Bに示される第二テンプレートは、
図6に示されるテンプレートと同様の構成を有する。
【0073】
このように、実施例1において使用されるテンプレートは特に限定されない。例えば、第一テンプレートが示す範囲は、長方形であってもよいし、その他の多角形であってもよい。第二テンプレートの形状についても特に限定されない。
【0074】
なお、テンプレートは、配置情報が示す空間の全体を覆うことができるサイズに生成される。テンプレートは、例えば、テンプレート全体の面積が、配置情報が示す空間の合計面積(延べ床面積)よりも大きくなるように生成されるとよい。
【0075】
また、実施例1において配置情報の一部は、マスクされてもよい。つまり、複数のノード20の一部がテンプレートを用いた下位メッシュネットワークの決定及び管理ノードの決定の対象から除外されてもよい。言い換えれば、情報処理部34は、配置情報が示す複数のノードの一部のみを、複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定する機能を有してもよい。
【0076】
どのノード20を除外するかは、例えば、設定者による、マスクする範囲を指定する操作によって決定される。このような操作は、複数のノード20の配置が表示部32に表示されているときに行われる。除外されたノード20は、無所属(メッシュネットワークに参加しない)扱いとなるが、設定者の手動操作に基づいていずれかの下位メッシュネットワークに所属してもよい。どのノード20を除外するかは、複数のノード20がリスト形式で表示されているときに、リスト内のノード20を選択する操作によって決定されてもよい。ノードを除外する具体的な方法については特に限定されない。
【0077】
このようなマスク機能は、例えば、配置情報に含まれる複数のノード20の総数が登録可能なノード数の上限を超えるような場合等に有用となる。
【0078】
また、実施例1では、第一テンプレート及び第二テンプレートは一体的に拡大または縮小されると説明したが、第一テンプレート及び第二テンプレートの一方のみが拡大または縮小されてもよい。
図7Cは、変形例における第一テンプレート及び第二テンプレートの縮小(拡大)の例を示す図である。
【0079】
図7Cの例では、配置情報に含まれる全てのノード20の重心位置(全てのノード20の座標の平均)を中心に第二テンプレートが縮小された場合の管理ノードが図示されている。
図7Cにおける星印が重心位置を示す。
図7Cでは、縮小前の第二テンプレートを破線で示し、縮小後の第二テンプレートは実線で示されている。第二テンプレートを第一テンプレートと独立して縮小(または拡大)する処理は、第二テンプレートが示す複数の基準位置の間の距離を、第一テンプレートが示す複数の範囲と独立し、かつ、第二テンプレートが示す複数の基準位置の位置関係を維持したまま、短縮(または延長)する処理であるといえる。第二テンプレートを第一テンプレートと独立して縮小する目的としては、管理ノード間の通信品質をより確実にするといった目的が想定される。
【0080】
図7Cでは、第二テンプレートが縮小される前の管理ノードがハッチングで示され、第二テンプレートが縮小された後の管理ノードが黒塗で示されている。このように、第二テンプレートが重心位置を中心に縮小されれば、外側の下位メッシュネットワークに所属する管理ノードをより内側に近付けることで、管理ノード間の距離を短くすることができる。
【0081】
なお、第一テンプレートと第二テンプレートは、第一テンプレートの1つの範囲の中に、第二テンプレートの頂点または交点が1つだけ存在する(0でもなく2つ以上でもない)ことが要件となる。つまり、第一テンプレート(または第二テンプレート)の拡大または縮小は、第一テンプレートが示す複数の範囲のそれぞれに基準位置が1つだけ位置することを要件として許容される。
【0082】
また、テンプレートの調整は、設定者の調整操作ではなく、情報処理部34が内部処理として行ってもよい。つまり、テンプレートを用いて下位メッシュネットワーク、及び、管理ノードを決定する方法は自動化されてもよい。この場合、情報処理部34は、設定者の調整操作を受け付けるための情報処理を省略することができる。例えば、情報処理部34は、配置情報とテンプレートを重ね合わせて表示部32に表示する処理を省略することができる。
【0083】
また、上述のように、テンプレートのあてはめによって下位メッシュネットワークを決定しようとして、ノード数の要件を満たさない下位メッシュネットワークが生じた場合に、情報処理部34は、当該下位メッシュネットワークを自動的に複数の下位メッシュネットワークに分割してもよい。情報処理部34は、最もシンプルには、ノード数の要件を満たさない下位メッシュネットワークを規定する第一テンプレートの1つの範囲を縦または横に二等分することで1つの下位メッシュネットワークを2つの下位メッシュネットワークに分割する。また、第一テンプレートの1つの範囲(1つの下位メッシュネットワーク)の分割方法として、後述の実施例5またはその変形例の分割手法(アルゴリズム)が用いられてもよい。
【0084】
ところで、
図6の設定画面においては、第一テンプレート及び第二テンプレートの全体が表示部32に表示されているが、表示部32には、第一テンプレート及び第二テンプレートの一部のみが切り取られて表示されてもよい。
図7D及び
図7Eは、実施例1における第一テンプレート及び第二テンプレートの表示範囲の別の例を示す図であり、太線で囲まれた部分が表示部32に表示される範囲に相当する。
図7D及び
図7Eに示されるように、第一テンプレート及び第二テンプレートは、例えば、表示部32の画面形状に合わせて、長方形に切り抜かれて表示される。
【0085】
このように、表示部32には第一テンプレート及び第二テンプレートの必要な箇所のみが表示されてもよい。
【0086】
[実施例1とその変形例のまとめ]
以上説明したように、情報端末30は、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理を実行する情報処理部34を備える。階層型メッシュネットワークは、複数の下位メッシュネットワークと、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される上位メッシュネットワークを含む。情報処理部34は、複数のノード20の配置を示す配置情報を取得し、取得された配置情報に基づいて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定し、取得された配置情報に基づいて、複数のノード20の中から複数の管理ノードを決定する。下位メッシュネットワークは、第一メッシュネットワークの一例であり、上位メッシュネットワークは、第二メッシュネットワークの一例である。
【0087】
このような情報端末30は、設定者が、下位メッシュネットワーク、及び、管理ノードを決定することを支援することができる。つまり、情報端末30は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0088】
また、例えば、情報処理部34は、配置情報が示す複数のノード20の配置に対しての複数の範囲を示す範囲情報、及び、複数の範囲それぞれにおける基準位置を示す基準位置情報をさらに取得し、取得された配置情報、及び、取得された範囲情報に基づいて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定し、取得された配置情報、取得された範囲情報、及び、取得された基準位置情報に基づいて、複数のノード20の中から複数の管理ノードを決定する。
【0089】
このような情報端末30は、配置情報、範囲情報、及び、基準位置情報を用いて、下位メッシュネットワーク、及び、管理ノードを決定することができる。
【0090】
また、例えば、情報処理部34は、取得された配置情報、及び、取得された範囲情報に基づいて定まる同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち、基準位置に最も近いノード20を管理ノードとして決定する。
【0091】
このような情報端末30は、配置情報、範囲情報、及び、基準位置情報を用いて、管理ノードを決定することができる。
【0092】
また、例えば、情報処理部34は、取得された配置情報が示す複数のノード20の配置に、複数の範囲の当てはめを行うことで複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定し、当てはめが行われた後の状態において、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち、基準位置に最も近いノード20を管理ノードとして決定する。
【0093】
このような情報端末30は、配置情報に、範囲情報(基準位置情報)の当てはめを行うことにより、下位メッシュネットワーク、及び、管理ノードを決定することができる。
【0094】
また、例えば、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれには、当該下位メッシュネットワークに所属することができるノードの数に関する要件が定められている。情報処理部34は、複数の範囲のあてはめが行われた後に、複数の下位メッシュネットワークの中に要件を満たさない下位メッシュネットワークが存在することを通知する機能を有する。
【0095】
このような情報端末30は、複数の下位メッシュネットワークの中に要件を満たさない下位メッシュネットワークが存在することを通知することができる。
【0096】
また、例えば、情報処理部34は、複数の範囲のうち要件を満たさない下位メッシュネットワークを示す範囲を、他の範囲と異なる態様で表示することにより通知を行う。
【0097】
このような情報端末30は、要件を満たさない下位メッシュネットワークを示す範囲を可視化することによって通知を行うことができる。
【0098】
また、例えば、情報処理部34は、複数の範囲のあてはめが行われた後に、複数のノード20の中に複数の範囲のいずれにも所属していないノード20が存在することを通知する機能を有する。
【0099】
このような情報端末30は、下位メッシュネットワークに所属していないノード20が存在することを通知することができる。
【0100】
また、例えば、複数の範囲のそれぞれは、正方形である。
【0101】
このような情報端末30は、各々が正方形の複数の範囲を示す範囲情報を用いて、下位メッシュネットワークを決定することができる。
【0102】
また、例えば、複数の範囲のそれぞれは、六角形である。
【0103】
このような情報端末30は、各々が六角形の複数の範囲を示す範囲情報を用いて、下位メッシュネットワークを決定することができる。
【0104】
また、例えば、基準位置情報が示す複数の基準位置は、正三角形の頂点に対応する位置関係となる。
【0105】
このような情報端末30は、正三角形の頂点に対応する位置関係となる複数の基準位置を示す基準位置情報を用いて、管理ノードを決定することができる。
【0106】
また、例えば、基準位置情報が示す複数の基準位置は、正方形の頂点に対応する位置関係となる。
【0107】
このような情報端末30は、正方形の頂点に対応する位置関係となる複数の基準位置を示す基準位置情報を用いて、管理ノードを決定することができる。
【0108】
また、例えば、情報処理部34は、複数の範囲を拡大または縮小し、取得された配置情報が示す複数のノード20の配置に、拡大または縮小された後の複数の範囲の当てはめを行うことで複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定する。
【0109】
このような情報端末30は、下位メッシュネットワークの決定、及び、管理ノードの決定に関する調整を行うことができる。
【0110】
また、例えば、複数の範囲の拡大においては、上限が定められ、上限は、管理ノードが他の管理ノードと通信可能な距離に基づいて定められる。
【0111】
このような情報端末30は、管理ノード間の通信性能を確保しつつ、下位メッシュネットワークの決定、及び、管理ノードの決定に関する調整を行うことができる。
【0112】
また、例えば、複数の範囲の拡大または縮小は、取得された配置情報に基づいて、自動的に行われる。
【0113】
このような情報端末30は、下位メッシュネットワークの決定、及び、管理ノードの決定に関する調整を自動的に行うことができる。
【0114】
また、例えば、複数の範囲の拡大または縮小は、複数の基準位置とは独立して行われ、複数の範囲のそれぞれに基準位置が1つだけ位置することを要件として許容される。
【0115】
このような情報端末30は、第一テンプレートを個別に拡大または縮小することができる。
【0116】
また、例えば、情報処理部34は、複数の基準位置の間の距離を、複数の範囲と独立し、かつ、複数の基準位置の位置関係を維持したまま、延長または短縮する。複数の基準位置の間の距離の延長または短縮は、複数の範囲のそれぞれに基準位置が1つだけ位置することを要件として許容される。
【0117】
このような情報端末30は、第二テンプレートを個別に拡大または縮小することができる。
【0118】
また、例えば、複数の範囲の拡大または縮小は、複数の範囲と複数の基準位置との位置関係を維持した状態で行われる。
【0119】
このような情報端末30は、第一テンプレートと第二テンプレートとを連動して拡大または縮小することができる。
【0120】
また、例えば、情報端末30は、さらに、配置情報が示す複数のノード20の配置と、複数の範囲と、基準位置とを表示する表示部32を備える。
【0121】
このような情報端末30は、複数のノード20の配置と、複数の範囲と、基準位置とを表示することができる。
【0122】
また、例えば、情報端末30は、さらに、配置情報が示す複数のノード20の配置における、決定された管理ノードの位置を表示する表示部32を備える。
【0123】
このような情報端末30は、管理ノードの位置を表示することができる。
【0124】
また、例えば、表示部32には、表示部32の形状に合わせて複数の範囲の一部のみが表示される。
【0125】
このような情報端末30は、第一テンプレート及び第二テンプレートの必要な箇所のみを表示部32に表示することができる。
【0126】
また、例えば、情報端末30は、情報処理部34は、複数のノード20の一部のみを、複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定する機能を有する。
【0127】
このような情報端末30は、複数のノード20の他の一部を下位メッシュネットワークの決定の対象から除外することができる。
【0128】
また、通信システム10は、情報端末30と、複数のノード20とを備える。
【0129】
このような通信システム10は、設定者が、下位メッシュネットワーク、及び、管理ノードを決定することを支援することができる。つまり、通信システム10は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0130】
また、例えば、複数のノード20には、照明器具が含まれる。
【0131】
このような通信システム10は、照明器具の制御システムとして機能することができる。
【0132】
また、情報端末30などのコンピュータによって実行される、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理方法は、複数のノード20の配置を示す配置情報を取得し、取得された配置情報に基づいて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定し、取得された配置情報に基づいて、複数のノード20の中から複数の管理ノードを決定する。
【0133】
このような情報処理方法は、設定者が、下位メッシュネットワーク、及び、管理ノードを決定することを支援することができる。つまり、情報処理方法は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0134】
[実施例2]
実施例2では、同一の下位メッシュネットワークに所属する複数のノード20の座標(配置)の重心位置に基づいて、管理ノードを決定する方法について説明する。
図8は、実施例2のフローチャートである。
【0135】
なお、実施例2では、複数のノード20それぞれが所属する下位メッシュネットワークについては既に決定済みであるものとして説明が行われる。実施例2においては、下位メッシュネットワークは、上述または後述のいずれかの方法で決定されるが、設定者によって任意に決定されてもよいし、既存の他の方法によって決定されてもよい。下位メッシュネットワークが決定されると、複数のノード20が複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属するかを示す所属情報が記憶部35に記憶される。
【0136】
情報端末30の情報処理部34は、複数のノード20の配置を示す配置情報を記憶部35から取得する(S31)。配置情報は、例えば、ステップS31よりも前に情報処理部34によって生成、読み込み、または、修正等されたものである。また、情報処理部34は、所属情報を記憶部35から取得する(S32)。
【0137】
次に、情報処理部34は、取得された配置情報、及び、取得された所属情報に基づいて、複数のノード20のうち同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20の重心位置を算出する(S33)。配置情報が二次元座標(xy座標)によって複数のノード20の配置を示すとすると、重心位置のx座標は、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のx座標を加算平均した値となり、重心位置のy座標は、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のy座標を加算平均した値となる。重心位置は、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれに対して算出される。
【0138】
次に、情報処理部34は、取得された配置情報に基づいて、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち、当該下位メッシュネットワークにおける重心位置の最も近くに位置するノード20を当該下位メッシュネットワークに所属する管理ノードとして決定する(S34)。管理ノードは、複数の下位メッシュネットワークそれぞれに対して決定される。
図9は、決定された管理ノードの位置を示す図である。
図9は、複数のノード20が配置される空間の平面図に相当し、
図9における1つの区画は、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20が配置されている区画である。つまり、
図9の区画は、下位メッシュネットワークに相当する。各区画内に位置する丸印は、当該区画(下位メッシュネットワーク)の管理ノードを示している。なお、重心位置の最も近くに位置するノード20が複数存在する場合には、そのうちの任意の1つが管理ノードとして決定されればよい。
【0139】
次に、情報処理部34は、隣り合う下位メッシュネットワーク(
図9の区画に相当)を対象に、管理ノード同士の距離(
図9の双方向矢印の長さに相当)が所定値以内であるかを判定する(S35)。所定値は、管理ノードの通信性能に基づいて定められ、例えば、管理ノード同士が確実に通信できる距離とされる。
【0140】
管理ノード同士の距離が全て所定値以内であると判定されると(S35でYes)、動作は終了となる。一方、情報処理部34は、少なくとも1つの管理ノード同士の距離が所定値を超えると判定すると(S35でNo)、下位メッシュネットワーク、及び、管理ノードの再決定処理を行う(S36)。
【0141】
以下、再決定処理について説明する。例えば、
図9においてD1~D3の3カ所の距離が所定値を超えると判定された場合、D1~D3はいずれも区画A内の管理ノードと他の管理ノードとの距離であることから、情報処理部34は、区画Aを2つに分割する。区画の分割は、1つの下位メッシュネットワークを2つの下位メッシュネットワークに分割する事と同じ意味である。
【0142】
情報処理部34は、例えば、区画Aを縦方向に並ぶ2つの区画A1及び区画A2に分割し、分割した区画A1及び区画A2のそれぞれ(つまり、分割後の2つの下位メッシュネットワークのそれぞれ)において管理ノードを決定する。管理ノードの決定方法は、ステップS33及びステップS34と同様である。
図10は、新たに決定された管理ノードの位置を示す図である。
【0143】
さらに、情報処理部34は、新たに決定された管理ノードを対象にステップS35の判定を行う。管理ノード同士の距離(
図10のD4~D7)の1つ以上が所定値以内である(例えば、
図10のD5のみが所定値以内である)と判定されると、再決定処理は終了となる。なお、区画Aは横方向に並ぶ2つの区画に分割されてもよい。
【0144】
以上説明したように、実施例2において、情報端末30は、配置情報、及び、所属情報を取得し、取得された配置情報、及び、取得された所属情報に基づいて、複数のノード20のうち同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20の重心位置を算出し、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち、重心位置の最も近くに位置するノード20を当該下位メッシュネットワークに所属する管理ノードとして決定する。
【0145】
このような情報端末30は、設定者が管理ノードを決定することを支援することができる。
【0146】
なお、実施例2の再決定処理において、区画は、設定者の手動操作に基づいて分割されてもよい。また、実施例2の再決定処理においては、区画を分割した後で管理ノードが決定されたが、情報処理部34は、1つの区画に管理ノードを追加した後に、当該区画を各々が管理ノードを1つだけ含むような複数の区画に分割してもよい。
【0147】
[実施例2の変形例1]
上記実施例2では、全ての下位メッシュネットワークに対して同じ方法で管理ノードが決定されたが、下位メッシュネットワークの位置(複数の下位メッシュネットワークの配置)に基づいて、管理ノードの決定方法が変更されてもよい。
図11は、このような実施例2の変形例1のフローチャートである。
【0148】
情報端末30の情報処理部34は、複数のノード20の配置を示す配置情報を記憶部35から取得する(S41)。配置情報は、例えば、ステップS41よりも前に情報処理部34によって生成、読み込み、または、修正等されたものである。また、情報処理部34は、所属情報を記憶部35から取得する(S42)。情報処理部34は、取得された配置情報、及び、取得された所属情報に基づいて、複数のノード20のうち同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20の重心位置を算出する(S43)。ステップS41~ステップS43の処理は、ステップS31~ステップS33と同様である。なお、ステップS43で算出された重心位置は、第一重心位置とも記載される。
【0149】
次に、情報処理部34は、取得された配置情報に基づいて、複数のノード20の全体の重心位置を算出する(S44)。配置情報が二次元座標(xy座標)によって複数のノード20の配置を示すとすると、重心位置のx座標は、階層型メッシュネットワークに所属する全ての複数のノード20のx座標を加算平均した値となり、重心位置のy座標は、階層型メッシュネットワークに所属する全ての複数のノード20のy座標を加算平均した値となる。なお、ステップS44で算出された重心位置は、第二重心位置とも記載される。
【0150】
次に、情報処理部34は、取得された配置情報、及び、取得された所属情報に基づいて、複数の下位メッシュネットワークの配置を特定する(S45)。
図12は、複数の下位メッシュネットワークの配置を説明するための図である。
図12は、複数のノード20が配置される空間の平面図に相当し、
図12における1つの区画は、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20が配置されている区画である。つまり、
図12の区画は、下位メッシュネットワークに相当する。各区画内に位置する丸印は、当該区画(下位メッシュネットワーク)の管理ノードを示している。
【0151】
情報処理部34は、例えば、複数の下位メッシュネットワークの配置において中央部に位置する(端部に位置しない)下位メッシュネットワーク(
図12でハッチングなしの区画に相当)、及び、端部に位置する下位メッシュネットワーク(
図12でハッチングありの区画に相当)を特定(区別)する。なお、
図12の例では、中央部に位置するとは、下位メッシュネットワークを示す区画の全ての辺が他の区画(下位メッシュネットワーク)と隣り合うことを意味する。端部に位置するとは、下位メッシュネットワークを示す区画の少なくとも一辺が他の区画(下位メッシュネットワーク)と隣り合わないことを意味する。
【0152】
情報処理部34は、中央部に位置する下位メッシュネットワークにおいては、当該下位メッシュネットワークの第一重心位置に基づいて管理ノードを決定する(S46)。情報処理部34は、中央部に位置する下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち当該下位メッシュネットワークの第一重心位置の最も近くに位置するノード20を管理ノードとして決定する。つまり、端部に位置しない下位メッシュネットワークにおける管理ノードの決定方法は、実施例2と同様である。
【0153】
一方、情報処理部34は、端部に位置する下位メッシュネットワークにおいては、第二重心位置に基づいて管理ノードを決定する(S47)。情報処理部34は、端部に位置する下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち第二重心位置の最も近くに位置するノード20を当該下位メッシュネットワークに所属する管理ノードとして決定する。なお、第二重心位置の最も近くに位置するノード20が複数存在する場合には、そのうちの任意の1つが管理ノードとして決定されればよい。
【0154】
このように、実施例2の変形例1では、情報端末30は、端部に位置する下位メッシュネットワークにおいては、全体の中心位置(第二重心位置)寄りのノード20を管理ノードとして決定することで、他の管理ノードとの距離が離れた管理ノードの発生を抑制することができる。
【0155】
なお、実施例2の変形例1においても、実施例2で説明した、管理ノード同士の距離に関する判定、及び、再決定処理が行われてもよい。
【0156】
[実施例2の変形例2]
また、複数の下位メッシュネットワークそれぞれに対して、実施例2の変形例2で説明した第一重心位置及び第二重心位置を併用して管理ノードが決定されてもよい。
図13は、このような実施例2の変形例2のフローチャートである。
【0157】
情報端末30の情報処理部34は、複数のノード20の配置を示す配置情報を記憶部35から取得する(S51)。配置情報は、例えば、ステップS51よりも前に情報処理部34によって生成、読み込み、または、修正等されたものである。また、情報処理部34は、所属情報を記憶部35から取得する(S52)。情報処理部34は、取得された配置情報、及び、取得された所属情報に基づいて、第一重心位置を算出する(S53)。情報処理部34は、取得された配置情報に基づいて、第二重心位置を算出する(S54)。ステップS51~ステップS54の処理は、ステップS41~ステップS44と同様である。
【0158】
情報処理部34は、算出した第一重心位置、及び、算出した第二重心位置に基づいて、複数の下位メッシュネットワークそれぞれにおける管理ノードを決定する(S55)。
図14は、実施例2の変形例2における管理ノードの決定方法を説明するための図である。
図14は、複数のノード20が配置される空間の平面図に相当し、
図14における1つの区画は、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20が配置されている区画である。つまり、
図14の区画は、下位メッシュネットワークに相当する。各区画内に位置する丸印は、当該区画(下位メッシュネットワーク)に所属するノード20を示している。
【0159】
図14において、星印は、第二重心位置を示す。情報処理部34は、具体的には、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち、第一重心位置と第二重心位置とを結ぶ線分を1:n(nは正の数)に分割する点(
図14の三角印)の最も近くに位置するノード20を当該下位メッシュネットワークに所属する管理ノードとして決定する。
図14において、管理ノードは、ハッチング付きの丸印で示される。
【0160】
図14の例では、n=1であるが、nは2などの1以上の他の数値であってもよいし、1未満の数値であってもよい。nについては経験的または実験的に適宜定められればよい。また、nは、下位メッシュネットワークごとに変更されてもよい。なお、nは、例えば、第一重心位置から上記分割する点までの距離を1としたときの第二重心位置から上記分割する点までの距離を示すものとして定義される。
【0161】
仮に、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち第二重心位置に最も近いものが管理ノードとして決定されると、複数の下位メッシュネットワークに対応する複数の管理ノードが第二重心位置付近に寄り過ぎてしまい、外側に位置する下位メッシュネットワークの管理ノードが内側に位置する他の管理ノードから離れてしまう可能性がある。
【0162】
これに対し、実施例2の変形例2では、情報端末30は、複数の管理ノードが第二重心位置付近に寄り過ぎてしまうことを抑制することができる。
【0163】
なお、実施例2の変形例2は、複数のノード20が
図15及び
図16のように配置されるような場合にも適用できる。
図15及び
図16は、実施例2の変形例2における管理ノードの決定方法を説明するための他の図である。また、実施例2の変形例2においても、実施例2で説明した、管理ノード同士の距離に関する判定、及び、再決定処理が行われてもよい。
【0164】
[実施例2とその変形例のまとめ]
以上説明したように、情報端末30は、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理を実行する情報処理部34を備える。階層型メッシュネットワークは、複数の下位メッシュネットワークと、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される上位メッシュネットワークを含む。情報処理部34は、各々が複数の下位メッシュネットワークのいずれかに所属する複数のノード20の配置を示す配置情報を取得し、取得された配置情報に基づいて、複数のノード20の中から複数の管理ノードを決定する。下位メッシュネットワークは、第一メッシュネットワークの一例であり、上位メッシュネットワークは、第二メッシュネットワークの一例である。
【0165】
このような情報端末30は、設定者が、管理ノードを決定することを支援することができる。つまり、情報端末30は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0166】
また、例えば、情報処理部34は、複数のノード20が複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属するかを示す所属情報をさらに取得し、取得された配置情報、及び、取得された所属情報に基づいて、複数の管理ノードを決定する。
【0167】
このような情報端末30は、配置情報及び所属情報を用いて、管理ノードを決定することができる。
【0168】
また、例えば、情報処理部34は、取得された配置情報、及び、取得された所属情報に基づいて、複数のノード20のうち同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20の第一重心位置を算出し、取得された配置情報に基づいて、複数のノード20の第二重心位置を算出し、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち、第一重心位置と第二重心位置とを結ぶ線分を1:n(nは正の数)に分割する点の最も近くに位置するノード20を当該下位メッシュネットワークに所属する管理ノードとして決定する。
【0169】
このような情報端末30は、複数の管理ノードが第二重心位置付近に寄り過ぎてしまわないように、複数の管理ノードを決定することができる。
【0170】
また、例えば、情報処理部34は、下位メッシュネットワークごとに、nの値を変更して管理ノードを決定する。
【0171】
このような情報端末30は、下位メッシュネットワークごとに異なる条件で管理ノードを決定することができる。
【0172】
また、例えば、情報処理部34は、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち、上記線分を1:1に分割する点の最も近くに位置するノード20を当該下位メッシュネットワークに所属する管理ノードとして決定する。
【0173】
このような情報端末30は、複数の管理ノードが第二重心位置付近に寄り過ぎてしまわないように、複数の管理ノードを決定することができる。
【0174】
また、例えば、情報処理部34は、取得された配置情報、及び、取得された所属情報に基づいて、複数のノード20のうち同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20の第一重心位置を算出し、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち、第一重心位置の最も近くに位置するノード20を当該下位メッシュネットワークに所属する管理ノードとして決定する。
【0175】
このような情報端末30は、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20の座標(配置)の重心位置の近傍に位置するノード20を当該下位メッシュネットワークの管理ノードとして決定することができる。
【0176】
また、例えば、情報処理部34は、取得された配置情報に基づいて、複数のノード20の第二重心位置を算出し、取得された配置情報、及び、取得された所属情報に基づいて、複数の下位メッシュネットワークの配置を特定し、複数の下位メッシュネットワークの配置において端部に位置しない下位メッシュネットワークにおいては、当該下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち第一重心位置の最も近くに位置するノード20を当該下位メッシュネットワークに所属する管理ノードとして決定し、複数の下位メッシュネットワークの配置において端部に位置する下位メッシュネットワークにおいては、当該下位メッシュネットワークに所属するノード20のうち第二重心位置の最も近くに位置するノード20を当該下位メッシュネットワークに所属する管理ノードとして決定する。
【0177】
このような情報端末30は、他の管理ノードとの距離が離れた管理ノードの発生を抑制することができる。
【0178】
また、情報端末30は、さらに、配置情報が示す複数のノード20の配置における、決定された管理ノードの位置を表示する表示部32を備える。
【0179】
このような情報端末30は、管理ノードの位置を表示することができる。
【0180】
また、通信システム10は、情報端末30と、複数のノード20とを備える。
【0181】
このような通信システム10は、設定者が、管理ノードを決定することを支援することができる。つまり、通信システム10は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0182】
また、例えば、複数のノード20には、照明器具が含まれる。
【0183】
このような通信システム10は、照明器具の制御システムとして機能することができる。
【0184】
また、情報端末30などのコンピュータによって実行される、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理方法は、各々が複数の下位メッシュネットワークのいずれかに所属する複数のノード20の配置を示す配置情報を取得し、取得された配置情報に基づいて、複数のノード20の中から複数の管理ノードを決定する。
【0185】
このような情報処理方法は、設定者が、管理ノードを決定することを支援することができる。つまり、情報処理方法は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0186】
[実施例3]
実施例3では、複数のノード20の制御グループに基づいて、複数のノード20のそれぞれが所属する下位メッシュネットワークを決定する方法について説明する。
【0187】
まず、制御グループについて説明する。例えば、複数のノード20のそれぞれが照明器具である場合、複数のノード20のそれぞれは、同じタイミングで一括して発光制御される制御グループに所属する。この制御グループは、制御グループAと記載される。例えば、空間に設けられた壁スイッチを押したときに一斉に点灯または消灯する複数のノード20が同一の制御グループAに所属する複数のノード20である。なお、同一の制御グループAに所属する複数のノード20の電源系統が同一である必要はなく、同一の制御グループAに所属する複数のノード20の電源系統は、異なっている場合もある。
【0188】
同一の制御グループAは、さらに、1つ以上の制御グループBを含む。制御グループBは、調光率または色温度の設定値が同一であるノード20が所属するグループである。例えば、制御グループBは、言い換えれば、照明の運用上のグループである。制御グループBは、調光率80%の昼白色で発光するグループ、調光率90%の電球色で発光するグループ、というように、例えば、調光率及び色温度の設定値の少なくとも一方が統一されたグループである。同じ制御グループAに所属する制御グループBは、同じタイミングで一括して発光制御される。
【0189】
実施例3では、このような制御グループを示す制御グループ情報があらかじめ情報端末30の記憶部35に記憶(登録)されている。以下、このような制御グループ情報に基づいて複数のノード20のそれぞれが所属する下位メッシュネットワークを決定する方法について説明する。
図17は、実施例3のフローチャートである。
【0190】
情報端末30の情報処理部34は、制御グループ情報を記憶部35から取得する(S61)。情報処理部34は、取得した制御グループ情報に基づいて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定する(S62)。例えば、情報処理部34は、制御グループと下位メッシュネットワークとを1対1で対応させ、複数のノード20のうち同一の制御グループに所属するノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。ここでの制御グループは、上述の制御グループAであるが、上述の制御グループBであってもよい。
【0191】
上述のように、階層型メッシュネットワークにおいては、ある下位メッシュネットワーク内で情報を伝送するときには、他の下位メッシュネットワークにおいては、当該情報の中継が行われない。したがって、制御グループと下位メッシュネットワークとを1対1で対応させることで、複数のノード20を制御するときに、他の下位メッシュネットワークにおける不必要な通信が発生してしまうことを抑制することができる。
【0192】
その後、操作受付部31によって制御グループの変更を指示する操作が受け付けられると、情報処理部34は、記憶部35に記憶された制御グループ情報を更新する(S63)。制御グループの変更には、既存のノード20が所属する制御グループの変更、新たなノード20の制御グループへの追加、及び、既存のノード20の制御グループへの所属の抹消(削除)などが含まれる。
【0193】
情報処理部34は、制御グループ情報が更新されたことを契機に、制御グループの変更に応じて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを再度決定する(S64)。例えば、情報処理部34は、制御グループと下位メッシュネットワークとを1対1で対応させ、複数のノード20のうち同一の制御グループに所属するノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。つまり、制御グループの変更に応じて、複数のノード20が所属する下位メッシュネットワークが自動的に変更される。
【0194】
なお、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20の最大ノード数(言い換えれば、上限数または所定数)が定められているような場合、同じ制御グループに所属するノード20の数が最大ノード数を上回ると、制御グループと下位メッシュネットワークとを1対1で対応させることができない。このような場合の下位メッシュネットワークの決定方法について説明する。
図18は、制御グループと、下位メッシュネットワークとの対応付けの第一の例を示す図である。
【0195】
図18の例では、制御グループAは、40台のノード20を含む。制御グループAに含まれる40台のノード20は、さらに複数の制御グループBのいずれかに所属している。複数の制御グループBには、10台のノード20によって構成される制御グループB1、10台のノード20によって構成される制御グループB2、及び、20台のノード20によって構成される制御グループB3が含まれる。このようなグループの詳細構成は、上述の制御グループ情報によって示される。
【0196】
ここで、1つの下位メッシュネットワークにおける最大ノード数が32であるときには、制御グループAは40台のノード20を含むことから、制御グループAに所属するノード20の全てを同一の下位メッシュネットワークに所属させることはできない。
【0197】
このような場合、情報処理部34は、制御グループB1~B3のうち最もノード20の数が多い制御グループ(制御グループB3)を特定し、特定した制御グループB3のノード20の数が最大ノード数を上回るか否かを判定する。
図18の例では、情報処理部34は、特定した制御グループB3のノード20の数が最大ノード数以下であると判定し、制御グループB3に所属するノード20全てを下位メッシュネットワークC1に所属させる。
【0198】
また、情報処理部34は、残りの制御グループB1及びB2については、制御グループB1に所属するノード20の数と、制御グループB2に所属するノード20の数の合計が最大ノード数を上回るか否かを判定する。
図18の例では、情報処理部34は、ノード20の数の合計が最大ノード数以下であると判定し、制御グループB1に所属するノード20、及び、制御グループB2に所属するノード20の全てを下位メッシュネットワークC2に所属させる。
【0199】
この結果、
図18に示されるように、下位メッシュネットワークC1には、制御グループB3が対応付けられ、下位メッシュネットワークC2には、制御グループB1及び制御グループB2が対応付けられる。
【0200】
以上説明したように、情報処理部34は、同一の制御グループAに所属するノード20の数が最大ノード数以下である場合(図示せず)に、当該ノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。情報処理部34は、同一の制御グループAに所属するノード20の数が最大ノード数よりも多い場合(
図18の例の場合)に、当該ノード20を2つ以上(
図18の例では、3つ)の下位メッシュネットワークに分けて所属させる。
【0201】
制御グループBに着目すると、
図18の例では、情報処理部34は、同一の制御グループB3に所属するノード20の数が最大ノード数以下である場合に、当該ノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。また、情報処理部34は、複数のノード20のうち制御グループB1(第一グループの一例)に所属するノード20、及び、複数のノード20のうち制御グループB2(第二グループの一例)に所属するノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。
【0202】
また、
図19は、制御グループと、下位メッシュネットワークとの対応付けの第二の例を示す図である。
図19の例では、制御グループAは、80台のノード20を含む。制御グループAに含まれる80台のノード20は、さらに複数の制御グループBのいずれかに所属している。複数の制御グループBには、20台のノード20によって構成される制御グループB1、20台のノード20によって構成される制御グループB2、及び、40台のノード20によって構成される制御グループB3が含まれる。このようなグループの詳細構成は、上述の制御グループ情報によって示される。
【0203】
ここで、1つの下位メッシュネットワークにおける最大ノード数が32であるときには、制御グループAは80台のノード20を含むことから、制御グループAに所属するノード20の全てを同一の下位メッシュネットワークに所属させることはできない。
【0204】
このような場合、情報処理部34は、制御グループB1~B3のうち最もノード20の数が多い制御グループ(制御グループB3)を特定し、特定した制御グループB3のノード20の数が最大ノード数を上回るか否かを判定する。
図19の例では、情報処理部34は、特定した制御グループB3のノード20の数が最大ノード数を上回ると判定し、制御グループB3に所属するノード20をさらに2つのグループに分けて、一方のグループを下位メッシュネットワークC1に所属させ、もう一方のグループを下位メッシュネットワークC2に所属させる。
【0205】
また、情報処理部34は、残りの制御グループB1及びB2に所属するノード20の数の判定を行う。
図19の例では、情報処理部34は、制御グループB1に所属するノード20の数、及び、制御グループB2に所属するノード20の数の合計が最大ノード数を上回り、かつ、制御グループB1に所属するノード20の数、及び、制御グループB2に所属するノード20の数のそれぞれが最大ノード数以下であると判定する。情報処理部34は、制御グループB1に所属するノード20を下位メッシュネットワークC3に所属させ、かつ、制御グループB2に所属するノード20を下位メッシュネットワークC4に所属させる。
【0206】
この結果、
図19に示されるように、下位メッシュネットワークC1には、制御グループB3の一部が対応付けられ、下位メッシュネットワークC2には、制御グループB3の他の一部が対応付けられる。下位メッシュネットワークC3には、制御グループB1が対応付けられ、下位メッシュネットワークC4には、制御グループB2が対応付けられる。
【0207】
制御グループBに着目すると、
図19の例では、情報処理部34は、同一の制御グループB1(または制御グループB2)に所属するノード20の数が最大ノード数以下である場合に、当該ノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。また、情報処理部34は、同一の制御グループB3に所属するノード20の数が最大ノード数よりも多い場合に、当該ノード20を2つ以上の下位メッシュネットワークに分けて所属させる。
【0208】
なお、同一の制御グループに所属するノード20を2つ以上の下位メッシュネットワークに分けて所属させる場合、同一の制御グループに所属するノード20をどのように2つ以上のグループに分割するかについては、特に限定されない。例えば、情報処理部34は、複数のノード20の配置を示す配置情報を取得し、取得された配置情報に基づき、位置(座標)の近さを考慮して同一の制御グループに所属するノード20を2つ以上のグループに分割することができる。
【0209】
また、配置情報に区画情報(後述)が含まれる場合には、情報処理部34は、同一の区画に設置されたノード20を優先的に同じグループにするというように、ノード20が設置された区画を考慮して同一の制御グループに所属するノード20を2つ以上のグループに分割することができる。
【0210】
また、m個(mは3以上の自然数)の制御グループのうちn個(nは2以上m以下の自然数)の制御グループに所属するノード20を1つの下位メッシュネットワークに所属させる場合に、m個の制御グループからn個の制御グループを選択する方法についても特に限定されない。例えば、情報処理部34は、取得された配置情報に基づいてm個の制御グループの中から位置(座標)が近いn個の制御グループを、同一の下位メッシュネットワークに所属させるn個の制御グループとして選択することができる。
【0211】
また、配置情報に区画情報(後述)が含まれる場合には、情報処理部34は、同一の区画に設置されているか否かを考慮して同一の下位メッシュネットワークに所属させるn個の制御グループを選択してもよい。
【0212】
以上説明したように、実施例3において、情報端末30は、制御グループ情報を取得し、取得された制御グループ情報に基づいて、複数のノード20のうち同一のグループに所属するノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。
【0213】
このような情報端末30は、設定者が下位メッシュネットワークを決定することを支援することができる。
【0214】
[実施例3の変形例]
実施例3の変形例では、複数のノード20が設置された空間の区画に基づいて、複数のノード20のそれぞれが所属する下位メッシュネットワークを決定する方法について説明する。
図20は、実施例3の変形例のフローチャートである。
【0215】
情報端末30の情報処理部34は、区画情報を含む配置情報を記憶部35から取得する(S71)。配置情報は、例えば、ステップS71よりも前に情報処理部34によって生成、読み込み、または、修正等されたものである。
図21は、区画情報を含む配置情報の一例を示す図である。
図21は、配置情報を可視化したものであり、複数のノード20が配置される空間の平面図に相当する。
【0216】
図21において、丸印は、ノード20の位置を示している。区画情報を含む配置情報においては、複数のノード20それぞれの二次元座標に、当該ノード20が所属する区画が対応付けられている。ここで、区画とは、例えば、空間を壁または扉などの構造物によって物理的に分割した単位(つまり、部屋)であるが、明確な構造物がなく用途などによって分割された単位(運用上の単位)であってもよい。
図21の例では、空間は、区画A~区画Fの6つの区画に分割されている。
【0217】
情報処理部34は、取得した配置情報に含まれる区画情報に基づいて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定する(S72)。例えば、情報処理部34は、区画と下位メッシュネットワークとを1対1で対応させ、複数のノード20のうち同一の区画に設置されたノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。
【0218】
上述のように、階層型メッシュネットワークにおいては、ある下位メッシュネットワーク内で情報を伝送するときには、他の下位メッシュネットワークにおいては、当該情報の中継が行われない。また、同一の区画に設置されたノード20は、一括して(または連動して)制御されることが多い。したがって、区間と下位メッシュネットワークとを1対1で対応させることで、複数のノード20を制御するときに、他の下位メッシュネットワークにおける不必要な通信が発生してしまうことを抑制することができる。
【0219】
その後、操作受付部31によって区画の変更を指示する操作が受け付けられると、情報処理部34は、記憶部35に記憶された区画情報を更新する(S73)。区画の変更には、既存のノード20が設置された区画の変更、新たなノード20の区画への追加、及び、既存のノード20の区画への所属の抹消(削除)などが含まれる。
【0220】
情報処理部34は、区画情報が更新されたことを契機に、区画の変更に応じて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを再度決定する(S74)。例えば、情報処理部34は、区画と下位メッシュネットワークとを1対1で対応させ、複数のノード20のうち同一の区画に設置されたノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。つまり、区画の変更に応じて、複数のノード20が所属する下位メッシュネットワークが自動的に変更される。
【0221】
なお、同一の下位メッシュネットワークに所属するノード20の最大ノード数(言い換えれば、上限数または所定数)が定められているような場合、同じ区画に設置されたノード20の数が最大ノード数を上回ると、区画と下位メッシュネットワークとを1対1で対応させることができない。
【0222】
このような場合、情報処理部34は、実施例3と同様に、各区画に設置されたノード20の数が最大ノード数を上回るか否かを判定する。例えば、情報処理部34は、同一の区画に設置されたノード20の数が最大ノード数以下であると判定した場合に、当該ノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。情報処理部34は、同一の区画に設置されたノード20の数が最大ノード数よりも多いと判定した場合に、当該ノード20を2つ以上の下位メッシュネットワークに分けて所属させる。
【0223】
なお、同一の区画に設置されたノード20をどのように2つ以上のグループに分割するかについては、特に限定されない。例えば、情報処理部34は、配置情報に基づいて、位置(座標)の近さに基づいて同一の区画に設置されたノード20を2つ以上のグループに分割することができる。情報処理部34は、配置情報に加えて制御グループ情報を取得し、同一の制御グループに所属するノード20を優先的に同じグループにするというように、制御グループを考慮して同一の区画に設置されたノード20を2つ以上のグループに分割してもよい。
【0224】
また、実施例3と同様に、各区画に設置されたノード20の数が少ないような場合、情報処理部34は、複数の区画に配置されたノード20を1つの下位メッシュネットワークに所属させてもよい。例えば、情報処理部34は、複数のノード20のうち第一区画に設置されたノード20、及び、複数のノード20のうち第一区画と異なる第二区画に設置されたノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。
【0225】
なお、m個(mは3以上の自然数)の区画のうちn個(nは2以上m以下の自然数)の区画に設置されたノード20を1つの下位メッシュネットワークに所属させる場合に、m個の区画からn個を選択する方法については特に限定されない。例えば、情報処理部34は、配置情報に基づいてm個の区画の中から位置(座標)が近いn個の区画を、同一の下位メッシュネットワークに所属させるn個の区画として選択することができる。情報処理部34は、配置情報に加えて制御グループ情報を取得し、同一の制御グループに所属しているか否かを考慮して同一の下位メッシュネットワークに所属させるn個の区画を選択してもよい。
【0226】
以上説明したように、実施例3において、情報端末30は、区分情報を含む配置情報を取得し、区分情報に基づいて、複数のノード20のうち同一のグループに所属するノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。
【0227】
このような情報端末30は、設定者が下位メッシュネットワークを決定することを支援することができる。
【0228】
[実施例3とその変形例のまとめ]
以上説明したように、情報端末30は、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理を実行する情報処理部34を備える。階層型メッシュネットワークは、複数の下位メッシュネットワークと、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される上位メッシュネットワークを含む。情報処理部34は、複数のノード20が制御されるときのグループを示す制御グループ情報、及び、複数のノード20の配置を示す配置情報の少なくとも一方の情報を取得し、取得された少なくとも一方の情報に基づいて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定する。下位メッシュネットワークは、第一メッシュネットワークの一例であり、上位メッシュネットワークは、第二メッシュネットワークの一例である。
【0229】
このような情報端末30は、設定者が、下位メッシュネットワークを決定することを支援することができる。つまり、情報端末30は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0230】
また、例えば、情報処理部34は、制御グループ情報を取得し、取得された制御グループ情報に基づいて、複数のノード20のうち同一のグループに所属するノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。
【0231】
このような情報端末30は、複数のノード20を制御するときに不必要な通信が発生してしまうことが抑制されるように、下位メッシュネットワークを決定することができる。
【0232】
また、例えば、情報処理部34は、同一のグループに所属するノード20の数が所定数以下である場合に、当該ノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させ、同一のグループに所属するノード20の数が所定数よりも多い場合に、当該ノード20を2つ以上の下位メッシュネットワークに分けて所属させる。
【0233】
このような情報端末30は、下位メッシュネットワークにおけるノード数の制限を考慮しつつ、複数のノード20を制御するときに不必要な通信が発生してしまうことが抑制されるように、下位メッシュネットワークを決定することができる。
【0234】
また、例えば、情報処理部34は、制御グループ情報に加えて配置情報を取得し、同一のグループに所属するノード20の数が所定数よりも多い場合に、当該ノード20を、取得された配置情報に基づいて2つ以上の下位メッシュネットワークに分けて所属させる。
【0235】
このような情報端末30は、同一のグループに所属するノード20を2つ以上の下位メッシュネットワークに分けて所属させるときに、当該ノード20の配置を考慮することでノード20間の通信性能の向上を図ることができる。
【0236】
また、例えば、情報処理部34は、複数のノード20のうち第一グループに所属するノード20、及び、複数のノード20のうち第一グループと異なる第二グループに所属するノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。
【0237】
このような情報端末30は、下位メッシュネットワークの総数を減らしつつ、複数のノード20を制御するときに不必要な通信が発生してしまうことが抑制されるように、下位メッシュネットワークを決定することができる。
【0238】
また、例えば、情報処理部34は、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定した後に、複数のノード20が制御されるときのグループの変更が行われると、当該変更に応じて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを再度決定する。
【0239】
このような情報端末30は、グループ(制御グループ)の変更に応じて、複数のノード20が所属する下位メッシュネットワークを自動的に変更することができる。
【0240】
また、例えば、配置情報には、複数のノード20が設置された空間の区画を示す区画情報が含まれる。情報処理部34は、配置情報を取得し、取得した配置情報に含まれる区画情報に基づいて、複数のノード20のうち同一の区画に設置されたノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。
【0241】
このような情報端末30は、複数のノード20を制御するときに不必要な通信が発生してしまうことが抑制されるように、下位メッシュネットワークを決定することができる。
【0242】
また、例えば、情報処理部34は、同一の区画に設置されたノード20の数が所定数以下である場合に、当該ノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させ、同一の区画に設置されたノード20の数が所定数よりも多い場合に、当該ノード20を2つ以上の下位メッシュネットワークに分けて所属させる。
【0243】
このような情報端末30は、下位メッシュネットワークにおけるノード数の制限を考慮しつつ、複数のノード20を制御するときに不必要な通信が発生してしまうことが抑制されるように、下位メッシュネットワークを決定することができる。
【0244】
また、例えば、情報処理部34は、同一の区画に設置されたノード20の数が所定数よりも多い場合に、当該ノード20を、取得された配置情報に基づいて2つ以上の下位メッシュネットワークに分けて所属させる。
【0245】
このような情報端末30は、同一の区画に配置されたノード20を2つ以上の下位メッシュネットワークに分けて所属させるときに、当該ノード20の配置を考慮することでノード20間の通信性能の向上を図ることができる。
【0246】
また、例えば、情報処理部34は、複数のノード20のうち第一区画に設置されたノード20、及び、複数のノード20のうち第一区画と異なる第二区画に設置されたノード20を同一の下位メッシュネットワークに所属させる。
【0247】
このような情報端末30は、下位メッシュネットワークの総数を減らしつつ、複数のノード20を制御するときに不必要な通信が発生してしまうことが抑制されるように、下位メッシュネットワークを決定することができる。
【0248】
また、例えば、情報処理部34は、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定した後に、複数のノード20が設置された区画の変更が行われると、当該変更に応じて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを再度決定する。
【0249】
このような情報端末30は、区画の変更に応じて、複数のノード20が所属する下位メッシュネットワークを自動的に変更することができる。
【0250】
また、通信システム10は、情報端末30と、複数のノード20とを備える。
【0251】
このような通信システム10は、設定者が、下位メッシュネットワークを決定することを支援することができる。つまり、通信システム10は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0252】
また、例えば、複数のノード20には、照明器具が含まれる。
【0253】
このような通信システム10は、照明器具の制御システムとして機能することができる。
【0254】
また、情報端末30などのコンピュータによって実行される、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理方法は、複数のノード20が制御されるときのグループを示す制御グループ情報、及び、複数のノード20の配置を示す配置情報の少なくとも一方の情報を取得し、取得された少なくとも一方の情報に基づいて、複数のノード20のそれぞれを複数の下位メッシュネットワークのいずれに所属させるかを決定する。
【0255】
このような情報処理方法は、設定者が、下位メッシュネットワークを決定することを支援することができる。つまり、情報処理方法は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0256】
[実施例4]
実施例4では、実施例1~3とは異なり、複数のノード20のそれぞれを下位メッシュネットワークに参入させる方法、及び複数のノード20の一部を管理ノードとして下位メッシュネットワークに参入させる方法について説明する。なお、実施例4では、特に断りの無い限り、全てのノード20が階層型メッシュネットワークに参入していないものとして説明が行われる。また、実施例4では、「通信可能」とは、ノード20間において他のノード20を経由せずに直接的に通信可能であることをいう。
【0257】
図22は、実施例4における通信システム10の動作(つまり、情報処理方法)を示すフローチャートである。
図22の(a)は、情報端末30の動作を示すフローチャートである。
図22の(b)は、後述する第一参入処理により決定された管理ノードの動作を示すフローチャートである。
図22の(c)は、後述する決定処理により決定された中継ノードの動作を示すフローチャートである。
【0258】
まず、情報端末30の操作受付部31にて設定者による所定の操作を受け付けると、情報端末30の情報処理部34は、第一参入処理を実行する。第一参入処理は、情報端末30と通信可能なノード20を探索し、探索したノード20を管理ノードとして複数の下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)のいずれかに参入させる処理である。ここでいう「ノードを探索する」とは、複数のノード20のうち、定期的に送信されるビーコン信号を情報端末30の無線通信部33で受信可能なノード20を探索することである。
【0259】
図22の(a)に示すように、第一参入処理において、情報処理部34は、ノード20を探索する(S81)。ビーコン信号を受信可能なノード20を探索すると、情報端末30の情報処理部34は、探索したノード20を管理ノードに決定する(S82)。つまり、情報端末30の情報処理部34は、探索したノード20を下位メッシュネットワークに参入させ、かつ、当該ノード20を当該下位メッシュネットワークの管理ノードに決定する。なお、探索したノード20が複数存在する場合、情報端末30の情報処理部34は、探索した複数のノード20のそれぞれを管理ノードとして決定する。
【0260】
また、情報端末30の情報処理部34は、探索したノード20を全て管理ノードとして決定するのではなく、例えばビーコン信号の電波の強度(例えば、RSSI(Received Signal Strength Indication)値)が所定値以上のノード20のみを管理ノードに決定してもよい。この場合、情報端末30と管理ノードとの間で確実に通信できるような通信性能を確保しやすくなる。
【0261】
また、管理ノードの数が多すぎることでトラフィックが増加しシステムに負荷がかかる場合や、システムで登録可能な管理ノード数の上限を超える場合も考えられる。このため、情報端末30の情報処理部34は、管理ノードの数を所定数に収まるように制限してもよい。例えば、情報端末30の情報処理部34は、ビーコン信号の電波の強度順に探索したノード20を並べた場合、最上位から所定数番目までのノード20のみを管理ノードに決定してもよい。また、例えば、情報端末30の情報処理部34は、探索した複数のノード20からランダムに所定数の管理ノードを決定してもよい。
【0262】
そして、情報端末30の情報処理部34は、管理ノードに決定したノード20に対して決定情報を送信する(S83)。決定情報には、決定した管理ノードが所属する下位メッシュネットワークのネットワークID、及び、階層型メッシュネットワーク内での通信に用いられるノード20のアドレス情報(ユニキャストアドレス)が含まれる。また、決定情報には、ノード20が管理ノードとして機能するために必要な情報が含まれる。なお、決定情報には、必要に応じて、下位メッシュネットワーク内での通信に用いられるセキュリティパスコード、及び、情報端末30に関する情報(階層型メッシュネットワークを管理する装置に関する情報)などが含まれてもよい。
【0263】
管理ノードに決定されたノード20が決定情報を取得することにより、当該ノード20は、管理ノードとして下位メッシュネットワークに参入する。
【0264】
ここで、第一参入処理の具体例について、
図23を用いて説明する。
図23は、実施例4における情報端末30による第一参入処理の説明図である。
図23においては、管理ノードが黒色の丸印で表されており、階層型メッシュネットワークに参入していないノードが白色の丸印で表されている。また、
図23においては、情報端末30とノードとの間の双方向の矢印は、情報端末30とノードとの間で通信可能であることを示す。
図23における表現は、後述する
図24~
図27においても同様である。
【0265】
図23に示す例では、情報端末30の情報処理部34は、第一参入処理において3つのノード20A、20B、20Cを探索している。したがって、情報端末30の情報処理部34は、3つのノード20A、20B、20Cをそれぞれ管理ノードに決定し、3つのノード20A、20B、20Cに対してそれぞれ決定情報を送信する。これにより、ノード20A、20B、20Cは、いずれも決定情報を取得することにより、以降は管理ノードとして機能する。
【0266】
次に、管理ノードは、第二参入処理及び決定処理を実行する。第二参入処理及び決定処理は、管理ノードであるノード20が有する情報処理部(図示せず)が実行する。情報処理部は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。情報処理部の機能は、情報処理部を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサなどのハードウェアが、管理ノードが有する記憶部(図示せず)に記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。第二参入処理及び決定処理は、ノード20が決定情報を取得して管理ノードとして機能するようになると、当該ノード20(管理ノード)が自動的に実行する。
【0267】
第二参入処理は、通信可能なノード20を探索し、探索したノード20を自身(ここでは、管理ノード)が所属する下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)に参入させる処理である。ここでいう「ノードを探索する」とは、複数のノード20のうち、定期的に送信されるビーコン信号を管理ノードの無線通信部21で受信可能なノード20を探索することである。なお、管理ノードが複数存在する場合、複数の管理ノードは、例えば情報端末30の情報処理部34がこれら複数の管理ノードを決定した順に第二参入処理を実行してもよいし、管理ノードと情報端末30との間の信号強度の高い順に第二参入処理を実行してもよいし、ランダムに第二参入処理を実行してもよい。
【0268】
なお、「ノードを探索する」とは、例えば管理ノードの無線通信部21から探索用の信号をブロードキャスト送信することも含まれ得る。この場合、探索用の信号を受信したノード20は、探索用の信号の送信元である管理ノードが所属する下位メッシュネットワークに参入する。ここで、ノード20は、複数の管理ノードからの探索用の信号を受信した場合、信号強度の最も高い探索用の信号の送信元である管理ノードが所属する下位メッシュネットワークに参入してもよい。
【0269】
決定処理は、(管理ノードが所属する)下位メッシュネットワークにおいて、自身(ここでは、管理ノード)が受信する電波の強度に基づいて中継ノードを決定する処理である。実施例4では、中継ノードは、管理ノードが所属する下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)とは異なる下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)に所属する新たな管理ノードである。つまり、決定処理により中継ノードに決定されたノード20は、管理ノードが所属する下位メッシュネットワークから離脱し、新たな下位メッシュネットワークに所属する新たな管理ノードとして機能する。決定処理の詳細については、後述するステップS93にて説明する。
【0270】
図22の(b)に示すように、第二参入処理において、管理ノードの情報処理部は、ノード20を探索する(S91)。ビーコン信号を受信可能なノード20を探索すると、管理ノードの情報処理部は、探索したノード20を管理ノードが所属する下位メッシュネットワークに参入させる(S92)。
【0271】
ここでは、管理ノードの情報処理部は、参入させたいノード20に対して参入情報を送信する。参入情報には、管理ノードが所属する下位メッシュネットワークID、及び、階層型メッシュネットワーク内での通信に用いられるノード20のアドレス情報(ユニキャストアドレス)が含まれる。なお、参入情報には、必要に応じて、下位メッシュネットワーク内での通信に用いられるセキュリティパスコード、及び、情報端末30に関する情報(階層型メッシュネットワークを管理する装置に関する情報)などが含まれてもよい。
【0272】
なお、ノード20のアドレス情報は、情報端末30の情報処理部34が管理ノード(または後述する中継ノード)を経由して当該ノード20に対して割り当てられてもよいし、管理ノード(または中継ノード)の情報処理部が当該ノード20に対して割り当ててもよい。後者の場合、管理ノード(または中継ノード)の情報処理部は、例えば管理ノード(または中継ノード)のアドレス情報に従属するアドレス情報を当該ノード20に割り当てる。これにより、他の下位メッシュネットワークに所属するノード20のアドレス情報との重複を避けることが可能である。
【0273】
ノード20が参入情報を取得することにより、当該ノード20は、管理ノードが所属する下位メッシュネットワークに参入する。下位メッシュネットワークに参入したノード20は、参入前に行っていたビーコン信号の定期的な送信を停止する。
【0274】
ここで、管理ノードによる第二参入処理の具体例について、
図24を用いて説明する。
図24は、実施例4における管理ノードによる第二参入処理の説明図である。
図24においては、下位メッシュネットワークに参入したノードがドットハッチングを施した丸印で表されている。また、
図24においては、ノード間の双方向の矢印は、ノード間で通信可能であることを示す。また、
図24においては、破線の枠は、当該枠に囲まれた複数のノードが同じ下位メッシュネットワークに所属することを表している。
図24における表現は、後述する
図25~
図27においても同様である。
【0275】
図24に示す例では、管理ノードである3つのノード20A、20B、20Cの情報処理部が、それぞれ第二参入処理を実行する。これにより、ノード20Aと通信可能な複数(ここでは、4つ)のノードは、ノード20Aを管理ノードとする下位メッシュネットワークに参入する(
図24における左上の破線の枠参照)。また、ノード20Bと通信可能な複数(ここでは、4つ)のノードは、ノード20Bを管理ノードとする下位メッシュネットワークに参入する(
図24における右上の破線の枠参照)。また、ノード20Cと通信可能な複数(ここでは、3つ)のノードは、ノード20Cを管理ノードとする下位メッシュネットワークに参入する(
図24における右下の破線の枠参照)。
【0276】
次に、
図22の(b)に示すように、管理ノードの情報処理部は、決定処理において、中継ノードを決定する(S93)。ステップS93においては、管理ノードの情報処理部は、受信したビーコン信号の電波の強度(ここでは、RSSI値)が閾値以上である1以上のノード20のうち、最も電波の強度が小さいノード20を中継ノードに決定する。閾値は、例えば管理ノードとノード20との間で確実に通信できるような通信性能を確保可能な値に適宜設定される。
【0277】
つまり、管理ノードの情報処理部は、自身との間で確実に通信できるような1以上のノード20のうち、管理ノードから最も離れた位置にあるノード20を、中継ノードに決定する。これにより、中継ノードが管理ノードに寄り過ぎることで、後述する中継ノードによる第二参入処理において階層型メッシュネットワークに参入していないノード20を探索することができなくなる可能性を低減することができる。
【0278】
なお、管理ノードの情報処理部は、自身の所属する下位メッシュネットワークに参入しているノード20が1つである場合、決定処理を実行しない。このような場合に決定処理を実行すると、下位メッシュネットワークには管理ノードのみが所属することになり、無用な下位メッシュネットワークが階層型メッシュネットワークに残存することになるからである。
【0279】
そして、管理ノードの情報処理部は、中継ノードに決定したノード20に対して中継決定情報を送信する(S94)。中継決定情報には、管理ノードが所属する下位メッシュネットワークとは異なる新たな下位メッシュネットワークのネットワークIDが含まれる。また、中継決定情報には、ノード20が新たな管理ノードとして機能するために必要な情報が含まれる。なお、中継決定情報には、必要に応じて、新たな下位メッシュネットワーク内での通信に用いられるセキュリティパスコード、及び、情報端末30に関する情報(階層型メッシュネットワークを管理する装置に関する情報)などが含まれてもよい。
【0280】
中継ノードに決定されたノード20が中継決定情報を取得することにより、当該ノード20は、中継ノードとして機能する。ここでは、当該ノード20は、管理ノードが所属する下位メッシュネットワークから離脱し、中継ノード(新たな管理ノード)として新たな下位メッシュネットワークに参入する。
【0281】
ここで、管理ノードによる決定処理の具体例について、
図25を用いて説明する。
図25は、実施例4における管理ノードによる決定処理の説明図である。
図25においては、実線の枠は、当該枠に囲まれたノードが中継ノード(ここでは、新たな管理ノード)に変更されたことを表している。
【0282】
図25に示す例では、管理ノードであるノード20Bの情報処理部が決定処理を実行する。なお、管理ノードであるノード20A、20Cの情報処理部もそれぞれ決定処理を実行するが、ここでは説明を省略する。ノード20Bの情報処理部は、決定処理を実行することにより、ノード20Bとの間で確実に通信できるようなノードであり、かつ、ノード20Bから最も離れた位置にあるノード20Dを中継ノード(ここでは、新たな管理ノード)に決定し、ノード20Dに対して中継決定情報を送信する。これにより、ノード20Dは、中継決定情報を取得することにより、以降は中継ノードとして機能する。
【0283】
次に、中継ノードは、管理ノードと同様に、第二参入処理及び決定処理を実行する。言い換えれば、中継ノードは、新たな管理ノードとして第二参入処理及び決定処理を実行する。第二参入処理及び決定処理は、中継ノードであるノード20が有する情報処理部(図示せず)が実行する。第二参入処理及び決定処理は、ノード20が中継決定情報を取得して中継ノードとして機能するようになると、当該ノード20(中継ノード)が自動的に実行する。
【0284】
中継ノードが実行する第二参入処理は、通信可能なノード20を探索し、探索したノード20を自身(ここでは、中継ノード)が所属する下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)に参入させる処理である。ここでいう「ノードを探索する」とは、複数のノード20のうち、定期的に送信されるビーコン信号を中継ノードの無線通信部21で受信可能なノード20を探索することである。
【0285】
中継ノードが実行する決定処理は、(中継ノードが所属する)下位メッシュネットワークにおいて、自身(ここでは、中継ノード)が受信する電波の強度に基づいて中継ノード(つまり、新たな中継ノード)を決定する処理である。決定処理により新たな中継ノードに決定されたノード20は、中継ノードが所属する下位メッシュネットワークから離脱し、新たな下位メッシュネットワークに所属する新たな管理ノードとして機能する。
【0286】
ここで、中継ノードが第二参入処理においてノード20を探索できない場合、中継ノードを管理ノードが所属する下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)に復帰させる。つまり、中継ノード(新たな管理ノード)がノード20を探索できない場合、新たな下位メッシュネットワークには中継ノードのみが所属することになり、無用な下位メッシュネットワークが階層型メッシュネットワークに残存することになる。そこで、中継ノードは、ノード20を探索できない場合、過去に所属していた元の下位メッシュネットワークに復帰する。これにより、階層型メッシュネットワークにおいて無用な下位メッシュネットワークが残存するのを防ぐことができる。
【0287】
図22の(c)に示すように、第二参入処理において、中継ノードの情報処理部は、ノード20を探索する(S101)。ビーコン信号を受信可能なノード20が存在する場合(S102でYes)、中継ノードの情報処理部は、探索したノード20を中継ノードが所属する下位メッシュネットワークに参入させる(S103)。そして、中継ノードは、以降、正式に新たな管理ノードとして機能することになる。
【0288】
ここでは、中継ノードの情報処理部は、参入させたいノード20に対して参入情報を送信する。参入情報には、中継ノードが所属する下位メッシュネットワークID、及び、階層型メッシュネットワーク内での通信に用いられるノード20のアドレス情報(ユニキャストアドレス)が含まれる。なお、参入情報には、必要に応じて、下位メッシュネットワーク内での通信に用いられるセキュリティパスコード、及び、情報端末30に関する情報(階層型メッシュネットワークを管理する装置に関する情報)などが含まれてもよい。
【0289】
ノード20が参入情報を取得することにより、当該ノード20は、中継ノードが所属する下位メッシュネットワークに参入する。
【0290】
ここで、中継ノードによる第二参入処理の具体例について、
図26を用いて説明する。
図26は、実施例4における中継ノードによる第二参入処理の説明図である。
図26に示す例では、中継ノードであるノード20Dの情報処理部が第二参入処理を実行する。これにより、ノード20Dと通信可能なノードは、ノード20Dを中継ノード(新たな管理ノード)とする下位メッシュネットワークに参入する(
図26における右上の破線の枠参照)。
【0291】
次に、
図22の(c)に示すように、中継ノードの情報処理部は、決定処理において、中継ノード(つまり、新たな中継ノード)を決定する(S104)。ステップS104においては、中継ノードの情報処理部は、管理ノードによる決定処理と同様に、受信したビーコン信号の電波の強度(ここでは、RSSI値)が閾値以上である1以上のノード20のうち、最も電波の強度が小さいノード20を新たな中継ノードに決定する。閾値は、例えば中継ノードとノード20との間で確実に通信できるような通信性能を確保可能な値に適宜設定される。
【0292】
つまり、中継ノードの情報処理部は、自身との間で確実に通信できるような1以上のノード20のうち、中継ノードから最も離れた位置にあるノード20を、新たな中継ノードに決定する。これにより、新たな中継ノードが中継ノードに寄り過ぎることで、新たな中継ノードによる第二参入処理において階層型メッシュネットワークに参入していないノード20を探索することができなくなる可能性を低減することができる。
【0293】
なお、中継ノードの情報処理部は、自身の所属する下位メッシュネットワークに参入しているノード20が1つである場合、決定処理を実行しない。このような場合に決定処理を実行すると、下位メッシュネットワークには中継ノードのみが所属することになり、無用な下位メッシュネットワークが階層型メッシュネットワークに残存することになるからである。
【0294】
図26に示す例では、中継ノードであるノード20Dの所属する下位メッシュネットワークに参入しているノード20が1つであるので、ノード20Dの情報処理部は、決定処理を実行しないことになる。
【0295】
そして、
図22の(c)に示すように、中継ノードの情報処理部は、新たな中継ノードに決定したノード20に対して中継決定情報を送信する(S105)。中継決定情報には、中継ノードが所属する下位メッシュネットワークとは異なる新たな下位メッシュネットワークのネットワークIDが含まれる。また、中継決定情報には、ノード20が新たな管理ノードとして機能するために必要な情報が含まれる。なお、中継決定情報には、必要に応じて、新たな下位メッシュネットワーク内での通信に用いられるセキュリティパスコード、及び、情報端末30に関する情報(階層型メッシュネットワークを管理する装置に関する情報)などが含まれてもよい。
【0296】
新たな中継ノードに決定されたノード20が中継決定情報を取得することにより、当該ノード20は、新たな中継ノードとして機能する。ここでは、当該ノード20は、管理ノードが所属する下位メッシュネットワークから離脱し、新たな中継ノード(新たな管理ノード)として新たな下位メッシュネットワークに参入する。
【0297】
一方、ビーコン信号を受信可能なノード20が存在しない場合(S102でNo)、中継ノードの情報処理部は、過去に所属していた元の下位メッシュネットワークに復帰する(S106)。この場合、中継ノードは、元の下位メッシュネットワークにおいては、管理ノード及び中継ノードのいずれでもない通常のノード20となる。なお、中継ノードは、中継ノードとしての状態を維持してもよいが、通常のノード20に復帰するのが好ましい。階層型メッシュネットワークにおいて無用な中継ノードが残存するのを防ぐことができるからである。
【0298】
以下、中継ノードの情報処理部が第二参入処理においてノード20を探索できなくなるまで、または中継ノードの情報処理部が決定処理を実行できなくなるまで、後続の中継ノードによる第二参入処理及び決定処理が実行される。そして、中継ノードの情報処理部が第二参入処理においてノード20を探索できなくなる、または中継ノードの情報処理部が決定処理を実行できなくなると、上記の一連のノード20を探索する処理が完了する。
【0299】
上記の一連のノード20を探索する処理は、情報端末30が決定した管理ノードごとに行われる。
図22の(a)に示すように、情報端末30の情報処理部34は、情報端末30が決定した全ての管理ノードについて、ノード20の探索が完了するまで(S84でNo)、待機する。そして、情報端末30の情報処理部34は、情報端末30が決定した全ての管理ノードについて、ノード20の探索が完了すると(S84でYes)、階層型メッシュネットワークに参入した管理ノードを示す登録情報を取得する(S85)。登録情報には、階層型メッシュネットワークに参入した全ての管理ノードの各々について、当該管理ノードが所属する下位メッシュネットワークのネットワークIDと、当該下位メッシュネットワークに所属する全てのノード(管理ノードを含む)のアドレス情報と、が含まれる。また、登録情報には、互いに通信可能な2以上の管理ノードの関係を示す情報が含まれる。
【0300】
情報端末30の情報処理部34は、各管理ノードから送信される登録情報を受信することにより、登録情報を取得する。各管理ノードが登録情報を送信するタイミングは、例えば各管理ノードがノード20を探索できなくなった時点である。つまり、ステップS85は、情報端末30が決定した全ての管理ノードについてノード20の探索が完了する前に実行されてもよい。
【0301】
以上説明したように、実施例4において、通信システム10(情報処理方法)は、情報端末30による第一参入処理と、管理ノードによる第二参入処理及び決定処理と、中継ノードによる第二参入処理及び決定処理と、を実行する。
【0302】
このような通信システム10(情報処理方法)は、設定者が情報端末30に対して所定の操作を行うだけで、自動的に階層型メッシュネットワークを構築することができ、設定者による階層型メッシュネットワークを構築する手間が軽減される。つまり、このような通信システム10(情報処理方法)は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0303】
また、このような通信システム10(情報処理方法)は、実際にノード20間で通信を行いながら階層型メッシュネットワークを構築するため、階層型メッシュネットワークに所属する全てのノード20間で通信できることを保証しやすい。
【0304】
[実施例4の変形例]
図27は、実施例4の変形例における通信システム10の動作(つまり、情報処理方法)の説明図である。
図27においては、実線の枠で囲まれた2つノードを除いて、全てのノードが既に階層型メッシュネットワークに所属している。つまり、これらの2つのノードは、階層型メッシュネットワークに所属していないため、ビーコン信号を定期的に送信し続けている。また、
図27においては、これらの2つのノードが送信するビーコン信号を、階層型メッシュネットワークに既に参入しているノード20αが受信可能である。
【0305】
このような場合、ノード20αの情報処理部は、情報端末30に対して階層型メッシュネットワークに参入していないノード20が存在することを示す情報を送信する。情報端末30の情報処理部34は、当該情報を取得すると、当該情報の送信元であるノード20αを新たな管理ノードに決定する。そして、情報端末30の情報処理部34は、ノード20αに対して決定情報を送信する。
【0306】
ノード20αの情報処理部は、決定情報を取得すると、以降、元の下位メッシュネットワークから離脱し、新たな管理ノードとして機能する。そして、ノード20αの情報処理部は、第二参入処理を実行することにより、上記の階層型メッシュネットワークに参入していない2つのノードを、自身が所属する新たな下位メッシュネットワークに参入させる。
【0307】
上述のように、実施例4の変形例では、階層型メッシュネットワークに参入しているノード20が、階層型メッシュネットワークに参入していないノード20を探索した場合、階層型メッシュネットワークに参入しているノード20を新たな管理ノードに決定し、新たな管理ノードに第二参入処理を実行させる。このため、ノード20の階層型メッシュネットワークへの参入漏れを低減することができる。
【0308】
また、実施例4では、中継ノードは、第二参入処理を実行する時点で新たな管理ノードとして機能しているが、これに限られない。例えば、中継ノードは、第二参入処理を実行してノード20を探索できた場合に、新たな管理ノードとして機能してもよい。つまり、中継ノードがノード20を探索できた場合、中継ノードが、管理ノードが所属する下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)とは異なる下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)に所属する新たな管理ノードに決定されてもよい。なお、中継ノードは、第二参入処理を実行してノード20を探索できなかった場合、中継ノードの状態を維持してもよいし、通常のノード20として復帰してもよいが、後者の方が好ましい。階層型メッシュネットワークにおいて無用な中継ノードが残存するのを防ぐことができるからである。
【0309】
また、実施例4では、通信システム10(情報処理方法)は、情報端末30による第一参入処理と、管理ノードによる第二参入処理を少なくとも実行すればよく、管理ノードによる決定処理と、中継ノードによる第二参入処理と、中継ノードによる決定処理とを実行しなくてもよい。
【0310】
[実施例4とその変形例のまとめ]
以上説明したように、情報処理方法は、コンピュータによって実行される、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理方法である。階層型メッシュネットワークは、複数の第一メッシュネットワークと、複数の第一メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される第二メッシュネットワークとを含む。情報処理方法は、情報端末30と通信可能なノード20を探索し、探索したノード20を管理ノードとして複数の第一メッシュネットワークのいずれかに参入させる第一参入処理を実行する。情報処理方法は、通信可能なノード20を探索し、探索したノード20を自身が所属する第一メッシュネットワークに参入させる第二参入処理を、管理ノードに実行させる。下位メッシュネットワークは、第一メッシュネットワークの一例であり、上位メッシュネットワークは、第二メッシュネットワークの一例である。
【0311】
このような情報処理方法では、設定者が情報端末30に対して所定の操作を行うだけで、自動的に階層型メッシュネットワークを構築することができ、設定者による階層型メッシュネットワークを構築する手間が軽減される。つまり、このような情報処理方法は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0312】
また、例えば、情報処理方法は、管理ノードが所属する下位メッシュネットワークにおいて、自身が受信する電波の強度に基づいて中継ノードを決定する決定処理を、管理ノードに実行させる。
【0313】
このような情報処理方法では、自動的に中継ノードが決定されるので、設定者による階層型メッシュネットワークを構築する手間が更に軽減される。
【0314】
また、例えば、情報処理方法は、第二参入処理を中継ノードに実行させる。
【0315】
このような情報処理方法では、自動的に中継ノードが自動的に階層型メッシュネットワークを構築するので、設定者による階層型メッシュネットワークを構築する手間が更に軽減される。
【0316】
また、例えば、中継ノードは、管理ノードが所属する下位メッシュネットワークとは異なる下位メッシュネットワークに所属する新たな管理ノードである。情報処理方法は、中継ノードが第二参入処理においてノード20を探索できない場合、中継ノードを管理ノードが所属する下位メッシュネットワークに復帰させる。
【0317】
このような情報処理方法では、階層型メッシュネットワークにおいて無用な下位メッシュネットワークが残存するのを防ぐことができる。
【0318】
また、例えば、情報処理方法は、第一参入処理の1回目については、1つの管理ノードのみを決定してもよい。
【0319】
このような情報処理方法では、1回目に決定される管理ノードが第二参入処理においてノード20を探索できない可能性を低減することができる。
【0320】
また、例えば、中継ノードがノード20を探索できた場合、中継ノードが、管理ノードが所属する下位メッシュネットワークとは異なる下位メッシュネットワークに所属する新たな管理ノードに決定される。
【0321】
このような情報処理方法では、階層型メッシュネットワークにおいて無用な下位メッシュネットワークが残存するのを防ぐことができる。
【0322】
また、例えば、情報処理方法は、中継ノードが第二参入処理においてノード20を探索できない場合、中継ノードを管理ノードが所属する第一メッシュネットワークのノード20(通常のノード20)として復帰させてもよい。
【0323】
このような情報処理方法では、階層型メッシュネットワークにおいて無用な中継ノードが残存するのを防ぐことができる。
【0324】
また、例えば、情報処理方法は、中継ノードが第二参入処理においてノード20を探索できた場合、決定処理を中継ノードに実行させる。
【0325】
このような情報処理方法では、中継ノードが自動的に階層型メッシュネットワークを構築するので、設定者による階層型メッシュネットワークを構築する手間が更に軽減される。
【0326】
また、例えば、決定処理において、電波の強度が閾値以上である複数のノード20のうち、最も電波の強度が小さいノード20を中継ノードに決定する。
【0327】
このような情報処理方法では、新たな中継ノードが中継ノードに寄り過ぎることで、新たな中継ノードによる第二参入処理において階層型メッシュネットワークに参入していないノード20を探索することができなくなる可能性を低減することができる。
【0328】
また、例えば、階層型メッシュネットワークに参入しているノード20が、階層型メッシュネットワークに参入していないノード20を探索した場合、階層型メッシュネットワークに参入しているノード20を新たな管理ノードに決定し、新たな管理ノードに第二参入処理を実行させる。
【0329】
このような情報処理方法では、ノード20の階層型メッシュネットワークへの参入漏れを低減することができる。
【0330】
また、例えば、情報処理方法は、階層型メッシュネットワークに参入した管理ノードを示す登録情報を取得する。
【0331】
このような情報処理方法では、自動的に管理ノードを登録することができるので、設定者による階層型メッシュネットワークを構築する手間が更に軽減される。
【0332】
また、通信システム10は、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理を実行する情報処理部34を備える情報端末30と、複数のノード20と、を備える。階層型メッシュネットワークは、複数の下位メッシュネットワークと、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される上位メッシュネットワークとを含む。情報処理部34は、複数のノード20から通信可能なノード20を探索し、探索したノード20を管理ノードとして複数の下位メッシュネットワークのいずれかに参入させる第一参入処理を実行する。複数のノード20のうちの管理ノードは、通信可能なノード20を探索し、探索したノード20を自身が所属する下位メッシュネットワークに参入させる第二参入処理を実行する。
【0333】
このような通信システム10では、設定者が情報端末30に対して所定の操作を行うだけで、自動的に階層型メッシュネットワークを構築することができ、設定者による階層型メッシュネットワークを構築する手間が軽減される。つまり、このような通信システム10は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0334】
また、例えば、複数のノード20には、照明器具が含まれる。
【0335】
このような通信システム10は、照明器具の制御システムとして機能することができる。
【0336】
また、ノード20は、上記の通信システム10に用いられるノードであって、管理ノードである場合に、第二参入処理を実行する。
【0337】
このようなノード20では、設定者が情報端末30に対して所定の操作を行うだけで、自動的に階層型メッシュネットワークを構築することができ、設定者による階層型メッシュネットワークを構築する手間が軽減される。つまり、このようなノード20は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0338】
[実施例5]
実施例5では、複数のノード20が設置された空間において複数のノード20がそれぞれ2以上のノード20に区分けされた複数のエリアを示すエリア情報に基づいて、複数のノード20のそれぞれが所属する下位メッシュネットワークを決定する方法について説明する。
【0339】
まず、エリアについて説明する。エリアは、例えば設定者または空間の設計者等により、2以上のノード20を含むように区分けされた単位である。エリアは、例えば同じタイミングで一括して制御される2以上のノード20を含むような単位であってもよいし、例えば会議室等の空間が壁または扉等の構造物によって物理的に区分けされた単位であってもよい。また、エリアは、例えば用途に応じて区分けされた単位であってもよい。
【0340】
実施例5では、このような複数のエリアを示すエリア情報が、設定者または空間の設計者等により設定されることで、あらかじめ情報端末30の記憶部35に記憶(登録)されている。
【0341】
ここで、エリア情報の一例について、
図28を用いて説明する。
図28は、実施例5におけるエリア情報の一例を示す図である。
図28は、エリア情報を可視化したものであり、複数のノード20が配置される空間の平面図に相当する。
図28において、丸印はノード20の位置を示している。エリア情報においては、複数のノード20のそれぞれの二次元座標に、当該ノード20が所属するエリアが対応付けられている。
図28に示す例では、空間は、エリアAr1~エリアAr7の7つのエリアに区分けされている。なお、
図28に示す例では、複数のエリアAr1~エリアAr7はいずれも矩形状であるが、各エリアの形状は矩形状に限らず、例えば円形状等の他の形状であってもよい。
【0342】
以下、このようなエリア情報に基づいて複数のノード20がそれぞれ所属する下位メッシュネットワークを決定する方法について説明する。
図29は、実施例5のフローチャートである。
【0343】
まず、情報端末30の情報処理部34は、エリア情報を記憶部35から取得する(S111)。そして、情報処理部34は、取得したエリア情報に基づいて、エリアごとに制約条件を満たすか否かを判定する判定処理を実行する(S112)。ここで、制約条件は、下位メッシュネットワークに所属する2以上のノード20が互いに通信することができるように課せられる条件である。したがって、エリアが制約条件を満たす場合であれば、当該エリアを下位メッシュネットワークに決定してもよい、つまり当該エリアに所属する2以上のノード20をそのまま同一の下位メッシュネットワークに所属させてもよいことになる。一方、エリアが制約条件を満たさない場合であれば、分割後のエリアが制約条件を満たすように、当該エリアを分割しなければならないことになる。
【0344】
なお、ここでは、分割後のエリアを下位メッシュネットワークに決定するためにエリアの分割を行うが、あくまで下位メッシュネットワークを決定する処理において仮想的にエリアを分割しているに過ぎない。したがって、エリアを分割したからといって、エリア情報自体が更新されるわけではない。
【0345】
実施例5では、制約条件は、対象となるエリアにおける最長距離L1(
図30等参照)がノード20間の通信可能距離に基づく基準距離以下であることを含んでいる。ここで、エリアにおける最長距離L1とは、当該エリアにおいて互いに最も離れた2点間の距離、または当該距離に相当する距離である。
【0346】
以下、最長距離L1の例について列挙する。
図30は、実施例5における最長距離L1の一例及び分割処理の一例を示す図である。
図30の(a)は、エリアArが矩形状である場合の例を示す。
図30の(a)に示す例では、最長距離L1は、エリアArの対角線の長さに相当する。
【0347】
図30の(b)は、エリアArが矩形状であるが、エリア情報における空間の平面図での水平方向(X軸方向)及び垂直方向(Y軸方向)に対して傾いている場合の例を示す。
図30の(b)に示す例では、最長距離L1は、二次元直交座標系(XY座標系)にてエリアArに外接する矩形Sqの対角線の長さに相当する。矩形Sqは、X軸方向に平行な2つの横辺、及びY軸方向に平行な2つの縦辺を有する矩形である。
【0348】
図30の(c)は、エリアArが単純な矩形状ではなく、複雑な形状である場合の例を示す。
図30の(c)に示す例では、最長距離L1は、
図30の(b)に示す例と同様に、二次元直交座標系にてエリアArに外接する矩形Sqの対角線の長さに相当する。
【0349】
また、最長距離L1は、エリアに含まれる2以上のノード20のうち、互いに最も離れた2つのノード20間の距離であってもよい。この場合、最長距離L1は、これらの2つのノードの二次元座標を結ぶ線分の長さに相当する。以下では、最長距離L1は、エリアArの対角線の長さ、または二次元直交座標系にてエリアArに外接する矩形Sqの対角線の長さであることとする。
【0350】
また、ここでいう通信可能距離は、任意のノード20が他のノード20との間で確実に通信可能と考えられる距離の上限である。ここでは、通信可能距離は、任意のノード20と他のノード20との間に通信を妨げる障害物(例えば、壁または什器等)が存在しない場合に、これらノード20間で確実に通信可能と考えられる距離の上限である。
【0351】
ここで、実際には、例えば2つのノード20間に障害物が存在したり、使用する電波の周波数に応じて電波の回折性(回り込み易さ)が異なったり等するため、実際の2つのノード20間で確実に通信可能と考えられる距離は、通信環境に応じて上記の通信可能距離よりも短くなる。そこで、実施例5では、判定処理での最長距離L1との比較においては、上記の通信可能距離の代わりに、通信可能距離に係数を乗算して算出される基準距離を用いている。
【0352】
係数は、0よりも大きく1以下の実数であって、上記の通信環境を考慮してあらかじめ設定された定数である。係数は、一例として0.8である。なお、係数は定数に限らず、例えば使用する電波の周波数に応じて変化する変数であってもよい。この場合、係数は、例えば使用する電波の周波数が高い程大きくなり、使用する電波の周波数が低い程小さくなるように設定される。
【0353】
また、係数は、上述の最長距離L1の表し方に応じて変更されてもよい。つまり、最長距離L1がエリアArまたは矩形Sqの対角線の長さで表される場合と、最長距離L1が互いに最も離れた2つのノード20間の距離で表される場合とで、係数を互いに異ならせてもよい。
【0354】
判定処理においては、情報処理部34は、取得したエリア情報に基づいて、エリアごとに最長距離L1を算出する。そして、情報処理部34は、エリアごとに、算出した最長距離L1と基準距離とを比較することで、制約条件を満たすか否かを判定する。
【0355】
図29に示すように、対象となるエリアが制約条件を満たす場合(S113でYes)、つまり最長距離L1が基準距離以下である場合、情報処理部34は、当該エリアを下位メッシュネットワークに決定する(S114)。言い換えれば、情報処理部34は、判定処理において、エリアが制約条件を満たす場合、当該エリアを複数の第一メッシュネットワーク(下位メッシュネットワーク)のいずれか1つに決定する。ここで、「エリアを下位メッシュネットワークに決定する」とは、当該エリアに含まれる2以上のノード20を、当該エリアに対応する下位メッシュネットワークに所属させることをいう。
【0356】
一方、対象となるエリアが制約条件を満たさない場合(S113でNo)、つまり最長距離L1が基準距離を上回る場合、情報処理部34は、当該エリアを分割する分割処理を実行する(S115)。ここで、分割処理は、対象となるエリアを2以上のエリアに分割する処理である。分割処理により制約条件を満たさないエリアを分割することで、分割後のエリアにおける最長距離L1は、分割前のエリアにおける最長距離L1よりも短くなる。このため、分割後のエリアは制約条件を満たしやすくなり、制約条件を満たした場合は、分割後のエリアが下位メッシュネットワークに決定されることになる。
【0357】
以下、分割処理の例について列挙する。
図30の(a)に示す例では、情報処理部34は、分割処理において、制約条件を満たさないエリアArの長辺を二等分に分割している(一点鎖線を参照)。言い換えれば、情報処理部34は、エリアArを長手方向において二等分に分割している。また、
図30の(b)、(c)に示す例では、情報処理部34は、分割処理において、二次元直交座標系(XY座標系)にて制約条件を満たさないエリアArに外接する矩形Sqの長辺を二等分に分割するように、エリアArを分割している(一点鎖線を参照)。なお、
図30の(c)に示す例では、矩形Sqは正方形であるため、情報処理部34は、X軸方向に沿った辺を等分に分割してもよいし、Y軸方向に沿った辺を等分に分割してもよい。
【0358】
図31は、実施例5における分割処理の他の一例を示す図である。
図31は、エリアArが矩形状であって、かつ、最長距離L1が
図30に示す最長距離L1よりも長い場合を示す。このように、最長距離L1が比較的長い場合、エリアArを2つのエリアに分割するだけでは分割後のエリアの最長距離L1が基準距離以下とならない場合がある。このような場合、情報処理部34は、分割処理において、制約条件を満たさないエリアArの長辺、または矩形Sqの長辺を3つ以上に分割することで、エリアArを3つ以上に分割する。
図31に示す例では、情報処理部34は、エリアArの長辺を三等分に分割している(一点鎖線を参照)。分割処理において制約条件を満たさないエリアArを分割する数は、最長距離L1の長さに応じて適宜決定されてよい。
【0359】
図32は、実施例5における分割処理の更に他の一例を示す図である。
図32は、エリアArが複雑な形状であって、かつ、
図31と同様に最長距離L1が
図30に示す最長距離L1よりも長い場合を示す。
図32は、情報処理部34が、分割処理におけるエリアArの分割数は一定(ここでは、2分割)のまま、分割後のエリアが制約条件を満たすまで判定処理及び分割処理を繰り返す例を示す。
【0360】
すなわち、情報処理部34は、まず
図32の(a)に示すように、分割処理において、二次元直交座標系(XY座標系)にて制約条件を満たさないエリアArに外接する矩形Sqの長辺を二等分に分割するように、エリアArを分割する(縦方向の一点鎖線を参照)。これにより、
図32の(b)に示すように、エリアArは、エリアAr01と、エリアAr02との2つのエリアに分割される。
【0361】
ここで、情報処理部34は、分割後の2つのエリアAr01及びエリアAr02の各々について、更に判定処理を実行する。すなわち、情報処理部34は、エリアAr01の最長距離L01と、エリアAr02の最長距離L02と、を算出し、最長距離L01,L02の各々と基準距離とを比較する。エリアAr01の最長距離L01は、エリアAr01に外接する矩形Sq01の対角線の長さに相当する。エリアAr02の最長距離L02は、エリアAr02に外接する矩形Sq02の対角線の長さに相当する。
【0362】
図32に示す例では、エリアAr01の最長距離L01が基準距離を上回る一方、エリアAr02の最長距離L02が基準距離以下であることとする。この場合、情報処理部34は、エリアAr02を下位メッシュネットワークに決定し、エリアAr01については更に分割処理を実行する。すなわち、情報処理部34は、再度の分割処理において、エリアAr01に外接する矩形Sq01の長辺を二等分に分割するように、エリアAr01を分割する(横方向の一点鎖線を参照)。
【0363】
上述のように、情報処理部34は、分割処理において、最長距離L1の長さに応じて分割数を適宜変更することで、分割後のエリアが制約条件を満たすようにエリアを分割してもよい。また、情報処理部34は、分割後のエリアが制約条件を満たすまで、判定処理及び分割処理を繰り返してもよい。
図29に示すフローチャートでは、情報処理部34は、後者のアルゴリズムを実行している。
【0364】
その他、情報処理部34は、分割処理において、対象となるエリアまたは当該エリアに外接する矩形を等分に分割するのではなく、分割後のエリアの最長距離L1が基準距離となるように、当該エリアを分割してもよい。この場合、対象となるエリアを複数のエリアに分割すると、複数のエリアのうち少なくとも1以上のエリアの最長距離L1が基準距離または基準距離以下となる。なお、分割処理の実行後においても最長距離L1が基準距離を上回るエリアが存在する場合は、当該エリアについて同様の分割処理を再度実行すればよい。
【0365】
このように、情報処理部34は、分割処理において、対象となるエリアを分割する際には、等分に分割せずに、分割後の2以上のエリアの形状が互いに不揃いとなるように分割してもよい。
【0366】
ここで、
図28に示すエリア情報の一例に基づいて、情報処理部34が判定処理及び分割処理を実行した場合の結果について、
図33を用いて説明する。
図33は、実施例5におけるエリアと下位メッシュネットワークとの対応例を示す図である。
図33において、破線の枠は、当該枠に囲まれた2以上のノードが同じ下位メッシュネットワークに所属することを表している。
【0367】
図33に示す例では、エリアAr1~Ar4は、いずれも分割されることなく下位メッシュネットワークに決定されている。一方、エリアAr5は、分割処理によりエリアAr51、Ar52の2つのエリアに分割されている。また、エリアAr6は、分割処理によりエリアAr61、Ar62に分割されている。また、エリアAr7は、分割処理によりエリアAr71、Ar72に分割されている。そして、これらのエリアAr51、Ar52、Ar61、Ar62、Ar71、Ar72がそれぞれ下位メッシュネットワークに決定されている。
【0368】
以上説明したように、実施例5において、情報端末30(情報処理方法)は、複数のエリアを示すエリア情報を取得し、対象となるエリアが制約条件を満たすか否かを判定する。このような情報端末30(情報処理方法)は、設定者または空間の設計者等により設定されたエリアに基づいて、当該エリアが第一メッシュネットワーク(下位メッシュネットワーク)に適しているか否かを自動的に判定することができるので、設定者または空間の設計者等による判定が不要である。つまり、このような情報端末30(情報処理方法)は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0369】
また、実施例5では、情報端末30(情報処理方法)は、判定処理にて対象となるエリアが制約条件を満たしていれば当該エリアを下位メッシュネットワークに決定し、制約条件を満たしていなければ当該エリアを分割する分割処理を実行する。このような情報端末30(情報処理方法)は、分割後のエリアを含む複数のエリアをそれぞれ複数の下位メッシュネットワークに自動的に決定することができるので、設定者または空間の設計者等による作業が不要である。
【0370】
[実施例5の変形例]
実施例5では、制約条件は、対象となるエリアにおける最長距離L1がノード20間の通信可能距離に基づく基準距離以下であることを含んでいたが、これに限られない。例えば、制約条件は、対象となるエリアにおける2以上のノード20の数が基準数以下であることを更に含んでいてもよい。ここで、基準数は、例えば下位メッシュネットワークに所属可能なノード20の最大ノード数である。この場合、情報処理部34は、判定処理において、対象となるエリアにおける最長距離L1が基準距離以下であり、かつ、ノード20の数が基準数以下である場合にのみ、制約条件を満たすと判定する。一方、情報処理部34は、判定処理において、対象となるエリアにおける最長距離L1が基準距離以下であっても、ノード20の数が基準数を上回る場合は、制約条件を満たさないと判定し、当該エリアを分割する分割処理を実行する。
【0371】
また、実施例5において、情報処理部34は、複数の下位メッシュネットワークを決定した後に、複数のノード20間での実際の通信結果を用いて、少なくとも1以上の下位メッシュネットワークの再決定を実行してもよい。具体的には、情報処理部34は、複数の第一メッシュネットワーク(下位メッシュネットワーク)のいずれかでの通信状況が所定の条件を満たしていない場合、少なくとも通信状況が所定の条件を満たしていない第一メッシュネットワークに対応するエリアについて、上述の制約条件よりも厳しい制約条件を満たすように当該エリアを分割する分割処理を実行してもよい。
【0372】
ここで、下位メッシュネットワークにおいて通信状況が所定の条件を満たしていないとは、例えば管理ノードと他の下位メッシュネットワークに所属する管理ノードとの間の通信状態が途切れる等して比較的悪い状態にあること、または下位メッシュネットワークに所属するノード20が1つのみであること等をいう。このような場合、情報処理部34は、少なくとも通信状況が所定の条件を満たしていない下位メッシュネットワークに対応するエリアについて、再度の分割処理を実行する。このとき、情報処理部34は、上述の制約条件ではなく、例えば係数を小さくする等して上述の制約条件よりも厳しい制約条件を満たすように、当該エリアを分割する。
【0373】
なお、再度の分割処理は、通信状況が所定の条件を満たしていない下位メッシュネットワークに対応するエリアのみならず、全てのエリアに対して実行してもよい。また、再度の分割処理は、通信状況が所定の条件を満たしていない下位メッシュネットワークに対応するエリア、及び、当該エリアの周辺にあるエリアに対して実行してもよい。
【0374】
実施例5では、情報処理部34は、判定処理の実行結果に基づいて、制約条件を満たさないエリアを分割する分割処理を実行しているが、これに限られない。例えば、情報処理部34は、分割処理を実行せずに、判定処理の実行結果を表示部32に表示することで設定者に対して出力してもよい。この場合、設定者は、判定処理の実行結果を確認し、制約条件を満たしていないエリアを分割する等して修正する作業を行うことで、適切な下位メッシュネットワークを構築しやすくなる。
【0375】
[実施例5とその変形例のまとめ]
以上説明したように、情報端末30は、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理を実行する情報処理部34を備える。階層型メッシュネットワークは、複数の第一メッシュネットワークと、複数の第一メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される第二メッシュネットワークとを含む。情報処理部34は、複数のノード20が設置された空間において複数のノード20がそれぞれ2以上のノード20に区分けされた複数のエリアを示すエリア情報を取得する。情報処理部34は、エリアにおける最長距離L1がノード20間の通信可能距離に基づく基準距離以下であることを含む制約条件を満たすか否かを判定する判定処理を実行する。下位メッシュネットワークは、第一メッシュネットワークの一例であり、上位メッシュネットワークは、第二メッシュネットワークの一例である。
【0376】
このような情報端末30は、設定者または空間の設計者等により設定されたエリアに基づいて、当該エリアが下位メッシュネットワークに適しているか否かを自動的に判定することができるので、設定者または空間の設計者等による判定が不要である。つまり、このような情報端末30は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。また、このような情報端末30は、例えば設定者または空間の設計者等により設定されたエリア、つまり運用上の制御単位とメッシュネットワークとを同格に取り扱うことで、運用時に最小パケットによる通信が可能になる、という利点もある。
【0377】
また、例えば、情報処理部34は、判定処理において、エリアが制約条件を満たす場合、当該エリアを複数の下位メッシュネットワークのいずれか1つに決定し、エリアが制約条件を満たさない場合、当該エリアを分割する分割処理を実行する。また、情報処理部34は、制約条件を満たす分割したエリアを複数の下位メッシュネットワークのいずれか1つに決定する。
【0378】
このような情報端末30は、分割後のエリアを含む複数のエリアをそれぞれ複数の下位メッシュネットワークに自動的に決定することができるので、設定者または空間の設計者等による作業が不要である。
【0379】
また、例えば、情報処理部34は、分割処理において、制約条件を満たさないエリアを長手方向において等分に分割する。
【0380】
このような情報端末30は、エリアを等分に分割することで、複雑な構成の下位メッシュネットワークが構築されにくくなる。
【0381】
また、例えば、情報処理部34は、分割処理において、二次元直交座標系にて制約条件を満たさないエリアに外接する矩形の長辺を等分に分割するように、エリアを分割する。
【0382】
このような情報端末30は、エリアに外接する矩形を等分に分割することで、複雑な構成の下位メッシュネットワークが構築されにくくなる。
【0383】
また、例えば、最長距離L1は、エリアに含まれる2以上のノード20のうち、互いに最も離れた2つのノード20間の距離である。
【0384】
このような情報端末30は、判定処理において、エリアが制約条件を満たすか否かを判定しやすい。
【0385】
また、例えば、制約条件は、エリアにおける2以上のノード20の数が基準数以下であることを更に含む。
【0386】
このような情報端末30は、下位メッシュネットワークに所属可能なノード20の数を考慮することで、エリアが下位メッシュネットワークに適しているか否かを更に精度よく判定しやすい。
【0387】
また、例えば、情報処理部34は、複数の下位メッシュネットワークのいずれかでの通信状況が所定の条件を満たしていない場合、少なくとも通信状況が所定の条件を満たしていない下位メッシュネットワークに対応するエリアについて、制約条件よりも厳しい制約条件を満たすように当該エリアを分割する分割処理を実行する。
【0388】
このような情報端末30は、実際の通信状況に即して、分割後のエリアを含む複数のエリアをそれぞれ複数の下位メッシュネットワークに自動的に決定することができる。
【0389】
また、通信システム10は、上記の情報端末30と、複数のノード20と、を備える。
【0390】
このような通信システム10は、設定者または空間の設計者等により設定されたエリアに基づいて、当該エリアが下位メッシュネットワークに適しているか否かを自動的に判定することができるので、設定者または空間の設計者等による判定が不要である。つまり、このような通信システム10は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0391】
また、例えば、複数のノード20には、照明器具が含まれる。
【0392】
このような通信システム10は、照明器具の制御システムとして機能することができる。
【0393】
また、情報処理方法は、コンピュータによって実行される、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理方法である。階層型メッシュネットワークは、複数の下位メッシュネットワークと、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される上位メッシュネットワークとを含む。情報処理方法は、複数のノード20が設置された空間において複数のノード20がそれぞれ2以上のノード20に区分けされた複数のエリアに関するエリア情報を取得する。情報処理方法は、エリアにおける最長距離L1がノード20間の通信可能距離に基づく基準距離以下であることを含む制約条件を満たすか否かを判定する判定処理を実行する。
【0394】
このような情報処理方法では、設定者または空間の設計者等により設定されたエリアに基づいて、当該エリアが下位メッシュネットワークに適しているか否かを自動的に判定することができるので、設定者または空間の設計者等による判定が不要である。つまり、このような情報処理方法では、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0395】
また、プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の情報処理方法を実行させる。
【0396】
このようなプログラムは、設定者または空間の設計者等により設定されたエリアに基づいて、当該エリアが下位メッシュネットワークに適しているか否かを自動的に判定することができるので、設定者または空間の設計者等による判定が不要である。つまり、このようなプログラムは、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0397】
[実施例6]
実施例6では、複数の下位メッシュネットワークの各々について管理ノードを決定する方法について説明する。なお、実施例6では、全てのノード20が複数の下位メッシュネットワークのいずれかに所属しているものとして説明が行われる。また、実施例6では、「通信可能」とは、ノード20間において他のノード20を経由せずに直接的に通信可能であることをいう。
【0398】
図34は、実施例6における通信システム10の動作(つまり、情報処理方法)を示すフローチャートである。
図34の(a)は、情報端末30の動作を示すフローチャートである。
図34の(b)は、後述する第一管理ノードまたは第二管理ノードの動作を示すフローチャートである。
【0399】
図34の(a)に示すように、まず、情報端末30の操作受付部31にて設定者による所定の操作を受け付けると、情報端末30の情報処理部34は、複数のノード20のうちの複数の下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)のいずれか1つの下位メッシュネットワークの管理ノードである第一管理ノードを決定する(S121)。第一管理ノードは、以降の処理の起点となるノードであり、「スタートノード」ともいう。
【0400】
具体的には、設定者は、情報端末30の表示部32に表示される複数のノード20を見ながら、任意の下位メッシュネットワークのノード20を選択する操作を行う。情報端末30の情報処理部34は、当該操作により選択されたノード20を、第一管理ノードに決定する。
【0401】
なお、複数の下位メッシュネットワークのうちの空間の最も端に位置する下位メッシュネットワークに所属するノード20を、第一管理ノードに決定するのが好ましい。また、当該下位メッシュネットワークに所属する複数のノード20のうち、最も中心に近いノード20を第一管理ノードに決定するのが好ましい。その他、複数の下位メッシュネットワークのうちの空間の中心に最も近い下位メッシュネットワークであって、かつ、当該下位メッシュネットワークに所属する複数のノード20のうち、最も中心に近いノード20を第一管理ノードに決定してもよい。上述のように第一管理ノードを決定した場合、全ての下位メッシュネットワークについて管理ノードを決定する処理に要する時間の短縮化を図ることが期待できる。
【0402】
次に、情報端末30の情報処理部34は、第一管理ノードに決定したノード20に対して、起点決定情報を送信する(S122)。起点決定情報には、当該ノード20が管理ノードとして機能するために必要な情報が含まれる。また、起点決定情報には、当該ノード20に第一管理ノードとして後述する探索処理及び決定処理を実行させるための指令が含まれる。
【0403】
第一管理ノードに決定されたノード20が起点決定情報を取得することにより、当該ノード20は、以降、当該ノード20が所属する下位メッシュネットワークの管理ノードであって、かつ、第一管理ノードとして機能する。
【0404】
次に、第一管理ノードは、探索処理及び決定処理を実行する。探索処理及び決定処理は、管理ノード(第一管理ノード)であるノード20が有する情報処理部(図示せず)が実行する。情報処理部は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。情報処理部の機能は、情報処理部を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサなどのハードウェアが、管理ノードが有する記憶部(図示せず)に記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。探索処理及び決定処理は、ノード20が起点決定情報を取得して第一管理ノードとして機能するようになると、当該ノード20(第一管理ノード)が自動的に実行する。
【0405】
探索処理は、自身(ここでは、第一管理ノード)が所属する下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)とは異なる他の下位メッシュネットワークに所属し、かつ、通信可能な1以上のノード20を探索する処理である。ここでいう「ノードを探索する」とは、応答信号の返信を要求する要求信号をブロードキャスト送信することにより、応答信号を返信するノード20を探索することである。なお、探索処理を実行するノード20が所属する下位メッシュネットワークに隣接する1以上の下位メッシュネットワークが既知であるため、隣接する1以上の下位メッシュネットワークのネットワークIDを指定して、要求信号をマルチキャスト送信してもよい。また、管理ノードの候補があらかじめ決まっている場合であれば、当該候補のアドレス情報を指定して、要求信号をユニキャスト送信してもよい。応答信号には、要求信号を受信した場合に、受信した信号の電波の強度(例えば、RSSI値)を要求する指令が含まれる。
【0406】
要求信号を受信した他の下位メッシュネットワークに所属するノード20は、受信した要求信号の電波の強度が一定値以上であれば、当該電波の強度を示す情報を含む応答信号を、探索処理を実行する管理ノード(ここでは、第一管理ノード)に対して返信する。また、要求信号を受信したノード20は、受信した要求信号の電波の強度に依らず、探索処理を実行する管理ノードに対して応答信号を返信してもよい。
【0407】
決定処理は、探索処理で探索した1以上のノード20から、通信状態に基づいて他の下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)の管理ノードである第二管理ノードを決定する処理である。つまり、決定処理は、他の下位メッシュネットワークに所属し、かつ、探索処理を実行する管理ノードと通信可能な1以上のノード20のうち、当該管理ノードとの通信状態が良好であるノード20を、他の下位メッシュネットワークの管理ノード(第二管理ノード)に決定する処理である。
【0408】
ここで、通信状態とは、探索処理を実行する管理ノードと、探索処理で探索した1以上のノード20との間の通信の状態をいう。実施例6では、通信状態は、探索処理にて1以上のノード20の各々が受信した信号(要求信号)の電波の強度(ここでは、RSSI値)で表される。つまり、RSSI値が大きければ大きい程、通信状態が良く、RSSI値が小さければ小さい程、通信状態が悪いことになる。
【0409】
実施例6では、管理ノードの情報処理部は、決定処理において、基準RSSI値に最も近いRSSI値を返信してきたノード20を、他の下位メッシュネットワークの管理ノードに決定する。基準RSSI値は、管理ノードとノード20との間で確実に通信できるような通信性能を確保可能なRSSI値に、所定値を加算したRSSI値である。このように他の下位メッシュネットワークの管理ノードを決定することで、複数の管理ノードが互いに寄り過ぎてしまうのを防止することができる。
【0410】
なお、管理ノードの情報処理部は、決定処理において、例えば最も大きいRSSI値を返信してきたノード20を、他の下位メッシュネットワークの管理ノードに決定してもよい。また、管理ノードの情報処理部は、決定処理において、基準RSSI値以上のRSSI値を有するノード20のうち、他の下位メッシュネットワークの中心に最も近いノード20を管理ノードに決定してもよい。
【0411】
図34の(b)に示すように、探索処理において、第一管理ノードの情報処理部は、他の下位メッシュネットワークの1以上のノード20を探索する(S131)。そして、第一管理ノードの情報処理部は、探索した1以上のノード20から、通信状態に基づいて他の下位メッシュネットワークの管理ノード(第二管理ノード)を決定する(S132)。
【0412】
次に、第一管理ノードの情報処理部は、第二管理ノードに決定したノード20に対して、管理ノード決定情報を送信する(S133)。管理ノード決定情報には、当該ノード20が管理ノードとして機能するために必要な情報が含まれる。また、管理ノード決定情報には、当該ノード20に第二管理ノードとして探索処理及び決定処理を実行させるための指令が含まれる。
【0413】
第二管理ノードに決定されたノード20が管理ノード決定情報を取得することにより、当該ノード20は、以降、当該ノード20が所属する他の下位メッシュネットワークの管理ノードであって、かつ、第二管理ノードとして機能する。
【0414】
以下、決定処理により決定された第二管理ノードの情報処理部は、第一管理ノードと同様に、探索処理及び決定処理を実行する。つまり、第二管理ノードの情報処理部は、
図34の(b)に示すステップS131~S133を実行する。そして、全ての下位メッシュネットワークについて管理ノード(第一管理ノードまたは第二管理ノード)が決定されるまで、上記の一連の処理が繰り返される。
【0415】
ここで、管理ノードの情報処理部は、探索処理において、複数の他の下位メッシュネットワークを探索する場合がある。この場合、管理ノードの情報処理部は、決定処理において、他の下位メッシュネットワークごとに第二管理ノードを決定する。このように複数の第二管理ノードが決定された場合、所定の順番に従って、複数の第二管理ノードがそれぞれ探索処理を実行する。実施例6では、他の下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)が複数存在する場合、言い換えれば複数の第二管理ノードが決定された場合、第一管理ノードからのホップ数が小さい第二管理ノードから順に、探索処理を実行する。
【0416】
なお、複数の第二管理ノードが決定された場合に、例えば受信した要求信号の電波の強度が大きい第二管理ノードから順に、探索処理を実行してもよい。また、複数の第二管理ノードが決定された場合に、例えば応答信号を受信した時点が早い第二管理ノードから順に、探索処理を実行してもよい。
【0417】
図34の(a)に示すように、情報端末30の情報処理部34は、全ての下位メッシュネットワークについて管理ノードが決定されるまで(S123でNo)、待機する。なお、情報端末30の情報処理部34は、管理ノードが決定されるまでの間、進捗状況などを表示部32に表示してもよい。これにより、設定者は、管理ノードが決定されるまでの間に移動しつつ、進捗状況等を確認しながら作業することができる。
【0418】
そして、情報端末30の情報処理部34は、全ての下位メッシュネットワークについて管理ノードが決定されると(S123でYes)、管理ノードを示す登録情報を取得する(S124)。登録情報には、階層型メッシュネットワークに参入した全ての管理ノードの各々について、当該管理ノードのアドレス情報と、当該管理ノードが所属する下位メッシュネットワークのネットワークIDと、が含まれる。また、登録情報には、互いに通信可能な2以上の管理ノードの関係を示す情報が含まれる。
【0419】
情報端末30の情報処理部34は、各管理ノードから送信される登録情報を受信することにより、登録情報を取得する。各管理ノードが登録情報を送信するタイミングは、例えば各管理ノードが管理ノードとして動作を開始した時点である。つまり、ステップS124は、全ての下位メッシュネットワークについて管理ノードが決定される前に実行されてもよい。
【0420】
ここで、複数の下位メッシュネットワークの各々について管理ノードを決定する処理の具体例について、
図35~
図38を用いて説明する。
図35は、実施例6における探索処理及び決定処理の第一過程を示す図である。
図36は、実施例6における探索処理及び決定処理の第二過程を示す図である。
図37は、実施例6における探索処理及び決定処理の第三過程を示す図である。
図38は、実施例6における探索処理及び決定処理の第四過程を示す図である。
【0421】
図35~
図38は、いずれも複数のノード20が配置される空間の平面図に相当する。
図35~
図38においては、白抜きの丸印はノード20の位置を示しており、黒塗りの丸印は管理ノードの位置を示している。また、
図35~
図38においては、複数のノード20のそれぞれの二次元座標に、当該ノード20が所属する下位メッシュネットワークが対応付けられている。
図35~
図38に示す例では、各ノード20は、下位メッシュネットワークNw1~Nw8の8つの下位メッシュネットワークのいずれかに所属する。
【0422】
図35に示す第一過程では、情報端末30により、下位メッシュネットワークNw1のノードN21が第一管理ノードに決定されている。ノードN21は、探索処理及び決定処理を実行する。
図35において、ノードN21を囲む実線の丸印は、ノードN21が第一管理ノードであることを表している。
図35における実線の曲線は、ノードN21の通信可能な範囲と、通信不可能な範囲との境界を表している。したがって、
図35に示す第一過程では、下位メッシュネットワークNw2における実線の曲線よりもノードN21側に位置する1以上のノード20と、下位メッシュネットワークNw3における実線の曲線よりもノードN21側に位置する1以上のノード20と、がノードN21の探索処理により探索される。
【0423】
図35に示す第一過程では、ノードN21は、決定処理により、探索処理で探索した下位メッシュネットワークNw2に所属する1以上のノード20のうち、ノードN22を下位メッシュネットワークNw2の第二管理ノードに決定している。また、ノードN21は、探索処理で探索した下位メッシュネットワークNw3に所属する1以上のノード20のうち、ノードN23を下位メッシュネットワークNw3の第二管理ノードに決定している。
【0424】
図36に示す第二過程では、2つの第二管理ノード(ノードN22、及びノードN23)のうち、まずノードN22が探索処理を実行し、その後、ノードN23が探索処理を実行している。
図36において、ノードN22を囲む実線の丸印は、ノードN22が最初に探索処理を実行する第二管理ノードであることを表している。また、
図36における実線の曲線は、ノードN22の通信可能な範囲と、通信不可能な範囲との境界を表している。また、
図36において、ノードN23を囲む点線の丸印は、ノードN23が次に探索処理を実行する第二管理ノードであることを表している。また、
図36における点線の曲線は、ノードN23の通信可能な範囲と、通信不可能な範囲との境界を表している。
【0425】
図36に示す第二過程では、管理ノードが未決定である下位メッシュネットワークNw4、Nw5、Nw6の各々において、実線の曲線よりもノードN22側に位置する1以上のノード20がノードN22の探索処理により探索される。そして、
図36に示す第二過程では、ノードN22は、決定処理により、探索処理で探索した下位メッシュネットワークNw4に所属する1以上のノード20のうち、ノードN24を下位メッシュネットワークNw4の第二管理ノードに決定している。また、ノードN22は、決定処理により、探索処理で探索した下位メッシュネットワークNw5に所属する1以上のノード20のうち、ノードN25を下位メッシュネットワークNw5の第二管理ノードに決定している。また、ノードN22は、決定処理により、探索処理で探索した下位メッシュネットワークNw6に所属する1以上のノード20のうち、ノードN26を下位メッシュネットワークNw6の第二管理ノードに決定している。
【0426】
次に、ノードN23が探索処理を実行する。しかしながら、
図36に示す第二過程では、ノードN23は、管理ノードが未決定である下位メッシュネットワークに所属する1以上のノード20を探索することができない。したがって、ノードN23は、決定処理を実行しないことになる。
【0427】
図37に示す第三過程では、3つの第二管理ノード(ノードN24、ノードN25、及びノードN26)のうち、まずノードN25が探索処理を実行し、その後、ノードN26、ノードN24がこの順で探索処理を実行している。
図37において、ノードN25を囲む実線の丸印は、ノードN25が最初に探索処理を実行する第二管理ノードであることを表している。また、
図37における実線の曲線は、ノードN25の通信可能な範囲と、通信不可能な範囲との境界を表している。また、
図37において、ノードN26を囲む点線の丸印は、ノードN26が次に探索処理を実行する第二管理ノードであることを表している。また、
図37における点線の曲線は、ノードN26の通信可能な範囲と、通信不可能な範囲との境界を表している。また、
図37において、ノードN24を囲む一点鎖線の丸印は、ノードN24が最後に探索処理を実行する第二管理ノードであることを表している。また、
図37における一点鎖線の曲線は、ノードN24の通信可能な範囲と、通信不可能な範囲との境界を表している。
【0428】
図37に示す第三過程では、管理ノードが未決定である下位メッシュネットワークNw7において、実線の曲線よりもノードN25側に位置する1以上のノード20がノードN25の探索処理により探索される。そして、
図37に示す第三過程では、ノードN25は、決定処理により、探索処理で探索した下位メッシュネットワークNw7に所属する1以上のノード20のうち、ノードN27を下位メッシュネットワークNw7の第二管理ノードに決定している。
【0429】
次に、ノードN26、ノードN24がこの順で探索処理を実行する。しかしながら、
図37に示す第二過程では、ノードN26、ノードN24は、いずれも管理ノードが未決定である下位メッシュネットワークに所属する1以上のノード20を探索することができない。したがって、ノードN26、ノードN24は、いずれも決定処理を実行しないことになる。
【0430】
図38に示す第四過程では、第二管理ノードであるノードN27が探索処理を実行している。
図38において、ノードN27を囲む実線の丸印は、ノードN27が探索処理を実行する第二管理ノードであることを表している。また、
図38における実線の曲線は、ノードN27の通信可能な範囲と、通信不可能な範囲との境界を表している。
【0431】
図38に示す第四過程では、管理ノードが未決定である下位メッシュネットワークNw8において、実線の曲線よりもノードN27側に位置する1以上のノード20がノードN27の探索処理により探索される。そして、
図38に示す第四過程では、ノードN27は、決定処理により、探索処理で探索した下位メッシュネットワークNw8に所属する1以上のノード20のうち、ノードN28を下位メッシュネットワークNw8の第二管理ノードに決定している。以上の一連の処理により、全ての下位メッシュネットワークNw1~Nw8について、管理ノード(ノードN21~N28)が決定される。
【0432】
以上説明したように、実施例6において、通信システム10(情報処理方法)は、第一管理ノードによる探索処理及び決定処理と、第二管理ノードによる探索処理及び決定処理と、を実行する。
【0433】
このような通信システム10(情報処理方法)は、設定者が情報端末30に対して所定の操作を行うだけで、自動的に各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定することができ、設定者による各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定する手間が軽減される。つまり、このような通信システム10(情報処理方法)は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0434】
また、このような通信システム10(情報処理方法)は、実際にノード20間で通信を行いながら各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定するため、管理ノード間で通信できることを保証しやすい。
【0435】
[実施例6の変形例]
実施例6では、管理ノード(第一管理ノードまたは第二管理ノード)の情報処理部は、決定処理において、探索処理にて1以上のノード20の各々が受信した信号(要求信号)のRSSI値のみを通信状態として参照しているが、これに限られない。例えば、管理ノードの情報処理部は、管理ノードと、探索した1以上のノード20との間の距離から推定されるRSSI値を更に通信状態として参照してもよい。
【0436】
具体的には、決定処理では、1以上のノード20のうち、電波の強度(RSSI値)と、ノード間の距離から推定される電波の強度(RSSI値)との差分が所定値以上であるノード20を、第二管理ノードに決定しないようにしてもよい。ここで、ノード間の距離から推定されるRSSI値とは、ノード20が実際に受信した信号のRSSI値ではなく、管理ノードとノード20との間の距離から推定される、障害物等が存在しない場合の理想的なRSSI値に相当する。したがって、上記差分が所定値以上である場合は、管理ノードとノード20との間に障害物等が存在することで通信状態があまり良くないと考えられるため、このような通信状態が不適切なノード20を第二管理ノードの候補から除外することができる。
【0437】
また、例えば、管理ノードの情報処理部は、決定処理において、管理ノードと、探索した1以上のノード20との間の距離を、通信状態として参照してもよい。具体的には、通信状態は、管理ノードと1以上のノード20の各々との間の距離である。そして、決定処理では、1以上のノード20のうち上記距離がノード間の通信可能距離に基づく基準距離(実施例5を参照)に最も近いノード20を、第二管理ノードに決定してもよい。この場合、管理ノードとの通信状態が適切であるノード20を、第二管理ノードに決定することができる。
【0438】
また、実施例6において、第二管理ノードは、決定された時点では暫定的に第二管理ノードとして機能し、その後、条件を満たすことで正式に第二管理ノードとして決定されてもよい。以下、このような第二管理ノードの決定方法の第1例及び第2例について説明する。
【0439】
第1例では、第二管理ノードの決定後に、当該第二管理ノードが所属する下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)において当該第二管理ノードよりも通信状態のよいノード20が探索された場合、当該ノード20を当該下位メッシュネットワークの管理ノードに更新する。
【0440】
以下、具体例について
図36を用いて説明する。ここで、第1例では、実施例6とは異なり、第二管理ノードは、探索処理で探索した下位メッシュネットワークにおいて管理ノードが既に決定されているか否かを問わず、決定処理を実行することとする。
図36において、ノードN22が、決定処理によりノードN24を下位メッシュネットワークNw4の第二管理ノードに決定した後に、ノードN23が、探索処理及び決定処理を実行したとする。ここで、ノードN23が、決定処理により下位メッシュネットワークNw4の第二管理ノードとして、ノードN24以外のノード20を決定した、とする。この場合、当該ノード20の通信状態が、ノードN24の通信状態よりも良好である(例えば、RSSI値が大きい)場合、当該ノード20が下位メッシュネットワークNw4の第二管理ノードに更新されることになる。この場合、任意の下位メッシュネットワークにおいて、他の下位メッシュネットワークの管理ノードとの通信状態が適切であるノード20を、当該下位メッシュネットワークの管理ノードに決定することができる。
【0441】
第2例では、複数の下位メッシュネットワーク(第一メッシュネットワーク)のそれぞれに対応する複数の管理ノードを決定する(つまり、全ての下位メッシュネットワークの管理ノードを決定する)と、通信状態を含めて複数の管理ノードの決定結果を出力する。決定結果は、情報端末30の表示部32に出力されることで、設定者に提示されることになる。
【0442】
以下、具体例について
図39を用いて説明する。
図39は、実施例6の変形例における出力画面の一例を示す図である。
図39の出力画面においては、複数のノード20が配置される空間の平面図が表示されている。白抜きの丸印はノード20の位置を示しており、黒塗りの丸印は管理ノードの位置を示している。また、
図39の出力画面においては、矩形状の枠は、当該枠に囲まれた2以上のノード20が同じ下位メッシュネットワークに所属していることを示している。
【0443】
さらに、
図39の出力画面においては、双方向の矢印は管理ノード間の通信状態を示している。
図39に示す例では、実線の矢印は管理ノード間の通信状態が良好である(RSSI値が比較的大きい)ことを示し、破線の矢印は管理ノード間の通信状態が悪い(RSSI値が比較的小さい)ことを示している。なお、通信状態は、矢印の線種で示される他、矢印の濃淡等で示されてもよい。また、通信状態は、数値で示されてもよい。
【0444】
設定者は、出力画面に表示される決定結果を確認し、問題なければ各管理ノードを正式に決定する操作を行う。一方、設定者は、一部の管理ノード間の通信状態に問題があると判断した場合は、他のノード20を管理ノードに更新する操作を行う。このように、第2例では、設定者が、決定結果を確認しながら管理ノードを適宜変更することで、各管理ノード間の通信状態の最適化を図ることができる。
【0445】
なお、決定結果は、
図39に示すような平面図に限らず、例えば各管理ノード間のRSSI値を示すマトリクス表として、情報端末30の表示部32に表示されてもよい。
【0446】
また、実施例6では、第一管理ノード及び第二管理ノードは、いずれも自律的に探索処理及び決定処理を実行しているが、これに限られない。例えば、第一管理ノード及び第二管理ノードは、いずれも情報端末30からの指令に従って探索処理及び決定処理を実行してもよい。
【0447】
[実施例6とその変形例のまとめ]
以上説明したように、情報処理方法は、コンピュータによって実行される、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理方法である。階層型メッシュネットワークは、複数の第一メッシュネットワークと、複数の第一メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される第二メッシュネットワークとを含む。情報処理方法は、複数のノード20のうち複数の第一メッシュネットワークのうちのいずれか1つの第一メッシュネットワークの管理ノードである第一管理ノードに、探索処理と、決定処理と、を実行させる。探索処理は、当該第一メッシュネットワークとは異なる他の第一メッシュネットワークに所属し、かつ、通信可能な1以上のノード20を探索する処理である。決定処理は、探索した1以上のノード20から、通信状態に基づいて他の第一メッシュネットワークの管理ノードである第二管理ノードを決定する処理である。情報処理方法は、第二管理ノードに、探索処理及び決定処理を実行させる。下位メッシュネットワークは、第一メッシュネットワークの一例であり、上位メッシュネットワークは、第二メッシュネットワークの一例である。
【0448】
このような情報処理方法では、設定者が情報端末30に対して所定の操作を行うだけで、自動的に各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定することができ、設定者による各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定する手間が軽減される。つまり、このような情報処理方法では、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0449】
また、例えば、通信状態は、探索処理にて1以上のノード20の各々が受信した信号の電波の強度である。
【0450】
このような情報処理方法では、探索処理を実行する管理ノードとの通信状態が適切であるノード20を、他の下位メッシュネットワークの第二管理ノードに決定することができる。
【0451】
また、例えば、決定処理では、1以上のノード20のうち、電波の強度と、ノード20間の距離から推定される電波の強度との差分が所定値以上であるノードを、第二管理ノードに決定しない。
【0452】
このような情報処理方法では、例えば障害物が存在する等して、探索処理を実行する管理ノードとの通信状態が不適切であるノード20を、他の下位メッシュネットワークの第二管理ノードの候補から除外することができる。
【0453】
また、例えば、通信状態は、1以上のノード20の各々との間の距離である。決定処理では、1以上のノード20のうち上記距離がノード20間の通信可能距離に基づく基準距離に最も近いノード20を、第二管理ノードに決定する。
【0454】
このような情報処理方法では、探索処理を実行する管理ノードとの通信状態が適切であるノード20を、他の下位メッシュネットワークの第二管理ノードに決定することができる。
【0455】
また、例えば、他の下位メッシュネットワークが複数存在する場合、第一管理ノードからのホップ数が小さい第二管理ノードから順に、探索処理を実行させる。
【0456】
このような情報処理方法では、全ての下位メッシュネットワークについて管理ノードを決定する処理を効率よく行いやすい。
【0457】
また、例えば、第二管理ノードの決定後に、当該第二管理ノードが所属する下位メッシュネットワークにおいて当該第二管理ノードよりも通信状態のよいノード20が探索された場合、当該ノード20を当該下位メッシュネットワークの管理ノードに更新する。
【0458】
このような情報処理方法では、任意の下位メッシュネットワークにおいて、他の下位メッシュネットワークの管理ノードとの通信状態が適切であるノード20を、当該下位メッシュネットワークの管理ノードに決定することができる。
【0459】
また、例えば、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれに対応する複数の管理ノードを決定すると、通信状態を含めて複数の管理ノードの決定結果を出力する。ここでの決定結果を出力するとは、決定結果を提示(表示)すること、及び、決定結果をデータ出力することの両方を含む意味である。
【0460】
このような情報処理方法では、例えば設定者が、決定結果を確認しながら管理ノードを適宜変更することで、各管理ノード間の通信状態の最適化を図ることができる。
【0461】
また、プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の情報処理方法を実行させる。
【0462】
このようなプログラムは、設定者が情報端末30に対して所定の操作を行うだけで、自動的に各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定することができ、設定者による各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定する手間が軽減される。つまり、このようなプログラムは、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0463】
また、通信システム10は、階層型メッシュネットワークを構築するための情報処理を実行する情報処理部34を備える情報端末30と、複数のノード20と、を備える。階層型メッシュネットワークは、複数の下位メッシュネットワークと、複数の下位メッシュネットワークのそれぞれに所属する管理ノードによって構成される上位メッシュネットワークとを含む。情報処理部34は、複数のノード20のうちの複数の下位メッシュネットワークのうちのいずれか1つの下位メッシュネットワークの管理ノードである第一管理ノードを決定する。複数のノード20のうちの第一管理ノードは、探索処理と、決定処理と、を実行する。探索処理は、当該下位メッシュネットワークとは異なる他の下位メッシュネットワークに所属し、かつ、通信可能な1以上のノード20を探索する処理である。決定処理は、探索した1以上のノード20から、通信状態に基づいて他の下位メッシュネットワークの管理ノードである第二管理ノードを決定する処理である。複数のノード20のうちの第二管理ノードは、探索処理及び決定処理を実行する。
【0464】
このような通信システム10は、設定者が情報端末30に対して所定の操作を行うだけで、自動的に各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定することができ、設定者による各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定する手間が軽減される。つまり、このような通信システム10は、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0465】
また、例えば、複数のノード20には、照明器具が含まれる。
【0466】
このような通信システム10は、照明器具の制御システムとして機能することができる。
【0467】
また、ノード20は、上記の通信システム10に用いられるノードであって、第一管理ノード又は第二管理ノードである場合に、探索処理及び決定処理を実行する。
【0468】
このようなノード20では、設定者が情報端末30に対して所定の操作を行うだけで、自動的に各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定することができ、設定者による各下位メッシュネットワークの管理ノードを決定する手間が軽減される。つまり、このようなノード20では、階層型メッシュネットワークを構築するための設定作業を支援することができる。
【0469】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0470】
上記実施の形態の実施例1~実施例6は、独立した実施例としてではなく、相互に関連する実施例として認識されるべきであり、本発明には、実施例1~実施例6に記載された内容を任意に組み合わせて実現することができる発明が含まれる。例えば、実施例1に記載された下位メッシュネットワーク及び管理ノードの表示に関連する処理(管理ノードを表示画面上で強調表示する処理など)は、実施例2~6と組み合わされてもよい。
【0471】
また、本発明は、上記実施の形態で説明した、下位メッシュネットワークの決定方法、及び、管理ノードの決定方法の一部のみを実行する情報端末として実現されてもよい。この場合、上記実施の形態で説明した、下位メッシュネットワークの決定方法、及び、管理ノードの決定方法は、どのように組み合わされてもよい。
【0472】
また、本発明は、上記実施の形態で説明した、下位メッシュネットワークの決定方法、及び、管理ノードの決定方法の全部を実行する情報端末として実現されてもよい。この場合、どのような下位メッシュネットワークの決定方法、及び、管理ノードの決定方法を採用するかは、例えば、設定者の操作によって決定される。
【0473】
また、複数の下位メッシュネットワークの決定方法のそれぞれに優先順位が定められ、情報端末は、決定した下位メッシュネットワークが所定の要件を満足するまで、優先順位にしたがって下位メッシュネットワークの決定方法を順次実行してもよい。同様に、複数の管理ノードの決定方法のそれぞれに優先順位が定められ、情報端末は、決定した管理ノードが所定の要件を満足するまで、優先順位にしたがって管理ノードの決定方法を順次実行してもよい。この場合、優先順位は、例えば、設定者の操作によって決定されるが、設計者によってあらかじめ定められていてもよい。
【0474】
また、上記実施の形態では、1つの下位メッシュネットワークに管理ノードが1つだけ含まれることを前提とした通信システムについて説明したが、1つの下位メッシュネットワークに複数の管理ノードが含まれてもよい。
【0475】
また、上記実施の形態では、メッシュネットワークに参入する前のノードは、定期的にビーコン信号を送信すると説明された。しかしながら、通信システムには、情報端末からの無線通信信号を受信したノードのみがビーコン信号に相当する信号を送信する構成が採用されてもよい。つまり、通信システムは、ノードがビーコン信号を自動的に送信するシステムに限定されない。
【0476】
また、上記実施の形態では、階層型メッシュネットワークを構築するために1台の情報端末が使用されたが、複数台の情報端末が併用されてもよい。
【0477】
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法は、一例である。装置間の通信方法については特に限定されるものではない。
【0478】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、上記実施の形態のフローチャートに含まれる処理の一部が省略されてもよいし、上記実施の形態のフローチャートに新たな処理が追加されてもよい。
【0479】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0480】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。各構成要素は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのロジック回路によって実現されてもよい。
【0481】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0482】
例えば、本発明は、上記実施の形態の通信システムまたは情報端末として実現されてもよいし、情報端末などのコンピュータが実行する情報処理方法として実現されてもよい。本発明は、このような情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録された非一時的な記録媒体として実現されてもよい。このようなプログラムには、汎用の情報端末などのコンピュータを、上記実施の形態の情報端末として機能させるためのアプリケーションプログラムが含まれる。
【0483】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0484】
10 通信システム
20 ノード
21 無線通信部
30 情報端末
31 操作受付部
32 表示部
33 無線通信部
34 情報処理部
35 記憶部