(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150753
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20231005BHJP
F28F 1/32 20060101ALI20231005BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F25D21/04 D
F28F1/32 F
F28F1/32 V
F25B39/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060011
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】森 治
(72)【発明者】
【氏名】望月 修
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 拓也
(57)【要約】
【課題】蒸発器における冷却効率を充分に確保しつつ、着霜による風路の閉塞を抑止できる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】貯蔵室である冷蔵室12と、貯蔵室に送風される空気が収納される冷却室115と、冷却室115の内部の空気を冷却する蒸発器162と、を具備する。蒸発器162は、幅方向に沿って複数が配置された放熱フィン28と、複数の放熱フィン28を通過するように配置された伝熱管29と、を有する。更に、蒸発器162の前後方向において、複数の放熱フィン28が配置される密度を異ならせる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室に送風される空気が収納される冷却室と、
前記冷却室の内部の前記空気を冷却する蒸発器と、を具備し、
前記蒸発器は、幅方向に沿って複数配置される放熱フィンと、複数の前記放熱フィンを通過するように配置される伝熱管と、を有し、
前記蒸発器の前後方向において、複数の前記放熱フィンが配置される密度は異なることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記放熱フィンは、前記蒸発器の前方部分または後方部分において、前記蒸発器の前後方向における中央部分よりも疎に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記放熱フィンは、第1放熱フィンと、前記第1放熱フィンよりも上下方向の長さが短い第2放熱フィンとを有し、
前記第2放熱フィンは、前記第1放熱フィンどうしの間に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記放熱フィンは、前記第1放熱フィンよりも前後方向の幅が短い第3放熱フィンを更に有し、
前記第3放熱フィンは、前記第1放熱フィンどうしの間に配置されることを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第2放熱フィンは、前記第3放熱フィンよりも前後方向の幅が長くされることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、蒸発器を有する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な冷蔵庫では、冷凍サイクルの蒸発器で冷却した空気を各貯蔵室に送風することで、各貯蔵室を所望の冷蔵温度帯域または冷凍温度帯域に冷却している。冷凍サイクルを用いた冷却を続けると、蒸発器に着霜が生じる。蒸発器の霜が成長すると、蒸発器と空気との間の伝熱および送風が妨げられる。このことから、冷蔵庫の運転においては、蒸発器に着いた霜を除霜する除霜運転を定期的に実行する。
【0003】
一般的な除霜運転では、蒸発器の下方に配置した除霜ヒータに通電することで発熱させて、蒸発器で成長した霜を溶融し、除去する。ここで蒸発器としては、例えば特許文献1に記載されているような、フィンアンドチューブ型のものが採用される。
【0004】
また、除霜運転の頻度を少なくするべく着霜を低減する発明が特許文献2に記載されている。具体的には、特許文献2では、蒸発器の奥側にバイパス風路を形成し、冷蔵庫の運転時にバイパス風路を冷気が流れることで、着霜による風路の閉塞を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-52747号公報
【特許文献2】特開2014-134340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した各特許文献に記載された発明では、除霜を抑制しつつ蒸発器による冷却効率を向上させる観点から改善の余地があった。
【0007】
具体的には、特許文献2による発明では、バイパス風路により着霜による風路の閉塞を抑制していたが、バイパス風路を冷気が通過することにより、蒸発器と冷気との熱交換が充分に成されず、冷却効率が低下してしまう恐れがある。
【0008】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蒸発器における冷却効率を充分に確保しつつ、着霜による風路の閉塞を抑止できる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室に送風される空気が収納される冷却室と、前記冷却室の内部の前記空気を冷却する蒸発器と、を具備し、前記蒸発器は、幅方向に沿って複数配置される放熱フィンと、複数の前記放熱フィンを通過するように配置される伝熱管と、を有し、前記蒸発器の前後方向において、複数の前記放熱フィンが配置される密度は異なることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の冷蔵庫では、前記放熱フィンは、前記蒸発器の前方部分または後方部分において、前記蒸発器の前後方向における中央部分よりも疎に配置されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、前記放熱フィンは、第1放熱フィンと、前記第1放熱フィンよりも上下方向の長さが短い第2放熱フィンとを有し、前記第2放熱フィンは、前記第1放熱フィンどうしの間に配置されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫では、前記放熱フィンは、前記第1放熱フィンよりも前後方向の幅が短い第3放熱フィンを更に有し、前記第3放熱フィンは、前記第1放熱フィンどうしの間に配置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、前記第2放熱フィンは、前記第3放熱フィンよりも前後方向の幅が長くされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室に送風される空気が収納される冷却室と、前記冷却室の内部の前記空気を冷却する蒸発器と、を具備し、前記蒸発器は、幅方向に沿って複数配置される放熱フィンと、複数の前記放熱フィンを通過するように配置される伝熱管と、を有し、前記蒸発器の前後方向において、複数の前記放熱フィンが配置される密度は異なることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、蒸発器における冷却効率を充分に確保しつつ、着霜による風路の閉塞を抑止できる冷蔵庫を提供できる。具体的には、蒸発器の内部に冷気が上方に向かって抜けるための風路を確保でき、霜により風路が閉塞されるまでの時間を長くすることができる。よって、冷蔵庫を運転する際に、除霜工程の頻度を少なくし、冷蔵庫の運転に要するエネルギを低減できる。更には、蒸発器の冷却能力を向上でき、これにより蒸発器そのものを小型化できる。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫では、前記放熱フィンは、前記蒸発器の前方部分または後方部分において、前記蒸発器の前後方向における中央部分よりも疎に配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、蒸発器の前方側または後方側において、放熱フィンが疎に配設される領域を形成し、かかる領域において霜詰まりを抑制できる。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫では、前記放熱フィンは、第1放熱フィンと、前記第1放熱フィンよりも上下方向の長さが短い第2放熱フィンとを有し、前記第2放熱フィンは、前記第1放熱フィンどうしの間に配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、第2放熱フィンが配置された部分において、蒸発器の下方側に、放熱フィンが疎である領域を形成でき、これらの領域で霜詰まりを抑制できる。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、前記放熱フィンは、前記第1放熱フィンよりも前後方向の幅が短い第3放熱フィンを更に有し、前記第3放熱フィンは、前記第1放熱フィンどうしの間に配置されることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、第3放熱フィンが配置された部分において、蒸発器の前方側または後方側に、放熱フィンが疎である領域を形成でき、これらの領域で霜詰まりを抑制できる。具体的には、第1放熱フィン、第2放熱フィンおよび第3放熱フィンを組み合わせることにより、蒸発器において、放熱フィンが密に配置される領域と、放熱フィンが疎に配置される領域を容易に形成できる。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫では、前記第2放熱フィンは、前記第3放熱フィンよりも前後方向の幅が長くされることを特徴とする。本発明の冷蔵庫によれば、第2放熱フィンを前後方向に長くすることにより、蒸発器における熱交換の効率を大きく確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を、前方右側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を全体的に示す側方断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の蒸発器を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の蒸発器の放熱フィンを示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る蒸発器に含まれる放熱フィンユニット示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の蒸発器を示す正面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の蒸発器を示す上面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の蒸発器を示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。更に、以下の説明では、上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右を示している。また、本実施形態では、冷蔵庫10として冷凍室および冷蔵室を有するものを例示するが、冷蔵庫10としては、冷凍室のみを有するもの、または、冷蔵室のみを有するものも採用できる。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を、前方左側から見た斜視図である。冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室とを有している。貯蔵室として、上方側から、冷蔵室12および冷凍室13を有している。冷蔵室12の前方開口は、上段部分が断熱扉18で閉鎖され、下段部分が断熱扉19で閉鎖されている。冷凍室13の前方開口は、上段部分が断熱扉20で閉鎖され、下段部分が断熱扉21で閉鎖されている。断熱扉18は回転式の扉であり、断熱扉19、断熱扉20および断熱扉21は引出式の扉である。
【0022】
図2は、冷蔵庫10を全体的に示す側方断面図である。断熱箱体11は、所定形状に曲折加工された鋼板からなる外箱111と、外箱111と離間した内側に配置された合成樹脂板から成る内箱112と、外箱111と内箱112との間に充填された断熱材113とから構成されている。
【0023】
冷凍室13の奥側には、冷却室115が形成されており、冷凍室13と冷却室115とは区画板17で区画されている。冷却室115の内部には、冷却器である蒸発器162が配設されている。冷蔵庫10の下端側後方には機械室14が区画形成され、機械室14には圧縮機161が配置されている。蒸発器162および圧縮機161は、冷媒圧縮式の冷凍サイクル16を形成している。具体的には、冷凍サイクル16は、圧縮機161、図示しない凝縮器、図示しない膨張手段および蒸発器162を備えている。
【0024】
冷凍サイクル16を運転することで、蒸発器162により冷却室115の内部の空気を冷却し、この冷気を送風機27が各貯蔵室に送風し、各貯蔵室の庫内温度を所定の冷却温度帯域とする。具体的には、冷蔵室12を冷蔵温度帯域に冷却し、冷凍室13を冷凍温度帯域に冷却する。冷凍サイクル16を構成する各構成機器は、銅管などの金属管から成る冷媒配管により相互に接続されている。
【0025】
冷却室115の内部において、蒸発器162の上方側には送風機27が配置されている。送風機27は、軸流送風機または遠心送風機であり、蒸発器162が冷却した冷却室115の内部の冷気を、冷蔵室12および冷凍室13に向けて送風する。
【0026】
冷却室115の内部であって、蒸発器162の下方には、除霜用加熱部117が配置される。除霜用加熱部117は、除霜運転時に通電することで発熱する加熱ヒータである。
【0027】
冷却室115から上方に向かって送風路118が形成されている。送風路118には、冷気を冷蔵室12に吹き出すための開口が形成されている。冷蔵室12を冷却した冷気は、ここでは図示しない帰還風路を経由して冷却室115に帰還し、これにより冷蔵室12は所定の冷蔵温度帯域に冷却される。
【0028】
送風された冷気の一部は、区画板17の上部に形成された開口を介して冷凍室13に送風され、冷凍室13を冷却した冷気は、区画板17の下部に形成された開口から冷却室115に帰還する。これにより、冷凍室13は所定の冷凍温度帯域に冷却される。
【0029】
冷凍サイクル16による冷蔵室12および冷凍室13の冷却を継続すると、蒸発器162に多くの着霜が生じて蒸発器162の伝熱および気流を阻害するので、定期的に蒸発器162の除霜運転を行う。除霜運転では、圧縮機161を停止することで冷凍サイクル16による冷蔵室12および冷凍室13の冷却を停止し、送風機27による送風を停止し、除霜用加熱部117により冷却室115の内部の空気を加熱することで、蒸発器162を除霜する。除霜運転が終了した後は、前述した冷蔵室12および冷凍室13の冷却動作を再開する。
【0030】
【0031】
蒸発器162は、前述した冷却室115の内部に配置されたフィンアンドチューブ型のものである。具体的には、蒸発器162は、伝熱管29と放熱フィン28とを有し、放熱フィン28に形成された開口を伝熱管29が貫通している。
【0032】
伝熱管29は、熱伝導性に優れた銅またはアルミニウムから成る導管であり、上下方向に沿って蛇行形成されている。
【0033】
放熱フィン28は、熱伝導率が大きい銅またはアルミニウムから成る金属板であり、左右方向に沿って略等間隔に複数が配設されている。伝熱管29の内部を低温冷媒が流通することで、伝熱管29および放熱フィン28が、冷却室115の内部の空気と熱交換する。これにより、冷却室115の内部の空気が冷却される。
【0034】
蒸発器162の上側左方の端部にはアキュムレータ30が配置されている。アキュムレータ30は伝熱管29の途中部分に介装され、液状の冷媒を貯留することができ、前述した圧縮機161にて液圧縮が発生することを防止する。
【0035】
蒸発器162の左右両端には、夫々、エンドプレート31が配設される。エンドプレート31には、伝熱管29の左右方向における端部が接続され、これにより放熱フィン28および伝熱管29の相対位置を固定することができる。
【0036】
図4は、蒸発器162の放熱フィン28を抜き出して示す斜視図である。
【0037】
本実施形態では、蒸発器162の前後方向において、複数の放熱フィン28が配置される密度が異なるように配置される。即ち、放熱フィン28は、左右方向において略等間隔に配置されるが、前後方向の幅や上下方向の長さが異なる放熱フィン28を組み合わせることより、実質的に、放熱フィン28が配置される密度が異なる。
【0038】
具体的には、放熱フィン28は、第1放熱フィン281、第2放熱フィン282および第3放熱フィン283を有する。第1放熱フィン281、第2放熱フィン282および第3放熱フィン283は、夫々、前後方向および上下方向における長さが異なる。
【0039】
ここでは、左側から、第1放熱フィン281、第3放熱フィン283、第2放熱フィン282、第3放熱フィン283、第2放熱フィン282、第3放熱フィン283および第1放熱フィン281が左右方向に関して略等間隔に配列されている。また、これらの第1放熱フィン281、第2放熱フィン282および第3放熱フィン283の組み合わせを、一つの放熱フィンユニット284と見做した場合、放熱フィン28は、複数の放熱フィンユニット284から構成される。
【0040】
図5は、一つの放熱フィンユニット284を示す斜視図である。前述したように、放熱フィンユニット284は、第1放熱フィン281、第2放熱フィン282および第3放熱フィン283を有している。具体的には、2つの第1放熱フィン281が、左右方向における両端部に配置される。また、第1放熱フィン281どうしの間に、3つの第3放熱フィン283が配設される。更に、第3放熱フィン283どうしの間に2つの第2放熱フィン282が配設される。第1放熱フィン281、第2放熱フィン282および第3放熱フィン283は、略等間隔に配置される。
【0041】
第1放熱フィン281、第2放熱フィン282および第3放熱フィン283は、前後方向および上下方向における長さが互いに異なる。具体的には、第1放熱フィン281の上下方向における長さをL11とし、第1放熱フィン281の前後方向における長さをL12とする。また、第2放熱フィン282の上下方向における長さをL21とし、第2放熱フィン282の前後方向における長さをL22とする。更に、第3放熱フィン283の上下方向における長さをL31とし、第3放熱フィン283の前後方向における長さをL32とする。
【0042】
また、上下方向において、第1放熱フィン281の上端、第2放熱フィン282の上端および第3放熱フィン283の上端は、略同一の高さとされている。第3放熱フィン283の下端は、第1放熱フィン281の下端よりも上方に配置されている。第2放熱フィン282の下端は、第3放熱フィン283の下端よりも上方に配置されている。
【0043】
前後方向において、第1放熱フィン281の前端および後端は、第2放熱フィン282の前端および後端と略同一の位置に配置されている。また、第3放熱フィン283の前端は、第1放熱フィン281および第2放熱フィン282の前端よりも後方に配置される。更に、第3放熱フィン283の後端は、第1放熱フィン281および第2放熱フィン282の後端よりも前方に配置される。即ち、第3放熱フィン283の前端および後端は、前後方向において内側に配置される。
【0044】
本実施形態では、前後方向において、第3放熱フィン283のL32を、第1放熱フィン281のL12、および、第2放熱フィン282のL22よりも短くしている。また、第1放熱フィン281のL12と、第2放熱フィン282のL22とは、同等の長さである。このようにすることで、放熱フィン28の前端側および後端側において、放熱フィン28の密度を疎にすることができる。
【0045】
更に、上下方向において、第3放熱フィン283のL31は、第1放熱フィン281のL11よりも短い。また、第2放熱フィン282のL21は、第3放熱フィン283のL31よりも短い。このようにすることで、後述するように、蒸発器162の下方部分に、放熱フィン28が疎である領域を形成でき、これらの領域で霜詰まりを抑制できる。
【0046】
換言すると、前後方向および上下方向に寸法が異なる、第1放熱フィン281、第2放熱フィン282および第3放熱フィン283を組み合わせることにより、蒸発器162において、放熱フィン28が密に配置される領域と、放熱フィン28が疎に配置される領域を容易に形成できる。係る事項は、
図6および
図7を参照して後述する。
【0047】
【0048】
放熱フィン28を正面から見た場合、放熱フィン28は、下方から、第1領域321、第2領域322および第3領域323を有する。
【0049】
第1領域321は、第1放熱フィン281のみが存在する領域であり、放熱フィン28が最も疎に形成される領域である。
【0050】
第2領域322は、第1放熱フィン281および第3放熱フィン283が存在する領域であり、放熱フィン28が中間的に疎とされる領域である。
【0051】
第3領域323は、第1放熱フィン281、第2放熱フィン282および第3放熱フィン283が存在する領域であり、放熱フィン28が密に配置される領域である。
【0052】
このように、放熱フィン28において、下方から、第1領域321、第2領域322および第3領域323を形成することにより、冷蔵庫10の運転時において放熱フィン28が霜詰まりすることを抑制できる。ここで、霜詰まりとは、放熱フィン28に着霜が発生することより、放熱フィン28における気流が阻害されることである。
【0053】
第1領域321および第2領域322において、放熱フィン28が疎に配置されることにより、これらの領域に着霜が生じた場合でも、着霜が気流を阻害することが抑制されている。この理由は、例えば、第1領域321において、第1放熱フィン281どうしの間隙が長いことから、この間隙が霜により埋め尽くされるには、長い運転時間を要するからである。同様に、第2領域322においても、第1放熱フィン281および第3放熱フィン283が比較的に疎に配置されることで、霜詰まりが抑制されている。
【0054】
換言すると、放熱フィン28への着霜が進行した場合、第3領域323で霜詰まりが発生した場合であっても、第2領域322および第1領域321では霜詰まりは発生せず、放熱フィン28全体としては、伝熱および送風が阻害されない。また、放熱フィン28への着霜が更に進行した場合であっても、第3領域323および第2領域322で霜詰まりは発生するが、第1領域321における霜詰まりは抑制され、伝熱および送風を一定以上確保できる。
【0055】
図7は、蒸発器162およびその近傍を示す上面図である。ここでは、蒸発器162に関しては、放熱フィン28のみを示しており、伝熱管29等は示していない。
【0056】
蒸発器162を上方から見た場合、放熱フィン28は、第4領域324、第5領域325および第6領域326を有する。
【0057】
第4領域324は、蒸発器162の前方部分に形成された領域であり、第1放熱フィン281および第2放熱フィン282のみが配置され、且つ第3放熱フィン283が配置されないことにより、放熱フィン28が疎に形成される領域である。係る構成により、蒸発器162の前方部分である第4領域324では、霜詰まりの発生が抑止される。
【0058】
第5領域325は、前後方向における蒸発器162の中央部分に形成された領域であり、第1放熱フィン281、第2放熱フィン282および第3放熱フィン283が配置されることにより、放熱フィン28が密に形成される領域である。係る構成により、第5領域325では、放熱フィン28と空気との熱交換が促進され、空気を効果的に冷却できる。
【0059】
第6領域326は、蒸発器162の後方部分に形成された領域であり、第1放熱フィン281および第2放熱フィン282のみが配置され、且つ第3放熱フィン283が配置されないことにより、放熱フィン28が疎に形成される領域である。係る構成により、蒸発器162の後方部分である第6領域326では、霜詰まりの発生が抑止される。
【0060】
図8は、蒸発器162およびその近傍を示す側方断面図である。
【0061】
前述したように、蒸発器162は、前方側から第4領域324、第5領域325および第6領域326を有する。
【0062】
第4領域324では、放熱フィン28が疎に配置されることで、蒸発器162に着霜が進行した場合であっても、霜詰まりが抑制されている。よって、第4領域324と区画板17との間を、空気が良好に流通することができる。
【0063】
同様に、第6領域326でも、放熱フィン28が疎に配置されることで、蒸発器162に着霜が進行した場合であっても、霜詰まりが抑制されている。よって、第6領域326と内箱112との間を、空気が良好に流通することができる。
【0064】
上記のことから、冷却室115の内部において空気を冷却することにより、蒸発器162への着霜が進行した場合であっても、第4領域324および第6領域326における霜詰まりが抑制されている。よって、冷蔵庫10を運転する際に、除霜工程の頻度を少なくし、冷蔵庫10の運転に要するエネルギを低減できる。
【0065】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0066】
例えば、
図7を参照して、蒸発器162の前方部分に第4領域324が形成され、蒸発器162の後方部分に第6領域326が形成されたが、第4領域324および第6領域326の何れか一方のみを形成することもできる。
【符号の説明】
【0067】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
111 外箱
112 内箱
113 断熱材
115 冷却室
117 除霜用加熱部
118 送風路
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 機械室
16 冷凍サイクル
161 圧縮機
162 蒸発器
17 区画板
18 断熱扉
19 断熱扉
20 断熱扉
21 断熱扉
27 送風機
28 放熱フィン
281 第1放熱フィン
282 第2放熱フィン
283 第3放熱フィン
284 放熱フィンユニット
29 伝熱管
30 アキュムレータ
31 エンドプレート
321 第1領域
322 第2領域
323 第3領域
324 第4領域
325 第5領域
326 第6領域