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特開2023-150832マイクログリッドにおける保護協調システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150832
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】マイクログリッドにおける保護協調システム
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/06 20060101AFI20231005BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231005BHJP
   H02H 7/26 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02H3/06 D
H02H3/06 A
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02H7/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060138
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000102636
【氏名又は名称】エナジーサポート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良幸
(72)【発明者】
【氏名】疋嶋 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】豊田 靖臣
【テーマコード(参考)】
5G064
5G142
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB11
5G064DA03
5G142HH02
5G142HH13
5G142HH22
5G142HH28
(57)【要約】
【課題】マイクログリッドにおける保護協調システムを実現する。
【解決手段】
マイクログリッドの保護協調システムは、停電時に自動開放し、復電時に自動投入する自動開閉器と、配電系統の停電を検出した際に自動開閉器に開放動作信号を出力し、配電系統が停電した後の復電を検出した際に自動開閉器に投入動作信号を出力する制御部を備えている。そして、制御部は、配電系統が復電したことを検出したときに、各需要家に対応する自動開閉器に対し、発電設備に近い側から順に、所定時間間隔をあけて投入動作信号を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電系統内に形成されているマイクログリッドの保護協調システムであって、
停電時に自動開放し、復電時に自動投入する自動開閉器と、
配電系統の停電を検出した際に自動開閉器に開放動作信号を出力し、配電系統が停電した後の復電を検出した際に自動開閉器に投入動作信号を出力する制御部と、を備え、
制御部は、配電系統が復電したことを検出したときに、各需要家に対応する自動開閉器に対し、発電設備に近い側から順に、所定時間間隔をあけて投入動作信号を出力する、保護協調システム。
【請求項2】
各需要家の受電盤内に自動開閉器が配置されており、
受電盤内の自動開閉器の動作制御を行う制御部によって、自動開閉器に対して投入動作信号が出力される請求項1に記載の保護協調システム。
【請求項3】
自動開閉器に投入動作信号を出力した後、所定時間内に停電が検出されたときは、次に復電を検出した際に、その自動開閉器に対する投入動作信号の出力を禁止する請求項1または2に記載の保護協調システム。
【請求項4】
マイクログリッド内に主配電系統と分岐配電系統が形成されており、
配電系統が復電したことを検出したときに、主配電系統の各需要家に対応する自動開閉器に対する投入動作信号の出力が終了した後に、分岐配電系統の各需要家に対応する自動開閉器に対する投入動作信号の出力を行う請求項1から3のいずれか一項に記載の保護協調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、マイクログリッドにおける保護協調システムに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、通常の配電系統における保護協調システムに関する技術が開示されている。特許文献1では、配電線に複数の測定器を分散して配置し、配電線からの給電電圧を測定して測定結果を変電所等の親局に送信する。親局は、測定結果に基づいて事故点を検出し、事故点直前の区分開閉器を開放ロックし、事故点を配電系統から切離す。そのため、需要家側で短絡事故が発生した場合、変電所の遮断機が開放した後に需要家の区分開閉器が開閉ロックされ、変電所が電力を再送する際、短絡事故が発生した需要家は高圧配電線から切離され、通常通り高圧配電線が運用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-318607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような通常の配電系統であれば、区分開閉器を開放ロックし、短絡事故が発生した需要家を高圧配電線から切離すことができる。しかしながら、マイクログリッドが形成されている場合、マイクログリッド内の需要家側で短絡事故が発生した場合、マイクログリッド内の発電設備の遮断機が開放しても、需要家の区分開閉器が開放ロックされず、短絡事故が発生した需要家を高圧配電線から切離すことができない。また、需要家の受電設備内に設けられている限流ヒューズ付高圧負荷開閉器(LBS)の遮断電流値が供給電流値よりも大きい場合は、短絡事故が発生しても限流ヒューズが切れず、短絡事故が発生した需要家を高圧配電線から切離すことができない。このように、現状のマクログリッドは、需要家側で短絡事故が発生した際の保護協調が行われておらず、対策が必要とされている。本明細書は、マイクログリッドにおける保護協調システムを実現するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する保護協調システムは、配電系統内に形成されているマイクログリッドの保護協調システムである。この保護協調システムは、停電時に自動開放し、復電時に自動投入する自動開閉器と、配電系統が停電した後に復電を検出した際に、自動開閉器に投入動作信号を出力する制御部を備えている。そして、制御部は、配電系統が復電したことを検出したときに、各需要家に対応する自動開閉器に対し、発電設備に近い側から順に、所定時間間隔をあけて投入動作信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施例のマイクログリッドシステムを示す。
図2】第2実施例のマイクログリッドシステムを示す。
図3】第3実施例のマイクログリッドシステムを示す。
図4】第4実施例のマイクログリッドシステムを示す。
図5】第5実施例のマイクログリッドシステムを示す。
図6】第6実施例のマイクログリッドシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
マイクログリッドは、発電所からの電力が供給される配電系統内に形成されている。マイクログリッド内は、開閉器によって、発電所からの配電系統に接続・分離することができる。そのため、マイクログリッドが発電所からの配電系統に接続されている間、マイクログリッド内の需要家は、発電所からの電力を利用することができる。マイクログリッドが発電所からの配電系統から分離されると、マイクログリッド内の需要家は、マイクログリッド内で発電した電力を利用することができる。本明細書で開示する保護協調システムは、配電系統内に形成されているマイクログリッド内において、需要家側で短絡事故が発生した際、短絡事故が発生した需要家を特定することがきる。その結果、短絡事故が発生した需要家を配電系統から切離し、他の需要家に対して配電系統からの電力供給を正常に行うことができる。
【0008】
上記保護協調システムは、停電時に自動開放し、復電時に自動投入する自動開閉器を備えている。自動開閉器は、各需要家を配電系統に接続・分離できるものであればよい。例えば、自動開閉器は、電力会社が電力会社と需要家の責任区分として設置される区分開閉器の直前に設置したものであってよい。あるいは、自動開閉器は、区分開閉器と置き換えたものであってもよい。すなわち、区分開閉器自体が自動開閉器であってよい。あるいは、自動開閉器は、需要家の受電盤内に配置されている自動開閉器(ヒューズ付気中負荷開閉器等)であってもよい。
【0009】
上記保護協調システムは、配電系統が停電した後に復電を検出した際に、自動開閉器に投入動作信号を出力する制御部を備えている。制御部として、上述した需要家の受電盤内に配置されている自動開閉器の動作を制御する動作制御器を利用することができる。この動作制御器は、各需要家の受電盤内に配置されているので、マイクログリッド内の保護協調システムを構築するためだけに新たな動作制御器を設ける必要はない。
【0010】
制御部は、配電系統が停電した後に配電系統が復電したことを検出したときに、自動開閉器に対し、投入動作信号を出力する。この際、制御部は、発電設備に近い自動開閉器から順に、所定時間間隔をあけて投入動作信号を出力するように構成されている。例えば、発電設備に最も近い第1自動開閉器には復電検知後5秒後に投入動作信号を出力し、第1自動開閉器の次に発電設備に近い第2自動開閉器には復電検知後10秒後に投入動作信号を出力する。このように、各自動開閉器に投入動作信号を出力するタイミングを変えることにより、例えば第1自動開閉器に投入動作信号を出力した後、第2自動開閉器に投入動作信号を出力する前に再停電が起こると、第1自動開閉器に対応する需要家で短絡事故が発生していることを特定することができる。
【0011】
また、制御部は、短絡事故が発生した需要家を特定した場合、その需要家に対応する自動開閉器に対し、次に復電を検出した際に投入動作信号の出力を禁止してよい。換言すると、制御部は、自動開閉器に投入動作信号を出力した後、所定時間内に停電が検出されたときは、次に復電を検出した際に、その自動開閉器に対する投入動作信号の出力を禁止してよい。例えば、第1自動開閉器に投入動作信号を出力した後、2秒後に再停電が起こった場合、第1自動開閉器に対応する需要家で短絡事故が発生していることを特定される。この場合、再度復電を検知したときに第1自動開閉器に投入動作信号を出力すると、再度停電が発生する。短絡事故が発生している需要家を特定したときに、その需要家に対応する自動開閉器の投入動作を禁止することにより、停電が繰り返されることを防止することができる。短絡事故が発生した需要家を配電系統から確実に切離すことができ、他の需要家に対して配電系統からの電力供給を正常に行うことができる。
【0012】
上記保護協調システムは、各需要家に対応する自動開閉器とは別に、配電系統上に自動開閉器を備えていてもよい。この場合も、各自動開閉器(各需要家に対応する自動開閉器と配電系統上の自動開閉器)に投入動作信号を出力するタイミングを変えることにより、配電系統上の短絡事故を特定することができる。すなわち、配電系統上の自動開閉器に投入動作信号を出力した後、他の自動開閉器に投入動作信号を出力する前に再停電が発生した場合、配電系統上の短絡事故であることを特定できる。
【0013】
マイクログリッド内に、主配電系統と分岐配電系統が形成されていてもよい。この場合、主配電系統の自動開閉器に優先して投入動作信号を出力してよい。すなわち、配電系統が復電したことを検出したときに、主配電系統の各需要家に対応する自動開閉器に対する投入動作信号の出力が終了した後に、分岐配電系統の各需要家に対応する自動開閉器に対する投入動作信号の出力を行ってよい。
【実施例0014】
(第1実施例)
図1を参照し、マイクログリッドシステム100について説明する。マイクログリッドシステム100は、発電所2から電力が供給される高圧配電線3に接続されている蓄電池装置40と、無効電力補償装置30を備えている。高圧配電線3には、電力の供給をオン・オフする自動開閉器5,7が設けられている。蓄電池装置40と無効電力補償装置30は、自動開閉器5,7間で高圧配電線3に接続されている。そのため、自動開閉器5,7間にマイクログリッド10が形成されている。マイクログリッド10内の需要家は、自動開閉器5,7が開放(電力供給オフ)されても、蓄電池装置40からの電力供給により、電気機器を使用することができる。蓄電池装置40は、マイクログリッド10内の発電設備と捉えることができる。マイクログリッド10内において、低圧配電線12a,14a及び16aが高圧配電線3に接続されており、需要家は、低圧配電線12a,14a及び16aより電力供給を受ける。なお、自動開閉器15が、自動開閉器5,7間で高圧配電線3に接続されている。自動開閉器15については後述する。
【0015】
高圧配電線3は、3本の高圧配線(3相の配線)4,6,8を有している。低圧配電線12a,14a及び16aは、第1配線(第1相)4,第2配線(第2相)6及び第3配線(第3相)8のうちの2相に接続されている。低圧配電線12a,14a及び16aは、接続している高圧配線に応じて、3グループに区別することができる。具体的には、第1グループ16の低圧配線(第1低圧配電線16a)は、第1配線4及び第2配線6に接続されている。第2グループ14の低圧配線(第2低圧配電線14a)は、第2配線6及び第3配線8に接続されている。第3グループ12の低圧配線(第3低圧配電線12a)は、第1配線4及び第3配線8に接続されている。
【0016】
高圧配電線3と各低圧配電線12a,14a及び16aの間には、区分開閉器(PAS)20が設けられている。区分開閉器20は、各需要家25a~25d内で電気事故が発生した際、高圧配電線3と各低圧配電線12a,14a及び16aの電路を開放する。区分開閉器20と各需要家25a~25dの間に、受電盤22が設けられている。典型的に、受電盤22は、各需要家25a~25dの敷地内に配置されている。受電盤22は、ヒューズ付開閉器(LBS)23と、変圧器(ポールトランス)Trを備えている。ヒューズ付開閉器23は、各需要家25a~25dで用いられる負荷24において電気事故が発生したときに、自動開放し、波及事故を防ぐ。変圧器Trは、高圧配電線3を低圧に変換して、低圧配電線12a,14a及び16aに供給する。
【0017】
区分開閉器20に対して受電盤22の反対側に、自動開閉器11,13,17,19が配置されている。自動開閉器11は需要家25aに対応し、自動開閉器13は需要家25bに対応し、自動開閉器17は需要家25cに対応し、自動開閉器19は需要家25dに対応している。以下の説明では、上述した自動開閉器15も含め、各自動開閉器を、第1自動開閉器11、第2自動開閉器13、第3自動開閉器15、第4自動開閉器17、第5自動開閉器19と称して区別することがある。各自動開閉器には、制御部にあたる開閉器制御器(図示省略)が設けられており、開閉器制御器は、自動開閉器内に設けた制御器や自動開閉器に接続された子局等を有する。自動開閉器は、開閉器制御器から出力される出力信号(動作信号)により投入動作、開放動作を行う。
【0018】
マイクログリッドシステム100では、通常は、各需要家25a~25dは、発電所2から供給される電力を利用する。発電所2から電力供給が行われている間、蓄電池装置40に電力が充電される。災害、電気事故等が発生すると、自動開閉器5,7が開放され、マイクログリッド10内には発電所2からの電力供給が停止する。自動開閉器5,7が開放されると、蓄電池装置40より各需要家25a~25dへの電力供給が開始される。その後、発電所2からの電力供給が再開すると、自動開閉器5,7が投入され、蓄電池装置40からの電力供給が停止する。
【0019】
蓄電池装置40から高圧配電線3に電力が供給されている間、無効電力補償装置30は、高圧配電線3の電圧を監視する。無効電力補償装置30は、高圧配電線3の電圧が所定範囲外になると、高圧配電線3に無効電力を供給し、高圧配電線3の電圧を所定範囲内に回復する。無効電力補償装置30は、電圧変化に対する応答性が速い。そのため、無効電力補償装置30は、高圧配電線3の電圧が所定範囲外になると、即座に電圧を所定範囲内に回復させることができる。
【0020】
蓄電池装置40から高圧配電線3に電力が供給されている間、すなわち、マイクログリッド10が運用されている間にマイクログリッド10内で地絡事故が発生すると、蓄電池装置40の遮断機が開放され、自動開閉器11,13,15,17及び19が開放され、マイクログリッド10内で停電が発生する。マイクログリッドシステム100では、蓄電池装置40の遮断機が投入され、高圧配電線3が復電すると(自動開閉器11,13,15,17及び19の1次側に電源があることが確認されると)、第1自動開閉器11、第2自動開閉器13、第3自動開閉器15、第4自動開閉器17、第5自動開閉器19の順に、蓄電池装置40に近い側から投入動作が行われる。具体的には、高圧配電線3の復電を検出した後、第1自動開閉器11は5秒後、第2自動開閉器13は10秒後、第3自動開閉器15は15秒後、第4自動開閉器17は20秒後、第5自動開閉器19は25秒後に投入動作が行われる。なお、各自動開閉器の投入動作は、第3自動開閉器15を除き、各需要家25a~25dの受電盤22内に配置されている制御装置(図示省略)から出力される投入動作信号によって制御される。第3自動開閉器15の投入動作は、高圧配電線3に配置されている制御装置(図示省略)から出力される投入動作信号によって制御される。
【0021】
マイクログリッドシステム100では、自動開閉器11,13,15,17及び19の何れかに投入動作信号を出力した後、再停電が発生すると、自動開閉器11,13,15,17及び19の全てが開放される。そして、高圧配電線3が復電すると、上記した時間間隔で、再度自動開閉器11,13,15,17及び19に対して投入動作が行われる。しかしながら、再停電が発生した時間に応じて、特定の自動開閉器に対しては投入動作の出力が禁止される。すなわち、自動開閉器に投入動作信号を出力した後、所定時間内に停電が検出された時は、次に復電を検出した際に、その自動開閉器に対する投入動作信号の出力を禁止する。具体的には、投入動作を行った後に2秒以内に再停電が発生した自動開閉器に対しては、再停電後に高圧配電線3が復電した場合であっても、投入動作が禁止される。
【0022】
例えば、高圧配電線3が復電した後5秒から7秒の間に再停電が発生した場合、高圧配電線3が復電しても、第1自動開閉器11は投入動作が行われない。同様に、10秒から12秒の間に再停電が発生した場合は第2自動開閉器13、20秒から12秒の間に再停電が発生した場合は第4自動開閉器17、25秒から27秒の間に再停電が発生した場合は第5自動開閉器19の投入動作が行われない。これにより、短絡事故が発生している需要家25a~25dを高圧配電線3から分離することができ、その後他の需要家25a~25dは電力供給を受けることができる。短絡事故が発生している需要家25a~25dを特定し、高圧配電線3から分離することにより、マイクログリッド10内で保護協調システムが成立する。なお、復電後15秒から17秒の間に再停電が発生した場合、再停電発生の原因は第3自動開閉器15の投入動作である。この場合、短絡事故は高圧配電線3で発生しているので、蓄電池装置40の遮断機の投入動作を禁止する。
【0023】
以下、他の実施例について説明する。以下に説明する実施例は、マイクログリッドシステム100の変形例である。そのため、以下の説明では、マイクログリッドシステム100と共通する特徴については、マイクログリッドシステム100に付した参照番号と同一の参照番号を付すことにより、重複説明を省略することがある。
【0024】
(第2実施例)
図2に示すように、マイクログリッドシステム200では、高圧配電線3と受電盤22の間に、自動開閉装置211,213,217,219が設けられている。マイクログリッドシステム200は、マイクログリッドシステム100が備えている区分開閉器20を削除したものと捉えることができる。あるいは、マイクログリッドシステム100が従来の配電系統に対して各需要家25a~25dに対応する第1自動開閉器11、第2自動開閉器13、第4自動開閉器17、第5自動開閉器19を設置したのに対し、マイクログリッドシステム200は従来の区分開閉器20を自動開閉装置211,213,217,219に変更したものと捉えることもできる。なお、マイクログリッドシステム200では、各開閉器制御器により自動開閉器211、自動開閉器213、自動開閉器215、自動開閉器217、自動開閉器219の順に投入動作が行われる。マイクログリッドシステム200は、マイクログリッドシステム100と比較して、マイクログリッド10内で保護協調システムを構築するための部品数を低減することができる。
【0025】
(第3実施例)
図3に示すように、マイクログリッドシステム300では、区分開閉器20と各需要家25a~25dの間に、受電盤322が設けられている。受電盤322は、ヒューズ付開閉器(LBS)23と、変圧器(ポールトランス)Trと、動作制御器27を備えている。マイクログリッドシステム300は、動作制御器27を用いて、高圧配電線3が復電した際のヒューズ付開閉器23の投入動作タイミングを制御する。ヒューズ付開閉器23は、受電盤322内の自動開閉器に該当し、動作制御器27は、受電盤322内の自動開閉器の動作制御を行う制御部に該当する。具体的には、マイクログリッド10内で停電が発生し、高圧配電線3が復電した後、第1自動開閉器にあたる需要家25aのLBS23は5秒後、第2自動開閉器にあたる需要家25bのLBS23は10秒後、第3自動開閉器にあたる自動開閉器215は15秒後、第4自動開閉器にあたる需要家25cのLBS23は20秒後、第5自動開閉器にあたる需要家25dのLBS23は25秒後の順に投入動作が行われる。マイクログリッドシステム300も、マイクログリッドシステム100と比較して、マイクログリッド10内で保護協調システムを構築するための部品数を低減することができる。
【0026】
(第4実施例)
図4に示すように、マイクログリッドシステム400は、マイクログリッドシステム100の変形例であり、マイクログリッド10内に分岐経路が形成されている。具体的には、高圧配電線3は、主高圧配電線3aと分岐高圧配電線3bを備えている。マイクログリッドシステム400を構成する部品は、マイクログリッドシステム100と同一である。但し、マイクログリッドシステム400では、需要家25c及び第3自動開閉器15が分岐高圧配電線3bに接続されている。上述したように、マイクログリッドシステム100では、第1自動開閉器11、第2自動開閉器13、第3自動開閉器15、第4自動開閉器17、第5自動開閉器19の順に、蓄電池装置40に近い側から投入動作が行われる。しかしながら、マイクログリッドシステム400では、主高圧配電線3aに接続されている自動開閉器に対して優先的に投入動作を実行し、その後、分岐高圧配電線3bに接続されている自動開閉器に対して投入動作を実行する。すなわち、配電系統(高圧配電線3)が復電したことを検出したときに、主配電系統の各需要家(主高圧配電線3aに接続されている需要家25a,25b,25d)に対応する自動開閉器11,13,19に対する投入動作信号の出力が終了した後に、分岐配電系統上の自動開閉器15、分岐配電系統の各需要家(分岐高圧配電線3bに接続されている需要家25c)に対応する自動開閉器17に対する投入動作信号の出力を行う。具体的には、各開閉器制御器により第1自動開閉器11、第2自動開閉器13、第5自動開閉器19、第3自動開閉器15、第4自動開閉器17の順に投入動作が行われる。
【0027】
(第5実施例)
図5に示すように、マイクログリッドシステム500は、マイクログリッドシステム200の変形例であり、高圧配電線3が主高圧配電線3aと分岐高圧配電線3bを備えている。マイクログリッドシステム500を構成する部品は、マイクログリッドシステム200と同一である。マイクログリッドシステム500も、マイクログリッドシステム400と同様に、主高圧配電線3aに接続されている自動開閉器に対して優先的に投入動作を実行し、その後、分岐高圧配電線3bに接続されている自動開閉器に対して投入動作を実行する。具体的には、各開閉器制御器により第1自動開閉器211、第2自動開閉器213、第5自動開閉器219、第3自動開閉器15、第4自動開閉器217の順に投入動作が行われる。
【0028】
(第6実施例)
マイクログリッドシステム600は、マイクログリッドシステム300の変形例であり、高圧配電線3が主高圧配電線3aと分岐高圧配電線3bを備えている。マイクログリッドシステム600を構成する部品は、マイクログリッドシステム300と同一である。マイクログリッドシステム600も、マイクログリッドシステム400,500と同様に、主高圧配電線3aに接続されている自動開閉器に対して優先的に投入動作を実行し、その後、分岐高圧配電線3bに接続されている自動開閉器に対して投入動作を実行する。具体的には、マイクログリッド10内で停電が発生し、高圧配電線3が復電した後、第1自動開閉器にあたる需要家25aのLBS23は5秒後、第2自動開閉器にあたる需要家25bのLBS23は10秒後、第5自動開閉器にあたる需要家25dのLBS23は15秒後、第3自動開閉器にあたる自動開閉器215は20秒後、第4自動開閉器にあたる需要家25cのLBS23は25秒後の順に投入動作が行われる。
【0029】
(他の変形例)
上記実施例では、高圧配電線3の復電を検出した後、第1~第3実施例では蓄電池装置40に近い側から5秒間隔で投入動作が行われる例、第4~第6実施例では主高圧配電線3aに接続されている自動開閉器を分岐高圧配電線3bに接続されている自動開閉器より優先させた上で蓄電池装置40に近い側から5秒間隔で投入動作が行われる例、について説明したが、所定時間の間隔で投入動作が行われれば、投入動作の間隔は5秒でなくてもよい。
【0030】
上記実施例では、受電盤内に配置されているヒューズ付開閉器(LBS)の動作を制御する制御装置を利用して、各自動開閉器の投入動作タイミングをずらす例について説明したが、例えば、蓄電池装置内に集中制御機を設置し、集中制御機が各自動開閉器の投入動作タイミングをずらす制御を行ってもよい。具体的には、集中制御機とヒューズ付開閉器を通信回線で接続し、集中制御機から通信回線を通じて、各自動開閉器に対して投入指令を所定間隔時間毎に出力し、各自動開閉器の投入動作を遠隔で行ってもよい。
【0031】
上記実施例では、マイクログリッド内の電源として蓄電池装置を用いる例について説明したが、蓄電池装置に代えて、発電機を用いることもできる。なお、発電機は、電力系統からの給電運用時は停止しており、マイクログリッド運用時に運転を行う。そのため、マイクログリッド運用時に発電機を進相運転すると停止してしまうので、遅相運転に調整することが必要である。そのため、マイクログリッド運用において発電機で給電する際は、無効電力補償装置は、潮流方向を検出しながら、運転方法を自動で、電圧一定制御から力率一定制御に切替える。これにより、発電機が停止することを防止することができる。
【0032】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0033】
3:配電系統
11,13,15,17,19:自動開閉器
40:配電設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6