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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150887
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20231005BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060220
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】川水 努
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩輝
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA11
5E322DA04
5F136BA04
5F136BA06
5F136CB07
5F136CB08
5F136DA27
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】さらに高い冷却効果を発揮する冷却装置を提供する。
【解決手段】基板2の表面に実装され、第一方向に配列された複数の半導体部品20を冷却する冷却装置1であって、基板の裏面に取り付けられたベース10と、ベースに離間して配置されることでベースとの間に冷媒が流通する流路を形成する底板12と、流路内に配置された冷却体と、を備える。底板における第一方向d1の中央部には、裏面に対向する方向から流路Fに冷媒を導く導入口17が形成される。導入口における流路の流路断面積は、底板からベース側に向かって突出する厚肉部16を設けることで、第一方向の両側における流路の流路断面積よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に実装され、第一方向に配列された複数の半導体部品を冷却する冷却装置であって、
前記基板の裏面に取り付けられたベースと、
前記ベースに離間して配置されることで該ベースとの間に冷媒が流通する流路を形成する底板と、
前記流路内に配置された冷却体と、
を備え、
前記底板における前記第一方向の中央部には、前記裏面に対向する方向から前記流路に前記冷媒を導く導入口が形成され、
前記導入口における前記流路の流路断面積は、前記第一方向の両側における前記流路の流路断面積よりも小さい冷却装置。
【請求項2】
前記導入口は、前記第一方向に直交する第二方向に延びている請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記導入口は、前記第一方向に直交する第二方向に間隔をあけて配列された複数の開口部によって形成されている請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記底板の前記流路側を向く面上、及び前記ベースの前記流路側を向く面上の少なくとも一方であって、前記導入口を含む領域には、該底板から前記ベース側に向かって突出する厚肉部が設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記底板の前記流路側を向く面上、及び前記ベースの前記流路側を向く面上の少なくとも一方には、前記導入口から前記第一方向の両側に離間するに従って他方から離間する方向に延びるスロープ部が設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記冷却体は、前記底板から前記ベースに向かって突出するとともに前記第一方向に延び、該第一方向に直交する第二方向に間隔をあけて配列された複数のフィンである請求項1から5のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却体は、前記底板から前記ベース側に向かって突出する棒状をなすとともに、互いに間隔をあけて配列された複数のピンである請求項1から5のいずれか一項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体部品(チップ)を冷却するための装置として、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。下記特許文献1に記載された装置では、複数の半導体モジュールの間に、冷却水が流通する冷却水路が形成されている。冷却水は、冷却水路の一端から横方向に導かれ、順次半導体モジュールを冷却することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-203138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように複数の半導体部品を実装した場合、各半導体部品の発熱が重畳されることで、これら複数の半導体部品のうちの中央部の温度が高温になりやすい。したがって、上記特許文献1のように、冷却水路の一端から横方向に順次冷却水を流通させる構成では、中央部での冷却効果が不足してしまう虞がある。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、さらに高い冷却効果を発揮する冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る冷却装置は、基板の表面に実装され、第一方向に配列された複数の半導体部品を冷却する冷却装置であって、前記基板の裏面に取り付けられたベースと、前記ベースに離間して配置されることで該ベースとの間に冷媒が流通する流路を形成する底板と、前記流路内に配置された冷却体と、を備え、前記底板における前記第一方向の中央部には、前記裏面に対向する方向から前記流路に前記冷媒を導く導入口が形成され、前記導入口における前記流路の流路断面積は、前記第一方向の両側における前記流路の流路断面積よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、さらに高い冷却効果を発揮する冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第一実施形態に係る冷却装置、及び基板の構成を示す断面図である。
図2図1のII-II線における断面図である。
図3図1のIII―III線における断面図である。
図4図1のIV-IV線における断面図である。
図5】本開示の第一実施形態の変形例に係る冷却装置、及び基板の構成を示す断面図である。
図6】本開示の第二実施形態に係る冷却装置、及び基板の構成を示す断面図である。
図7】本開示の第二実施形態の変形例に係る冷却装置、及び基板の構成を示す断面図である。
図8】本開示の各実施形態に共通する第一変形例を示す図であって、導入口の構成を示す模式図である。
図9】本開示の各実施形態に共通する第二変形例を示す図であって、図1のIV-IV線における断面図に対応する図である。
図10】本開示の各実施形態に共通する第三変形例に係る冷却装置、及び基板の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態に係る基板2、及び冷却装置1について、図1から図4を参照して説明する。この冷却装置1は、基板2に実装された半導体部品20を液体の冷媒によって冷却するための装置である。
【0010】
(基板の構成)
図1に示すように、基板2は、基板本体21と、銅パターン22と、接合材23と、を有している。
【0011】
基板本体21は、例えばガラスエポキシ樹脂や、ベークライト樹脂等で板状に形成されている。基板本体21の表面、及び裏面にはそれぞれ銅パターン22が蒸着されている。銅パターン22には、所望のプリント配線がエッチングによって形成されている。接合材24は、半導体部品20を銅パターン22に固定するために設けられている。
【0012】
半導体部品20は、複数(一例として3つ)が基板2上に配置されている。半導体部品20は上記の銅パターン22に対して電気的に接続されている。半導体部品20は、例えばパワートランジスタやパワーFETであり、その動作に伴う内部抵抗によって発熱する。これら半導体部品20は、基板2上で第一方向d1に互いに間隔をあけて配置されている。以下の説明では、3つの半導体部品20のうち、第一方向d1の中央部に位置する半導体部品20を第一半導体部品21aと呼び、その両側に位置する一対の半導体部品20を第二半導体部品21bと呼ぶことがある。
【0013】
(冷却装置の構成)
次いで、冷却装置1の構成について説明する。図1に示すように、冷却装置1は、ベース10と、フィン11と、底板12と、を備えている。これらベース10、フィン11、及び底板12は、アルミニウムや銅のように熱伝導性の良好な金属材料で形成されている。Additive Manufacturing造形法(AM造形法)によって冷却装置1を造形することも可能である。なお、ベース10、フィン11、及び底板12は一体に形成されていてもよいし、底板12のみがベース10、フィン11に対して取り外し可能に構成されていてもよい。この場合、底板12とフィン11の接合面にはOリング等の漏洩防止部材が配置されることが望ましい。
【0014】
ベース10は、上記の基板2の裏面(つまり、半導体部品20が実装されている表面とは反対側を向く面)に対して接合材23によって固定されている。ベース10は、基板2よりも大きな面積を有する板状をなしている。
【0015】
ベース10の裏面13には、複数のフィン11(冷却体)が設けられている。それぞれのフィン11は、ベース10から離間する方向に突出している。より具体的には図4に示すように、これらフィン11は、ベース10の裏面13に沿って第一方向d1に延びるとともに、当該第一方向d1に直交する第二方向d2に間隔をあけて配列されている。これにより、フィン11同士の間には冷媒が流れる流路Fが形成されている。また、第二方向d2における両側には、一対の側壁14が設けられている。
【0016】
再び図1に示すように、上記のフィン11は、底板12によってベース10との間に支持されている。底板12は、底板本体15と、厚肉部16と、を有している。底板本体15は、ベース10に対して流路Fの分だけ間隔をあけて配置された板状をなしている。底板本体15は、第一方向d1、及び第二方向d2に広がっている。底板本体15の厚さは全域で一定である。
【0017】
第一方向d1における底板本体15の中央部(つまり、複数の半導体部品20が配置された領域における第一方向d1の中央部:第一半導体部品21aに重なる領域)には、外部から流路F内に冷媒を導くための導入口17が形成されている。導入口17は、第二方向d2に延びる矩形状の開口である(図4参照)。この導入口17を通じて、底板本体15からベース10に向かう方向に冷媒が導入される。なお、冷媒としては低温の水の他、アルコール等が好適に用いられる。
【0018】
底板12の流路F側を向く面上であって、第一方向d1における導入口17の両側には、厚肉部16が設けられている。厚肉部16は、底板本体15よりも大きな厚さを有している。厚肉部16は、導入口17を挟んで第一方向d1の両側に1つずつ形成されている。厚肉部16は、第一方向d1において、少なくとも第一半導体部品21aと重なる領域にかけて広がっている。一方で、第一方向d1において、厚肉部16は第二半導体部品21bとは重なっていない。厚肉部16の厚さは、第一方向d1の全域で一定である。
【0019】
この厚肉部16が形成されていることによって、図2図3に示すように、流路Fの流路断面積が変化している。具体的には図2に示すように、厚肉部16が形成されている導入口17周囲の領域の流路断面積は、当該厚肉部16が形成されていない領域、つまり第一方向d1における両端側の領域の流路断面積に比べて小さくなっている。つまり、第一半導体部品21aに対応する領域の流路断面積は、第二半導体部品21bに対応する領域の流路断面積よりも小さくなっている。
【0020】
(作用効果)
上記の半導体部品20に電流が流れると、内部抵抗に伴って当該半導体部品20が発熱する。複数の半導体部品20の発熱量が互いに等しいと仮定した場合、上述のように3つの半導体部品20のうち、第一半導体部品21aの周囲では、第二半導体部品21bの影響を受けて発熱が重畳される。その結果、冷却条件が等しい場合、第一半導体部品21aは第二半導体部品21bに比べて高温になりやすい。そこで、本実施形態では、上述のような構成を採っている。
【0021】
上記構成によれば、導入口17が第一方向d1における中央部、つまり第一半導体部品21aに対応する領域に形成されている。これにより、初期の最も低温の冷媒を第一半導体部品21aに対して供給することができる。その結果、発熱の重畳の影響を受ける第一半導体部品21aを優先的かつ効率的に冷却することが可能となる。したがって、第一半導体部品21aと第二半導体部品21bとの温度差が解消され、各半導体部品20に熱暴走や損壊が生じるリスクを大きく低減することができる。
【0022】
さらに、上記構成によれば、導入口17における流路Fの流路断面積が第一方向d1の両側における流路Fの流路断面積より小さいことから、冷媒の流速を当該導入口17の周囲で高めることができる。その結果、導入口17の直上にある第一半導体部品21aに対する冷却効果をさらに向上させることが可能となる。
【0023】
また、上記構成によれば、導入口17が第二方向d2に延びる矩形状の開口である。これにより、第二方向d2の全域にわたって均一に導入口17から冷媒が流路Fに供給される。言い換えると、第二方向d2において冷媒が偏りなく流路Fに供給される。その結果、各半導体部品20に冷媒がムラなく供給されることとなり、これら半導体部品20に対する冷却効果をさらに高めることが可能となる。
【0024】
加えて、上記構成によれば、厚肉部16を形成することのみによって、簡素な構成のもとで流路Fの流路断面積を変化させることが可能となる。特に、上述したAM造形法によって冷却装置1を一体的に造形する場合には製造工程を大幅に簡略化することが可能となる。これにより、冷却装置1の製造コストやメンテナンスコストを削減することができる。
【0025】
さらに、上記構成によれば、冷却体としてのフィン11によって、各半導体部品20を効率的に冷却することができる。また、フィン11によって冷媒の流れる方向が第一方向d1のみに規定されることから、冷媒の滞留や逆流が抑制され、より効率的かつ安定的に各半導体部品20を冷却することが可能となる。
【0026】
以上、本開示の第一実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第一実施形態では、底板12に厚肉部16が形成されている例について説明した。しかしながら、図5に変形例として示すように、厚肉部16はベース10の裏面13(流路F側を向く面)における導入口17を臨む領域に形成されていてもよい。また、厚肉部16は、底板12とベース10の少なくとも一方に設けられていればよい。言い換えると、底板12とベース10の双方に厚肉部16がそれぞれ形成されていてもよい。この場合、厚肉部16の厚さは、第一半導体部品21aに冷媒の冷却効果が及ぶように適宜設定されることが望ましい。
【0027】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態に係る冷却装置101について、図6を参照して説明する。なお、上記の第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。冷却装置101は、底板112の構成が第一実施形態とは異なり、残余の構成は第一実施形態と同様である。
【0028】
底板112は、底板本体115と、スロープ部116と、を有している。底板本体115は、ベース10に対して流路Fの分だけ間隔をあけて配置された板状をなしている。底板本体115は、第一方向d1、及び第二方向d2に広がっている。底板本体115の厚さは全域で一定である。
【0029】
第一方向d1における底板本体115の中央部(つまり、複数の半導体部品20が配置された領域における第一方向d1の中央部:第一半導体部品21aに重なる領域)には、外部から流路F内に冷媒を導くための導入口17が形成されている。導入口17は、第二方向d2に延びる矩形状の開口である。この導入口17を通じて、底板本体115からベース10に向かう方向に冷媒が導入される。
【0030】
第一方向d1における導入口17の両側には、スロープ部116が設けられている。スロープ部116は、第二方向d2からの断面視で、導入口17から第一方向d1の両側に離間するに従って、第一方向d1と第二方向d2とに直交する方向における寸法が次第に小さくなっている。つまり、スロープ部116におけるベース10側を向く面(傾斜面116a)は、導入口17から離間するに従ってベース10から離間する方向に延びることで、第一方向d1に対して傾斜している。
【0031】
このスロープ部116が形成されていることによって、流路Fの流路断面積は、導入口17から第一方向d1の両側に向かうに従って次第に大きくなるように変化している。具体的にはスロープ部116が形成されている導入口17周囲の領域の流路断面積は、当該スロープ部116が形成されていない領域、つまり第一方向d1における両端側の領域の流路断面積に比べて小さくなっている。つまり、第一半導体部品21aに対応する領域の流路断面積は、第二半導体部品21bに対応する領域の流路断面積よりも小さくなっている。
【0032】
上記構成によれば、導入口17が第一方向d1における中央部、つまり第一半導体部品21aに対応する領域に形成されている。これにより、初期の最も低温の冷媒を第一半導体部品21aに対して供給することができる。その結果、発熱の重畳の影響を受けて高温になりやすい第一半導体部品21aを優先的かつ効率的に冷却することが可能となる。したがって、第一半導体部品21aと第二半導体部品21bとの温度差が解消され、各半導体部品20に熱暴走や損壊が生じるリスクを大きく低減することができる。
【0033】
さらに、上記構成によれば、スロープ部116が設けられていることによって、導入口17から第一方向d1の両端部に至るまでの間に流路F中に段差等が形成されていない状態となる。これにより、当該段差等によって生じやすい渦や淀みが解消される。したがって、導入口17から離間する方向に流れる冷媒の圧力損失が低減される。その結果、冷媒の流れがより円滑化されて、各半導体部品20に対する冷却効果をより一層高めることができる。
【0034】
以上、本開示の第二実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第二実施形態では、底板112にスロープ部116が形成されている例について説明した。しかしながら、図7に変形例として示すように、スロープ部116はベース10の裏面13における導入口17を臨む領域に形成されていてもよい。また、スロープ部116は、底板112とベース10の少なくとも一方に設けられていればよい。言い換えると、底板112とベース10の双方にスロープ部116がそれぞれ形成されていてもよい。この場合、スロープ部116の厚さ、及び傾斜角度は、第一半導体部品21aに冷媒の冷却効果が及ぶように適宜設定されることが望ましい。
【0035】
<各実施形態に共通する変形例>
上述の各実施形態では、導入口17が第二方向d2に延びる矩形状をなしている例について説明した。しかしながら、変形例として図8に示すように、導入口17が第二方向d2に間隔をあけて配列された複数の開口部117によって形成されていてもよい。開口部117の形状は図8の例では円形である。なお、開口部117が矩形状や多角形状、楕円形状をなしていてもよい。この構成によれば、導入口17が複数の開口部117によって形成されていることから、導入口17が1つの矩形状をなしている場合に比べて、各開口部117から吹き出す冷媒の流速が高まる。これにより、各半導体部品20に対する冷却効果をより一層高めることが可能となる。
【0036】
さらに、上述の各実施形態では、冷却体としてフィン11を用いた例について説明した。しかしながら、冷却体の態様はフィン11に限定されず、図9に示すように、複数のピン111を用いることも可能である。これら複数のピン111は、第一方向d1、及び第二方向d2に間隔をあけて格子状に配列されている。また、各ピン111の断面形状は円形である。なお、ピン111の断面形状は円形に限定されず、矩形状や多角形状、楕円形状であってもよい。
【0037】
また、上述の各実施形態では、基板2が、1つの第一半導体部品21aと、2つの第二半導体部品21bを有する例について説明した。しかしながら、基板2の態様はこれに限定されず、図10に示す構成を採ることも可能である。同図の例では、第一方向d1に間隔をあけて2つの第一半導体部品21aが配列され、さらにその両側に1つずつの第二半導体部品21bが間隔をあけて配置されている。つまり、合計4つの半導体部品20が配置されている。この場合、冷却装置1の導入口17は、2つの第一半導体部品21a同士の間の領域に位置していることが望ましい。これにより、2つの第一半導体部品21aに対して、初期の低温の冷媒を優先的に供給することができる。その結果、上述した各実施形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0038】
<付記>
各実施形態に記載の冷却装置1は、例えば以下のように把握される。
【0039】
(1)第1の態様に係る冷却装置1は、基板2の表面に実装され、第一方向d1に配列された複数の半導体部品20を冷却する冷却装置1であって、前記基板2の裏面13に取り付けられたベース10と、前記ベース10に離間して配置されることで該ベース10との間に冷媒が流通する流路Fを形成する底板12と、前記流路F内に配置された冷却体と、を備え、前記底板12における前記第一方向d1の中央部には、前記裏面13に対向する方向から前記流路Fに前記冷媒を導く導入口17が形成され、前記導入口17における前記流路Fの流路断面積は、前記第一方向d1の両側における前記流路Fの流路断面積よりも小さい。
【0040】
上記構成によれば、導入口17における流路Fの流路断面積が第一方向d1の両側における流路Fの流路断面積より小さいことから、冷媒の流速を当該導入口17の周囲で高めることができる。これにより、導入口17の直上にある半導体部品20に対する冷却効果を向上させることが可能となる。
【0041】
(2)第2の態様に係る冷却装置1は、(1)の冷却装置1であって、前記導入口17は、前記第一方向d1に直交する第二方向d2に延びている。
【0042】
上記構成によれば、第二方向d2の全域にわたって均一に導入口17から冷媒が供給されるため、各半導体部品20に対する冷却効果をさらに高めることが可能となる。
【0043】
(3)第3の態様に係る冷却装置1は、(1)の冷却装置1であって、前記導入口17は、前記第一方向d1に直交する第二方向d2に間隔をあけて配列された複数の開口部117によって形成されている。
【0044】
上記構成によれば、導入口17が複数の開口部117によって形成されていることから、各開口部117から吹き出す冷媒の流速が高まる。これにより、各半導体部品20に対する冷却効果をより一層高めることが可能となる。
【0045】
(4)第4の態様に係る冷却装置1は、(1)から(3)のいずれか一態様に係る冷却装置1であって、前記底板12の前記流路F側を向く面上、及び前記ベース10の前記流路F側を向く面上の少なくとも一方であって、前記導入口17を含む領域には、該底板12から前記ベース10側に向かって突出する厚肉部16が設けられている。
【0046】
上記構成によれば、厚肉部16を形成することのみによって、簡素な構成のもとで流路Fの流路断面積を変化させることが可能となる。これにより、装置の製造コストやメンテナンスコストを削減することができる。
【0047】
(5)第5の態様に係る冷却装置1は、(1)から(3)のいずれか一態様に係る冷却装置1であって、前記底板12の前記流路F側を向く面上、及び前記ベース10の前記流路F側を向く面上の少なくとも一方には、前記導入口17から前記第一方向d1の両側に離間するに従って他方から離間する方向に延びるスロープ部116が設けられている。
【0048】
上記構成によれば、スロープ部116が設けられていることによって、導入口17から離間する方向における冷媒の圧力損失が低減される。したがって、冷媒の流れがより円滑化されて、各半導体部品20に対する冷却効果をより一層高めることができる。
【0049】
(6)第6の態様に係る冷却装置1は、(1)から(5)のいずれか一態様に係る冷却装置1であって、前記冷却体は、前記底板12から前記ベース10に向かって突出するとともに前記第一方向d1に延び、該第一方向d1に直交する第二方向d2に間隔をあけて配列された複数のフィン11である。
【0050】
上記構成によれば、冷却体としてのフィン11によって、各半導体部品20を効率的に冷却することができる。
【0051】
(7)第7の態様に係る冷却装置1は、(1)から(5)のいずれか一態様に係る冷却装置1であって、前記冷却体は、前記底板12から前記ベース10側に向かって突出する棒状をなすとともに、互いに間隔をあけて配列された複数のピン111である。
【0052】
上記構成によれば、冷却体がピン111であることから、フィン11に比べて表面積が増大する。これにより、冷媒と冷却体との間の熱交換量が増え、各半導体部品20をさらに効率的に冷却することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1…冷却装置
2…基板
10…ベース
11…フィン
12…底板
13…裏面
14…側壁
15…底板本体
16…厚肉部
17…導入口
20…半導体部品
21…基板本体
22…銅パターン
23…接合材
101…冷却装置
111…ピン
112…底板
115…底板本体
116…スロープ部
117…開口部
116a…傾斜面
21a…第一半導体部品
21b…第二半導体部品
d1…第一方向
d2…第二方向
F…流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10