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  • 特開-排出状態管理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150982
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】排出状態管理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/487 20060101AFI20231005BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01N33/487
G01N33/483 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060354
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】内山 亘
(72)【発明者】
【氏名】荻野 弘之
(72)【発明者】
【氏名】越智 和弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 歌奈女
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA01
2G045CA25
2G045FA19
2G045JA01
2G045JA07
(57)【要約】
【課題】本開示は、経血情報に基づく健康管理を目的として、自宅トイレと宅外施設のトイレなど衛生用品交換時に経血状態を測定する装置が複数台ある場合、宅外で測定したデータを利用したユーザ個人へ簡便に転送可能な排出状態管理装置を提供する。
【解決手段】経血状態測定時に、符号発行手段により唯一無二のデータ符号(QRコード)を発行して経血測定情報とを紐付けしサーバ保存し、データ符号を画面表示することで、ユーザは健康管理アプリに前記経血測定情報を簡単に取り込める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生用品に付着した経血を測定する経血状態測定部と、
前記経血状態測定部より得られたデータを記憶する経血データ記憶手段と、
前記経血データ記憶手段に記憶する複数データの中で個々のデータを識別するためのデータ符号と、
前記データ符号を発行する符号発行手段と、
前記符号発行手段により発行する前記データ符号を利用者に報知する出力手段と
を有する
排出状態管理装置。
【請求項2】
前記経血状態測定部は、光学データを測定する光学測定部、および重量を測定する重量測定部からなる群から選択される少なくとも1つを備えている、
請求項1に記載の排出状態管理装置。
【請求項3】
前記経血状態測定部は、経血量および血塊からなる群から選択される少なくとも1つである経血状態を光学データから判断する、
請求項1に記載の排出状態管理装置。
【請求項4】
前記出力手段は、画面表示が可能なディスプレイ、音を発するスピーカ、光を用いた通信手段、および記録紙に印刷するプリンターから選択される少なくとも1つを備えている、
請求項1に記載の排出状態管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者から排出される経血やおりものなど排出物の特性を測定する排出状態管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スマートフォンのカメラで使用済みの生理用ナプキンやタンポンなどの衛生用品(以下、単に衛生用品と言う)を撮影し、撮影された画像から衛生用品に付着した経血の色・量・塊など排出物の性状を検知し、スマートフォンに内蔵した演算機能、あるいはスマートフォンの通信機能を用いてサーバに保存した性状データをクラウド演算機能により生理管理や体の変調を検知する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、スマートフォンのカメラ機能仕様はメーカー毎に大きく異なり、カメラのハード仕様であれば撮影解像度・感度・魚眼レンズなど撮影画角・LED照明色や輝度の違いがあり、ソフト仕様であれば画像の色補正・コントラスト調整・輪郭補正などの違いがあるため、一律の撮影環境で衛生用品に付着した経血画像を撮影することは極めて困難である。また、衛生用品の交換時に、スマートフォンでカメラ撮影する操作は極めて利便性が悪く、具体的には、経血が付着した衛生用品を交換する手順では、手(指)に経血が付着する場合が多々あり、その手でスマートフォンのカメラ撮影を行う、つまりスマートフォンを経血で汚してしまう強い抵抗感がある。
【0005】
一方で、近年、公民館や学校構内など公共施設やショッピングモールなど商業施設の女性トイレ個室内に設置する、例えばカメラ内臓のサニタリーボックスが提案されており、これを用いることで、ユーザは使用後の衛生用品をサニタリーボックスに入れるだけで、内蔵カメラにより一律の撮影環境で経血画像を撮影することができ、かつ、ユーザ自身のスマートフォンを汚す心配もないため利便性も高まるというものである。
【0006】
ここで大きな問題となるのは、撮影した画像や分析した性状データをユーザ個人に転送する方法である。転送方法の一例として、サニタリーボックス(機器)とユーザ個人のスマートフォンをブルーツゥースなど無線を利用し機器同士を親子縁組する方法があるが、サニタリーボックスは不特定多数のユーザが利用するため親子縁組は現実的でない。
【0007】
また、各トイレ個室に設置したサニタリーボックスの内臓カメラで撮影した画像データは(サニタリーボックス内部のメモリ容量も有限であるため)インターネット経由でサーバに保存するのが一般的である。しかし、従来の技術では、サーバを利用する場合はサーバを運営するサーバ運営会社あるいはサーバ運営会社と提携する経血ケアサービス会社と予め個別契約する、更に利用するサーバが複数である場合は複数契約する必要があり、この煩雑さや利便性の悪さからインターネットやIoTが普及した現在においても経血情報に基づく健康管理が普及しない一因となっている。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、経血情報に基づく健康管理を目的として、宅内外など衛生用品交換時に経血情報を検知する機器が複数台ある場合、測定した
データを利用したユーザ個人へ簡便に転送可能な排出状態管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の排泄物測定装置は、膣からの排泄物が付着した衛生用品の経血状態を測定した時点で、符号発行手段を用いて唯一無二のデータ符号を発行し、データ符号と経血測定情報とを紐付けした上でサーバ保存する一方で、データ符号を排泄物測定装置に具備するディスプレイに表示することでユーザは、このデータ符号を利用しサーバ保存している自身の経血状態データを入手できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排泄物検出装置によれば、自宅トイレと宅外施設のトイレなど経血状態を測定する装置が複数台ある場合においても、宅内外を問わずユーザは経血情報を正確に測定でき、ディスプレイに表示されたデータ符号を利用することで測定データを簡単に入手することができ、ひいては経血情報に基づく健康管理を容易に実現できるという効果を有する。
【0011】
また、ユーザは衛生用品の交換時にスマートフォンを利用せずとも排泄物の測定ができるので利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1における排泄物検出装置のシステム構成図
図2】実施の形態1における排泄物検出装置の衛生用品と光学センサとの位置関係を示す概略図
図3】実施の形態1における排泄物検出装置の衛生用品と光学センサとの位置関係を示す概略図
図4】実施の形態1における排泄物検出装置の出力手段を示す概略図
図5】実施の形態1における排泄物検出装置が複数台ある場合の運用例を示したシステム構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
以下、図1図5を用いて、実施の形態1を説明する。
【0015】
[1-1.構成]
図1において、月経状態管理装置1は、経血状態測定部2と、経血データ記憶手段3と、符号発行手段4、出力手段5を備えている。
【0016】
経血状態測定部2の例は、光学カメラまたはLED照明である。
【0017】
経血データ記憶手段3の例は、内蔵メモリまたはサーバメモリである。
【0018】
出力手段5の例は、ディスプレイまたはプリンタである。
【0019】
実施の形態1において、経血状態測定部2は、光学センサおよび経血状態判定部6である。
【0020】
光学センサは、月経における経血を吸収して処理するナプキン、タンポン、月経カップなどの衛生用品の経血などの付着状態を測定する。
【0021】
光学センサは、経血の光学的特性を電気信号などに変換して出力する。例えば可視光のカメラであったり、フォトダイオードなど半導体素子を利用してもよい。
【0022】
また、光学センサは波長が異なる可視以外の紫外光や近赤外光など、さらに短い波長や長い波長を用いてもよい。
【0023】
実施の形態1において測定部は、衛生用品と経血の相対位置で経血側に取り付けられる。
【0024】
経血状態判定部6は、経血状態測定部2の測定結果から経血色、量、塊などの性状判定結果を出力するアルゴリズムを備えている。
【0025】
出力手段5は、符号発行手段4により発行したデータ符号をQRコード(登録商標)あるいはバーコードなどのキャラクターやシリアル番号などの表示を行うディスプレイであり、小型プリンタを併設具備しており、QRコード(登録商標)などをレシート紙に印刷する。
【0026】
経血状態測定部2と、経血データ記憶手段3と、符号発行手段4、出力手段5は月経状態管理装置と一体であってもよいし、離れた位置から有線や無線などの一般的な通信手段によって月経状態管理装置と通信を行ってもよい。例えば経血データ記憶手段3の一部または全部は、月経状態管理装置と一体で保持せず、ネットワーク上のサーバなどに保持してもかまわない。
【0027】
図2から図4において、月経状態管理装置1の一例として光学センサを内蔵したゴミ箱(以下サニタリーボックス)の構成を説明する。
【0028】
図2において、サニタリーボックスは上部に開閉自在なフタ7を有して、フタ7の内側には光学センサおよびLED照明を設けており、フタを閉じた状態でボックス内側の対象物をカメラ撮影する。昇降ステージ8は衛生用品9を置く平台であり、ステージ昇降機構10を動作させることにより昇降ステージは上下に昇降可能である。
【0029】
図4において、出力手段5は後述する符号データを表示するディスプレイ、および、符号データをレシート紙などに印刷するプリンタであり、最低限ディスプレイまたはプリンタのいずれか一方を備えている。
【0030】
[1-2.動作]
月経状態管理装置1について、以下、その動作、作用を説明する。
【0031】
図2において、利用者は、 使用する際に、使用後の衛生用品9(経血などの付着後状態)を経血状態測定部2の測定範囲(昇降ステージ8)に置き、測定開始の操作(図示せず)を行うと、ステージ昇降機構10の動作にあわせて昇降ステージ8は下方に降りていく。その一方で、それまで全開であったフタ7は完全に閉じる。このようにして、図3に示したように、衛生用品9と光学センサとの位置関係は、向かい合う対向位置でかつ衛生用品の経血位置に撮影位置がセットされ、LED照明により使用後の経血などの付着した衛生用品の光学特性を反映した光学データを測定する。
【0032】
経血状態判定部6は、測定された光学データと内蔵したアルゴリズムから経血状態(色
、量、塊などからなる性状)を判定する。
【0033】
経血状態判定部6は、付着した経血などに対して画像解析を行う。例えば、光学センサの色情報に基づいて血液の濃淡や付着物の色が赤色やオレンジ色か、黒色や灰色などのように色を判別することが出来る。
【0034】
経血状態判定部6は、付着した経血などに対して画像解析を行う。例えば、光学センサの色情報に基づいて血液の濃淡や付着物の色が赤色やオレンジ色か、黒色や灰色などのように色を判別することが出来る。
【0035】
また、画像処理により付着物の面積や形状を算出する。付着物とみなすかどうかの色や明るさ、形状特徴の閾値をあらかじめ設定しておいてもよいし、衛生用品の色画像の頻度分布と経血の色画像の頻度分布をもとに、動的に閾値を変化させる手法を用いてもよい。
【0036】
また、画素ごとに付着物かどうかを判定して合計してもよいし、衛生用品との輪郭線を検出してその内部を付着物と判別してもよい。
【0037】
また、ディープラーニングや、一般的な機械学習による処理方法で認識してもよい。
【0038】
これにより血液付着面積やかたまりの有無や大きさなど、おりものの状態を判定する。各判定は、順番を特定するものではなく、任意の順番に実行することが可能である。
【0039】
実施の形態1では、経血状態測定部2に経血状態判定部6を包含させたが、ユーザ個人が経血情報に基づく健康管理を個人所有のスマホやパソコンの健康管理アプリで行っている場合で、かつ健康管理アプリ側で経血状態を判定する場合は、経血状態測定部2に経血状態判定部6を包含する必要はない。つまり、経血状態測定部2では光学センサで測定した情報(カメラ撮影画像)のみを後述する符号発行手段と紐付けしてサーバへ保存しても構わない。
【0040】
図1において、このようにして経血状態測定部2と経血状態判定部6から得られた経血情報は、符号発行手段4を用いて発行した唯一無二のデータ符号と紐付けした上で経血データ記憶手段3(内蔵メモリ)に保存する。内蔵メモリは記憶容量の上限があり有限であるため、インターネットを経由して逐次サーバに転送される。
【0041】
データ符号は、月経状態管理装置の製造シリアル番号、設置するトイレの位置情報、測定日時などを組み合わせた唯一無二の情報であり、表現する形態としてはQRコード(登録商標)あるいはバーコードなどのキャラクターやシリアル番号などがある。
【0042】
図1図4において、データ符号の表現形態であるQRコード(登録商標)は出力手段5にてディスプレイ表示、宅外施設に設置する月経状態管理装置1ではプリンタによりレシート紙に印刷してレシート紙は持ち帰り可能としている。
【0043】
図5において、ユーザ個人は経血情報に基づく健康管理を個人所有のスマートフォンや自宅のパソコンにて健康管理アプリで行っており、これらスマートフォンや自宅パソコンにより、上記出力手段5にて出力されたデータ符号を読み込むことで、データ符号に紐付けされたサーバ保存している自身の経血状態データを入手できる。
【0044】
[1-3.効果]
以上のように、本実施の形態において、月経状態管理装置1は、経血状態測定部2と、経血データ記憶手段3と、符号発行手段4、出力手段5を備える。
【0045】
経血状態測定部2は、経血状態を測定することが出来る。符号発行手段4は唯一無二のデータ符号を発行し、データ符号と経血測定情報とを紐付けした上で経血データ記憶手段3に保存する一方で、データ符号を出力手段5にディスプレイ表示する。
【0046】
このようにして、例えば自宅トイレと宅外施設のトイレなど経血状態を測定する装置が複数台ある場合においても、宅内外を問わずユーザは経血情報を正確に測定でき、ディスプレイに表示されたデータ符号を利用することで測定データを簡単に入手することができ、ひいては経血情報に基づく健康管理を容易に実現できる。
【0047】
また、ユーザは衛生用品の交換時にスマートフォンを利用せずとも排泄物の測定ができるので利便性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかる排泄物検出装置は、膣からの排泄物が付着した衛生用品の経血状態を測定した時点で、符号発行手段を用いて唯一無二のデータ符号を発行し、データ符号と経血測定情報とを紐付けした上でサーバ保存する一方で、データ符号を排泄物測定装置に具備するディスプレイに表示する。これにより、ユーザは、このデータ符号を利用しサーバ保存している自身の経血状態データを入手可能となる。本発明にかかる排泄物検出装置は、経血情報に基づく健康管理のみならず、宅内外でのバイタルデータ(体温・血圧・血糖値など)に基づく健康管理システムにも適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 月経状態管理装置
2 経血状態測定部
3 経血データ記憶手段
4 符号発行手段
5 出力手段
6 経血状態判定部
7 フタ
8 昇降ステージ
9 衛生用品
10 ステージ昇降機構
図1
図2
図3
図4
図5