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特開2023-150783通信デバイスの通信制御方法、物品管理器具、及び、物品管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150783
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】通信デバイスの通信制御方法、物品管理器具、及び、物品管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20231005BHJP
   G06K 19/073 20060101ALI20231005BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20231005BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20231005BHJP
   A47F 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G06K19/07 100
G06K19/07 040
G06K19/07 170
G06K19/073 027
G06K19/077 252
G06K7/10 244
A47F7/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060052
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】植田 良行
(72)【発明者】
【氏名】平田 和也
(72)【発明者】
【氏名】坂上 充敏
(57)【要約】
【課題】エネルギーハーベスティング技術を実装した通信デバイスが発する電波の遮蔽の有無に対する通信の応答性を高める。
【解決手段】本発明のある態様は、通信デバイスの通信制御方法であって、(i)通信デバイスの複数のアンテナのうち通信用アンテナに金属含有部材を近接させ、又は、その一部を金属含有部材で覆うことで、通信デバイスの無線装置との通信を遮断すること、(ii)通信デバイスの無線装置との通信可否の如何に関わらず、通信デバイスが、通信デバイスのエネルギー取得用アンテナによって得たエネルギーを基にキャパシタを充電して、キャパシタの電圧を所定値以上に保つこと、(iii)通信用アンテナに金属含有部材を近接させること、又は、その一部を金属含有部材で覆うことが解除された場合には、通信デバイスの無線装置との通信を再開すること、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線装置と通信を行うための通信用アンテナと、周囲の電波からエネルギーを得るためのエネルギー取得用アンテナと、を含む複数のアンテナと、前記エネルギー取得用アンテナによって得たエネルギーを基に充電されるキャパシタと、を備え、前記キャパシタの電圧が所定値以上である場合に前記無線装置と通信を行う通信デバイスの通信制御方法であって、
前記複数のアンテナのうち前記通信用アンテナに金属含有部材を近接させ、又は、前記通信用アンテナの少なくとも一部を前記金属含有部材で覆うことで、前記通信デバイスの前記無線装置との通信を遮断し、
前記通信デバイスの前記無線装置との通信可否の如何に関わらず、前記通信デバイスが、前記エネルギー取得用アンテナによって得たエネルギーを基に前記キャパシタを充電して、前記キャパシタの電圧を前記所定値以上に保ち、
前記通信用アンテナに前記金属含有部材を近接させること、又は、前記通信用アンテナの少なくとも一部を前記金属含有部材で覆うことが解除された場合には、前記通信デバイスの前記無線装置との通信を再開すること、を含む、
通信デバイスの通信制御方法。
【請求項2】
前記通信デバイスは、前記通信デバイスの動き又は周囲の温度を検出するセンサを有し、
前記方法は、前記無線装置が前記通信デバイスとの通信により前記センサによる検出データを取得することを含む、
請求項1に記載された通信デバイスの通信制御方法。
【請求項3】
前記通信デバイスと前記無線装置の間の通信は、Bluetooth(登録商標) Low Energyに従って行われる、
請求項1又は2に記載された通信デバイスの通信制御方法。
【請求項4】
無線装置と通信を行うための通信用アンテナと、周囲の電波からエネルギーを得るためのエネルギー取得用アンテナと、を含む複数のアンテナと、前記エネルギー取得用アンテナによって得たエネルギーを基に充電されるキャパシタと、を備え、前記キャパシタの電圧が所定値以上である場合に前記無線装置と通信を行う通信デバイスの通信制御方法であって、
前記複数のアンテナのうち前記通信用アンテナに電波遮蔽部材を近接させ、又は、前記通信用アンテナの少なくとも一部を前記電波遮蔽部材で覆うことで、前記通信デバイスの前記無線装置との通信を遮断し、
前記通信デバイスの前記無線装置との通信可否の如何に関わらず、前記通信デバイスが、前記エネルギー取得用アンテナによって得たエネルギーを基に前記キャパシタを充電して、前記キャパシタの電圧を前記所定値以上に保ち、
前記通信用アンテナに前記電波遮蔽部材を近接させること、又は、前記通信用アンテナの少なくとも一部を前記電波遮蔽部材で覆うことが解除された場合には、前記通信デバイスの前記無線装置との通信を再開すること、を含む、
通信デバイスの通信制御方法。
【請求項5】
前記電波遮蔽部材は、電波吸収体である、
請求項4に記載された通信デバイスの通信制御方法。
【請求項6】
一端が物品に取り付けられた線状部材と、前記線状部材を前記一端から第1方向に付勢する付勢部材と、を有する物品取り付け用具と、
前記線状部材に取り付けられ、通信デバイスと、
前記通信デバイスを収容可能であって、金属含有部材が内部に固定されているデバイス収容部と、を備え、
前記通信デバイスは、
無線装置と通信を行うための通信用アンテナと、周囲の電波からエネルギーを得るためのエネルギー取得用アンテナと、を含む複数のアンテナと、前記エネルギー取得用アンテナによって得たエネルギーを基に充電されるキャパシタと、を有し、前記キャパシタの電圧が所定値以上である場合に前記無線装置と通信を行うデバイスであり、
前記通信デバイスは、前記物品に対して前記付勢部材の前記第1方向の付勢力に抗する外力が加わっていない場合に前記デバイス収容部に収容され、前記物品に対して前記付勢部材の前記第1方向の付勢力に抗する外力が加わった場合に前記デバイス収容部から退出可能となり、
前記通信デバイスが前記デバイス収容部に収容されたときに、前記複数のアンテナのうち前記通信用アンテナが前記金属含有部材に近接し、又は、前記通信用アンテナの少なくとも一部が前記金属含有部材で覆われるように構成されている、
物品管理器具。
【請求項7】
請求項6に記載された物品管理器具と、
前記通信デバイスと無線通信を行う無線装置と、
前記無線装置による前記通信デバイスとの時間の経過に応じた通信可否の結果を取得し、前記通信可否の結果に基づいて前記無線装置が前記通信デバイスと通信可能となる頻度を測定する測定装置と、を備えた、
物品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信デバイスの通信制御方法、物品管理器具、及び、物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、太陽光、振動、熱、電磁界等、環境中に存在するエネルギーを電力に変換する技術としてエネルギーハーベスティングが知られている。例えば、特許文献1の図3等には、周囲の電磁界を電力に変換するエネルギーハーベスティングとして、アンテナから入力される所定の周波数の電磁界を、使用可能な交流電圧に変換するとともに、当該交流電圧を整流して直流出力を生成し、生成した直流出力をキャパシタにより構成される電荷蓄積ユニットに供給することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-525928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで一般に、無線タグ等の通信デバイスに対して金属物質を含有する金属含有部材を近接させ、あるいは、通信デバイスを金属含有部材で覆うことで、通信デバイスが発する電波が金属含有部材によって遮蔽されて通信を行うことができなくなる。そこで、本願の発明者は、周囲の電磁界を電力に変換するエネルギーハーベスティング技術を実装した通信デバイスが発する電波を金属含有部材によって遮蔽する、又は遮蔽しないことにより、特定のイベントを検出することを着想した。特定のイベントとは、例えば、通信デバイスが取り付けられた物品に蓋が置かれたことを示すイベントや、通信デバイスに連結された物品が手に取られたことを示すイベント等である。
【0005】
しかし、発明者がイベントの検出について研究を重ねた結果、エネルギーハーベスティング技術を実装した通信デバイスを利用したイベントの検出には応答性において問題があることが判明した。すなわち、通信デバイスが発する電波を金属含有部材によって遮蔽した後に、金属含有部材による遮蔽を取り除いた場合に、遮蔽を取り除いてから通信デバイスから電波が発するまでに時間が掛かり、イベントの発生を適時に検出できていないという問題である。
【0006】
そこで、本発明は、エネルギーハーベスティング技術を実装した通信デバイスが発する電波の遮蔽の有無に対する通信の応答性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、無線装置と通信を行うための通信用アンテナと、周囲の電波からエネルギーを得るためのエネルギー取得用アンテナと、を含む複数のアンテナと、前記エネルギー取得用アンテナによって得たエネルギーを基に充電されるキャパシタと、を備え、前記キャパシタの電圧が所定値以上である場合に前記無線装置と通信を行う通信デバイスの通信制御方法である。
この方法は、
前記複数のアンテナのうち前記通信用アンテナに金属含有部材を近接させ、又は、前記通信用アンテナの少なくとも一部を前記金属含有部材で覆うことで、前記通信デバイスの前記無線装置との通信を遮断し、
前記通信デバイスの前記無線装置との通信可否の如何に関わらず、前記通信デバイスが、前記エネルギー取得用アンテナによって得たエネルギーを基に前記キャパシタを充電して、前記キャパシタの電圧を前記所定値以上に保ち、
前記通信用アンテナに前記金属含有部材を近接させること、又は、前記通信用アンテナの少なくとも一部を前記金属含有部材で覆うことが解除された場合には、前記通信デバイスの前記無線装置との通信を再開すること、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明のある態様によれば、エネルギーハーベスティング技術を実装した通信デバイスが発する電波の遮蔽の有無に対する通信の応答性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態の商品管理システムの適用例を示す図であり、商品棚に商品が置かれている状態を示す図である。
図2図1に示すシステム適用例において、商品棚に商品が置かれている状態を横から見た図である。
図3】一実施形態の商品管理システムにおいて、コード巻き取り用具の構造を説明する図である。
図4図3に示すコード巻き取り用具において、コードが引き出されていない状態とコードが引き出された状態を断面で示す図である。
図5】収容部材の形状を説明する図である。
図6】一実施形態の商品管理システムにおいて、コードが引き出されていない状態とコードが引き出された状態のIoTタグと収容部材の位置関係を説明する図である。
図7図6のB-B断面を拡大して示す断面図である。
図8図6とは異なる形状の金属含有部材を含む収容部材について、コードが引き出されていない状態とコードが引き出された状態のIoTタグと収容部材の位置関係を説明する図である。
図9】一実施形態の商品管理システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図10図6とは異なる形状の金属含有部材を含む収容部材について、コードが引き出されていない状態とコードが引き出された状態のIoTタグと収容部材の位置関係を説明する図である。
図11図8とは異なる向きに配置されたIoTタグがプレートに配置された場合に、コードが引き出されていない状態とコードが引き出された状態のIoTタグと収容部材の位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示において「物品」とは、例えば商品、製品、半製品(製造途中にある中間段階の製品)、モックアップ等の有体物を意味する。以下の実施形態では、物品の一例として、販売促進用商品(POSM(Point of Sale Material)ともいう。)を挙げる。
本開示において「金属含有部材」とは、単一金属元素を含有する部材に限られず、金属元素を含む化合物を含有する部材も含む。
【0011】
以下、一実施形態の商品管理システムについて、商品が電気髭剃りである場合を例に採り、図面を参照してより具体的に説明する。
一実施形態の商品管理システムは、店舗に販売促進用商品(POSM)を試供可能に配置し、販売促進用商品を来店者が手に取る時刻や頻度を自動で測定することにより、有用なマーケティング情報を効率的に取得するように構成されている。
販売促進用商品(以下、単に「商品」という。)は限定しないが、来店者が手に取って試してみたくなるような商品であることが好ましく、例えば、電気髭剃り、デジタルカメラ、ビデオカメラ、スマートフォン等であるが、その限りではない。商品は、筆箱や万年筆等の文房具、香水、口紅やファンデーション等の化粧品、携帯型ゲーム機、ハンディクリーナ等の家電製品、洗濯用の柔軟剤、さらには香りの見本等に広く適用することができる。
【0012】
図1は、電気髭剃りのPOSMとして6台の商品7-1~7-6が商品棚3に試供可能に展示されている状態の図を示している。図2は、商品棚3に商品が置かれている状態を横から見た図である。以下の説明では、商品7-1~7-6に共通して言及するときには「商品7」と表記する。
図1に示すように、商品棚3のホルダ30に設けられた凹部H-1~H-6に、それぞれ6台の商品7-1~7-6が収容され、各ホルダの近傍には来店者への商品説明のためのラベルPL1~PL6が配置されている。以下の説明では、凹部H-1~H-6に共通して言及するときには「凹部H」と表記する。
【0013】
図2では、1個の商品7について、商品7がホルダ30に保持されていない状態(実線)と、ホルダ30から外された状態(仮想線)とを比較して示してある。
図2に示すように、商品棚3は、脚部34と、脚部34に支持された基部33と、基部33上に固定されているホルダ30とを有する。
ホルダ30は、凹部Hが形成されて商品7の底部を支持するための支持部31と、背もたれ部32とを有する。背もたれ部32は、支持部31から上方に延びる板状部材であり、商品7の背面部を支持可能である。
【0014】
図2に示すように、商品7の底部にはコード15(線状部材の一例)の一端が取り付けられている。コード15の他端は、コード巻き取り用具10(物品取り付け用具の一例)に取り付けられている。一実施形態では、コード巻き取り用具10は、商品棚3の基部33に固定されるが、その固定方法は限定されず、例えば、両面テープ、接着剤やねじによる締結等、公知の固定方法を採ることができる。
コード15及びコード巻き取り用具10は、商品7ごとに設けられている。したがって、図1に例示するように6個の商品7が展示されている場合には、6組のコード15及びコード巻き取り用具10が設けられる。
【0015】
コード巻き取り用具10は、コード15を伸縮自在に引き出し、かつ巻き取り可能である。コード15の長さは、来店者が商品7を手に取ったとき商品7を十分に試供することができる程度に設定されている。来店者がホルダ30にある商品7を手に取った場合、コード巻き取り用具10からコード15が引き出されて、コード15が取り付けられた状態で商品7をホルダ30から外すことができる。商品7がホルダ30に戻された場合には、コード15がコード巻き取り用具10によって巻き取られる。
【0016】
図2に示すように、コード15には、IoT(Internet of Things)タグT(通信デバイスの一例)が取り付けられたプレート5が固定されている。
IoTタグTは、周囲環境の電波を収集して電力に変換し、当該電力を貯蔵するキャパシタを備えた環境発電型の通信デバイスの一例であり、バッテリを備えていない。以下の説明では、IoTタグTを単にタグTという。
タグTは、タグTが取り付けられたコード15に接続された商品7ごとに異なるタグIDを記憶している。タグIDは、タグTの識別情報である。
【0017】
タグTの最大通信距離は、限定しないが、例えば3~10メートルの範囲である。タグTは、低電力消費の無線通信を行うように構成されており、通信プロトコルの例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energy (以下、BLE)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等が挙げられる。以下では、BLEによる通信を行う場合を例として説明する。
タグTは、BLEの規格に準拠する場合、所定間隔毎(例えば、1~10秒程度の短時間毎)にアドバタイジングパケット(以下、単に「パケット」という。)をブロードキャスト送信する。タグTが送信するパケットには少なくともタグIDが含まれる。
【0018】
図1に示すように、商品棚3の近くには、各商品7に対応するタグTとBLE通信を行うための無線装置2が配置される。後述するが、無線装置2は、ネットワークを介してタグ管理サーバ(後述する)と通信可能なゲートウェイ装置である。無線装置2は、図2に示すように各ホルダに商品が配置されていない場合に各タグから発信されるパケットを受信可能な位置に配置される。すなわち、無線装置2は、各タグの電波出力を考慮して配置される。
図1において仮想線で無線装置2を示しているように、無線装置2の設置場所は任意に設定することができる。
【0019】
図1に示すように、好ましくは、商品棚3に参照タグTrefが配置される。参照タグTrefは、参照用のタグであり、各商品7に対応するタグTと同じ構成のデバイスである。
参照タグTrefは、商品7-1~7-6が対応するホルダに保持されているか否かに関わらず無線装置2と通信可能である限り、如何なる場所に配置されてもよい。参照タグTrefは、無線装置2が正常に動作しているか否か判断するために設けられる。特に、後述するように、商品7-1~7-6がすべてホルダに保持されている状態では、各商品7に対応するタグTから発信される電波を無線装置2が受信できない場合があるため、仮に参照タグTrefがないとしたならば、システムが正常に動作しているかの判断が難しい。そこで、商品7-1~7-6が対応するホルダに保持されているか否かに関わらず無線装置2と通信可能な参照タグTrefを設けることで、システムが正常に動作しているか否か判断できる。
【0020】
次に、図3及び図4を参照して、コード巻き取り用具10の構成について説明する。
図3は、コード巻き取り用具10の平面図と、A-A断面図とを示している。図3に示すように、コード巻き取り用具10は略円盤形状であり、コード15を引き出し、かつ巻き取るための貫通孔10daが形成された突出部10dが周縁に設けられている。
A-A断面に示すように、コード巻き取り用具10は、下部ケース11と上部ケース12により形成される収容空間内に、コード巻き取り部13及びゼンマイばね14(付勢部材の一例)が設けられている。コード巻き取り部13は、下部ケース11の底部の中心から突出しているばね支持部11cの回りを回転可能に構成される。コード15の一端はコード巻き取り部13に取り付けられており、コード巻き取り部13には、コード15を巻き取るための外周溝13dが形成されている。
【0021】
ゼンマイばね14の一端がばね支持部11cに支持されており、コード巻き取り部13がばね支持部11cの回りを回転し、コード15が引き出されると、ゼンマイばね14が巻き上げられる。そのため、コード15が引き出されると、コード15を巻き取る方向に付勢力が発生する。図2に示したように、付勢力が働く方向は、商品7の底部からコード巻き取り用具10の突出部10dに向かう方向(第1方向の一例)である。
図4は、コード15が引き出されていない状態とコード15が引き出された状態のコード巻き取り用具10の平面図である。なお、図4は、コード巻き取り用具10について断面で示してある。図4に示すように、コード15が引き出されていない状態では、ゼンマイばね14が巻き上げられておらず、ゼンマイばね14の復元力はコード15に作用しないか、作用しても僅かである。他方、コード15が引き出された状態では、コード15が引き出されてゼンマイばね14が巻き上げられ、ゼンマイばね14の復元力Fがコード15を巻き取る方向に作用する。
【0022】
次に、図5を参照して、収容部材9(デバイス収容部の一例)の構成について説明する。図5は、収容部材9の平面図、矢視図、及び、一部切り欠き断面図を含む。
収容部材9は、タグTが取り付けられたプレート5を収容するための部材であり、図2に示したようにコード15が挿通されている。
図5の平面図及び矢視図に示すように、収容部材9は、平板状の形態をなしており、プレート5を収容可能な空洞9Hが内部に形成されている。収容部材9には、タグTが取り付けられたプレート5が空洞9Hに進入又は退出するための開口91aと、コード15を挿通させるための開口91bと、が形成されている。収容部材9の本体部91は、底部911と上部912が接合されており、それにより空洞9Hが形成されている。底部911と上部912は、例えば樹脂製であり、例えば溶着により接合されている。
【0023】
図5の一部切り欠き断面図においてよく見えるように、空洞9Hにおいて本体部91の底部911と上部912にはそれぞれ、金属含有部材92が設けられている。矢視Xによる矢視図に見られるように、金属含有部材92が底部911と上部912の中央付近に配置される例が示される。
金属含有部材92は、例えば、透明PETフィルム、アルミニウムの蒸着層(膜)、基材、粘着剤をこの順に積層したネーマ紙である。なお、金属含有部材92は、ホイル紙(フォイル紙)を貼り付けたものでもよいし、アルミフォイルでもよい。
金属含有部材92は、プレート5が収容部材9に収容された場合に、プレート5上のタグTの通信用アンテナ42に対して選択的に通信を遮断し、電磁シールド機能を作用させるために設けられている。
【0024】
なお、図5に示した収容部材9では、空洞9Hの高さが概ね均一であるが、その限りではない。プレート5が空洞9Hに円滑に収容されるように、開口91a及びその近傍の部分の空洞9Hの高さを他の部分より高くして開口91aを拡げても良い。
【0025】
次に、商品管理システム1において、タグTが取り付けられたプレート5と、収容部材9との関係について、図6及び図7を参照して説明する。
図6に、コード巻き取り用具10からコード15が引き出されていない状態とコード15が引き出された状態のタグTと収容部材9の位置関係を示す。なお、図6に示す収容部材9は、内部がよく見えるように、本体部91の上部912を取り除いた状態で示している。図7は、図6のB-B断面を拡大して示す拡大断面図である。
【0026】
図6に示すように、コード15には、プレート5が取り付けられている。プレート5のコード15に対する取付方法は問わないが、図示するようにプレート5に形成された一対の孔にコード15を固定してもよいし、コード15をプレート5の一面に粘着テープ等で固定してもよい。
プレート5の一面には、タグTが貼付されている。プレート5は、タグTが円滑に収容部材9の内部に進入でき、かつ収容部材9から退出できるように、硬質の厚紙や比較的剛性の高いプラスチック製であることが好ましい。
【0027】
タグTは、所定のパターンの導電性金属箔で形成される通信用アンテナ42及び一対のハーベスティングアンテナ43と、各アンテナに電気的に接続されるICチップと、を含む。タグTの各アンテナとICチップは、フィルム状の基材に実装されている。基材には粘着剤が塗布されており、当該粘着剤によってプレート5の一面に貼付されている。なお、図7では、タグTとして通信用アンテナ42のみ記載している。
通信用アンテナ42は、BLEの規格に従って無線装置2と信号の送受信を行うためのアンテナである。ハーベスティングアンテナ43は、環境発電のために周囲の電波を受信するアンテナであり、エネルギー取得用アンテナの一例である。
コード巻き取り用具10、タグT、及び、収容部材9は、一実施形態の物品管理器具を構成する。
【0028】
商品7がホルダ30に保持されているときには、コード巻き取り用具10にコード15が巻き取られており、コード15が引き出されていない状態である。この状態では、図6に示すように、コード巻き取り用具10によるコード15の復元力により、コード15に取り付けられたプレート5が収容部材9に収容される。プレート5に作用する復元力により収容部材9がコード巻き取り用具10の突出部10dに引き寄せられる。
図6に示すように、プレート5が収容部材9に収容されている場合、タグTの通信用アンテナ42は金属含有部材92と重複するが、タグTのハーベスティングアンテナ43は金属含有部材92と重複しない。図7の断面図に示すように、タグTの通信用アンテナ42は、プレート5を挟んで金属含有部材92に覆われ、かつ近接した状態となる。それによって、金属含有部材92による電磁シールド機能が、通信用アンテナ42と一対のハーベスティングアンテナ43のうち通信用アンテナ42のみに選択的に作用することになる。
【0029】
他方、商品7がホルダ30から外されたときには、コード巻き取り用具10からコード15が引き出された状態となる。この状態では、コード15に取り付けられたプレート5が収容部材9から退出し、プレート5上のタグTが露出する。それによって、金属含有部材92による電磁シールド機能がタグTの通信用アンテナ42に作用せず、タグTは無線装置2との通信が可能となる。
【0030】
図8は、図6と同様に、コード巻き取り用具10からコード15が引き出されていない状態とコード15が引き出された状態のタグTと収容部材9の位置関係を示す。図8図6と異なる点は、図8に示す収容部材9Aの金属含有部材92Aが、図6の収容部材9の金属含有部材92と比較して幅が広いことである。図8では、コード15が引き出されていない状態、つまり、収容部材9Aにプレート5が収容された状態において、タグTの一対のハーベスティングアンテナ43の一部が金属含有部材92Aと重複することになる。しかし、タグTの一対のハーベスティングアンテナ43の一部が金属含有部材92Aと重複した場合であってもハーベスティングアンテナ43の受信性能が大きく劣化することはない。
【0031】
次に、図9を参照して、一実施形態の商品管理システム1の各装置の構成を説明する。
図9は、本実施形態の商品管理システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。
【0032】
図9に示すように、商品管理システム1は、無線装置2、及び、無線装置2とネットワークNWを介して通信可能なタグ管理サーバ6(測定装置の一例)を含む。ネットワークNWは限定しないが、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、移動体通信ネットワーク、インターネット等である。
無線装置2は、タグT及び参照タグTrefからBLE通信によりパケットを受信するBLE無線端末として機能する。また、無線装置2は、各タグからパケットを受信すると、受信したパケットに含まれるタグIDをタグ管理サーバ6に送信する。
タグT及び参照タグTrefは、正常にパケットを発信できる状況では、所定間隔毎にパケットを発信し、それに応じて無線装置2もタグIDを所定間隔毎にタグ管理サーバ6に送信する。
【0033】
図9を参照すると、タグTは、制御部41、通信用アンテナ42、ハーベスティングアンテナ43、ハーベスティング部44、電圧制御部45、及び、RF通信部46を含む。ICチップ内に、制御部41、ハーベスティング部44、及び、電圧制御部45、RF通信部46が実装される。なお、以下では、タグTの構成について説明するが、図10に図示しない参照タグTrefの構成もタグTと同じである。
【0034】
制御部41は、マイクロプロセッサとメモリ411を有し、タグTの全体を制御する。メモリ411は、RAM(Random Access Memory)及び/又はROM(Read Only Memory)であり、マイクロプロセッサによって実行されるプログラムのほか、タグTに固有の識別情報であるタグIDを記憶する。
【0035】
ハーベスティング部44は、ハーベスティングアンテナ43が受信する周囲環境の電波(例えば周囲の無線通信による電波)に基づいて環境発電を行い、発電により得られた電力を内部のキャパシタ442に貯蔵する。本実施形態では、ハーベスティング部44は、例えばハーベスティングアンテナ43が受信した無線信号を電圧増倍器441により直流電圧に変換し、キャパシタ442に貯蔵する。電圧増倍器441は、限定しないが、例えばディクソン電圧増倍回路(チャージポンプ)である。キャパシタ442は、半導体チップ上に構成されたもの(つまりオンダイ(on-die)型のキャパシタ)でもよいし、半導体チップとは別体として形成されたものでもよい。
【0036】
ハーベスティングアンテナ43が発電のために受信する電波は、広範囲の周波数帯域において複数の異なる周波数帯の電波である。例えば、いわゆる3G~5G等の移動体通信システムで採用されている周波数帯の無線通信による電波、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格で採用されている周波数帯の無線通信による電波、ZigBee(登録商標)やThread等の通信プロトコルに代表される2.4GHz帯の無線通信による電波、RFIDで採用されている周波数帯(例えば、900MHz帯、13.56MHz帯)の無線通信による電波等が挙げられる。
【0037】
電圧制御部45は、制御部41及びRF通信部46に動作電圧を供給するとともに、キャパシタ442の電圧をモニタしており、モニタ結果に応じて電力モードを切り替える。
例えば、キャパシタ442の電圧が所定値以下である場合には、電力モードを最小限の回路のみを動作させる第1モードとし、このとき制御部41及びRF通信部46では、パケットの生成や無線信号の送信等が行われない。キャパシタ442の電圧が所定値以上まで充電された場合には、電力モードを通常の処理ルーチンを実行する第2モードとし、このとき制御部41及びRF通信部46ではパケットの生成、無線信号の送信を含む各種の処理が行われる。
【0038】
RF通信部46は、送信するパケット(ベースバンド信号)に対して所定のデジタル変調(例えばGFSK(Gaussian Frequency Shift Keying))を行った後に直交変調を行い、高周波信号(BLEの場合、2.4GHzの周波数帯の信号)を通信用アンテナ42に送出する。
通信用アンテナ42は、RF通信部46によって送出される高周波の無線信号(パケット)を送信する。
タグTは、タグTの動き又は周囲の温度を検出するセンサを有してもよい。その場合、タグTから無線装置2に送信されるパケットには、センサの検出データが含まれる。
【0039】
図9に示すように、無線装置2は、制御部21、アンテナ22、RF通信部23、および、通信部24を備える。
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、無線装置2の全体を制御する。例えば、制御部21は、タグTから受信したパケットからタグIDを取得すると、取得したタグIDをタグ管理サーバ6に送信するように、通信部24を制御する。パケットにタグTによるセンサの検出データが含まれている場合には、タグIDと検出データが互いに関連付けられてタグ管理サーバ6に送信される。
RF通信部23は、アンテナ22でタグTから受信した無線信号を検波し、ベースバンド信号に変換し、所定のデジタル復調を行ってパケットを受信する。また、RF通信部23は、ビーコン信号をアンテナ22から送信するために、例えば所定のパターンのベースバンド信号を直交変調してアンテナ22に送出する。
通信部24は、タグ管理サーバ6との通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0040】
図9に示すように、タグ管理サーバ6は、例えば、制御部61、ストレージ62、及び、通信部63を備える。
制御部61は、マイクロプロセッサを主体として構成され、タグ管理サーバ6の全体を制御する。
ストレージ62は、HDD(Hard Disk Drive)等の大規模記憶装置を備え、タグデータベース(タグDB)を記憶する。タグデータベースには、タグTのタグIDと、当該タグTに対応する凹部Hに保持される商品7の商品コードと、が関連付けられている。ストレージ62はまた、参照タグTrefのタグIDを記憶している。
通信部63は、無線装置2と通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0041】
制御部61はサーバプログラムを実行することで、タグT及び参照タグTrefが発信するタグIDを含むパケットを無線装置2が受信した場合、当該パケットに含まれるタグIDを無線装置2から取得する。
制御部61は、タグデータベースに含まれるタグIDを無線装置2から取得する度に、取得したタグIDと、タグIDを取得した時刻とを、タグ検出ログとしてストレージ62に記録する。すなわち、制御部61は、無線装置2によるタグTとの時間の経過に応じた通信可否の結果を取得する。このタグ検出ログに基づいて、制御部61は、所定時間ごとのタグ検出回数の集計処理を行い、特定の商品コードの商品が来店者に手に取られた頻度を測定する。その際、タグIDに対応する商品コードがタグデータベースを参照して特定される。
集計処理を行うタイミングは任意に設定可能である。一例では、店舗の1日の営業時間に、無線装置2によるタグTとの時間の経過に応じた通信可否の結果をタグ検出ログとして記録し、営業時間が経過した後のタイミングで、タグ検出ログを基に集計処理を行う。すなわち、制御部61は、無線装置2とタグTとの通信可否の結果に基づいて無線装置2がタグTと通信可能となる頻度(つまり、対応する商品7が来店者によって手に取られた頻度)を測定する測定装置として機能する。
【0042】
同様に、制御部61は、参照タグTrefのタグIDを無線装置2から取得する度に、取得したタグIDと、タグIDを取得した時刻とを、タグ検出ログとしてストレージ62に記録する。
図1に示したように、参照タグTrefは遮蔽されることがないため、無線装置2が故障していない限り、参照タグTrefがパケットを発信する所定間隔ごとに参照タグTrefのタグIDを取得できる。参照タグTrefのタグIDを所定間隔ごとに取得できない場合には、制御部61は、無線装置2が故障していると判断し、図示しない管理者端末に通知する。
【0043】
次に、再度図6を参照して、一実施形態の物品管理器具の動作を説明する。
前述したように、商品7がホルダ30に保持されているときには、コード巻き取り用具10にコード15が巻き取られており、コード15が引き出されていない状態である。この状態では、金属含有部材92による電磁シールド機能が、通信用アンテナ42と一対のハーベスティングアンテナ43のうち通信用アンテナ42のみに選択的に作用する。そのため、タグTは、通信用アンテナ42からパケットを送信しても金属含有部材92によりシールドされるか、あるいは送信頻度が大幅に低下する。しかし、ハーベスティングアンテナ43は遮蔽されていないため、ハーベスティングアンテナ43によって周囲の電波を受信してキャパシタ442(図9参照)を所定値以上の電圧を維持でき、通常の処理ルーチンを実行する第2モードとすることができる。
【0044】
ホルダ30に保持されていた商品7がホルダ30から外されたときには、コード巻き取り用具10からコード15が引き出された状態となり、プレート5上のタグTが露出する。この場合、タグTが収容部材9に収容されていたときからキャパシタ442の電圧が所定値以上を維持しているため、プレート5のタグTが露出された直後からパケットを通信用アンテナ42から送出することができる。すなわち、通信用アンテナ42を金属含有部材92で覆うことが解除されてから、実用上問題とならない程度の短時間でタグTの無線装置2との通信を再開することができる。
【0045】
以上説明したように、一実施形態のタグTの通信制御方法は、以下のステップを含む。
(i)タグTの複数のアンテナのうち通信用アンテナ42に金属含有部材92を近接させ、又は、通信用アンテナ42の少なくとも一部を金属含有部材92で覆うことで、タグTの無線装置2との通信を遮断すること
(ii)タグTの無線装置2との通信可否の如何に関わらず、タグTが、ハーベスティングアンテナ43によって得たエネルギーを基にキャパシタ442を充電して、キャパシタ442の電圧を所定値以上に保つこと
(iii)通信用アンテナ42に金属含有部材92を近接させること、又は、通信用アンテナ42の少なくとも一部を金属含有部材92で覆うことが解除された場合には、タグTの無線装置2との通信を再開すること
【0046】
このように、タグTの複数のアンテナのうち通信用アンテナ42のみを選択的に金属含有部材92により遮蔽するようにしたことから、通信用アンテナ42が遮蔽されている間もキャパシタ442の電圧を所定値以上に保ち、通常の処理ルーチンを実行する状態にタグTを維持することができる。そのため、金属含有部材92による通信用アンテナ42の遮蔽が解除された後に直ちにパケットを無線装置2に送信できる。すなわち、一実施形態のタグTの通信制御方法によれば、タグTが発する電波の遮蔽の有無に対する通信の応答性を高めることができる。
【0047】
タグTがセンサを備えている場合、センサは、通信用アンテナ42が遮蔽されている間もセンサは動作して検出データを検出時刻ごとにメモリに蓄積するとよい。その場合、通信用アンテナ42の遮蔽が解除された後は、通信用アンテナ42が遮蔽されている間に取得された検出データと検出時刻を含むパケットを無線装置2に送信することが好ましい。
【0048】
収容部材に設けられる金属含有部材は様々な形態とすることができる。
図10には、図6とは異なる形状の金属含有部材92Bを含む収容部材9Bについて、コードが引き出されていない状態とコードが引き出された状態のタグTと収容部材9Bの位置関係を示す。図10に示す金属含有部材92Bは、タグTの通信用アンテナ42の形状に適合した形態をなしており、プレート5が収容部材9Bに収容された状態では、通信用アンテナ42のみを覆うように構成される。
図10に例示するように、タグTの通信用アンテナの形態に応じて様々な形態を採ることができる。
【0049】
タグTの通信用アンテナ42を効果的に覆うために、プレート5上のタグTの配置を調整してもよい。例えば、図11には、図8とは異なる向きでIoTタグがプレート5上に配置された場合に、コードが引き出されていない状態とコードが引き出された状態のIoTタグと収容部材の位置関係を示す。図11に示すプレート5が収容部材9Aに収容された状態では、帯状の金属含有部材92Aは、ハーベスティングアンテナ43を覆うことなく、通信用アンテナ42を効果的に覆うことができる。すなわち、通信用アンテナ42のみを効果的に覆う観点から、プレート5上のタグTの貼付位置を適宜調整すると良い。
【0050】
以上、本発明の通信デバイスの通信制御方法、物品管理器具、及び、物品管理システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0051】
上述した実施形態では、物品としてPOSMの例を挙げ、POSMが来店者によって手に取られた頻度を測定するシステムについて説明したが、本発明の通信デバイスの通信制御方法の適用例はその限りではない。例えば、容器の蓋にタグを貼付しておき、蓋を閉じたときにタグの通信用アンテナのみを選択的に金属含有部材に覆うように構成することで、容器の使用頻度と使用タイミングを精度良く計測するシステムに適用することもできる。また、タグが温度センサを備える場合には、容器を使用する際の温度データを集計することもできる。
【0052】
上述した実施形態では、タグTの通信用アンテナ42に金属含有部材を近接させ、又は、通信用アンテナ42の少なくとも一部を金属含有部材で覆うことで、タグTの無線装置2との通信を遮断する場合について説明したが、その限りではない。
金属部材に代えて、タグTの通信用アンテナ42に電波遮蔽部材を近接させ、又は、通信用アンテナ42の少なくとも一部を電波遮蔽部材で覆うことでタグTの無線装置2との通信を遮断しても、同じ作用効果が得られる。
電波遮蔽部材とは、タグTの通信用アンテナ42から出射する電波を遮蔽する場合に限られず、通信用アンテナ42から出射する電波を吸収する電波吸収体であってもよい。
電波吸収体は限定しないが、例えば、カーボンと発泡スチロールを組み合わせたもの(発泡スチロールを基材とし、カーボンのオーム損失を利用した電波吸収材)、フェライトと無機材料を組み合わせたもの(フェライトの磁気損失を利用した電波吸収材)、カーボンと発泡ポリエチレンを組み合わせたもの、磁性体と合成ゴムを組み合わせたもの(例えば、合成ゴムにフェライト粉末を混合したものや、合成ゴムにカーボニル鉄紛を混合したもの)、フェライト焼結体、ガラスクロス補強アルミ箔と導電粘着層を組み合わせたもの、誘電材料の層を利用したもの等が挙げられる。
また、電磁遮蔽部材とは、通信用アンテナ42から放射される電波の周波数を、無線装置2と通信ができない意図しない周波数とする部材であってもよいし、通信用アンテナ42から放射される電波を無線装置2との通信を阻害するようなノイズを重畳させる部材であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…商品管理システム
2…無線装置
21…制御部
22…アンテナ
23…RF通信部
24…通信部
3…商品棚
30…ホルダ
H-1~H-6…凹部
31…支持部
32…背もたれ部
32h…孔
33…基部
34…脚部
5…プレート
6…タグ管理サーバ
61…制御部
62…ストレージ
63…通信部
T…IoTタグ
Tref…参照タグ
41…制御部
411…メモリ
42…通信用アンテナ
43…ハーベスティングアンテナ
44…ハーベスティング部
441…電圧増倍器
442…キャパシタ
45…電圧制御部
46…RF通信部
7-1~7-6…商品
9,9A,9B…収容部材
91…本体部
91a,91b…開口
92,92A,92B…金属含有部材
10…コード巻き取り用具
10d…突出部
10da…貫通孔
11…下部ケース
11c…ばね支持部
12…上部ケース
13…コード巻き取り部
13d…外周溝
14…ゼンマイばね
15…コード
PL1~PL6…ラベル
NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11