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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150805
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20231005BHJP
   H04W 16/14 20090101ALI20231005BHJP
【FI】
H04W56/00 110
H04W16/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060095
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】南 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】木山 修治
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067AA21
5K067AA41
5K067BB04
5K067BB21
5K067DD24
5K067DD25
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067FF05
5K067HH21
5K067JJ13
(57)【要約】
【課題】本発明は、低コスト化を図り、かつ、データの送受信を正しくできる通信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】消防無線通信システム1では、親局11は、移動局と通信する際にフレーム番号を基地局無線装置13A,13B,13Cへ送信し、フレーム番号を受信した基地局無線装置13A,13B,13Cは、フレーム番号を受信したことを通知する通知信号を親局11に送信し、親局11は、基地局無線装置13A,13B,13Cが親局11から受信した通信内容を移動局15A,15B,15Cへ向けて送信する送信タイミングを通知信号に基づいて決定し、親局11は、移動局に送信信号を送信する際に、送信タイミングの情報である同期送信開始用フレーム番号を含めた送信信号を基地局無線装置13A,13B,13Cへ送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局と、複数の基地局と、前記複数の基地局を介して前記親局と通信する1又は複数の移動局とを備える通信システムであって、
前記親局は、前記移動局と通信する際に同期用信号を前記基地局へ送信し、
前記同期用信号を受信した前記基地局は、前記同期用信号を受信したことを通知する通知信号を前記親局に送信し、
前記親局は、前記複数の基地局が前記親局から受信した通信内容を前記移動局へ向けて送信する送信タイミングを前記通知信号に基づいて決定し、
前記親局は、前記移動局に送信信号を送信する際に、前記送信タイミングの情報である送信タイミング情報を含めた前記送信信号を前記複数の基地局へ送信すること
を特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記複数の基地局は、GPS受信機をそれぞれ備え、前記GPS受信機から出力される基準信号に同期させたフレーム番号を一定の周期毎に生成し、前記同期用信号を受信した時の前記フレーム番号を前記通知信号に含めて前記親局に各々送信すること
を特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記親局は、前記基地局から受信した前記通知信号に基づいて、前記親局と前記複数の基地局とが通信を行う際に前記親局と前記複数の基地局との間で発生するそれぞれの遅延時間を算出し、前記遅延時間に基づいて前記送信タイミング情報を生成すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記複数の基地局は、前記親局から受信した前記通信内容を前記移動局へ送信する際、前記親局から受信した前記送信タイミング情報に基づいて前記移動局へ送信する送信タイミングを決定すること
を特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基地局を備える通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の消防デジタル無線システムでは、消防本部から消防車などの移動局を呼び出すときは、回線制御装置、及び、移動局が存在するエリアをカバーする基地局を介して通信を行う。各基地局は、所定のエリア毎に配置され、配置されたエリアに存在する移動局との通信を仲介する。各基地局にはそれぞれ異なる周波数が割り当てられ、各基地局は割り当てられた周波数で電波を送信する。消防本部は、このような消防デジタル無線システムにおいて移動局と通信するためには、移動局がどの基地局のエリアに存在しているかを把握し、そのエリアに存在する基地局に割り当てられた周波数を使って通信を行う必要がある。このため、各基地局に割り当てられた周波数、及び、移動局がどのエリアに存在しているかについて、消防本部で常に把握している必要がある。
【0003】
このような消防無線システムでは、前述のとおり各基地局で異なる周波数を割り当てる必要があるため、ひとつの消防システムの運用にあたり複数の周波数を準備しておく必要があり、周波数の利用効率が損なわれる。また、前述のとおり消防本部と移動局間で通信を行うために、当該移動局が存在するエリアを把握する必要と、それに応じた基地局の選択が必要となる。そこで、全ての基地局から送信される電波の周波数を同じにすることで、必要な周波数を少なくすることができ周波数の利用効率が向上する。また、基地局が送信する周波数を選択する必要がなくなるため、システムの簡略化が図れる。一方で、全ての基地局から送信される電波の周波数を同じにして自由に電波を送信すると、各基地局から各々のタイミングで同一周波数の電波が送信されるため、大きな混信エリア(不感エリア)が発生するという問題がある。この問題を解決するために、全ての基地局の周波数を一致させ、同じ時刻(同じタイミング)で同じデータを送信する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-144408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような無線通信システムを実現するためには、各基地局が送信するタイミングを同期させるための仕組みが必要になる。このため、例えば回線制御装置と各基地局に全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)受信機を搭載して、GPS受信機が通知する時刻に合わせて各装置が送信するタイミングを同期させるということが行われている。しかし、このような無線通信システムは、回線制御装置及び各基地局のそれぞれにGPS受信機を搭載する必要があり、コストが増加するという問題を有している。また、このような無線通信システムは、回線制御装置と各基地局の通信時において、回線負荷の影響で各装置間の通信に遅れが生じ、それによりタイミングが同期せず、正しくデータを送受信できなくなる問題も有している。
【0006】
本発明の目的は、低コスト化を図り、かつ、データの送受信を正しくできる通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による通信システムは、親局と、複数の基地局と、前記複数の基地局を介して前記親局と通信する1又は複数の移動局とを備える通信システムであって、前記親局は、前記移動局と通信する際に同期用信号を前記基地局へ送信し、前記同期用信号を受信した前記基地局は、前記同期用信号を受信したことを通知する通知信号を前記親局に送信し、前記親局は、前記複数の基地局が前記親局から受信した通信内容を前記移動局へ向けて送信する送信タイミングを前記通知信号に基づいて決定し、前記親局は、前記移動局に送信信号を送信する際に、前記送信タイミングの情報である送信タイミング情報を含めた前記送信信号を前記複数の基地局へ送信することを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、低コスト化を図り、かつ、データの送受信を正しくできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による消防無線通信システムの概略構成の一例を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態による消防無線通信システムに備えられた構成要素の概略構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による消防無線通信システムでの送信データの同期送信を開始するまでの動作の一例を時系列に模式的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態による消防無線通信システムでの送信データの同期送信を開始するまでの動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態による通信システムについて図1から図3を用いて説明する。まず、本実施形態による通信システムの概略構成について図1及び図2を用いて説明する。以下、本実施形態による通信システムについて、消防無線通信システムを例にとって説明するが、本実施形態による通信システムは、消防無線通信システム以外の通信システムにも適用することができる。
【0011】
(消防無線通信システムの概略構成)
図1は、本実施形態による消防無線通信システム1の概略構成の一例を模式的に示す図である。図2は、本実施形態による消防無線通信システム1に備えられた回線制御装置111及び基地局無線装置13A,13B,13Cの具体的な構成の一例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態による消防無線通信システム(通信システムの一例)1は、親局11と、複数(本実施形態では3つ)の基地局無線装置(基地局の一例)13A,13B,13Cと、複数の基地局無線装置13A,13B,13Cを介して消防本部装置113と通信する1又は複数(本実施形態では3つ)の移動局15A,15B,15Cとを備えている。親局11は、ユーザインターフェースを有する消防本部装置113と、消防本部装置113と無線交信を行う回線制御装置111とを有している。
【0013】
基地局無線装置13A,13B,13Cは、通信ネットワークによって回線制御装置111と接続されている。具体的には、基地局無線装置13Aは、有線のローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)ケーブル17Aによって回線制御装置111と接続されている。基地局無線装置13Bは、有線のLANケーブル17Bによって回線制御装置111と接続されている。基地局無線装置13Cは、有線のLANケーブル17Cによって回線制御装置111と接続されている。このように、消防無線通信システム1では、回線制御装置111は、有線のLANケーブル17A,17B,17Cによって基地局無線装置13A,13B,13Cと双方向に通信する。しかしながら、消防無線通信システム1は、無線LANによって回線制御装置111と基地局無線装置13A,13B,13Cとが双方向に通信するように構成されていてもよい。
【0014】
基地局無線装置13A,13B,13Cは、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)衛星2から送信される時刻情報を含むGNSS信号を受信する。基地局無線装置13A,13B,13Cは、受信したGNSS信号に含まれる時刻情報に基づいて動作することにより、互いに同期した状態で動作する。基地局無線装置13Aは、自機が発信する電波の届く通信範囲ZEAに存在する移動局15Aと通信する。基地局無線装置13Bは、自機が発信する電波の届く通信範囲ZEBに存在する移動局15Bと通信する。基地局無線装置13Cは、自機が発信する電波の届く通信範囲ZECに存在する移動局15Cと通信する。
【0015】
図1に示すように、基地局無線装置13A,13B,13Cが通信可能な範囲には、通信範囲ZEA,ZEB,ZECが重なり合う干渉範囲IZE1と、通信範囲ZEA,ZEBが重なり合う干渉範囲IZE2と、通信範囲ZEB,ZECが重なり合う干渉範囲IZE3と、通信範囲ZEC,ZEAが重なり合う干渉範囲IZE4とが生じる。干渉範囲IZE1は、基地局無線装置13A,13B,13Cのそれぞれから送出される電波が干渉する範囲である。干渉範囲IZE2は、基地局無線装置13A,13Bのそれぞれから送出される電波が干渉する範囲である。干渉範囲IZE3は、基地局無線装置13B,13Cのそれぞれから送出される電波が干渉する範囲である。干渉範囲IZE4は、基地局無線装置13C,13Aのそれぞれから送出される電波が干渉する領域である。しかしながら、消防無線通信システム1では、基地局無線装置13A,13B,13Cが同一の情報を複数の移動局に同一のタイミングで送信することで、干渉範囲IZE1,IZE2,IZE3,IZE4の干渉領域を狭くすることができる。
【0016】
図2に示すように、回線制御装置111は、水晶発振器111bと、水晶発振器111bに接続された制御部111aとを有している。制御部111aは、消防本部装置113と接続されている。制御部111aは、LANケーブル17Aによって基地局無線装置13Aと接続され、LANケーブル17Bによって基地局無線装置13Bと接続され、LANケーブル17Cによって基地局無線装置13Cと接続されている。制御部111aは、消防本部装置113との間で双方向に通信することができる。本実施形態では、制御部111a及び消防本部装置113は、有線によって互いに接続されているが、無線によって互いに接続されていてもよい。
【0017】
消防本部装置113は、消防無線通信システム1の利用者とのユーザインターフェース(不図示)を有している。消防本部装置113は、例えば回線制御装置111に設けられた制御部111aを制御して、移動局15A,15B,15C(例えば消防車、救急車あるいはこれらを使用している消防隊や救急隊が所持している携帯端末装置)に対して、消防本部から消防隊や救急隊に対する要求や指令などに係るデータを基地局無線装置13A,13B,13Cに送出する。また、消防本部装置113は、制御部111aを制御して、移動局15A,15B,15Cから送信される報告などの情報に係るデータを基地局無線装置13A,13B,13C及び回線制御装置111を介して受信する。
【0018】
水晶発振器111bから出力されるクロック信号は、回線制御装置111に接続されたNTP(Network Time Protocol)サーバー3から送信される極めて正確な時刻情報に同期されて制御部111aに入力される。制御部111aは、水晶発振器111bから出力されるクロック信号に同期して動作する。制御部111aは、当該クロック信号をカウントしたカウント値を送信フレーム番号指定(詳細は後述)のためのフレーム番号として含めた送信データを基地局無線装置13A,13B,13C(詳細は後述)に出力する。制御部111aは、基地局無線装置13A,13B,13Cの同期開始のタイミングを決定するまでは、送信フレーム番号指定として「即時」(詳細は後述)を示す番号(例えば「0」)とする。
【0019】
制御部111aは、同期開始決定部111a-1を有している。同期開始決定部111a-1は、水晶発振器111bから出力されるクロック信号に同期して動作する。詳細は後述するが、同期開始決定部111a-1は、基地局無線装置13A,13B,13Cから移動局15A,15B,15Cへ同じ時刻(同じタイミング)で同じデータの送信を開始するタイミングを決定する。
【0020】
基地局無線装置13A、基地局無線装置13B及び基地局無線装置13Cは、互いに同一の構成を有し、同一の機能を発揮するようになっている。このため、以下、基地局無線装置13A、基地局無線装置13B及び基地局無線装置13Cの具体的な構成例について、基地局無線装置13Aを例にとって説明する。
【0021】
図2に示すように、基地局無線装置13Aは、例えばGNSS衛星2(図2では不図示、図1参照)から送信されるGNSS信号を受信するアンテナ136Aと、アンテナ136Aで受信されたGNSS信号に含まれる時刻情報に基づいて、高精度な1PPS(PPS:Pulse Per Second)のタイムパルス信号PLS及び高精度な発振周波数(例えば10MHz)を有するクロック信号GCKを生成するGPS受信機131Aを有している。基地局無線装置13Aは、GPS受信機131Aから出力されるクロック信号GCKに基づいて基準クロック信号PCKを生成する位相同期回路(Phase Locked Loop:PLL)132Aを有している。基地局無線装置13Aは、PLL回路132Aから出力される基準クロック信号PCKに同期してGPS受信機131Aから入力されるタイムパルス信号PLSを受けた時、フレーム番号Aのカウントをクリアし、フレーム番号Aのカウントを開始するカウンタ133Aを有している。カウンタ133Aが出力するカウント値がフレーム番号Aとなる。
【0022】
基地局無線装置13Aは、回線制御装置111から送信された送信データを通信範囲ZEA(図2では不図示、図1参照)に存在する移動局(図1では移動局15A)に無線部135Aから送信する。基地局無線装置13Aは、この送信データの送信を開始するタイミングを制御するタイミング制御部134Aを有している。タイミング制御部134Aと回線制御装置111に設けられた制御部111aは、LANケーブル17Aによって接続されている。これにより、タイミング制御部134Aには、基地局無線装置13Aの通信範囲ZEA(図1参照)に存在する移動局(図1では移動局15A)に送信する送信データがLANケーブル17Aを介して制御部111aから送信される。以下、説明の便宜上、通信範囲ZEAには、移動局15Aのみが存在しているとする。タイミング制御部134Aは、当該タイミングの制御の他に、回線制御装置111からの問合せに対する応答処理を実行する。
【0023】
基地局無線装置13Aは、PLL回路132Aから出力される基準クロック信号PCKに同期して、タイミング制御部134Aから入力される送信データを出力する無線部135Aと、無線部135Aに接続されたアンテナ137Aとを有している。タイミング制御部134Aは、PLL回路132Aから入力される基準クロック信号PCKに同期して動作する。タイミング制御部134Aは、カウンタ133Aから入力されるフレーム番号Aの値が、回線制御装置111に設けられた制御部111aから入力される同期送信を開始する送信フレーム番号指定(詳細は後述)の値に一致した場合に、無線部135Aに対して送信データの出力の開始を指示する。これにより、無線部135Aは、アンテナ137Aを介して送信データを通信範囲ZEAに存在する移動局(図1では移動局15A)に送信する。
【0024】
詳細な説明は省略するが、以下に矢印によって示すように、基地局無線装置13Bに設けられた各構成要素(矢印の右側)は、基地局無線装置13Aに設けられた各構成要素(矢印の左側)に対応する。
GPS受信機131A→GPS受信機131B
PLL回路132A→PLL回路132B
カウンタ133A→カウンタ133B
タイミング制御部134A→タイミング制御部134B
無線部135A→無線部135B
アンテナ136A→アンテナ136B
アンテナ137A→アンテナ137B
【0025】
カウンタ133Bは、PLL回路132Bから出力される基準クロック信号PCKに同期してGPS受信機131Bから入力されるタイムパルス信号PLSを受けた時、フレーム番号Bのカウントをクリアし、フレーム番号Bのカウントを開始する。タイミング制御部134Bは、LANケーブル17Bによって回線制御装置111に設けられた制御部111aに接続されている。これにより、タイミング制御部134Bには、基地局無線装置13Bの通信範囲ZEB(図1参照)に存在する移動局(図1では移動局15B)に送信する送信データがLANケーブル17Bを介して制御部111aから送信される。以下、説明の便宜上、通信範囲ZEBには、移動局15Bのみが存在しているとする。
【0026】
詳細な説明は省略するが、以下に矢印によって示すように、基地局無線装置13Cに設けられた各構成要素(矢印の右側)は、基地局無線装置13Aに設けられた各構成要素(矢印の左側)に対応する。
GPS受信機131A→GPS受信機131C
PLL回路132A→PLL回路132C
カウンタ133A→カウンタ133C
タイミング制御部134A→タイミング制御部134C
無線部135A→無線部135C
アンテナ136A→アンテナ136C
アンテナ137A→アンテナ137C
【0027】
カウンタ133Cは、PLL回路132Cから出力される基準クロック信号PCKに同期してGPS受信機131Cから入力されるタイムパルス信号PLSを受けた時、フレーム番号Cのカウントをクリアし、フレーム番号Cのカウントを開始する。タイミング制御部134Cは、LANケーブル17Cによって回線制御装置111に設けられた制御部111aに接続されている。これにより、タイミング制御部134Cには、基地局無線装置13Cの通信範囲ZEC(図1参照)に存在する移動局(図1では移動局15C)に送信する送信データがLANケーブル17Cを介して制御部111aから送信される。以下、説明の便宜上、通信範囲ZECには、移動局15Cのみが存在しているとする。
【0028】
カウンタ133A,133B,133Cは、GNSS信号に含まれる時刻情報に基づくタイムパルス信号PLS及びクロック信号GCKによって動作するため、互いに同期して動作する。このため、カウンタ133A,133B,133Cは、互いに同期して同じ番号を有するフレーム番号A,B,Cを生成してタイミング制御部134A,134B,134Cに出力する。これにより、詳細は後述するが、消防無線通信システム1は、基地局無線装置13Aから移動局15Aに送信データAの送信を開始するタイミングと、基地局無線装置13Bから移動局15Bに送信データBの送信を開始するタイミングと、基地局無線装置13Cから移動局15Cに送信データCの送信を開始するタイミングとを一致させることができる。
【0029】
(消防無線通信システムの動作)
本実施形態による消防無線通信システム1の動作について図1及び図2を参照しつつ図3及び図4を用いて説明する。図3は、消防無線通信システム1の動作の1つであって送信データの同期送信を開始するまでの動作について回線制御装置111、基地局無線装置13A,13B,13Cの動作の一例を時系列に模式的に示す図である。
【0030】
図3中の回線制御装置111における「送信データ」は、同期開始決定部111a-1から基地局無線装置13A,13B,13Cに送信される送信データを示している。図3には、「送信データ」として「D1」から「D13」が図示されている。また、図3中の「送信フレーム番号指定」は、「送信データ」に対応付けられて同期開始決定部111a-1から基地局無線装置13A,13B,13Cに送信されるフレーム番号を示している。図3には、「送信フレーム番号指定」として「即時」及び「22」から「27」が図示されている。「送信フレーム番号指定」の「即時」は、受信した送信データを移動局15A,15B,15Cに対して即時に送信することを基地局無線装置13A,13B,13Cに指示することを示している。「送信フレーム番号指定」の例えば「22」は、基地局無線装置13A、13B,13Cにおいて生成されるフレーム番号が「22」の場合に、「送信フレーム番号指定」の「22」と対応付けて受信した「送信データ」の「D8」を移動局15A,15B,15Cに送信することを示している。
【0031】
図3中の基地局無線装置13A,13B,13Cにおける「入力」は、回線制御装置111から受信した送信データを示している。図3中の基地局無線装置13Aにおける「フレーム番号A」は、カウンタ133Aで形成されるフレーム番号を示している。図3中の基地局無線装置13Aにおける「送信データA」は、基地局無線装置13Aが通信範囲ZEAに存在する移動局に送信する送信データを示している。図3中の基地局無線装置13Bにおける「フレーム番号B」は、カウンタ133Bで形成されるフレーム番号を示している。図3中の基地局無線装置13Bにおける「送信データB」は、基地局無線装置13Bが通信範囲ZEBに存在する移動局に送信する送信データを示している。図3中の基地局無線装置13Cにおける「フレーム番号C」は、カウンタ133Cで形成されるフレーム番号を示している。図3中の基地局無線装置13Cにおける「送信データC」は、基地局無線装置13Cが通信範囲ZECに存在する移動局に送信する送信データを示している。
【0032】
上述のとおり、カウンタ133A,133B,133C(図2参照)は、GPS受信機131A,131B,131C(図2参照)から入力され高精度なタイムパルス信号PLSによってフレーム番号A,B,Cをクリアし、フレーム番号A,B,Cのカウントを開始する。このため、図3に示すように、カウンタ133A,133B,133Cによって生成されるフレーム番号A,B,C及びフレームタイミングは、互いに一致している。本実施形態では、フレーム番号A,B,Cのそれぞれが生成されるフレーム周期は、例えば40msである。
【0033】
図3に示すように、通信開始時の例えば時刻t1において、親局11(図2参照)は、移動局15A,15B,15Cと通信する際にフレーム番号(同期用信号の一例)を基地局無線装置13A,13B,13Cへ送信する。通信開始時に親局11が基地局無線装置13A,13B,13Cに送信するフレーム番号は、回線制御装置111に設けられた制御部111aによって生成され、図3中に示す「送信フレーム番号指定」に対応する。図3に示す動作例では、親局11に設けられた回線制御装置111は、時刻t1において「送信フレーム番号指定」のフレーム番号として「即時」を基地局無線装置13A,13B,13Cへ送信する。また、回線制御装置111は、時刻t1において「送信フレーム番号指定」のフレーム番号として「即時」に対応付けて「送信データ」として送信データ(同期用信号の一例)を基地局無線装置13A,13B,13Cへ送信する。図3に示す動作例では、親局11に設けられた回線制御装置111は、「送信データ」として送信データD1を基地局無線装置13A,13B,13Cへ送信する。
【0034】
回線制御装置111は通信が開始されると、通信先の基地局無線装置13A,13B,13Cに対して規定周期でフレームデータ(すなわち送信データ)の送信を行う。規定周期は、基地局無線装置13A,13B,13Cに設けられたカウンタ133A,133B,133C(図2参照)がフレーム番号を生成する周期(本実施形態では40ms)と同じである。回線制御装置111は、通信開始時の時刻t1以降、当該規定周期で送信データD1、D2,D3,D4,D5,D6,D6,D8,D9,D10,D11,D12,D13と、付加情報として「送信フレーム番号指定」の「即時」及びフレーム番号「22」,「23」,「24」,「25」,「26」,「27」とを基地局無線装置13A,13B,13Cに送信する。
【0035】
基地局無線装置13A,13B,13Cは、回線制御装置111から送信された「送信データ」及び「送信フレーム番号指定」をそれぞれ異なるタイミングで受信する。このため、図3に示すように、時刻t1において回線制御装置111から送信された送信データD1及び送信フレーム番号指定「即時」は、時刻t2Aで基地局無線装置13Aに到達し、時刻t2Aよりも遅い時刻t2Bで基地局無線装置13Bに到達し、時刻t2Bよりも遅い時刻t2Cで基地局無線装置13Cに到達する。
【0036】
次に、基地局無線装置13A,13B,13Cは、回線制御装置111から送信された送信データD1の到着時刻が電波が届く時間により異なることを考慮して、無線フレーム境界のタイミング(すなわちフレーム番号が切り替わるタイミング)に合わせて送信データD1を移動局15A,15B,15Cに対して送信データD1の送信を開始する。具体的には、図3に示すように、基地局無線装置13Aは、例えばフレーム番号Aが「10」から「11」に切り替わる時刻t3Aで移動局15Aに対して送信データD1の送信を開始する。基地局無線装置13Bは、例えばフレーム番号Bが「12」から「13」に切り替わる時刻t3Bで移動局15Cに対して送信データD1の送信を開始する。基地局無線装置13Cは、例えばフレーム番Cが「14」から「15」に切り替わる時刻t3Cで送信データD1を移動局15Cに送信を開始する。時刻t2Aと時刻t3Aとの期間Δt23Aと、時刻t2Bと時刻t3Bとの期間Δt23Bと、時刻t2Cと時刻t3Cとの期間Δt23Cとは、例えば同一の長さである。
【0037】
次に、基地局無線装置13A,13B,13Cは、移動局15A、15B,15Cのそれぞれに対して送信データD1の送信を開始したフレーム番号を記憶する。具体的には、基地局無線装置13Aは、送信データD1を移動局15Aに送信を開始したフレーム番号の「11」を例えばタイミング制御部134A(図2参照)に設けられた記憶部(不図示)に記憶する。同様に、基地局無線装置13Bは、送信データD1を移動局15Bに送信を開始したフレーム番号の「13」を例えばタイミング制御部134B(図2参照)に設けられた記憶部(不図示)に記憶する。同様に、基地局無線装置13Cは、送信データD1を移動局15Cに送信を開始したフレーム番号の「15」を例えばタイミング制御部134C(図2参照)に設けられた記憶部(不図示)に記憶する。
【0038】
次に、フレームデータを受信した基地局無線装置13A,13B,13Cは、フレームデータを受信したことを通知する通知信号を親局11に送信する。具体的には、図3に示すように、移動局15Aに送信データD1の送信を開始するのとほぼ同時(すなわち時刻t3Aの直後)に、基地局無線装置13Aは、送信データD1を移動局15Aに送信を開始したフレーム番号Aの「11」を当該通知信号に含めて親局11に設けられた同期開始決定部111a-1に送信する。同様に、図3に示すように、移動局15Bに送信データD1の送信を開始するのとほぼ同時(すなわち時刻t3Bの直後)に、基地局無線装置13Bは、送信データD1を移動局15Bに送信を開始したフレーム番号Bの「13」を当該通知信号に含めて同期開始決定部111a-1に送信する。同様に、図3に示すように、移動局15Cに送信データD1の送信を開始するのとほぼ同時(すなわち時刻t3Cの直後)に、基地局無線装置13Cは、送信データD1を移動局15Cに送信を開始したフレーム番号Cの「15」を当該通知信号に含めて同期開始決定部111a-1に送信する。
【0039】
このように、基地局無線装置13A,13B,13C(複数の基地局の一例)は、GPS受信機131A,131B,131Cをそれぞれ備え、GPS受信機131A,131B,131Cから出力される基準クロック信号PCK(基準信号の一例)に同期させたフレーム番号を一定の周期毎(本実施形態では40ms)に生成し、「送信フレーム番号指定」のフレームデータを受信した時のフレーム番号を通知信号に含めて親局11に各々送信する。つまり、基地局無線装置13Aは、回線制御装置111から送信データを受信したときのフレーム番号Aの値と通知信号とを含めて同期開始決定部111a-1に送信する。基地局無線装置13B,13Cは、基地局無線装置13Aと同様の動作により、フレーム番号B,Cを同期開始決定部111a-1に送信する。
【0040】
次に、親局11は、基地局無線装置13A,13B,13Cが親局11から受信した通信内容(例えば送信データ)を移動局15A,15B,15Cへ向けて送信する送信タイミングを通知信号に基づいて決定する。具体的には、回線制御装置111に設けられた同期開始決定部111a-1は、基地局無線装置13A,13B,13Cのそれぞれから通知されたフレーム番号から一番遅延が大きい基地局無線装置を決定する。さらに、同期開始決定部111a-1は、到達が一番遅い基地局無線装置のフレーム番号を用いて、送信データの同期送信を開始するフレーム番号を決定する。図3に示すように、基地局無線装置13Aから送信された通知信号は、例えば時刻t4Aにおいて回線制御装置111に到達する。基地局無線装置13Bから出力された通知信号は、例えば時刻t4Bにおいて回線制御装置111に到達する。基地局無線装置13Cから出力された通知信号は、例えば時刻t4Cにおいて回線制御装置111に到達する。
【0041】
同期開始決定部111a-1は、通知信号を受信するごとに当該通知信号に含まれているフレーム番号を取得し、最も大きいフレーム番号が含まれていた通知信号を送信した基地局無線装置を一番遅延が大きい基地局無線装置と決定する。本例では、基地局無線装置13Cから送信された通知番号に含まれているフレーム番号「15」が最も大きいフレーム番号であるため、同期開始決定部111a-1は、基地局無線装置13Cが一番遅延が大きい基地局無線装置と決定する。同期開始決定部111a-1は、基地局無線装置13Cから送信された通知番号に含まれているフレーム番号「15」に、「送信フレーム番号指定」の送信から当該通知番号を受信するまでに基地局無線装置13Cに送信した送信データの個数を加算した加算値を、同期送信を開始するフレーム番号(以下、「同期送信開始用フレーム番号」と称する場合がある)として決定する。本例では、同期開始決定部111a-1は、「送信フレーム番号指定」の送信から当該通知番号を受信するまでに7個の送信データ(送信データD1~D7)を基地局無線装置13Cに送信しているので、同期送信開始用フレーム番号を「22」(=15+7)に決定する。
【0042】
このように、親局11は、基地局無線装置13A,13B,13Cから受信した通知信号に基づいて、親局11と基地局無線装置13A,13B,13Cとが通信を行う際に親局11と基地局無線装置13A,13B,13Cとの間で発生するそれぞれの遅延時間を算出し、当該遅延時間に基づいて同期送信開始用フレーム番号(送信タイミング情報の一例)を生成する。
【0043】
親局11は、移動局15A,15B,15Cに送信信号を送信する際に、送信タイミングの情報である同期送信開始用フレーム番号を含めた送信信号を基地局無線装置13A,13B,13Cへ送信する。親局11に設けられた同期開始決定部111a-1は、同期送信開始用フレーム番号とともに、基地局無線装置13A,13B,13Cに移動局15A,15B,15Cへ送信させる送信データを当該送信信号に含める。
【0044】
具体的には、図3に示すように、同期開始決定部111a-1は、例えば時刻t5において移動局15A,15B,15Cに送信信号を送信する際に、同期送信開始用フレーム番号「22」及び移動局15A,15B,15Cに同期送信する送信データD8を当該送信信号に含めて基地局無線装置13A,13B,13Cに送信する。同期開始決定部111a-1から送信された当該送信信号は、例えば時刻t6Aにおいて基地局無線装置13Aに到達する。また、同期開始決定部111a-1から送信された当該送信信号は、時刻t6Aよりも遅い時刻の例えば時刻t6Bにおいて基地局無線装置13Bに到達する。さらに、同期開始決定部111a-1から送信された当該送信信号は、時刻t6Bよりも遅い時刻の例えば時刻t6Cにおいて基地局無線装置13Cに到達する。
【0045】
次に、基地局無線装置13A,13B,13Cは、親局11から受信した通信内容(例えば送信データ)を移動局15A,15B,15Cへ送信する際、親局11から受信した同期開始用フレーム番号(送信タイミング情報の一例)に基づいて移動局15A,15B,15Cへ送信する送信タイミングを決定する。
【0046】
具体的には、基地局無線装置13Aに設けられたタイミング制御部134Aは、時刻t6Aにおいて受信した送信信号に含まれる同期開始用フレーム番号「22」に基づいて、同期開始用フレーム番号「22」と同数のカウンタ数「22」(すなわちフレーム番号「22」)がカウンタ133A(図2参照)から入力されるタイミングを送信タイミングと決定する。また、図3に示すように、基地局無線装置13Aは、決定された同期開始用フレーム番号(本例では「22」)とフレーム番号Aが同じ値になるまで最後に受信した送信データ(本例では送信データD7)を移動局15Aに送信する。また、基地局無線装置13Aは、最後に受信した送信データ(本例では送信データD7)を、フレーム番号Aを変更するごとに移動局15Aに送信する。
【0047】
同様に、基地局無線装置13Bに設けられたタイミング制御部134Bは、時刻t6Bにおいて受信した送信信号に含まれる同期開始用フレーム番号「22」に基づいて、同期開始用フレーム番号「22」と同数のカウンタ数「22」(すなわちフレーム番号「22」)がカウンタ133B(図2参照)から入力されるタイミングを送信タイミングと決定する。また、図3に示すように、基地局無線装置13Bは、決定された同期開始用フレーム番号(本例では「22」)とフレーム番号Bが同じ値になるまで最後に受信した送信データ(本例では送信データD7)を移動局15Bに送信する。また、基地局無線装置13Bは、最後に受信した送信データ(本例では送信データD7)を、フレーム番号Bを変更するごとに移動局15Bに送信する。
【0048】
同様に、基地局無線装置13Cに設けられたタイミング制御部134Cは、時刻t6Cにおいて受信した送信信号に含まれる同期開始用フレーム番号「22」に基づいて、同期開始用フレーム番号「22」と同数のカウンタ数「22」(すなわちフレーム番号「22」)がカウンタ133C(図2参照)から入力されるタイミングを送信タイミングと決定する。また、図3に示すように、基地局無線装置13Cは、決定された同期開始用フレーム番号(本例では「22」)とフレーム番号Cが同じ値になるまで最後に受信した送信データ(本例では送信データD7)を移動局15Cに送信する。また、基地局無線装置13Cは、最後に受信した送信データ(本例では送信データD7)を、フレーム番号Cを変更するごとに移動局15Cに送信する。
【0049】
図3に示すように、フレーム番号が「21」から「22」に切り替わるタイミング、すなわち同期開始用フレーム番号「22」と同一のフレーム番号「22」の期間が開始するタイミングの時刻t7において、基地局無線装置13A,13B,13Cは、同期開始用フレーム番号「22」とともに送信信号に含まれていた送信データD8の移動局15A,15B,15Cへの同期送信を開始する。基地局無線装置13Aは、決定された同期開始用フレーム番号(本例では「22」)とフレーム番号Aが同じ値になると同期送信を開始する(本例では送信データD8の同期送信を開始する)。同様に、基地局無線装置13B,13Cは、決定された同期開始用フレーム番号とフレーム番号B,Cが同じ値になると同期送信を開始する。詳細な説明は省略するが、基地局無線装置13A,13B,13Cは、フレーム番号「23」以降も送信データの移動局15A,15B,15Cへの同期送信を継続する。
【0050】
次に、本実施形態による消防無線通信システム1の動作の1つであって送信データの同期送信を開始するまでの流れについて図4を用いて説明する。図4は、消防無線通信システム1が同期送信を開始するまでの流れの一例を示すシーケンス図である。図4では、理解を容易にするため、図4中の左側に回線制御装置111から送信される送信データが図示され、図4中の右側には基地局無線装置13A,13B,13Cにおいて生成されるフレーム番号が図示されている。
【0051】
図4に示すように、ステップS1において、回線制御装置111は、同期用信号として「送信データ」の送信データD1及び「送信フレーム番号指定」の「即時」を基地局無線装置13A,13B,13Cへ送信する。
【0052】
ステップS1の次のステップS2において、基地局無線装置13Aは、回線制御装置111から送信されて送信データD1及び「即時」を含む同期用信号を受信する。
【0053】
ステップS2の次のステップS3において、基地局無線装置13Aは、受信した同期用信号に含まれている「送信フレーム番号指定」の「即時」に基づいて、当該同期用信号に含まれている「送信データA」の送信データD1を移動局15Aに送信する。
【0054】
ステップS3の次のステップS4において、基地局無線装置13Aは、送信データD1を移動局15Aに送信したフレーム番号A(本動作例では「11」)を記憶するとともに、フレーム番号A「11」を含む通知信号SaAを回線制御装置111に送信する。
【0055】
ステップS4の次のステップS5において、基地局無線装置13Bは、回線制御装置111から送信されて送信データD1及び「即時」を含む同期用信号を受信する。このように、基地局無線装置13Bは、ステップS1において回線制御装置111から送信された同期用信号を基地局無線装置13Aとは異なるタイミングで受信する。
【0056】
ステップS5の次のステップS6において、基地局無線装置13Bは、受信した同期用信号に含まれている「送信フレーム番号指定」の「即時」に基づいて、当該同期用信号に含まれている「送信データB」の送信データD1を移動局15Bに送信する。
【0057】
ステップS6の次のステップS7において、基地局無線装置13Bは、送信データD1を移動局15Bに送信したフレーム番号B(本動作例では「13」)を記憶するとともに、フレーム番号B「13」を含む通知信号SaBを回線制御装置111に送信する。
【0058】
ステップS7の次のステップS8において、基地局無線装置13Cは、回線制御装置111から送信されて送信データD1及び「即時」を含む同期用信号を受信する。このように、基地局無線装置13Cは、ステップS1において回線制御装置111から送信された同期用信号を基地局無線装置13A,13Bとは異なるタイミングで受信する。
【0059】
ステップS8の次のステップS9において、基地局無線装置13Cは、受信した同期用信号に含まれている「送信フレーム番号指定」の「即時」に基づいて、当該同期用信号に含まれている「送信データC」の送信データD1を移動局15Cに送信する。
【0060】
ステップS9の次のステップS10において、基地局無線装置13Cは、送信データD1を移動局15Cに送信したフレーム番号C(本動作例では「15」)を記憶するとともに、フレーム番号C「15」を含む通知信号SaCを回線制御装置111に送信する。
【0061】
ステップS10の次のステップS11において、回線制御装置111は、移動局15A,15B,15Cに送信データを同期送信する開始タイミングを決定する。回線制御装置111は、基地局無線装置13A,13B,13Cから送信された通知信号SaA,SaB,SaCのうちの通知信号SaCに含まれているフレーム番号「15」に、ステップS1からステップS11までに送信した送信データの個数(本例では7個)を加算する。これにより、回線制御装置111は、移動局15A,15B,15Cに送信データを同期送信する開始タイミングのフレーム番号である同期送信開始用フレーム番号を「22」に決定する。
【0062】
ステップS11の次のステップS12において、回線制御装置111は、同期送信開始用フレーム番号「22」及び移動局15A,15B,15Cに同期送信する送信データD8を含む送信信号Stを基地局無線装置13A,13B,13Cに送信する。
【0063】
ステップS12の次のステップS13において、基地局無線装置13Aは、回線制御装置111から送信されて送信データD8を含む送信信号Stを受信する。
【0064】
ステップS13の次のステップS14において、基地局無線装置13Aは、送信データD7を移動局15Aに送信する。具体的には、基地局無線装置13Aは、受信した送信信号Stに含まれている同期送信開始用フレーム番号「22」と現在のフレーム番号16とが一致していないと判断し、フレーム番号17の期間が開始するタイミングにおいて、同期送信開始用フレーム番号「22」を含む送信信号Stを受信する前であって最後に受信した送信データ(本例では送信データD7)を移動局15Aに送信する。
【0065】
ステップS14の次のステップS15において、基地局無線装置13Bは、回線制御装置111から送信されて送信データD8を含む送信信号Stを受信する。
【0066】
ステップS15の次のステップS16において、基地局無線装置13Bは、送信データD7を移動局15Bに送信する。具体的には、基地局無線装置13Bは、受信した送信信号Stに含まれている同期送信開始用フレーム番号「22」と現在のフレーム番号18とが一致していないと判断し、フレーム番号19の期間が開始するタイミングにおいて、同期送信開始用フレーム番号「22」を含む送信信号Stを受信する前であって最後に受信した送信データ(本例では送信データD7)を移動局15Bに送信する。
【0067】
ステップS16の次のステップS17において、基地局無線装置13Cは、回線制御装置111から送信されて送信データD8を含む送信信号Stを受信する。
【0068】
ステップS17の次のステップS18において、基地局無線装置13Cは、送信データD7を移動局15Cに送信する。具体的には、基地局無線装置13Cは、受信した送信信号Stに含まれている同期送信開始用フレーム番号「22」と次のフレーム番号20とが一致していないと判断し、フレーム番号21の期間が開始するタイミングにおいて、同期送信開始用フレーム番号「22」を含む送信信号Stを受信する前であって最後に受信した送信データ(本例では送信データD7)を移動局15Cに送信する。
【0069】
ステップS18の次のステップS19A,S19B,S19Cにおいて、基地局無線装置13A,13B,13Cは、受信した送信信号Stに含まれている送信データD8を移動局15A,15B,15Cにそれぞれ送信する。ステップS19A,S19B,S19Cはいずれも、フレーム番号が「21」から「22」に切り替わるタイミング、すなわちフレーム番号「22」の期間が開始されるタイミングで実行される。
【0070】
次のフレーム番号「22」が同期送信開始用フレーム番号「22」と一致するので、基地局無線装置13A,13B,13Cは、受信した送信信号Stに含まれている送信データD8を移動局15A,15B,15Cに送信する。
【0071】
このようにして、消防無線通信システム1は、移動局15A,15B,15Cへの送信データの同期送信を開始する。図示は省略するが、フレーム番号A,B,Cが「23」以降も基地局無線装置13A,13B,13Cは、送信同期を維持した状態で回線制御装置111から送信される送信データを移動局15A,15B,15Cに送信する。
【0072】
以上のように、消防無線通信システム1は、回線制御装置111にGPS受信機が備えられていなくても、複数の基地局無線装置の通信範囲に存在する複数の移動局への送信データの同期送信を開始することができる。これにより、消防無線通信システム1は、低コスト化を図ることができる。さらに、消防無線通信システム1は、複数の基地局無線装置の通信範囲が互いに重なり合う干渉範囲に1又は複数の移動局が存在していても、これらの移動局において電波干渉に基づく通信不良の発生を防止できる。
【0073】
また、回線制御装置111は、移動局への送信データの同期送信を開始する前、すなわち当該同期送信を開始するための調整時に「送信フレーム番号指定」として「即時」を複数の基地局無線装置に送信できる。これにより、複数の基地局無線装置は、1又は複数の移動局への送信データの同期送信を開始する前であっても、これらの移動局に対して送信データを送信できる。回線制御装置111が「送信フレーム番号指定」の「即時」とともに例えば「同期送信の調整中」などの情報を含む送信データを複数の基地局無線装置に送信してもよい。当該情報を含む送信データを受信した1又は複数の移動局は、同期送信の開始前に現状を把握することができる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態による消防無線通信システム1は、親局11と、基地局無線装置13A,13B,13Cと、基地局無線装置13A,13B,13Cを介して消防本部装置113と通信する移動局15A,15B,15Cとを備え、親局11は、移動局15A,15B,15Cと通信する際に「送信フレーム番号指定」としてフレーム番号を基地局無線装置13A,13B,13Cへ送信し、フレーム番号を受信した基地局無線装置13A,13B,13Cは、フレーム番号を受信したことを通知する通知信号を親局11に送信し、親局11は、基地局無線装置13A,13B,13Cが親局11から受信した通信内容(例えば送信データ)を移動局15A,15B,15Cへ向けて送信する送信タイミングを通知信号に基づいて決定し、親局11は、移動局15A,15B,15Cに送信信号を送信する際に、送信タイミングの情報である同期送信開始用フレーム番号を含めた送信信号を基地局無線装置13A,13B,13Cへ送信する。
これにより、消防無線通信システム1は、低コスト化を図り、かつ、データの送受信を正しくできる。
【0075】
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
上記実施形態による消防無線通信システム1は、フレーム番号(すなわちフレーム期間)に基づいて、回線制御装置111と基地局無線装置13A,13B,13Cとの間でデータを送受信するために必要な時間を判定するが、本発明はこれに限られない。消防無線通信システム1は、例えば回線制御装置111と基地局無線装置13A,13B,13Cとの間でデータを送受信するために必要な時間を計測して当該時間を判定してもよい。
【0076】
この場合、回線制御装置111は、同期用信号を基地局無線装置13A,13B,13Cに送信した送信時刻を記憶する。基地局無線装置13A,13B,13Cは、回線制御装置111から送信された同期用信号の受信時刻を含む通知信号を回線制御装置111に送信する。回線制御装置111は、記憶した送信時刻と受信した受信時刻との差分を計算し、当該差分のうちの最も大きい差分に基づいて、同期送信を開始する時刻(すなわち上記実施形態における同期送信開始用フレーム番号に相当する時刻)を決定してもよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 消防無線通信システム
2 GNSS衛星
3 NTPサーバー
11 親局
13A,13B,13C 基地局無線装置
15A,15B,15C 移動局
17A,17B,17C LANケーブル
111 回線制御装置
111a 制御部
111a-1 同期開始決定部
111b 水晶発振器
113 消防本部装置
131A,131B,131C GPS受信機
132A,132B,132C PLL回路
133A,133B,133C カウンタ
134A,134B,134C タイミング制御部
135A,135B,135C 無線部
136A,136B,136C,137A,137B,137C アンテナ
D1~D13 送信データ
GCK クロック信号
IZE1,IZE2,IZE3,IZE4 干渉範囲
PCK 基準クロック信号
PLS タイムパルス信号
SaA,SaB,SaC 通知信号
St 送信信号
ZEA,ZEB,ZEC 通信範囲
図1
図2
図3
図4