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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150859
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060180
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591014835
【氏名又は名称】高松機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】園原 慎也
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011EE05
3C011EE09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】工作機械本体の切削液槽内での不純物の溜まりを少なくすることができる工作機械を提供すること。
【解決手段】旋盤本体4と、旋盤本体4の片側に設けられた主軸部と、旋盤本体4の他側に設けられた工具保持部と、切削液を供給するための切削液供給ポンプ50と、旋盤機械本体4に供給された切削液を回収する切削液回収溜め構造とを備えたNC旋盤。切削液回収溜め構造は、旋盤本体4の底部に設けられた切削液槽42を有し、切削液槽42の一端側に切削液供給ポンプ50が配設され、切削液槽42の他端側に切削液送給ポンプ54が配設され、切削液槽42に回収された切削液の一部は切削液供給ポンプ50に流れ、この切削液の残部は切削液送給ポンプ54に流れ、切削液槽42内の切削液が淀みなく切削液供給ポンプ50又は切削液送給ポンプ54に流れる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械本体と、前記工作機械本体の片側に設けられた主軸部と、前記主軸部に対向して前記工作機械本体の他側に設けられた工具保持部と、切削液を供給するための切削液供給ポンプと、前記旋盤機械本体に供給された切削液を回収する切削液回収溜め構造とを備えた工作機械であって、
前記切削液回収溜め構造は、前記工作機械本体の底部に設けられた切削液槽と、前記工作機械本体に供給された切削液を前記切削液槽に導くための切削液回収空間を有し、前記切削液槽の一端側に前記切削液供給ポンプが配設され、前記切削液槽の他端側に切削液送給ポンプが配設され、前記切削液槽に回収された切削液の一部は前記切削液供給ポンプに流れ、前記切削液供給ポンプの作用によって前記工作機械本体に供給され、またこの切削液の残部は前記切削液送給ポンプに流れ、前記切削液送給ポンプの作用によって前記工作機械本体に送給されることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
工作機械本体と、前記工作機械本体の片側に設けられた主軸部と、前記主軸部に対向して前記工作機械本体の他側に設けられた工具保持部と、切削液を供給するための切削液供給ポンプと、前記旋盤機械本体に供給された切削液を回収する切削液回収溜め構造とを備えた工作機械であって、
前記切削液回収溜め構造は、前記工作機械本体の底部に設けられた切削液槽と、前記工作機械本体に供給された切削液を前記切削液槽に導くための切削液回収空間を有し、前記切削液槽の一端側に前記切削液供給ポンプが配設され、前記切削液槽の他端側に切削液回収ポンプが配設され、前記切削液槽に回収された切削液の一部は前記切削液供給ポンプに流れ、前記切削液供給ポンプの作用によって前記工作機械本体に供給され、またこの切削液の残部は前記切削液回収ポンプに流れ、前記切削液回収ポンプの作用によって不純物除去装置に送給された後に前記切削液槽に戻されることを特徴とする工作機械。
【請求項3】
前記主軸部は前記工作機械本体の横方向の一端側に設けられ、前記工具取付部は前記横方向の他端側に設けられ、前記切削液供給ポンプは、前記切削液槽における前記工具取付部側の端部に配設され、前記切削液送給ポンプ又は前記切削液回収ポンプは、前記切削液槽における前記主軸部側の端部に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記工作機械本体の底部には、前記主軸部の下側空間に突出する補助溜めタンクが付設され、前記補助溜めタンクは前記切削液槽の一部を構成し、前記補助溜めタンクに前記切削液送給ポンプ又は前記切削液回収ポンプが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の工作機械。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削液を回収して溜める切削液回収溜め構造を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを加工する工作機械の一例としてNC旋盤が広く実用に供されている(例えば、特許文献1参照)。このNC旋盤は、旋盤本体と、旋盤本体の片側に設けられた主軸部と、その他側に設けられた工具保持部とを備えている。主軸部には主軸が回転支持され、この主軸にワークを保持する主軸チャックが取り付けられている。また、工具保持部には、切削工具などの加工工具が取り付けられ、この加工工具を主軸チャックに保持されたワークに作用させることによって、ワークに対する加工が施される。
【0003】
このようなNC旋盤においては、ワークの加工の際に発生する熱を抑えるために切削液が用いられている。この切削液は、切削液供給ポンプの作用によって噴出ノズルに供給され、この噴出ノズルから加工中のワークと加工工具の先端(加工刃部)に噴出される。
【0004】
この旋盤本体には、噴出ノズルから噴出された切削液を回収する切削液回収溜め構造が設けられている。従来の切削液回収機構は、例えば図6に示す構成を有している。図6において、この従来例では、旋盤本体102に二つの排液口104,106が設けられ、旋盤本体102の加工域に供給された切削液は、例えば主として第1排液口104を通して切削液槽108に流下し、旋盤本体102に飛散した切削液は、例えば主として第2排液口106を通して切削液槽108に流下する。切削液槽108に流下した切削液は、切削液供給ポンプ110に向けて流れ、この切削液供給ポンプ110から旋盤本体の加工域の噴出ノズル(図示せず)に供給され、このようにして切削液が循環することによって、旋盤本体102が冷却され、その温度上昇が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-330414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来のNC旋盤には、次の通りの解決すべき問題がある。図6を参照して説明すると、第1排液口104からの切削液は、矢印112で示すように切削液供給ポンプ110に向けて流れて回収され、また第2排液口106からの切削液は、矢印114で示すように切削液供給ポンプ110に向けて流れ、この切削液供給ポンプ110から再び供給される。しかし、第2排液口106から切削液供給ポンプ110に流れる途中に空間116が存在するため、切削液供給ポンプ110に向けて流れる切削液の一部の流れがこの空間116において低下して淀み、この切削液中に含まれる不純物(例えば、小さな切粉、埃など)が沈殿して溜まるおそれがある。この不純物が切削液槽108(特に、空間116において溜まりやすい)に溜まると、これを除去する必要があるが、溜まった不純物を除去するには旋盤本体102の一部の構成要素を取り外して切削液槽108の上面を解放して行わなければならず、その除去作業が煩雑であるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、工作機械本体の切削液槽内での不純物の溜まりを少なくすることができる工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の工作機械は、工作機械本体と、前記工作機械本体の片側に設けられた主軸部と、前記主軸部に対向して前記工作機械本体の他側に設けられた工具保持部と、切削液を供給するための切削液供給ポンプと、前記旋盤機械本体に供給された切削液を回収する切削液回収溜め構造とを備えた工作機械であって、
前記切削液回収溜め構造は、前記工作機械本体の底部に設けられた切削液槽と、前記工作機械本体に供給された切削液を前記切削液槽に導くための切削液回収空間を有し、前記切削液槽の一端側に前記切削液供給ポンプが配設され、前記切削液槽の他端側に切削液送給ポンプが配設され、前記切削液槽に回収された切削液の一部は前記切削液供給ポンプに流れ、前記切削液供給ポンプの作用によって前記工作機械本体に供給され、またこの切削液の残部は前記切削液送給ポンプに流れ、前記切削液送給ポンプの作用によって前記工作機械本体に送給されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の工作機械は、工作機械本体と、前記工作機械本体の片側に設けられた主軸部と、前記主軸部に対向して前記工作機械本体の他側に設けられた工具保持部と、切削液を供給するための切削液供給ポンプと、前記旋盤機械本体に供給された切削液を回収する切削液回収溜め構造とを備えた工作機械であって、
前記切削液回収溜め構造は、前記工作機械本体の底部に設けられた切削液槽と、前記工作機械本体に供給された切削液を前記切削液槽に導くための切削液回収空間を有し、前記切削液槽の一端側に前記切削液供給ポンプが配設され、前記切削液槽の他端側に切削液回収ポンプが配設され、前記切削液槽に回収された切削液の一部は前記切削液供給ポンプに流れ、前記切削液供給ポンプの作用によって前記工作機械本体に供給され、またこの切削液の残部は前記切削液回収ポンプに流れ、前記切削液回収ポンプの作用によって不純物除去装置に送給された後に前記切削液槽に戻されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の工作機械では、前記主軸部は前記工作機械本体の横方向の一端側に設けられ、前記工具取付部は前記横方向の他端側に設けられ、前記切削液供給ポンプは、前記切削液槽における前記工具取付部側の端部に配設され、前記切削液送給ポンプ又は前記切削液回収ポンプは、前記切削液槽における前記主軸部側の端部に配設されていることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の請求項4に記載の工作機械では、前記工作機械本体の底部には、前記主軸部の下側空間に突出する補助溜めタンクが付設され、前記補助溜めタンクは前記切削液槽の一部を構成し、前記補助溜めタンクに前記切削液送給ポンプ又は前記切削液回収ポンプが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の工作機械によれば、工作機械本体の切削液槽の一端側に第1切削液供給ポンプが配設され、その他端側に切削液送給ポンプが配設されるので、切削液回収空間を通して切削液槽に流下した切削液の一部は切削液層の一端側の切削液供給ポンプに向けて流れ、この第1切削液供給ポンプによって工作機械本体に供給され、また切削液層に流下した切削液の残部は切削液送給ポンプによって工作機械本体に送給されるので、切削液層に流下した切削液を淀むことなく工作機械本体を通して循環させることができ、その結果、切削液槽内で不純物の溜まりの発生を抑えることができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の工作機械によれば、工作機械本体の切削液槽の一端側に第1切削液供給ポンプが配設され、その他端側に切削液回収給ポンプが配設されるので、切削液回収空間を通して切削液槽に流下した切削液の一部は切削液層の一端側の切削液供給ポンプに向けて流れ、この第1切削液供給ポンプによって工作機械本体に供給され、また切削液層に流下した切削液の残部は切削液回収給ポンプによって不純物除去装置に送給された後に切削液槽にもどされるので、切削液層に流下した切削液を淀むことなく循環させることができ、その結果、このように構成した場合においても、切削液槽内で不純物の溜まりの発生を抑えることができる。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載の工作機械によれば、切削液供給ポンプは切削液槽の工具取付部側の端部に設けられ、切削液送給ポンプ又は切削液回収ポンプは切削液槽の主軸部側の端部に設けられているので、工作機械本体の切削液回収空間を通して切削液槽に流下した切削液の一部は工具取付部側の端部に流れ、また切削液槽に流下した切削液の残部はこの切削液槽の主軸部側に流れ、切削液槽内に流下した切削液を淀みなく循環させることができる。
【0015】
更に、本発明の請求項4に記載の工作機械によれば、工作機械本体の底部に、主軸部の下側空間に突出する補助溜めタンクが付設され、この補助溜めタンクは切削液槽の一部を構成するので、主軸部の下側空間を補助溜めタンクの設置場所として有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に従う工作機械の一例としてのNC旋盤の一実施形態を簡略的に示す平面図。
図2図1のNC旋盤の一部を断面で示す簡略断面図。
図3図2におけるIII-III線による簡略断面図。
図4図2におけるIV-IV線による簡略断面図。
図5】旋盤本体の切削液槽の変形形態を示す簡略断面図。
図6】従来の旋盤本体を簡略的に示す、図4に対応する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う工作機械の一例としてNC旋盤の一実施形態について説明する、図1及び図2において、図示のNC旋盤2は、例えば工場の床面などに設置される工作機械本体としての旋盤本体4を備え、この旋盤本体4の片側(図1及び図2において左側)に主軸部6が設けられ、その他側(図1及び図2において右側)に工具取付部8が設けられている。
【0018】
主軸部6は主軸ハウジング10を備え、この主軸ハウジング10内に主軸(図示せず)が回転自在に支持されている。主軸には主軸チャック手段12が一体的に回転するように取り付けられ、この主軸チャック手段12に加工すべきワーク(図示せず)が着脱自在に保持される。この主軸部6には、主軸チャック手段12を開閉するための開閉シリンダ機構(図示です)などが設けられ、この実施形態では開閉シリンダ機構のカバーハウジング15などが旋盤本体4から外側(図1及び図2において左方)に突出している。この主軸部8には主軸モータ14(図3参照)が設けられ、主軸モータ14からの駆動力は、例えば駆動ベルト(図示せず)などの駆動力伝達手段を介して主軸(図示せず)に伝達される。従って、主軸モータ14が所定方向に回動されると、この回動力が駆動力伝達手段(図示せず)を介して主軸に伝達され、この主軸と一体的に主軸チャック手段12(これに保持されたワーク)が所定方向に回動される。
【0019】
工具保持部8は、主軸部6と対向して配設されたタレット装置16から構成され、このタレット装置16が旋盤本体4の横方向(主軸の軸線と並行なZ軸方向であって、図1及び図2において左右方向)に移動自在に支持されている。即ち、旋盤本体4には第1スライド機構18が設けられ、この第1スライド機構18は横方向に延びる一対の第1支持レール20を備え、一対の第1支持レール20が旋盤本体4に取り付けられている。第1スライド機構18は、更に、第1移動テーブル22を備え、この第1移動テーブル22が一対の第1支持レール20にZ軸方向に移動自在に支持されている。
【0020】
この第1スライド機構18は、更に、第1駆動モータ24及びこれによって回動されるボールねじ機構(図示せず)を含み、図示していないが、このボールねじ機構のボールねじ軸が旋盤本体4に回転自在に支持され、このボールねじ軸に螺合するブロック状部材が第1移動テーブルに取り付けられている。このように構成されているので、第1駆動モータ24が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、ボールねじ機構を介して第1移動テーブル22が矢印26(又は28)で示す方向に移動される。
【0021】
また、第1移動テーブル22には、図示していないが、第2スライド機構が設けられている。この第2スライド機構は、上述の第1スライド機構と同様の構成を有しており、前後方向に延びる一対の第2支持レールを備え、一対の第2支持レールが第1移動テーブル22に取り付けられている。第2スライド機構は、更に、第2移動テーブルを備え、この第2移動テーブルが一対の第2支持レールにX軸方向に移動自在に支持されている。
【0022】
この第2スライド機構は、更に、第2駆動モータ及びこれによって回動されるボールねじ機構(図示せず)を含み、図示していないが、このボールねじ構造のボールねじ軸が第1移動テーブルに回転自在に支持され、このボールねじ軸に螺合するブロック状部材が第2移動テーブルに取り付けられ、この第2移動テーブルにタレット装置16が取り付けられている。このように構成されているので、第2駆動モータが所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、ボールねじ機構を介して第2移動テーブル(タレット装置16)が矢印30(又は32)で示す方向に移動される。
【0023】
タレット装置16は、周方向に間隔をおいて工具取付部が配設されたタレット34を備え、このタレット34を所定角度位置に位置付けることにより、これに取り付けられた加工工具(図示せず)を選択することができ、選択した加工工具(例えば、切削工具)でもって主軸チャック手段12に保持されたワーク(図示せず)を加工域36において例えば切削加工することができる。
【0024】
このNC旋盤2では、加工域36においてワークを加工する際に切削液が供給され、供給された切削液が回収されるように構成されている。主として図2図4を参照して、湖実施形態では、旋盤本体4の底部には、切削液を溜める切削液槽42が設けられ、この切削液槽42は旋盤本体4の底部の大部分を占めている。旋盤本体4の片側(主軸部6側)の側部には補助溜めタンク44が設けられ、この補助溜めタンク44は切削液槽42に連通されてこの切削槽42の一部を構成している。この切削液槽42の底面には仕切り壁46,48が設けられており、このような仕切り壁46,48は、切削液槽42内の適宜の箇所に設けることができる。
【0025】
このNC旋盤2では、切削液槽42内の工具取付部8側の端部(具体的には、旋盤本体4の右側後端部)に切削液供給ポンプ50が配設され、またその主軸部6側の端部(具体的には、補助溜めタンク44の外側前端部)に切削液送給ポンプ54が配設されている。図示していないが、切削液供給ポンプ50からの切削液は、例えば加工域36に配設された噴出ノズルに供給され、この噴射ノズルから加工中のワークに向けて噴出され、このように切削液を供給することによって、加工時のワークの温度上昇を抑えることができる。また、切削液送給ポンプ54からの切削液は、例えば旋盤本体4における冷却すべき部位を循環して切削液槽44に戻され、このように切削液を循環させることによって、旋盤本体4の温度上昇を抑えることができる。
【0026】
この実施形態のNC旋盤2においては、旋盤本体4の加工域36付近の下方に第1排液口56が設けられ、また旋盤本体の中央後部付近の下方に第2排液口58が設けられている。また、噴出ノズル(図示せず)から噴出した切削液を回収するための切削液回収空間60(図3参照)が設けられ、この切削液回収空間60の底部に第1及び第2排液口56が設けられている。この切削液回収空間60は、切削液槽42とともに切削液回収溜め構造を構成する。
【0027】
加工域36の下方には、矩形状に囲まれた回収傾斜壁62が設けられ、加工域36にてワークに向けて噴出された切削液は、この回収傾斜壁62に沿って切削液回収空間60に回収される。また、周囲に飛散した切削液は、図示しない傾斜壁に沿って流れて切削液回収空間60に回収される。そして、切削液回収空間60に回収された切削液は、この第1及び第2排液口56,58を通して切削液槽42に流れ、このようにして、旋盤本体4に供給された切削液は切削液回収空間60並びに第1及び第2排液口56,58を通して切削液槽42に戻される。
【0028】
切削液槽42内には切削液が収容されて溜め部として機能する。そして、切削液供給ポンプ50が作動すると、切削液槽42内の切削液が旋盤本体4の例えば加工域36に供給され、この供給の際には、第1及び第2排液口56,58を通して戻された切削液は、切削液槽42内に仕切り壁46,48が設けられていることにより、実線の矢印72で示すように流れるようになる。また、切削液送給ポンプ54が作動すると、切削液槽42内の切削液が旋盤本体4の例えば冷却部位に供給され、この供給の際には、第1及び第2排液口56,58を通して戻された切削液は、破線の矢印74で示すように流れるようになる。
【0029】
このように切削液槽42内の主として工具保持部8側の切削液は、切削油供給ポンプ50に流れて例えば加工域36に供給されて回収され、また切削液槽42の主として主軸部8側の切削液は、切削液送給ポンプ54に流れて例えば旋盤本体4の冷却部位に送給されて回収される。従って、図4から理解される如く、切削液槽42内の切削液は、切削液供給ポンプ50側に流れて循環されるか、切削液送給ポンプ54側に流れて循環されるようになり、これによって切削液槽42内での切削液の淀みが回避され、切削液槽42内で不純物が沈殿して堆積するのを抑えることができる。
【0030】
この実施形態では、図1図2及び図4に示すように、補助溜めタンク44が主軸部10(この実施形態では、開閉シリンダ機構のカバーハウジング15)の下側空間に配置されているので、通常使用せずに無駄となっているこの下側空間を補助溜めタンク44の設置場所として有効利用することができる。また、このような場所に補助溜めタンク44を配置し、この補助溜めタンク44に切削液送給ポンプ54を設けることによって、切削液槽42内の切削液の一部は、工具保持部8側の切削液供給ポンプ50に流れて供給され、またこの切削液の残部は、主軸部6側の切削液送給ポンプ54に流れて送給され、これによって、切削液槽42内の切削液を淀みなく旋盤本体4を通して循環させることができる。
【0031】
工作機械としてのNC旋盤は、図5に示すように構成するようにしてもよい。この変形形態においては、切削液送給ポンプに代えて切削液回収ポンプ82が設けられている。また、旋盤本体4Aの切削液槽42Aの底面に仕切り壁84,86,88が設けられており、このような仕切り壁は適宜の箇所に設けることができる。
【0032】
更に、この切削液回収ポンプ82に関連して、図示していないが、切削液回収タンクが設けられるとともに、切削液中の例えば油成分を回収する油成分回収タンクが設けられる。 このようなNC旋盤においては、切削液供給ポンプ50が作動すると、切削液槽42A内の切削液が旋盤本体4の例えば加工域36に供給されるとともに、旋盤本体4Aの冷却箇所に供給され、この供給の際には、第1及び第2排液口56,58を通して戻された切削液は、切削液槽42内に仕切り壁84,86が設けられていることにより、実線の矢印92で示すように流れるようになる。また、切削液回収ポンプ82が作動すると、切削液槽42内の切削液が切削液回収タンク(図示せず)に送給され、この送給の際には、第1及び第2排液口56,58を通して戻された切削液は、仕切り壁86及び88が設けられていることにより破線の矢印94で示すように流れるようになる。
【0033】
この切削液が切削液回収タンク(図示せず)に送給されると、切削液回収タンクにて油成分が例えば上澄み除去され、油成分が除去された切削液が切削液ステップ42Aに戻され、除去された油成分は、油成分回収タンク(図示せず)に回収される。
【0034】
この変形形態では、切削液槽42内の主として工具保持部8側の切削液は、切削油供給ポンプ50に流れて例えば旋盤本体4A(加工域を含む)に供給されて回収され、また切削液槽42の主として主軸部8側の切削液は、切削液回収ポンプ82に流れて切削液回収タンク(図示せず)に流れて油成分が除去された後に切削液槽42Aに戻される。従って、このように構成しても、切削液槽42A内での切削液の淀みが回避され、切削液槽42内で不純物が沈殿して堆積するのを抑えることができる。
【0035】
以上、本発明に従う工作機械の一例としてのNC旋盤の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、旋盤本体4に主軸部6が取り付けられ、この主軸部6に対してタレット装置16がZ軸方向及びX軸方向に移動する形態のものに適用して説明したが、本発明はこのような形態に限定されず、例えば主軸部6がZ軸方向に移動し、タレット装置16がX軸方向に移動する形態のものにも同様に適用することができる。
【0037】
また、例えば、上述した実施形態では、工具保持部8としてタレット装置16を用いたものに適用して説明したが、このようなものに限定されず、工具取付部8として櫛歯型の工具取付部材を用いたものにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
2 NC旋盤
4,4A,102 旋盤本体
6 主軸部
8 工具取付部
12 主軸チャック手段
16 タレット装置
36 加工域
42,42A,108 切削液槽
50,110 切削液供給ポンプ
54 切削液送給ポンプ
56,104 第1排液口
58,106 第2排液口
60 切削液回収空間
82 切削液回収ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6