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特開2023-150893検出システム、制御装置および検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150893
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】検出システム、制御装置および検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/931 20200101AFI20231005BHJP
【FI】
G01S15/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060230
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 知佳
(72)【発明者】
【氏名】牧瀬 猛司
(72)【発明者】
【氏名】シュドク マルクス
(72)【発明者】
【氏名】富川 理
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB12
5J083AB13
5J083AC28
5J083AC29
5J083AD01
5J083AE01
5J083AF10
5J083BA02
5J083BB12
(57)【要約】
【課題】周辺車両の検出精度を向上させる。
【解決手段】検出システム100は、車両1の周辺の領域に存在する周辺車両を検出する検出システム100であって、車両1に設けられる1または2以上の超音波センサ10と、制御装置30と、を含み、制御装置30は、超音波センサ10の動作を制御する制御部と、超音波センサ10の検出結果に基づいて、周辺車両を検出する検出部と、を備え、制御部は、超音波センサ10による超音波の照射時に、超音波センサ10から照射される超音波の周波数である照射周波数を所定周波数帯内で変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の周辺の領域に存在する周辺車両(2)を検出する検出システム(100)であって、
前記車両(1)に設けられる1または2以上の超音波センサ(10)と、
制御装置(30)と、
を含み、
前記制御装置(30)は、
前記超音波センサ(10)の動作を制御する制御部(32)と、
前記超音波センサ(10)の検出結果に基づいて、前記周辺車両(2)を検出する検出部(33)と、
を備え、
前記制御部(32)は、前記超音波センサ(10)による超音波の照射時に、前記超音波センサ(10)から照射される超音波の周波数である照射周波数を所定周波数帯(FB)内で変化させる、
検出システム。
【請求項2】
前記所定周波数帯(FB)は、第1周波数帯(FB1)と、前記第1周波数帯(FB1)と異なる第2周波数帯(FB2)とを含み、
前記制御部(32)は、前記超音波センサ(10)による超音波の照射時に、前記照射周波数を前記第1周波数帯(FB1)内で変化させる第1照射制御と、前記照射周波数を前記第2周波数帯(FB2)内で変化させる第2照射制御とを実行する、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記制御部(32)は、前記超音波センサ(10)による超音波の照射時に、前記照射周波数を前記所定周波数帯(FB)内で連続的に変化させる、
請求項1または2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記超音波センサ(10)は、
前記車両(1)の前左方向に向けて超音波を照射する第1超音波センサ(10a)と、
前記車両(1)の前右方向に向けて超音波を照射する第2超音波センサ(10b)と、
前記車両(1)の後左方向に向けて超音波を照射する第3超音波センサ(10c)と、
前記車両(1)の後右方向に向けて超音波を照射する第4超音波センサ(10d)と、
を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の検出システム。
【請求項5】
車両(1)の周辺の領域に存在する周辺車両(2)を検出する制御装置(30)であって、
前記車両(1)に設けられる1または2以上の超音波センサ(10)の動作を制御する制御部(32)と、
前記超音波センサ(10)の検出結果に基づいて、前記周辺車両(2)を検出する検出部(33)と、
を備え、
前記制御部(32)は、前記超音波センサ(10)による超音波の照射時に、前記超音波センサ(10)から照射される超音波の周波数である照射周波数を所定周波数帯(FB)内で変化させる、
制御装置。
【請求項6】
車両(1)の周辺の領域に存在する周辺車両(2)の検出方法であって、
前記車両(1)に設けられる1または2以上の超音波センサ(10)の動作を制御する第1ステップと、
前記超音波センサ(10)の検出結果に基づいて、前記周辺車両(2)を検出する第2ステップと、
を含み、
前記第1ステップにおいて、前記超音波センサ(10)による超音波の照射時に、前記超音波センサ(10)から照射される超音波の周波数である照射周波数を所定周波数帯(FB)内で変化させる、
検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出システム、制御装置および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドライバによる運転を支援する種々の技術が提案されている。ドライバによる運転を支援する技術として、車両に設けられるセンサを用いた周囲の車両等の対象物の検出に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-045336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ドライバによる運転を支援する技術として、車両に設けられる超音波センサを用いて、車両の周辺の領域に存在する周辺車両(例えば、死角領域に存在する死角車両)を検出する技術がある。このような技術では、ドライバによる運転をより適切に支援するために、周辺車両の検出精度を向上させることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、周辺車両の検出精度を向上させることが可能な検出システム、制御装置および検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、検出システムは、車両の周辺の領域に存在する周辺車両を検出する検出システムであって、車両に設けられる1または2以上の超音波センサと、制御装置と、を含み、制御装置は、超音波センサの動作を制御する制御部と、超音波センサの検出結果に基づいて、周辺車両を検出する検出部と、を備え、制御部は、超音波センサによる超音波の照射時に、超音波センサから照射される超音波の周波数である照射周波数を所定周波数帯内で変化させる。
【0007】
上記課題を解決するために、制御装置は、車両の周辺の領域に存在する周辺車両を検出する制御装置であって、車両に設けられる1または2以上の超音波センサの動作を制御する制御部と、超音波センサの検出結果に基づいて、周辺車両を検出する検出部と、を備え、制御部は、超音波センサによる超音波の照射時に、超音波センサから照射される超音波の周波数である照射周波数を所定周波数帯内で変化させる。
【0008】
上記課題を解決するために、検出方法は、車両の周辺の領域に存在する周辺車両の検出方法であって、車両に設けられる1または2以上の超音波センサの動作を制御する第1ステップと、超音波センサの検出結果に基づいて、周辺車両を検出する第2ステップと、を含み、第1ステップにおいて、超音波センサによる超音波の照射時に、超音波センサから照射される超音波の周波数である照射周波数を所定周波数帯内で変化させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、周辺車両の検出精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る検出システムが搭載される車両の概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両の左後方に位置する死角車両が検出される様子を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る超音波センサによる超音波の照射時における照射周波数の推移の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る超音波センサによる超音波の照射時における第1照射制御の検出範囲、および、第2照射制御の検出範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
<検出システムの構成>
図1図3を参照して、本発明の実施形態に係る検出システム100の構成について説明する。
【0013】
図1は、検出システム100が搭載される車両1の概略構成を示す模式図である。車両1は、四輪の自動車である。ただし、車両1は、本発明に係る車両の一例に過ぎず、本発明に係る車両は、例えば、車輪の数が4つ以外の車両であってもよく、一輪車、二輪車、三輪車、電動カート、バギー、トラックまたはバス等であってもよい。
【0014】
検出システム100は、車両1の周辺の領域に存在する周辺車両(例えば、後述する図3の車両2)を検出するシステムである。図1に示されるように、検出システム100は、超音波センサ10と、表示装置20と、制御装置30とを備える。
【0015】
超音波センサ10は、超音波を車両1の外部に向けて照射し、対象物により反射された超音波を受信する。図1の例では、超音波センサ10として、第1超音波センサ10aと、第2超音波センサ10bと、第3超音波センサ10cと、第4超音波センサ10dとが、車両1に設けられている。
【0016】
第1超音波センサ10aは、車両1の左側部の前側に設けられる。第1超音波センサ10aは、車両1の左側部の前側から車両左方向に向けて超音波を照射する。第2超音波センサ10bは、車両1の右側部の前側に設けられる。第2超音波センサ10bは、車両1の右側部の前側から車両右方向に向けて超音波を照射する。第3超音波センサ10cは、車両1の右側部の後側に設けられる。第3超音波センサ10cは、車両1の右側部の後側から車両右方向に向けて超音波を照射する。第4超音波センサ10dは、車両1の左側部の後側に設けられる。第4超音波センサ10dは、車両1の左側部の後側から車両左方向に向けて超音波を照射する。
【0017】
ただし、車両1に設けられる超音波センサ10の数は、図1の例に限定されない。車両1には、1または2以上の超音波センサ10が設けられていればよい。しかしながら、四輪車である車両1では、4つ以上の超音波センサ10が設けられることが好ましい。また、車両1に設けられる超音波センサ10の配置は、図1の例に限定されない。超音波センサ10は、詳細には、バンパー上に配置される。それにより、超音波センサ10から照射された超音波が車体の突起部等により遮られることが抑制され、照射範囲を広げることができる。
【0018】
表示装置20は、情報を視覚的に表示する表示機能を有する。表示装置20としては、例えば、液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0019】
制御装置30は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)、および、CPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0020】
図2は、制御装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示されるように、制御装置30は、例えば、取得部31と、制御部32と、検出部33とを備える。また、制御装置30は、検出システム100の各装置と通信する。
【0021】
取得部31は、超音波センサ10から検出結果を取得する。例えば、取得部31は、第1超音波センサ10a、第2超音波センサ10b、第3超音波センサ10cおよび第4超音波センサ10dから検出結果をそれぞれ取得する。なお、本明細書において、情報の取得には、情報の抽出又は生成等が含まれ得る。
【0022】
制御部32は、超音波センサ10および表示装置20の動作を制御する。例えば、制御部32は、第1超音波センサ10a、第2超音波センサ10b、第3超音波センサ10cおよび第4超音波センサ10dによる超音波の照射に関する制御を行う。また、例えば、制御部32は、表示装置20による表示に関する制御を行う。
【0023】
検出部33は、超音波センサ10の検出結果に基づいて、周辺車両を検出する。周辺車両は、車両1の周囲の領域に存在する車両である。以下、検出部33が、周辺車両として死角車両を検出する例を主に説明するが、周辺車両は死角車両に限定されない。死角車両は、車両1の周囲の死角領域に存在する車両である。死角領域は、車両1のドライバによって視認され得る領域(例えば、ドライバが直接的に視認できる領域、および、ドライバが車両1のミラーを介して間接的に視認できる領域)に含まれない領域である。つまり、死角領域は、車両1のドライバにとって視認しにくく死角となる領域である。
【0024】
図3は、車両1の左後方に位置する死角車両が検出される様子を示す図である。図3の例では、互いに隣接するレーンL1およびレーンL2のうち右側のレーンL1を車両1が走行している。レーンL1は、車両1の走行レーンに相当する。レーンL2は、車両1の走行レーン(レーンL1)に隣接する隣接レーンに相当する。車両1の左後方には、レーンL2を走行する車両2が位置する。車両2は、四輪の自動車である。
【0025】
図3に示されるように、各超音波センサ10の検出範囲11は、車両1の側部から側方に放射状に広がっている。具体的には、第1超音波センサ10aの検出範囲11aは、車両1の左側部の前側から左側方に放射状に広がっている。第2超音波センサ10bの検出範囲11bは、車両1の右側部の前側から右側方に放射状に広がっている。第3超音波センサ10cの検出範囲11cは、車両1の右側部の後側から右側方に放射状に広がっている。第4超音波センサ10dの検出範囲11dは、車両1の左側部の後側から左側方に放射状に広がっている。なお、図3中の各検出範囲11の形状は、理解を容易にするために、あくまでも模式的に示されており、実際の各検出範囲11の形状は、図3の形状に限定されない。
【0026】
検出システム100では、これらの複数の検出範囲11に死角領域が含まれるようになっている。このため、車両1の死角領域に車両(つまり、死角車両)が存在する場合であっても、死角車両の少なくとも一部は、いずれかの超音波センサ10の検出範囲11内に存在することになる。検出部33は、超音波センサ10の検出結果に基づいて、超音波センサ10の検出範囲11内の対象物を検出できるので、死角車両を検出できる。図3の例では、第4超音波センサ10dの検出範囲11b内に車両2が位置している。ゆえに、検出部33は、第4超音波センサ10dの出力結果に基づいて、車両2を死角車両として検出できる。なお、死角車両の検出処理の詳細については、後述する。
【0027】
ただし、検出対象となる死角車両は、図3の例に限定されない。例えば、検出対象となる死角車両は、車両1の右後方に位置する車両であってもよい。また、例えば、検出対象となる死角車両は、車両1に対して左側方または右側方に位置する車両であってもよい。
【0028】
<検出システムの動作>
図4図6を参照して、本発明の実施形態に係る検出システム100の動作について説明する。
【0029】
図4は、制御装置30が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4におけるステップS101は、図4に示される制御フローの開始に対応する。
【0030】
図4に示される制御フローが開始されると、ステップS102において、制御部32は、超音波の照射を超音波センサ10に行わせる照射処理を実行する。具体的には、制御部32は、第1超音波センサ10a、第2超音波センサ10b、第3超音波センサ10cおよび第4超音波センサ10dの各超音波センサ10について、照射処理を実行する。検出システム100では、照射処理に工夫が施されることによって、死角車両の検出精度の向上が実現される。このような照射処理の詳細については、後述する。
【0031】
ステップS102の次に、ステップS103において、取得部31は、超音波センサ10の検出結果を取得する。具体的には、制御部32は、第1超音波センサ10a、第2超音波センサ10b、第3超音波センサ10cおよび第4超音波センサ10dの各超音波センサ10から検出結果を取得する。
【0032】
超音波センサ10は、照射した超音波が反射した点(以下、検出点とも呼ぶ)の車両1に対する相対位置に関する情報を、超音波の受信結果に基づいて取得(具体的には、生成)する。そして、取得部31は、このように得られる超音波センサ10の検出結果に基づいて、順次検出される各検出点の車両1に対する相対位置を示す情報を取得できる。このように、超音波センサ10の検出結果には、超音波センサ10により検出された各検出点の車両1に対する相対位置に関する情報が含まれている。
【0033】
ステップS103の次に、ステップS104において、検出部33は、超音波センサ10の検出結果に基づいて、死角車両を検出する検出処理を実行する。具体的には、検出部33は、検出処理において、第1超音波センサ10a、第2超音波センサ10b、第3超音波センサ10cおよび第4超音波センサ10dの各超音波センサ10の検出結果に基づいて、各超音波センサ10の検出範囲11に死角車両が存在するか否かを判定する。詳細には、検出部33は、各超音波センサ10の検出結果に基づいて取得される各検出点の車両1に対する相対位置を示す情報を用いて、各超音波センサ10の検出範囲11に死角車両が存在するか否かを判定する。
【0034】
ステップS104の次に、ステップS105において、制御部32は、死角車両の存在を車両1のドライバに対して報知する報知処理を実行し、ステップS102に戻る。例えば、ステップS104で死角車両が検出された場合に、制御部32は、報知処理において、検出された死角車両に関する情報を表示装置20に表示させる。検出された死角車両に関する情報は、例えば、死角車両が存在する旨を示す情報であってもよく、検出された死角車両の位置を示す情報(例えば、相対距離および相対方向を示す情報)をさらに含んでもよい。このような報知処理によって、死角車両の存在をライダーに認識させることができるので、安全性が向上する。なお、報知処理は、表示によって行われる例に限定されず、例えば、表示に加えて音声出力によって行われてもよく、表示に替えて音声出力によって行われてもよい。
【0035】
ここで、制御部32が行う照射処理(図4のフローチャート中のステップS102)の詳細について、図5および図6を参照して説明する。以下で説明するように、制御部32は、超音波センサ10による超音波の照射時に(つまり、照射処理において)、照射周波数を変化させることができる。照射周波数は、超音波センサ10から照射される超音波の周波数である。検出システム100では、以下で説明する照射周波数の制御を実現するために、超音波センサ10として、照射周波数を変化させることができる種類のセンサが用いられる。
【0036】
図5は、超音波センサ10による超音波の照射時における照射周波数の推移の一例を示す図である。図5では、横軸が時間を示し、縦軸が周波数を示す。なお、図5では、1回の照射処理における照射周波数の推移の例が示されている。図5に示されるように、制御部32は、超音波センサ10による超音波の照射時に(つまり、照射処理において)、照射周波数を所定周波数帯FB内で変化させる。所定周波数帯FBは、予め設定された上限周波数と下限周波数との間の帯域である。図5の例では、所定周波数帯FBは、周波数F1を下限周波数とし、周波数F2を上限周波数とする周波数帯である。なお、所定周波数帯FBは、各超音波センサ10の間で一致していてもよく、超音波センサ10ごとに異なっていてもよい。
【0037】
図5の例では、時点T1において、照射処理が開始する。そして、時点T1以降において、超音波センサ10による超音波の照射が継続される。その後、時点T2において、照射処理が終了する。ここで、時点T1において、照射周波数は周波数F2となっている。そして、時点T1以降において、照射周波数が所定の低下速度で連続的に低下する。その後、時点T2において、照射周波数は周波数F1となる。このように、図5の例では、制御部32は、超音波センサ10による超音波の照射時に、照射周波数を所定周波数帯FB内で連続的に変化させる。
【0038】
上記で説明した図5の例では、制御部32は、照射処理において、照射周波数を所定の低下速度で連続的に低下させる。ただし、照射処理における照射周波数の推移は、図5の例に限定されない。例えば、制御部32は、照射処理において、照射周波数を所定の上昇速度で連続的に上昇させてもよく、照射周波数を所定の周期で増減させてもよい。また、例えば、制御部32は、照射処理において、照射周波数を不連続に(例えば、互いに離散する周波数に段階的に)変化させてもよい。
【0039】
以上説明したように、検出システム100では、制御部32は、超音波センサ10による超音波の照射時に、超音波センサ10から照射される超音波の周波数である照射周波数を所定周波数帯FB内で変化させる。
【0040】
ここで、超音波センサ10の周囲環境には、種々の雑音が生じ得る。そして、超音波センサ10の照射周波数が超音波センサ10の周囲環境に生じている雑音の周波数と一致する場合、超音波センサ10の検出結果において、超音波センサ10から照射された超音波と雑音の区別が困難となる。ゆえに、超音波センサ10の照射周波数が変化せずに固定値である場合、超音波センサ10の周囲環境に生じている雑音によって死角車両の検出精度が低下するおそれがある。
【0041】
一方、検出システム100では、超音波センサ10の照射周波数が所定周波数帯FB内で変化するので、仮に超音波センサ10の照射周波数が超音波センサ10の周囲環境に生じている雑音の周波数と一時的に一致したとしても、そのような周波数の検出結果を有効でない検出結果として排除し、他の周波数の検出結果を有効な検出結果として利用することができる。それにより、超音波センサ10の周囲環境に生じている雑音によって死角車両の検出精度が低下することが抑制されるので、死角車両の検出精度を向上させることができる。
【0042】
死角車両の検出精度をより向上させる観点では、制御部32は、超音波センサ10による超音波の照射時に、互いに異なる複数の所定周波数帯FBを用いた照射制御を実行することが好ましい。以下、図6を参照して、第1周波数帯FB1を用いた第1照射制御と、第2周波数帯FB2を用いた第2照射制御が行われる例を説明する。
【0043】
図6は、超音波センサ10による超音波の照射時における第1照射制御の検出範囲11-1、および、第2照射制御の検出範囲11-2の一例を示す図である。なお、図6中の各検出範囲11の形状は、上述した図3と同様に、理解を容易にするために、あくまでも模式的に示されており、実際の各検出範囲11の形状は、図6の形状に限定されない。第1照射制御で用いられる第1周波数帯FB1と、第2照射制御で用いられる第2周波数帯FB2とは、互いに異なる周波数帯である。図6の例では、制御部32は、超音波センサ10による超音波の照射時に(つまり、照射処理において)、照射周波数を第1周波数帯FB1内で変化させる第1照射制御と、照射周波数を第2周波数帯FB2内で変化させる第2照射制御とを実行する。
【0044】
例えば、制御部32は、第1照射制御において、照射周波数を第1周波数帯FB1内で連続的に変化させ、第2照射制御において、照射周波数を第2周波数帯FB2内で連続的に変化させる。そして、制御部32は、このような第1照射制御および第2照射制御を交互に実行する。ただし、上述したように、制御部32は、第1照射制御および第2照射制御の各照射制御において、照射周波数を不連続に(例えば、互いに離散する周波数に段階的に)変化させてもよい。また、第1照射制御および第2照射制御をどのような順序で実行するかは、適宜変更され得る。
【0045】
図6に示されるように、第1周波数帯FB1を用いた第1照射制御の検出範囲11-1と、第2周波数帯FB2を用いた第2照射制御の検出範囲11-2とは、互いに異なる。例えば、図6の例では、第1照射制御の検出範囲11-1は、超音波センサ10の照射面12に平行な方向(図6では左右方向)に長く延びた範囲となっている。一方、第2照射制御の検出範囲11-2は、超音波センサ10の照射面12に垂直な方向(図6では上下方向)に長く延びた範囲となっている。なお、超音波センサ10の照射面12は、超音波センサ10のうち超音波が照射される面である。このように、第1照射制御の検出範囲11-1と第2照射制御の検出範囲11-2とが異なる理由としては、音波の空間内における伝達されやすさが音波の周波数に応じて異なることが挙げられる。例えば、音波の周波数が低いほど、音波は遠くまで届きやすくなる。
【0046】
以上説明したように、図6の例では、制御部32は、超音波センサ10による超音波の照射時に(つまり、照射処理において)、照射周波数を第1周波数帯FB1内で変化させる第1照射制御と、照射周波数を第2周波数帯FB2内で変化させる第2照射制御とを実行する。それにより、第1周波数帯FB1を用いた第1照射制御の検出範囲11-1と、第2周波数帯FB2を用いた第2照射制御の検出範囲11-2との双方の検出範囲11において死角車両を検出できる。ゆえに、死角車両の検出精度をより向上させることができる。
【0047】
上記で説明した図6の例では、所定周波数帯FBが、第1周波数帯FB1と、第1周波数帯FB1と異なる第2周波数帯FB2とを含む。つまり、所定周波数帯FBとして、2種類の周波数帯が用いられる。ただし、所定周波数帯FBとして、第1周波数帯FB1および第2周波数帯FB2に加えて、これらの周波数帯と異なる周波数帯がさらに用いられてもよい。つまり、所定周波数帯FBとして、3種類以上の周波数帯が用いられてもよい。
【0048】
<検出システムの効果>
本発明の実施形態に係る検出システム100の効果について説明する。
【0049】
検出システム100は、車両1に設けられる1または2以上の超音波センサ10と、制御装置30とを含む。制御装置30は、超音波センサ10の動作を制御する制御部32と、超音波センサ10の検出結果に基づいて、周辺車両(上記の例では、死角車両)を検出する検出部33とを備える。制御部32は、超音波センサ10による超音波の照射時に、超音波センサ10から照射される超音波の周波数である照射周波数を所定周波数帯FB内で変化させる構成である。このような構成では、超音波センサ10の照射周波数の一部が超音波センサ10の周囲環境に生じている雑音の周波数と一時的に一致しするような場合でも、当該雑音の周波数と一致しない他の周波数による検出結果を利用して、周辺車両を検出することができる。ゆえに、超音波センサ10の周囲環境に生じている雑音によって周辺車両の検出精度が低下することが抑制されるので、周辺車両の検出精度を向上させることができる。また、このような構成では、超音波センサ10から照射される超音波の照射周波数を所定周波数帯FB内で変化させることで、周波数が異なることによって異なる超音波の特性(例えば、指向性、減衰性等)に基づいて周波数毎に異なる照射範囲に超音波を照射することができ、周辺車両の検出精度を向上させることができる。
【0050】
好ましくは、検出システム100では、所定周波数帯FBは、第1周波数帯FB1と、第1周波数帯FB1と異なる第2周波数帯FB2とを含み、制御部32は、超音波センサ10による超音波の照射時に、照射周波数を第1周波数帯FB1内で変化させる第1照射制御と、照射周波数を第2周波数帯FB2内で変化させる第2照射制御とを実行する。それにより、第1周波数帯FB1を用いた第1照射制御の検出範囲11-1と、第2周波数帯FB2を用いた第2照射制御の検出範囲11-2との双方の検出範囲11において周辺車両を検出できる。ゆえに、周辺車両の検出精度をより向上させることができる。
【0051】
好ましくは、検出システム100では、制御部32は、超音波センサ10による超音波の照射時に、照射周波数を所定周波数帯FB内で連続的に変化させる。それにより、所定周波数帯FB内で一部の周波数が抜けることなく照射周波数を変化させることができるので、超音波センサ10の周囲環境に生じている雑音によって周辺車両の検出精度が低下することがより効果的に抑制される。ゆえに、周辺車両の検出精度をより向上させることができる。
【0052】
好ましくは、検出システム100では、超音波センサ10は、車両1の左側部の前側に設けられる第1超音波センサ10aと、車両1の右側部の前側に設けられる第2超音波センサ10bと、車両1の右側部の後側に設けられる第3超音波センサ10cと、車両1の左側部の後側に設けられる第4超音波センサ10dとを含み、車両1の前左方向、前右方向、後左方向、後右方向に向けて超音波センサ10により超音波が照射される。それにより、車両1の周囲の広い範囲をこれらの超音波センサ10の検出範囲11に含めることができる。ゆえに、車両1の周囲の広い範囲において周辺車両を検出できるので、周辺車両の検出精度をより向上させることができる。
【0053】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0054】
例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0055】
また、例えば、上記で説明した検出システム100による一連の制御処理は、ソフトウェア、ハードウェア、および、ソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、情報処理装置の内部または外部に設けられる記憶媒体に予め格納される。
【符号の説明】
【0056】
1 車両
2 車両(周辺車両)
10 超音波センサ
10a 第1超音波センサ
10b 第2超音波センサ
10c 第3超音波センサ
10d 第4超音波センサ
30 制御装置
31 取得部
32 制御部
33 検出部
100 検出システム
FB 所定周波数帯
FB1 第1周波数帯
FB2 第2周波数帯
図1
図2
図3
図4
図5
図6