(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150894
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】キャップ、キャップ付きセンサ、および、センサ
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01D11/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060231
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】寺田 藍
(57)【要約】
【課題】センサのシール性を向上させる。
【解決手段】キャップ3は、開口部23aが形成されているセンサ2に着脱可能なキャップ3であって、開口部23aを閉塞する基部31と、基部31から突出する突出部32と、突出部32の外周部に設けられ、キャップ3がセンサ2に装着された状態で開口部23aの内周面F5に当接する当接部33と、を備え、基部31は、突出部32の外周部から突出部32の突出方向に直交する径方向に延在する延在部31aを有し、延在部31aは、キャップ3がセンサ2に装着された状態で、センサ2において開口部23aの縁部を形成する壁部23bと当接し、延在部31aの剛性は、当接部33の剛性よりも高い。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部(23a)が形成されているセンサ(2)に着脱可能なキャップ(3)であって、
前記開口部(23a)を閉塞する基部(31)と、
前記基部(31)から突出する突出部(32)と、
前記突出部(32)の外周部に設けられ、前記キャップ(3)が前記センサ(2)に装着された状態で前記開口部(23a)の内周面(F5)に当接する当接部(33)と、
を備え、
前記基部(31)は、前記突出部(32)の外周部から前記突出部(32)の突出方向に直交する径方向に延在する延在部(31a)を有し、
前記延在部(31a)は、前記キャップ(3)が前記センサ(2)に装着された状態で、前記センサ(2)において前記開口部(23a)の縁部を形成する壁部(23b)と当接し、
前記延在部(31a)の剛性は、前記当接部(33)の剛性よりも高い、
キャップ。
【請求項2】
平板形状を有する平板部(31a)を備える、
請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
互いに対向して配置される一対の側面(F3、F4)を有する、
請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記延在部(31a)のうち前記突出部(32)から前記径方向の一側に延在する部分の延在長さと、前記延在部(31a)のうち前記突出部(32)から前記径方向の他側に延在する部分の延在長さとは、互いに異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項5】
前記突出部(32)は、前記基部(31)の一側から突出し、
前記キャップ(3)は、前記基部(31)の他側から前記突出部(32)の内部に亘って中空に形成されている中空部(34)を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項6】
開口部(23a)が形成されているセンサ(2)と、前記センサ(2)に着脱可能なキャップ(3)とを備えるキャップ付きセンサ(1)であって、
前記キャップ(3)は、
前記開口部(23a)を閉塞する基部(31)と、
前記基部(31)から突出する突出部(32)と、
前記突出部(32)の外周部に設けられ、前記キャップ(3)が前記センサ(2)に装着された状態で前記開口部(23a)の内周面(F5)に当接する当接部(33)と、
を備え、
前記基部(31)は、前記突出部(32)の外周部から前記突出部(32)の突出方向に直交する径方向に延在する延在部(31a)を有し、
前記延在部(31a)は、前記キャップ(3)が前記センサ(2)に装着された状態で、前記センサ(2)において前記開口部(23a)の縁部を形成する壁部(23b)と当接し、
前記延在部(31a)の剛性は、前記当接部(33)の剛性よりも高い、
キャップ付きセンサ。
【請求項7】
開口部(23a)が形成されており、キャップ(3)が着脱可能となっているセンサ(2)であって、
前記キャップ(3)は、
前記開口部(23a)を閉塞する基部(31)と、
前記基部(31)から突出する突出部(32)と、
前記突出部(32)の外周部に設けられ、前記キャップ(3)が前記センサ(2)に装着された状態で前記開口部(23a)の内周面(F5)に当接する当接部(33)と、
を備え、
前記基部(31)は、前記突出部(32)の外周部から前記突出部(32)の突出方向に直交する径方向に延在する延在部(31a)を有し、
前記延在部(31a)は、前記キャップ(3)が前記センサ(2)に装着された状態で、前記センサ(2)において前記開口部(23a)の縁部を形成する壁部(23b)と当接し、
前記延在部(31a)の剛性は、前記当接部(33)の剛性よりも高い、
センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ、キャップ付きセンサ、および、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の装置において、センサが利用されている。例えば、特許文献1には、車両の燃料タンク内の圧力を検出する圧力センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサの内部へ液体が侵入すると、センサが故障するおそれがある。ゆえに、センサの内部への液体の侵入を抑制するために、センサのシール性を向上させることが望まれている。例えば、特許文献1等に開示されている燃料タンク用の圧力センサは、リークテストにおいて、当該圧力センサが燃料タンクに取り付けられた状態で水に浸漬される。リークテストにおいて、圧力センサの内部への水の侵入を抑制することが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、センサのシール性を向上させることが可能なキャップ、キャップ付きセンサ、および、センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、キャップは、開口部が形成されているセンサに着脱可能なキャップであって、開口部を閉塞する基部と、基部から突出する突出部と、突出部の外周部に設けられ、キャップがセンサに装着された状態で開口部の内周面に当接する当接部と、を備え、基部は、突出部の外周部から突出部の突出方向に直交する径方向に延在する延在部を有し、延在部は、キャップがセンサに装着された状態で、センサにおいて開口部の縁部を形成する壁部と当接し、延在部の剛性は、当接部の剛性よりも高い。
【0007】
上記課題を解決するために、キャップ付きセンサは、開口部が形成されているセンサと、センサに着脱可能なキャップとを備えるキャップ付きセンサであって、キャップは、開口部を閉塞する基部と、基部から突出する突出部と、突出部の外周部に設けられ、キャップがセンサに装着された状態で開口部の内周面に当接する当接部と、を備え、基部は、突出部の外周部から突出部の突出方向に直交する径方向に延在する延在部を有し、延在部は、キャップがセンサに装着された状態で、センサにおいて開口部の縁部を形成する壁部と当接し、延在部の剛性は、当接部の剛性よりも高い。
【0008】
上記課題を解決するために、センサは、開口部が形成されており、キャップが着脱可能となっているセンサであって、キャップは、開口部を閉塞する基部と、基部から突出する突出部と、突出部の外周部に設けられ、キャップがセンサに装着された状態で開口部の内周面に当接する当接部と、を備え、基部は、突出部の外周部から突出部の突出方向に直交する径方向に延在する延在部を有し、延在部は、キャップがセンサに装着された状態で、センサにおいて開口部の縁部を形成する壁部と当接し、延在部の剛性は、当接部の剛性よりも高い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、センサのシール性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るキャップ付きセンサを示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るセンサおよび燃料タンクのリークテスト中の状態を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るセンサおよび燃料タンクのリークテスト後の状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るキャップを表側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るキャップを裏側から見た斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るセンサに装着されたキャップを示す部分断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るキャップの突出部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
<キャップ付きセンサの構成>
図1~
図7を参照して、キャップ付きセンサ1の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、キャップ付きセンサ1を示す模式図である。
図1に示されるように、キャップ付きセンサ1は、センサ2と、キャップ3とを備える。センサ2は、燃料タンク(後述する
図2および
図3の燃料タンク4を参照)用の圧力センサである。ただし、後述するように、センサ2の用途および機能は、この例に限定されない。キャップ3は、センサ2に着脱可能であり、センサ2に取り付けられた状態で当該センサ2の開口部23aを閉塞する。キャップ3は、センサ2および燃料タンクのリークテスト中にセンサ2とキャップ3とのシール性を確保してセンサ2の開口部23aからセンサ内部へ水等が進入することを阻止するために用いられる。
【0014】
センサ2は、本体部21と、タンク接続部22と、コネクタ接続部23とを含む。本体部21には、各種信号処理を行う基板が収容されている。タンク接続部22は、燃料タンクと接続される部分である。タンク接続部22に燃料タンクが接続されると、センサ2は、燃料タンク内の圧力を検出できるようになる。タンク接続部22は、本体部21から第1方向D1に突出し、略円筒形状を有する。タンク接続部22の先端には、開口部22aが形成されている。
【0015】
コネクタ接続部23は、コネクタ(後述する
図3のコネクタ7を参照)と接続される部分である。コネクタ接続部23にコネクタが接続されると、センサ2は、制御装置等の他の装置と通信できるようになる。コネクタ接続部23は、本体部21から第2方向D2に突出し、略円筒形状を有する。第2方向D2は、第1方向D1に直交する。コネクタ接続部23の先端には、コネクタ7が挿入される開口部23aが形成されている。キャップ3は、コネクタ接続部23の開口部23aに着脱可能となっている。なお、キャップ3の詳細については、後述する。
【0016】
図2は、センサ2および燃料タンク4のリークテスト中の状態を示す図である。
図2に示されるように、センサ2は、燃料タンク4に取り付けられる。具体的には、センサ2のタンク接続部22が燃料タンク4に取り付けられる。センサ2および燃料タンク4のリークテストは、キャップ3がセンサ2に装着された状態で行われる。リークテストでは、水槽5に水6が注入され、水槽5内の水6にセンサ2および燃料タンク4が浸漬される。この状態で、センサ2および燃料タンク4の内部が外部に対して密閉状態になっているか否かが検査される。この際、キャップ3がセンサ2のコネクタ接続部23に装着されていることによって、センサ2の内部への水6の侵入が抑制される。
【0017】
図3は、センサ2および燃料タンク4のリークテスト後の状態を示す図である。リークテスト後に、センサ2および燃料タンク4は、水槽5から取り出される。そして、センサ2からキャップ3が取り外され、センサ2のコネクタ接続部23にコネクタ7が取り付けられる。コネクタ7はケーブル8と接続されている。ゆえに、センサ2は、ケーブル8を介して、制御装置等の他の装置と通信できるようになる。
【0018】
本実施形態では、キャップ3に対して工夫を施すことによって、センサ2とキャップ3とのシール性を向上させることが実現される。以下、
図4~
図7を参照して、このような工夫の詳細について説明する。
【0019】
図4は、キャップ3を表側(具体的には、後述する延在部31aの表面F1側)から見た斜視図である。
図5は、キャップ3を裏側(具体的には、後述する延在部31aの裏面F2側)から見た斜視図である。
図4および
図5に示されるように、キャップ3は、基部31と、突出部32と、当接部33と、中空部34とを備える。キャップ3は、一体成型により形成される。つまり、基部31、突出部32および当接部33は、1つの部材により形成される。キャップ3は、例えば、ゴム材料によって形成されている。
【0020】
基部31は、平板形状を有する。後述するように、基部31は、センサ2の開口部23aを閉塞する。突出部32は、基部31から突出する。後述するように、突出部32は、キャップ3がセンサ2に装着された状態でセンサ2の開口部23aに挿入される。つまり、キャップ3がセンサ2に装着された状態において、突出部32の突出方向は、第2方向D2と一致する。
【0021】
基部31は、突出部32の外周部から突出部32の突出方向に直交する径方向に延在する延在部31aを有する。キャップ3がセンサ2に装着された状態において、突出部32の径方向は、第2方向D2に直交する方向(例えば、第1方向D1)となる。延在部31aは、突出部32の突出方向に直交する平面上に延在する平板形状を有する。延在部31aは、平板形状を有する平板部の一例に相当する。
【0022】
延在部31aの表面F1から突出部32が突出している。延在部31aのうち表面F1に対して逆側の面が裏面F2である。表面F1および裏面F2は、突出部32の突出方向に直交する平面上に延在する。延在部31aは、互いに対向して配置される一対の側面F3、F4を有する。側面F3、F4は、表面F1の縁部と裏面F2の縁部とを接続し、表面F1および裏面F2に直交する。側面F3と側面F4とは、互いに平行である。側面F3、F4は、例えば、第1方向D1に延在している。
【0023】
延在部31aのうち突出部32から突出部32の径方向の一側(
図4および
図5の例では、第1方向D1の上側)に延在する部分の延在長さと、延在部31aのうち突出部32から突出部32の径方向の他側(
図4および
図5の例では、第1方向D1の下側)に延在する部分の延在長さとは、互いに異なる。
図4および
図5の例では、延在部31aのうち突出部32から上側に延在する部分の延在長さは、延在部31aのうち突出部32から下側に延在する部分の延在長さよりも長い。
【0024】
当接部33は、突出部32の外周部に設けられる。後述するように、当接部33は、キャップ3がセンサ2に装着された状態でセンサ2の開口部23aの内周面(後述する
図6の内周面F5を参照)に当接する。当接部33は、突出部32の外周部から外側に張り出している。当接部33は、突出部32の外周部を一周する環状の凸部である。
図4および
図5の例では、2つの当接部33が、突出部32の突出方向に間隔を空けて設けられている。ただし、当接部33の数は、この例に限定されず、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。なお、当接部33の形状は、特に限定されず、例えば、図面に示される例に限定されない。例えば、当接部33は表面に平面状の部分を有していてもよく、当接部33の表面全体が湾曲面になっていてもよい。
【0025】
なお、本明細書では、環状は、円形状に限定されず、円形状、楕円形状もしくは多角形状、または、これらの組み合わせ等の種々の形状を含み得る。
【0026】
中空部34は、基部31のうち突出部32が突出する側を一側とした場合、基部31の他側から突出部32の内部に亘って中空に形成されている。具体的には、中空部34は、延在部31aの裏面F2から突出部32の内部に亘って形成されている。なお、中空部34の形状によって、突出部32の断面形状が決まる。突出部32の断面形状の詳細については、後述する。
【0027】
図6は、センサ2に装着されたキャップ3を示す部分断面図である。上述したように、キャップ3は、センサ2のコネクタ接続部23の開口部23aに装着される。
図6に示されるように、キャップ3がセンサ2に装着された状態では、センサ2の開口部23aに、キャップ3の突出部32が挿入される。
【0028】
そして、当接部33が、開口部23aの内周面F5に当接する。具体的には、当接部33は、弾性変形した状態で、開口部23aの内周面F5に当接する。詳細には、当接部33のうち内周面F5に当接する部分(具体的には、径方向外側の部分)が押し潰されるように弾性変形する。このように、当接部33が開口部23aの内周面F5に当接することによって、センサ2の内部への水等の液体の侵入が抑制される。つまり、センサ2のシール性が確保される。
【0029】
基部31の延在部31aは、センサ2において開口部23aの縁部を形成する壁部23bと当接する。具体的には、壁部23bは、コネクタ接続部23の先端側の環状の部分である。このような壁部23bに、延在部31aの表面F1が当接する。壁部23bに延在部31aが当接することによっても、センサ2とキャップ3とのシール性は向上される。ただし、センサ2のシール性は主として当接部33によって実現される。
【0030】
本実施形態では、上述したように、中空部34が、延在部31aの裏面F2から突出部32の内部に亘って形成されている。リークテスト中には、上述したように、キャップ3がセンサ2に装着された状態で、水槽5内の水6にセンサ2が浸漬される。ゆえに、中空部34には、延在部31aの裏面F2側から水6が侵入する。それにより、突出部32の内周部に水圧がかかる。ここで、センサ2の開口部23aの内側は、大気圧となっている。つまり、突出部32の外周部には大気圧がかかっている。ゆえに、突出部32の内周部にかかる圧力と外周部にかかる圧力との差に起因して、突出部32に対して突出部32の径方向外側に力が作用する。よって、当接部33が開口部23aの内周面F5に押し付けられる。それにより、センサ2とキャップ3とのシール性を向上させることができる。
【0031】
ここで、
図6の例では、中空部34は、突出部32の突出方向である第2方向D2において、延在部31aの裏面F2から少なくとも当接部33と対応する位置まで形成されている。具体的には、中空部34の先端部(
図6中の左端部)は、第2方向D2において、当接部33よりも
図6中の左側に位置する。つまり、当接部33に対して突出部32の径方向内側には、中空部34が位置している。それにより、突出部32にかかる水圧を利用して、当接部33を開口部23aの内周面F5に押し付けることがより効果的に実現される。ゆえに、センサ2とキャップ3とのシール性をより効果的に向上させることができる。
【0032】
ただし、中空部34は、第2方向D2において、当接部33と対応する位置まで形成されていなくてもよい。例えば、中空部34の先端部が、第2方向D2において、当接部33よりも
図6中の右側に位置していてもよい。
【0033】
本実施形態では、延在部31aの剛性は、当接部33の剛性よりも高い。具体的には、キャップ3の形状または寸法に応じて、キャップ3の各部分の剛性が決まる。例えば、延在部31aの厚さを厚くすることによって、延在部31aの剛性を高めることができる。このように、キャップ3の形状または寸法を適宜設定することによって、延在部31aの剛性を当接部33の剛性よりも高くすることができる。延在部31aの剛性が当接部33の剛性よりも高いことによって、キャップ3をセンサ2に装着する際に、当接部33を弾性変形させつつ、壁部23bに当接した延在部31aが変形することを抑制できる。
【0034】
ここで、開口部23aの内周面F5のうち先端側の部分(具体的には、
図6中で当接部33が当接している部分)には、鏡面加工等が施されており、当該部分の面粗度は低くなっている。それにより、開口部23aの内周面F5と当接部33との間がシールされ、センサ2の内部への水等の液体の侵入が適切に抑制される。仮に、延在部31aが変形した場合、突出部32がセンサ2の内部にさらに侵入し、開口部23aの内周面F5のうち鏡面加工等が施されていない部分に当接部33が当接するおそれがある。この場合、センサ2とキャップ3とのシール性が低下する。
【0035】
一方、本実施形態では、延在部31aの剛性が当接部33の剛性よりも高いことによって、延在部31aの変形が抑制されるので、開口部23aの内周面F5のうち鏡面加工等が施されている部分に当接部33を当接させることができる。ゆえに、センサ2とキャップ3とのシール性を向上させることができる。
【0036】
なお、上記では、センサ2とキャップ3とのシール性を向上させる構成として、延在部31aの裏面F2から突出部32の内部に亘って中空部34を形成する構成、および、延在部31aの剛性を当接部33の剛性よりも高くする構成について説明した。ただし、これらの2つの構成のうち、少なくとも一方の構成を備えることでセンサ2とキャップ3とのシール性を向上させることができる。
【0037】
ここで、本実施形態では、センサ2とキャップ3とのシール性をより効果的に向上させるために、突出部32の断面形状にも工夫が施されている。以下、
図7を参照して、このような工夫について説明する。
【0038】
図7は、キャップ3の突出部32を示す断面図である。具体的には、
図7は、突出部32の突出方向(つまり、第2方向D2)に直交する断面である
図6のX-X断面を示す。以下、突出部32の突出方向に直交する断面における突出部32の断面形状を、単に突出部32の断面形状とも呼ぶ。なお、後述するように、突出部32の断面形状は、
図7の例に限定されない。
【0039】
図7の例では、突出部32の断面形状は、短辺部P1と長辺部P2とを有する環状である。短辺部P1および長辺部P2は辺部に相当する。具体的には、
図7の例では、突出部32の断面形状は、互いに対向する2つの短辺部P1と、互いに対向する2つの長辺部P2とを有する略長方形状である。ここで、長辺部P2の肉厚は、短辺部P1の肉厚よりも厚くなっている。具体的には、短辺部P1の肉厚は、位置によらず一定である。一方、長辺部P2の肉厚は、長辺部P2の端部から中央部に進むにつれて厚くなっている。
【0040】
長辺部P2は、短辺部P1と比べて変形しやすい。ゆえに、長辺部P2の肉厚を短辺部P1の肉厚よりも厚くすることによって、突出部32の内周部に水圧がかかり、突出部32に等分布荷重がかかった際に、内部応力が位置によってばらつくことを抑制できる。つまり、内部応力の均一性を向上させることができる。それにより、当接部33を全体的に開口部23aの内周面F5に押し付けることができるので、センサ2とキャップ3とのシール性をより効果的に向上させることができる。
【0041】
また、
図7の例では、隣り合う辺部の間(つまり、隣り合う短辺部P1と長辺部P2との間)には、角部P3が形成される。つまり、突出部32の断面形状は、角部P3と辺部とを有する環状である。
図7の例では、角部P3は、湾曲している。ただし、角部P3は、屈曲していてもよい。ここで、長辺部P2の肉厚は、角部P3の肉厚よりも厚くなっている。
【0042】
辺部は、角部P3と比べて変形しやすい。ゆえに、辺部の肉厚を角部P3の肉厚よりも厚くすることによって、突出部32の内周部に水圧がかかり、突出部32に等分布荷重がかかった際に、内部応力が位置によってばらつくことを抑制できる。つまり、内部応力の均一性を向上させることができる。それにより、当接部33を全体的に開口部23aの内周面F5に押し付けることができるので、センサ2とキャップ3とのシール性をより効果的に向上させることができる。
【0043】
なお、
図7の例では、長辺部P2の肉厚が、角部P3の肉厚よりも厚くなっている。ただし、短辺部P1が角部P3の肉厚よりも厚くなっていてもよく、この場合も、上記と同様の効果が奏される。また、長辺部P2および短辺部P1の両方が角部P3の肉厚よりも厚くなっていてもよい。
【0044】
<キャップの効果>
本発明の実施形態に係るキャップ3の効果について説明する。
【0045】
キャップ3は、開口部23aを閉塞する基部31と、基部31から突出する突出部32と、突出部32の外周部に設けられ、キャップ3がセンサ2に装着された状態で開口部23aの内周面F5に当接する当接部33とを備え、基部31は、突出部32の外周部から突出部32の突出方向に直交する径方向(上記の例では、第1方向D1)に延在する延在部31aを有し、延在部31aは、キャップ3がセンサ2に装着された状態でセンサ2において開口部23aの縁部を形成する壁部23bと当接し、延在部31aの剛性は、当接部33の剛性よりも高い。それにより、延在部31aの剛性が当接部33の剛性よりも高いことによって、延在部31aの変形が抑制されるので、開口部23aの内周面F5のうち鏡面加工等が施されている部分に当接部33を当接させることができる。ゆえに、センサ2とキャップ3とのシール性を向上させることができる。
【0046】
また、仮に延在部31aの剛性が過度に低い場合、搬送ロボットのアーム等によって延在部31aを把持しづらくなる。一方、キャップ3では、延在部31aの剛性がある程度高いので、搬送ロボットのアーム等によって延在部31aを把持しやすくなり、キャップ3を搬送しやすくなる。さらに、延在部31aが壁部23bと当接することによって、延在部31aと壁部23bとの間を介したセンサ2の内部への水等の液体の侵入が抑制される。ゆえに、センサ2とキャップ3とのシール性をより効果的に向上させることができる。また、延在部31aを壁部23bに当接させることによってキャップ3をセンサ2に対して位置決めでき、キャップ3をセンサ2に装着しやすくなる。
【0047】
好ましくは、キャップ3では、平板形状を有する平板部(上記の例では、延在部31a)を備える。それにより、平板部を吸引装置によって吸引することによって、キャップ3を搬送できる。また、キャップ3を撮像した撮像データを利用してキャップ3を画像認識する場合に、撮像データの中でシンプルな形状の平板部が映る部分を利用することによって、キャップ3を画像認識しやすくなる。特に、キャップ3を画像認識しやすくする観点では、平板部は、直交する辺の長さが異なる長方形状等であることが好ましい。
【0048】
好ましくは、キャップ3では、互いに対向して配置される一対の側面F3、F4を有する。それにより、搬送ロボットのアーム等により側面F3、F4を把持することによって、キャップ3を搬送できる。特に、搬送ロボットのアーム等によって側面F3、F4を把持しやすくする観点では、側面F3、F4は互いに平行であることが好ましい。ただし、側面F3、F4は互いに平行でなくてもよい。
【0049】
好ましくは、キャップ3では、延在部31aのうち突出部32から径方向の一側(上記の例では、第1方向D1の一側)に延在する部分の延在長さと、延在部31aのうち突出部32から径方向の他側(上記の例では、第1方向D1の他側)に延在する部分の延在長さとは、互いに異なる。それにより、キャップ3と周囲の部材との干渉を抑制できる。例えば、
図4および
図5の例では、延在部31aのうち突出部32から上側に延在する部分の延在長さが、延在部31aのうち突出部32から下側に延在する部分の延在長さよりも長いので、キャップ3の下方の他の部材(例えば、燃料タンク4等)とキャップ3との干渉を抑制できる。
【0050】
好ましくは、キャップ3では、突出部32は、基部31の一側(上記の例では、表面F1側)から突出し、キャップ3は、基部31の他側(上記の例では、裏面F2側)から突出部32の内部に亘って中空に形成されている中空部34を備える。それにより、中空部34に液体(上記の例では、水6)が侵入することによって、突出部32に対して突出部32の径方向外側に力を作用させ、当接部33を開口部23aの内周面F5に押し付けることができる。それにより、センサ2とキャップ3とのシール性を向上させることができる。
【0051】
好ましくは、キャップ3では、中空部34は、突出部32の突出方向において、基部31の他側(上記の例では、裏面F2側)から少なくとも当接部33と対応する位置まで形成されている。それにより、当接部33を開口部23aの内周面F5に押し付けることがより効果的に実現される。ゆえに、センサ2とキャップ3とのシール性をより効果的に向上させることができる。
【0052】
好ましくは、キャップ3では、突出部32の突出方向に直交する断面において、突出部32の断面形状は、短辺部P1と長辺部P2とを有する環状であり、長辺部P2の肉厚は、短辺部P1の肉厚よりも厚い。それにより、突出部32の内部応力の均一性を向上させることができる。ゆえに、当接部33を全体的に開口部23aの内周面F5に押し付けることができるので、センサ2とキャップ3とのシール性をより効果的に向上させることができる。
【0053】
好ましくは、キャップ3では、突出部32の突出方向に直交する断面において、突出部32は、角部P3と辺部とを有する環状であり、辺部の肉厚は、角部P3の肉厚よりも厚い。それにより、突出部32の内部応力の均一性を向上させることができる。ゆえに、当接部33を全体的に開口部23aの内周面F5に押し付けることができるので、センサ2とキャップ3とのシール性をより効果的に向上させることができる。
【0054】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0055】
上記では、センサ2が燃料タンク4用の圧力センサである例を説明した。ただし、センサ2の用途および機能は、上記の例に限定されない。例えば、センサ2は、燃料タンク4以外の部品用の圧力センサであってもよい。また、例えば、センサ2は、圧力センサ以外のセンサ(つまり、圧力以外の物理量を検出するセンサ)であってもよい。
【0056】
また、上記では、キャップ3がセンサ2のうちコネクタ7と接続される部分(つまり、コネクタ接続部23)の開口部23aに装着される例を説明した。ただし、キャップ3が取り付けられる開口部の用途は、上記の例に限定されない。例えば、コネクタ7以外の部品が挿入される開口部にキャップ3が装着されてもよいし、流体(例えば、空気、水等)が流入または流出する開口部にキャップ3が装着されてもよい。
【0057】
また、上記では、
図7を参照して、突出部32の突出方向に直交する断面における突出部32の断面形状の一例を説明した。ただし、突出部32の突出方向に直交する断面における突出部32の断面形状は、
図7の例に限定されない。突出部32の突出方向に直交する断面における突出部32の断面形状は、環状であればよく、例えば、円形状、楕円形状もしくは多角形状、または、これらの組み合わせ等の種々の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 キャップ付きセンサ
2 センサ
3 キャップ
23a 開口部
23b 壁部
31 基部
31a 延在部
32 突出部
33 当接部
34 中空部