(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150844
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】セラミック部材およびセラミック金属複合体
(51)【国際特許分類】
H05B 3/40 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H05B3/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060161
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜島 浩
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092QA02
3K092QB02
3K092RA06
3K092RA07
3K092RB02
3K092TT03
3K092VV31
(57)【要約】
【課題】セラミック本体にクラックや割れが発生するのを抑制し、金属体が脱離したり、セラミック本体に金属体との摺動痕が発生したりすることがなく、厚み変化や反りも小さいセラミック部材を提供する。
【解決手段】本開示のセラミック部材は、第1面と該第1面に対向する第2面とを有し、第1面から第2面に向って延びた、内部に帯状の金属体を収納するための溝を有するセラミック本体を有しており、溝は、第1面を平面視したときに、複数周にわたって巻回された渦巻き状であり、第1面側の端部の溝幅の平均値が第2面側の端部の溝幅の平均値よりも大きく、かつ溝の一部において、第1面側の端部の溝幅が、第2面側の端部の溝幅よりも小さい幅狭部が存在する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と該第1面に対向する第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に向って延びた、内部に帯状の金属体を収納するための溝を有するセラミック本体を有しており、
前記溝は、前記第1面を平面視したときに、複数周にわたって巻回された渦巻き状であり、
前記第1面側の端部の溝幅の平均値が前記第2面側の端部の溝幅の平均値よりも大きく、
前記溝の一部において、前記第1面側の端部の溝幅が、前記第2面側の端部の溝幅よりも小さい幅狭部が存在する、セラミック部材。
【請求項2】
前記幅狭部は、前記渦巻き状の溝の周方向に沿って曲面となっている、請求項1に記載のセラミック部材。
【請求項3】
前記溝の内壁面が焼成面である、請求項1または2に記載のセラミック部材
【請求項4】
前記第1面において、前記溝の幅は、隣り合う前記溝間に位置する前記セラミック本体の幅よりも大きい、請求項1乃至3のいずれかに記載のセラミック部材。
【請求項5】
前記第1面側の溝端部から前記第2面側の溝端部までの深さが前記第1面側の端部の幅よりも大きい、請求項1乃至4のいずれかに記載のセラミック部材。
【請求項6】
前記深さの中央における溝幅の平均値が前記第2面側の端部の溝幅の平均値よりも大きく、前記第1面側の端部の溝幅の平均値よりも小さい、請求項5に記載のセラミック部材。
【請求項7】
前記セラミック本体は、中心部を貫通する貫通孔を有している、請求項1乃至6のいずれかに記載のセラミック部材。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のセラミック部材と、
該セラミック部材の前記溝内に収納された金属体と、を具備するセラミック金属複合体。
【請求項9】
前記金属体が発熱体である、請求項8に記載のセラミック金属複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば発熱体等に使用されるセラミック部材およびセラミック金属複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱体である金属は、セラミックスとの複合体して使用されることが多い。
特許文献1には、セラミックシートの間に金属等の抵抗被膜を挟んで渦巻き状に巻き上げ、これを焼成して得られる渦巻型セラミック発熱体が記載されている。
特許文献2には、所定形状の絶縁性組成物シート上に金属等の抵抗発熱体および外部接続端子を形成した後、絶縁性組成物シートを巻いて棒状にし、焼成を行うことにより、棒状のセラミックヒータを得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54-149951号公報
【特許文献2】特開平9-161956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2に記載のセラミック発熱体は、セラミックシートが、抵抗被膜と接触した状態で焼成されるため、抵抗被膜に接しているセラミックシートの面は、焼成時に結晶が離脱しやすくなり、絶縁特性が低下したり、結晶が離脱した部分からクラックが生じるおそれがある。
【0005】
さらに、セラミックシートと抵抗被膜との焼成収縮差によって、セラミックスにクラックや割れが発生したり、抵抗被膜が剥がれたり、抵抗膜との摺動痕(凹凸)がセラミックスに残ったりしやすい。また、セラミックシートの厚み変化や反りが大きくなり、渦巻き形態での同心度も悪くなる。
特に、抵抗被膜を厚くしようとすると、上記課題が顕著となり、抵抗被膜を厚くするのが困難であった。
【0006】
本開示の課題は、セラミック本体にクラックや割れが発生するのを抑制し、金属体が脱離したり、セラミック本体に金属体との摺動痕が発生したりすることがなく、厚み変化や反りも小さいセラミック部材、およびこれを用いたセラミック金属複合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本開示のセラミック部材は、第1面と該第1面に対向する第2面とを有し、第1面から第2面に向って延びた、内部に帯状の金属体を収納するための溝を有するセラミック本体を有しており、溝は、第1面を平面視したときに、複数周にわたって巻回された渦巻き状であり、第1面側の溝幅の平均値が第2面側の溝幅の平均値よりも大きく、かつ溝の一部において、第1面側の端部の溝幅が第2面側の端部の溝幅よりも小さい幅狭部が存在する。
【0008】
本開示のセラミック金属複合体は、上記セラミック部材と、該セラミック部材の溝内に収納された金属体と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、セラミック本体が有する渦巻き状の溝は、第1面側の溝幅の平均値が第2面側の溝幅の平均値よりも大きいので、該溝に帯状(シート状)の金属体を収納する際または収納したときに、溝の側面と帯状金属体の主面との接触面積が小さくなり、金属体からセラミック本体へ加わる応力を低減でき、セラミック本体のクラックや割れを低減できる。また、セラミック本体に金属体との摺動痕が発生することがなく、厚み変化・反りも小さくなる。
さらに、幅狭部によって金属体がセラミック本体に拘束されるので、金属体が外れにくい。その際、幅狭部が曲面であると、幅狭部で応力が集中して割れ等が生じるのを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本開示の一実施形態に係るセラミック部材の第1面を示す平面図である。
【
図1B】
図1Aに示すセラミック部材の第2面を示す背面図である。
【
図2A】セラミック部材の溝の一例を示す部分断面図である。
【
図3A】セラミック部材の溝に存在する幅狭部を示す拡大部分平面図である。
【
図4A】本開示のセラミック部材の製造方法における溝の作製手順を示す説明図である。
【
図4B】本開示のセラミック部材の製造方法における溝の作製手順を示す説明図である。
【
図4C】本開示のセラミック部材の製造方法における溝の作製手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係るセラミック部材およびセラミック金属複合体を図面に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態のセラミック部材100は、
図1Aに示す第1面11(上面または表面)と、
図1Bに示す、第1面に対向する第2面12(下面または裏面)とを有するセラミック本体1を有する。セラミック本体1には、第1面から第2面に向って延びる渦巻き状の溝2が形成されている。この溝2には、後述するように、帯状の金属体4が収納される。
【0013】
セラミック本体1を構成するセラミックスとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、ムライト、ステアタイト、コーディエライトの焼結体等が挙げられる。
また、前記金属体4としては、例えば発熱体として用いる場合には、Ni―Cr系、Cu―Ni系、Fe―Cr―Al系、MoSi2、Mo(Si,Al)2、C、SiC、W,Mo,Pt等が用いられ、特に金属製の発熱体を用いるのが好ましい。
【0014】
溝2は、第1面11を平面視したときに、複数周にわたって巻回された渦巻き状である。渦巻きの形状は、図に示すような円形の他に、楕円形や、六角形等の多角形であってもよい。また、渦巻きの巻き数は特に限定されないが、2周以上であればよく、好ましくは4周以上であり、8周以下であるのがよい。溝2の周方向両端は
図1A、1Bに示すように開放していてもよく、閉じていてもよい。
【0015】
また、セラミック本体1は、中心部を貫通する貫通孔3を有しているのがよい。この貫通孔3は、貫通孔内に図示しない円柱や筒体を挿入して、セラミック部材1を保持・固定するのに利用できる。また、貫通孔3内に流体を流すこともできる。すなわち、金属体4が発熱体であれば、流体を効率よく昇温できる。
【0016】
図2Aは、溝2の一例を示す部分断面図である。
図2Aに示すように、溝2は、第1面11側の端部の溝幅w1(以下、第1面11側の溝幅w1と略称することがある。)の平均値が第2面12側の端部の溝幅w2(以下、第2面12側の溝幅w2と略称することがある。)の平均値よりも大きく形成されている。具体的には、第1面11側の溝幅w1は、第2面12側の溝幅w2に対して、平均値において1.03倍以上、好ましくは1.07倍以上であるのがよく、さらに1.20倍以下、好ましくは1.10倍以下であるのがよい。ここで、平均値とは、溝2の各周ごとに少なくとも4箇所の溝幅(後述する幅狭部5の溝幅を除く)を測定し、それらを合計して求めたものである。
【0017】
このように、第1面11側の溝幅w1が第2面12側の溝幅w2よりも大きいので、帯状(シート状)の金属体4を溝2へ収納する際または収納したときに、溝2の内壁面21と金属体4の主面との接触面積が小さくなる。そのため、高温雰囲気下や、常温雰囲気での冷却時等において、金属体4からセラミック本体1へ加わる応力を低減でき、セラミック本体1のクラックや割れを低減できる。
なお、溝2の内壁面21と金属体4の主面との接触面積を小さくするうえで、金属体4の厚さは、第2面12側の溝幅w2と略等しいのが好ましい。
【0018】
図2Aに示す溝2は、セラミック本体1を貫通して、第2面12側において開口しているが、
図2Bに示すように、溝2´は、セラミック本体1を貫通しない有底溝であってもよい。このような有底の溝2´であっても、貫通した溝2と同様の効果がある。
【0019】
溝2の内壁面21は焼成面であるのがよい。これは、後述する製造方法に記載のように、成形体に溝加工を行った後、焼成することを意味している。焼成面にはマイクロクラックがないため、応力が集中してもクラックや割れがさらに生じにくくなる。
【0020】
第1面11において、溝2の溝幅w1は、隣り合う溝2、2間に位置するセラミック本体1の幅w3よりも大きいのがよい。これにより、セラミック本体1が小型であっても、渦巻き状の溝2の周回数(巻回数)を大きくでき、溝2の長さが長くなるので、溝2内に収納できる金属体4の体積割合を増やすことができる。
【0021】
また、第1面11側の溝2端部から第2面12側の溝2端部までの深さDは、第1面11側の溝幅w1よりも大きいのがよい。これにより、溝2の容積を維持しながら平面視したときの溝2の占有率を小さくできるので、溝2の幅w1を小さくして金属体4を収納する溝2を多く設けることができる。また、溝2の深さDが大きいと、収納する金属体4の体積割合を増やすことができる。
なお、深さD、従ってセラミック本体1の厚さは、特に制限されない。セラミック本体1はシート状(例えば厚さ300μm以上2000μm以下)であってもよく、筒状ないし柱状であってもよい。
【0022】
セラミック本体1における上記深さDの中央における溝幅w4の平均値は、第2面12側の溝幅w2の平均値よりも大きく、第1面11側の溝幅w1の平均値よりも小さいのがよい。これにより、溝2の内壁面と帯状の金属体4の主面との接触面積が小さくなり、金属体4からセラミック本体1へ加わる応力を低減でき、セラミック本体1にクラックや割れを生じるのを低減できる。
【0023】
本実施形態のセラミック部材100は、
図3A、3Bに示すように、溝2の一部において、第1面11側の溝幅w11が第2面12側の溝幅w22よりも小さい幅狭部5が存在する。すなわち、幅狭部5では、溝幅w11は同w22に対して0.7以上1未満であるのがよい。ここで、溝幅w11は、幅狭部5における最小幅を指している。このように、幅狭部5が存在することにより、金属体4が幅狭部5によってセラミック本体1に拘束されるので、金属体4が溝2から外れにくくなる。
幅狭部5が存在する溝2の一部とは、渦巻き状の溝2の周方向における少なくともいずれか1箇所に存在していることを意味し、好ましくは溝2の周方向の少なくとも両端部分にそれぞれ1箇所存在しているのがよく、より好ましくは溝2の各周に少なくとも1箇所存在しているのがよい。
【0024】
また、幅狭部5は、渦巻き状の溝2の周方向に沿って曲面となっているのがよい。すなわち、幅狭部5が滑らかな曲面となっている。滑らかな曲面とは、突起状ではないことを意味しており、これにより応力が集中して割れ等が生じるのを低減できる。
【0025】
次に、セラミック部材の製造方法を説明する。本実施形態のセラミック部材100の製造方法は、以下の(1)~(4)の工程を含むことができる。
【0026】
(1)セラミック材料とバインダとを混練して、第1面と該第1面に対向する第2面とを有する成形体を得る。
セラミック材料としては、例えばアルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、ムライト、ステアタイト、コーディエライト等が挙げられる。
このセラミック材料の粉末に、従来公知の焼結助剤、分散剤、溶媒(水等)等を適宜添加し混練してスラリーを作製する。
例えば、セラミック本体1がアルミナ(酸化アルミニウム)を主成分とするセラミックスである場合、純度が99.6質量%以上で平均粒径(D50)が1μm以上3μm以下のアルミナの粉末、バインダ、潤滑剤および溶媒(イオン交換水)を混合してスラリーとする。平均粒径(D50)は、レーザ回折式粒度分布測定法により求めることができる。アルミナの粉末以外に、チタンの炭化物、チタンの炭窒化物およびチタンの硼化物の少なくとも1種のチタン化合物を副成分として含んでいてもよい。
セラミックス本体1が炭化珪素を主成分とするセラミックスである場合、炭化珪素の粉末に溶媒(イオン交換水)および分散剤を添加し、ボールミルまたはビーズミルにより40~60時間粉砕混合してスラリーとする。次いで、得られたスラリーに、例えば、炭化硼素の粉末および非晶質状の炭素の粉末またはフェノール樹脂からなる焼結助剤と、バインダとを添加して混合する。
【0027】
バインダとしては、例えば、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロ-ス(HPC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)などが挙げられる。バインダの総量は、セラミック材料の粉末100質量部に対して固形分で2質量部以上8質量部以下とすればよい。
【0028】
上記スラリーを用いて、例えば、鋳込み成形法により、第1面と該第1面に対向する第2面とを有する成形体を形成する。
成形体を形成する他の方法としては、スラリーを噴霧乾燥造粒法(スプレードライ法)により噴霧乾燥して造粒することによって顆粒を作製し、得られた顆粒をロールコンパクションにより成形する方法がある。また、顆粒を用いて、メカプレス法や冷間静水圧加圧成形(CIP)法、または、スラリーの代わりに坏土を作製して、成形体を成形してもよい。
【0029】
(2)得られた成形体を、第1面11から第2面12に向かって加工用ドリルで切削して渦巻き状の溝を形成する。
このとき、溝2は、第1面11からの切削深さが順次大きくなるように複数回に分けて切削するのがよい。
図4A~4Cは、成形体6を加工用ドリル7で切削して渦巻き状の溝2、2´を形成する工程を示している。
まず、
図4Aに示すように、1周目は第1面11からの深さaまで渦巻き状に切削し、加工用ドリル7を抜き取る。ついで、2周目は、
図4Bに示すように、1周目と同じルートで第1面からの深さbまで渦巻き状に切削し、上記と同様にして加工用ドリル7を抜き取る。さらに、3周目は、
図4Cに示すように、1周目および2周目と同じルートで第1面からの深さc(すなわち成形体6の厚み)まで渦巻き状に切削し、上記と同様にして加工用ドリル7を抜き取る。1周目~3周目は、同じ加工用ドリル7を使用するが、2周目および3周目は、1周目のドリル7と外径が同じ他のドリルを使用してもよい。加工用ドリルとしては、例えば合成ダイヤモンド製、超硬材製や焼き入れ鋼製のマイクロドリルや、同材製のフライスチップ等が使用可能である。
【0030】
このように、第1面11からの切削深さが順次大きくなるように複数回に分けて切削することにより、加工用ドリル7が複数回通過する第1面11側の端部の溝幅は、加工用ドリル7の通過回数がそれよりも少ない第2面12側の端部の溝幅よりも大きくなる。
なお、
図4A~4Cにおいて、符号8は、捨て板(生トチ部)であり、成形体6と同じ材料で同様にして形成されており、焼成後は切削等により除去される。
また、
図4A~4Cでは、3回に分けて溝加工を行ったが、これに限定されるものではなく、セラミック本体1の厚さ等を考慮して、2回以上5回以下程度に分けて溝加工を行ってもよい。
【0031】
上記のようにして形成される溝の一部に幅狭部5を形成するには、例えば、溝2の一部を未切削加工の状態にしておき、それ以外の部位を切削加工して溝を形成した後、使用した加工用ドリル7よりも外径が小さいドリル(図示せず)を使用して切削加工し、その後、先端が太くなったドリルで第2面12側の部位を切削加工すればよい。
【0032】
(3)溝加工後、成形体6を加熱して有機バインダを気化分解させる。
例えば、成形体6を、窒素雰囲気中、450℃以上650℃以下の温度で、2時間以上10時間以下保持して有機バインダを気化分解させる。
【0033】
(4)成形体6を高温で焼成して、渦巻き状の溝2を有するセラミック部材100を得る。
例えば、成形体6の主成分がアルミナの場合、成形体6をアルゴンなどの不活性ガスの減圧雰囲気中、1800℃以上2200℃以下の温度で、0.5時間以上5時間以下焼成するのがよい。
一方、成形体6の主成分が炭化珪素の場合、成形体6をアルゴンなどの不活性ガスの減圧雰囲気中、1800℃以上2200℃以下の温度で、0.5時間以上5時間以下焼成するのがよい。
【0034】
上記の例では、成形体6に切削加工を行ったが、焼成体に前記と同様にして、第1面からの切削深さが順次大きくなるように複数回に分けて切削加工を行ってもよい。
【0035】
本開示のセラミック金属複合体は、セラミック部材100と、該セラミック部材100の溝2内に収納された金属体4と、を具備する。金属体4は、例えば、発熱体、特に抵抗加熱方式の発熱体に利用可能であるが、それ以外にも誘導加熱コイルや医療用コイル等にも利用可能である。誘導加熱コイルとしては、特開2010-20963号公報に一例が記載されている。医療用コイルとしては、特開2014-83384号公報に一例が記載されている。
金属体4は帯状であり、該金属体4を溝2内に収納するには、例えば、溝2の端部から帯状の金属体4を順送りで挿入したり、第1面11側から帯状の金属体4を嵌め込みように挿入すればよい。金属体4の長さは、渦巻き状の溝2の長さと等しいか、それより大きいのが好ましいが、長さの短い複数の金属体4を溝2の周方向に並べるようにしてもよい。その際、隣接する金属体4は両端が接触するように配置されているのが好ましい。
【0036】
なお、以上の説明では、主として、
図2Aに示すような貫通した溝2を有するセラミック部材100について説明したが、
図2Bに示すような有底の溝2´を有するセラミック部材100´の場合にも同様に適用可能である。
【0037】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示のセラミック部材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々の変更や改善が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 セラミック本体
11 第1面
12 第2面
2、2´ 溝
3 貫通孔
4 金属体
5 幅狭部
6 成形体
7 加工用ドリル
8 捨て板
100 セラミック部材