(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015090
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】表示端末、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20230124BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
G09F9/00 350A
G09G5/00 510H
G09G5/00 555D
G09G5/00 510A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168337
(22)【出願日】2022-10-20
(62)【分割の表示】P 2021130084の分割
【原出願日】2016-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁太
(72)【発明者】
【氏名】松林 佑介
(72)【発明者】
【氏名】友野 瑞基
(57)【要約】
【課題】支持装置により表示部の一部の領域が隠された状態で支持されるときに適切に表示を行うことが可能な表示端末を提供する。
【解決手段】表示端末2は、制御部27と、ディスプレイ20とを備える。制御部27は、オーディオ機器1に装着された状態において、操作部4によりディスプレイ20が隠される領域である重なり領域Aoを検知する。そして、制御部27は、重なり領域Aoに基づき、円弧画像Icを表示させたり、重なり領域Aoと重なる画像の表示位置を変更したりする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示端末を着脱自在に支持する支持部と、
操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた操作に応じたコマンド信号を、無線通信により前記表示端末に送信する通信部と、を備え、
前記支持部は、複数の支持手段を備え、
前記支持手段のうちの、少なくとも2つの支持手段間の幅は調整可能であり、
前記操作部は前記複数の支持手段のうち少なくとも1つの支持手段に設けられていることを特徴とする表示端末支持具
【請求項2】
前記支持部に前記表示端末が装着された場合には、前記コマンド信号を前記表示端末に前記通信部により送信することで、前記操作部が受け付けた操作を前記表示端末に対して有効とする制御部を備えることを特徴とする請求項1記載の表示端末支持具。
【請求項3】
前記制御部は、前記支持部に前記表示端末が装着されていない場合には、前記操作部が受け付けた操作を前記通信部との無線通信が可能な情報出力装置に対してのみに有効とすることを特徴とする請求項1又は2記載の表示端末支持具。
【請求項4】
車両内部に取り付け可能な取付部を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の表示端末支持具。
【請求項5】
前記支持部が前記表示端末を支持する場合に、前記表示端末の正面視において、前記操作部の少なくとも一部は、前記表示端末の表示部と重なることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の表示端末支持具。
【請求項6】
表示端末を着脱自在に支持する支持部と、
操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた操作に応じたコマンド信号を、無線通信により前記表示端末に送信する通信部と、を備える表示端末支持具が実行する制御方法であって、
前記支持部に前記表示端末が装着された場合には、前記コマンド信号を前記表示端末に前記通信部により送信することで、前記操作部が受け付けた操作を前記表示端末に対して有効とする制御工程を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
表示端末を着脱自在に支持する支持部と、
操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた操作に応じたコマンド信号を、無線通信により前記表示端末に送信する通信部と、を備える表示端末支持具のコンピュータが実行するプログラムであって、
前記支持部に前記表示端末が装着された場合には、前記コマンド信号を前記表示端末に前記通信部により送信することで、前記操作部が受け付けた操作を前記表示端末に対して有効とする制御部
として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持装置に着脱可能に支持される表示端末の表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スマートフォンなどの表示端末と車載器とを連携させて所定の情報を出力するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、表示端末の差し込み口を有する車載器であって、表示端末が差し込み口に差し込まれることで、表示端末のアプリケーションが起動する車両表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車室内において表示端末を保持するための支持装置が知られている。このような支持装置に操作部などを設けて高機能化させた場合、設けた操作部などにより表示端末の表示部の一部が隠れてしまう場合がある。この場合、表示端末は、支持装置により隠れた部分が生じることでユーザが違和感を持たないように適切に表示を制御する必要がある。特許文献1には、このような課題については、何ら開示されていない。
【0005】
本発明は、支持装置により表示部の一部の領域が隠された状態で支持されるときに適切に表示を行うことが可能な表示端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明では、表示端末支持具であって、表示端末を着脱自在に支持する支持部と、操作を受け付ける操作部と、前記操作部が受け付けた操作に応じたコマンド信号を、無線通信により前記表示端末に送信する通信部と、を備え、前記支持部は、複数の支持手段を備え、前記支持手段のうちの、少なくとも2つの支持手段間の幅は調整可能であり、前記操作部は前記複数の支持手段のうち少なくとも1つの支持手段に設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項に記載の発明では、表示端末支持具であって、表示端末を着脱自在に支持する支持部と、操作を受け付ける操作部と、前記操作部が受け付けた操作に応じたコマンド信号を、無線通信により前記表示端末に送信する通信部と、を備え、前記支持部は、複数の支持手段を備え、前記支持手段のうちの、少なくとも2つの支持手段間の幅は調整可能であり、前記操作部は前記複数の支持手段のうち少なくとも1つの支持手段に設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明では、表示端末を着脱自在に支持する支持部と、操作を受け付ける操作部と、前記操作部が受け付けた操作に応じたコマンド信号を、無線通信により前記表示端末に送信する通信部と、を備える表示端末支持具のコンピュータが実行するプログラムであって、前記支持部に前記表示端末が装着された場合には、前記コマンド信号を前記表示端末に前記通信部により送信することで、前記操作部が受け付けた操作を前記表示端末に対して有効とする制御部として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】筺体部内における支持部に関する機構を明示した透過図である。
【
図6】オーディオ機器の概略的なブロック構成を示す。
【
図8】ナビアプリが生成する経路案内画面を表示した表示端末の装着状態での正面図を示す。
【
図9】ナビアプリが生成する経路案内画面を表示した表示端末の非装着状態及び装着状態での正面図を示す。
【
図10】長手方向におけるディスプレイの長さが同一であって額縁の長さが異なる表示端末をそれぞれオーディオ機器に装着した際の経路案内画面の表示例を示す。
【
図11】オーディオ機器が出力する音楽データに関するミュージック画面が操作対象である場合のディスプレイの表示例を示す。
【
図12】オーディオ機器から供給される動画コンテンツの再生時でのディスプレイの表示例を示す。
【
図14】表示端末と連携した出力制御に関するオーディオ機器の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】オーディオ機器と連携した出力制御に関する表示端末の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図16】第2実施例に係る情報出力システムの概略構成を示す。
【
図18】変形例に係る円弧画像の表示態様の具体例を示した操作子付近の拡大図である。
【
図19】四角形状を有する操作子オーディオ機器に表示端末を装着した場合の操作子付近の拡大図である。
【
図20】表示端末が装着されたオーディオ機器の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、表示部を有する表示端末であって、前記表示端末を着脱可能に支持する支持装置により前記表示端末が支持されるとき、前記支持装置により前記表示部が隠される領域である第1領域を検知する検知部と、前記検知部により検知された前記第1領域に関する情報に基づき、前記表示部に表示された情報の表示態様を変更させる制御部と、を有する。
【0011】
上記表示端末は、表示部と、検知部と、制御部とを有する。検知部は、表示端末を着脱可能に支持する支持装置により表示端末が支持されるとき、支持装置により表示部が隠される領域である第1領域を検知する。制御部は、検知部により検知された第1領域に関する情報に基づき、表示部に表示された情報の表示態様を変更させる。このように、表示端末は、支持装置により表示部が隠される第1領域に基づき表示部に表示された情報の表示態様を変更することで、第1領域に起因したユーザの違和感の発生等を好適に抑制することができる。
【0012】
上記表示端末の一態様では、表示端末は、前記支持装置の識別情報を取得する取得部と、前記第1領域に関する情報と前記支持装置の識別情報とを対応付けた対応情報を記憶する記憶部と、を備え、前記検知部は、前記取得部により取得された識別情報と前記対応情報とに基づき、前記第1領域を検知する。この態様により、表示端末は、種々の支持装置に装着される場合であっても、支持装置により表示部が隠される第1領域を的確に特定することができる。
【0013】
上記表示端末の他の一態様では、前記制御部は、前記第1領域に表示されていた情報を、前記第1領域以外の領域に移動させる。これにより、表示端末は、表示の一部が隠れることによりユーザに違和感を生じさせるのを好適に抑制することができる。
【0014】
上記表示端末の他の一態様では、前記支持装置は、前記表示端末を操作可能な操作部を有し、前記制御部は、前記支持装置により前記表示端末が支持されることにより、前記操作部が前記表示部の一部を隠す場合に、前記操作部の位置又は形状に関連のある表示物を前記表示部に表示させる。この態様により、表示端末は、操作部を好適に強調して操作性及びデザイン性を好適に向上させることができる。
【0015】
上記表示端末の他の一態様では、前記制御部は、前記第1領域の外周の全部又は一部に沿った表示となるよう、前記表示物の大きさ、形状、又は位置を変更する。この態様により、表示端末は、操作部に対して縁取り効果を付加して操作性及びデザイン性を好適に向上させることができる。好適には、前記表示物の形状は、前記操作部の形状の相似形であるとよい。
【0016】
本発明の他の好適な実施形態によれば、表示部を有する表示端末が実行する制御方法であって、前記表示端末を着脱可能に支持する支持装置により前記表示端末が支持されるとき、前記支持装置により前記表示部が隠される領域である第1領域を検知する検知工程と、前記検知工程により検知された前記第1領域に関する情報に基づき、前記表示部に表示された情報の表示態様を変更させる制御工程と、を有する。表示端末は、この制御方法を実行することで、支持装置により表示部が隠される第1領域に基づき表示部に表示された情報の表示態様を変更し、第1領域に起因したユーザの違和感の発生等を好適に抑制することができる。
【0017】
本発明の他の好適な実施形態によれば、表示部を有する表示端末のコンピュータが実行するプログラムであって、表示端末を着脱可能に支持する支持装置により前記表示端末が支持されるとき、前記支持装置により前記表示部が隠される領域である第1領域を検知する検知部と、前記検知部により検知された前記第1領域に関する情報に基づき、前記表示部に表示された情報の表示態様を変更させる制御部として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、支持装置により表示部が隠される第1領域に基づき表示部に表示された情報の表示態様を変更し、第1領域に起因したユーザの違和感の発生等を好適に抑制することができる。上記プログラムは、好適には、記憶媒体に記憶される。
【実施例0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な第1実施例及び第2実施例について説明する。
【0019】
<第1実施例>
[情報出力システムの構成]
図1は、第1実施例に係る情報出力システムを示す。
図1に示すように、情報出力システムは、車両に搭載されるオーディオ機器1と、オーディオ機器1により保持される表示端末2とを有する。以後では、オーディオ機器1の設置面と垂直な方向を「Z軸方向」、オーディオ機器1と表示端末2とが重なる方向を「Y軸方向」、Z軸方向及びY軸方向に垂直な方向を「X軸方向」とし、各軸の正方向を
図1に示す方向に定める。
【0020】
オーディオ機器1は、略直方体の筺体部3を有し、筺体部3に設けられた支持部5A~5Cにより表示端末2を保持自在となっている。
図1の例では、オーディオ機器1は、装着面6と表示端末2の背面とを重なり合わせて支持部5A~5Cに表示端末2を嵌め込むことで、表示端末2を保持している。支持部5A、5Bは、表示端末2の短手方向(即ちX軸方向)において表示端末2を挟持する。支持部5Cは、表示端末2の重量を支えるように表示端末2の下端を把持する。また、支持部5Cには、可動のノブを有する操作子4が設けられている。操作子4は、例えばノブの直下にBluetooth(登録商標)リモコンが内装されたロータリーコマンダーであり、回転操作、押し込み操作、引っ張り操作、上下左右へノブをスライドさせる操作などの各種操作を受け付ける。後述するように、表示端末2がオーディオ機器1に装着された状態において、ユーザは、操作子4により、オーディオ機器1に対する操作と表示端末2に対する操作との両方を実行することが可能である。また、オーディオ機器1は、装着状態の表示端末2と有線又は無線により通信が可能であり、装着状態の表示端末2に対して操作子4の操作に基づく信号を送信したり、表示端末2の要求に基づき動画や画像などを表示するための情報を表示端末2に送信したりする。オーディオ機器1は、本発明における「支持装置」の一例であり、操作子4は、本発明における「操作部」の一例である。
【0021】
表示端末2は、スマートフォンやタブレット端末であり、ディスプレイ20を備える。表示端末2は、ユーザが指定した目的地への経路案内を実行するためのアプリケーション(「ナビアプリ」とも呼ぶ。)がインストールされており、経路案内等に関する情報をディスプレイ20に表示する。また、表示端末2は、オーディオ機器1に装着された状態でオーディオ機器1と通信可能であり、オーディオ機器1から供給される情報に基づき動画等を表示する。以後では、表示端末2がオーディオ機器1に装着された状態を「装着状態」、表示端末2がオーディオ機器1に装着されていない状態を「非装着状態」とも呼ぶ。
【0022】
次に、表示端末2が装着されていない状態のオーディオ機器1について
図2~
図4を参照して説明する。
【0023】
図2は、オーディオ機器1の正面図を示す。
図2に示すように、オーディオ機器1の装着面6には、時刻、曲名、ラジオの受信周波数、イコライザ等に関する簡易な文字情報等を表示可能な簡易表示部7が設けられている。なお、
図2に示す構成に加え、オーディオ機器1の上部又は側部等には、CD、DVD、ブルーレイディスクの挿入口が設けられてもよい。上記の挿入口は、筺体部3とは別体に設けられてもよい。また、後述するように、支持部5A、5Bは、筺体部3に収納された収納状態と、筺体部3の装着面6に対してY軸負方向側に突出した突出状態とを切替自在である。ここで、例えば、支持部5Aは、支持部5A、5Bを収納状態から突出状態へ切り替えるためのボタンとして機能し、支持部5Bは、オーディオ機器1又は/及び表示端末2による音声認識を開始するためのボタンとして機能してもよい。その他、オーディオ機器1は、一般的なオーディオ機器と同様に、USBその他有線の外部端子挿入部、SDカード等の外部メモリの挿入部などが筺体部3の側面や背面等に設けられてもよい。
【0024】
図3は、オーディオ機器1の斜視図を示す。
図3に示すように、支持部5Cには、表示端末2の端部を差し込むための溝が形成されており、装着面6から支持部5Cを隔てて操作子4が設けられている。なお、支持部5Cが形成する溝には、表示端末2と通信を行うためのドック等が設けられてもよい。この場合、例えば、ドックにタブレットが接続されたことをオーディオ機器1が検出すると、オーディオ機器1から表示端末2に所定の信号が送信されてペアリングが実行され、オーディオ機器1と表示端末2との間の電源供給やデータ通信が可能となる。また、支持部5A、5Bは、筺体部3から延出したアーム8A、8Bの先端に形成されている。そして、
図3の例では、支持部5A、5Bは、装着面6からY軸負方向側に突出しており、表示端末2を挟み込むことが可能な突出状態となっている。
【0025】
図4(A)は、支持部5A、5Bが収納状態のときのオーディオ機器1のXY平面図を概略的に示し、
図4(B)は、支持部5A、5Bが突出状態のときのオーディオ機器1のXY平面図を概略的に示す。なお、
図4(A)、(B)では、説明の便宜上、操作子4や支持部5Cなどを図示していない。
図4(A)の例では、支持部5A、5Bは、筺体部3の上部の隅に形成された溝に収容されており、その結果、Y軸負方向を向いた支持部5A、5Bの面と、装着面6とが面一(同一平面)となっている。
【0026】
一方、
図4(B)の例では、支持部5A、5Bは、
図4(A)に示す収納状態において、支持部5Aの押下等の所定の操作が行われたことに起因してY軸負方向に移動し、装着面6に対して突出している。この場合、支持部5A、5Bは、装着面6に対して表示端末2の背面を摺動させるようにZ軸正方向から挿入された表示端末2を、挟持することが可能となっている。
【0027】
図5(A)~(C)は、筺体部3内における支持部5A、5Bに関する機構を明示した透過図である。ここで、
図5(A)は、
図4(A)に示す収納状態に相当し、
図5(B)は、
図4(B)に示す突出状態に相当し、
図5(C)は、
図5(B)の状態から支持部5A、5B間の幅を広げた状態を示す。
【0028】
図5(A)に示すように、一端に支持部5Aが形成されたアーム8Aの他端は、レール9Aに嵌め込まれている。同様に、一端に支持部5Bが形成されたアーム8Bの他端は、レール9Bに嵌め込まれている。レール9A、9Bは、Y軸方向に移動自在な駆動板10に対して固定されている。そして、
図5(B)に示すように、支持部5A、5Bが突出状態となった場合、アーム8A、8Bは、それぞれレール9A、9Bに対してX軸方向に摺動自在となる。
図5(C)では、支持部5A、5Bが互いに離れるようにアーム8A、8Bをレール9A、9Bに対して摺動させることで、支持部5A、5B間の幅が長くなるように調整されている。同様に、支持部5A、5Bが互いに近づくようにアーム8A、8Bをレール9A、9Bに対して摺動させることで、支持部5A、5B間の幅が短くなるように調整することが可能である。
【0029】
このように、支持部5A、5Bは、表示端末2を挟持しないときには好適に筺体部3に収納され、かつ、表示端末2を挟持する際には表示端末2のX軸方向の幅に応じて支持部5A、5B間の距離を調整自在となっている。
【0030】
[オーディオ機器及び表示端末のブロック構成]
図6は、オーディオ機器1の概略的なブロック構成を示す。
図6に示すように、オーディオ機器1は、出力部11と、入力部12と、記憶部13と、通信部14と、インターフェース15と、制御部17と、を備える。オーディオ機器1の各要素は、図示しないバスを介して相互に接続され、各要素間で必要な情報が伝送可能なように構成されている。
【0031】
出力部11は、簡易表示部7や図示しないスピーカなどを備え、制御部17の制御に基づく出力を行う。入力部12は、操作子4を含み、オーディオ機器1や表示端末2に対して利用者が行う必要な命令や情報を入力するための操作を受け付ける。なお、入力部12は、操作子4に加え、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、音声入力装置等を有してもよい。
【0032】
記憶部13は、オーディオ機器1の動作を制御するためのプログラムを保存したり、オーディオ機器1の動作に必要な情報を保持したりする。本実施例では、記憶部13は、オーディオ機器1が再生するための音楽データ等に加え、表示端末2により出力可能な画像や動画などのコンテンツに関する情報を記憶している。また、記憶部13は、後述する各種の処理を実行可能な表示端末2の機器認証を行うためのテーブル(「対応機器テーブルTc」とも呼ぶ。)を記憶する。対応機器テーブルTcには、オーディオ機器1と後述の連携処理を実行可能な表示端末2の種別を示す端末IDのリストなどが記録されている。
【0033】
通信部14は、制御部17の制御に基づき、表示端末2等と有線または無線による通信を行う。インターフェース15は、CD,DVDなどの挿込口、SDカードなどの記憶媒体などの挿込口、ケーブルの挿込口などに相当するインターフェースである。
【0034】
制御部17は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、オーディオ機器1内の各構成要素に対して種々の制御を行う。
【0035】
例えば、制御部17は、表示端末2が装着された場合に、表示端末2から表示端末2の機器ID等を通信部14により受信することで、記憶部13が記憶する対応テーブルTcを参照し、表示端末2がオーディオ機器1に対応した機器であるか否かの認証を行う。また、制御部17は、表示端末2の装着状態において、操作子7による操作に基づき生成された信号(「コマンド信号Sc」とも呼ぶ。)を通信部14により表示端末2へ送信する。コマンド信号Scは、操作子7が生成して制御部17に供給する信号そのものであってもよく、表示端末2で認識できるように制御部17が操作子7の生成信号を所定の形式に変換した信号であってもよい。
【0036】
また、制御部17は、表示端末2が表示するためのコンテンツに関する要求信号を通信部14により表示端末2から受信した場合に、当該要求信号において指定されたコンテンツに関する情報(「コンテンツ情報」とも呼ぶ。)を通信部14により表示端末2へ送信する。コンテンツ情報は、画像データや動画データ又は、画像や動画などのコンテンツを表示(再生)するための情報であってもよく、表示(再生)可能なコンテンツの名称やコンテンツのリストを表示するための情報であってもよい。
【0037】
なお、オーディオ機器1のブロック構成は、
図1に限定されない。例えば、オーディオ機器1は、GPS受信機等を有し、車両の走行軌跡、車速等を記憶するものであってもよい。この場合、オーディオ機器1は、表示端末2に対し、記憶した走行軌跡、車速等の情報を、経路案内に必要な情報として送信してもよい。
【0038】
図7は、表示端末2の概略的なブロック構成を示す。
図7に示すように、表示端末2は、出力部21と、入力部22と、記憶部23と、通信部24と、GPS受信部25と、制御部27と、を備える。表示端末2の各要素は、図示しないバスを介して相互に接続され、各要素間で必要な情報が伝送可能なように構成されている。
【0039】
出力部21は、ディスプレイ20や図示しないスピーカなどを備え、制御部27の制御に基づく出力を行う。入力部22は、ディスプレイ20に積層されたタッチパネルなどを含み、利用者が行う必要な命令や情報を入力するための操作を受け付ける。なお、入力部22は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、音声入力装置等をさらに有してもよい。
【0040】
記憶部23は、表示端末2の動作を制御するためのプログラムを保存したり、表示端末2の動作に必要な情報を保持したりする。本実施例では、記憶部23は、経路案内等を実行するためのナビアプリを実行するためのプログラムやナビアプリの実行に必要な地図データ等を記憶する。また、記憶部13は、操作子4と重なるディスプレイ20上の領域(単に「重なり領域Ao」とも呼ぶ。)を特定するためのテーブル(「重なり領域特定テーブルTo」とも呼ぶ。)を記憶する。重なり領域特定テーブルToには、本実施例に基づくオーディオ機器1として機能可能(即ち表示端末2の装着状態で表示端末2と連携処理を実行可能)なオーディオ機器の機器IDごとに、重なり領域Aoを特定するための情報が記録されている。重なり領域特定テーブルToに記録する機器IDごとの重なり領域Aoを特定するための情報は、例えば予め実行した測定実験等に基づき生成される。なお、重なり領域Aoは、本発明における「第1領域」の一例であり、重なり領域特定テーブルToは、本発明における「対応情報」の一例である。
【0041】
通信部24は、制御部27の制御に基づき、オーディオ機器1等と有線または無線による通信を行う。また、通信部24は、制御部27の制御に基づき、ナビアプリにより表示される経路案内画面の表示に必要な情報を、地図情報等を記憶する図示しないサーバ装置から受信してもよい。GPS受信機25は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波を受信することで、表示端末2の現在位置の情報を生成し、制御部27に送信する。
【0042】
制御部27は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを備え、記億部に保存されているアプリケーションを実行するなどして表示端末2内の各構成要素に対して種々の制御を行う。
【0043】
例えば、制御部27は、表示端末2がオーディオ機器1に装着された場合、オーディオ機器1からオーディオ機器1の機器IDを通信部24により受信し、当該機器IDに基づき重なり領域特定テーブルToを参照することで、重なり領域Aoを特定する。そして、制御部27は、特定した重なり領域Aoに基づき操作子4を縁取りするための略円弧状の画像(単に「円弧画像Ic」とも呼ぶ。)を表示させる。また、制御部27は、通信部24がオーディオ機器1からコマンド信号Scを受信した場合に、コマンド信号Scに応じた処理を行う。なお、制御部17は、本発明における「取得部」、「検知部」、「制御部」及びプログラムを実行する「コンピュータ」として機能する。また、円弧画像Icは、本発明における「表示物」の一例である。
【0044】
[重なり領域に基づく表示制御]
表示端末2は、オーディオ機器1への装着を検知した場合、オーディオ機器1から送信される機器IDから重なり領域特定テーブルToを参照して重なり領域Aoを特定し、特定した重なり領域Aoに応じて操作子4の外周に沿った円弧画像Icを表示する。また、表示端末2は、表示端末2が装着状態となることによって重なり領域Aoと重なることになった画像の表示位置を移動させる。これについて、
図8~
図10を参照して説明する。
【0045】
図8は、ナビアプリが生成する経路案内画面を表示した表示端末2の装着状態での正面図を示す。
図8の例では、表示端末2は、ディスプレイ20上に、現在位置マーク31及び経路線32を含む地図画像と、現在時刻を示す時刻画像33と、操作子4の回転操作により地図の拡大及び縮小が可能であることを示す円弧画像Icとを表示させている。
【0046】
図9(A)は、経路案内画面を表示した表示端末2の非装着状態での正面図を示す。また、
図9(B)は、
図9(A)の状態で表示端末2をオーディオ機器1へ装着させた後の表示端末2の正面図である。
図9(A)の例では、表示端末2は、経路案内画面上に、主に現在位置マーク31及び経路線32を含む地図画像を表示すると共に、下端付近に時刻画像33を表示させている。この状態で表示端末2がオーディオ機器1に装着された場合、表示端末2は、操作子4とディスプレイ20との重なり部分を示す重なり領域Aoを特定する。そして、
図9(B)に示すように、表示端末2は、特定した重なり領域Aoの外周に沿った円弧画像Icを新たに表示させる。例えば、表示端末2は、円弧画像Icが特定した略半円の重なり領域Aoの相似形となるように、円弧画像Icの形状を決定する。即ち、表示端末2は、重なり領域Aoと同一形状であって、重なり領域Aoを所定率だけ拡大した円弧画像Icを、円弧画像Icにより特定される円の中心が操作子4の中心と同一位置になるように表示させている。
【0047】
さらに、表示端末2は、表示端末2がオーディオ機器1に装着された場合に、特定した重なり領域Aoと時刻画像33の一部とが重なることを検知し、時刻画像33の表示位置を、
図9(A)の表示位置(即ち
図9(B)の破線の位置)から、所定画素分だけ上方に移動させている。その結果、
図9(B)に示すように、時刻画像33は、重なり領域Ao及び円弧画像Icと重ならない位置に表示されている。
【0048】
図10(A)、(B)は、長手方向におけるディスプレイ22の長さが同一であって額縁の長さが異なる表示端末2A、2Bが装着されたオーディオ機器1の正面図を示す。なお、ここでは、表示端末2Aのディスプレイ20の長手方向の長さは「La」、表示端末2Bのディスプレイ20の長手方向の長さは「Lb」であって、「La=Lb」が成立するものとする。
【0049】
図10(A)、(B)に示すように、表示端末2Aと表示端末2Bは、それぞれオーディオ機器1に装着された際に形成される重なり領域Aoの形状及び大きさが異なることから、それぞれ異なる形状及び大きさの円弧画像Icをディスプレイ20上に表示させている。具体的には、表示端末2Aは、操作子4の約上半分に相当する重なり領域Aoを特定し、特定した重なり領域Aoより所定率だけ大きい相似形の円弧画像Icを表示させている。また、表示端末2Bは、操作子4の上端部に相当する操作子4の約1/4の大きさを有する重なり領域Aoを特定し、特定した重なり領域Aoより所定率だけ大きい相似形の円弧画像Icを表示させている。
【0050】
このように、表示端末2(2A、2B)は、オーディオ機器1への装着状態で生じる重なり領域Aoに応じて円弧画像Icの表示態様を決定することで、操作子4を好適に縁取りした経路案内画面をディスプレイ20に表示させることができる。この際、表示端末2は、オーディオ機器1の機器IDごとに、当該表示端末2をオーディオ機器1に装着した場合の重なり領域Aoの情報を重なり領域特定テーブルToとして予め記憶しているため、オーディオ機器1から受信する機器IDに基づき、装着状態で生じる重なり領域Aoを的確に特定することができる。
【0051】
なお、表示端末2は、経路案内画面に限らず、他の種々の画面を表示する場合においても、オーディオ機器1への装着時に特定した重なり領域Aoに応じて円弧画像Icを表示すると共に、重なり領域Aoと重なる画像の表示位置を重なり領域Aoと重ならない位置に移動させるとよい。
【0052】
[操作に基づく制御]
次に、操作子4への操作等に基づき表示端末2が実行する制御について説明する。
【0053】
表示端末2の装着状態では、ユーザは、操作子4等を操作することで、オーディオ機器1に対する指示(例えば音出力の指示)と、表示端末2に対する指示(例えば動画の再生指示)の両方が可能である。この場合、例えば、表示端末2は、表示端末2が装着された初期状態では、操作子4による操作を表示端末2に対する指示とみなし、操作子4の所定の操作(二秒長押し等)がなされたことをコマンド信号Scに基づき検知した場合に、操作子4による操作をオーディオ機器1に対する指示とみなす。また、オーディオ機器1は、表示端末2の装着状態において、操作子4の所定の操作(押し込みながら回転等)を検知した場合、情報を出力させるソースを切り替える。ここで、情報を出力させるソースは、例えば、オーディオ機器1が出力するラジオ、オーディオ機器1に差し込まれたディスクやSDカードなどの記憶媒体、オーディオ機器1の記憶部13、表示端末2の記憶部23などが該当する。
【0054】
図11は、経路案内画面が操作対象であった
図8の状態から操作子4に対して所定の操作が行われることによってオーディオ機器1が出力する音楽データに関するミュージック画面へ操作対象が切り替わった状態を示す。
【0055】
図11の例では、表示端末2は、オーディオ機器1から受信したコマンド信号Scに基づき、操作子4の操作対象が表示端末2のナビアプリに基づく経路案内画面からミュージック画面へ切り替わったことを認識し、経路案内画面を上画面に表示すると共に、ミュージック画面を下画面に表示している。このように、
図11の例では、表示端末2は、操作対象であるミュージック画面を操作子4と重なる下画面に表示させる。そして、表示端末2は、出力中の音楽データに対する音量を操作子4の回転操作により変更可能である旨を示した円弧画像Icを表示させている。
【0056】
また、表示端末2は、オーディオ機器1が出力する音楽データに関するタイトル、曲名、再生時間及びジャケット画像34等の情報をコンテンツ情報として受信し、ミュージック画面上に表示させている。このように、表示端末2は、表示端末2の非装着時においてオーディオ機器1が音楽データを再生する際に簡易表示部7(
図2参照)に表示させるタイトル等の基本情報に加えて、簡易表示部7には表示させないジャケット画像34等に関する追加情報をミュージック画面に表示させる。なお、表示端末2は、上述の追加情報をオーディオ機器1から受信する代わりに、各種音楽データの情報を記憶する図示しないサーバ装置から受信してもよい。
【0057】
図12は、オーディオ機器1から供給される動画コンテンツの再生時でのディスプレイ20の表示例を示す。
図12の例では、表示端末2は、オーディオ機器1の記憶部13又はオーディオ機器1に差し込まれた記憶媒体等に記憶されている動画コンテンツのリストであるコンテンツリスト37を下画面に表示すると共に、コンテンツリスト37から選択されたコンテンツ「BCDAB」の再生画面を上画面に表示している。この場合、表示端末2は、操作子4への操作に基づき、音量の変更や再生するコンテンツの切り替えなどを行う。
【0058】
このように、表示端末2は、上画面及び下画面の両方でオーディオ機器1から供給されるコンテンツに関する画面の表示を行ってもよい。同様に、表示端末2は、上画面及び下画面の両方で表示端末2が記憶するコンテンツに関連する画面の表示を行ってもよい。また、表示端末2は、操作子4への所定の操作を検知した場合に、ディスプレイ20の表示を1画面表示にするか分割画面表示にするかを切り替えてもよい。また、表示端末2は、分割画面を表示する代わりに、操作対象の画面(
図11の例ではミュージック画面)を前面にし、操作対象でない画面(
図11の例では経路案内画面)を背面にして表示させてもよい。
【0059】
また、表示端末2は、表示端末2の装着状態において、操作子4への操作による入力以外の種々の入力を受け付けてもよい。例えば、表示端末2は、ディスプレイ20へのタッチ操作をタッチパネルにより検出することで、ディスプレイ20の表示の切り替え等を実行してもよい。他の例では、表示端末2は、図示しないカメラから撮影した利用者の時系列の画像を公知の画像認識処理により解析し、所定の動作(例えばジェスチャ)を検知した場合に、ディスプレイ20の表示の切り替え等を実行してもよい。さらに別の例では、表示端末2は、音声入力装置に入力された音データを解析することで、所定のキーワードの発話を検知した場合に、ディスプレイ20の表示の切り替え等を実行してもよい。
【0060】
また、好適には、表示端末2は、操作子4等による所定の操作を検知した場合に、操作子4の操作により実行可能な機能の概要を示した操作説明画面をディスプレイ20に表示させてもよい。
【0061】
図13は、操作子4の操作説明画面の表示例である。
図13に示す操作説明画面は、経路案内画面における操作子4による各操作と当該操作に関連付けられた機能との関係を示している。表示端末2は、経路案内画面をディスプレイ20に表示させているときに所定の入力を検知し、
図13の操作説明画面を表示させている。なお、表示端末2は、経路案内画面以外の画面をディスプレイ20に表示させている場合であっても、所定の入力を検知したときに、表示中の画面において操作子4による有効な操作の概要を示した操作説明画面を表示させてもよい。
【0062】
[処理フロー]
図14は、表示端末2と連携したオーディオ機器1の出力制御に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0063】
まず、オーディオ機器1は、表示端末2が装着されたか否か判定する(ステップS11)。例えば、オーディオ機器1は、表示端末2が装着された際に表示端末2と接続するドック(端子)から所定の入力を受信した場合、又は、表示端末2の装着を検知するスイッチ等から所定の入力を受信した場合、表示端末2が装着されたと判定する。
【0064】
そして、オーディオ機器1は、表示端末2が装着されたと判定した場合、オーディオ機器1の機器IDを装着状態の表示端末2へ送信する(ステップS12)。この場合、表示端末2は、受信したオーディオ機器1の機器IDから重なり領域特定テーブルToを参照することで重なり領域Aoを決定し、円弧画像Ic等の表示態様を決定する。なお、オーディオ機器1は、表示端末2から表示端末2の機器ID等を受信し、対応機器テーブルTcを参照して表示端末2がオーディオ機器1に対応した機器であるか否かの認証を行ってもよい。
【0065】
その後、オーディオ機器1は、操作子4への操作を検知したか否か判定する(ステップS13)。そして、オーディオ機器1は、操作子4への操作を検知した場合(ステップS13;Yes)、操作子4への操作に応じたコマンド信号Scを、表示端末2へ送信する(ステップS14)。これにより、オーディオ機器1は、操作子4に対する操作に関する情報を表示端末2へ通知する。一方、オーディオ機器1は、操作子4への操作を検知しない場合(ステップS13;No)、ステップS15へ処理を進める。
【0066】
次に、オーディオ機器1は、表示端末2からコンテンツ情報の送信要求があるか否か判定する(ステップS15)。そして、オーディオ機器1は、表示端末2からコンテンツ情報の送信要求があった場合(ステップS15;Yes)、要求されたコンテンツ情報を表示端末2へ送信する(ステップS16)。この場合、要求されるコンテンツ情報は、オーディオ機器1が記憶するコンテンツに関する情報であってもよく、オーディオ機器1により読み込み可能な記憶媒体に記憶されたコンテンツに関する情報であってもよい。
【0067】
次に、オーディオ機器1は、音楽データやラジオ等に関する出力要求があるか否か判定する(ステップS17)。オーディオ機器1は、例えば、上述の出力要求を、表示端末2から受信する所定の要求信号に基づき検知する。そして、オーディオ機器1は、出力要求があった場合(ステップS17;Yes)、指定された音楽データ等の出力を行う(ステップS18)。一方、オーディオ機器1は、上述の出力要求を検知しない場合(ステップS17;No)、ステップS19へ処理を進める。
【0068】
そして、オーディオ機器1は、表示端末2がオーディオ機器1から外されたか否か判定する(ステップS19)。そして、オーディオ機器1は、表示端末2がオーディオ機器1から外されたと判断した場合(ステップS19;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、オーディオ機器1は、表示端末2がオーディオ機器1から外されていないと判断した場合(ステップS19;No)、ステップS13へ処理を戻す。
【0069】
図15は、表示端末2が実行するオーディオ機器1と連携した出力制御に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0070】
まず、表示端末2は、オーディオ機器1へ装着されたか否か判定する(ステップS21)。そして、表示端末2は、オーディオ機器1へ装着された場合、オーディオ機器1からオーディオ機器1の機器IDを受信する(ステップS22)。そして、この場合、表示端末2は、受信した機器IDから重なり領域特定テーブルToを参照することで、重なり領域Aoを特定する(ステップS23)。そして、表示端末2は、ステップS23で特定した重なり領域Aoに基づく円弧画像Icを表示する(ステップS24)。これにより、表示端末2は、円弧画像Icにより操作子4を好適に縁取りし、操作性及びデザイン性を向上させることができる。
【0071】
次に、表示端末2は、操作子4の操作に基づき生成されたコマンド信号Scをオーディオ機器1から受信したか否か判定する(ステップS25)。そして、表示端末2は、コマンド信号Scをオーディオ機器1から受信した場合(ステップS25;Yes)、コマンド信号Scに応じたディスプレイ20の表示制御やオーディオ機器1に対するコンテンツ情報の要求信号の送信等を行う(ステップS26)。なお、表示端末2は、コマンド信号Scを受信する他、図示しないカメラが撮影した画像に対する画像認識処理、音声入力装置に入力された音声に対する音声認識処理等に基づきユーザ入力を検知することで、ディスプレイ20の表示制御等を行ってもよい。
【0072】
次に、表示端末2は、オーディオ機器1から表示端末2が外されたか否か判定する(ステップS27)。そして、表示端末2は、オーディオ機器1から表示端末2が外されたと判断した場合(ステップS27;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、表示端末2は、オーディオ機器1から表示端末2が外されていないと判断した場合(ステップS27;No)、ステップS25へ処理を戻す。
【0073】
<第2実施例>
図16は、第2実施例に係る情報出力システムの概略構成を示す。第2実施例に係る情報出力システムは、オーディオ機器1Aと、表示端末2と、表示端末2を保持する表示端末支持具19とを有する。このように、第2実施例に係る情報出力システムは、第1実施例のオーディオ機器1の端末保持機能を有する表示端末支持具19がオーディオ機器1Aと独立して設けられている点で、第1実施例に係る情報出力システムと異なる。その他、第1実施例と同様の構成については、適宜同一の記号を付し、その説明を省略する。
【0074】
表示端末支持具19は、操作子4と、支持部5A~5Cと、車室内のダッシュボードなどに表示端末支持具19を設置するための取付部51と、ワイヤレス給電コイル52とを備える。ワイヤレス給電コイル52は、表示端末支持具19に装着された表示端末2に対し、非接触による電源供給を行う。また、表示端末支持具19は、操作子4の操作に応じたコマンド信号Scを生成し、表示端末2の装着時にはコマンド信号Scを表示端末2へ送信し、表示端末2の非装着時にはコマンド信号Scをオーディオ機器1Aへ送信する。また、
図16の例では、オーディオ機器1Aは、ディスプレイ7Aと、複数の操作ボタン50とを有している。表示端末支持具19は、本発明における「支持装置」の一例である。
【0075】
図17は、表示端末支持具19のブロック構成を示す。
図17に示すように、表示端末支持具19は、ワイヤレス給電コイル52と、操作子4を含む入力部90と、記憶部91と、通信部92と、制御部93と、を有する。
【0076】
記憶部91は、表示端末支持具19の動作を制御するためのプログラムを保存したり、表示端末支持具19の動作に必要な情報を保持したりする。本実施例では、記憶部91は、装着された表示端末2の機器認証を行う際に参照する対応機器テーブルTcを記憶する。対応機器テーブルTcには、コマンド信号Scに応じた処理を実行可能な表示端末2の端末IDのリストなどが記録されている。通信部92は、制御部93の制御に基づき、オーディオ機器1A又は表示端末2と無線または有線により通信を行う。
【0077】
制御部93は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを備え、表示端末支持具19内の各構成要素に対して種々の制御を行う。本実施例では、制御部93は、操作子4への操作に応じたコマンド信号Scを生成する。そして、制御部93は、表示端末2の装着状態では、表示端末2に対してコマンド信号Scを通信部92により送信し、表示端末2の非装着状態では、オーディオ機器1Aに対してコマンド信号Scを通信部92により送信する。なお、制御部93は、表示端末2が表示端末支持具19に装着されたことを、例えばワイヤレス給電コイル52による給電開始を監視すること等により検知する。また、制御部93は、表示端末2が装着された場合に、表示端末2から表示端末2の機器ID等を通信部92等により受信することで、記憶部91が記憶する対応テーブルTcを参照し、表示端末2が対応機器であるか否かの機器認証を行う。
【0078】
また、第2実施例においても、表示端末2は、装着状態において、円弧画像Icの表示等を第1実施例と同様に実行する。この場合、表示端末2は、表示端末支持具19として用いられ得る機器の機器IDごとに重なり領域Aoを特定するための情報を記録した重なり領域特定テーブルToを予め記憶しておく。そして、表示端末支持具19は、表示端末2が装着されたことを検知した場合、表示端末2に対して表示端末支持具19の機器IDを通信部92により送信する。その後、表示端末2は、第1実施例と同様、機器IDから重なり領域Aoを特定し、特定した重なり領域Aoに基づき円弧画像Icの表示態様を決定したり、重なり領域Aoと重なる画像の表示位置を変更したりする。このように、第2実施例においても、表示端末2は、好適に円弧画像Icを表示させることができる。
【0079】
<変形例>
以下、第1~第2実施例に好適な各変形例について説明する。なお、これらの各変形例は、任意に組み合わせて上述の各実施例に適用することが可能である。
【0080】
[変形例1]
円弧画像Icの表示態様は、
図8等に示した形態に限定されない。
図18(A)~(D)は、変形例に係る円弧画像Icの表示態様の具体例を示した操作子4付近の拡大図である。
【0081】
図18(A)の例では、操作子4の約1/4に相当する上端部分のみがディスプレイ20と重なっており、重なり領域Aoが比較的小さい。また、
図18(B)の例では、操作子4の下端以外の約3/4に相当する部分がディスプレイ20と重なっている。これらの場合であっても、表示端末2は、
図18(A)、(B)の場合の重なり領域Aoをそれぞれ特定することで、ディスプレイ20上の操作子4を縁取るように当該操作子4の外周に沿った円弧画像Icを表示させる。また、
図18(C)の例では、表示端末2は、ディスプレイ20上の操作子4を囲む円弧画像Icの幅が操作子4の上方ほど短くなるように円弧画像Icを表示させている。同様に、
図18(D)の例では、表示端末2は、ディスプレイ20上の操作子4を囲む円弧画像Icの幅が操作子4の上方ほど太くなるように円弧画像Icを表示させている。このように、円弧画像Icは、重なり領域Aoに基づいた種々の表示形態であってもよい。
【0082】
図19(A)~(C)は、四角形状を有する操作子4Aを有するオーディオ機器1に表示端末2を装着した場合の操作子4A付近の拡大図である。
図19(A)の例では、表示端末2は、オーディオ機器1の機器IDから重なり領域特定テーブルToを参照することで特定した重なり領域Aoに基づき、ディスプレイ20と重なる操作子4Aの外周に対して均等な幅により縁取りを行う円弧画像Icを表示させている。一方、
図19(B)の例では、表示端末2は、操作子4Aの上側の縁に沿った部分の幅を操作子4Aの左右の縁に沿った部分の幅よりも太い円弧画像Icを表示させている。また、
図19(C)の例では、表示端末2は、重なり領域Aoとして操作子4Aと支持部5Cとがディスプレイ20と重なる領域を特定し、特定した重なり領域Aoを縁取りした円弧画像Icを表示させている。
【0083】
このように、表示端末2は、領域特定テーブルToを記憶しておくことで、種々の形態の操作子4を有するオーディオ機器1に装着された場合であっても、当該オーディオ機器1の操作子4を縁取りした円弧画像Icを好適に表示させることできる。また、表示端末2は、支持部5Cとディスプレイ20との重なり部分を重なり領域Aoに含め、当該重なり領域Aoに応じた円弧画像Icを表示させることも可能である。
【0084】
[変形例2]
操作子4は、支持部5Cに取り付けられる代わりに、支持部5A又は支持部5Cに取り付けられてもよい。
【0085】
図20は、本変形例に係る表示端末2が装着されたオーディオ機器1の正面図を示す。
図20の例では、操作子4は、支持部5Bに取り付けられている。そして、表示端末2は、この場合、経路案内画面を表示すると共に、操作子4とディスプレイ20との重なり領域Aoを特定し、特定した重なり領域Aoに基づき操作子4を縁取った円弧画像Icを表示させている。また、この場合、表示端末2は、重なり領域Aoと重なる画像が存在する場合には、当該画像の表示位置を重なり領域Aoと重ならない位置へ移動させる。このように、支持部5Bまたは支持部5Aに操作子4が設けられる場合であっても、オーディオ機器1及び表示端末2は、第1実施例と同様の処理を実行する。第2実施例の表示端末支持具19においても同様に、操作子4は、支持部5Cに代えて支持部5A又は支持部5Bのいずれに取り付けられていてもよい。