(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150777
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ダスト固形化装置
(51)【国際特許分類】
B30B 11/02 20060101AFI20231005BHJP
B09B 3/20 20220101ALI20231005BHJP
B09B 3/32 20220101ALI20231005BHJP
【FI】
B30B11/02 F ZAB
B09B3/20
B09B3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060041
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大木 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】西川 心太郎
(72)【発明者】
【氏名】正木 徳諒
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 功
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA50
4D004CA03
4D004CA14
4D004CA45
4D004CB15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロッドの摺動抵抗を抑制したダスト固形化装置を提供すること。
【解決手段】ダストを貯留する貯留槽11と、貯留槽11の下部に配置されて貯留槽内のダストが流入するように成形孔122が設けられた成形部材121と、成形孔内に進出及び退避して往復運動するように駆動され、成形孔内に進出して成形孔内のダストを圧縮する、互いに対向する第1のロッド123及び第2のロッド124と、を備え、第1のロッドは、ロッド先端部とロッド基部とを備えるダスト固形化装置とする。第1のロッドのロッド先端部の軸方向垂直断面は、第1のロッドのロッド基部の軸方向垂直断面よりも大きく、且つ成形孔の軸方向垂直断面よりも小さくする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダストを貯留する貯留槽と、
前記貯留槽の下部に配置されて前記貯留槽内のダストが流入するように成形孔が設けられた成形部材と、
前記成形孔内に進出及び退避して往復運動するように駆動され、前記成形孔内に進出して前記成形孔内のダストを圧縮する、互いに対向する第1のロッド及び第2のロッドと、
を備え、
前記第1のロッドは、ロッド先端部とロッド基部とを備え、
前記第1のロッドの前記ロッド先端部の軸方向垂直断面は、前記第1のロッドの前記ロッド基部の軸方向垂直断面よりも大きく、且つ前記成形孔の軸方向垂直断面よりも小さいダスト固形化装置。
【請求項2】
前記第2のロッドは、ロッド先端部とロッド基部とを備え、
前記第2のロッドの前記ロッド先端部の軸方向垂直断面は、前記第2のロッドの前記ロッド基部の軸方向垂直断面よりも大きく、且つ前記成形孔の軸方向垂直断面よりも小さい請求項1に記載のダスト固形化装置。
【請求項3】
前記ロッド先端部は、前記ロッド基部に対して着脱可能である、請求項1又は請求項2に記載のダスト固形化装置。
【請求項4】
前記ロッド先端部の外周に溝が設けられている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のダスト固形化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ダスト固形化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料等のレーザー加工、プラズマ加工、および溶接などの際に発生するヒュームは、作業者が吸引すると健康に深刻な被害を与える恐れがある。そのため、作業環境を清浄に保つため集塵装置を作動させて、ダストを作業環境から除去することが行われている。また、集塵装置に収集されたダストは、嵩密度が小さい状態であり、この状態のままでは取り扱いが難しいため、ダストを圧縮して固形化し、扱いやすい状態(例えば、ペレット状)に加工することが行われる。扱いやすい状態に加工されたダストは、再溶融等の処理を行うことで再利用可能となる。
【0003】
特許文献1は簡便な構造でダストの飛散を防止するとともに、ダストの固形化を行うダスト固形化装置を開示する。このダスト固形化装置は、装置本体と、装置本体に設けられるダストを貯留するホッパと、ホッパ内に設けられた成形孔を有する成形部材と、成形孔内に対して進入、退避自在とされた加圧ロッドと、を備える。このダスト固形化装置では、加圧ロッドを成形孔内に進入させてその内部に充填されたダストを固形化し、固形化物を成形する。また、成形孔の開口部はホッパ内に開放されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の装置では、ダスト固形化動作により成形孔の内壁にダストが付着し、ダスト固形化動作を繰り返すと成形孔の内壁に付着したダストが蓄積して固着してしまう。そのため、ロッドと成形孔内壁との間の摺動抵抗(摩擦抵抗)が増加し、ロッドを駆動させるために要する力が大きくなる。その結果、ダスト固形化装置に動作異常が生じやすくなるため、改善の余地がある。本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、ロッドの摺動抵抗を抑制したダスト固形化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決して目的を達成する本開示の一側面は、ダスト固形化装置である。このダスト固形化装置は、ダストを貯留する貯留槽と、貯留槽の下部に配置されて貯留槽内のダストが流入するように成形孔が設けられた成形部材と、成形孔内に進出及び退避して往復運動するように駆動され、成形孔内に進出して成形孔内のダストを圧縮する、互いに対向する第1のロッド及び第2のロッドと、を備える。第1のロッドは、ロッド先端部とロッド基部とを備える。第1のロッドのロッド先端部の軸方向垂直断面は、第1のロッドのロッド基部の軸方向垂直断面よりも大きく、且つ成形孔の軸方向垂直断面よりも小さい。各ロッドは成形孔の軸線上に位置し、軸方向垂直断面とは、成形孔の長軸方向を横切る断面をいう。軸方向は、各ロッドの長軸方向であり、成形孔の長軸方向と概ね一致する。
【0007】
上記構成のダスト固形化装置によれば、第1のロッドのロッド先端部をロッド基部に対して拡大することで、第1のロッドのロッド先端部により成形孔内壁に付着したダストを研削するとともに第1のロッドと成形孔内壁との摺動面積を小さくし、第1のロッドの摺動抵抗を抑えることができる。その結果、第1のロッドを駆動させるための力が抑えられ、ダスト固形化装置における動作異常の発生を抑制することができる。
【0008】
一実施形態においては、第2のロッドを第1のロッドと同様の形状とする。すなわち、第2のロッドは、ロッド先端部とロッド基部とを備え、第2のロッドのロッド先端部の軸方向垂直断面は、第2のロッドのロッド基部の軸方向垂直断面よりも大きく、且つ成形孔の軸方向垂直断面よりも小さい。第2のロッドのロッド先端部をロッド基部に対して拡大することで、第2のロッドのロッド先端部により成形孔内壁に付着したダストを研削するとともに第2のロッドと成形孔内壁との摺動面積を小さくし、第2のロッドの摺動抵抗を抑えることができる。
【0009】
一実施形態においては、第1のロッド及び/又は第2のロッドのロッド先端部は、ロッド基部に対して着脱可能である。これにより、摩耗したロッド先端部を交換可能である。そのため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0010】
一実施形態においては、第1のロッド及び/又は第2のロッドのロッド先端部の外周に溝が設けられている。これにより、成形孔の内壁に付着したダストを研削するとともに、研削されたダストが溝から排出されるため、成形孔の内壁へのダストの固着を効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、ロッドの摺動抵抗を抑制したダスト固形化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係るダスト固形化装置の概略構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るダスト固形化装置に適用される加圧ロッド及び閉止ロッドのロッド先端部近傍を示す斜視図である。
【
図3】リング状部材である加圧ロッド先端部が嵌め込まれた加圧ロッドの側面を示す図である。
【
図4】キャップ形状部材である加圧ロッド先端部が嵌め込まれた加圧ロッドの側面を示す図である。
【
図5】実施形態に係るダスト固形化装置のダスト固形化動作時における成形孔内を示す断面模式図である。
【
図6】ロッド先端部の直径と厚さを示す概略図である。
【
図7】ロッド先端部、ロッド基部及び成形孔の直径の関係を示す軸方向垂直断面図である。
【
図8】軸方向垂直断面が正六角形である加圧ロッド先端部を示す概略図である。
【
図9】軸方向垂直断面が正六角形である成形孔に軸方向垂直断面が円形である加圧ロッド先端部が進出した状態を示す軸方向垂直断面図である。
【
図10】軸方向垂直断面が円形である成形孔に軸方向垂直断面が正六角形である加圧ロッド先端部が進出した状態を示す軸方向垂直断面図である。
【
図11】実施形態に係るダスト固形化装置に適用される加圧ロッド及び/又は閉止ロッドの変形例であるロッド先端部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。「上」「下」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0014】
図1は、本実施形態に係るダスト固形化装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すダスト固形化装置1は、貯留槽(例えば、ホッパ)11と、貯留槽11の下部に配置されたダスト固形化部12と、を備える。
【0015】
貯留槽11は、傾斜側壁110を備え、上方から落下するダストを貯留する。
【0016】
ダスト固形化部12は、成形孔122が設けられた成形部材121と、第1のロッドである加圧ロッド123と、第2のロッドである閉止ロッド124と、成形された固形化物が排出される排出孔125と、加圧ロッド123を駆動する加圧シリンダ126と、閉止ロッド124を駆動する閉止シリンダ127と、を備える。成形孔122は、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に配置され、加圧ロッド123及び閉止ロッド124を挿入可能な貫通孔である。
【0017】
成形部材121は、貯留槽11内下部のダストが流入するように成形孔122が設けられた部材である。成形孔122は、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に配置され、第1の開口1221と第2の開口1222とが貫通する、加圧ロッド123及び閉止ロッド124を挿入可能な貫通孔である。ここで、成形孔122の軸方向垂直断面(長軸方向を横切る断面)は円形である。
【0018】
加圧ロッド123は、軸方向垂直断面が円形であり、成形孔122内に第1の開口1221から進出及び退避し往復運動可能な第1のロッドである。閉止ロッド124は、軸方向垂直断面が円形であり、成形孔122内に第2の開口1222から進出及び退避し往復運動可能な第2のロッドであり、固形化物の成形時には成形孔122内に一定寸法進出して停止し、静止するロッドである。加圧ロッド123は、成形孔122内に進出及び退避するように駆動されて往復運動し、成形孔122から退避すると貯留槽11内下部のダストが成形孔122内に流入する。加圧ロッド123は、成形孔122内に進出して成形孔122内に流入したダストを押し込む。成形孔122内では、互いに対向した加圧ロッド123の加圧面と閉止ロッド124の加圧面とによりダストが押し固められて圧縮されることで、ペレット状の固形化物が成形される。
【0019】
排出孔125は、成形された固形化物を落下させて排出するための孔である。成形された固形化物は、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に挟持され、排出孔125まで搬送されて排出される。加圧シリンダ126は、加圧ロッド123を往復運動させる駆動源である。閉止シリンダ127は、閉止ロッド124を往復運動させる駆動源である。
【0020】
なお、本開示は、
図1に示す形態に限定されるものではなく、加圧ロッド123及び加圧シリンダ126の位置と閉止ロッド124及び閉止シリンダ127の位置とは、入れ替えてもよい。
【0021】
図1に示すダスト固形化装置1は、図示しない制御部によって動作を制御される。図示しない制御部は、具体的には、加圧シリンダ126及び閉止シリンダ127に動作指令を出力することで、加圧ロッド123及び閉止ロッド124の動作を制御する。
【0022】
図2は、本実施形態に係るダスト固形化装置1に適用される加圧ロッド123及び閉止ロッド124のロッド先端部近傍を示す斜視図である。加圧ロッド123は、加圧ロッド先端部1231と、加圧ロッド基部1232と、を備える。閉止ロッド124は、閉止ロッド先端部1241と、閉止ロッド基部1242と、を備える。
【0023】
加圧ロッド123の加圧ロッド先端部1231の軸方向垂直断面は、加圧ロッド123の加圧ロッド基部1232の軸方向垂直断面よりも大きく、且つ成形孔122の軸方向垂直断面よりも小さい。ここで、加圧ロッド先端部1231及び加圧ロッド基部1232の軸方向垂直断面は円形である。閉止ロッド124の閉止ロッド先端部1241の軸方向垂直断面は、閉止ロッド124の閉止ロッド基部1242の軸方向垂直断面よりも大きく、且つ成形孔122の軸方向垂直断面よりも小さい。閉止ロッド先端部1241及び閉止ロッド基部1242の軸方向垂直断面は円形である。
【0024】
加圧ロッド先端部1231は、加圧ロッド基部1232に一体形成されていてもよいし、加圧ロッド基部1232に対して着脱可能に構成されていてもよい。閉止ロッド先端部1241は、閉止ロッド基部1242に一体形成されていてもよいし、閉止ロッド基部1242に対して着脱可能に構成されていてもよい。ロッド先端部がロッド基部に対して着脱可能であると、摩耗したロッド先端部を交換可能である。そのため、メンテナンス性を向上させることができる。ここで、加圧ロッド123は、ダスト固形化動作に際して閉止ロッド124よりも進出及び後退を頻繁に繰り返すため、加圧ロッド123において加圧ロッド先端部1231が加圧ロッド基部1232に対して着脱可能であることが、特に好ましい。なお、加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241のダストと当接する面と反対の面にはネジ山が設けられており、このねじ山がロッド基部に螺合することで着脱可能な構成を実現することができる。又は、加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241は、ロッド基部1232に嵌め込まれるOリング等のリング状部材若しくはキャップ形状部材により着脱可能な構成を実現することもできる。
図3は、リング状部材である加圧ロッド先端部1231aが嵌め込まれた加圧ロッド123aの側面を示す図であり、
図4は、キャップ形状部材である加圧ロッド先端部1231bが嵌め込まれた加圧ロッド123bの側面を示す図である。なお、
図3,4には加圧ロッド123a,123bを示したが、閉止ロッドについても同様の形状とすることができる。
【0025】
更には、加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241は、耐摩耗性の高い材料により形成することが好ましい。これにより、加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241の摩耗を抑制することができる。
【0026】
図5は、本実施形態に係るダスト固形化装置1のダスト固形化動作時における成形孔122内を示す断面模式図である。
図5においては、閉止ロッド先端部1241及び閉止ロッド基部1242を備える閉止ロッド124が静止した成形孔122内に、加圧ロッド先端部1231及び加圧ロッド基部1232を備える加圧ロッド123が進出及び退避させ、加圧ロッド123が往復運動することで、ダスト固形化動作を行う。
【0027】
加圧ロッド123の加圧ロッド先端部1231と、閉止ロッド124の閉止ロッド先端部1241とは、ダストを圧縮して固形化物201を成形する。
図5に示すように、加圧ロッド123の加圧ロッド先端部1231を加圧ロッド基部1232に対して拡大することで、加圧ロッド123の加圧ロッド先端部1231により成形孔122の内壁1223に付着したダスト200を研削するとともに加圧ロッド123と成形孔122の内壁1223との摺動面積を小さくすることができる。そのため、加圧ロッド123の摺動抵抗を低減することができる。これにより、加圧ロッド123を駆動させるための力を抑えることができるため、ダスト固形化装置1における動作異常の発生を抑制させると共に、ダスト固形化装置1の小型化及び省エネルギー化が可能となる。
【0028】
図6は、ロッド先端部の直径Dと厚さwを示す概略図である。
図6には、加圧ロッド基部1232の直径Rと、加圧ロッド先端部1231の直径Dと、加圧ロッド先端部1231の厚さwと、加圧ロッド基部1232と加圧ロッド先端部1231との直径差dと、が示されている。
図7は、ロッド先端部、ロッド基部及び成形孔の直径の関係を示す軸方向垂直断面図である。
図7には、加圧ロッド基部1232の直径Rと、加圧ロッド先端部1231の直径Dと、成形孔122の直径rと、加圧ロッド基部1232と加圧ロッド先端部1231との直径差dと、が示されている。なお、
図6及び
図7には、加圧ロッド123を示しているが、閉止ロッド124についても同様の形状とすることができる。加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241の直径Dは、加圧ロッド基部1232及び閉止ロッド基部1242の直径Rよりも大きく、成形孔122への進出及び退避し往復運動が可能となるように成形孔122の直径rよりも小さくする。特に、加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241の直径Dは、加圧ロッド基部1232及び閉止ロッド基部1242の直径Rよりも0.2mm以上0.4mm以下の範囲で大きくすることが好ましい(すなわち、0.2mm≦d≦0.4mm)。一例として、加圧ロッド基部1232及び閉止ロッド基部1242の直径Rが15mmであれば、加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241の直径Dは、15.2mm≦D≦15.4mmとすることができる。
【0029】
また、加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241の厚さwは、荷重に耐えられる限り薄くすることが好ましい。加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241の厚さwは、各々の加圧面からロッド基部までの距離である。加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241の厚さwが薄くなると、加圧ロッド123及び閉止ロッド124と成形孔122の内壁1223との摺動面積が小さくなり、摺動抵抗が抑えられるからである。一例として、加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241の厚さwは、0.1mm≦w≦10.0mmとすることができる。なお、各ロッドは成形孔の軸線上に位置し、軸方向垂直断面とは、成形孔の長軸方向を横切る断面をいう。軸方向は、各ロッドの長軸方向であり、成形孔の長軸方向と概ね一致する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係るダスト固形化装置1によれば、加圧ロッド123の加圧ロッド先端部1231を加圧ロッド基部1232に対して拡大することで、加圧ロッド123の加圧ロッド先端部1231により成形孔122の内壁1223に付着したダストを研削するとともに加圧ロッド123と成形孔122の内壁1223との摺動面積が小さくなり、加圧ロッド123の摺動抵抗を抑えることができる。その結果、ダスト固形化装置1における動作異常の発生を抑制することができる。
【0031】
また、閉止ロッド124を加圧ロッド123と同様の形状として、閉止ロッド124の閉止ロッド先端部1241を閉止ロッド基部1242に対して拡大すると、閉止ロッド124の閉止ロッド先端部1241により成形孔122の内壁1223に付着したダストを研削するとともに閉止ロッド124と成形孔122の内壁1223との摺動面積が小さくなり、閉止ロッド124の摺動抵抗を抑えることができる。
【0032】
(変形例1)
本実施形態では、成形孔122、加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241の軸方向垂直断面が円形である場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態の変形例として、成形孔122、加圧ロッド先端部1231及び閉止ロッド先端部1241の軸方向垂直断面は、正六角形等の多角形であってもよい。
図8は、軸方向垂直断面が正六角形である加圧ロッド先端部1231cを示す概略図である。
図8においては、軸方向垂直断面が正六角形である成形孔122a内に加圧ロッド先端部1231cが進出している。なお、
図8には、加圧ロッド先端部1231cの加圧ロッドを示しているが、閉止ロッド124についても同様の形状とすることができる。加圧ロッド基部1232及び閉止ロッド基部1242の軸方向垂直断面も、正六角形等の多角形であってもよい。
【0033】
また、ロッド先端部の軸方向垂直断面と、ロッド基部の軸方向垂直断面とは、一致していなくてもよい。
図9は、軸方向垂直断面が正六角形である成形孔122aに軸方向垂直断面が円形である加圧ロッド先端部1231が進出した状態を示す軸方向垂直断面図であり、
図10は、軸方向垂直断面が円形である成形孔122に軸方向垂直断面が正六角形である加圧ロッド先端部1231cが進出した状態を示す軸方向垂直断面図である。
【0034】
(変形例2)
本実施形態の変形例として、加圧ロッド先端部1231及び/又は閉止ロッド先端部1241の外周に溝が設けられていてもよい。
【0035】
図11は、本実施形態に係るダスト固形化装置1に適用される加圧ロッド123及び/又は閉止ロッド124の変形例であるロッド先端部材1203を示す斜視図である。
図11には、外周に溝が設けられたロッド先端部1201及びロッド装着部1202を備えるロッド先端部材1203が示されている。
図11に示すロッド先端部材1203には、ロッド先端部1201に、ロッド先端部厚み方向に対して斜めに形成された溝1204が設けられている。このように設けられた溝1204によれば、成形孔122の内壁1223に付着したダストは研削され、研削されたダストは溝1204によって排出されるため、成形孔122の内壁1223へのダストの固着を効果的に防止することができる。ただし、溝1204の形状は、
図11に示すものに限定されず、成形孔122の内壁1223に付着したダストを研削可能であるとともに、研削されたダストを排出可能であれば特定の形状に限定されるものではない。例えば、溝加工やローレット加工により平目又はあや目が形成されていてもよい。
【0036】
なお、
図11に示すロッド先端部材1203は、図示しないロッド基部に対して着脱可能な構成であるが、本発明はこれに限定されず、ロッド先端部がロッド基部に一体形成された形態において、ロッド先端部の外周に溝が設けられていてもよい。
【0037】
(実施形態のまとめ)
ダスト固形化装置1によれば、加圧ロッド123の加圧ロッド先端部1231を加圧ロッド基部1232に対して拡大することで、加圧ロッド123の加圧ロッド先端部1231により成形孔122の内壁1223に付着したダスト200を研削するとともに加圧ロッド123と成形孔122の内壁1223との摺動面積を小さくし、加圧ロッドの摺動抵抗を抑えることができる。その結果、加圧ロッドを駆動させるための力が抑えられ、ダスト固形化装置における動作異常の発生を抑制することができる。また、閉止ロッド124を加圧ロッド123と同様の形状として、閉止ロッド124の閉止ロッド先端部1241を閉止ロッド基部1242に対して拡大すると、加圧ロッドの場合と同様に摺動抵抗を抑え、ダスト固形化装置における動作異常の発生を抑制することができる。
【0038】
加圧ロッド123の加圧ロッド先端部1231及び/又は閉止ロッド124の閉止ロッド先端部1241は、加圧ロッド基部1232及び/又は閉止ロッド基部1242に対して夫々着脱可能であるため、摩耗した加圧ロッド先端部1231及び/又は閉止ロッド先端部1241を交換可能することができる。
【0039】
加圧ロッド123の加圧ロッド先端部1231及び/又は閉止ロッド124の閉止ロッド先端部1241の外周に溝が設けられているため、成形孔122の内壁1223に付着したダストは研削され、研削されたダストは溝1204によって排出されるため、成形孔122の内壁1223へのダストの固着を効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ダスト固形化装置、11 貯留槽、110 傾斜側壁、12 ダスト固形化部、121 成形部材、122 成形孔、1221 第1の開口、1222 第2の開口、1223 内壁、123,123a,123b 加圧ロッド、1231,1231a,1231b 加圧ロッド先端部、1232 加圧ロッド基部、124 閉止ロッド、1241 閉止ロッド先端部、1242 閉止ロッド基部、125 排出孔、126 加圧シリンダ、127 閉止シリンダ、1201 ロッド先端部、1202 ロッド装着部、1203 ロッド先端部材、1204 溝、200 ダスト、201固形化物