(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150779
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】包装材、包装材原反ロール及び包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 65/34 20060101AFI20231005BHJP
B65D 65/32 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65D65/34
B65D65/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060043
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100214938
【弁理士】
【氏名又は名称】樋熊 政一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
(72)【発明者】
【氏名】西田 綸太郎
【テーマコード(参考)】
3E086
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AC14
3E086AC15
3E086AD01
3E086BA02
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA43
3E086BB01
3E086CA01
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】強度の低下が抑制されながら、引き裂きによって形成される開口の幅を大きくすることができる包装材を提供する。
【解決手段】シート本体10と、シート本体10の開封開始領域11に配置される複数のノッチ21を含むノッチ群20と、ノッチ群20を覆って配置される保護シート30と、開封方向に延在する第1及び第2のカットテープ41、42と、を備え、各カットテープ41、42は、少なくとも一部が開封交差方向に互いに離間し、ノッチ群20は、開封交差方向に配置される複数のノッチ21を含み、少なくとも、第1のカットテープ41に交差する第1の端部側ノッチ21A1と、第2のカットテープ42に交差する第2の端部側ノッチ21A2と、を含み、複数のノッチ21のうち、開封交差方向に隣接する一対のノッチ21は、開封方向に離れ、かつ、当該開封方向で見た場合において互いに重なるオーバーラップ部23をそれぞれ有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を包囲可能で、被包装物と対面する内面及び当該内面と反対側の外面を有するシート本体と、
前記シート本体に設定される開封開始領域に配置され、前記シート本体の端縁に開放しない複数のノッチを含むノッチ群と、
前記ノッチ群を覆って前記シート本体に配置される保護シートと、
少なくとも前記開封開始領域から開封方向に延在する第1のカットテープ及び第2のカットテープと、を備える包装材であって、
前記第1のカットテープ及び前記第2のカットテープは、少なくとも一部が前記開封方向と直交する開封交差方向に互いに離間しており、
前記ノッチ群は、
前記開封交差方向に配置される複数の前記ノッチを含むとともに、少なくとも、前記第1のカットテープに交差する第1の端部側ノッチと、前記第2のカットテープに交差する第2の端部側ノッチと、を含み、
さらに前記複数のノッチのうち、前記開封交差方向に隣接する一対のノッチは、前記開封方向に離れて配置されており、かつ、当該開封方向で見た場合において互いに重なるオーバーラップ部をそれぞれ有する、包装材。
【請求項2】
前記ノッチ群は、前記第1の端部側ノッチと、前記第2の端部側ノッチと、を含む3つ以上の前記ノッチを有し、前記第1の端部側ノッチ及び前記第2の端部側ノッチは、前記開封方向の位置が互いに同じである、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記ノッチ群は、
少なくとも1つの前記ノッチを含む上流側ノッチ群と、
前記上流側ノッチ群よりも前記開封方向の下流側に配置された少なくとも1つの前記ノッチを含む下流側ノッチ群と、を有し、
前記上流側ノッチ群及び前記下流側ノッチ群のうちの、少なくとも一方は、前記開封交差方向に沿って並列された複数の前記ノッチを含む並列ノッチ群である、請求項1または2に記載の包装材。
【請求項4】
前記上流側ノッチ群の前記ノッチの数と、
前記下流側ノッチ群の前記ノッチの数とは、異なる、請求項3に記載の包装材。
【請求項5】
前記上流側ノッチ群の前記ノッチの数と、
前記下流側ノッチ群の前記ノッチの数とは、同じである、請求項3に記載の包装材。
【請求項6】
前記上流側ノッチ群は、3つの前記ノッチを有し、
前記下流側ノッチ群は、2つの前記ノッチを有する、請求項4に記載の包装材。
【請求項7】
前記ノッチは、前記開封交差方向に延在する長さ方向を有するとともに、当該長さ方向の両端部が、当該長さ方向の中央部よりも前記開封方向の下流側に位置する形状を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項8】
前記ノッチは、前記開封方向の上流側に凸となる形状であって、円弧状、逆V字状、台形状のいずれかの形状を有する、請求項7に記載の包装材。
【請求項9】
前記第1のカットテープ及び前記第2のカットテープは、互いに交差する部分を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項10】
前記保護シートは、前記シート本体の前記外面に配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項11】
前記開封方向に延在する一対の帯状シート部が、前記シート本体の、前記第1のカットテープ及び前記第2のカットテープのそれぞれの外側における内面及び外面のうちの少なくとも一方に配置されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の包装材。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の包装材の前記シート本体が袋状に形成された袋体を含み、当該袋体の内部に被包装物が収容される、包装袋。
【請求項13】
前記シート本体が折り込まれて前記袋体が立方体形状に形成される、請求項12に記載の包装袋。
【請求項14】
請求項11に記載の包装材が、前記帯状シート部の延在する方向に連続するように一体化された包装材原反が、ロール状に巻かれている、包装材原反ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材、包装材原反ロール及び包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、おにぎりやサンドイッチ、調理パン等の塊状の食品を、手掴みの状態で衛生的に食することができるようにするフィルム状の包装材が知られている。例えば特許文献1には、包装材に設けられた開封片を摘まんで引き裂くことにより、帯状の開口が形成されて開封される包装材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載される包装材においては、開封片に連続するようにして包装材に貼られた帯状のカットテープが包装材とともに引き裂かれて、そのカットテープの幅に応じた開口が形成される。通常、その開口の幅は食品の大きさに比べて小さいため、その開口から、食品を露出させて食したり、食品を取り出したりすることがやりにくい場合がある。そこで、開封片の幅を大きくすれば開口を広くすることが可能である。しかしその場合には、開封片の周囲の切り込みであるノッチが長くなるため、包装材の強度が低下する。包装材の強度の低下は、例えば、包装材の製造時において原反にテンションがかかると、ノッチ周辺に応力が集中して包装材が破断するなどの問題を招く。また、開封片が捲れやすくなって包装材が不用意に引き裂かれやすくなるという問題もある。
【0005】
そこで本発明の主たる目的は、強度の低下が抑制されながら、引き裂きによって形成される開口の幅を大きくすることができる包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の包装材は、被包装物を包囲可能で、被包装物と対面する内面及び当該内面と反対側の外面を有するシート本体と、前記シート本体に設定される開封開始領域に配置され、前記シート本体の端縁に開放しない複数のノッチを含むノッチ群と、前記ノッチ群を覆って前記シート本体に配置される保護シートと、少なくとも前記開封開始領域から開封方向に延在する第1のカットテープ及び第2のカットテープと、を備える包装材であって、前記第1のカットテープ及び前記第2のカットテープは、少なくとも一部が前記開封方向と直交する開封交差方向に互いに離間しており、前記ノッチ群は、前記開封交差方向に配置される複数の前記ノッチを含むとともに、少なくとも、前記第1のカットテープに交差する第1の端部側ノッチと、前記第2のカットテープに交差する第2の端部側ノッチと、を含み、さらに前記複数のノッチのうち、前記開封交差方向に隣接する一対のノッチは、前記開封方向に離れて配置されており、かつ、当該開封方向で見た場合において互いに重なるオーバーラップ部をそれぞれ有する。
【0007】
(2)(1)において、前記ノッチ群は、前記第1の端部側ノッチと、前記第2の端部側ノッチと、を含む3つ以上の前記ノッチを有し、前記第1の端部側ノッチ及び前記第2の端部側ノッチは、前記開封方向の位置が互いに同じであることが好ましい。
【0008】
(3)(1)または(2)において、前記ノッチ群は、少なくとも1つの前記ノッチを含む上流側ノッチ群と、前記上流側ノッチ群よりも前記開封方向の下流側に配置された少なくとも1つの前記ノッチを含む下流側ノッチ群と、を有し、前記上流側ノッチ群及び前記下流側ノッチ群のうちの、少なくとも一方は、前記開封交差方向に沿って並列された複数の前記ノッチを含む並列ノッチ群であることが好ましい。
【0009】
(4)(3)において、前記上流側ノッチ群の前記ノッチの数と、前記下流側ノッチ群の前記ノッチの数とは、異なる場合を含む。
【0010】
(5)(3)において、前記上流側ノッチ群の前記ノッチの数と、前記下流側ノッチ群の前記ノッチの数とは、同じである場合を含む。
【0011】
(6)(4)において、前記上流側ノッチ群は、3つの前記ノッチを有し、前記下流側ノッチ群は、2つの前記ノッチを有する場合を含む。
【0012】
(7)(1)~(6)のいずれかにおいて、前記ノッチは、前記開封交差方向に延在する長さ方向を有するとともに、当該長さ方向の両端部が、当該長さ方向の中央部よりも前記開封方向の下流側に位置する形状を有することが好ましい。
【0013】
(8)(7)において、前記ノッチは、前記開封方向の上流側に凸となる形状であって、円弧状、逆V字状、台形状のいずれかの形状を有することが好ましい。
【0014】
(9)(1)~(8)のいずれかにおいて、前記第1のカットテープ及び前記第2のカットテープは、互いに交差する部分を有してもよい。
【0015】
(10)(1)~(9)のいずれかにおいて、前記保護シートは、前記シート本体の前記外面に配置されることが好ましい。
【0016】
(11)(1)~(10)のいずれかにおいて、前記開封方向に延在する一対の帯状シート部が、前記シート本体の、前記第1のカットテープ及び前記第2のカットテープのそれぞれの外側における内面及び外面のうちの少なくとも一方に配置されていることが好ましい。
【0017】
(12)本発明の包装袋は、(1)~(11)のいずれかの包装材の前記シート本体が袋状に形成された袋体を含み、当該袋体の内部に被包装物が収容されるものである。
【0018】
(13)(12)において、前記シート本体が折り込まれて前記袋体が立方体形状に形成されてもよい。
【0019】
(14)本発明の包装材原反ロールは、(11)の包装材が、前記帯状シート部の延在する方向に連続するように一体化された包装材原反が、ロール状に巻かれているものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、強度の低下が抑制されながら、引き裂きによって形成される開口の幅を大きくすることができる包装材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4A】実施形態に係る包装材に設定される開封開始領域及びその周辺を示す平面拡大図である。
【
図4B】実施形態に係るノッチ群を示す平面拡大図である。
【
図4C】実施形態に係るノッチ群の別の形態例を示す平面拡大図である。
【
図5】実施形態の包装材で食品を包装した状態を示す斜視図である。
【
図6】実施形態の包装材を開封している状態を示す斜視図である。
【
図7A】実施形態に係るノッチ群の詳細を説明するための図であって、シート本体の一部拡大平面図である。
【
図7B】実施形態において、シート本体がノッチ群を起点として開封される状態を示す平面図である。
【
図8】実施形態に係る包装材を加工して得た包装袋の一例を示す斜視図である。
【
図9】実施形態に係る包装材原反ロールを示す斜視図である。
【
図10】実施形態に係る包装材の製造方法を実施する製造ラインの一例を模式的に示す側面図である。
【
図11A】実施形態の第1変形例に係るノッチ群を示す図であって、シート本体の一部拡大平面図である。
【
図11B】上記第1変形例において、シート本体がノッチ群を起点として開封される状態を示す平面図である。
【
図12A】実施形態の第2変形例に係るノッチ群を示す図であって、シート本体の一部拡大平面図である。
【
図12B】上記第2変形例において、シート本体がノッチ群を起点として開封される状態を示す平面図である。
【
図13A】実施形態の第3変形例に係るノッチ群を示す図であって、シート本体の一部拡大平面図である。
【
図13B】上記第3変形例において、シート本体がノッチ群を起点として開封される状態を示す平面図である。
【
図14A】実施形態の第4変形例に係るノッチ群を示す図であって、シート本体の一部拡大平面図である。
【
図14B】上記第4変形例において、シート本体がノッチ群を起点として開封される状態を示す平面図である。
【
図15A】実施形態の第5変形例に係るノッチ群を示す図であって、シート本体の一部拡大平面図である。
【
図15B】上記第5変形例において、シート本体がノッチ群を起点として開封される状態を示す平面図である。
【
図16】実施形態に係る包装材において、カットテープの形状が異なる変形例が適用された包装材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
(包装材)
図1は、実施形態に係る包装材1をシート本体10の外面10b側から見た平面図、
図2は、包装材1の斜視図、
図3は、包装材1の分解斜視図である。
図4Aは、包装材1に設定される開封開始領域11及びその周辺を示す拡大図である。
図4Bは、包装材1に設けられるノッチ群を示す拡大図である。
図5は、包装材1で食品5を包装した状態を示す斜視図、
図6は、包装材1を開封している状態を示す斜視図である。
【0024】
包装材1は、例えば
図5に示すように、後述する突き上げ包装によって被包装物としての直方体形状の食品5を包装する。
【0025】
図1~
図3に示すように、実施形態に係る包装材1は、包装材1の主体をなすシート本体10と、保護シート30と、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42と、帯状シート部50と、を備える。なお、
図1~
図3においては、包装材1及びシート本体10の長さ方向をLで示し、幅方向をWで示している。以下においてシート本体10の長さ方向及び幅方向は、それぞれ
図1~
図3のL及びWで示す方向をいう。なお、幅方向Wを左右方向という場合がある。その場合の左右方向は、
図1においての左右方向である。
【0026】
図1~
図3に示すように、シート本体10は、長さ方向及び幅方向を有する長方形形状に形成された樹脂フィルムである。シート本体10は、被包装物と対面する内面10aと、内面10aと反対側の外面10bと、を有する。シート本体10は、被包装物の全面を包囲可能な形状及び大きさを有する。
【0027】
シート本体10の幅方向の中央部であって、長さ方向の一端側(
図1で上端側)の所定箇所には、開封開始領域11が設定されている。シート本体10の開封開始領域11には、複数のノッチ21を含むノッチ群20が配置されている。複数のノッチ21のそれぞれは、薄い刃をシート本体10に貫通して形成した切り込みである。複数のノッチ21は、いずれもシート本体10の四辺の端縁10eに開放していない。
【0028】
開封開始領域11の幅方向の一端部(
図1において左側の端部)を第1のカットテープ41が通過しており、開封開始領域11の幅方向の他端部(
図1において右側の端部)を第2のカットテープ42が通過している。第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、シート本体10の長さ方向と平行であり、その長さ方向の全長にわたって延在している。第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、シート本体10の内面10aに配置されている。第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、超音波シール、ヒートシールあるいは接着剤塗布等の手段でシート本体10の内面10aに貼着されている。
【0029】
なお、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42のそれぞれは、シート本体10の外面10bに配置されてもよく、内面10aと及び外面10bの双方にシート本体10を挟んで配置されてもよい。
【0030】
シート本体10は、開封開始領域11から、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の延在方向である長さ方向に沿って、その長さ方向において開封開始領域11とは反対側の他端側(
図1で下側)の方向に切り裂かれて開封される。
図1の矢印Mは、シート本体10の切り裂き方向、すなわち開封方向を示している。さらに矢印M1は開封方向の上流側を示しており、矢印M2は開封方向の下流側を示している。
【0031】
第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、開封方向に延在し、開封方向と直交する開封交差方向であるシート本体10の幅方向に互いに平行な状態で離間している。
【0032】
ノッチ群20を構成する複数のノッチ21は、同じ形状及びサイズを有する。実施形態のノッチ21は、
図4Aに示すように、開封方向の上流側に緩やかに凸となる左右対称の円弧形状を有する。1つのノッチ21は、全体的にはシート本体10の幅方向に延在している。したがってノッチ21は、シート本体10の幅方向に延在する長さ方向を有する。円弧形状のノッチ21は、その長さ方向の両端部が、長さ方向の中央部よりも開封方向の下流側に位置する形状を有するともいえる。
【0033】
このようなノッチ21を複数有するノッチ群20は、上流側ノッチ群20Aと、下流側ノッチ群20Bと、を含む。上流側ノッチ群20Aは、シート本体10の幅方向に並列された複数の第1のノッチ21Aを含む。下流側ノッチ群20Bは、シート本体10の幅方向に並列された複数の第2のノッチ21Bを含む。下流側ノッチ群20Bは、上流側ノッチ群20Aよりも開封方向の下流側に離れて配置されている。以下において、第1のノッチ21A及び第2のノッチ21Bを特に分けて説明する必要のない場合には、これらノッチ21A、21Bをまとめて単にノッチ21という場合がある。
【0034】
実施形態の上流側ノッチ群20Aは、シート本体10の幅方向に等間隔に配置された3つの第1のノッチ21Aを有する並列ノッチ群である。シート本体10の幅方向に隣り合う第1のノッチ21Aの間の間隔は任意であるが、その間隔は、例えば、第1のノッチ21Aの長さ方向の1/10~9/10程度とされる。
【0035】
実施形態の下流側ノッチ群20Bは、シート本体10の幅方向に間隔をおいて配置された2つの第2のノッチ21Bを有する並列ノッチ群である。すなわち、本実施形態では、ノッチ21の数の合計は3つ以上であり、上流側ノッチ群20Aのノッチ21の数と、下流側ノッチ群20Bのノッチ21の数とは異なっている。2つの第2のノッチ21Bの幅方向の間隔は、上流側ノッチ群20Aの各第1のノッチ21A間の間隔と同じである。下流側ノッチ群20Bの2つの第2のノッチ21Bのそれぞれは、シート本体10の長さ方向である開封方向で見た場合において、上流側ノッチ群20Aの各第1のノッチ21Aの間に配置されている。下流側ノッチ群20Bの各第2のノッチ21Bの長さ方向中央の位置と、上流側ノッチ群20Aの隣り合う第1のノッチ21A間の中間位置とが、幅方向において揃っている。
【0036】
下流側ノッチ群20Bは、上流側ノッチ群20Aに対して、例えば1mm~20mm程度の距離をおいて開封方向の下流側に離れて配置されている。
【0037】
図4Bに示すように、上流側ノッチ群20Aの3つの第1のノッチ21A、及び下流側ノッチ群20Bの2つの第2のノッチ21Bの、計5つのノッチ21を平面視した場合、これら5つのノッチ21は、シート本体10の長さ方向の一端側と他端側とに交互にずれながら、シート本体10の幅方向の一端側から他端側に並んだ千鳥状に配置されている。したがって、上流側ノッチ群20A側の3つの第1のノッチ21Aと、下流側ノッチ群20Bの2つの第2のノッチ21Bとは、シート本体10の幅方向に隣接し合っている。すなわち、左側から右側に向かって、第1のノッチ21A、第2のノッチ21B、第1のノッチ21A、第2のノッチ21B、第1のノッチ21A、といった順で配置されている。幅方向に隣接する一対の第1のノッチ21Aと第2のノッチ21Bとは、長さ方向で見た場合において、互いに重なるオーバーラップ部23をそれぞれ有する。
【0038】
図4Aに示すように、上流側ノッチ群20Aの3つの第1のノッチ21Aのうち、左側の第1のノッチ21Aは、第1のカットテープ41に交差しており、右側の第1のノッチ21Aは、第2のカットテープ42に交差している。以下においては、第1のカットテープ41に交差する第1のノッチ21Aを第1の端部側ノッチ21A1といい、第2のカットテープ42に交差する第1のノッチ21Aを第2の端部側ノッチ21A2という場合がある。シート本体10の長さ方向において、第1の端部側ノッチ21A1と第2の端部側ノッチ21A2とは互いに同じ位置に配置されている。すなわち、第1の端部側ノッチ21A1及び第2の端部側ノッチ21A2の位置は、シート本体10の長さ方向で揃っている。
【0039】
第1の端部側ノッチ21A1は、自身の長さ方向の中央よりも左側の部分が第1のカットテープ41に交差している。第2の端部側ノッチ21A2は、自身の長さ方向の中央よりも右側の部分が第2のカットテープ42に交差している。第1のカットテープ41は、第1の端部側ノッチ21A1の左側の端部24aよりも内側(第2のカットテープ42側)に配置されている。第2のカットテープ42は、第2の端部側ノッチ21A2の右側の端部24fよりも内側(第1のカットテープ41側)に配置されている。
【0040】
図4Bに示すように、上流側ノッチ群20Aの各第1のノッチ21Aが形成されることにより、これら第1のノッチ21Aの開封方向下流側の山状の形状を有する部分のそれぞれが、第1の開封片25Aとなっている。下流側ノッチ群20Bの各第2のノッチ21Bが形成されることにより、これら第2のノッチ21Bの開封方向下流側の山状の形状を有する部分のそれぞれが、第2の開封片25Bとなっている。
【0041】
なお、上述したように、本実施形態のノッチ群20の各ノッチ21は同じ形状及びサイズを有し、幅方向に並ぶノッチ21の間隔も同じであるが、各ノッチ21の形状やサイズは異なっていてもよく、また、幅方向の間隔も異なっていてよい。例えば、
図4Cは、下流側ノッチ群20Bの2つの第2のノッチ21Bの長さが、上流側ノッチ群20Aの3つの第1のノッチ21Aよりも短い例を示している。この場合には、2つの第2のノッチ21Bの間の間隔は、第1のノッチ21Aの間の間隔よりも大きい。そして、幅方向に隣接する一対の第1のノッチ21Aと第2のノッチ21Bとは、長さ方向で見た場合において、互いに重なるオーバーラップ部23をそれぞれ有している。
【0042】
保護シート30は、シート本体10の幅方向に長い長方形状のフィルムである。保護シート30は、その一部が、シート本体10の外面10bに接着されている。上述した各開封片25A、25Bは、保護シート30を介して外面10b側にめくられる。
【0043】
図4Aに示すように、保護シート30は、保護部31と、摘まみ部32と、を含む。保護部31は、ノッチ群20を覆って外面10bに接着されている。保護部31は、ノッチ群20の形成領域と、ノッチ群20の形成領域の周囲の部分とを含む矩形状の領域に、接着剤によって接着されている。保護部31の接着領域は、開封開始領域11にほぼ等しい。保護部31は、その全領域が外面10bに接着されており、この保護部31により、ノッチ群20の全てのノッチ21が塞がれている。したがって、全てのノッチ21は保護部31により外部から隔てられる。摘まみ部32は、保護部31から開封方向の上流側に連続する部分である。摘まみ部32は、外面10bに接着されておらず、手指で摘まんで外面10b側にめくることが可能となっている。
【0044】
図1~
図3に示すように、シート本体10の内面10aには、シート本体10の長さ方向に延びる一対の帯状シート部50が配置される。一対の帯状シート部50は、第1のカットテープ41からシート本体10の幅方向外側に所定距離をあけて配置された第1の帯状シート部51と、第2のカットテープ42から幅方向外側に所定距離をあけて配置された第2の帯状シート部52と、を含む。これら帯状シート部51、52は、各カットテープ41、42と略平行である。各帯状シート部51、52は、シート本体10の内面10aに、超音波シール、ヒートシールあるいは接着剤塗布等の手段で貼着される。
【0045】
なお、第1の帯状シート部51及び第2の帯状シート部52のそれぞれは、シート本体10の外面10bに配置されてもよく、内面10aと及び外面10bの双方にシート本体10を挟んで配置されてもよい。
【0046】
シート本体10、保護シート30、各カットテープ41、42及び各帯状シート部51、52は、可撓性を有する透明もしくは半透明の合成樹脂製フィルムで構成される。当該樹脂フィルムは、ヒートシールを容易とする点で、熱溶着性を有すると好ましい。当該樹脂フィルムとしては、単層あるいは多層の合成樹脂フィルムが用いられる。単層の場合は、例えば、(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂フィルムである。多層の場合は、例えば、湿気を遮断するバリア層となるPVDC(ポリ塩化ビニリデン)コートを含んだポリプロピレン等の合成樹脂フィルムが使用でき、具体的には、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、CPP(無延伸ポリプロピレン)等が好適に使用される。なお、シート本体10、保護シート30、各カットテープ41、42及び各帯状シート部51、52のうちの少なくとも1つは、紙、不織布等の、上記樹脂製フィルム以外の材料であってもよい。
【0047】
シート本体10、保護シート30、各カットテープ41、42及び各帯状シート部51、52を形成する樹脂フィルムの厚みは、同じであってもよい。ただし、保護シート30は、開封の際に手指で摘まむ摘まみ部32がちぎれないようにする点から、比較的厚みが大きくコシのあるものが用いられることが望ましい。また、シート本体10は、包装状態が保持される厚みを有し、かつ、開封の際には容易に引き裂かれる厚みを有することが望ましい。
【0048】
包装材1は、例えば
図5に示すように、被包装物としての直方体状の食品5を内面10aの略中央に押し当て、包装材1を食品5の外形形状に沿って変形させて包み込む、いわゆる突き上げ包装によって、当該食品5を包装する。食品5を包装した包装材1は、
図5では見えない食品5の裏面側において折り込まれて食品5を外部から封鎖し、テープ等を貼って包装状態が保持される。あるいは、包装材1の裏面側に折り込まれた部分をヒートシールにより接着し、封鎖状態を保持する場合もある。食品5を包装した包装材1は、シート本体10の長さ方向が食品5の長さ方向と略平行な状態となり、表面側の中央やや一端側寄りに、外面10bに接着された保護シート30が配置される。
【0049】
包装材1は、保護シート30の摘まみ部32をめくり、その摘まみ部32を、
図5及び
図6の矢印Mで示す保護部31側の開封方向に引っ張ると、
図6に示すようにシート本体10の幅方向中央部分が引き裂かれて開口13が形成され、開封される。
【0050】
保護シート30は、摘まみ部32を摘まんで開封方向に引っ張ると、保護部31が外面10bから剥離する。そして引き続き保護シートを開封方向に引っ張ると、外面10bから剥離する保護部31に接着している複数の開封片25A、25Bが保護部31に追従してめくられる。このように保護シート30によって複数の開封片25A、25Bがめくられると、
図7Aに示すように、第1の端部側ノッチ21A1の左側の端部24aと、第2の端部側ノッチ21A2の右側の端部24fのそれぞれから、開封方向に延びる切れ目12a及び12fが生じる。左右の切れ目12a、12fは、各カットテープ41、42のシート本体10の幅方向外側に形成される。
【0051】
実施形態の場合、ノッチ21は計5つあるが、上述のように摘まみ部32を摘まんで保護シート30を開封方向に引っ張ると、まず、上流側ノッチ群20Aの各第1のノッチ21Aの下流側に位置して保護部31に接着している各第1の開封片25Aが、外面10b側にめくられていく。すると、
図7Aに示すように、左側の第1のノッチ21A(第1の端部側ノッチ21A1)の外側の端部24aからシート本体10が引き裂かれて切れ目12aが形成されるとともに、右側の第1のノッチ21A(第2の端部側ノッチ21A2)の外側の端部24fからシート本体10が引き裂かれて切れ目12fが形成される。さらに、これと同時に、左側の第1のノッチ21Aの右側の端部24b、真ん中の第1のノッチ21Aの両側の端部24c、24d、右側の第1のノッチ21Aの左側の端部24e、のそれぞれから、開封方向に切れ目12b、12c、12d、12eが生じる。そして、切れ目12b、12cは、下流側ノッチ群20Bの左側の第2のノッチ21Bに到達し、切れ目12d、12eは、下流側ノッチ群20Bの右側の第2のノッチ21Bに到達する。これにより、3つの第1のノッチ21Aと、2つの第2のノッチ21Bとは、切れ目12b、12c、12d、12eを介して連続する。この状態から、さらに保護シート30が開封方向に引っ張られると、上流側ノッチ群20Aよりも下流側の、3つの第1のノッチ21Aで形成される3つの第1の開封片25Aと、2つの第2のノッチ21Bで形成される2つの第2の開封片25Bとが1つのまとまった開封片となってめくられる。
【0052】
さらに摘まみ部32が引っ張られると、上述したまとまった開封片を起点として左右の切れ目12a、12fの間のシート本体10が開封方向に引き裂かれていく。これにより、
図6及び
図7Bに示すように左右の切れ目12a、12fの間が帯状に開口する。すなわち帯状の開口13が形成される。開口13の開封方向上流側端部である開封開始端には、開封方向に延びる短い短冊状の2つの残存片15a、15bが残存する。左右一対の残存片15a、15bは、保護部31に接着していたシート本体10の一部である。左側の残存片15aは、左側の第2のノッチ21Bに到達した左右一対の切れ目12b、12cの間に形成される。右側の残存片15bは、右側の第2のノッチ21Bに到達した左右一対の切れ目12d、12eの間に形成される。
【0053】
開口13が開封方向に延びることにより、包装材1は開封される。このように包装材1を開封されると、例えば、食品5を手掴みした状態で開口13から食品5を食することができたり、開口13から食品5を取り出したりすることできる。
【0054】
上述したようにシート本体10が引き裂かれ、左右の切れ目12a、12fが生じて開口13が形成されるとき、左側の切れ目12aの内側近傍に第1のカットテープ41が配置され、右側の切れ目12fの内側近傍に第2のカットテープ42が配置された状態となる。ここで、左側の切れ目12aが内側によれて進展しても、その切れ目12aは第1のカットテープ41に当たってそれ以上内側に切れ込むことなく、第1のカットテープ41の外端縁41aに沿って進展する。右側の切れ目12fが内側によれて進展しても、その切れ目12fは第2のカットテープ42に当たってそれ以上内側に切れ込むことなく、第2のカットテープ42の外端縁42aに沿って進展する。これにより、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の両側に形成される左右一対の切れ目12a、12fは消滅せず、開封を完遂させることができる。
【0055】
(包装袋)
実施形態に係る包装材1による包装形態は、
図5に示した突き上げ包装に限られない。例えば、
図8に示すように、シート本体10の幅方向両端部を互いに貼り合わせて背貼り部14aを形成するとともに、長さ方向他端側(
図8で下端側)の互いに対向する端部どうしを貼り合わせて底部シール部14bを形成することで、開口部14cを残したいわゆる合掌包装の形態に折り込んだ包装袋14を得ることができる。この包装袋14は、長方形状の袋体14dを含む。包装袋14には、例えば、おにぎり、サンドイッチ、調理パン、ハンバーガー等の塊状の食品や、液体状、粉状、粒状等の被包装物を収容して包装することができる。被包装物を収容した後に、開口部14cを気密的にシールして密閉する。なお、包装袋14としては、シート本体10をさらに適宜に折り込んで袋体14dを立体形状に形成したものであってもよい。この場合の立体形状は、立方体形状、直方体状の他に、三角柱状、あるいは円柱状等の形状を有する立体形状も含む。
【0056】
このように、包装材1から包装袋14を形成する場合、この包装袋14を多数製造し、供給先において包装袋14に任意の被包装物を収容して密閉することができる。
【0057】
(包装材原反ロール)
実施形態に係る包装材1は、
図9に示す実施形態に係る包装材原反ロール1Rから、多数を連続的に得ることができる。
【0058】
実施形態に係る包装材原反ロール1Rは、多数の包装材1が長さ方向に沿って連続するように一体化された長尺な包装材原反1Gが、ロール状に巻かれたものである。包装材原反ロール1Rに設けられる切断境界1cを切断することにより、多数の包装材1を順次得ることができる。
【0059】
包装材原反1Gは、樹脂フィルムからなる長尺帯状のシート本体原反10Gを主体とする。シート本体原反10Gには、1枚1枚のシート本体10となる多数のシート本体部10Aを区画する切断境界1cが設けられる。シート本体部10Aのそれぞれに、上述したノッチ群20が設けられているとともに、ノッチ群20を塞ぐ保護シート30が外面10bに設定される側の面にそれぞれ接着されている。保護シート30は、保護部31がシート本体原反10Gに接着剤により剥離可能に接着される。
【0060】
包装材原反ロール1Rにおいて、保護シート30は、シート本体原反10Gに接着されない摘まみ部32がロール巻き元側に配置され、シート本体原反10Gに接着される保護部31がロール巻き出し側に配置される。
【0061】
また、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42、及び第1の帯状シート部51及び第2の帯状シート部52となるそれぞれの原反、すなわち第1のカットテープ原反41G及び第2のカットテープ原反42G、及び第1の帯状シート部原反51G及び第2の帯状シート部原反52Gのそれぞれが、内面10aに設定される側の面にそれぞれ貼着されている。包装材原反ロール1Rは、保護シート30が貼着される外面10bが外周面の側に配置されるようにロール状に巻かれる。したがって、各カットテープ原反41G、42G及び各帯状シート部原反51G、52Gは、内周面の側に配置される。
【0062】
包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出しつつ、切断境界1cを順次切断していくことにより、包装材1を1枚ずつ得ることができる。また、包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出すときには、保護シート30はシート本体原反10Gに接着されている保護部31から先に巻き出され、接着されていない摘まみ部32は後から出てくる。このため、保護シート30の摘まみ部32がめくれたり折れて重なったりするおそれが生じず、巻き出しが円滑に行われる。また、保護シート30が比較的厚みが大きく、摘まみ部32にコシがあると、包装材原反ロール1Rの巻き取り時に摘まみ部32が折れることなく、円滑に巻くことができる。
【0063】
(製造方法)
実施形態に係る包装材原反ロール1R及び包装材1は、例えば
図10に示す製造ライン60により製造される。
【0064】
図10に示す製造ライン60は、シート本体原反ロール10Rからシート本体原反10GがH方向に巻き出されて搬送される。シート本体原反ロール10Rから巻き出された直後のシート本体原反10Gの外周面側に、カットテープ原反ロール40Rから巻き出された第1のカットテープ原反41G及び第2のカットテープ原反42Gと、帯状シート部原反ロール50Rから巻き出された第1の帯状シート部原反51G及び第2の帯状シート部原反52Gとが、所定箇所にそれぞれ重ねられる。次に、シール部61で、各カットテープ原反41G、42G及び各帯状シート部原反51G、52Gが、シート本体原反10Gに貼着される。シール部61は、超音波シールやヒートシール等の貼着手段を有するが、貼着された部分及びその周辺に皺が生じにくい点で、超音波シールが好ましい。
【0065】
次いで、ノッチ形成部62で、シート本体原反10Gにノッチ群20の複数のノッチ21が形成される。複数のノッチ21は、ノッチ21の形状を有する図示しない複数のカッターでシート本体原反10Gを打ち抜くことにより形成される。ノッチ群20は、上述した切断境界1cによってシート本体原反10Gに区画される1つ1つの包装材1の開封開始領域11に、間欠的に形成される。
【0066】
次に、保護シート貼着部63で、シート本体原反10Gの、各カットテープ原反41G、42G及び各帯状シート部原反51G、52Gが貼着された側とは反対側の面に、保護シート30が接着される。保護シート30は、保護シート30が一定間隔おきに台紙に貼られている保護シート原反ロール30Rから、1枚1枚剥離されて、各シート本体部10Aの開封開始領域11に間欠的に接着される。
【0067】
以上のようにして、シート本体原反10Gに、各カットテープ原反41G、42G及び各帯状シート部原反51G、52Gが貼着されるとともに、開封開始領域11にノッチ群20の複数のノッチ21が形成され、開封開始領域11に保護シート30が接着された
図9に示す包装材原反1Gが製造される。そして、この包装材原反1Gが巻き取られて包装材原反ロール1Rが得られる。この包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出し、シート本体部10Aを切断境界1cで切断することにより、包装材1を1枚ずつ得ることができる。
【0068】
実施形態に係る包装材原反1Gは、幅方向両端部近傍のそれぞれの位置に、長さ方向に延びる第1の帯状シート部原反51G及び第2の帯状シート部原反52Gが貼着されている。これにより、第1のカットテープ原反41G及び第2のカットテープ原反42Gや、保護シート30によって幅方向中央部の厚みが大きくなる厚みの偏りが抑えられ、幅方向の厚みを全体的に均一化させることができる。その結果、包装材原反1Gを巻き取って包装材原反ロール1Rを得る場合に、厚みの偏りによるヨレが生じて巻き取り不良が起こることが抑えられる。
【0069】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0070】
実施形態に係る包装材1は、被包装物としての食品5を包囲可能で、食品5と対面する内面10a及び内面10aと反対側の外面10bを有するシート本体10と、シート本体10に設定される開封開始領域11に配置され、シート本体10の端縁10eに開放しない複数のノッチ21を含むノッチ群20と、ノッチ群20を覆ってシート本体10に配置される保護シート30と、少なくとも開封開始領域11から開封方向に延在し、その開封方向と直交する開封交差方向に互いに離間する第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42と、を備え、ノッチ群20は、開封交差方向に配置される複数のノッチ21を含むとともに、少なくとも、第1のカットテープ41に交差する第1の端部側ノッチ21A1と、第2のカットテープ42に交差する第2の端部側ノッチ21A2と、を含み、さらに複数のノッチ21のうち、開封交差方向に隣接する一対のノッチ21は、開封方向に離れて配置されており、かつ、当該開封方向で見た場合において互いに重なるオーバーラップ部23をそれぞれ有する。
【0071】
実施形態によれば、少なくとも2つの第1の端部側ノッチ21A1と第2の端部側ノッチ21A2とが、シート本体10を開封するための引き裂きの起点となり、これら2つのノッチ21A1、21A2が交差する第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の間を、開封のための開口13として形成することができる。少なくとも2つのノッチ21を、開封交差方向に配置することにより、シート本体10に形成される開口13の幅を広くすることができる。このため、引き裂きによって形成される開口13の幅を大きくすることができる。
【0072】
また、少なくとも2つのノッチ21によりシート本体10を引き裂く起点を設けるため、それぞれのノッチ21の長さを、1つのノッチの場合よりも短くすることができるとともに、分散して配置することができる。このため、ノッチ21によるシート本体10及び包装材1の強度低下を抑制することができる。例えば、上述したように包装材原反1Gを巻き取って包装材原反ロール1Rを製造したり、包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出して包装材1を1枚ずつ製造したりする場合、包装材原反1Gにはテンションがかかる。そのようにテンションがかかった場合にも、強度の低下が抑制されるため、
ノッチ21の周辺に応力が集中して包装材原反1Gや包装材1が破断することが抑制される。また、1つ1つのノッチ21が大きくなることが抑制されるため、ノッチ21の開封方向下流側の各開封片25A、25Bが捲れやすくなって包装材1が不用意に引き裂かれやすくなるという不具合の発生が起こりにくくなる。
【0073】
すなわち実施形態の包装材1は、強度の低下が抑制されながら、引き裂きによって形成される開口13の幅を大きくすることができる。
【0074】
さらに、引き裂きに要する力を軽減させることができるので、開封のために過剰な力をかけたことにより一気に開封が起こって被包装物を飛び出させてしまうなどの不具合の発生を抑えることができる。
【0075】
実施形態に係る包装材1においては、ノッチ群20は、第1の端部側ノッチ21A1と、第2の端部側ノッチ21A2と、を含む3つ以上のノッチ21を有し、第1の端部側ノッチ21A1及び第2の端部側ノッチ21A2は、開封方向の位置が互いに同じであることが好ましい。
【0076】
これにより、ノッチ21の数が多いため、開口13の幅を大きくすることができる。また、開口13の起点となる第1の端部側ノッチ21A1の端部24a及び第2の端部側ノッチ21A2の端部24fのそれぞれから、ほぼ同時に切れ目12が生じるとともに、引き裂く力が左右いずれかに偏ることなくシート本体10を引き裂くことができる。したがって、シート本体10を円滑に開封することができる。
【0077】
実施形態に係る包装材1においては、ノッチ群20は、少なくとも1つのノッチ21を含む上流側ノッチ群20Aと、上流側ノッチ群20Aよりも開封方向の下流側に配置された少なくとも1つのノッチ21を含む下流側ノッチ群20Bと、を有し、上流側ノッチ群20A及び下流側ノッチ群20Bのうちの、少なくとも一方は、開封交差方向に沿って並列された複数のノッチ21を含む並列ノッチ群である。
【0078】
これにより、開封交差方向に並列する並列ノッチ群の複数のノッチ21を、各カットテープ41、42の間に分散配置することができるため、ノッチ21による強度低下をより抑制することができるとともに、開口13の幅をより大きくすることができる。
【0079】
実施形態に係る包装材1においては、上流側ノッチ群20Aのノッチ21の数と、下流側ノッチ群20Bのノッチ21の数とが異なっており、上流側ノッチ群20Aは3つのノッチ21を有し、下流側ノッチ群20Bは2つのノッチ21を有している。
【0080】
これにより、複数のノッチ21を各カットテープ41、42の間に分散配置することができるため、ノッチ21による強度低下をより抑制することができるとともに、開口13の幅をより大きくすることができる。なお、上流側ノッチ群20Aのノッチ21の数と、下流側ノッチ群20Bのノッチ21の数は同じであってもよく、この場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0081】
実施形態に係る包装材1においては、ノッチ21は、開封方向と直交する方向に延在する長さ方向を有するとともに、その長さ方向の両端部が、長さ方向の中央部よりも開封方向の下流側に位置することが好ましく、そのような形状の例として、円弧形状を有している。
【0082】
これにより、開封方向の側に位置するノッチ21の両端部が起点となってシート本体10を円滑に引き裂きやすい。シート本体10が比較的厚みがある場合にも、シート本体10を円滑に引き裂いて開封を容易に行うことができる。
【0083】
実施形態に係る包装材1においては、保護シート30は、シート本体10の外面10bに配置されることが好ましい。
【0084】
これにより、シート本体10を開封した後において保護シート30は食品5を包装しているシート本体10側に残存しない。このため、保護シート30が邪魔にならずに食品5を食すことができ、また、包装材1から食品取り出す場合には取り出しやすい。
【0085】
実施形態に係る包装材1においては、開封方向に延在する一対の帯状シート部51A、51Bが、シート本体10の、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42のそれぞれの外側における内面10a及び外面10bのうちの少なくとも一方に配置されていることが好ましい。
【0086】
これにより、包装材1の幅方向の全体的な厚みに偏りが生じることを抑えることができる。このため、包装材1の原反(上記包装材原反1G)をロール状に巻き取った場合、厚みの偏りによる巻き取り不良を抑えることができる。
【0087】
実施形態に係る包装袋14は、包装材1のシート本体10が袋状に形成された袋体14dを含み、袋体14dの内部に被包装物が収容される。
【0088】
これにより、包装材1をそのままの状態で突き上げ包装により被包装物を包装できることに加え、包装材1を包装袋14に加工し、その包装袋14に、液体状、粉状、粒状等の多様な形態の被包装物を収容して包装することができる。
【0089】
実施形態に係る包装袋14は、シート本体10が折り込まれて袋体14dが立方体形状に形成される形態を含む。
【0090】
これにより、シート本体10の折り込み方に応じて、袋体14dを多様な形状とすることができる。
【0091】
実施形態に係る包装材原反ロール1Rは、包装材1が、帯状シート部50の延在する方向に連続するように一体化された包装材原反1Gが、ロール状に巻かれている。
【0092】
これにより、包装材原反1Gから多数の包装材1を切り出すことにより、その包装材1を容易に製造することができる。また、帯状シート部50が延在することにより、幅方向厚みが全体的に均一化し、厚みの偏りによる巻き取り不良を抑えることができる。
【0093】
(ノッチ群の変形例)
以下に、上記実施形態の包装材1において、ノッチ群20の構成、すなわちノッチ21の数や配置等を変更した変形例1~5について説明する。これら変形例1~5は、ノッチ21の数や配置等の変更点以外は上記実施形態と構成が同じである。したがって以下の説明では、上記実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。なお、以下で参照する図では、開封方向を矢印Mで示している。
【0094】
図11Aは、第1変形例に係るノッチ群20を示している。第1変形例のノッチ群20は、上記実施形態の上流側ノッチ群20A及び下流側ノッチ群20Bが逆パターンになっている。すなわち、上流側ノッチ群20Aは2つの第1のノッチ21Aを有し、下流側ノッチ群20Bは3つの第2のノッチ21Bを有する。そして、下流側ノッチ群20Bの、左側の第2のノッチ21Bが第1のカットテープ41に交差する第1の端部側ノッチ21B1となっており、右側の第2のノッチ21Bが第2のカットテープ42に交差する第2の端部側ノッチ21B2となっている。各ノッチ21は、
図4Bで示したようなオーバーラップ部を有する。各ノッチ21の形状や大きさは、上記実施形態と同様である。
【0095】
この第1変形例では、保護シート30をめくってシート本体10を開封する際には、
図11Aに示すように、ノッチ21間に切れ目12が生じるとともに、第1のカットテープ及び第2のカットテープの外側の切れ目12が開封方向に延びる。これにより、
図11Bに示すように開封方向に延びる開口13が形成されてシート本体10が開封される。
【0096】
図12Aは、第2変形例に係るノッチ群20を示している。第2変形例のノッチ群20は、2つの第1のノッチ21Aを有する上流側ノッチ群20Aと、上流側ノッチ群20Aの開封方向下流側に配置された下流側ノッチ群20Bと、を有する。下流側ノッチ群20Bは、少なくとも1つの第2のノッチ21Bを有してよく、この場合は1つである。2つの第1のノッチ21Aが開封交差方向に並列する上流側ノッチ群20Aは、並列ノッチ群である。上流側ノッチ群20Aの2つの第1のノッチ21Aのうち、左側の第1のノッチ21Aが第1のカットテープ41に交差する第1の端部側ノッチ21A1となっており、右側の第1のノッチ21Aが第2のカットテープ42に交差する第2の端部側ノッチ21A2となっている。各ノッチ21は、
図4Bで示したようなオーバーラップ部を有する。各ノッチ21の形状は円弧状で実施形態と同様であるが、その長さは上記実施形態のノッチ21よりも長い。
【0097】
この第2変形例では、保護シート30をめくってシート本体10を開封する際には、
図12Aに示すように、ノッチ21間に切れ目12が生じるとともに、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の外側の切れ目12が開封方向に延びる。これにより、
図12Bに示すように開封方向に延びる開口13が形成されてシート本体10が開封される。
【0098】
なお、上記第2変形例のように、2つのノッチ21による並列ノッチ群と、1つのノッチ21とを、シート本体10の長さ方向に分けて配置する場合、
図12Aとは逆のパターン、すなわち、1つのノッチ21を開封方向上流側に配置し、2つのノッチ21を含む並列ノッチ群を開封方向下流側に配置してもよい。換言すると、下流側ノッチ群20Bを2つのノッチ21による並列ノッチ群とし、上流側ノッチ群20Aを1つのノッチ21を含む構成としてもよい。その場合、開封方向下流側の2つのノッチ21が、第1のカットテープ41に交差する第1端部側ノッチ、及び、第2のカットテープ42に交差する第2端部側ノッチとなる。開封方向上流側の1つのノッチ21は、その両端部のそれぞれが、開封方向下流側の2つのノッチ21に、シート本体10の長さ方向で重なるオーバーラップ部を有する。この逆パターンの場合、保護シート30をめくると、開封方向上流側の1つのノッチ21の両端部から、開封方向下流側の2つのノッチ21まで切れ目12がそれぞれ入り、次いで、これら開封方向下流側の2つのノッチ21のそれぞれの外側の端部から、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の外側に切れ目12が生じる。これにより、開口13が形成されてシート本体10が開封される。
【0099】
図13Aは、第3変形例に係るノッチ群20を示している。第3変形例のノッチ群20は、上記実施形態の上流側ノッチ群20A及び下流側ノッチ群20Bを備えており、さらに下流側ノッチ群20Bの開封方向下流側に、第2の下流側ノッチ群20Cが配置されている。第2の下流側ノッチ群20Cは、シート本体10の幅方向に配列された3つの第3のノッチ21Cを含む。上流側ノッチ群20A、下流側ノッチ群20B及び第2の下流側ノッチ群20Cは、いずれも複数のノッチ21が開封交差方向に並列する並列ノッチ群である。第2の下流側ノッチ群20Cの3つの第3のノッチ21Cのうち、左側の第3のノッチ21Cが第1のカットテープ41に交差する第1の端部側ノッチ21C1となっており、右側の第3のノッチ21Cが第2のカットテープ42に交差する第2の端部側ノッチ21C2となっている。各ノッチ21は、
図4Bで示したようなオーバーラップ部23を有する。各ノッチ21の形状や大きさは、上記実施形態と同様である。
【0100】
この第3変形例では、保護シート30をめくってシート本体10を開封する際には、
図13Aに示すように、ノッチ21間に切れ目12が生じるとともに、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の外側の切れ目12が開封方向に延びる。これにより、
図13Bに示すように開封方向に延びる開口13が形成されてシート本体10が開封される。第3変形例によれば、保護シート30をめくって開封する際に、開封方向の最上流側に配置される上流側ノッチ群20Aの各第1のノッチ21Aからシート本体10がめくられない事態が起こっても、次の下流側ノッチ群20Bの各第2のノッチ21Bが起点となってシート本体10をめくることが可能となる。第3変形例のように、シート本体10の長さ方向に3列、または3列を超える多数の並列ノッチ群を有することにより、確実にシート本体10を開封することができる。
【0101】
図14Aは、第4変形例に係るノッチ群20を示している。第4変形例のノッチ群20は、上流側ノッチ群20Aと、上流側ノッチ群20Aの開封方向下流側に配置された下流側ノッチ群20Bと、を備えている。上流側ノッチ群20Aは、シート本体10の幅方向に並列する2つの第1のノッチ21Aを有している。下流側ノッチ群20Bは、シート本体10の幅方向に並列する2つの第2のノッチ21Bを有している。すなわち、上流側ノッチ群20Aのノッチ21の数と、下流側ノッチ群20Bのノッチ21の数とは、同じである。上流側ノッチ群20A及び下流側ノッチ群20Bは、いずれも、2つのノッチ21が開封交差方向に並列する並列ノッチ群である。
【0102】
上流側ノッチ群20Aの2つの第1のノッチ21Aのうち、左側の第1のノッチ21Aが第1のカットテープ41に交差する第1の端部側ノッチ21A1となっている。また、下流側ノッチ群20Bの2つの第2のノッチ21Bのうち、右側の第2のノッチ21Bが第2のカットテープ42に交差する第2の端部側ノッチ21B2となっている。2つの第2のノッチ21Bのそれぞれは、第1のノッチ21Aに対してシート本体10の幅方向にずれている。これによって各ノッチ21は、
図4Bで示したようなオーバーラップ部を有する。各ノッチ21の形状は円弧状で実施形態と同様であるが、その長さは、上記実施形態のノッチ21よりも長い。
【0103】
この第4変形例では、保護シート30をめくってシート本体10を開封する際には、
図14Aに示すように、ノッチ21間に切れ目12が生じるとともに、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の外側の切れ目12が開封方向に延びる。これにより、
図14Bに示すように開封方向に延びる開口13が形成されてシート本体10が開封される。
【0104】
図15Aは、第5変形例に係るノッチ群20を示している。第5変形例のノッチ群20は、開封方向上流側の1つのノッチ21と、開封方向下流側の1つのノッチ21と、を備えている。開封方向上流側のノッチ21は、第1のカットテープ41に交差する第1の端部側ノッチ21A1となっている。また、開封方向下流側のノッチ21は、第2のカットテープ42に交差する第2の端部側ノッチ21B2となっている。2つのノッチ21は、互いにシート本体10の幅方向にずれている。これによって各ノッチ21は、
図4Bで示したようなオーバーラップ部を有する。各ノッチ21の形状は円弧状で実施形態と同様であるが、その長さは、上記第2変形例及び第4変形例のノッチ21よりもさらに長い。
【0105】
この第5変形例では、保護シート30をめくってシート本体10を開封する際には、
図15Aに示すように、ノッチ21間に切れ目12が生じるとともに、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の外側の切れ目12が開封方向に延びる。これにより、
図15Bに示すように開封方向に延びる開口13が形成されてシート本体10が開封される。
【0106】
(カットテープの変形例)
次に、
図16を参照して第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の形状を変更した変形例について説明する。
図16は、
図1と同様の包装材1の平面図であり、
図1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
【0107】
変形例の第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、シート本体10の長さ方向に延在するものの、長さ方向と平行、かつ互いに平行ではなく、湾曲している。変形例の第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、
図16において、シート本体10の幅方向の中央を通る線を左右対称線として左右対称であり、かつ長さ方向の中央を通る線を上下対称線として上下対称である。
【0108】
ここで、
図16に示すように、シート本体10の四辺の端縁10eのうち、上下左右の端縁10eのそれぞれを、上側端縁10e1、下側端縁10e2、左側端縁10e3、右側端縁10e4とする。第1のカットテープ41は、上側端縁10e1から下側端縁10e2に向かうにつれて左側端縁10e3に近付き、長さ方向中央で最も左側端縁10e3に近付いてから左側端縁10e3から離れていき、下側端縁10e2に達する。第2のカットテープ42は、上側端縁10e1から下側端縁10e2に向かうにつれて右側端縁10e4に近付き、長さ方向中央で最も右側端縁10e4に近付いてから右側端縁10e4から離れていき、下側端縁10e2に達する。第1のカットテープ41は、上側端縁10e1から下側端縁10e2にわたり、左側端縁10e3側に凸になるようになだらかに湾曲している。第2のカットテープ42は、上側端縁10e1から下側端縁10e2にわたり、右側端縁10e4側に凸になるようになだらかに湾曲している。第1のカットテープ41と第2のカットテープ42は、上側端縁10e1の近傍、及び下側端縁10e2の近傍において、交差している。
【0109】
ノッチ群20の各ノッチ21のうち、開封方向上流側の左側のノッチ21が、第1のカットテープ41に交差しており、開封方向上流側の右側のノッチ21が、第2のカットテープ42に交差している。
【0110】
この変形例によれば、保護シート30をめくってシート本体10を引き裂いて開封する際、各カットテープ41、42の間に、実施形態における開口13が楕円状に形成される。これにより、包装材1の中央に大きな開口13が形成されるとともに、その開口13の開封方向上流側及び下流側は、開口13の幅が小さくシート本体10の面積が大きい。このため、包装されている食品を包装材1から露出させやすく、かつ、食品に触ることなく食品を掴みやすい。すなわち、食品を衛生的、かつ、容易に食すことができる。
【0111】
なお、この変形例においては、
図16の二点鎖線で示すように、開封開始領域11を上側端縁10e1寄りに配置してもよい。その場合には、ノッチ群20の中の第1の端部側ノッチ及び第2の端部側ノッチのそれぞれが、各カットテープ41、42に交差して開封の起点になり得るように適宜配置させる。また、第1のカットテープ41と第2のカットテープ42との交差部を、
図16に示す位置よりも上側端縁10e1からもう少しシート本体10の長さ方向中央側に離れた位置に配置し、ノッチ群20を、第1のカットテープ41と第2のカットテープ42との交差部よりも上側端縁10e1側に配置してもよい。なお、ノッチ群20の構成は
図16に示すものに限らず、例えば、上述したノッチ群20の各変形例を採用することも可能である。
【0112】
以上、実施形態に係る包装材1及び実施形態を基にした各変形例を説明したが、本発明はこれら実施形態及び変形例に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0113】
例えば、ノッチ21の形状は円弧形状に限定されず、開封方向上流側に凸となる逆V字状や台形状等の形状であってもよい。さらにこれら逆V字状や台形状以外にも、シート本体10の幅方向に沿ったその長さ方向の両端部が、その長さ方向の中央部よりも開封方向の下流側に位置する形状であってよい。そのような形状はシート本体10を引き裂く上でノッチ21を起点とした開封方向に延びる切れ目が生じやすく、開封が容易となる。
【0114】
ノッチ群20のノッチ21の数は任意であり、複数のノッチ21を含む並列ノッチ群の数も、上記変形例3の3列を超えて4列以上あってもよい。
【0115】
ノッチの形状は、ノッチ群の中で同じ形状であってよいが、異なる形状の複数のノッチでノッチ群が構成されてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 包装材
1G 包装材原反
1R 包装材原反ロール
5 食品(被包装物)
10 シート本体
10a シート本体の内面
10b シート本体の外面
10e シート本体の端縁
11 開封開始領域
14 包装袋
14d 袋体
20 ノッチ群
20A 上流側ノッチ群
20B 下流側ノッチ群
21 ノッチ
21A1 第1の端部側ノッチ
21A2 第2の端部側ノッチ
21B1 第1の端部側ノッチ
21B2 第2の端部側ノッチ
21C1 第1の端部側ノッチ
21C2 第2の端部側ノッチ
23 オーバーラップ部
30 保護シート
41 第1のカットテープ
42 第2のカットテープ
50 帯状シート部