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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150806
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】二元冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 7/00 20060101AFI20231005BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F25B7/00 D
F25B7/00 E
F25B1/00 101F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060096
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】仲田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】前間 慶成
(72)【発明者】
【氏名】兼井 一樹
(57)【要約】
【課題】二元冷凍装置において、立ち上がり運転を速やかに行い、圧縮機の信頼性低下の抑制と消費電力の増加を抑制できる二元冷凍装置を提供する。
【解決手段】高元側圧縮機10、高元側熱交換器11、高元側膨張弁12、カスケード熱交換器13が順次接続された高元側第1循環路17を有する高元側冷媒回路2と、低元側圧縮機20、カスケード熱交換器13、低元側膨張弁21、熱源側熱交換器22とが順次接続された低元側冷媒回路3とを備え、カスケード熱交換器13で高元側冷媒と低元側冷媒とが熱交換し、高元側冷媒回路2は、高元側圧縮機10の吐出側と吸入側とを高元側バイパス路15で接続し高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒が高元側バイパス路15を通って高元側圧縮機10の吸入側へと循環する高元側第2循環路18と、高元側第1循環路17または高元側第2循環路18を切り換える高元側開閉弁16とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高元側圧縮機と、熱媒体と熱交換する高元側熱交換器と、高元側膨張機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側第1循環路を有する高元側冷媒回路と、
低元側圧縮機と、前記カスケード熱交換器と、低元側膨張機構と、熱元側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する低元側冷媒回路と、
前記高元側冷媒回路と前記低元側冷媒回路を制御する制御部と、を備え、
前記カスケード熱交換器で前記高元側冷媒と前記低元側冷媒とが熱交換し、
前記高元側冷媒回路は、前記高元側圧縮機の吐出側と吸入側とを高元側バイパス路で接続し前記高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒が前記高元側バイパス路を通って前記高元側圧縮機の吸入側へと循環する高元側第2循環路と、前記高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒を前記高元側第1循環路または前記高元側第2循環路に循環するように循環路を切り換える高元側切換手段と、を備えていることを特徴とする二元冷凍装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記二元冷凍装置を起動する際に、前記高元側圧縮機を起動させ、高元側冷媒が前記高元側第2循環路を循環するように前記高元側切換手段を制御し、
高元側冷媒の吐出媒温度が所定値を超えた場合に、前記高元側切換手段を前記高元側第1循環路に切り換え、高元側冷媒を前記高元側第1循環路に循環させ、
高元側冷媒の吐出媒温度が前記熱媒体の温度を超えた場合、前記低元側圧縮機を起動させることを特徴とする請求項1に記載の二元冷凍装置。
【請求項3】
高元側圧縮機と、熱媒体と熱交換する高元側熱交換器と、高元側膨張機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側冷媒回路と、
低元側圧縮機と、前記カスケード熱交換器と、低元側膨張機構と、熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する低元側第1循環路を有する低元側冷媒回路と、
前記高元側冷媒回路と前記低元側冷媒回路を制御する制御部と、を備え、
前記カスケード熱交換器で前記高元側冷媒と前記低元側冷媒とが熱交換し、
前記低元側冷媒回路は、前記低元側圧縮機の吐出側と吸入側とを低元側バイパス路で接続し前記低元側圧縮機から吐出された低元側冷媒が前記低元側バイパス路を通って前記低元側圧縮機の吸入側へと循環する低元側第2循環路と、前記低元側圧縮機から吐出された低元側冷媒を前記低元側第1循環路または前記低元側第2循環路に循環するように循環路を切り換える低元側切換手段と、を備えていることを特徴とする二元冷凍装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記二元冷凍装置を起動する際に、前記高元側圧縮機および前記低元側圧縮機を起動させ、低元側冷媒が前記低元側第2循環路を循環するように前記低元側切換手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の二元冷凍装置。
【請求項5】
前記制御部は、高元側冷媒の吐出媒温度が前記熱媒体の温度を超えた場合、前記低元側切換手段を前記低元側第1循環路に切り換え、低元側冷媒を前記低元側第1循環路に循環させることを特徴とする請求項4に記載の二元冷凍装置。
【請求項6】
高元側圧縮機と、熱媒体と熱交換する高元側熱交換器と、高元側膨張機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側第1循環路を有する高元側冷媒回路と、
低元側圧縮機と、前記カスケード熱交換器と、低元側膨張機構と、熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する低元側第1循環路を有する低元側冷媒回路と、
前記高元側冷媒回路と前記低元側冷媒回路を制御する制御部と、を備え、
前記カスケード熱交換器で前記高元側冷媒と前記低元側冷媒とが熱交換し、
前記高元側冷媒回路は、前記高元側圧縮機の吐出側と吸入側とを高元側バイパス路で接続し前記高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒が前記高元側バイパス路を通って前記高元側圧縮機の吸入側へと循環する高元側第2循環路と、前記高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒を前記高元側第1循環路または前記高元側第2循環路に循環するように循環路を切り換える高元側切換手段と、
前記低元側冷媒回路は、前記低元側圧縮機の吐出側と吸入側とを低元側バイパス路で接続し前記低元側圧縮機から吐出された低元側冷媒が前記低元側バイパス路を通って前記低元側圧縮機の吸入側へと循環する低元側第2循環路と、前記低元側圧縮機から吐出された低元側冷媒を前記低元側第1循環路または前記低元側第2循環路に循環するように循環路を切り換える低元側切換手段とを、備えていることを特徴とする二元冷凍装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記二元冷凍装置を起動する際に、前記高元側圧縮機および前記低元側圧縮機を起動させ、
高元側冷媒が前記高元側第2循環路を循環するように前記高元側切換手段を制御し、
低元側冷媒が前記低元側第2循環路を循環するように前記低元側切換手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の二元冷凍装置。
【請求項8】
前記制御部は、高元側冷媒の吐出媒温度が所定値を超えた場合、前記高元側切換手段を前記高元側第1循環路に切り換え、高元側冷媒を前記高元側第1循環路に循環させ、
高元側冷媒の吐出媒温度が前記熱媒体の温度を超えた場合、前記低元側切換手段を前記低元側第1循環路に切り換え、低元側冷媒を前記低元側第1循環路に循環させることを特徴とする請求項7に記載の二元冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二元冷凍装置に関し、特に、定常運転までの円滑な立ち上がりを可能とする二元冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二元冷凍装置は、圧縮機と、凝縮器と、膨張機構と、中間熱交換器の蒸発部とが順に接続されて構成され、高元側冷媒が循環する高元側冷媒回路と、圧縮機と、中間熱交換器の凝縮部と、膨張機構と、蒸発器とが順に接続されて構成され、低元側冷媒が循環すると共に、中間熱交換器において高元側冷媒と低元側冷媒とが熱交換する低元側冷媒回路とを備える。このような二元冷凍装置では、高元側冷媒回路の凝縮器において、放熱したり、低元側冷媒回路の蒸発器において、冷凍庫の冷熱源を得たりすることが可能である。
【0003】
このような二元冷凍装置において、低元側冷媒回路および高元側冷媒回路を同時に起動すると、高元側冷媒回路では吐出温度が十分に上昇するまでは凝縮器において冷媒が凝縮されないため冷媒循環量が十分に確保できず、高元側冷媒回路が低圧カットに至る場合がある。また、高元側冷媒回路の冷媒循環量が十分に確保できない状態のまま低元側冷媒回路が起動するため、低元側冷媒回路の低元側冷媒が中間熱交換器で高元側冷媒と十分に熱交換されないことで、低元側冷媒回路の高圧カットに至ることがあり、いずれにしても定常運転に至る前に異常停止となるおそれが高かった。
【0004】
そのため、特許文献1に開示された二元冷凍装置では、低元側冷媒回路を起動した後、低元側冷媒が所定第1圧力に達したら、低元側冷媒回路を停止するとともに、高元側冷媒回路を起動し、低元側冷媒回路の低元側冷媒が所定第2圧力まで減圧されたら、低元側冷媒回路を起動することで、立ち上げの際に、低元側冷媒回路の高圧異常および高元側冷媒回路の低圧異常いずれも引き起こすおそれがなく、定常運転までの円滑な立ち上げを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-213592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された二元冷凍装置では、低元側冷媒回路の圧縮機と高元側冷媒回路の圧縮機とを交互に運転するため、立ち上がりに時間がかかるとともに圧縮機の信頼性が低下する。また、圧縮機の起動と停止を繰り返すことから消費電力も増加するという課題がある。
【0007】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、二元冷凍装置において、立ち上がり運転を速やかに行い、圧縮機の信頼性低下の抑制と消費電力の増加を抑制できる二元冷凍装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、高元側圧縮機と、熱媒体と熱交換する高元側熱交換器と、高元側膨張機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側第1循環路を有する高元側冷媒回路と、低元側圧縮機と、カスケード熱交換器と、低元側膨張機構と、熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する低元側冷媒回路と、高元側冷媒回路と低元側冷媒回路を制御する制御部と、を備え、カスケード熱交換器で高元側冷媒と低元側冷媒とが熱交換し、高元側冷媒回路は、高元側圧縮機の吐出側と吸入側とを高元側バイパス路で接続し高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒が高元側バイパス路を通って高元側圧縮機の吸入側へと循環する高元側第2循環路と、高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒を高元側第1循環路または高元側第2循環路に循環するように循環路を切り換える高元側切換手段と、を備えている二元冷凍装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、二元冷凍装置において、立ち上がり運転を速やかに行い、圧縮機の信頼性低下の抑制と消費電力の増加を抑制できる二元冷凍装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る二元冷凍装置の冷凍回路図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る二元冷凍装置の制御フロー図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る二元冷凍装置の冷凍回路図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る二元冷凍装置の制御フロー図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る二元冷凍装置の冷凍回路図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る二元冷凍装置の制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る二元冷凍装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
図1は、第1の実施形態に係る二元冷凍装置の冷凍回路図である。図2は、第1の実施形態に係る二元冷凍装置の制御フロー図である。
【実施例0013】
図1を参照して、第1の実施形態である二元冷凍装置1について説明する。図1は、第1の実施形態の二元冷凍装置1の冷媒回路図である。二元冷凍装置1は、高温側で高温度の温水を作る運転、あるいは、暖房運転に用いられることができる冷凍装置である。以下、温水をつくる運転と暖房運転をまとめて暖房運転と呼ぶことがある。本実施形態では、暖房運転に用いられる二元冷凍装置について説明する。二元冷凍装置1は、高元側冷媒回路2、低元側冷媒回路3、制御部5を備え、制御部5は二元冷凍装置1を制御する。
【0014】
高元側冷媒回路2は、高元側第1循環路17を有している。高元側第1循環路17は、高元側圧縮機10と、空気や水などの熱媒体と熱交換する高元側熱交換器11と、高元側膨張機構としての高元側膨張弁12と、カスケード熱交換器13とが冷媒配管6で順次接続され、高元側冷媒が循環する。カスケード熱交換器13は、高元側冷媒回路2を流れる高元側冷媒と低元側冷媒回路3を流れる低元側冷媒とが熱交換する熱交換器である。本実施形態では、高元側熱交換器11は、高元側冷媒と図示しない送風機を介して熱媒体としての空気と熱交換する熱交換器である。高元側熱交換器11は、高元側冷媒と熱媒体としての空気が熱交換する熱交換器であるが、例えば、図示しない熱媒体回路を流れる熱媒体としての水と熱交換する熱交換器であっても構わない。高元側冷媒回路2における矢印は暖房運転時の高元側冷媒の流れを示す。
【0015】
高元側冷媒回路2において、高元側圧縮機10の吐出側には、高元側圧縮機10から吐出される高元側冷媒を高元側熱交換器11の側に流すか、または、カスケード熱交換器13の側に流すかを切り換える高元側四方弁14が接続されている。本実施形態では、高元側四方弁14によって、高元側圧縮機10から吐出される高元側冷媒が高元側熱交換器11の側へ流れる場合(暖房運転)について説明する。従って、高元側冷媒回路2においては、高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒は、高元側熱交換器11、高元側膨張弁12、カスケード熱交換器13を流れて、高元側圧縮機10に吸入される。
【0016】
低元側冷媒回路3は、低元側第1循環路23と低元側第2循環路28を有している。低元側第1循環路23は、低元側圧縮機20と、高元側冷媒回路2に接続されたカスケード熱交換器13と、低元側膨張機構としての低元側膨張弁21と、外気から吸熱する熱源側熱交換器22とが冷媒配管6で順次接続され、低元側冷媒が循環する。カスケード熱交換器13は、低元側冷媒と高元側冷媒回路2を流れる高元側冷媒とが熱交換する熱交換器である。低元側冷媒回路3における矢印は低元側冷媒の流れを示す。
【0017】
低元側冷媒回路3は、低元側圧縮機20の吐出側と低元側圧縮機20の吸入側とを接続する低元側バイパス路25を備えている。低元側バイパス路25には低元側開閉弁26が設けられている。低元側開閉弁26は低元側バイパス路25を開閉する。低元側圧縮機20の吐出側から低元側バイパス路25を通って低元側圧縮機20の吸入側へと低元側冷媒が循環する流路が低元側第2循環路28となる。低元側開閉弁26を閉じると低元側冷媒は低元側第1循環路23を循環し、低元側開閉弁26を開くと多くの低元側冷媒は低元側第1循環路23よりも流路抵抗の小さい低元側第2循環路28を循環する。低元側開閉弁26は、本発明における低元側圧縮機20から吐出された低元側冷媒を低元側第1循環路23または低元側第2循環路28に循環するように切り換える低元側切換手段となる。尚、本実施形態では、低元側切換手段として開閉弁である低元側開閉弁26を用いたが、低元側切換手段として他の手段を用いても構わない。例えば、低元側バイパス路25の一端または他端に三方弁を設けて、三方弁により、低元側圧縮機20から吐出された低元側冷媒を低元側第1循環路23または低元側第2循環路28に循環するように切り換えても構わない。
【0018】
低元側冷媒回路3において、低元側圧縮機20の吐出側には、低元側圧縮機20から吐出される低元側冷媒を、カスケード熱交換器13の側に流すか、または、熱源側熱交換器22の側に流すかを切り換える低元側四方弁27が接続されている。本実施形態では、低元側四方弁27によって、低元側圧縮機20から吐出される低元側冷媒がカスケード熱交換器13の側へ流れる場合(暖房運転)について説明する。この場合、低元側冷媒回路3においては、低元側圧縮機20から吐出された低元側冷媒は、カスケード熱交換器13、低元側膨張弁21、熱源側熱交換器22を流れて、低元側圧縮機20に吸入される。低元側冷媒回路3において、低元側圧縮機20は、低元側第1循環路23および低元側第2循環路28において共通に用いられる構成である。
【0019】
第1の実施形態では、高元側冷媒回路2における高元側冷媒と低元側冷媒回路3における低元側冷媒は同一の冷媒であるが、必ずしも同一である必要はなく、例えば、高元側冷媒よりも低沸点である低元側冷媒としても構わない。
【0020】
次に、図2に示す制御フロー図を参照して、第1の実施形態に係る二元冷凍装置1の制御について説明する。
【0021】
制御部5は、二元冷凍装置1を起動させる際に、まず、高元側圧縮機10を起動(ST1)させ、その後、低元側圧縮機20を起動(ST2)させる。すなわち、高元側圧縮機10と低元側圧縮機20とがほぼ同時に起動する。次に、低元側開閉弁26を開く(ST3)。低元側開閉弁26を開くことにより、低元側圧縮機20から吐出された高温高圧の低元側冷媒の多くは低元側第1循環路23よりも流路抵抗の小さい低元側バイパス路25を通って低元側圧縮機20の吸入側へ流れる。すなわち、低元側圧縮機20から吐出された高温高圧の低元側冷媒は低元側第2循環路28を循環する。次に、高元側冷媒回路2の高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒の温度が、高元側熱交換器11において熱交換する熱媒体としての空気の温度より高いかどうかを判断する(ST4)。高元側冷媒の温度は、高元側圧縮機10の吐出側に接続された配管に設けられた図示しない温度センサによって検出される。熱媒体の温度は、高元側熱交換器11に流入する熱媒体の温度を検出する位置に設けられた図示しない温度センサにより検出される。高元側冷媒回路2の高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒の温度が、高元側熱交換器11において熱交換する熱媒体としての空気の温度より高い場合(ST4のYes)は、低元側開閉弁26を閉じる(ST5)。
【0022】
第1の実施形態の二元冷凍装置1では、高元側圧縮機10を起動(ST1)させ、低元側圧縮機20を起動(ST2)させてから、低元側開閉弁26を開いて、低元側圧縮機20から吐出された高温高圧の低元側冷媒は低元側第2循環路28を循環することを特徴としている。すなわち、低元側圧縮機20から吐出された高温高圧の低元側冷媒の多くは、低元側第1循環路23よりも流路抵抗の小さい低元側バイパス路25を通って低元側圧縮機20の吸入側へと循環することで、低元側圧縮機20から吐出される冷媒の圧力と低元側圧縮機20に吸入される冷媒の圧力の差が小さくなる。これにより、低元側冷媒回路3の高圧側における低元側冷媒の圧力が上昇することを抑制することができ、高元側冷媒回路2のカスケード熱交換器13において高元側冷媒が蒸発できない状態であっても、低元側圧縮機20の運転を継続できる。また、即座に低元側圧縮機20を温めることで低外気時の寝込みを抑制することができる。
【0023】
次に、図3を参照して、第2の実施形態としての二元冷凍装置50について説明する。第2の実施形態の二元冷凍装置50と第1の実施形態の二元冷凍装置1との相違は、高元側冷媒回路2に高元側第2循環路18を設け、低元側冷媒回路3に低元側第2循環路28を設けていない点であり、他の構成は共通する。共通する構成については同一の付番を使用する。
【0024】
図3は、第2実施形態の二元冷凍装置50の冷媒回路図である。二元冷凍装置50は、高温側で暖房運転に用いられることができる冷凍装置である。本実施形態では、暖房運転に用いられる二元冷凍装置について説明する。二元冷凍装置50は、高元側冷媒回路2、低元側冷媒回路3、制御部5を備え、制御部5は二元冷凍装置50を制御する。
【0025】
高元側冷媒回路2は、高元側第1循環路17と高元側第2循環路18を有している。高元側第1循環路17は、高元側圧縮機10と、空気や水などの熱媒体と熱交換する高元側熱交換器11と、高元側膨張機構としての高元側膨張弁12と、カスケード熱交換器13とが冷媒配管6で順次接続され、高元側冷媒が循環する。カスケード熱交換器13は、高元側冷媒回路2を流れる高元側冷媒と低元側冷媒回路3を流れる低元側冷媒とが熱交換する熱交換器である。本実施形態では、高元側熱交換器11は、高元側冷媒と図示しない送風機を介して熱媒体としての空気と熱交換する熱交換器である。高元側熱交換器11は、高元側冷媒と熱媒体としての空気が熱交換する熱交換器であるが、例えば、図示しない熱媒体回路を流れる熱媒体としての水と熱交換する熱交換器であっても構わない。高元側冷媒回路2における矢印は高元側冷媒の流れ(暖房運転)を示す。
【0026】
高元側冷媒回路2は、高元側圧縮機10の吐出側と高元側圧縮機10の吸入側とを接続する高元側バイパス路15を備えている。高元側バイパス路15には高元側開閉弁16が設けられている。高元側開閉弁16は高元側バイパス路15を開閉する。高元側圧縮機10の吐出側から高元側バイパス路15を通って高元側圧縮機10の吸入側へと高元側冷媒が循環する流路が高元側第2循環路18となる。高元側開閉弁16を閉じると高元側冷媒は高元側第1循環路17を循環し、高元側開閉弁16を開くと多くの高元側冷媒は高元側第1循環路17よりも流路抵抗の小さい高元側第2循環路18を循環する。高元側開閉弁16は、本発明における高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒を高元側第1循環路17または高元側第2循環路18に循環するように切り換える高元側切換手段となる。尚、本実施形態では、高元側切換手段として開閉弁である高元側開閉弁16を用いたが、高元側切換手段として他の手段を用いても構わない。例えば、高元側バイパス路15の一端または他端に三方弁を設けて、三方弁により、高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒を高元側第1循環路17または高元側第2循環路18に循環するように切り換えても構わない。
【0027】
高元側冷媒回路2において、高元側圧縮機10の吐出側には、高元側圧縮機10から吐出される高元側冷媒を高元側熱交換器11の側に流すか、または、カスケード熱交換器13の側に流すかを切り換える高元側四方弁14が接続されている。本実施形態では、高元側四方弁14によって、高元側圧縮機10から吐出される高元側冷媒が高元側熱交換器11の側へ流れる場合について説明する。従って、高元側冷媒回路2においては、高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒は、高元側熱交換器11、高元側膨張弁12、カスケード熱交換器13を流れて、高元側圧縮機10に吸入される。高元側冷媒回路2において、高元側圧縮機10は、高元側第1循環路17および高元側第2循環路18において共通に用いられる構成である。
【0028】
低元側冷媒回路3は、低元側第1循環路23を有している。低元側第1循環路23は、低元側圧縮機20と、高元側冷媒回路2に接続されたカスケード熱交換器13と、低元側膨張機構としての低元側膨張弁21と、外気から吸熱する熱源側熱交換器22とが冷媒配管6で順次接続され、低元側冷媒が循環する。カスケード熱交換器13は、低元側冷媒と高元側冷媒回路2を流れる高元側冷媒とが熱交換する熱交換器である。低元側冷媒回路3における矢印は低元側冷媒の流れを示す。
【0029】
低元側冷媒回路3において、低元側圧縮機20の吐出側には、低元側圧縮機20から吐出される低元側冷媒を、カスケード熱交換器13の側に流すか、または、熱源側熱交換器22の側に流すかを切り換える低元側四方弁27が接続されている。本実施形態では、低元側四方弁27によって、低元側圧縮機20から吐出される低元側冷媒がカスケード熱交換器13の側へ流れる場合について説明する。従って、低元側冷媒回路3においては、低元側圧縮機20から吐出された低元側冷媒は、カスケード熱交換器13、低元側膨張弁21、熱源側熱交換器22を流れて、低元側圧縮機20に吸入される。
【0030】
本実施形態では、高元側冷媒回路2における高元側冷媒と低元側冷媒回路3における低元側冷媒は同一の冷媒であるが、必ずしも同一である必要はなく、例えば、高元側冷媒よりも低沸点である低元側冷媒としても構わない。
【0031】
次に、図4に示す制御フロー図を参照して、第2の実施形態に係る二元冷凍装置50の制御について説明する。
【0032】
制御部5は、二元冷凍装置50を起動させる際に、まず、高元側圧縮機10を起動(ST10)させる。次に、高元側開閉弁16を開く(ST11)。高元側開閉弁16を開くことにより、高元側圧縮機10から吐出された高温高圧の高元側冷媒の多くは高元側第1循環路17よりも流路抵抗の小さい高元側バイパス路15を通って高元側圧縮機10の吸入側へと循環する。すなわち、高元側圧縮機10から吐出された高温高圧の高元側冷媒は高元側第2循環路18を循環する。次に、高元側圧縮機10の温度が所定値である60℃を越えたかどうかを判断する(ST12)。高元側圧縮機10の温度は、高元側圧縮機10の吐出側に接続された配管に設けられた図示しない温度センサによって検出される。所定値は、高元側圧縮機10の温度がその値以上であれば高元側熱交換器11において、熱媒体と所望の熱交換量が得られ、その温度に到達すれば高元側熱交換器11において高元側冷媒が十分に凝縮できる温度である。高元側圧縮機10の温度が所定値である60℃を越えた場合(ST12のYes)、高元側開閉弁16を閉じる(ST13)。高元側圧縮機10の温度が所定値である60℃を越えない場合は(ST12のNo)継続する。次に、高元側冷媒回路2の高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒の温度が、高元側熱交換器11において熱交換する熱媒体としての空気の温度より高いかどうかを判断する(ST14)。熱媒体の温度は、高元側熱交換器11に流入する熱媒体の温度を検出する位置に設けられた図示しない温度センサにより検出される。高元側冷媒回路2の高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒の温度が、高元側熱交換器11において熱交換する熱媒体としての空気の温度より高い場合(ST14のYes)は、低元側圧縮機20を起動(ST15)させる。
【0033】
本実施形態の二元冷凍装置1では、高元側圧縮機10を起動(ST10)させてから、高元側開閉弁16を開いて、高元側圧縮機10から吐出された高温高圧の高元側冷媒が高元側第2循環路18を循環することを特徴としている。すなわち、高元側圧縮機10から吐出された高温高圧の高元側冷媒の多くは、高元側第1循環路17よりも流路抵抗の小さい高元側バイパス路15を通って高元側圧縮機10の吸入側へと循環する。これにより、高元側圧縮機10の温度を即座に上昇させ、低外気温度時の寝込み運転を抑制することができる。また、高元側冷媒の冷媒圧力が上がりやすい状態にすることができるので、高元側冷媒が高元側熱交換器11で熱媒体である空気と熱交換できるため凝縮させることができるので、カスケード熱交換器13で低元側冷媒と熱交換ができるようになり、すみやかに低元側圧縮機20の起動を開始できる。
【0034】
次に、図5を参照して、第3の実施形態としての二元冷凍装置51について説明する。第3の実施形態の二元冷凍装置51と第1の実施形態の二元冷凍装置1との相違は、高元側冷媒回路2に高元側第2循環路18を設け、また、低元側冷媒回路3に低元側第2循環路28を設けた点であり、他の構成は共通する。共通する構成については同一の付番を使用する。
【0035】
図5は、第3実施形態の二元冷凍装置51の冷媒回路図である。二元冷凍装置51は、低温側で利用する場合には冷凍食品などを貯蔵するために用いられ、高温側で利用する場合には、高温度の温水を作り出す、あるいは、暖房運転に用いられることができる冷凍装置である。本実施形態では、暖房運転に用いられる二元冷凍装置について説明する。二元冷凍装置51は、高元側冷媒回路2、低元側冷媒回路3、制御部5を備え、制御部5は二元冷凍装置51を制御する。
【0036】
高元側冷媒回路2は、高元側第1循環路17と高元側第2循環路18を有している。高元側第1循環路17は、高元側圧縮機10と、空気や水などの熱媒体と熱交換する高元側熱交換器11と、高元側膨張機構としての高元側膨張弁12と、カスケード熱交換器13とが冷媒配管6で順次接続され、高元側冷媒が循環する。カスケード熱交換器13は、高元側冷媒回路2を流れる高元側冷媒と低元側冷媒回路3を流れる低元側冷媒とが熱交換する熱交換器である。本実施形態では、高元側熱交換器11は、高元側冷媒と図示しない送風機を介して熱媒体としての空気と熱交換する熱交換器である。高元側熱交換器11は、高元側冷媒と熱媒体としての空気が熱交換する熱交換器であるが、例えば、図示しない熱媒体回路を流れる熱媒体としての水と熱交換する熱交換器であっても構わない。高元側冷媒回路2における矢印は高元側冷媒の流れ(暖房運転)を示す。
【0037】
高元側冷媒回路2は、高元側圧縮機10の吐出側と高元側圧縮機10の吸入側とを接続する高元側バイパス路15を備えている。高元側バイパス路15には高元側開閉弁16が設けられている。高元側開閉弁16は高元側バイパス路15を開閉する。高元側圧縮機10の吐出側から高元側バイパス路15を通って高元側圧縮機10の吸入側へと高元側冷媒が循環する流路が高元側第2循環路18となる。高元側開閉弁16を閉じると高元側冷媒は高元側第1循環路17を循環し、高元側開閉弁16を開くと多くの高元側冷媒は高元側第1循環路17よりも流路抵抗の小さい高元側第2循環路18を循環する。高元側開閉弁16は、本発明における高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒を高元側第1循環路17または高元側第2循環路18に循環するように切り換える高元側切換手段となる。尚、本実施形態では、高元側切換手段として開閉弁である高元側開閉弁16を用いたが、高元側切換手段として他の手段を用いても構わない。例えば、高元側バイパス路15の一端または他端に三方弁を設けて、三方弁により、高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒を高元側第1循環路17または高元側第2循環路18に循環するように切り換えても構わない。
【0038】
高元側冷媒回路2において、高元側圧縮機10の吐出側には、高元側圧縮機10から吐出される高元側冷媒を高元側熱交換器11の側に流すか、または、カスケード熱交換器13の側に流すかを切り換える高元側四方弁14が接続されている。本実施形態では、高元側四方弁14によって、高元側圧縮機10から吐出される高元側冷媒が高元側熱交換器11の側へ流れる場合について説明する。従って、高元側冷媒回路2においては、高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒は、高元側熱交換器11、高元側膨張弁12、カスケード熱交換器13を流れて、高元側圧縮機10に吸入される。高元側冷媒回路2において、高元側圧縮機10は、高元側第1循環路17および高元側第2循環路18において共通に用いられる構成である。
【0039】
低元側冷媒回路3は、低元側第1循環路23と低元側第2循環路28を有している。低元側第1循環路23は、低元側圧縮機20と、高元側冷媒回路2に接続されたカスケード熱交換器13と、低元側膨張機構としての低元側膨張弁21と、外気から吸熱する熱源側熱交換器22とが冷媒配管6で順次接続され、低元側冷媒が循環する。カスケード熱交換器13は、低元側冷媒と高元側冷媒回路2を流れる高元側冷媒とが熱交換する熱交換器である。低元側冷媒回路3における矢印は低元側冷媒の流れを示す。
【0040】
低元側冷媒回路3は、低元側圧縮機20の吐出側と低元側圧縮機20の吸入側とを接続する低元側バイパス路25を備えている。低元側バイパス路25には低元側開閉弁26が設けられている。低元側開閉弁26は低元側バイパス路25を開閉する。低元側圧縮機20の吐出側から低元側バイパス路25を通って低元側圧縮機20の吸入側へと低元側冷媒が循環する流路が低元側第2循環路28となる。低元側開閉弁26を閉じると低元側冷媒は低元側第1循環路23を循環し、低元側開閉弁26を開くと多くの低元側冷媒は低元側第1循環路23よりも流路抵抗の小さい低元側第2循環路28を循環する。低元側開閉弁26は、本発明における低元側圧縮機20から吐出された低元側冷媒を低元側第1循環路23または低元側第2循環路28に循環するように切り換える低元側切換手段となる。尚、本実施形態では、低元側切換手段として開閉弁である低元側開閉弁26を用いたが、低元側切換手段として他の手段を用いても構わない。例えば、低元側バイパス路25の一端または他端に三方弁を設けて、三方弁により、低元側圧縮機20から吐出された低元側冷媒を低元側第1循環路23または低元側第2循環路28に循環するように切り換えても構わない。
【0041】
低元側冷媒回路3において、低元側圧縮機20の吐出側には、低元側圧縮機20から吐出される低元側冷媒を、カスケード熱交換器13の側に流すか、または、熱源側熱交換器22の側に流すかを切り換える低元側四方弁27が接続されている。本実施形態では、低元側四方弁27によって、低元側圧縮機20から吐出される低元側冷媒がカスケード熱交換器13の側へ流れる場合について説明する。従って、低元側冷媒回路3においては、低元側圧縮機20から吐出された低元側冷媒は、カスケード熱交換器13、低元側膨張弁21、熱源側熱交換器22を流れて、低元側圧縮機20に吸入される。低元側冷媒回路3において、低元側圧縮機20は、低元側第1循環路23および低元側第2循環路28において共通に用いられる構成である。
【0042】
本実施形態では、高元側冷媒回路2における高元側冷媒と低元側冷媒回路3における低元側冷媒は同一の冷媒であるが、必ずしも同一である必要はなく、例えば、高元側冷媒よりも低沸点である低元側冷媒としても構わない。
【0043】
次に、図6に示す制御フロー図を参照して、第3の実施形態に係る二元冷凍装置51の制御について説明する。
【0044】
制御部5は、二元冷凍装置51を起動させる際に、まず、高元側圧縮機10を起動させ、高元側開閉弁16を開く(ST20)。高元側開閉弁16を開くことにより、高元側圧縮機10から吐出された高温高圧の高元側冷媒の多くは高元側第1循環路17よりも流路抵抗の小さい高元側バイパス路15を通って高元側圧縮機10の吸入側へと循環する。すなわち、高元側圧縮機10から吐出された高温高圧の高元側冷媒は高元側第2循環路18を循環する。次に、低元側圧縮機20を起動させ、低元側開閉弁26を開く(ST21)。低元側開閉弁26を開くことにより、低元側圧縮機20から吐出された高温高圧の低元側冷媒の多くは低元側第1循環路23よりも流路抵抗の小さい低元側バイパス路25を通って低元側圧縮機20の吸入側へと循環する。すなわち、低元側圧縮機20から吐出された高温高圧の低元側冷媒は低元側第2循環路28を循環する。次に、高元側圧縮機10の温度が所定値である60℃を越えたかどうかを判断する(ST22)。高元側冷媒の温度は、高元側圧縮機10の吐出側に接続された配管に設けられた図示しない温度センサによって検出される。所定値は、高元側熱交換器11において、熱媒体と所望の熱交換量が得られ、その温度に到達すれば高元側熱交換器11において高元側冷媒が十分に凝縮できる温度である。高元側圧縮機10の温度が所定値である60℃を越えた場合(ST22のYes)、高元側開閉弁16を閉じる(ST23)。高元側圧縮機10の温度が所定値である60℃を越えない場合は(ST22のNo)継続する。次に、高元側冷媒回路2の高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒の温度が、高元側熱交換器11において熱交換する熱媒体としての空気の温度より高いかどうかを判断する(ST24)。熱媒体の温度は、高元側熱交換器11に流入する熱媒体の温度を検出する位置に設けられた図示しない温度センサにより検出される。高元側冷媒回路2の高元側圧縮機10から吐出された高元側冷媒の温度が、高元側熱交換器11において熱交換する熱媒体としての空気の温度より高い場合(ST24のYes)は、低元側開閉弁26を閉じる(ST25)。
【0045】
本実施形態の二元冷凍装置51では、高元側圧縮機10を起動させて高元側開閉弁16を開き、また、低元側圧縮機20を起動させて低元側開閉弁26を開き、高元側圧縮機10から吐出された高温高圧の高元側冷媒が高元側第2循環路18を循環すること、および、低元側圧縮機20から吐出された高温高圧の低元側冷媒が低元側第2循環路28を循環することを特徴としている。すなわち、高元側圧縮機10から吐出された高温高圧の高元側冷媒の多くは、高元側第1循環路17よりも流路抵抗の小さい高元側バイパス路15を通って高元側圧縮機10の吸入側へと循環し、また、低元側圧縮機20から吐出された高温高圧の低元側冷媒の多くは、低元側第1循環路23よりも流路抵抗の小さい低元側バイパス路25を通って低元側圧縮機20の吸入側へと循環する。これにより、高元側圧縮機10の温度を即座に上昇させ、低外気温度時の寝込み運転を抑制することができる。また、高元側冷媒の冷媒圧力が上がりやすい状態にすることができるので、高元側冷媒が高元側熱交換器11で熱媒体である空気と熱交換できるため凝縮させることができるので、カスケード熱交換器13で低元側冷媒と熱交換ができるようになり、すみやかに低元側圧縮機20の起動を開始できる。また、低元側冷媒回路3における低元側冷媒の高圧側が上昇することを抑制することができ、高元側冷媒回路2のカスケード熱交換器13において高元側冷媒が蒸発できない状態であっても、低元側圧縮機20の運転を継続できる。また、即座に低元側圧縮機20を温めることで低外気時の寝込みを抑制することができる。
【0046】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0047】
1…二元冷凍装置、2…高元側冷媒回路、3…低元側冷媒回路、5…制御部、6…冷媒配管、10…高元側圧縮機、11…高元側熱交換器、12…高元側膨張弁、13…カスケード熱交換器、14…高元側四方弁、15…高元側バイパス路、16…高元側開閉弁、17…高元側第1循環路、18…高元側第2循環路、20…低元側圧縮機、21…低元側膨張弁、22…熱源側熱交換器、23…低元側第1循環路、25…低元側バイパス路、26…低元側開閉弁、27…低元側四方弁、28…低元側第2循環路、50…二元冷凍装置、51…二元冷凍装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高元側圧縮機と、熱媒体と熱交換する高元側熱交換器と、高元側膨張機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側第1循環路を有する高元側冷媒回路と、
低元側圧縮機と、前記カスケード熱交換器と、低元側膨張機構と、熱元側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する低元側冷媒回路と、
前記高元側冷媒回路と前記低元側冷媒回路を制御する制御部と
前記高元側冷媒回路は、前記高元側圧縮機の吐出側と吸入側とを高元側バイパス路で接続し前記高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒が前記高元側バイパス路を通って前記高元側圧縮機の吸入側へと循環する高元側第2循環路と、前記高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒を前記高元側第1循環路または前記高元側第2循環路に循環するように循環路を切り換える高元側切換手段と、を備え、
前記カスケード熱交換器で前記高元側冷媒と前記低元側冷媒とが熱交換し、
前記制御部は、前記高元側圧縮機を起動させ、高元側冷媒が前記高元側第2循環路を循環するように前記高元側切換手段を制御し、
高元側冷媒の吐出冷媒温度が所定値を超えた場合に、前記高元側切換手段を前記高元側第1循環路に切り換え、高元側冷媒を前記高元側第1循環路に循環させ、
高元側冷媒の吐出冷媒温度が前記熱媒体の温度を超えた場合、前記低元側圧縮機を起動させることを特徴とする二元冷凍装置。
【請求項2】
高元側圧縮機と、熱媒体と熱交換する高元側熱交換器と、高元側膨張機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側冷媒回路と、
低元側圧縮機と、前記カスケード熱交換器と、低元側膨張機構と、熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する低元側第1循環路を有する低元側冷媒回路と、
前記高元側冷媒回路と前記低元側冷媒回路を制御する制御部と
前記低元側冷媒回路は、前記低元側圧縮機の吐出側と吸入側とを低元側バイパス路で接続し前記低元側圧縮機から吐出された低元側冷媒が前記低元側バイパス路を通って前記低元側圧縮機の吸入側へと循環する低元側第2循環路と、前記低元側圧縮機から吐出された低元側冷媒を前記低元側第1循環路または前記低元側第2循環路に循環するように循環路を切り換える低元側切換手段と、を備え、
前記カスケード熱交換器で前記高元側冷媒と前記低元側冷媒とが熱交換し、
前記制御部は、前記高元側圧縮機および前記低元側圧縮機を起動させ、低元側冷媒が前記低元側第2循環路を循環するように前記低元側切換手段を制御し、高元側冷媒の吐出冷媒温度が前記熱媒体の温度を超えた場合、前記低元側切換手段を前記低元側第1循環路に切り換え、低元側冷媒を前記低元側第1循環路に循環させることを特徴とする二元冷凍装置。
【請求項3】
高元側圧縮機と、熱媒体と熱交換する高元側熱交換器と、高元側膨張機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側第1循環路を有する高元側冷媒回路と、
低元側圧縮機と、前記カスケード熱交換器と、低元側膨張機構と、熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する低元側第1循環路を有する低元側冷媒回路と、
前記高元側冷媒回路と前記低元側冷媒回路を制御する制御部と
前記高元側冷媒回路は、前記高元側圧縮機の吐出側と吸入側とを高元側バイパス路で接続し前記高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒が前記高元側バイパス路を通って前記高元側圧縮機の吸入側へと循環する高元側第2循環路と、前記高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒を前記高元側第1循環路または前記高元側第2循環路に循環するように循環路を切り換える高元側切換手段と、
前記低元側冷媒回路は、前記低元側圧縮機の吐出側と吸入側とを低元側バイパス路で接続し前記低元側圧縮機から吐出された低元側冷媒が前記低元側バイパス路を通って前記低元側圧縮機の吸入側へと循環する低元側第2循環路と、前記低元側圧縮機から吐出された低元側冷媒を前記低元側第1循環路または前記低元側第2循環路に循環するように循環路を切り換える低元側切換手段と、を備え、
前記カスケード熱交換器で前記高元側冷媒と前記低元側冷媒とが熱交換し、
前記制御部は、前記高元側圧縮機および前記低元側圧縮機を起動させ、
高元側冷媒が前記高元側第2循環路を循環するように前記高元側切換手段を制御し、
低元側冷媒が前記低元側第2循環路を循環するように前記低元側切換手段を制御し、
高元側冷媒の吐出冷媒温度が所定値を超えた場合、前記高元側切換手段を前記高元側第1循環路に切り換え、高元側冷媒を前記高元側第1循環路に循環させ、
高元側冷媒の吐出冷媒温度が前記熱媒体の温度を超えた場合、前記低元側切換手段を前記低元側第1循環路に切り換え、低元側冷媒を前記低元側第1循環路に循環させることを特徴とする二元冷凍装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一態様は、高元側圧縮機と、熱媒体と熱交換する高元側熱交換器と、高元側膨張機構と、カスケード熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、高元側冷媒が循環する高元側第1循環路を有する高元側冷媒回路と、低元側圧縮機と、カスケード熱交換器と、低元側膨張機構と、熱源側熱交換器とが冷媒配管で順次接続され、低元側冷媒が循環する低元側冷媒回路と、高元側冷媒回路と低元側冷媒回路を制御する制御部と、高元側冷媒回路は、高元側圧縮機の吐出側と吸入側とを高元側バイパス路で接続し高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒が高元側バイパス路を通って高元側圧縮機の吸入側へと循環する高元側第2循環路と、高元側圧縮機から吐出された高元側冷媒を高元側第1循環路または高元側第2循環路に循環するように循環路を切り換える高元側切換手段と、を備え、カスケード熱交換器で高元側冷媒と低元側冷媒とが熱交換し、制御部は、高元側圧縮機を起動させ、高元側冷媒が高元側第2循環路を循環するように高元側切換手段を制御し、高元側冷媒の吐出冷媒温度が所定値を超えた場合に、高元側切換手段を高元側第1循環路に切り換え、高元側冷媒を高元側第1循環路に循環させ、高元側冷媒の吐出冷媒温度が熱媒体の温度を超えた場合、低元側圧縮機を起動させることを特徴とする二元冷凍装置である。