(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150958
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】電動ショベル、ショベル管理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231005BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060320
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 学
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AC08
5G064CB08
5G064DA11
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA05
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】バッテリの充電率の低下によって電動ショベルが停止することを抑制する。
【解決手段】一実施形態に係る電動ショベルは、電動機と、電動機に対して電力を供給するバッテリと、を有し、バッテリの充電率が、所定の閾値より低い場合に、バッテリの充電を促す旨の情報を出力するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機と、
前記電動機に対して電力を供給するバッテリと、を有し、
前記バッテリの充電率が、所定の閾値より低い場合に、前記バッテリの充電を促すための情報を出力するように構成されている、
電動ショベル。
【請求項2】
前記バッテリの充電率が、前記所定の閾値より低い場合、前記所定の閾値より低くなる前と比べて、前記バッテリから前記電動機に供給する電力量を低減するように構成されている、
請求項1に記載の電動ショベル。
【請求項3】
前記バッテリの充電率が、前記所定の閾値より低い場合、前記所定の閾値より低くなる前と比べて、前記電動ショベルのキャビン内の空気を調整する空調装置、及び当該キャビン内に設けられた車載装置のうち少なくとも一つ以上の出力を低減させるように構成されている、
請求項1又は2に記載の電動ショベル。
【請求項4】
前記バッテリの充電率が、前記所定の閾値より低い場合、外部の通信装置に対して、前記バッテリの充電率が低下した旨の情報を送信するように構成されている、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電動ショベル。
【請求項5】
前記バッテリの充電を促す旨の情報は、前記外部の通信装置に対して送信される、前記電動ショベルの状態を示した情報に含まれる、
請求項4に記載の電動ショベル。
【請求項6】
前記バッテリの充電率が低下した旨の情報を送信する前記外部の通信装置は、前記電動ショベルと同じ作業現場で作業している他のショベルである、
請求項4に記載の電動ショベル。
【請求項7】
入力装置から入力された設定情報又は通信インタフェースから受信した設定情報に従って、前記所定の閾値を設定するように構成されている、
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の電動ショベル。
【請求項8】
電動ショベルと、通信装置と、で構成されるショベル管理システムであって、
前記電動ショベルは、
電動機と、
前記電動機に対して電力を供給するバッテリと、を有し、
前記バッテリの充電率が、所定の閾値より低い場合に、前記バッテリの充電率が低下した旨の情報を前記通信装置に送信するように構成され、
前記通信装置は、
前記電動ショベルから受信した通知に関する情報を出力するように構成されている、
ショベル管理システム。
【請求項9】
前記通信装置は、
前記電動ショベルから受信した通知に基づいて、他の通信装置との間で通信制御を行うように構成されている、
請求項8に記載のショベル管理システム。
【請求項10】
電動機と、前記電動機に対して電力を供給するバッテリと、を有した電動ショベルに搭載されたコンピュータに対して、
前記バッテリの充電率が、所定の閾値より低い場合に、前記バッテリの充電を促す旨の情報を出力する手順を、
実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動ショベル、ショベル管理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動モータを有する電動ショベルが提案されている。当該電動ショベルにおいては、本体に設けられたバッテリから供給される電力で電動モータを駆動させている。
【0003】
このような電動ショベルは、バッテリの残量が無くなった場合に、その所から移動することもできなくなる。このため、電動ショベルに搭乗しているオペレータは、バッテリの残量に注意する必要がある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載された技術では、バッテリ残量及び稼働時の平均消費電力から、電動ショベルの稼働可能時間の推定値を表示する技術が提案されている。これにより電動ショベルに搭乗しているオペレータは、稼働可能時間の推定値を参照して、充電のために適切なタイミングで給電ステーションに戻ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術においては、実際に給電ステーションに戻るタイミングは、電動ショベルに搭乗しているオペレータに委ねられる。このため、オペレータによる給電ステーションに戻るタイミングが少し遅れた場合に、給電ステーションに戻る前にバッテリの残量が無くなる可能性がある。
【0007】
電動ショベルのバッテリの残量が無くなった場合、当該電動ショベルを移動させるのが難しくなる。例えば、電動ショベルのバッテリは大きいため交換するのが難しい。また、電動ショベルの充電を行うために、移動可能な充電設備を設けるとコストが増加する。このため、電動ショベルのバッテリの残量が無くなる前に、給電ステーションに戻ることが重要となる。
【0008】
しかしながら、電動ショベルに搭乗しているオペレータにとっては、作業を進める方が重要なことが多い。例えば、オペレータは、稼働可能時間の推定値を認識していても、ぎりぎりまで作業を行った結果、オペレータの想定よりもバッテリの減少していく割合が大きく、電動ショベルが給電ステーションに戻る前にバッテリが無くなる可能性がある。さらには、オペレータが作業に集中して、稼働可能時間を確認するのを失念した結果、給電ステーションに戻る前にバッテリが無くなる可能性がある。
【0009】
そこで、上記課題に鑑み、電動ショベルのバッテリが無くなる前に、給電ステーションに戻るように、オペレータに注意を促す技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態に係る電動ショベルは、電動機と、電動機に対して電力を供給するバッテリと、を有し、バッテリの充電率が、所定の閾値より低い場合に、バッテリの充電を促す旨の情報を出力するように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
上述の実施形態によれば、所定の閾値より低い場合に、前記バッテリの充電を促す旨の情報を出力することで、ショベルを操作している操作者に対して、外部の電源からショベルのバッテリに充電することを促すことで、充電開始する前にショベルがバッテリの充電率の低下によって停止することを抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るショベル管理システムの一例を示す概要図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るショベルの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るショベル管理システムの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る出力制御部により表示される、警告に関する設定画面を例示した図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る出力制御部により表示される、警告が表されたポップアップ画面を例示した図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るショベルコントローラによる、バッテリのSOCに基づいた警告に関する制御を示したフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るショベル管理システム間で行われるデータの送受信を示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、
図1を参照して、ショベル管理システムSYSの概要を説明する。
図1は、第1の実施形態に係るショベル管理システムSYSの一例を示す概要図である。
【0015】
図1に示すように、第1の実施形態に係るショベル管理システムSYSは、ショベル200と、管理装置300(外部の通信装置の一例)と、支援装置400(外部の通信装置の一例)と、携帯通信装置500(他の通信装置の一例)と、を含んでいる。管理装置300、支援装置400、及び携帯通信装置500の概要については後述する。
【0016】
ショベル管理システムSYSのユーザには、例えば、ショベル200のユーザ(以下、「ショベルユーザ」)が含まれる。ショベルユーザには、ショベル200のオペレータ等が含まれる。また、ショベル管理システムSYSのユーザには、例えば、管理装置300のユーザ(以下、「管理装置ユーザ」)が含まれる。管理装置ユーザには、例えば、管理装置300のデータセンタの管理者、及びデータセンタの作業者等が含まれる。また、ショベル管理システムSYSのユーザには、支援装置400のユーザ(以下、「支援装置ユーザ」)が含まれる。支援装置ユーザには、作業現場の監督者、管理装置300の管理者、ショベル200のメンテナンスを担当するサービスマン、ショベル200のオーナ等が含まれる。また、ショベル管理システムSYSのユーザには、携帯通信装置500のユーザ(以下、「通信装置ユーザ」)が含まれる。通信装置ユーザには、ショベル200のオペレータ等が含まれる。
【0017】
また、ショベル管理システムSYSは、例えば、支援装置400又は携帯通信装置500において、ユーザからの入力に応じて、又は、自動で、ショベル200の制御に関する各種設定を行い、ショベル200に送信してよい。これにより、支援装置400又は携帯通信装置500からショベル200の各種動作を制御したり、監視したりできる。
【0018】
ショベル管理システムSYSに含まれるショベル200は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。これにより、ショベル管理システムSYSは、複数のショベル200を対象として、データ収集、収集されたデータに基づくユーザへの情報提供、ショベル200の制御に関する設定等を行うことができる。
【0019】
また、ショベル管理システムSYSに含まれる管理装置300は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。これにより、ショベル管理システムSYSは、各種機能を複数台の管理装置300により分散して実現することができる。
【0020】
また、ショベル管理システムSYSに含まれる支援装置400は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。これにより、ショベル管理システムSYSは、複数台の支援装置400を通じて、それぞれを使用する複数のユーザにショベル200に関する情報提供を行うことができる。
【0021】
また、ショベル管理システムSYSに含まれる携帯通信装置500は、一台であってもよいし、複数台であってもよい。例えば、携帯通信装置500は、作業現場に存在するショベル200の各オペレータが所有してもよい。これにより、ショベル管理システムSYSは、携帯通信装置500を通じて、ショベル200のオペレータごとに連絡を行うことができる。
【0022】
<ショベルの概要>
電動ショベルの一例として、本実施形態に係るショベル200の概要を説明する。
【0023】
本実施形態に係るショベル200は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10とを備える。
【0024】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1R,1L(
図2参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
【0025】
上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、旋回油圧モータ2M(
図2参照)で油圧駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。メインポンプ14(
図2参照)から供給される作動油で全ての被駆動要素(例えば、旋回油圧モータ2M)が油圧駆動される。いわゆる油圧ショベルの動力源(エンジン)をポンプ用電動機12に置換した構成に相当する。
【0026】
また、上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、旋回油圧モータ2Mの代わりに、バッテリモジュール19から供給される電力で駆動する旋回用電動機で電気駆動されてもよい。この場合、例えば、ショベル200は、バッテリモジュール19からインバータを介して旋回用電動機に接続される。そして、旋回用電動機は、ショベルコントローラ30及びインバータの制御下で、上部旋回体3を旋回駆動する力行運転、及び回生電力を発生させて上部旋回体3を旋回制動する回生運転を行ってもよい。また、旋回用電動機は、インバータを介して、回生電力をバッテリモジュール19やポンプ用電動機12に供給してもよい。
【0027】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に取り付けられ、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に取り付けられる。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0028】
バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、アーム5の先端には、作業内容等に応じて、バケット6の代わりに、他のエンドアタッチメントが取り付けられてもよい。他のエンドアタッチメントは、例えば、法面用バケット、浚渫用バケット等のバケット6と異なる種類のバケットであってよい。また、他のエンドアタッチメントは、例えば、ブレーカ、攪拌機、グラップル等のバケットと異なる種類のエンドアタッチメントであってもよい。
【0029】
キャビン10は、上部旋回体3の前部左側に搭載され、その内部(室内)には、オペレータが着座する操縦席や後述する操作装置26(
図2参照)等が設けられる。
【0030】
ショベル200は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を動作させる。
【0031】
また、ショベル200は、キャビン10に搭乗するオペレータによって操作可能に構成されるのに代えて、又は、加えて、ショベル200の外部から遠隔操作(リモート操作)が可能に構成されてもよい。ショベル200が遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0032】
撮像装置40は、ショベル200の周辺を撮像し、画像を取得する。撮像装置40は、撮像結果である撮像画像データを、ショベルコントローラ30に出力する。
【0033】
撮像装置40は、例えば、単眼カメラ、ステレオカメラ、デプスカメラ等である。また、撮像装置40は、撮像画像データに基づき、所定の撮像範囲(画角)内におけるショベル200の周辺の物体の位置及び外形を表す三次元データ(例えば、点群データやサーフェスデータ)を取得してもよい。
【0034】
撮像装置40は、上部旋回体3に4個設けられ、撮像装置40の各々は、上部旋回体3の前方、上部旋回体3の後方、上部旋回体3の左方、及び上部旋回体3の右方を撮像する。これにより、オペレータは、表示装置50Bや遠隔操作用表示装置を通じて、上部旋回体3の左方、右方、及び後方の様子を確認できる。
【0035】
遠隔操作には、例えば、所定の外部装置(例えば、管理装置300、支援装置400又は携帯通信装置500)で行われるショベル200のアクチュエータに関する操作入力によって、ショベル200が操作される態様が含まれる。所定の外部装置は、例えば、管理装置300、支援装置400、又は携帯通信装置500であってよい。この場合、ショベル200は、例えば、(図示しない)周囲情報取得装置に含まれる撮像装置40が出力する画像情報(撮像画像)を、後述の通信インタフェース(I/F)60を通じて、外部装置に送信してよい。そして、外部装置は、外部装置に設けられる表示装置(以下、「遠隔操作用表示装置」)に受信される画像情報(撮像画像)を表示させてよい。また、ショベル200のキャビン10の内部の出力装置50に表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、外部装置の遠隔操作用表示装置にも表示されてよい。これにより、外部装置のオペレータは、例えば、遠隔操作用表示装置に表示されるショベル200の周囲の様子を表す撮像画像や情報画面等の表示内容を確認しながら、ショベル200を遠隔操作することができる。そして、ショベル200は、通信I/F60により外部装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。
【0036】
また、遠隔操作には、例えば、ショベル200の周囲の人(例えば、作業者)のショベル200に対する外部からの音声入力やジェスチャ入力等によって、ショベル200が操作される態様が含まれてよい。具体的には、ショベル200は、ショベル200(自機)に搭載される音声入力装置(例えば、マイクロフォン)やジェスチャ入力装置(例えば、撮像装置40)等を通じて、周囲の作業者等により発話される音声や作業者等により行われるジェスチャ等を認識する。そして、ショベル200は、認識した音声やジェスチャ等の内容に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してもよい。
【0037】
また、ショベル200は、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベル200は、下部走行体1(例えば、クローラ1CL,1CR)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「自動運転機能」又は「MC(Machine Control:マシンコントロール)機能」)を実現する。
【0038】
自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、操作対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)以外の被駆動要素(アクチュエータ)を自動で動作させる機能(いわゆる「半自動運機能」)が含まれてよい。また、自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作がない前提で、複数の被駆動要素(アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「完全自動運転機能」)が含まれてよい。ショベル200において、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、ショベル200が自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自律的に自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が決定される態様(いわゆる「自律運転機能」)が含まれてもよい。
【0039】
ショベル200は、後述の如く、通信I/F60を搭載し、通信回線NWを通じて、管理装置300と相互に通信を行う。これにより、ショベル200は、管理装置300にショベル200(自機)に関するデータを送信したり、ショベル200(自機)の制御に関するデータを受信したりすることができる。
【0040】
通信回線NWは、例えば、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)を含む。広域ネットワークには、例えば、基地局を末端とする移動体通信網が含まれてよい。また、広域ネットワークには、例えば、通信衛星を利用する衛星通信網が含まれてよい。また、広域ネットワークには、例えば、インターネット網が含まれてよい。また、通信回線NWは、例えば、管理装置300が設置される施設等の内部のローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)を含む。ローカルネットワークは、有線であってもよいし、無線であってもよいし、その両方を含む態様であってもよい。また、通信回線NWは、例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線による近距離通信回線を含んでもよい。
【0041】
また、ショベル200は、通信回線NWを通じて、支援装置400と相互に通信を行ってもよい。この場合、ショベル200は、管理装置300を介して、間接的に、支援装置400と通信を行ってもよいし、直接的に、支援装置400と通信を行ってもよい。
【0042】
<管理装置の概要>
管理装置300(外部の通信装置の一例)は、ショベル200に関するデータを蓄積するデータセンタに設けられた装置である。例えば、管理装置300は、ショベル200の外部に設けられ、ショベル200から送信(アップロード)されるショベル200に関する各種データを収集してよい。各種データには、例えば、ショベル200の現在の状況を示した情報であって、ショベル200のSOC及び駆動状況等が含まれる実績情報が含まれている。管理装置300は、実績情報を受信することで、ショベル200の稼働状態や運用状態等が示されたデータを管理できる。
【0043】
管理装置300は、例えば、ショベル200の作業現場の外部のデータセンタ等に設置されるクラウドサーバである。また、管理装置300は、例えば、外部のデータセンタ等に配置される定置型の端末装置(定置端末)であってもよい。定置端末には、例えば、デスクトップ型のコンピュータ端末が含まれてよい。
【0044】
管理装置300は、通信回線NWを通じて、ショベル200、支援装置400及び携帯通信装置500のそれぞれと相互に通信を行う。これにより、管理装置300は、例えば、ショベル200から送信(アップロード)される各種データを受信することにより、ショベル200に関する各種データを収集できる。また、管理装置300は、例えば、ショベル200の制御に関するデータをショベル200に送信することにより、外部からショベル200の制御を行うことができる。
【0045】
また、管理装置300は、例えば、支援装置400又は携帯通信装置500からの要求に応じて、支援装置400又は携帯通信装置500に各種データを提供できる。
【0046】
<支援装置の概要>
支援装置400は、例えば、ショベル管理システムSYSにおいて、ショベル200による作業現場の作業を管理する管理者、又はショベル200の所有者等が、情報提供を受けるために利用する端末装置(ユーザ端末)である。例えば、支援装置400は、ショベル200又は管理装置300から各種通知を受信できると共に、他の通信装置(例えば携帯通信装置500)との間で通話等を行うことができる。
【0047】
支援装置400は、例えば、ユーザが所持するタブレット端末、スマートフォン等の汎用の携帯端末である。また、支援装置400は、ラップトップ型のコンピュータ端末、又はデスクトップ型のコンピュータ等の汎用の定置端末であってもよい。また、支援装置400は、ショベル200に関するデータ(情報)の提供を受けるための専用の端末装置(携帯端末又は定置端末)であってもよい。
【0048】
支援装置400は、通信回線NWを通じて、管理装置300及び携帯通信装置500の各々と相互に通信を行う。例えば、支援装置400は、管理装置300に対して、ショベル200に関するデータの提供を要求することができる。また、支援装置400は、管理装置300から送信される、ショベル200に関するデータを受信し、自身に搭載される後述の出力装置430を通じて、ショベル200に関する情報をユーザに提供することができる。また、支援装置400は、管理装置300との間で音声の送受信、換言すれば通話を行ってもよい。
【0049】
また、支援装置400は、通信回線NWを通じて、ショベル200と相互に通信を行ってもよい。支援装置400は、管理装置300を介して、間接的に、ショベル200と通信を行ってもよいし、直接的に、ショベル200と通信を行ってもよい。
【0050】
<通信装置の概要>
携帯通信装置500は、例えば、ショベル管理システムSYSにおいて、ショベル200に搭乗するオペレータが、情報提供を受けるために利用する端末装置(ユーザ端末)である。例えば、携帯通信装置500は、支援装置400から各種通知を受信できると共に、支援装置400との間で通話等を行うことができる。
【0051】
携帯通信装置500は、例えば、ユーザが所持するタブレット端末、スマートフォン等の汎用の携帯端末である。また、携帯通信装置500は、ラップトップ型のコンピュータ端末、又はデスクトップ型のコンピュータ等の汎用の定置端末であってもよい。また、携帯通信装置500は、ショベル200に関するデータ(情報)の提供を受けるための専用の端末装置(携帯端末又は定置端末)であってもよい。
【0052】
[ショベル管理システムの構成]
次に、
図1に加えて、
図2、
図3を参照して、本実施形態に係るショベル管理システムSYSの構成について説明する。
【0053】
図2は、本実施形態に係るショベル200のハード構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3は、本実施形態に係るショベル管理システムSYSの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0054】
なお、図中にて、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
【0055】
<ショベルの構成>
ショベル200は、被駆動要素の油圧駆動に関する油圧駆動系、被駆動要素の操作に関する操作系、ユーザとの情報のやり取りに関するユーザインタフェース系、外部との通信に関する通信系、及び各種制御に関する制御系等のそれぞれの構成要素を含む。
【0056】
<<ショベルの油圧駆動系>>
図2に示すように、本実施形態に係るショベル200の油圧駆動系は、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1R,1L、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。また、本実施形態に係るショベル200の油圧駆動系は、ポンプ用電動機12と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17とを含む。
【0057】
ポンプ用電動機12(電動機の一例)は、油圧駆動系の動力源である。ポンプ用電動機12は、例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータである。ポンプ用電動機12は、インバータ18を介してバッテリモジュール19を含む高圧電源と接続される。ポンプ用電動機12は、インバータ18を介してバッテリモジュール19から供給される三相交流電力で力行運転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。ポンプ用電動機12の駆動制御は、後述するショベルコントローラ30の制御下で、インバータ18により実行されてよい。
【0058】
メインポンプ14は、作動油タンクTから作動油を吸い込み、高圧油圧ライン16に吐出することにより、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、ポンプ用電動機12により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するショベルコントローラ30の制御下で、(図示しない)レギュレータが斜板の角度(傾転角)を制御する。これにより、メインポンプ14は、ピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を調整することができる。
【0059】
なお、メインポンプ14は、ポンプ用電動機12に加えて、他の動力源からの動力で駆動されてもよい。例えば、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギを回生し、メインポンプ14を駆動してもよい。具体的には、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギで、メインポンプ14の回転軸と同軸で配置される油圧モータを駆動させてよい。また、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギを回生し、発電機に発電を行わせてもよい。具体的には、ブーム4の下げ動作時やアーム5の閉じ動作時にブーム4やアーム5の自重でブームシリンダ7やアームシリンダ8から作動油タンクに排出される作動油のエネルギで、発電機と同軸に配置される油圧モータを駆動することにより、発電機に発電を行わせてよい。この場合、発電機の発電電力は、ポンプ用電動機12に供給されたり、バッテリモジュール19に充電されたりしてよい。
【0060】
コントロールバルブ17は、オペレータの操作や自動運転機能に対応する操作指令に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1R,1L、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)に選択的に供給可能に構成される。例えば、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向とを制御する複数の制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。メインポンプ14から供給され、コントロールバルブ17や油圧アクチュエータを通流した作動油は、コントロールバルブ17から作動油タンクTに排出される。
【0061】
<<ショベルの電気駆動系>>
本実施形態に係るショベル200の電気駆動系は、ポンプ用電動機12と、センサ12sと、インバータ18とを含む。また、本実施形態に係るショベル200の電気駆動系は、バッテリモジュール19等により構成される高圧電源を含む。
【0062】
センサ12sは、電流センサ12s1と、電圧センサ12s2と、回転状態センサ12s3とを含む。
【0063】
電流センサ12s1は、ポンプ用電動機12の三相(U相、V相、及びW相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ12s1は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18の間の電力経路に設けられる。電流センサ12s1により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの電流に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18に取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、ショベルコントローラ30に取り込まれ、ショベルコントローラ30経由で、インバータ18に入力されてもよい。
【0064】
電圧センサ12s2は、ポンプ用電動機12の三相のそれぞれの印加電圧を検出する。電圧センサ12s2は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18の間の電力経路に設けられる。電圧センサ12s2により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの印加電圧に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18に取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、ショベルコントローラ30に取り込まれ、ショベルコントローラ30経由で、インバータ18に入力されてもよい。
【0065】
回転状態センサ12s3は、ポンプ用電動機12の回転状態(例えば、回転位置(回転角)、回転速度等)を検出する。回転状態センサ12s3は、例えば、ロータリエンコーダやレゾルバである。
【0066】
インバータ18は、ショベルコントローラ30の制御下で、ポンプ用電動機12を駆動制御する。インバータ18は、例えば、直流電力を三相交流電力に変換したり、三相交流電力を直流電力に変換したりする変換回路と、変換回路をスイッチ駆動する駆動回路と、駆動回路の動作を規定する制御信号(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号)を出力する制御回路とを含む。
【0067】
インバータ18の制御回路は、ポンプ用電動機12の動作状態を把握しながら、ポンプ用電動機12の駆動制御を行う。例えば、インバータ18の制御回路は、回転状態センサ12s3の検出信号に基づき、ポンプ用電動機12の動作状態を把握する。また、インバータ18の制御回路は、電流センサ12s1の検出信号及び電圧センサ12s2の検出信号(又は制御過程で生成する電圧指令値)に基づき、逐次、ポンプ用電動機12の回転軸の回転角等を推定することにより、ポンプ用電動機12の動作状態を把握してもよい。
【0068】
なお、インバータ18の駆動回路及び制御回路の少なくとも一方は、インバータ18の外部に設けられてもよい。
【0069】
バッテリモジュール19は、充電された電力を、ショベル200内の電子部品に供給するための構成とする。具体的な構成については後述する。
【0070】
<<ショベルの操作系>>
本実施形態に係るショベル200の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26と、圧力制御弁31とを含む。
【0071】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介してショベル200に搭載される各種油圧機器(例えば、圧力制御弁31)にパイロット圧を供給する。これにより、圧力制御弁31は、ショベルコントローラ30の制御下で、操作装置26の操作内容(例えば、操作量や操作方向)に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。そのため、ショベルコントローラ30及び圧力制御弁31は、オペレータの操作装置26に対する操作内容に応じた被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現することができる。また、圧力制御弁31は、ショベルコントローラ30の制御下で、遠隔操作信号で指定される遠隔操作の内容に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、ポンプ用電動機12により駆動される。
【0072】
操作装置26は、キャビン10の操縦席のオペレータから手の届く範囲に設けられ、オペレータがそれぞれの被駆動要素(即ち、下部走行体1の左右のクローラ、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等)の操作を行うために用いられる。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータ(例えば、走行油圧モータ1R,1L、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)や電動アクチュエータの操作を行うために用いられる。操作装置26は、例えば、電気式であり、オペレータによる操作内容に応じた電気信号(以下、「操作信号」)を出力する。操作装置26から出力される操作信号は、信号線28を介して、ショベルコントローラ30に取り込まれる。これにより、ショベルコントローラ30は、圧力制御弁31を制御し、オペレータの操作内容や自動運転機能に対応する操作指令等に合わせて、ショベル200の被駆動要素(アクチュエータ)の動作を制御することができる。
【0073】
操作装置26は、例えば、レバー26A~26Cを含む。レバー26Aは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、アーム5(アームシリンダ8)及び上部旋回体3(旋回動作)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。レバー26Bは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、ブーム4(ブームシリンダ7)及びバケット6(バケットシリンダ9)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。レバー26Cは、例えば、下部走行体1(クローラ)の操作を受け付け可能に構成されてよい。
【0074】
なお、コントロールバルブ17が電磁パイロット式の制御弁(方向切換弁)で構成される場合、電気式の操作装置26の操作信号は、コントロールバルブ17に直接入力され、それぞれの油圧制御弁が操作装置26の操作内容に応じた動作を行う態様であってもよい。また、操作装置26は、操作内容に応じたパイロット圧を出力する油圧パイロット式であってもよい。この場合、操作内容に応じたパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0075】
圧力制御弁31は、ショベルコントローラ30の制御下で、パイロットポンプ15からパイロットライン25を通じて供給される作動油を用いて、所定のパイロット圧を出力する。圧力制御弁31の二次側のパイロットラインは、コントロールバルブ17に接続され、圧力制御弁31から出力されるパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0076】
<<ショベルの電源系>>
ショベル200の電源系は、各種電気機器に電力を供給するための構成要素群である。また、ショベル200は、バッテリモジュール19の充電を行うための構成として、普通充電用車両インレット101と、急速充電用車両インレット102と、を含む。
【0077】
普通充電用車両インレット101は、外部の電源の所定のケーブル(以下「充電ケーブル」と称する)の先端部に設けられた充電コネクタ(充電用部材の一例)と接続可能に構成される。
【0078】
充電用AC-DCコンバータ103は、普通充電用車両インレット101を介して、外部の電源から供給された交流電力を、バッテリ192に充電可能な直流電力に変換して、バッテリモジュール19に供給する。
【0079】
急速充電用車両インレット102は、外部の電源(例えば充電ステーション)の充電ケーブルの先端部に設けられた充電コネクタ(充電用部材の一例)と接続可能に構成される。急速充電用車両インレット102は、例えば、CHAdeMO(登録商標)に基づいた急速充電を行うためのインレットである。本実施形態では、このような直流の充電方法を用いることで、AC―DCコンバータを介さずに、バッテリモジュール19に直流電力を供給できる。
【0080】
なお、本実施形態は、普通充電用車両インレット101(充電口の一例)及び急速充電用車両インレット102(充電口の一例)に接続する充電用部材として、充電ケーブルの先端部に設けられた充電コネクタで直接接続する例について説明する。しかしながら、本実施形態は、普通充電用車両インレット101、又は急速充電用車両インレット102に、充電コネクタで直接接続する手法に制限するものではない。例えば、無線給電方式による充電用部材を充電口に接続して、外部の電源から充電してもよい。
【0081】
本実施形態に係るショベル200のバッテリモジュール19は、ショベル200内の各構成に電力を供給する。バッテリモジュール19は、バッテリ192と、バッテリコントローラ191と、を含む。
【0082】
バッテリ192は、ショベル200内の各種構成に対して電力を供給する。例えば、バッテリ192は、充電(蓄電)された電力をポンプ用電動機12に供給する。また、バッテリ192は、ポンプ用電動機12の発電電力(回生電力)を充電する。
【0083】
バッテリ192は、外部の電源と充電ケーブルで接続されることにより充電(蓄電)される。
【0084】
バッテリ192は、例えば、リチウムイオンバッテリであり、相対的に高い出力電圧(例えば、数百ボルト)を有する。
【0085】
バッテリコントローラ191は、バッテリモジュール19内部の構成を制御する。例えば、バッテリコントローラ191は、(図示しない)温度センサからの出力結果からバッテリ192の温度状況の監視を行うと共に、バッテリ192のSOC(State Of Charge)を算出する。そして、バッテリコントローラ191は、温度センサの検出結果、及びSOCをショベルコントローラ30に出力する。これにより、ショベルコントローラ30は、キャビン10の内部の出力装置50(表示装置)に、バッテリ192の温度や、バッテリ192のSOCを表示させることができる。
【0086】
本実施形態に係るバッテリコントローラ191は、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102に、充電コネクタが接続されているか否かに応じて、充電可能な状態であるか否かを判定する。なお、本実施形態は、給電可能か否かの判定手法を、充電コネクタが接続されているか否かに応じた判定に制限するものではない。例えば、無線給電を行う場合に、外部の電源が設けられた充電設備との相互通信で、給電可能な状態であるか否かを判定する等、他の手法を用いてもよい。
【0087】
そして、バッテリコントローラ191は、外部の電源(例えば充電ステーション)と充電ケーブル及び充電コネクタで接続されたと判定した場合(換言すれば、給電可能な状態であると判定された場合)に、外部の電源が設けられた充電設備との間で通信を行う。バッテリコントローラ191は、当該充電設備と通信によって、充電設備から電力の供給が許可された場合に、外部の電源からの給電が開始される。また、バッテリコントローラ191は、外部の電源(例えば充電ステーション)が出力可能な最大電流値等の最大能力を取得してもよい。
【0088】
なお、バッテリモジュール19とポンプ用電動機12との間には、バッテリモジュール19の出力電圧を昇圧してポンプ用電動機12に印加するための電力変換装置が設けられてもよい。また、上述の如く、被駆動部の一部又は全部が電気駆動される場合、ポンプ用電動機12に代えて、又は、加えて、被駆動部を電気駆動する電動アクチュエータにバッテリモジュール19の電力が供給される。
【0089】
<<ショベルの制御系>>
本実施形態に係るショベル200の制御系は、ショベルコントローラ30と、出力装置50と、入力装置52と、通信I/F60と、空調装置80と、車載装置81と、撮像装置40と、を含む。
【0090】
空調装置80は、キャビン10の室内の空気の温度や湿度等を調整する。空調装置80は、例えば、冷暖兼用のヒートポンプサイクルを含むヒートポンプ式であってよい。また、空調装置80は、例えば、冷房用の冷凍サイクルと、暖房用のヒータとを含む構成であってもよい。暖房用のヒータは、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)や燃焼式ヒータ等である。空調装置80は、ヒートポンプサイクルや冷凍サイクル内を通流する冷媒を圧縮するコンプレッサを含うんでもよい。コンプレッサは、ポンプ用電動機12の動力で駆動されてもよい。
【0091】
本実施形態に係る空調装置80は、ショベルコントローラ30からの指示に従って動作するが、(図示しない)空調コントローラからの指示に従って動作してもよい。この場合、ショベルコントローラ30が、空調コントローラに信号を送信することで、空調装置80を制御できる。
【0092】
車載装置81は、キャビン10内に設けられた装置であって、例えば、ラジオ受信装置とする。車載装置81は、オペレータの操作に応じて音声等により様々な情報を提供できる。
【0093】
通信I/F60(入力装置の一例)は、通信回線NWを通じて、管理装置300又は支援装置400等のショベル200の外部と通信を行う。通信I/F60は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールや衛星通信網に接続するための衛星通信モジュール等を含む。
【0094】
出力装置50は、キャビン10内に設けられ、ショベルコントローラ30の制御下で、オペレータに向けて各種情報を出力する。出力装置50は、例えば、視覚的な方法で情報をオペレータに出力(通知)する表示装置50Bを含む。表示装置50Bは、例えば、キャビン10内のオペレータから視認し易い場所に設置され、ショベルコントローラ30の制御下で、各種情報画像を表示してよい。表示装置50Bは、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。また、出力装置50は、例えば、オペレータに対して聴覚的な方法で情報を出力する音声出力装置50Aを含む。音声出力装置50Aは、例えば、ブザーやスピーカ等である。
【0095】
入力装置52は、キャビン10内に設けられ、オペレータからの各種入力を受け付ける。入力装置52は、例えば、オペレータの操作入力を受け付ける操作入力装置を含んでよい。操作入力装置は、例えば、ボタン、トグル、レバー、タッチパネル、タッチパッド等を含む。また、入力装置52は、例えば、オペレータからの音声入力を受け付ける音声入力装置やオペレータからのジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置を含んでもよい。音声入力装置は、例えば、キャビン10内のオペレータの音声を取得するマイクロフォンを含む。また、ジェスチャ入力装置は、例えば、キャビン10内のオペレータのジェスチャの様子を撮像可能な室内カメラを含む。入力装置52で受け付けられるオペレータからの入力に対応する信号は、ショベルコントローラ30に取り込まれる。
【0096】
ショベルコントローラ30は、ショベル200の全体(ショベル200に搭載される各種機器)の動作を統合的に制御してよい。
【0097】
ショベルコントローラ30は、それぞれの機能が任意のハードウェア、又は、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、ショベルコントローラ30は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置(主記憶装置)、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び外部との入出力用のインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成されてよい。
【0098】
ショベルコントローラ30は、ショベル200の駆動制御を行う。ショベルコントローラ30は、例えば、操作装置26から入力される操作信号に応じて、圧力制御弁31に制御指令を出力し、圧力制御弁31から操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧を出力させる。これにより、ショベルコントローラ30は、電気式の操作装置26の操作内容に対応するショベル200の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0099】
また、ショベル200が遠隔操作される場合、ショベルコントローラ30は、例えば、遠隔操作に関する制御を行ってもよい。具体的には、ショベルコントローラ30は、圧力制御弁31に制御指令を出力し、圧力制御弁31から遠隔操作の内容に応じたパイロット圧を出力させてよい。これにより、ショベルコントローラ30は、遠隔操作の内容に対応するショベル200(被駆動要素)の動作を実現させることができる。
【0100】
また、ショベルコントローラ30は、例えば、自動運転機能に関する制御を行ってもよい。具体的には、ショベルコントローラ30は、圧力制御弁31に制御指令を出力し、自動運転機能に対応する操作指令に応じたパイロット圧を圧力制御弁31からコントロールバルブ17に作用させてよい。これにより、ショベルコントローラ30は、自動運転機能に対応するショベル200の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0101】
ショベルコントローラ30は、入力される各種情報(例えば、操作装置26の操作信号を含む制御指令等)に基づき、電気駆動系の駆動制御を行う。また、ショベルコントローラ30は、撮像装置40からの撮像画像に基づいて、出力装置50に対する画面の表示制御を行ってもよい。
【0102】
また、ショベルコントローラ30は、例えば、操作装置26の操作状態に基づき、バッテリモジュール19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。また、ショベルコントローラ30は、例えば、ショベル200が遠隔操作される場合、遠隔操作の内容に基づき、バッテリモジュール19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。また、ショベルコントローラ30は、例えば、ショベル200の自動運転機能が有効な場合、自動運転機能に対応する操作指令に基づき、バッテリモジュール19の放電状態と充電状態との切替制御を行ってよい。
【0103】
<管理装置の構成>
図3に示すように、管理装置300は、制御装置310と、通信インタフェース(I/F)320と、出力装置330と、入力装置340とを含む。
【0104】
制御装置310は、管理装置300に関する制御を行う。制御装置310は、例えば、任意のハードウェア、又は、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等によりその機能が実現されてよい。制御装置310は、例えば、CPU等のプロセッサ装置、RAM等のメモリ装置(主記憶装置)、ROM等の補助記憶装置、及び外部とのインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成されてよい。例えば、制御装置310は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードし、CPU上で実行することにより各種機能を実現する。プログラムのデータは、例えば、所定の外部インタフェースを通じて、所定の記録媒体から制御装置310により取得され、補助記憶装置にインストールされる。所定の記録媒体は、例えば、CD、DVD、BD、SDメモリカード、USBメモリ等の汎用の記録媒体を含む。また、所定の記録媒体は、管理装置300の診断ツール等の専用の記録媒体を含む。また、プログラムのデータは、管理装置300の外部のコンピュータから通信I/F320を通じてダウンロードされ、制御装置310の補助記憶装置にインストールされてもよい。
【0105】
通信I/F320は、通信回線NWを通じて、ショベル200、支援装置400、及び携帯通信装置500等の外部と通信を行うためのインタフェースである。
【0106】
出力装置330は、制御装置310の制御下で、管理装置ユーザに向けて各種情報を出力する。出力装置330は、例えば、管理装置ユーザに対して、視覚的な方法で情報を出力(通知)する表示装置を含む。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを含む。表示装置は、例えば、管理装置ユーザ向けの各種情報画像を表示してよい。
【0107】
また、出力装置330は、例えば、管理装置ユーザに対して、聴覚的な方法で情報を出力(通知)する音出力装置を含む。音出力装置は、例えば、スピーカやブザー等を含む。
【0108】
入力装置340は、管理装置ユーザからの各種入力を受け付ける。入力装置340は、例えば、管理装置ユーザからの操作入力を受け付ける操作入力装置を含む。操作入力装置は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、トグル、レバー、タッチパネル、タッチパッド等を含む。また、入力装置340は、例えば、管理装置ユーザからの音声入力を受け付ける音声入力装置やジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置を含む。音声入力装置は、例えば、管理装置ユーザの音声を取得するマイクロフォンを含む。ジェスチャ入力装置は、例えば、管理装置ユーザのジェスチャの様子を撮像可能な撮像装置を含む。入力装置340で受け付けられる管理装置ユーザからの入力に対応する信号は、制御装置310に取り込まれる。
【0109】
<支援装置の構成>
図3に示すように、支援装置400は、制御装置410と、通信インタフェース(I/F)420と、出力装置430と、入力装置440とを含む。
【0110】
制御装置410は、支援装置400に関する制御を行う。制御装置410は、例えば、任意のハードウェア、又は、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等によりその機能が実現されてよい。制御装置410は、例えば、CPU等のプロセッサ装置、RAM等のメモリ装置(主記憶装置)、ROM等の補助記憶装置、及び外部とのインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成されてよい。例えば、制御装置410は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードし、CPU上で実行することにより各種機能を実現する。プログラムのデータは、例えば、所定の外部インタフェースを通じて、所定の記録媒体から制御装置410により取得され、補助記憶装置にインストールされる。所定の記録媒体は、例えば、CD、DVD、BD、SDメモリカード、USBメモリ等の汎用の記録媒体を含む。また、所定の記録媒体は、支援装置400の診断ツール等の専用の記録媒体を含む。また、プログラムのデータは、支援装置400の外部(例えば、管理装置300)から通信I/F420を通じてダウンロードされ、制御装置410の補助記憶装置にインストールされてもよい。
【0111】
通信I/F420は、通信回線NWを通じて、管理装置300等の支援装置400の外部と通信を行う任意のデバイスである。通信I/F420は、例えば、LTE、4G、5G等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールであってよい。
【0112】
出力装置430は、制御装置410の制御下で、支援装置ユーザに向けて各種情報を出力する。
【0113】
出力装置430は、例えば、支援装置ユーザに対して、視覚的な方法で情報を出力(通知)する表示装置を含む。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを含む。表示装置は、例えば、支援装置ユーザ向けの各種情報画像を表示してよい。
【0114】
また、出力装置430は、例えば、支援装置ユーザに対して、聴覚的な方法で情報を出力(通知)する音出力装置を含む。音出力装置は、例えば、スピーカやブザー等を含む。
【0115】
入力装置440は、支援装置ユーザからの各種入力を受け付ける。入力装置440は、例えば、支援装置ユーザからの操作入力を受け付ける操作入力装置を含む。操作入力装置は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、トグル、レバー、タッチパネル、タッチパッド等を含む。また、入力装置440は、支援装置ユーザからの音声入力を受け付ける音声入力装置やジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置を含む。音声入力装置は、例えば、支援装置ユーザの音声を取得するマイクロフォンを含む。ジェスチャ入力装置は、例えば、支援装置ユーザのジェスチャの様子を撮像可能な撮像装置を含む。入力装置440で受け付けられる支援装置ユーザからの入力に対応する信号は、制御装置410に取り込まれる。
【0116】
<通信装置の構成>
携帯通信装置500は、制御装置510と、通信インタフェース(I/F)520と、出力装置530と、入力装置540とを含む。制御装置510、通信I/F520、出力装置530、及び入力装置540は、支援装置400が有する、制御装置410、通信I/F420、出力装置430、及び入力装置440と同様として説明を省略する。
【0117】
[SOCが低下した場合の説明]
ショベル200においては、バッテリコントローラ191が、バッテリ192のSOCを検出し、検出結果を、ショベルコントローラ30に出力する。そして、ショベルコントローラ30は、バッテリ192のSOCに基づいて様々な制御を行う。
【0118】
具体的には、ショベルコントローラ30は、バッテリ192のSOCが所定の閾値より低いか否かを判定する。そして、ショベルコントローラ30は、バッテリ192のSOCが所定の閾値(以下、警告閾値とも称する)より低いと判定した場合、ショベル200のオペレータに対して、ショベル200のバッテリ192の給電を促すための情報の例として、バッテリ192のSOCが低下したことを警告するポップアップ画面を表示する。
【0119】
つまり、本実施形態においては、バッテリ192のSOCが低下したタイミングで、画面の表示を切り替える。これにより、オペレータは、当該画面を参照したタイミングで、バッテリ192の充電が必要であることを認識できる。したがって、ショベル200は、オペレータの操作に従って給電ステーション(外部の電源の一例)まで移動して、バッテリ192の給電を開始できる。
【0120】
ところで、オペレータは、バッテリ192のSOCが警告閾値より低いことを認識したとしても、作業状況によっては、ショベル200による作業を継続する場合がある。また、オペレータは、当該ポップアップ画面の表示に気づかない可能性もある。
【0121】
そこで、本実施形態においては、ショベルコントローラ30は、バッテリ192のSOCが警告閾値より低くなった場合に、ポップアップ画面の表示のみならず、オペレータに対して、バッテリ192の充電を促すために様々な制御を行う。
【0122】
ショベルコントローラ30は、バッテリ192の充電を促すための様々な制御を行うために各種設定が行われる。そして、ショベルコントローラ30は、当該各種設定に応じた制御を行う。例えば、ショベルコントローラ30は、バッテリ192のSOCが警告閾値より低くなったタイミングで、表示装置50Bに対して、警告が示されたポップアップ画面の表示と共に、ショベル200が現在の状況で動作した場合の稼働可能時刻の表示を開始するように制御してもよい。他の例としては、ショベルコントローラ30は、当該タイミングで、キャビン10内に音声出力装置50Aで警報音の出力を開始してもよい。さらに、ショベルコントローラ30は、支援装置400の支援ユーザに対して、当該タイミングで、バッテリ192のSOCが低下した旨を示す通知を送信してもよい。他の例としては、ショベルコントローラ30は、当該タイミングで、ショベル200の出力を制限するために、ショベル200の動作モードを、省電力を優先するモードに変更してもよい。
【0123】
動作モードとは、ポンプ用電動機12の出力及び消費電力を調整するためのモードである。動作モードとしては、例えば、動作モードとは、"SP(Special)"モード、"A(Auto)4"モード~"A(Auto)1"モードが存在する。"SP(Special)"モードは、作業速度を優先するモードであって、消費電力が大きい。"A(Auto)4"モード~"A(Auto)1"モードは、作業速度と消費電力とのバランスをとる自動モードである。"A4"から"A1"まで数が小さくなるに従って、省電力を優先するために、消費電力が低下していき、作業速度が遅くなっていく。本実施形態では、例えば、ショベルコントローラ30は、動作モードの変更として、省電力を優先する"A1"モードに変更してもよい。
【0124】
<ショベルコントローラの機能ブロック>
図3に戻り、ショベルコントローラ30内の各機能ブロックについて説明する。ショベルコントローラ30内の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにより実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。
【0125】
本実施形態に係るショベルコントローラ30は、不揮発性の補助記憶装置に設定情報記憶部3011と、を備えている。
【0126】
設定情報記憶部3011は、オペレータに対して警告を行うための設定情報を記憶する。具体的な設定情報については後述する。
【0127】
さらに、本実施形態に係るショベルコントローラ30は、例えば、補助記憶装置にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、取得部3001と、出力制御部3002と、操作受付部3003と、通信制御部3004と、設定部3005と、判定部3006と、制御部3007と、充電制御部3008と、を備える。
【0128】
なお、ショベルコントローラ30の機能の一部は、他のコントローラにより実現されてもよい。つまり、ショベルコントローラ30の機能は、複数のコントローラにより、分散して実現されてもよい。
【0129】
取得部3001は、ショベル200内の各種構成の信号を取得する。例えば、取得部3001は、バッテリコントローラ191から、バッテリ192のSOC、バッテリ192の温度、及び充電コネクタが接続されたか否かを示す信号等を取得する。
【0130】
出力制御部3002は、出力装置50に対して各種情報を出力する。例えば、出力制御部3002は、表示装置50Bに画面情報を出力することで、表示装置50Bに各種画面を表示する。例えば、出力制御部3002は、バッテリ192のSOCに基づいた警告が表されたポップアップ画面を表示装置50Bに表示する。他の例としては、出力制御部3002は、警告を行うための設定画面を表示する。なお、設定画面、及びポップアップ画面については後述する。
【0131】
他の例としては、出力制御部3002は、音声出力装置50Aに音声情報を出力することで、音声出力装置50Aから音を出力する。
【0132】
操作受付部3003は、出力制御部3002により表示された画面に対する操作を受け付ける。例えば、操作受付部3003は、設定画面に対する、設定操作を受け付ける。
【0133】
通信制御部3004は、外部の通信装置(例えば、管理装置300又は支援装置400)との間の通信を制御する。
【0134】
また、通信制御部3004は、ショベル200による動作状態及びバッテリ192の状態を示した実績情報を、所定時間毎に、管理装置300に送信する。これにより、管理装置300は、ショベル200における動作状態を管理できる。
【0135】
例えば、設定画面は、表示装置50Bによる表示に制限するものではなく、管理装置300、支援装置400又は携帯通信装置500が表示してもよい。この場合、通信制御部3004は、管理装置300、支援装置400又は携帯通信装置500から、設定画面に対して行われた設定操作の情報を受信してもよい。
【0136】
設定部3005は、ショベル200のバッテリ192のSOCに基づいた警告を行うための設定を行う。例えば、設定部3005は、操作受付部3003から入力を受け付けた設定情報に従って、設定を行う。また、設定部3005は、通信制御部3004から受信した設定情報に従って、設定を行う。
【0137】
本実施形態に係る設定部3005による設定は、例えば、入力された又は受信した設定情報を、設定情報記憶部3011に登録してもよい。例えば、設定部3005は、事前注意及び警告を行う閾値となるバッテリ192のSOCを登録してもよい。
【0138】
警告とは、バッテリ192のSOCが低下したので、ショベル200を給電ステーションに戻すために行う。事前注意は、警告の前に、オペレータに対してバッテリ192のSOCが低下してきたことを気づかせるために行う。
【0139】
本実施形態においては、事前注意及び警告を行う閾値となるバッテリ192のSOCを設定可能とした。つまり、設定部3005は、ショベル200の作業環境に応じて、事前注意及び警告を行うタイミングを設定できる。これにより、ショベルコントローラ30は、当該設定に従ってオペレータに警告することで、より適切なタイミングで給電ステーションに戻ることを促すことができる。したがって、バッテリ192のSOCの低下によってショベル200が停止することを抑制できる。
【0140】
他の例としては、例えば設定部3005は、警告する具体的な手段を登録してもよい。本実施形態では、具体的な手段として、音声による警告、表示による警告、管理者への通知、動作モードの変更、空調装置80の停止、及び車載装置81の停止のうちいずれか一つ以上の設定を可能とするが、他の手段を設定してもよい。各手段については後述する。
【0141】
判定部3006は、取得部3001が取得したバッテリ192のSOCが、事前注意及び警告を行う閾値より低いか否かを判定する。閾値は、設定情報記憶部3011から読み出された情報とする。
【0142】
事前注意を行う閾値(以下、注意閾値とも称する)は、警告を行う前に、オペレータに対してショベル200のバッテリ192の残量が少なくなってきたことを事前に注意するための閾値とする。本実施形態では、注意閾値として、例えば30%が設定されているが、30%に制限するものではない。注意閾値は、オペレータに対して、バッテリ192のSOCが少なくなってきたことの注意を促すために、バッテリ192の特性及び作業環境に応じた値が設定されていればよい。
【0143】
つまり、バッテリ192のSOCが、注意閾値より少なくなったタイミングで、ショベルコントローラ30は、オペレータに対して、バッテリ192のSOCが少なくなってきたことの事前注意を行う。これにより、オペレータに対して、ショベル200による作業を終了させるための準備を行わせることができる。
【0144】
警告を行う閾値は、オペレータに対してショベル200を給電ステーションに戻すように警告を行うための閾値(以下、警告閾値とも称する)とする。本実施形態では、警告閾値として、例えば20%が設定されているが、20%に制限するものではない。警告閾値は、注意閾値よりも低い値であって、オペレータに対してショベル200を給電ステーションに戻すことを促す値が設定されていればよい。
【0145】
ところで、本実施形態に係るバッテリ192は、SOCが20%より低くなった場合に、劣化する特性を有したものとする。そこで、本実施形態に係るショベルコントローラ30は、SOCが20%になったタイミングで、給電ステーションに戻ることを促す制御を行う。
【0146】
つまり、バッテリ192のSOCが、20%に低下したタイミングで、ショベルコントローラ30が、オペレータに対して、ショベル200を給電ステーションに戻ることを促すことで、バッテリ192のSOCの低下によるショベル200の動作の停止を抑制すると共に、バッテリ192の劣化を抑制できる。
【0147】
出力制御部3002は、判定部3006によって、バッテリ192のSOCが注意閾値より低いと判定された場合に、設定情報記憶部3011に記憶されている設定情報に従って、事前注意を行う画面情報を、表示装置50Bに出力してもよい。
【0148】
また、出力制御部3002は、判定部3006によって、バッテリ192のSOCが警告閾値より低いと判定された場合に、設定情報記憶部3011に記憶されている設定情報に従って、警告を行う画面情報を、表示装置50Bに出力してもよい。警告を行う画面については後述する。
【0149】
また、出力制御部3002は、判定部3006によって、バッテリ192のSOCが警告閾値より低いと判定された場合に、警告するための音声を、音声出力装置50Aから出力してもよい。警告するための音声は、どのような音でもよく、例えば、ビープ音であってもよいし、合成音声による警告等であってもよい。
【0150】
通信制御部3004は、判定部3006によって、バッテリ192のSOCが警告閾値より低いと判定された場合に、設定情報記憶部3011に記憶されている設定情報に従って、バッテリ192の残量が低下した旨の通知を、支援装置400に対して送信してもよい。なお、本実施形態に係る通信制御部3004は、バッテリ192の残量が低下した旨の通知を、支援装置400に送信する例について説明するが、送信先を制限するものではなく、例えば、管理装置300に送信してもよいし、作業現場に存在する他の通信装置(例えば、他のショベル200)であってもよい。
【0151】
本実施形態に係る通信制御部3004は、ショベル200に関する実績情報(ショベル200の状態を示した情報の一例)を定期的に、管理装置300に送信している。実績情報とは、取得部3001が取得する各種センサからの検出結果を含んだ、ショベル200の現在の状況を示した情報であって、例えば、ショベル200のSOC及び駆動状況等が含まれる。通信制御部3004は、定期的に送信する実績情報に、バッテリ192のSOCが低下した旨の通知を含めて送信してもよい。この場合、管理装置300は、ショベル200のバッテリ192のSOCが低下したことによる警告が行われたことを認識できる。管理装置300の記録部3104は、当該警告が行われたことを、ログ記憶部3111に格納できる。つまり、管理装置300が、ショベルの状態として、バッテリ192のSOCの状態と共に警告の有無も管理できる。これにより、ショベル管理システムSYSでは、ショベル200の動作状態と共に、オペレータに対して行われた警告の把握が容易になり、異常が生じた際にどのような状態であったのか把握することが容易になる。したがって、安全性の向上を実現できる。さらに、管理装置300は、ショベル200から、バッテリ192のSOCが低下した通知を含んだ実績情報を受信した場合に、当該通知を、支援装置400に送信してもよい。
【0152】
設定情報記憶部3011に、支援装置400の送信先等のアドレス等が登録されていない場合、通信制御部3004は、バッテリの残量が低下した旨の通知を、管理装置300に対して送信してもよい。この場合、管理装置300が、ショベル200のバッテリ192の残量が低下した旨の通知を、支援装置400に対して送信してもよい。
【0153】
制御部3007は、判定部3006によって、バッテリ192のSOCが警告閾値より低いと判定された場合に、設定情報記憶部3011に記憶されている設定情報に従って、空調装置80及び車載装置81のうちいずれか一つ以上を停止する制御を行ってもよい。
【0154】
制御部3007が、空調装置80及び車載装置81のいずれか一つ以上を停止させることで、バッテリ192のSOCの低下を抑制し、ショベル200の稼働可能時間を延ばすことができる。
【0155】
また、本実施形態では、空調装置80及び車載装置81のいずれか一つ以上を停止させる例について説明するが、空調装置80及び車載装置81のいずれか一つ以上を停止させる手法に制限するものではない。例えば、バッテリ192のSOCが警告閾値より低いと判定された場合に、制御部3007は、SOCが警告閾値より低くなる前と比べて、空調装置80の出力の低減制御(例えば、外気の温度がキャビン10内より高い場合には目標温度を現在より高い温度に再設定したり、外気の温度がキャビン10内より低い場合には目標温度を現在より低い温度に再設定したり、風量を低下させたりする制御)を行ってもよい。さらには、バッテリ192のSOCが警告閾値より低いと判定された場合に、制御部3007は、車載装置81の出力(例えば、音量)の低減制御を行ってもよい。当該制御を行った場合でもショベル200の稼働可能時間を延ばすことができる。
【0156】
また、空調装置80を停止させた場合、キャビン10内の室内の快適性が徐々に低減していく。これにより、本実施形態は、快適な状態で作業を行うために、ショベル200を給電ステーションに戻すべきということを、オペレータに促すことができる。
【0157】
制御部3007は、判定部3006によって、バッテリ192のSOCが警告閾値より低いと判定された場合に、設定情報記憶部3011に記憶されている設定情報に従って、ショベル200の動作モードを、省電力を優先するモード(例えば、上述した"A1"モード)に変更してもよい。つまり、制御部3007は、省電力を優先するモードに変更することで、バッテリ192のSOCが警告閾値より低くなる前と比べて、バッテリ192からポンプ用電動機12に供給する電力量を低減する制御を行う。制御部3007が、当該制御を行うことで、バッテリ192のSOCの低下を抑制し、ショベル200の稼働可能時間を延ばすことができる。これによりバッテリ192が給電ステーションに戻る前の間に動かなくなることを抑制できる。さらには、ポンプ用電動機12から伝達される駆動力が低下するので、ショベル200の作業効率が低下する。これにより、本実施形態は、適切な駆動力で作業を行うために、ショベル200を給電ステーションに戻すべきということを、オペレータに促すことができる。
【0158】
充電制御部3008は、普通充電用車両インレット101又は急速充電用車両インレット102に充電コネクタが接続された場合に、充電コネクタからバッテリ192に充電するように制御を行う。具体的には、充電制御部3008は、充電の制御に関する指示を、バッテリコントローラ191に送信する。
【0159】
充電制御部3008は、バッテリコントローラ191から受信した、バッテリ192のSOC、及び給電ステーションの最大能力に基づいて、充電制御を行う。
【0160】
<表示画面に関する説明>
次に、出力制御部3002により出力される画面について説明する。
図4は、本実施形態に係る出力制御部3002により表示される、警告に関する設定画面を例示した図である。設定画面は、表示装置50Bに表示される他、管理装置300又は支援装置400に表示されてもよい。これにより、管理装置ユーザ又は支援装置ユーザは、警告に関する設定を行うことができる。
【0161】
図4に示されるように、警告に関する設定画面は、事前注意に関する表示欄5010と、警告に関する表示欄5020と、各種設定に関する表示欄5030と、を含んでいる。
【0162】
事前注意に関する表示欄5010は、チェックボックス5011と、SOCの設定欄5012と、を含んでいる。
【0163】
チェックボックス5011は、事前注意が表されたポップアップ表示を行うか否かを設定する欄とする。
図4に示される例では、チェックボックス5011がチェックされた状態であって、事前注意が表されたポップアップ画面を表示することが設定されている。
【0164】
SOCの設定欄5012は、事前注意が表されたポップアップ表示を行うタイミングとなる、SOCの注意閾値を設定するための欄である。
図4に示される例では、バッテリ192のSOCが"30%"になったタイミングで、事前注意が表されたポップアップ画面を表示することが設定されている。
【0165】
警告に関する表示欄5020は、チェックボックス5021と、SOCの設定欄5022と、音量設定欄5023と、警告用チェックボックス5024、5026~5028と、動作モード設定欄5025と、を含んでいる。
【0166】
チェックボックス5021は、警告が表されたポップアップ表示を行うか否かを設定する欄とする。
図4に示される例では、チェックボックス5021がチェックされた状態であって、警告が表されたポップアップ画面を表示することが設定されている。
【0167】
SOCの設定欄5022は、警告が表されたポップアップ表示を行うSOCの閾値である、警告閾値を設定するための欄である。
図4に示される例では、バッテリ192のSOCが"18%"になったタイミングで、事前注意が表されたポップアップ画面を表示することが設定されている。
【0168】
上述したように、バッテリ192のSOCが20%より低い状態で、ショベル200を駆動させていると、バッテリ192の劣化が大きくなる、換言すればバッテリ192の寿命が短くなる傾向にある。そこで、本実施形態では、SOCの設定欄5012に、20%より小さい数値が設定された場合には、出力制御部3002が、バッテリ192が劣化する旨のポップアップ画面5041を表示する。ユーザが、当該ポップアップ画面5041を参照して、20%以上の値を再設定することで、バッテリ192の劣化を抑制できる。
【0169】
なお、SOCの設定欄5022に設定される閾値は、ショベル200の動作状況に応じて任意の値を設定可能である。例えば、25%を設定してもよいし、(バッテリ192の劣化することを認識していれば)10%又は15%を設定してもよい。以下に示す処理手順では、SOCの設定欄5022に"20%"が設定された場合について説明する。
【0170】
音量設定欄5023は、警告を行う際に出力制御部3002が出力する音量を設定するための欄である。
図4に示される例では、音量"大"が設定されている。
【0171】
警告用チェックボックス5024は、警告を行う際に動作モードを変更するか否かを設定する欄とする。
図4に示される例では、チェックされた状態である。
【0172】
動作モード設定欄5025は、警告用チェックボックス5024がチェックされている場合に、ショベル200の動作モードの変更先の設定欄である。
図4に示される例では、"A1"モードが設定された状態である。
【0173】
警告用チェックボックス5026は、警告を行う際に空調装置80を停止するか否かを設定する。
図4に示される例では、チェックされた状態、換言すれば、警告を行う際に空調装置80を停止させることが設定されている。
【0174】
警告用チェックボックス5027は、警告を行う際に車載装置81(例えばラジオ受信装置)を停止するか否かを設定する。
図4に示される例では、チェックされた状態、換言すれば、警告を行う際に車載装置81を停止させることが設定されている。
【0175】
警告用チェックボックス5028は、警告を行う際に管理者に通知を行うか否かを設定する欄とする。
図4に示される例では、チェックされた状態、換言すれば、警告を行う際に管理者の支援装置400に通知を行うことが設定されている。
【0176】
OKボタン5001が押下された場合、操作受付部3003が、設定画面で設定された情報を受け付ける。リターンボタン5002が押下された場合、設定画面で入力された情報を破棄して、設定画面の前に表示していた画面に戻る。
【0177】
そして、設定部3005は、
図4に示された設定画面に設定された情報を、設定情報記憶部3011に登録する。そして、通信制御部3004は、設定画面に設定された情報を、管理装置300に送信する。管理装置300の記録部3104は、設定画面に設定された情報を、ログ記憶部3111に登録する。これにより、管理装置ユーザは、ショベル200の設定を把握できる。
【0178】
そして、ショベルコントローラ30は、設定画面で設定された情報に基づいて、事前注意及び警告を行う。例えば、出力制御部3002は、バッテリ192のSOCが、注意閾値より低くなった場合に、事前注意が表されたポップアップ画面を表示する。その後、出力制御部3002は、バッテリ192のSOCが、警告閾値より低くなった場合に、警告が表されたポップアップ画面を表示する。さらに、出力制御部3002は、バッテリ192のSOCが、警告閾値より低くなった場合に、表示画面に表示される情報も一部変更する。次に、具体的な変更箇所を含めた表示画面について説明する。
【0179】
図5は、本実施形態に係る出力制御部3002により表示される、警告が表されたポップアップ画面を例示した図である。
図5に示される表示画面は、表示装置50Bに表示されている表示画面に、ポップアップ画面4051を表示した例である。
【0180】
動作モード欄4001は、ショベル200のポンプ用電動機12の消費電力量を調整する動作モードの選択・表示欄である。
図5に示される例では、"A1"モードが選択されている。"A1"モードは、警告の際に変更された動作モードである。"A1"モードが設定されたことで、"A1"モードの設定前と比べて、ポンプ用電動機12に対して供給される電力量が低減されている。
【0181】
走行モード欄4002は、ショベル200の走行モードの選択欄である。操作受付部304は、走行モード欄4002の押下を受け付けた場合に、走行モードを選択する操作を受け付けることができる。操作受付部304は、走行モード欄4002から、低速走行モードと、高速走行モードとから、選択を受け付けることができる。
図5で示される例では、低速走行モードが選択されている。
【0182】
オートアイドリングストップ設定欄4003は、ショベル200が一定時間動作していない場合にポンプ用電動機12を停止させるか否かを表示する欄である。
図5に示される例では、他の設定画面で行われた設定に従って、オートアイドリングストップを行う旨の設定がなされている。
【0183】
さらに、
図5に示される表示画面では、表示領域4020と、ショベルのアイコン4021と、が表示されている。表示領域4020は、4個の撮像装置40のうちいずれか一つ撮像した撮像画像が表される。アイコン4021は、表示領域4020に表された撮像画像を撮像する撮像装置40の撮像方向を示している。表示領域4020及びアイコン4021によって、オペレータは、ショベル200の周囲の状況を認識できる。
【0184】
また、
図5に示される表示画面では、ショベル200のポンプ用電動機12等を冷却する冷却システムの水温を示すインジケータ4013と、作動油の温度を示すインジケータ4014と、が表示されている。
【0185】
また、
図5に示される表示画面では、現在の状況を継続した場合の稼働可能時間(稼働可能時間情報)の表示欄4011と、稼働可能時間を示すインジケータ4012と、が表示されている。
【0186】
図5に示される表示画面では、インジケータ4012で稼働時間が減っていることが表されている。
【0187】
本実施形態に係る出力制御部3002は、バッテリ192のSOCが、警告閾値より低くなった場合に、現在の状況を継続した場合の稼働可能時間を表示欄4011に表示を開始する。
図5で示される例では、アイコンと共に"20min"と表示される。表示欄4011に表示される稼働可能時間は、バッテリ192のSOCが減っていくにしたがって少なるよう表示される。
【0188】
このように、表示欄4011の表示が開始されることで、バッテリ192のSOCが低下してきたことをオペレータに認識させることができる。なお、表示欄4011に表示される稼働可能時間は、バッテリ192のSOCに基づいて算出された値である。算出手法は、周知の手法を用いるものとして、説明を省略する。
【0189】
そして、出力制御部3002は、ポップアップ画面4051に、バッテリ192のSOCが低下したので、給電ステーションにショベル200を戻すことを促すインフォメーション(例えば"バッテリの残量が低下してきました")を表示する。なお、ポップアップ画面4051は、表示領域4020の上に重畳しないように表示される。これにより、オペレータは、警告を表すポップアップ画面4051が表示された場合でも、周囲の状況を確認できる。
【0190】
また、
図5に示される表示画面が表示された際に、動作モードが"A1"モードが設定されている。このため、ポンプ用電動機12に供給される電力量が低下する。これにより、ショベル200の駆動力が低下する。
図5で示される表示画面では、動作モードが"A1"モードと表示すると共に、ポップアップ画面4051を表示する。これにより、オペレータは、当該表示画面を参照することで、ショベル200の駆動力の低下がバッテリ192のSOCの低下によるものであると認識できる。そして、オペレータは、これ以上作業を行うのは難しいと判断して、給電ステーションに戻すための作業を開始できる。
【0191】
<警告に関する制御の流れ>
次に、本実施形態に係るショベル200におけるバッテリ192のSOCに基づいた警告に関する制御の流れについて説明する。
【0192】
図6は、本実施形態に係るショベルコントローラ30による、バッテリ192のSOCに基づいた警告に関する制御を示したフローチャートである。
図6で示される例では、
図4に示される設定画面において、事前注意に関する表示欄5010のチェックボックス5011と、警告に関する表示欄5020のチェックボックス5021と、が設定されている場合、換言すれば、事前注意及び警告の表示を行う場合について説明する。
【0193】
取得部3001は、バッテリコントローラ191から、バッテリ192のSOCを取得する(S6001)。
【0194】
判定部3006は、バッテリ192のSOCが30%(注意閾値の一例)以下になったか否かを判定する(S6002)。バッテリ192のSOCが30%より大きいと判定した場合(S6002:No)、再びS6001から処理を行う。
【0195】
一方、判定部3006は、バッテリ192のSOCが30%(注意閾値の一例)以下になったと判定した場合(S6002:Yes)、出力制御部3002は、バッテリ192に関する事前注意を促すポップアップ画面を表示装置60Bに表示する(S6003)。
【0196】
その後、取得部3001は、バッテリコントローラ191から、バッテリ192のSOCを取得する(S6004)。
【0197】
判定部3006は、バッテリ192のSOCが20%(警告閾値の一例)以下になったか否かを判定する(S6005)。バッテリ192のSOCが20%より大きいと判定した場合(S6005:No)、再びS6004から処理を行う。
【0198】
一方、判定部3006は、バッテリ192のSOCが20%(警告閾値の一例)以下になったと判定した場合(S6005:Yes)、通信制御部3004は、設定情報記憶部3011に記憶されている設定情報に従って、バッテリ192の残量が低下した旨の通知を、支援装置400に対して送信する(S6006)。なお、設定情報に管理者(支援装置400)に送信しない旨の設定がなされている場合、通信制御部3004は、通知を抑制する。
【0199】
制御部3007は、設定情報記憶部3011に記憶されている設定情報に従って、ポンプ用電動機12の動作モードを変更する(S6007)。例えば、制御部3007は、動作モードを、"SP"モードから"A1"モードに変更する。なお、設定情報に動作モードを変更しない旨の設定がなされている場合、制御部3007は、動作モードの変更を抑制する。
【0200】
制御部3007は、設定情報記憶部3011に記憶されている設定情報に従って、空調装置80及び車載装置81のうちいずれか一つ以上を停止する制御を行う(S6008)。なお、設定情報に、空調装置80及び車載装置81を停止させない旨の設定がなされている場合、制御部3007は、空調装置80及び車載装置81の停止制御を行わない。
【0201】
出力制御部3002は、設定情報記憶部3011に記憶されている設定情報に従って、警告するための音声(警告音)を、音声出力装置50Aから出力する(S6009)。なお、設定情報に、音量が設定されていない場合、出力制御部3002は、警告するための音声の出力を行わない。
【0202】
出力制御部3002は、設定情報記憶部3011に記憶されている設定情報に従って、警告するためのポップアップ画面を、表示装置50Bに表示する(S6010)。また、表示画面においては、S6007で動作モードが変更された場合、及びS6008で空調装置80及び車載装置81のうちいずれか一つ以上を停止した場合、その旨を表示してもよい。
【0203】
本実施形態では、上述した処理を行うことで、音の出力及び画面の表示によって、バッテリ192のSOCが低下してきたことを、オペレータに認識させることができる。
【0204】
さらに、バッテリ192のSOCが20%(警告閾値の一例)以下になった場合に、制御部3007が、動作モードが省電力優先のモードに切り替えられるので、オペレータは、これ以上作業を効率よく進めるのが難しくなる。このため、給電ステーションに戻ることを促すことができる。
【0205】
次に、ショベル管理システムSYS間で行われるデータの送受信について説明する。
図7は、本実施形態に係るショベル管理システムSYS間で行われるデータの送受信を示したシーケンス図である。
図7に示される例では、実績情報を管理装置300に送信し、バッテリ192のSOCが低下したことの通知を支援装置400に送信する例について説明するが、当該送信に制限するものではなく、例えば、実績情報及び通知を管理装置300に送信してもよい。
【0206】
ショベル200の通信制御部3004は、ショベル200の実績情報を、定期的に管理装置300に送信する(S7001)。
【0207】
管理装置300の通信制御部3103が、実績情報を受信した場合、記録部3104は、実績情報を、ログ記憶部3111に蓄積する(S7002)。これにより、ショベル200の動作履歴が保存される。
【0208】
ショベル200の判定部3006は、バッテリ192のSOCが20%(警告閾値の一例)以下になったと判定する(S7003)。S7003は、
図6のS6005が"Yes"の場合と同様の処理とする。
【0209】
そして、判定部3006がバッテリ192のSOCが20%(警告閾値の一例)以下になったと判定した場合、通信制御部3004が、バッテリ192のSOCが低下した旨の通知を、支援装置400に対して送信する(S7004)。S7004は、
図6のS6006と同様の処理とする。
【0210】
そして、支援装置400の通信制御部4103が、ショベル200から通知を受け付けた場合、表示処理部4101が、通知に対応する画面を表示する(S7005)。これにより、支援装置ユーザ(作業現場の監督者、又はショベル200のオーナ等)は、ショベル200のバッテリ192が低下していることを認識できる。
【0211】
そして、支援装置400の通信制御部4103が、携帯通信装置500との間で通話を開始する(S7006)。通話を開始するための操作としては、例えば、S7005で表示された画面に、携帯通信装置500と通話するためのリンク情報が表示されていてもよい。操作受付部4102が、当該リンク情報の選択を受け付けた際に、支援装置400の通信制御部4103が、携帯通信装置500との間で通話を開始する。また、通信装置との通信手法は、通話、換言すれば、音声による情報の送受信に制限するものではなく、メール又はSNSによるメッセージの送信等であってもよい。そして、支援装置ユーザは、ショベル200のオペレータに対して、ショベル200を給電ステーションに戻すように指示する。
【0212】
これにより、ショベル管理システムSYSにおいては、上述した処理を行うことで、支援装置400を所有する支援装置ユーザが、ショベル200のバッテリ192のSOCが低下したことを認識できる。支援装置ユーザは、ショベル200を操作しているオペレータとの間の連絡で、オペレータに対して、ショベル200を給電ステーションに戻すように促すことができる。
【0213】
これにより、オペレータは、動作が停止する前にショベル200を給電ステーションに戻す前に、ショベル200の動作が停止することを抑制できる。
【0214】
本実施形態においては、ショベル200から直接、支援装置400に通知を行う例について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、ショベル200から直接、支援装置400に通知を行う例に制限するものではない。例えば、ショベル200から、管理装置300に通知を行った後、管理装置300が、支援装置400に通知を行ってもよい。これにより、ショベル200に支援装置400の送信先が登録されていなくとも、ショベル200から支援装置400に通知を行うことができる。
【0215】
(変形例)
上述した実施形態では、判定部3006がバッテリ192のSOCが20%(警告閾値の一例)以下になったと判定した場合、通信制御部3004が、バッテリ192のSOCが低下した旨の通知を、支援装置400に対して送信する例について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、通知先を支援装置400に制限するものではない。
【0216】
例えば、ショベル200が作業現場に複数存在する場合、ショベル200間で通知を行ってもよい。
【0217】
例えば、第1のショベル200において、判定部3006が、バッテリ192のSOCが20%(警告閾値の一例)以下になったと判定した場合、バッテリ192の残量が低下した旨の通知を、同じ作業現場に存在する他のショベル200に対して送信する。これにより、作業現場で作業しているオペレータ間で、ショベル200のバッテリ192の状態を共有できる。したがって、一つのショベル200がバッテリ192の残量の低下によって、給電ステーションに戻る場合に、他のショベル200が、給電ステーションに戻るショベル200が行っていた作業の引継ぎなどのフォローを行うことができる。
【0218】
<作用>
上述した実施形態及び変形例に係るショベル200は、上述した構成を備えることで、バッテリ192のSOCが、警告閾値(所定の閾値の一例)より低い場合に、バッテリ192の充電を促す旨のポップアップ画面及び音声のうち一つ以上を出力する。したがって、オペレータに対してショベル200に対して充電を行うように促すことで、充電を開始する前にショベル200がバッテリ192のSOCの低下によって動作が停止することを抑制できる。つまり、ショベル200が途中で動作停止することを抑制するので、当該ショベルが障害物となって他のショベル又は車両が作業又は移動できなくなることを抑制できる。したがって、安全性の向上を実現できる。
【0219】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0220】
200 ショベル
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 キャビン
191 バッテリコントローラ
192 バッテリ
30 ショベルコントローラ
40 撮像装置
50 出力装置
52 入力装置
60 通信インタフェース
80 空調装置
81 車載装置
3001 取得部
3002 出力制御部
3003 操作受付部
3004 通信制御部
3005 設定部
3006 判定部
3007 制御部
3008 充電制御部
3011 設定情報記憶部
300 管理装置
310 制御装置
320 通信インタフェース
330 出力装置
340 入力装置
3101 表示処理部
3102 操作受付部
3103 通信制御部
3104 記録部
3111 ログ記憶部
400 支援装置
410 制御装置
420 通信インタフェース
430 出力装置
440 入力装置
4101 表示処理部
4102 操作受付部
4103 通信制御部
500 携帯通信装置
510 制御装置
520 通信インタフェース
530 出力装置
540 入力装置