(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150778
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ダスト固形化装置の成形室ユニット
(51)【国際特許分類】
B09B 3/32 20220101AFI20231005BHJP
B09B 3/20 20220101ALI20231005BHJP
【FI】
B09B3/32
B09B3/20 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060042
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大木 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 功
(72)【発明者】
【氏名】西川 心太郎
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA50
4D004CA03
4D004CA14
4D004CA45
4D004CB15
(57)【要約】
【課題】成形孔の内壁に拘束されてしまったロッドの拘束を解くことができ、成形孔の内壁に付着又は固着したダストを除去可能なダスト固形化装置の成形室ユニットを提供すること。
【解決手段】ダストを貯留する貯留槽の下部に配置されて該貯留槽内のダストが流入するように成形孔が設けられ、進出及び退避して往復運動する互いに対向した第1のロッドと第2のロッドとによって該成形孔内で前記ダストが圧縮されるダスト固形化装置の成形室ユニットが、複数の成形室部材を備え、成形孔は前記複数の成形室部材によって形成され、少なくとも一つの前記成形室部材が取り外し可能とする。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダストを貯留する貯留槽の下部に配置されて該貯留槽内のダストが流入するように成形孔が設けられ、進出及び退避して往復運動する互いに対向した第1のロッドと第2のロッドとによって該成形孔内で前記ダストが圧縮されるダスト固形化装置の成形室ユニットであって、
前記成形室ユニットは、複数の成形室部材を備え、
前記成形孔は前記複数の成形室部材によって形成され、少なくとも一つの前記成形室部材が取り外し可能である、ダスト固形化装置の成形室ユニット。
【請求項2】
前記成形孔に連通する開口部材が前記成形孔の外側に設けられた、請求項1に記載のダスト固形化装置の成形室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ダスト固形化装置の成形室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料等のレーザー加工、プラズマ加工、および溶接などの際に発生するヒュームは、作業者が吸引すると健康に深刻な被害を与える恐れがある。そのため、作業環境を清浄に保つため集塵装置を作動させて、ダストを作業環境から除去することが行われている。また、集塵装置に収集されたダストは、嵩密度が小さい状態であり、この状態のままでは取り扱いが難しいため、ダストを圧縮して固形化し、扱いやすい状態(例えば、ペレット状)に加工することが行われる。扱いやすい状態に加工されたダストは、再溶融等の処理を行うことで再利用可能となる。
【0003】
特許文献1は簡便な構造でダストの飛散を防止するとともに、ダストの固形化を行うダスト固形化装置を開示する。このダスト固形化装置は、装置本体と、装置本体に設けられるダストを貯留するホッパと、ホッパ内に設けられた成形孔を有する成形部材と、成形孔内に対して進入、退避自在とされた加圧ロッドと、を備える。このダスト固形化装置では、加圧ロッドを成形孔内に進入させてその内部に充填されたダストを固形化し、固形化物を成形する。また、成形孔の開口部はホッパ内に開放されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の装置では、ダスト固形化動作により成形孔の内壁にダストが付着し、ダスト固形化動作を繰り返すと成形孔の内壁に付着したダストが蓄積して固着してしまう。そのため、ロッドが成形孔内に拘束されてしまうことがあり、その結果、ダスト固形化装置に動作異常が生じやすくなるため、改善の余地がある。本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、成形孔内に拘束されてしまったロッドの拘束を解くことができ、成形孔の内壁に付着又は固着したダストを除去可能なダスト固形化装置の成形室ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決して目的を達成する本開示の一側面は、ダスト固形化装置の成形室ユニットである。このダスト固形化装置の成形室ユニットは、ダストを貯留する貯留槽の下部に配置されて該貯留槽内のダストが流入するように成形孔が設けられ、進出及び退避して往復運動する互いに対向した第1のロッドと第2のロッドとによって該成形孔内で前記ダストが圧縮される。成形室ユニットは、複数の成形室部材を備えており、成形孔は、該複数の成形室部材によって形成され、少なくとも一つの該成形室部材が取り外し可能である。各ロッドは成形孔の軸線上に位置し、軸方向垂直断面とは、成形孔の長軸方向を横切る断面をいう。軸方向は、各ロッドの長軸方向であり、成形孔の長軸方向と概ね一致する。
【0007】
上記構成のダスト固形化装置によれば、成形孔内に拘束されてしまったロッドの拘束を解くことができ、成形孔の内壁に付着又は固着したダストを除去することができる。その結果、ダスト固形化装置の動作異常の発生を抑え、また、動作異常が発生した場合の復旧を迅速に行うことができる。
【0008】
一実施形態においては、成形孔に連通する開口部材が成形孔の外側に設けられている。これにより、ロッド進入時に成形孔からダストが流出することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、成形孔内に拘束されてしまったロッドの拘束を解くことができ、成形孔の内壁に付着又は固着したダストを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るダスト固形化装置の概略構成を示す図である。
【
図2A】
図1に示す成形室ユニットの斜視図である。
【
図3A】第1の変形例である成形室ユニットの斜視図である。
【
図4】軸方向垂直断面が正六角形である加圧ロッドを示す概略図である。
【
図5】軸方向垂直断面が正六角形である成形孔に軸方向垂直断面が円形である加圧ロッドが進出した状態を示す軸方向垂直断面図である。
【
図6】軸方向垂直断面が円形である成形孔に軸方向垂直断面が正六角形である加圧ロッドが進出した状態を示す軸方向垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。「上」「下」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0012】
図1は、本実施形態に係るダスト固形化装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すダスト固形化装置1は、貯留槽(例えば、ホッパ)11と、貯留槽11の下部に配置されたダスト固形化部12と、を備える。
【0013】
貯留槽11は、傾斜側壁110を備え、上方から落下するダストを貯留する。
【0014】
ダスト固形化部12は、成形孔122が設けられた成形部材121と、第1のロッドである加圧ロッド123と、第2のロッドである閉止ロッド124と、成形された固形化物が排出される排出孔125と、加圧ロッド123を駆動する加圧シリンダ126と、閉止ロッド124を駆動する閉止シリンダ127と、を備える。成形孔122は、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に配置され、加圧ロッド123及び閉止ロッド124を挿入可能な貫通孔である。
【0015】
成形部材121は、貯留槽11内下部のダストが流入するように成形孔122が設けられた部材である。成形孔122は、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に配置され、第1の開口1221と第2の開口1222とが貫通する、加圧ロッド123及び閉止ロッド124を挿入可能な貫通孔である。ここで、成形孔122の軸方向垂直断面(長軸方向を横切る断面)は円形である。なお、各ロッドは成形孔の軸線上に位置し、軸方向垂直断面とは、成形孔の長軸方向を横切る断面をいう。軸方向は、各ロッドの長軸方向であり、成形孔の長軸方向と概ね一致する。
【0016】
加圧ロッド123は、軸方向垂直断面が円形であり、成形孔122内に第1の開口1221から進出及び退避し往復運動可能な第1のロッドである。閉止ロッド124は、軸方向垂直断面が円形であり、成形孔122内に第2の開口1222から進出及び退避し往復運動可能な第2のロッドであり、固形化物の成形時には成形孔122内に一定寸法進出して停止し、静止するロッドである。加圧ロッド123は、成形孔122内に進出及び退避するように駆動されて往復運動し、成形孔122から退避すると貯留槽11内下部のダストが成形孔122内に流入する。加圧ロッド123は、成形孔122内に進出して成形孔122内に流入したダストを押し込む。成形孔122内では、互いに対向した加圧ロッド123の加圧面と閉止ロッド124の加圧面とによりダストが押し固められて圧縮されることで、ペレット状の固形化物が成形される。
【0017】
排出孔125は、成形された固形化物を落下させて排出するための孔である。成形された固形化物は、加圧ロッド123と閉止ロッド124との間に挟持され、排出孔125まで搬送されて排出される。加圧シリンダ126は、加圧ロッド123を往復運動させる駆動源である。閉止シリンダ127は、閉止ロッド124を往復運動させる駆動源である。
【0018】
なお、本開示は、
図1に示す形態に限定されるものではなく、加圧ロッド123及び加圧シリンダ126の位置と閉止ロッド124及び閉止シリンダ127の位置とは、入れ替えてもよい。
【0019】
図1に示すダスト固形化装置1は、図示しない制御部によって動作を制御される。図示しない制御部は、具体的には、加圧シリンダ126及び閉止シリンダ127に動作指令を出力することで、加圧ロッド123及び閉止ロッド124の動作を制御する。
【0020】
図2Aは、
図1に示す成形部材121の斜視図であり、第1の開口1221側からの斜視が示されている。
図2Bは、
図2Aに示す成形部材121の分解斜視図である。成形部材121は、第1の成形室部材201及び第2の成形室部材202により構成されている。第1の成形室部材201には、第2の成形室部材202を挿入する、部材挿入孔210及び密封部211が設けられている。第2の成形室部材202には、挿入部220及び密封部221が設けられている。成形孔122は、部材挿入孔210に挿入部220が挿入されることで、成形部材121内に形成される。密封部211及び密封部221は、成形部材121の外へのダストの漏れを防止するための部材である。
【0021】
本実施形態に係るダスト固形化装置1の成形室ユニットは、
図2Aに示す成形部材121に限定されるものではない。
【0022】
(変形例1)
図3Aは、第1の変形例である成形部材121aの斜視図であり、第1の開口1221側からの斜視が示されている。
図3Bは、
図3Aに示す成形部材121aの分解斜視図である。成形部材121aは、第1の成形室部材201a及び第2の成形室部材202により構成されている。第1の成形室部材201aは、
図2Aに示す第1の成形室部材201に比して、第1の開口1221及び第2の開口1222の各々に、連通孔212が設けられた板状の開口部材213を備える点で相異し、その他の構成は同じである。連通孔212は、第1の開口1221及び第2の開口1222に連通している。
図3A及び
図3Bに示すように、連通孔212が設けられた板状の開口部材213を備えることで、成形孔122と各ロッド123,124を適切な位置に補正することができる。なお、連通孔212が設けられた板状の開口部材213は、第1の開口1221及び第2の開口1222の各々に設けられていてもよく、又は、いずれか一方にのみ設けられていてもよい。
【0023】
(その他変形例)
なお、本実施形態では、成形孔122、加圧ロッド123及び閉止ロッド124の軸方向垂直断面が円形である場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態の変形例として、成形孔122、加圧ロッド123及び閉止ロッド124の軸方向垂直断面は正六角形等の多角形であってもよい。
図4は、軸方向垂直断面が正六角形である加圧ロッド123cを示す概略図である。
図4においては、軸方向垂直断面が正六角形である成形孔122a内に加圧ロッド123cが進出している。なお、
図5には、加圧ロッド123cを示しているが、閉止ロッド124についても同様の形状とすることができる。
【0024】
また、ロッドの軸方向垂直断面と、成形孔の軸方向垂直断面とは、一致していなくてもよい。
図5は、軸方向垂直断面が正六角形である成形孔122aに軸方向垂直断面が円形である加圧ロッド123が進出した状態を示す軸方向垂直断面図であり、
図6は、軸方向垂直断面が円形である成形孔122に軸方向垂直断面が正六角形である加圧ロッド123cが進出した状態を示す軸方向垂直断面図である。
【0025】
また、本実施形態では、2つの成形室部材によって成形室ユニットが形成される形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。3つ以上の成形室部材によって成形室ユニットが形成されていてもよい。ただし、成形孔は複数の成形室部材によって形成され、少なくとも一つの成形室部材が取り外し可能であることを要する。
【0026】
(実施形態のまとめ)
ダスト固形化装置1によれば、成形部材121,121a,121bは、複数の成形室部材を備えており、成形孔122が複数の成形室部材201,201a,201b,202によって形成され、少なくとも一つの成形室部材が取り外し可能となっており、成形室ユニットは分解可能である。そのため、成形孔の内壁に付着又は固着したダストを除去することができる。また、ロッドが成形孔内に拘束されてしまった場合に、ロッドを解放することができる。その結果、ダスト固形化装置1における動作異常の発生を抑制するとともに、動作異常が発生した場合にも迅速に復旧させることができる。
【0027】
成形孔122に連通する、連通孔212が設けられた板状の開口部材213を備えることで、各ロッド123,124の進入時に成形孔122からダストが流出することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ダスト固形化装置、11 貯留槽、110 傾斜側壁、12 ダスト固形化部、121,121a,121b 成形部材、122 成形孔、1221 第1の開口、1222 第2の開口、123,123c 加圧ロッド、124 閉止ロッド、125 排出孔、126 加圧シリンダ、127 閉止シリンダ、201,201a,201b 第1の成形室部材、210 部材挿入孔、211 密封部材、212 連通孔、213 開口部材、202 第2の成形室部材、220 挿入部材、221 密封部材