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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150960
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20231005BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20231005BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E02F9/22 E
E02F9/24 K
E02F9/24 C
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060322
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 純一
(72)【発明者】
【氏名】本田 圭二
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA06
2D003BA07
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003FA02
2D015GA02
2D015GA03
2D015GB03
2D015HA03
2D015HB00
(57)【要約】
【課題】より適切にショベルの挙動に関する制御を行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、上部旋回体3と、ブーム4と、アーム5と、バケット6と、ブーム4を駆動するブームシリンダ7と、アーム5を駆動するアームシリンダ8と、バケット6を駆動するバケットシリンダ9と、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の圧力のうちのブームシリンダ7及びアームシリンダ8の圧力の検出値のみを用いて、ショベル100の挙動に関する制御を行うコントローラ30と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるブームと、
前記ブームの先端に取り付けられるアームと、
前記アームの先端に取り付けられるエンドアタッチメントと、
前記ブームを駆動する第1の油圧シリンダと、
前記アームを駆動する第2の油圧シリンダと、
前記エンドアタッチメントを駆動する第3の油圧シリンダと、
前記第1の油圧シリンダ、前記第2の油圧シリンダ、及び前記第3の油圧シリンダの作動油の圧力のうちの前記第1の油圧シリンダ及び前記第2の油圧シリンダの作動油の圧力の検出値のみを用いて、ショベルの挙動に関する制御を行う制御装置と、を備える、
ショベル。
【請求項2】
前記第3の油圧シリンダの作動油のするセンサを搭載しない、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記第3の油圧シリンダの圧力を検出するセンサを備え、
前記制御装置は、前記センサに異常がある場合に、前記第1の油圧シリンダ、前記第2の油圧シリンダ、及び前記第3の油圧シリンダの圧力のうちの前記第1の油圧シリンダ及び前記第2の油圧シリンダの圧力のみを用いて、ショベルの挙動に関する制御を行う、
請求項1に記載のショベル。
【請求項4】
ショベルの挙動に関する制御は、エンドアタッチメントに作用する外力に対するショベルの挙動の安定化に関する制御である、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のショベル。
【請求項5】
ショベルの挙動に関する制御は、エンドアタッチメントに作用する外力により変化する、ショベルの挙動の安定度合いをユーザに対して視覚化するための制御である、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のショベル。
【請求項6】
前記制御装置は、前記アームから見た、前記エンドアタッチメントに作用する外力の着力点を所定の位置にあると仮定して、ショベルの挙動に関する制御を行う、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
エンドアタッチメントを駆動する油圧シリンダの圧力の検出値を用いて、ショベルの挙動に関する制御を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/071314号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、アタッチメントの先端に位置するエンドアタッチメントには、作業時の衝撃が直接作用する。そのため、例えば、エンドアタッチメントを駆動する油圧シリンダの圧力センサ等、エンドアタッチメントやそれを駆動する油圧シリンダに設置されるセンサ類は、ブームやアームに位置するセンサに比して、故障の可能性が相対的に高くなる。よって、ショベルの挙動に関する制御の信頼性の観点で改善の余地がある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、より適切にショベルの挙動に関する制御を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるブームと、
前記ブームの先端に取り付けられるアームと、
前記アームの先端に取り付けられるエンドアタッチメントと、
前記ブームを駆動する第1の油圧シリンダと、
前記アームを駆動する第2の油圧シリンダと、
前記エンドアタッチメントを駆動する第3の油圧シリンダと、
前記第1の油圧シリンダ、前記第2の油圧シリンダ、及び前記第3の油圧シリンダの作動油の圧力のうちの前記第1の油圧シリンダ及び前記第2の油圧シリンダの作動油の圧力の検出値のみを用いて、ショベルの挙動に関する制御を行う制御装置と、を備える、
ショベルが提供される。
【発明の効果】
【0007】
上述の実施形態によれば、より適切にショベルの挙動に関する制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ショベルの一例を示す側面図である。
図2】ショベルのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】ショベルの油圧駆動系及び操作系の油圧回路の一例を示す図である。
図4】ブームシリンダを駆動する制御弁の一例を示す図である。
図5】ブームシリンダを駆動する制御弁の一例を示す図である。
図6】作動油保持回路の一例を示す図である。
図7】ショベルの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図8】ショベル100の排土動作の直前の状態の一例を示す図である。
図9】ショベルの姿勢安定度に関する表示の一例を示す図である。
図10】ショベルの姿勢安定度に関する表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0010】
[ショベルの概要]
まず、図1を参照して、本実施形態に係るショベル100の概要について説明をする。以下、ショベル100の上面視で、アタッチメントATが延び出す方向を"前"として、ショベル100の前後左右の方向に関する説明を行う場合がある。
【0011】
図1は、ショベル100の一例を示す側面図である。
【0012】
図1に示すように、ショベル100は、下部走行体1と、上部旋回体3と、ブーム4、アーム5、及び、バケット6を含むアタッチメントATと、キャビン10とを備える。
【0013】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、左右のクローラがそれぞれに対応する走行油圧モータ1ML,1MR(図2参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
【0014】
上部旋回体3は、旋回機構2を介して下部走行体1に旋回可能に搭載される。例えば、上部旋回体3は、旋回油圧モータ2Mで旋回機構2が油圧駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
【0015】
ブーム4は、左右方向に沿う回転軸を中心として俯仰可能なように、上部旋回体3の前部中央に取り付けられる。アーム5は、左右方向に沿う回転軸を中心として回転可能なように、ブーム4の先端に取り付けられる。バケット6は、左右方向に沿う回転軸を中心として回転可能なように、アーム5の先端に取り付けられる。
【0016】
バケット6(エンドアタッチメントの一例)は、ショベル100の作業内容に応じて、適宜交換可能な態様で、アーム5の先端に取り付けられている。
【0017】
また、アーム5の先端には、バケット6に代えて、バケット6とは異なる種類のバケット、例えば、相対的に大きい大型バケット、法面用バケット、浚渫用バケット等が取り付けられてもよい。また、アーム5の先端には、バケット以外の種類のエンドアタッチメント、例えば、攪拌機、ブレーカ、クラッシャー等が取り付けられてもよい。また、アーム5と、エンドアタッチメントとの間には、例えば、クイックカップリングやチルトローテータ等の予備アタッチメントが設けられてもよい。
【0018】
ブーム4、アーム5、及び、バケット6は、それぞれ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0019】
キャビン10は、オペレータが搭乗し、ショベル100を操作するための操縦室であり、例えば、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
【0020】
ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、下部走行体1(即ち、左右一対のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を動作させる。
【0021】
また、ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータによって操作可能に構成されるのに代えて、或いは、加えて、ショベル100の外部から遠隔操作(リモート操作)が可能に構成されてもよい。ショベル100が遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0022】
遠隔操作には、例えば、遠隔操作支援装置で行われるショベル100のアクチュエータに関する操作入力によって、ショベル100が操作される態様が含まれる。
【0023】
遠隔操作支援装置は、例えば、ショベル100の作業を外部から管理する管理センタ等に設けられる。また、遠隔操作支援装置は、可搬型の操作端末であってもよく、この場合、オペレータは、ショベル100の周辺からショベル100の作業状況を直接確認しながらショベル100の遠隔操作を行うことができる。
【0024】
遠隔操作支援装置の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現される。例えば、遠隔操作支援装置は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、インタフェース装置、入力装置、及び表示装置を含むコンピュータを中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。補助記憶装置は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Disc)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリ等である。インタフェース装置は、外部の記録媒体と接続するための外部インタフェースやショベル100等の外部と通信を行う通信インタフェースを含む。入力装置は、例えば、レバー式の操作入力装置を含む。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。オペレータは、入力装置を用いて、ショベル100のアクチュエータに関する操作入力を行い、遠隔操作支援装置は、通信インタフェースを用いて、操作入力に対応する信号をショベル100に送信する。これにより、オペレータは、遠隔操作支援装置を利用したショベル100の遠隔操作を行うことができる。
【0025】
具体的には、ショベル100は、例えば、自機に搭載される通信装置を通じて、後述の撮像装置40が出力する撮像画像に基づくショベル100の前方を含む周辺の様子を表す画像(以下、「周辺画像」)を遠隔操作支援装置に送信してよい。そして、遠隔操作支援装置は、ショベル100から受信される画像(周辺画像)を表示装置に表示させてよい。また、ショベル100のキャビン10の内部の出力装置50(表示装置50A)に表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、遠隔操作支援装置の表示装置にも表示されてよい。これにより、遠隔操作支援装置を利用するオペレータは、例えば、表示装置に表示されるショベル100の周辺の様子を表す画像や情報画面等の表示内容を確認しながら、ショベル100を遠隔操作することができる。そして、ショベル100は、通信装置により遠隔操作支援装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。
【0026】
また、遠隔操作には、例えば、ショベル100の周囲の人(例えば、作業者)のショベル100に対する外部からの音声入力やジェスチャ入力等によって、ショベル100が操作される態様が含まれてよい。具体的には、ショベル100は、自機に搭載される音声入力装置(例えば、マイクロフォン)やジェスチャ入力装置(例えば、撮像装置)等を通じて、周囲の作業者等により発話される音声や作業者等により行われるジェスチャ等を認識する。そして、ショベル100は、認識した音声やジェスチャ等の内容に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してもよい。
【0027】
また、ショベル100は、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能(「自動運転機能」或いは「MC(Machine Control:マシンコントロール)機能」)を実現することができる。
【0028】
自動運転機能には、例えば、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、操作対象の被駆動要素(アクチュエータ)以外の被駆動要素(アクチュエータ)を自動で動作させる機能(「半自動運機能」或いは「操作支援型MC機能」)が含まれる。また、自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作がない前提で、複数の被駆動要素(アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(「完全自動運転機能」或いは「全自動型MC機能」)が含まれてよい。ショベル100において、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、ショベル100が自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自律的に自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が決定される態様(「自律運転機能」)が含まれてもよい。
【0029】
また、ショベル100の作業は遠隔監視(リモート監視)されてもよい。この場合、遠隔操作支援装置と同様の機能を有する遠隔監視支援装置が設けられてもよい。これにより、ユーザである監視者は、遠隔監視支援装置を用いて、遠隔監視支援装置の表示装置に表示される周辺画像を確認しながら、ショベル100の自動運転機能による作業の状況を監視することができる。また、例えば、監視者は、安全性の観点から必要と判断した場合、遠隔監視支援装置の入力装置を用いて、所定の入力を行うことによって、ショベル100のオペレータによる操作や自動運転機能による操作に介入し緊急停止させることができる。
【0030】
[ショベルのハードウェア構成]
次に、図1に加えて、図2図6を参照して、ショベル100のハードウェア構成について説明する。
【0031】
図2は、ショベル100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3は、ショベル100の油圧駆動系及び操作系の油圧回路の一例を示す図である。図4は、ブームシリンダ7を駆動する制御弁175Rの一例を模式的に示す拡大図である。図5は、ブームシリンダ7を駆動する制御弁175Lの一例を模式的に示す拡大図である。図6は、作動油保持回路90の一例を示す図である。
【0032】
尚、図2図3では、機械的動力が伝達される経路は二重線、油圧アクチュエータを駆動する高圧の作動油が流れる経路は実線、パイロット圧が伝達される経路は破線、電気信号が伝達される経路は点線でそれぞれ示される。
【0033】
ショベル100は、被駆動要素の油圧駆動に関する油圧駆動系、被駆動要素の操作に関する操作系、ユーザとの情報のやり取りに関するユーザインタフェース系及び各種制御に関する制御系等のそれぞれの構成要素を含む。
【0034】
≪油圧駆動系≫
図2図3に示すように、ショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、及びアタッチメントAT等の被駆動要素のそれぞれを油圧駆動する油圧アクチュエータHAを含む。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17と、ネガコン絞り18L,18Rと、作動油保持回路90と、を含む。
【0035】
油圧アクチュエータHAには、走行油圧モータ1ML,1MR、旋回油圧モータ2M、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等が含まれる。
【0036】
尚、ショベル100は、油圧アクチュエータHAの一部又は全部が電動アクチュエータに置換されてもよい。つまり、ショベル100は、ハイブリッドショベルや電動ショベルであってもよい。
【0037】
エンジン11は、ショベル100の原動機であり、油圧駆動系におけるメイン動力源である。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。エンジン11は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。エンジン11は、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。
【0038】
尚、エンジン11に代えて、或いは、加えて、他の原動機(例えば、電動機)等がショベル100に搭載されてもよい。
【0039】
レギュレータ13は、コントローラ30の制御下で、メインポンプ14の吐出量を制御(調節)する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(以下、「傾転角」)を調節する。
【0040】
図3に示すように、レギュレータ13は、後述のメインポンプ14L,14Rのそれぞれに対応するレギュレータ13L,13Rを含む。
【0041】
メインポンプ14は、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載される。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30の制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることによりピストンのストローク長が調整され、吐出流量や吐出圧が制御される。
【0042】
図3に示すように、メインポンプ14は、メインポンプ14L,14Rを含む。
【0043】
コントロールバルブ17は、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作の内容、或いは、コントローラ30から出力される自動運転機能に関する操作指令に応じて、油圧アクチュエータHAを駆動する。自動運転機能に対応する操作指令は、コントローラ30が生成してもよいし、自動運転機能に関する制御を行う他の制御装置(演算装置)が生成してもよい。コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載される。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ラインを介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、オペレータの操作、或いは、自動運転機能に対応する操作指令に応じて、それぞれの油圧アクチュエータに選択的に供給する。
【0044】
図3に示すように、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータHAのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する制御弁171,172,173,174,175L,175R、176L,176Rを含む。
【0045】
ショベル100の油圧駆動系は、エンジン11により駆動されるメインポンプ14L,14Rのそれぞれから、センタバイパス油路C1L,C1R、パラレル油路C2L,C2Rを経て作動油タンクTまで作動油を循環させる。
【0046】
センタバイパス油路C1Lは、メインポンプ14Lを起点として、コントロールバルブ17内に配置される制御弁171,173,175L,176Lを順に通過し、作動油タンクTに至る。
【0047】
センタバイパス油路C1Rは、メインポンプ14Rを起点として、コントロールバルブ17内に配置される制御弁172,174,175R,176Rを順に通過し、作動油タンクTに至る。
【0048】
制御弁171は、走行油圧モータ1MLを駆動するスプール弁である。具体的には、制御弁171は、メインポンプ14Lが吐出する作動油を走行油圧モータ1MLの一方のポートへ供給し、且つ、走行油圧モータ1ML内の作動油を他方のポートから作動油タンクTに排出する。
【0049】
制御弁172は、走行油圧モータ1MRを駆動するスプール弁である。具体的には、制御弁172は、メインポンプ14Rが吐出する作動油を走行油圧モータ1MRの一方のポートへ供給し、且つ、走行油圧モータ1MR内の作動油を他方のポートから作動油タンクTへ排出する。
【0050】
制御弁173は、旋回油圧モータ2Mを駆動するスプール弁である。具体的には、制御弁173は、メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回油圧モータ2Mの一方のポートへ供給し、且つ、旋回油圧モータ2M内の作動油を他方のポートから作動油タンクTへ排出する。
【0051】
制御弁174は、バケットシリンダ9を駆動するスプール弁である。具体的には、制御弁174は、メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9の一方の油室へ供給し、且つ、バケットシリンダ9の他方の油室の作動油を作動油タンクTへ排出する。
【0052】
制御弁175L,175Rは、ブームシリンダ7を駆動するスプール弁である。
【0053】
制御弁175Rは、メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7の一方の油室へ供給し、且つ、ブームシリンダ7の他方の油室の作動油を作動油タンクTへ排出する。図4に示すように、制御弁175Rは、再生回路175Raを含む。
【0054】
再生回路175Raは、ブームシリンダ7のボトム側の油室から排出される作動油の一部を、チェック弁175Rbを介してブームシリンダ7のロッド側の油室に再生する。これにより、ブーム4の下げ動作時に、ショベル100のエネルギ消費(燃料消費)を抑制し、ショベル100のエネルギ効率(燃料消費率)を向上させることができる。
【0055】
制御弁175Lは、メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7のボトム側の油室に供給し、且つ、ブームシリンダ7のロッド側の油室の作動油を作動油タンクTに排出する。また、制御弁175Lは、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油を、制御弁175Lから見た下流側のセンタバイパス油路C1Lに排出することで、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油を、制御弁176Lを介してアームシリンダ8に再生する。これにより、例えば、ブーム4の下げ動作とアーム5の開き動作とが同時に行われる場合に、ショベル100のエネルギ消費(燃料消費)を抑制し、ショベル100のエネルギ効率(燃料消費率)を向上させることができる。図5に示すように、制御弁175Lは、再生回路175Laを含む。
【0056】
再生回路175Laは、ブームシリンダ7のボトム側の油室と繋がる油路と、センタバイパス油路C1Lの制御弁175Lから見た下流側とを接続する。再生回路175Laは、再生絞り175Lbと、チェック弁175Lcとを含む。
【0057】
再生絞り175Lbは、再生回路175Laにおいて、チェック弁175Lcよりもブームシリンダ7側に設けられ、再生回路175Laの圧力を上昇させる。
【0058】
チェック弁175Lcは、再生回路175Laにおいて、再生絞り175Lbよりもセンタバイパス油路C1L側に設けられ、再生絞り175Lbの作用による再生回路175Laの圧力上昇に伴い開弁する。これにより、再生回路175Laは、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油を、センタバイパス油路C1L及び制御弁176Lを介してアームシリンダ8に再生することができる。
【0059】
制御弁176L,176Rは、アームシリンダ8を駆動するスプール弁である。具体的には、制御弁176Lは、メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8の一方の油室へ供給し、且つ、アームシリンダ8の他方の油室の作動油を作動油タンクTへ排出する。制御弁176Rは、メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8の一方の油室へ供給し、且つ、アームシリンダ8の他方の油室の作動油を作動油タンクTへ排出する。
【0060】
制御弁171,172,173,174,175L,175R,176L,176Rは、それぞれ、パイロットポートに作用するパイロット圧に応じて、油圧アクチュエータHAに給排される作動油の流量を調整したり、流れる方向を切り換えたりする。
【0061】
パラレル油路C2Lは、センタバイパス油路C1Lと並列的に、制御弁173,175L,176Lにメインポンプ14Lの作動油を供給する。具体的には、パラレル油路C2Lは、制御弁171の上流側でセンタバイパス油路C1Lから分岐し、制御弁171,173,175L,176Rのそれぞれに並列してメインポンプ14Lの作動油を供給可能に構成される。これにより、パラレル油路C2Lは、制御弁171,173,175Lの何れかによってセンタバイパス油路C1Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0062】
パラレル油路C2Rは、センタバイパス油路C1Rと並列的に、制御弁174,175R,176Rにメインポンプ14Rの作動油を供給する。具体的には、パラレル油路C2Rは、制御弁172の上流側でセンタバイパス油路C1Rから分岐し、制御弁172,174,175R,176Rのそれぞれに並列してメインポンプ14Rの作動油を供給可能に構成される。これにより、パラレル油路C2Rは、制御弁172,174,175Rの何れかによってセンタバイパス油路C1Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0063】
作動油保持回路90は、操作装置26を通じてブーム4の下げ方向の操作(以下、「ブーム下げ操作」)が行われていない場合に、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油(の油圧)を保持する。これにより、例えば、作動油保持回路90は、ブームシリンダ7側を上流としたときの下流側で、作動油の漏れ等が発生した場合であっても、ブーム4が下げ方向に落下するような事態を防止できる。
【0064】
図6に示すように、作動油保持回路90は、コントロールバルブ17とブームシリンダ7のボトム側の油室との間を接続する高圧油圧ラインに設けられる。作動油保持回路90は、主に、保持弁90aと、スプール弁90bとを含む。本例では、図5中において、2つのブームシリンダ7が示されるが、メインポンプ14とブームシリンダ7との間にコントロールバルブ17と作動油保持回路90が設けられる点は、何れのブームシリンダ7についても同様である。そのため、一方のブームシリンダ7(図中の右側のブームシリンダ7)についての油圧回路を中心に説明する。
【0065】
保持弁90aは、コントロールバルブ17からブームシリンダ7のボトム側の油室への作動油の流入を許容する。具体的には、保持弁90aは、操作装置26に対するブーム4の上げ方向の操作(以下、「ブーム上げ操作」)に対応し、油路901を通じてコントロールバルブ17から供給される作動油を、油路903を通じてブームシリンダ7のボトム側の油室に供給する。一方、保持弁90aは、ブームシリンダ7のボトム側の油室(油路903)からコントロールバルブ17に接続される油路901への作動油の流出を遮断する。保持弁90aは、例えば、ポペット弁である。
【0066】
また、保持弁90aは、油路901から分岐する油路902の一端に接続され、油路902に配置されるスプール弁90bを通じてブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油を下流の油路901(コントロールバルブ17)に排出することができる。具体的には、保持弁90aは、油路902に設けられるスプール弁90bが非連通状態(図中の左端のスプール位置)の場合、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油が作動油保持回路90の下流側(油路901)に排出されないように保持する。一方、保持弁90aは、スプール弁90bが連通状態(図中の中央或いは右端のスプール位置)の場合、油路902を経由して、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油を作動油保持回路90の下流側に排出することができる。
【0067】
スプール弁90bは、油路902に設けられ、保持弁90aにより遮断されるブームシリンダ7のボトムの側油室の作動油を作動油保持回路90の下流(油路901)に迂回して排出させることができる。スプール弁90bは、油路902を非連通にする第1のスプール位置(図中の左端のスプール位置)、油路902を絞って連通にする第2のスプール位置(図中の中央のスプール位置)、及び、油路902を全開で連通にする第3のスプール位置(図中の右端のスプール位置)を有する。このとき、第2のスプール位置において、スプール弁90bは、パイロットポートに入力されるパイロット圧の大きさに応じて、その絞り度合いが可変される。
【0068】
スプール弁90bは、パイロットポートにパイロット圧が入力されない場合、スプールが第1のスプール位置にあり、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油は、油路902を経由した作動油保持回路90の下流(油路901)に排出されない。一方、スプール弁90bは、そのパイロットポートにパイロット圧が入力される場合、そのパイロット圧の大きさに応じて、スプールが第2の位置或いは第3の位置の何れかにある。具体的には、スプール弁90bは、パイロットポートに作用するパイロット圧が大きくなるほど、第2の位置における絞り度合いが小さくなると共に、スプールが第2のスプール位置から第3のスプール位置に近づく。そして、スプール弁90bは、パイロットポートに作用するパイロット圧がある程度大きくなると、スプールが第3のスプール位置になる。
【0069】
また、本例では、スプール弁90bにパイロット圧を入力するパイロット回路が設けられる。このパイロット回路は、パイロットポンプ15と、ブーム下げ用リモコン弁26Aaと、電磁比例弁92と、シャトル弁94とを含む。
【0070】
ブーム下げ用リモコン弁26Aaは、パイロットライン25Aを通じて、パイロットポンプ15と接続される。ブーム下げ用リモコン弁26Aaは、操作装置26のうちのブームシリンダ7を操作するレバー装置に含まれ、パイロットポンプ15から供給される作動油を利用して、ブーム下げ操作に対応するパイロット圧をパイロットライン27Aに出力する。
【0071】
電磁比例弁92は、パイロットポンプ15とブーム下げ用リモコン弁26Aaとの間のパイロットライン25Aから分岐し、ブーム下げ用リモコン弁26Aaをバイパスしてシャトル弁94の一方の入力ポートに接続されるパイロットライン25Bに設けられる。電磁比例弁92は、コントローラ30からの制御指令に応じて、パイロットライン25Bの連通/非連通を切り換えると共に、パイロットライン25Bの連通状態における流路面積、つまり、流量を比例的に変化させることができる。
【0072】
尚、電磁比例弁92に代えて、パイロットライン25Bの連通状態と非連通状態との切り換えだけが可能な電磁切換弁が採用されてもよい。
【0073】
シャトル弁94は、一方の入力ポートにパイロットライン25Bの一端が接続され、他方のポートには、ブーム下げ用リモコン弁26Aaの二次側のパイロットライン27Aの一端が接続される。シャトル弁94は、2つの入力ポートのうちのパイロット圧が高い方の作動油をスプール弁90bのパイロットポートに出力する。これにより、ブーム下げ操作がされている場合、シャトル弁94からスプール弁90bのパイロットポートにパイロット圧が作用し、スプール弁90bが連通状態になる。そのため、スプール弁90bは、操作装置26(レバー装置)に対するブーム下げ操作に対応して、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油を油路902経由で作動油保持回路90の下流(油路901)に排出することができる。つまり、スプール弁90bは、操作装置26に対するブーム下げ操作と連動し、操作装置26を通じてブーム下げ操作が行われる場合に、保持弁90aにより遮断された作動油をブームシリンダ7のボトム側の油室から排出する。また、シャトル弁94は、操作装置26を通じてブーム下げ操作がされていない場合であっても、コントローラ30による制御下で、電磁比例弁92からシャトル弁94を経由してスプール弁90bのパイロットポートにパイロット圧を作用させることができる。そのため、コントローラ30は、電磁比例弁92を介して作動油保持回路90(スプール弁90b)の作動油保持機能を解除し、操作装置26(レバー装置)に対するブーム下げ操作の有無に依らず、油路902を連通状態にして、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油を作動油保持回路90の下流(油路901)に排出させることができる。
【0074】
≪操作系≫
図2図3に示すように、ショベル100の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26と、油圧制御弁60とを含む。
【0075】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して各種油圧機器にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載される。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、エンジン11により駆動される。
【0076】
尚、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、メインポンプ14から吐出される相対的に高い圧力の作動油が所定の減圧弁により減圧された後の相対的に低い圧力の作動油がパイロット圧として各種油圧機器に供給されてよい。
【0077】
操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各種被駆動要素の操作を行うために用いられる。具体的には、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータHAの操作を行うために用いられ、その結果として、油圧アクチュエータHAの駆動対象の被駆動要素のオペレータによる操作を実現することができる。操作装置26は、それぞれの被駆動要素(油圧アクチュエータHA)を操作するためのペダル装置やレバー装置を含む。
【0078】
例えば、図2に示すように、操作装置26は、油圧パイロット式である。具体的には、操作装置26は、パイロットライン25を通じてパイロットポンプ15から供給される作動油を利用し、操作内容に応じたパイロット圧を二次側のパイロットライン27に出力する。パイロットライン27は、コントロールバルブ17に接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における各種被駆動要素(油圧アクチュエータHA)に関する操作内容に応じたパイロット圧が入力されうる。そのため、コントロールバルブ17は、オペレータ等による操作装置26に対する操作内容に応じて、それぞれの油圧アクチュエータHAを駆動することができる。
【0079】
また、操作装置26は、電気式であってもよい。具体的には、操作装置26は、操作内容に応じた電気信号(以下、「操作信号」)を出力し、操作信号は、コントローラ30に取り込まれる。そして、コントローラ30は、操作信号に応じて、操作装置26の操作内容に応じた制御指令を、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17のパイロットポートとの間を結ぶパイロットラインに設けられる油圧制御弁(以下、「操作用制御弁」)に出力する。これにより、操作用制御弁からコントロールバルブ17に操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧が入力され、コントロールバルブ17は、操作装置26の操作内容に応じて、それぞれの油圧アクチュエータHAを駆動することができる。これにより、操作用制御弁から操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧がコントロールバルブ17に供給される。そのため、コントロールバルブ17は、オペレータ等の操作装置26に対する操作内容に応じた、それぞれの油圧アクチュエータHAの動作を実現することができる。
【0080】
また、ショベル100が遠隔操作される場合や遠隔監視される場合に、操作用制御弁が利用されてもよい。例えば、コントローラ30は、遠隔操作支援装置や遠隔監視支援装置から受信される遠隔操作信号に応じて、遠隔操作の内容に応じた制御指令を操作用制御弁に出力する。これにより、操作用制御弁から遠隔操作の内容に応じたパイロット圧がコントロールバルブ17に供給される。そのため、コントロールバルブ17は、遠隔オペレータによる遠隔操作の内容に応じた、それぞれの油圧アクチュエータHAの動作を実現することができる。
【0081】
同様に、ショベル100が自動運転機能を有する場合についても、操作用制御弁が利用されてもよい。例えば、コントローラ30は、自動運転機能による油圧アクチュエータHAの操作を表す操作指令に応じて、操作指令に対応する制御指令を操作用制御弁に出力する。操作指令は、コントローラ30により生成されてもよいし、他の制御装置により生成されてもよい。これにより、操作用制御弁から自動運転機能による油圧アクチュエータの動作に応じたパイロット圧がコントロールバルブ17に供給される。そのため、コントロールバルブ17は、自動運転機能に対応するそれぞれの油圧アクチュエータHAの動作を実現することができる。
【0082】
また、コントロールバルブ17に内蔵される、それぞれの油圧アクチュエータHAを駆動する制御弁は、電磁ソレノイド式であってもよい。この場合、操作装置26から出力される操作信号、遠隔操作信号、或いは、自動運転機能による油圧アクチュエータHAの操作を表す操作指令がコントロールバルブ17に、即ち、電磁ソレノイド式の制御弁に直接入力されてもよい。これにより、コントロールバルブ17の電磁ソレノイド式の制御弁は、オペレータの操作内容、或いは、自動運転機能に対応する操作指令に応じた、それぞれの油圧アクチュエータHAの動作を実現することができる。
【0083】
また、上述の如く、油圧アクチュエータHAの一部又は全部は電動アクチュエータに置換されてもよい。この場合、コントローラ30は、操作装置26の操作信号、遠隔操作信号、或いは、自動運転機能に対応する操作指令に応じた制御指令を電動アクチュエータ或いは電動アクチュエータを駆動するドライバ等に出力してよい。これにより、電動アクチュエータは、オペレータの操作内容、或いは、自動運転機能に対応する操作指令に応じた、それぞれの油圧アクチュエータHAの動作を実現することができる。
【0084】
操作装置26は、例えば、ブーム4(ブームシリンダ7)、アーム5(アームシリンダ8)、バケット6(バケットシリンダ9)、及び上部旋回体3(旋回油圧モータ2M)のそれぞれを操作するレバー装置を含む。また、操作装置26は、例えば、左右の下部走行体1(走行油圧モータ1ML,1MR)のそれぞれを操作するペダル装置或いはレバー装置を含む。
【0085】
油圧制御弁60は、コントローラ30からの制御指令(制御電流)で動作し、パイロットライン25を通じてパイロットポンプ15から供給される作動油を用いて、制御弁175Lのブーム4の下げ動作に対応するパイロットポートにパイロット圧を供給する。コントローラ30は、ブーム4の下げ動作、及びアーム5の開き動作が同時に行われる場合に、油圧制御弁60に制御指令を出力する。コントローラ30は、例えば、操作装置26の操作内容、遠隔操作信号の内容、或いは、操作指令の内容に応じて、ブーム4の下げ動作、及びアーム5の開き動作が同時に行われているか否かを判断できる。また、コントローラ30は、例えば、撮像装置40(カメラ40F)の撮像画像に基づき、ブーム4の下げ動作、及びアーム5の開き動作が同時に行われているか否かを判断してもよい。これにより、油圧制御弁60は、コントローラ30からの制御下で、制御弁175Lのスプールを図5中の右側に移動させ、再生回路175Laを通じて、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油をアームシリンダ8のロッド側の油室に供給できる。コントローラ30は、油圧制御弁60を通じて、制御弁175Lのスプールの中立位置からの移動量を調整し、再生回路175Laを通じたブームシリンダ7のボトム側の油室からアームシリンダ8のロッド側の油室への作動油の再生流量を調整できる。
【0086】
≪ユーザインタフェース系≫
図1図3に示すように、ショベル100のユーザインタフェース系は、操作装置26と、出力装置50と、入力装置52とを含む。
【0087】
出力装置50は、ショベル100のユーザ(例えば、キャビン10のオペレータや外部の遠隔操作のオペレータ)やショベル100の周辺の人(例えば、作業者や作業車両の運転者)等に向けて各種情報を出力する。出力装置50は、表示装置50Aと、音出力装置50Bとを含む。
【0088】
表示装置50Aは、各種の情報画像を表示し、視覚的な方法で各種情報をユーザに対して出力する。表示装置50Aは、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等である。
【0089】
また、出力装置50は、例えば、警告灯等、視覚的な方法で各種情報を出力する照明装置等を含んでもよい。
【0090】
例えば、図1に示すように、表示装置50Aや照明装置は、キャビン10の内部に設けられ、キャビン10の内部のオペレータ等に視覚的な方法で各種情報を出力してよい。また、表示装置50Aや照明機器は、キャビン10の内部に代えて、或いは、加えて、上部旋回体3の側面等のキャビン10の外部に設けられ、ショベル100の周囲の作業者等に視覚的な方法で各種情報を出力してもよい。
【0091】
音出力装置50Bは、聴覚的な方法で各種情報を出力する。音出力装置50Bには、例えば、ブザーやスピーカ等が含まれる。音出力装置50Bは、例えば、キャビン10の内部及び外部の少なくとも一方に設けられ、キャビン10の内部のオペレータやショベル100の周囲の人(作業者等)に聴覚的な方法で各種情報を出力してよい。
【0092】
また、出力装置50は、キャビン10の内部の操縦席の振動等の触覚的な方法で各種情報をユーザに対して出力する装置を含んでもよい。
【0093】
入力装置52は、ショベル100のユーザからの各種入力を受け付ける。入力装置52により受け付けられる入力に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。入力装置52は、例えば、キャビン10の内部に設けられ、キャビン10の内部のオペレータ等からの入力を受け付ける。また、入力装置52は、例えば、上部旋回体3の側面等のキャビン10の外部に設けられ、ショベル100の周辺の作業者等からの入力を受け付けてもよい。
【0094】
例えば、入力装置52は、ユーザからの機械的な操作による入力を受け付ける操作入力装置を含む。操作入力装置には、表示装置に実装されるタッチパネル、表示装置の周囲に設置されるタッチパッド、ボタンスイッチ、レバー、トグル、操作装置26(レバー装置)に設けられるノブスイッチ等が含まれてよい。
【0095】
また、入力装置52は、ユーザの音声入力を受け付ける音声入力装置を含んでもよい。音声入力装置には、例えば、マイクロフォンが含まれる。
【0096】
また、入力装置52は、ユーザのジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置を含んでもよい。ジェスチャ入力装置には、例えば、ユーザが行うジェスチャの様子を撮像する撮像装置が含まれる。
【0097】
また、入力装置52は、ユーザの生体入力を受け付ける生体入力装置を含んでもよい。生体入力には、例えば、ユーザの指紋、虹彩等の生体情報の入力が含まれる。
【0098】
≪制御系≫
図2図3に示すように、本実施形態に係るショベル100の制御系は、コントローラ30を含む。また、ショベル100の制御系は、操作圧センサ29と、撮像装置40と、ブーム姿勢センサS1と、アーム姿勢センサS2と、機体傾斜センサS4と、旋回状態センサS5と、ブームシリンダ圧センサS7と、アームシリンダ圧センサS8とを含む。
【0099】
コントローラ30は、ショベル100に関する各種制御を行う。
【0100】
コントローラ30の機能は、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、図2に示すように、コントローラ30は、バスB1で接続される、補助記憶装置30A、メモリ装置30B、CPU30C、及びインタフェース装置30Dを含む。
【0101】
補助記憶装置30Aは、不揮発性の記憶手段であり、インストールされるプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。補助記憶装置30Aは、例えば、EEPROMやフラッシュメモリ等である。
【0102】
メモリ装置30Bは、例えば、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置30AのプログラムをCPU30Cが読み込み可能なようにロードする。メモリ装置30Bは、例えば、SRAMである。
【0103】
CPU30Cは、例えば、メモリ装置30Bにロードされるプログラムを実行し、プログラムの命令に従って、コントローラ30の各種機能を実現する。
【0104】
インタフェース装置30Dは、例えば、ショベル100の内部の通信回線に接続するための通信インタフェースとして機能する。インタフェース装置30Dは、接続する通信回線の種類に合わせて、複数の異なる種類の通信インタフェースを含んでよい。
【0105】
また、インタフェース装置30Dは、記録媒体からのデータの読み取りや記録媒体へのデータの書き込みのための外部インタフェースとして機能する。記録媒体は、例えば、キャビン10の内部に設置されるコネクタに着脱可能なケーブルで接続される専用ツールである。また、記録媒体は、例えば、SDメモリカードやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の汎用の記録媒体であってもよい。これにより、コントローラ30の各種機能を実現するプログラムは、例えば、可搬型の記録媒体によって提供され、コントローラ30の補助記憶装置30Aにインストールされうる。また、プログラムは、ショベル100に搭載される通信装置を通じて、ショベル100の外部の他のコンピュータからダウンロードされ、補助記憶装置30Aにインストールされてもよい。
【0106】
尚、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散して実現される態様であってもよい。
【0107】
操作圧センサ29は、油圧パイロット式の操作装置26の二次側(パイロットライン27A)のパイロット圧、即ち、操作装置26におけるそれぞれの被駆動要素(油圧アクチュエータ)の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。操作圧センサ29による操作装置26におけるそれぞれの被駆動要素(油圧アクチュエータHA)に関する操作状態に対応するパイロット圧の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0108】
尚、操作装置26が電気式である場合、操作圧センサ29は省略される。コントローラ30は、操作装置26から取り込まれる操作信号に基づき、操作装置26を通じたそれぞれの被駆動要素の操作状態を把握することができるからである。
【0109】
撮像装置40は、ショベル100の周辺の画像を取得する。また、撮像装置40は、取得した画像及び後述の距離に関するデータに基づき、撮像範囲(画角)内におけるショベル100の周辺の物体の位置及び外形を表す三次元データを取得(生成)してもよい。ショベル100の周辺の物体の三次元データは、例えば、物体の表面を表す点群の座標情報のデータや距離画像データ等である。
【0110】
例えば、図1に示すように、撮像装置40は、上部旋回体3の前方を撮像するカメラ40F、上部旋回体3の後方を撮像するカメラ40B、上部旋回体3の左方を撮像するカメラ40L、及び上部旋回体3の右方を撮像するカメラ40Rを含む。これにより、撮像装置40は、ショベル100の上面視において、ショベル100を中心とする全周、即ち360度の角度方向に亘る範囲を撮像することができる。また、オペレータは、表示装置50Aや遠隔操作支援装置(表示装置)を通じて、カメラ40B,40L,40Rの撮像画像や当該撮像画像に基づき生成される加工画像等の周辺画像を視認し、上部旋回体3の左方、右方、及び後方の様子を確認することができる。また、オペレータは、遠隔操作支援装置(表示装置)を通じて、カメラ40Fの撮像画像や当該撮像画像に基づき生成される加工画像等の周辺画像を視認することで、バケット6を含むアタッチメントATの動作を確認しながら、ショベル100を遠隔操作することができる。また、監視者は、カメラ40F,40B,40L,40Rの撮像画像や当該撮像画像に基づき生成される加工画像等の周辺画像を視認し、ショベル100の作業状況を監視することができる。以下、カメラ40F,40B,40L,40Rを包括的に、或いは、個別に、「カメラ40X」と称する場合がある。
【0111】
カメラ40Xは、例えば、単眼カメラである。また、カメラ40Xは、例えば、ステレオカメラ、TOF(Time Of Flight)カメラ等(以下、包括的に「3Dカメラ」)のように、二次元の画像に加えて、距離(深度)に関するデータを取得可能であってもよい。
【0112】
撮像装置40(カメラ40X)の出力データ(例えば、画像データやショベル100の周辺の物体の三次元データ等)は、一対一の通信線や車載ネットワークを通じて、コントローラ30に取り込まれる。これにより、例えば、コントローラ30は、カメラ40Xの出力データに基づき、ショベル100の周辺の物体に関する監視を行うことができる。また、例えば、コントローラ30は、カメラ40Xの出力データに基づき、ショベル100の周辺環境を判断することができる。また、例えば、コントローラ30は、カメラ40X(カメラ40F)の出力データに基づき、撮像画像に映るアタッチメントATの姿勢状態を判断することができる。また、例えば、コントローラ30は、カメラ40Xの出力データに基づき、ショベル100の周辺の物体を基準として、ショベル100の機体(上部旋回体3)の姿勢状態を判断することができる。
【0113】
尚、カメラ40F,40B,40L,40Rのうちの一部又は全部が省略されてもよい。例えば、ショベル100の遠隔操作が行われない場合、カメラ40Fやカメラ40Lは、省略されてもよい。ショベル100の前方や左側方の様子は、キャビン10のオペレータから見て、比較的確認しやすいからである。また、撮像装置40(カメラ40X)に代えて、或いは、加えて、距離センサが上部旋回体3に設けられてもよい。距離センサは、例えば、上部旋回体3の上部に取り付けられ、ショベル100を基準とする周辺の物体の距離及び方向に関するデータを取得する。また、距離センサは、取得したデータに基づき、センシング範囲内におけるショベル100の周辺の物体の三次元データ(例えば、点群の座標情報のデータ)を取得(生成)してもよい。距離センサは、例えば、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。また、例えば、距離センサは、例えば、ミリ波レーダや超音波センサや赤外線センサ等であってもよい。
【0114】
ブーム姿勢センサS1は、ブーム4に取り付けられ、ブーム4の上部旋回体3との連結部に相当する基端の回転軸回りの姿勢角度(以下、「ブーム角度」)を検出する。ブーム姿勢センサS1は、例えば、ロータリポテンショメータ、ロータリエンコーダ、加速度センサ、角加速度センサ、6軸センサ、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)等を含む。以下、アーム姿勢センサS2、機体傾斜センサS4についても同様であってよい。また、ブーム姿勢センサS1は、ブームシリンダ7の伸縮位置を検出するシリンダセンサを含んでもよい。以下、アーム姿勢センサS2についても同様であってもよい。ブーム姿勢センサS1によるブーム角度の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、ブーム4の姿勢状態を把握することができる。
【0115】
アーム姿勢センサS2は、アーム5に取り付けられ、アーム5のブーム4との連結部に相当する基端の回転軸回りの姿勢角度(以下、「アーム角度」)を検出する。アーム姿勢センサS2によるアーム角度の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、アーム5の姿勢状態を把握することができる。
【0116】
機体傾斜センサS4は、所定の基準面(例えば、水平面)に対する機体(例えば、上部旋回体3)の傾斜状態を検出する。機体傾斜センサS4は、例えば、上部旋回体3に取り付けられ、ショベル100(即ち、上部旋回体3)の前後方向及び左右方向の2軸回りの傾斜角度(以下、「前後傾斜角」及び「左右傾斜角」)を検出する。機体傾斜センサS4により検出される傾斜角度(前後傾斜角及び左右傾斜角)に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、機体(上部旋回体3)の傾斜状態を把握することができる。
【0117】
旋回状態センサS5は、上部旋回体3に取り付けられ、上部旋回体3の旋回状態に関する検出情報を出力する。旋回状態センサS5は、例えば、上部旋回体3の旋回角速度や旋回角度を検出する。旋回状態センサS5は、例えば、ジャイロセンサ、レゾルバ、ロータリエンコーダ等を含む。旋回状態センサS5により検出される旋回状態に関する検出情報は、コントローラ30に取り込まれる。
【0118】
尚、機体傾斜センサS4に3軸回りの角速度を検出可能なジャイロセンサ、6軸センサ、IMU等が含まれる場合、機体傾斜センサS4の検出信号に基づき上部旋回体3の旋回状態(例えば、旋回角速度)が検出されてもよい。この場合、旋回状態センサS5は、省略されてもよい。
【0119】
ブームシリンダ圧センサS7は、ブームシリンダ7に取り付けられ、ブームシリンダ7の油室内の作動油の圧力を検出する。ブームシリンダ圧センサS7は、ブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bを含む。
【0120】
ブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bは、それぞれ、ブームシリンダ7のロッド側の油室の作動油の圧力(以下、「ブームロッド圧」)及びボトム側の油室の作動油の圧力(以下、「ブームボトム圧」)を検出する。ブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bによるブームロッド圧及びブームボトム圧に対応する検出信号は、それぞれ、コントローラ30に取り込まれる。
【0121】
アームシリンダ圧センサS8は、アームシリンダ8に取り付けられ、アームシリンダ8の油室内の作動油の圧力を検出する。アームシリンダ圧センサS8は、アームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bを含む。
【0122】
アームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bは、それぞれ、アームシリンダ8のロッド側の油室の圧力(以下、「アームロッド圧」)、及びボトム側の油室の圧力(以下、「アームボトム圧」)を検出する。アームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bによるアームロッド圧及びアームボトム圧に対応する検出信号は、それぞれ、コントローラ30に取り込まれる。
【0123】
[ショベルの機能構成]
次に、図1図6に加えて、図7図10を参照して、ショベル100(コントローラ30)の機能構成について説明する。
【0124】
図7は、ショベル100(コントローラ30)の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図8は、ショベル100のバケット6の土砂等の収容物を外部に排出する動作(以下、便宜的に「排土動作」)の直前の状態の一例を示す図である。以下、アタッチメントATの稼働面に沿ってx軸及びy軸が規定され、アタッチメントATの各リンク(ブーム4,アーム5、及びバケット6)の回転軸に沿ってz軸が規定される、図8の直交座標系(xyz座標系)を用いて説明を行う場合がある。例えば、ショベル100が位置する地面(水平面)を基準として、x軸及びz軸は水平方向に規定され、y軸は鉛直方向に規定される。図9図10は、ショベル100の挙動の安定度合いに関する表示の一例及び他の例を示す図である。具体的には、図9図10は、ショベル100のアタッチメントATが静止している場合、及び動作している場合のそれぞれのショベル100の挙動の安定度合いに関する表示の具体例である。
【0125】
コントローラ30は、機能部として、演算部301と、判定部302と、予測部303と、制御部304とを含む。
【0126】
演算部301は、ショベル100の挙動に関する制御を行うための各種演算を行う。
【0127】
例えば、演算部301は、ブーム姿勢センサS1、アーム姿勢センサS2、機体傾斜センサS4、旋回状態センサS5、ブームシリンダ圧センサS7、及びアームシリンダ圧センサS8の出力に基づき、バケット6に作用する外力FEを演算する。外力FEは、ベクトルである。外力FEには、重力により作用する力や地面との接触等による反力や加速度により生じる動的な力(慣性力)等を含まれる。
【0128】
本例では、バケット6の姿勢角度を検出するセンサやバケットシリンダ9の油室の作動油の圧力を検出するセンサがショベル100に搭載されていない。そのため、例えば、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれに対して、基端の回転軸回りで作用するモーメントτ1~τ3を表す方程式(3つ)に対して、外力FE及び疎の着力点FPが未知となる。この場合、着力点FP及び外力FEのそれぞれのx軸成分及びy軸成分が存在することから、未知数が4つになる。そのため、未知数が方程式の数よりも多く、方程式を完全に解くことができず、外力FEを求めることができない。
【0129】
そこで、本例では、演算部301は、アーム5から見た着力点FPの位置を仮定する。これにより、着力点FPの位置(x軸成分及びy軸成分)が未知でなくなる。そのため、演算部301は、ブーム4及びアーム5のそれぞれの基端の回転軸に作用するモーメントτ1,τ2を表す方程式(2つ)を用いて、外力FE(x軸成分及びy軸成分)を求めることができる。
【0130】
例えば、演算部301は、ショベル100の操作内容、ショベル100の動作内容、ブーム4及びアーム5の姿勢状態等を考慮して、予め準備される式やマップやテーブル等を用いて、着力点FPの位置を仮定(予測)する。例えば、ショベル100が掘削動作を行っている場合、外力FEは、バケット6の爪先に作用していると仮定することができる。また、ショベル100が掘削動作を行っている場合、ブーム4及びアーム5の姿勢状態から、バケット6の姿勢状態の範囲を仮定することができる。また、例えば、バケット6が接地しておらず空中にある場合、バケット6の着力点FPは、バケット6の重心位置と仮定することができる。また、ショベル100のバケット6が接地しておらず空中にある場合、ショベル100の動作内容やブーム4及びアーム5の姿勢状態から、バケット6の姿勢状態の範囲を仮定することができる。そのため、演算部301は、これらの仮定に基づき、式、マップ、テーブル等を用いて、着力点FPの位置を仮定することができる。
【0131】
また、例えば、演算部301は、ショベル100に作用する、ショベル100の接地面の前端の支点FL回りのモーメントを演算する。具体的には、演算部301は、支点FL回りにショベル100を前方に転倒させる方向のモーメント(以下、「転倒モーメント」)及びショベル100の転倒を抑制する方向のモーメント(以下、「安定モーメント」)を演算してよい。転倒モーメントは、図8中の支点FLを中心に右回りにショベル100に作用するモーメントであり、安定モーメントは、図8中の支点FLを中心に左回りにショベル100に作用するモーメントである。
【0132】
支点FLの位置は、上部旋回体3の下部走行体1に対する旋回状態(旋回角度)によって変化する。例えば、図8に示すように、上部旋回体3の向きが下部走行体1の向き(進行方向)に対して90度の角度を成す、上部旋回体3の旋回状態では、支点FLの位置(x軸方向)が上部旋回体3の旋回中心に最も近くなる。一方、上部旋回体3の向きが下部走行体1の向きと同じである(揃っている)、上部旋回体3の旋回状態では、支点FLの位置(x軸方向)が上部旋回体3の旋回中心から最も離れる。例えば、演算部301は、予め準備される式やマップやテーブル等を用いることで、上部旋回体3の旋回状態に応じて、支点FLの位置を演算することができる。
【0133】
転倒モーメントは、アタッチメントAT(バケット6)に作用する外力FEと、アタッチメントATに作用する重力に起因して生じる。演算部301は、予め準備されるアタッチメントATの諸元に関する情報、機体の傾斜状態、アタッチメントATの姿勢状態、及び上記で算出した外力FEに基づき、転倒モーメントを演算することができる。例えば、アタッチメントATの諸元に関する情報は、ブーム4、アーム5、及びバケット6のリンク長に関する情報、重心位置に関する情報、質量(重量)に関する情報等が含み、コントローラ30の補助記憶装置30Aに予め登録される。また、例えば、アタッチメントATの姿勢状態のうちのバケット6の姿勢状態は、外力FEの演算の場合と同様の方法で仮定(予測)される。
【0134】
安定モーメントは、下部走行体1及び上部旋回体3を含む機体の質量(重量)に起因して生じる。演算部301は、予め準備される機体の諸元に関する情報に基づき、安定モーメントを演算することが出来る。例えば、機体の諸元に関する情報は、下部走行体1及び上部旋回体3の重心位置に関する情報、重量(質量)に関する情報等を含み、コントローラ30の補助記憶装置30Aに予め登録される。
【0135】
判定部302は、再生回路175Laを通じて、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油がアームシリンダ8のロッド側の油室に再生される条件(以下、「再生条件」)が成立しているか否かを判定する。例えば、判定部302は、操作圧センサ29の出力に基づき、ブーム4(ブームシリンダ7)及びアーム5(アームシリンダ8)の操作状態を把握することにより、再生条件の成立の有無を判定する。
【0136】
予測部303は、判定部302により再生条件が成立していると判定される場合、ショベル100に不安定な挙動が生じる可能性があるか否かを予測する。ショベル100の不安定な挙動とは、例えば、ショベル100の前方への転倒やショベル100の機体の振動等である。具体的には、予測部303は、ショベル100の転倒モーメントが安定モーメントを超える可能性の有無を予測してよい。ショベル100の転倒モーメントが安定モーメントを超えると、ショベル100が前方に転倒したり、ショベル100にピッチング方向の振動が励起されたりするからである。
【0137】
例えば、予測部303は、再生条件が不成立の状態から成立の状態に移行すると、転倒モーメントが安定モーメントを超える可能性が高い場合の外力FEの条件(以下、「不安定条件」)を導出する。これにより、再生回路175Laを通じた、ブームシリンダ7のボトム側の油室からアームシリンダ8のロッド側の油室への作動油の再生が開始されたタイミング、即ち、外力が相対的に小さいタイミングで不安定条件を設定することができる。そのため、予測部303は、その不安定条件を用いて、ショベル100に不安定な挙動が生じる可能性があるとより早いタイミングで予測することができる。具体的には、予測部303は、再生条件が不成立の状態から成立の状態に移行したときの外力FEの演算値と、安定モーメント及び転倒モーメントの演算値の差とに基づき、不安定条件として、外力FEの大きさに関する閾値を設定してよい。また、予測部303は、2次元(x軸及びy軸)の平面上において、不安定条件に相当する、外力FE(ベクトル)の境界線を設定してもよい。そして、予測部303は、不安定条件が成立する場合、転倒モーメントが安定モーメントを超える可能性が高いと予測してよい。
【0138】
制御部304は、ショベル100の挙動に関する制御を行う。
【0139】
例えば、制御部304は、ショベル100の挙動の安定化に関する制御を行う。
【0140】
制御部304は、予測部303により不安定条件が成立する場合、再生回路175Laを通じた、ブームシリンダ7のボトム側の油室からアームシリンダ8のロッド側の油室への作動油の再生流量を通常の基準状態よりも小さくしてよい。制御部304は、上述の如く、油圧制御弁60を制御することにより、ブームシリンダ7のボトム側の油室からアームシリンダ8のロッド側の油室への作動油の再生流量を調整することができる。これにより、ブーム4の下げ動作及びアーム5の開き動作が同時に行われる場合のブーム4及びアーム5の加速度を相対的に小さく抑えることができる。そのため、例えば、ブーム4の下げ動作及びアーム5の開き動作が同時に行われる、ショベル100の排土動作時に、アタッチメントAT(バケット6)に作用する外力FEの増加を抑制し、ショベル100の不安定な挙動の発生を抑制することができる。
【0141】
一方、制御部304は、予測部303により不安定条件が成立しない場合、再生回路175Laを通じた、ブームシリンダ7のボトム側の油室からアームシリンダ8のロッド側の油室への作動油の再生流量を通常の基準状態にする。これにより、制御部304は、ブーム4の下げ動作及びアーム5の開き動作が同時に行われる場合であっても、ショベル100に不安定な挙動が生じる可能性がない状況では、ショベル100の作業効率を維持することができる。ショベル100の不安定な挙動が生じる可能性がない状況には、例えば、バケット6の収容物が相対的に小さい、即ち、所定基準より小さい場合が含まれる。バケット6の収容物が相対的に小さい場合、ブーム4の下げ動作及びアーム5の開き動作が同時に行われる際に、バケット6に生じる外力(慣性力)が小さくなるからである。また、ショベル100の不安定な挙動が生じる可能性がない状況には、例えば、上部旋回体3の向きと下部走行体1の向きとの差が相対的に小さい、即ち、所定基準より小さい場合が含まれる。上部旋回体3の向きと下部走行体1の向きとの差が小さいほど、ショベル100の前方への転倒の支点FLがショベル100の中心から離れ、その結果、安定モーメントが相対的に大きくなり、転倒モーメントが相対的に小さくなるからである。
【0142】
また、例えば、制御部304は、ショベル100の挙動に関する安定度合いのユーザに対する視覚化に関する制御を行う。
【0143】
制御部304は、演算部301による安定モーメントの演算値から転倒モーメントの演算値を減算した値に基づき、ショベル100の挙動の安定度合いを評価し、ショベル100の挙動の安定度合いを表示装置50Aに表示してよい。ショベル100の安定モーメントに対する転倒モーメントの減算値が大きくなるほど、ショベル100の挙動の安定度合いが高く、逆に、その減算値が小さくなるほど、ショベル100の挙動の安定度合いが低いと考えられるからである。
【0144】
例えば、図9図10に示すように、表示装置50Aは、制御部304の制御下で、上面視のショベル100を表す画像CGを表示すると共に、その画像CGの周囲を取り囲むように、ショベル100の挙動の安定度合いを表すラインTBLを表示する。
【0145】
ラインTBLは、アタッチメントATの先端(バケット6)の位置について、安定モーメントが転倒モーメントより小さい範囲の外縁を表す。
【0146】
図9に示すように、アタッチメントATが静止している場合、ショベル100の転倒モーメントは、アタッチメントATの質量(重量)のみに依存する。そのため、ラインTBLがショベル100の画像CGから相対的に離れた位置に表示される。これにより、ショベル100のユーザは、ショベル100の挙動の安定度合いが相対的に高く、ショベル100の転倒や振動等の不安定な挙動が生じる可能性が低いと判断することができる。
【0147】
一方、図10に示すように、アタッチメントATが動作している場合、ショベル100の転倒モーメントは、上述の如く、アタッチメントATの質量(重量)、及びアタッチメントATへの外力FEに依存する。そのため、ラインTBLがショベル100の画像CGに対して相対的に近い位置に表示される。これにより、ショベル100のユーザは、ショベル100の挙動の安定度合いが相対的に低く、ショベル100の転倒や振動等の不安定な挙動が生じる可能性が高いと判断することができる。
【0148】
尚、図9図10の表示内容は、遠隔操作支援装置(表示装置)や遠隔監視支援装置(表示装置)に表示されてもよい。この場合、図9図10の表示内容に相当する画像は、ショベル100で生成され、遠隔操作支援装置や遠隔監視支援装置に送信されてもよいし、遠隔操作支援装置や遠隔監視支援装置によって生成されてもよい。後者の場合、演算部301や制御部304の機能は、遠隔操作支援装置や遠隔監視支援装置に移管されてもよい。
【0149】
[他の実施形態]
上述の実施形態は、適宜、組みわせられてもよいし、変形や変更が加えられてもよい。
【0150】
例えば、上述の実施形態において、ショベル100には、バケット6の姿勢角度を検出するバケット姿勢センサやバケットシリンダ9の油室の圧力を検出するバケットシリンダ圧センサが搭載されてもよい。この場合、演算部301は、バケット姿勢センサやバケットシリンダ圧センサの出力を用いて、アタッチメントAT(バケット6)に作用する外力やショベル100に作用する転倒モーメント等を演算してよい。また、この場合、演算部301は、バケット姿勢センサやバケットシリンダ圧センサに異常が生じた場合に限定して、上述の方法で、アタッチメントAT(バケット6)に作用する外力やショベル100に作用する転倒モーメント等を演算してもよい。
【0151】
また、上述の実施形態や変形例において、制御部304は、再生回路175Laを通じたブームシリンダ7のボトム側油室からアームシリンダ8のロッド側の油室への作動油の再生流量を調整する以外の方法でショベル100の不安定な挙動を抑制してもよい。例えば、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油を強制的に作動油タンクTに排出可能な電磁リリーフ弁が設けられてよい。これにより、制御部304は、ショベル100の転倒モーメントが安定モーメントを超えて、ショベル100の挙動が不安定になる可能性がある場合に、電磁リリーフ弁を作動させ、ブームシリンダ7のボトム側の油室の作動油を排出させることができる。そのため、ブームシリンダ7は、ブーム4の自重で、収縮方向、つまり、ブーム4の下げ方向に移動できるようになり、その結果、機体に動的な転倒モーメントを作用させる動的な外乱の少なくとも一部が吸収される。よって、動的な外乱が機体に対する動的転倒モーメントとして伝達されにくくなり、ショベル100の前方への転倒(後部浮き上がり)や振動等のショベル100の不安定な挙動を抑制することができる。また、制御部304は、ショベル100の排土動作時以外の場合に生じるショベル100の不安定な挙動を抑制することができる。この場合、予測部303は、ブーム4やアーム5の動作状態に依らず、ショベル100の挙動が不安定になる可能性があるか否かを予測してよい。これにより、予測部303は、ショベル100の排土動作時以外の場合に生じるショベル100の不安定な挙動が生じる可能性の有無を予測することができる。また、この場合、電磁リリーフ弁は、ブームシリンダ7のボトム側の油室とコントロールバルブ17内の制御弁175Rとの間の高圧油圧ライン上における作動油保持回路90よりも制御弁175R側に設けられてもよい。そして、制御部304は、電磁リリーフ弁を作動させる場合、併せて、電磁比例弁92に制御指令を出力し、作動油保持回路90の機能を解除してよい。これにより、作動油保持回路90の機能と、電磁リリーフ弁の機能とを両立させることが出来る。例えば、電磁リリーフ弁は、作動油保持回路90とコントロールバルブ17との間の高圧油圧ラインに設けられる。また、電磁リリーフ弁は、ブームシリンダ7のボトム側の油室とコントロールバルブ17内の制御弁175Rとの間の高圧油圧ラインのうちのコントロールバルブ17に内蔵される部分に設けられてもよい。また、電磁リリーフ弁は、制御弁175Rに内蔵されてもよい。
【0152】
また、上述の実施形態や変形例において、予測部303は、上記とは異なる方法で、ショベル100に不安定な挙動が生じるか否かを予測してもよい。例えば、予測部303は、ブームボトム圧センサS7Bによるブームボトム圧の検出値が所定基準を超えている場合に、ショベル100に不安定な挙動が生じると予測してもよい。
【0153】
また、上述の実施形態や変形例において、制御部304は、ショベル100の排土動作時に、予測部303の予測結果に依らず、ブームシリンダ7のボトム側の油室からアームシリンダ8のロッド側の油室への作動油の再生流量を通常の基準状態よりも小さくしてもよい。この場合、予測部303は、省略されてもよい。
【0154】
[作用]
次に、本実施形態に係るショベル100の作用について説明する。
【0155】
例えば、アタッチメントの先端に位置するエンドアタッチメントには、作業時の衝撃が直接作用する。そのため、例えば、エンドアタッチメントを駆動する油圧シリンダの圧力センサ等、エンドアタッチメントやそれを駆動する油圧シリンダに設置されるセンサ類は、ブームやアームに位置するセンサに比して、故障の可能性が相対的に高くなる。
【0156】
これに対して、本実施形態では、ショベル100は、下部走行体と、上部旋回体と、ブームと、アームと、エンドアタッチメントと、第1の油圧シリンダと、第2の油圧シリンダと、第3の油圧シリンダと、制御装置とを備える。下部走行体は、例えば、下部走行体1である。上部旋回体は、例えば、上部旋回体3である。ブームは、例えば、ブーム4である。アームは、例えば、アーム5である。エンドアタッチメントは、例えば、バケット6である。第1の油圧シリンダは、例えば、ブームシリンダ7である。第2の油圧シリンダは、例えば、アームシリンダ8である。第3の油圧シリンダは、例えば、バケットシリンダ9である。制御装置は、例えば、コントローラ30である。具体的には、上部旋回体は、下部走行体に旋回自在に搭載される。ブームは、上部旋回体に取り付けられる。また、アームは、ブームの先端に取り付けられる。また、エンドアタッチメントは、アームの先端に取り付けられる。第1の油圧シリンダは、ブームを駆動する。また、第2の油圧シリンダは、アームを駆動する。第3の油圧シリンダは、エンドアタッチメントを駆動する。そして、制御装置は、第1の油圧シリンダ、第2の油圧シリンダ、及び第3の油圧シリンダの作動油の圧力のうちの第1の油圧シリンダ及び第2の油圧シリンダの作動油の圧力の検出値のみを用いて、ショベルの挙動に関する制御を行う。
【0157】
これにより、ショベル100(制御装置)は、エンドアタッチメントを駆動する油圧シリンダの圧力の検出値を用いずに、ショベルの挙動に関する制御を行うことができる。そのため、ショベル100の挙動に関する制御の信頼性を向上させることができる。よって、より適切にショベル100の挙動に関する制御を行うことができる。
【0158】
また、本実施形態では、ショベル100は、第3の油圧シリンダの作動油の圧力を検出するセンサを搭載しなくてもよい。
【0159】
これにより、ショベル100のコストを抑制することができる。また、ショベル100の製造工程の作業性の向上やメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0160】
また、本実施形態では、ショベル100は、第3の油圧シリンダの圧力に関するデータを取得するセンサ(例えば、バケットシリンダ圧センサ)を備えてもよい。そして、制御装置は、上記のセンサに異常がある場合に、第1の油圧シリンダ、第2の油圧シリンダ、及び第3の油圧シリンダの圧力のうちの第1の油圧シリンダ及び第2の油圧シリンダの圧力のみを用いて、ショベルの挙動に関する制御を行ってもよい。
【0161】
これにより、ショベル100の挙動に関する制御の精度と信頼性との両立を図ることができる。
【0162】
また、本実施形態では、ショベル100の挙動に関する制御は、エンドアタッチメントに作用する外力に対するショベル100の挙動の安定化に関する制御であってもよい。
【0163】
これにより、ショベル100(制御装置)は、エンドアタッチメントを駆動する油圧シリンダの作動油の圧力を検出するセンサの検出値を用いずに、ショベル100の挙動の安定化に関する制御を行うことができる。
【0164】
また、本実施形態では、ショベル100の挙動に関する制御は、エンドアタッチメントに作用する外力により変化する、ショベル100の挙動に関する安定度合いをユーザに対して視覚化するための制御であってもよい。
【0165】
これにより、ショベル100(制御装置)は、エンドアタッチメントを駆動する油圧シリンダの作動油の圧力を検出するセンサの検出値を用いずに、ショベル100の挙動に関する安定度合いをユーザに対して視覚化するための制御を行うことができる。
【0166】
また、本実施形態では、制御装置は、アームから見た、エンドアタッチメントに作用する外力の着力点を所定の位置にあると仮定して、ショベルの挙動に関する制御を行ってもよい。
【0167】
これにより、ショベル100(制御装置)は、エンドアタッチメントに作用する外力の着力点を仮定することで、未知の変数を減少させることできる。そのため、ショベル100(制御装置)は、エンドアタッチメントを駆動する油圧シリンダの作動油の圧力を検出するセンサの検出値を用いずに、ショベル100の挙動の安定化に関する制御を行うことができる。
【0168】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0169】
1 下部走行体
1ML 走行油圧モータ
1MR 走行油圧モータ
2 旋回機構
2M 旋回油圧モータ
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 キャビン
11 エンジン
13,13L,13R レギュレータ
14,14L,14R メインポンプ
15 パイロットポンプ
17 コントロールバルブ
26 操作装置
29 操作圧センサ
30 コントローラ
50 出力装置
50A 表示装置
50B 音出力装置
52 入力装置
60 油圧制御弁
90 作動油保持回路
100 ショベル
171,172,173,174,175L,175R,176L,176R 制御弁
175La 再生回路
175Lb 再生絞り
175Lc チェック弁
175Ra 再生回路
175Rb チェック弁
301 演算部
302 判定部
303 予測部
304 制御部
AT アタッチメント
HA 油圧アクチュエータ
S1 ブーム姿勢センサ
S2 アーム姿勢センサ
S4 機体傾斜センサ
S5 旋回状態センサ
S7 ブームシリンダ圧センサ
S8 アームシリンダ圧センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10