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特開2023-151015アンダーマッチ溶接型柱継手構造およびその評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151015
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】アンダーマッチ溶接型柱継手構造およびその評価方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20231005BHJP
   G01N 3/08 20060101ALI20231005BHJP
   G01N 3/32 20060101ALI20231005BHJP
   E04B 1/18 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E04B1/58 503H
G01N3/08
G01N3/32 K
E04B1/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060403
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】岩竹 ちよ美
(72)【発明者】
【氏名】松下 政弘
(72)【発明者】
【氏名】山口 徹雄
(72)【発明者】
【氏名】高田 武之
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【テーマコード(参考)】
2E125
2G061
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AB16
2E125AC16
2E125CA90
2G061AA01
2G061AA07
2G061AB01
2G061AB05
2G061BA01
2G061BA15
2G061CA02
2G061CB19
2G061EA01
2G061EA02
(57)【要約】
【課題】溶接施工性と変形性能に優れた軟質溶接式の柱継手構造を提供する。
【解決手段】アンダーマッチ溶接型柱継手構造10が、矩形箱状の断面を有し、高張力鋼で成形された上柱部材12および下柱部材11と、下柱部材11の上端部と上柱部材12の下端部とを柱部材11,12よりも低強度の溶接金属で溶接する接合部13と、を備え、高張力鋼が、630MPa以上の降伏耐力σを有する。軸力比nおよび載荷方向に応じて準備された判定式を満たすように、溶接金属が設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形箱状の断面を有し、高張力鋼で成形された上柱部材および下柱部材と、
前記下柱部材の上端部と前記上柱部材の下端部とを、前記柱部材よりも低強度の溶接金属で溶接する接合部と、
を備える、アンダーマッチ溶接型柱継手構造であって、
前記高張力鋼は、630MPa以上の降伏耐力σを有し、
前記柱部材の柱幅をBとし、前記柱部材の板厚をtとし、前記柱部材による拘束を受けた状態における前記溶接金属の降伏耐力をσとし、前記溶接金属の降伏比の逆数をβとし、
軸力比nが0≦n≦0.5の条件下で、0度載荷方向について次式(1.0)を満たし且つ45度載荷方向について次式(1.45)を満たす
アンダーマッチ溶接型柱継手構造。
【数1】
【請求項2】
前記溶接金属は、前記柱部材による拘束を受けた状態において、500MPa以上の降伏耐力σおよび630MPa以上の引張強度σを有し、
前記式(1.0)に代えて次式(1'.0)を満たし、前記式(1.45)に代えて次式(1'.45)を満たす
請求項1に記載のアンダーマッチ溶接型柱継手構造。
【数2】
【請求項3】
矩形箱状の断面を有し、高張力鋼で成形された上柱部材および下柱部材と、
前記下柱部材の上端部と前記上柱部材の下端部とを、前記柱部材よりも低強度の溶接金属で溶接する接合部と、
を備えるアンダーマッチ溶接型柱継手構造であって、
前記高張力鋼は、630MPa以上の降伏耐力σを有し、
前記柱部材の柱幅をBとし、前記柱部材の板厚をtとし、前記柱部材による拘束を受けた状態における前記溶接金属の降伏耐力をσとし、前記溶接金属の降伏比の逆数をβとし、
軸力比nが0.5<n≦0.5(β+1)の条件下で、0度載荷方向について次式(2.0)を満たし且つ45度載荷方向について次式(2.45)を満たす
アンダーマッチ溶接型柱継手構造。
【数3】
【請求項4】
前記溶接金属は、前記柱部材による拘束を受けた状態において、500MPa以上の降伏耐力σおよび630MPa以上の引張強度σを有し、
前記式(2.0)に代えて次式(2'.0)を満たし、前記式(2.45)に代えて次式(2'.45)を満たす
請求項3に記載のアンダーマッチ溶接型柱継手構造。
【数4】
【請求項5】
前記上柱部材の前記下端部に開先が設けられ、前記上柱部材と前記下柱部材は前記接合部においてレ型突合せ溶接されており、
開先角度が35度である
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアンダーマッチ溶接型柱継手構造。
【請求項6】
矩形箱状の断面を有し、高張力鋼で成形された上柱部材および下柱部材と、
前記下柱部材の上端部と前記上柱部材の下端部とを、前記柱部材よりも低強度の溶接金属で溶接する接合部と、
を備えるアンダーマッチ溶接型柱継手構造の評価方法であって、
前記高張力鋼が、630MPa以上の降伏耐力σを有し、
前記柱部材の柱幅をBとし、前記柱部材の板厚をtとし、前記柱部材による拘束を受けた状態における前記溶接金属の降伏耐力をσとし、前記溶接金属の降伏比の逆数をβとする場合において、
軸力比nが0≦n≦0.5の条件下では、0度載荷方向について次式(1.0.L)、45度載荷方向について次式(1.45.L)で表され、軸力比nが0.5<n≦0.5(β+1)の条件下では、0度載荷方向について次式(2.0.L)、45度載荷方向について次式(2.45.L)で表される、前記接合部の最大曲げ耐力を導出することと、
導出された前記接合部の前記最大曲げ耐力に基づいて、前記柱部材が全塑性状態になる前に前記接合部が破断せずに済むか否かを判定することと
を備える、アンダーマッチ溶接型柱継手構造の評価方法。
【数5】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーマッチ溶接型柱継手構造およびその評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部材同士を溶接するにあたっては、安全性を保証するため、溶接金属が母材と同等以上の強度を有すること、すなわち、イーブンマッチ溶接またはオーバーマッチ溶接を行うことが前提的である。例えば、我が国の建築基準法によれば、355N/mm2級(SM520)の構造用鋼材に対して355N/mm2以上の引張強さを有する溶接金属を適用すべき旨規定されている。
【0003】
近年、建築物の高層化および大スパン化、それに伴う柱部材の厚肉化および高強度化が進んでいる。80キロ級高張力鋼の柱部材への適用が期待されるが、355N/mm2以上の強度を有する構造用鋼材に対しては溶接金属の強度について確たる規定がない。上記例に倣えば、80キロ級溶接金属を用いることが前提的であるともいえる。しかし、80キロ級溶接金属は、予熱、入熱量、あるいはパス間温度などの溶接条件に厳しい制約があり、溶接施工効率が良くない。そこで、高張力鋼柱の角溶接部や柱-梁接合部において、アンダーマッチ溶接を行うことが検討されている(例えば、非特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】小松ら,"80キロ級箱型断面柱における軟質溶接継手の耐力評価について",1996年度日本建築学会関東支部研究報告集,pp.89-92
【非特許文献2】粟田ら,"アンダーマッチング溶接により組み立てられた超高強度鋼CFT部材の構造性能に関する研究その1",日本建築学会講演梗概集(中国),2017年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンダーマッチ溶接とは、母材よりも低強度の溶接金属を用いた溶接である。溶接金属の強度を下げても安全性が確保されるのであれば、溶接条件の緩和により溶接時の施工管理を省略できる可能性があり、溶接施工効率の改善が見込まれるものと考えられる。しかし、柱継手(柱-柱接合部)については、アンダーマッチ溶接の適用時における安全性についての検証がなされていない。
【0006】
本発明は、溶接施工性の向上と安全性の確保とを両立可能な柱継手構造を提供すること、また、アンダーマッチ溶接型柱継手構造の安全性を妥当に且つ容易に評価するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件発明者は、上記目的を達成すべく検討した結果、保有耐力接合の考え方に従って、柱継手構造の安全性を評価し得るものと着想した。すなわち、接合部の耐力(例えば、接合部の最大曲げ耐力)と母材の耐力(例えば、柱部材の全塑性曲げ耐力)との比較に基づいて、柱継手構造の安全性の良否を判定可能であると着想した。さらに、この着想の下、実験を通じて、箱型断面を有する柱を対象に、アンダーマッチ溶接型の柱継手構造の接合部の耐力を妥当に且つ容易に算出するための算出式を独自の知見として得た。本発明は、かかる着想および知見に基づいて為されたものである。
【0008】
本発明の第1の態様は、矩形箱状の断面を有し、高張力鋼で成形された上柱部材および下柱部材と、前記下柱部材の上端部と前記上柱部材の下端部とを、前記柱部材よりも低強度の溶接金属で溶接する接合部と、を備える、アンダーマッチ溶接型柱継手構造であって、前記高張力鋼は、630MPa以上の降伏耐力σを有し、
軸力比nが0≦n≦0.5の条件下で、0度載荷方向について次式(1.0)を満たし且つ45度載荷方向について次式(1.45)を満たす、アンダーマッチ溶接型柱継手構造を提供する。
【0009】
【数1】
ここで、Bは、前記柱部材の柱幅であり、tは、前記柱部材の板厚であり、σは、前記柱部材による拘束を受けた状態における前記溶接金属の降伏耐力であり、βは、前記溶接金属の降伏比の逆数である。
【0010】
本発明の第2の態様は、矩形箱状の断面を有し、高張力鋼で成形された上柱部材および下柱部材と、前記下柱部材の上端部と前記上柱部材の下端部とを、前記柱部材よりも低強度の溶接金属で溶接する接合部と、を備える、アンダーマッチ溶接型柱継手構造であって、前記高張力鋼は、630MPa以上の降伏耐力σを有し、
軸力比nが0.5<n≦0.5(β+1)の条件下で、0度載荷方向について次式(2.0)を満たし且つ45度載荷方向について次式(2.45)を満たす、アンダーマッチ溶接型柱継手構造を提供する。
【0011】
【数2】
ここで、Bは、前記柱部材の柱幅であり、tは、前記柱部材の板厚であり、σは、前記柱部材による拘束を受けた状態における前記溶接金属の降伏耐力であり、βは、前記溶接金属の降伏比の逆数である。
【0012】
本発明の第3の態様は、矩形箱状の断面を有し、高張力鋼で成形された上柱部材および下柱部材と、前記下柱部材の上端部と前記上柱部材の下端部とを、前記柱部材よりも低強度の溶接金属で溶接する接合部と、を備える、アンダーマッチ溶接型柱継手構造の評価方法であって、前記高張力鋼が、630MPa以上の降伏耐力σを有する場合において、
軸力比nが0≦n≦0.5の条件下では、0度載荷方向について次式(1.0.L)、45度載荷方向について次式(1.45.L)で表され、軸力比nが0.5<n≦0.5(β+1)の条件下では、0度載荷方向について次式(2.0.L)、45度載荷方向について次式(2.45.L)で表される、前記接合部の最大曲げ耐力を導出することと、
導出された前記接合部の前記最大曲げ耐力に基づいて、前記柱部材が全塑性状態になる前に前記接合部が破断せずに済むか否かを判定することと
を備える、アンダーマッチ溶接型柱継手構造の評価方法を提供する。
【0013】
【数3】
ここで、Bは、前記柱部材の柱幅であり、tは、前記柱部材の板厚であり、σは、前記柱部材による拘束を受けた状態における前記溶接金属の降伏耐力であり、βは、前記溶接金属の降伏比の逆数である。
【0014】
上記によれば、柱部材が箱型断面を有する場合において、溶接金属の強度パラメータや柱継手構造の設計パラメータのように柱継手構造の設計者が比較的に容易に取得可能なパラメータから、アンダーマッチ溶接型継手構造の接合部の耐力(最大曲げ耐力)を比較的に容易に算出することができる。算出された接合部の耐力に基づき、保有耐力接合の考え方に従って、柱継手構造の安全性を妥当に評価することが可能となり、また、安全性を保証可能な柱継手構造を提供することが可能となる。
【0015】
なお、地震時の応答を想定して0度載荷方向と45度載荷方向の2つの載荷方向を考慮しているため、耐震性を有した柱継手構造を提供することが可能となる。また、軸力比の高低に応じて個別の算出式を準備するので、最大曲げ耐力に対する軸力比の影響を考慮して、妥当な評価を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、溶接施工性の向上と安全性の確保とを両立可能な柱継手構造を提供することができる。また、アンダーマッチ溶接型柱継手構造の安全性を妥当に且つ容易に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る柱継手構造が適用された柱構造体もしくはその試験体の一例(0度載荷方向)の側面図。
図2図1のII-II断面図。
図3図1のIII-III断面図。
図4】本発明の実施形態に係る柱継手構造が適用された柱構造体の試験体の他例(45度載荷方向)の図2相当断面図。
図5図4に示す柱構造体の図3相当断面図。
図6】柱継手構造の開先形状を示す断面図。
図7】柱継手構造の試験体を示す斜視図。
図8】柱継手構造からの引張試験片の採取要領を示す図。
図9】第1柱に適用された柱継手構造の引張試験の実験結果を示すグラフ。
図10】第2柱に適用された柱継手構造の引張試験の実験結果を示すグラフ。
図11】式導出において想定された崩壊機構の説明図。
図12】式導出において想定された仮想仕事のつり合いの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
<1.柱継手構造の構成の概要>
図1図3は、本発明の実施形態に係る柱継手構造10が適用された柱構造体1を示す。柱継手構造10は、主として、上下の柱部材11,12と、接合部13とを備える。
【0020】
柱部材11,12は、高張力鋼で成形され、箱型断面(外形が正方形状で内部が空洞の断面)を有する。柱部材11,12は、同軸状に配置され、上下方向に延びる。柱部材11,12は、平面視で重ねられた合同の外形を有する。接合部13は、下柱部材11の上端部と上柱部材12の下端部とを溶接する。本実施形態では、開先14が上柱部材12の下端部に全周にわたって設けられる。上下の柱部材11,12は、全周溶接且つレ型突合せ溶接により接合される。開先14は、三角形状断面を有し、上柱部材12の内側から外側に向かって上側へ拡開される。
【0021】
下柱部材11の下部は、柱構造体1の支持構造2に支持される。支持構造2は、一例として、ベース板3、一対の鉛直板4a,4b、一対の水平板5a,5b、および複数のリブ板6a,6bで構成される。下柱部材11および一対の水平板5a,5bは、平面視長方形状のベース板3の上面に立設される。下柱部材11は、ベース板3の中心部に位置づけられる。一対の鉛直板4a,4bは、ベース板3の短辺方向中央においてベース板3の長辺方向に延びる。各鉛直板4a,4bは、その一端縁にて下柱部材11の外面に接合され、他端縁はベース板3の短辺縁に達する。一対の水平板5a,5bは、平面視長方形状であり、一対の鉛直板4a,4bの上面それぞれに載置される。各水平板5a,5bは、一方の短辺縁が下柱部材11の外面に接合され、他方の短辺縁はベース板3の短辺縁と平面視で重なる。一対のリブ6a,6bが、鉛直板4a,4bの各々の先端部の両側面から突出する。各リブ6a,6bは、台形状に形成され、上辺が水平板5a,5bの下面に接合され、下辺がベース板3の上面に接合される。ただし、支持構造2の構成は、適宜変更可能である。
【0022】
柱部材11,12の素材に用いられる高張力鋼は、630MPa以上の降伏耐力σを有する。すなわち、柱部材11,12は、いわゆる80キロ級高張力鋼もしくはそれ以上の引張強度を有する鋼材で成形されている。柱構造体10が高強度を有するため、柱構造体10を高層建築物の骨格部材として好適に利用することができる。
【0023】
他方、接合部13に適用される溶接金属は、柱部材11,12の高張力鋼よりも低強度を有する。すなわち、本実施形態に係る柱継手構造10においては、接合部13においてアンダーマッチ溶接が適用されている。仮にイーブンマッチ溶接を適用した場合、溶接金属は80キロ級の強度となるが、溶接割れ防止や溶接金属の強度および靭性の確保の観点から、予熱、入熱量、あるいはパス間温度などの溶接条件に厳しい制約があり、溶接施工効率が悪くなる。アンダーマッチ溶接を適用することで、溶接時の入熱低減や施工管理の省略が可能となり、溶接施工効率が高くなる。
【0024】
<2.評価方法の手順の概要>
アンダーマッチ溶接を適用する際の安全性に関し、箱型断面を有する柱-柱接合部において、溶接金属の強度が母材としての柱部材11,12の強度よりも低くても、柱部材11,12が全塑性状態になる前に接合部13を破断するような事態を回避し得ると考えられる。すなわち、接合部の設計に際して広く用いられる保有耐力接合の考え方に従って、安全性を保証可能なアンダーマッチ溶接型の柱継手構造10を提供し得ると考えられる。保有耐力接合の考え方に従い、柱部材11,12が全塑性状態になる前に接合部13を破断させないための条件は、次式(1)で表される。
【0025】
【数4】
ここで、は、接合部13の最大曲げ耐力、αは、接合部係数、は、柱部材11,12の全塑性曲げ耐力である。
【0026】
式(1)の右辺に関し、接合部係数αの具体的数値には、490ニュートン級炭素鋼の部材において一般によく用いられている1.1を好適に援用できる。全塑性曲げ耐力は、公知の知見に基づき、軸力Nもしくは軸力比nや、柱部材11,12の板厚t、柱部材11,12の降伏耐力σなどを変数とした式へと変換可能である。よって、柱部材11,12の強度パラメータ値や設計パラメータ値が得られさえすれば、式(1)の右辺の数値を比較的に容易に算出できる。
【0027】
他方、式(1)の左辺に関し、箱型断面を有する柱継手構造10の接合部13の最大曲げ耐力については、全塑性曲げ耐力のように、溶接金属の強度パラメータ値や柱継手構造10の設計パラメータ値などからその数値を得るための式が存在しないのが実情である。すなわち、保有耐力接合の考え方に従って、接合部13の最大曲げ耐力を算出できれば、箱型断面を有する柱継手構造10にアンダーマッチ溶接を適用した場合における安全性を評価し得るとの着想を得たとしても、最大曲げ耐力の数値を妥当に且つ容易に算出するための手法が存在しないのが実情である。
【0028】
ここで、接合部13の最大曲げ耐力は、軸力Nあるいは軸力比nの影響を受ける。また、建築物の耐震性能を確保するためには、様々な載荷方向において、式(1)を満足することが望ましい。なお、箱型断面を有する柱継手構造10を対象とする場合に考慮すべき載荷方向としては、0度載荷方向および45度載荷方向の2つを例示できる。0度載荷方向とは、柱継手構造10の側面に直交する方向である。45度載荷方向とは、柱継手構造10の側面に対して45度傾斜した方向である。
【0029】
以上を踏まえ、本実施形態に係る柱継手構造10の評価方法においては、まず、溶接金属の強度パラメータや柱継手構造10の設計パラメータのように、柱継手構造10の設計者が比較的に容易に取得可能なパラメータ値から、接合部13の最大曲げ耐力を導出するための算出式群が準備される。
【0030】
算出式群は、軸力比nに応じた複数組の算出式を含む。各組の算出式は、0度載荷方向に荷重が載荷された場合に想定される最大曲げ耐力を導出するための0度載荷用算出式と、45度載荷方向に荷重が載荷された場合に想定される最大曲げ耐力を導出するための45度載荷用算出式との2つの算出式を含む。本実施形態では、軸力比nの高低に応じて、2組の算出式が準備される。よって、算出式群は、2×2の合計4つの算出式を含む。
【0031】
算出式群が一旦準備されると、(1a)想定される軸力比nに応じて、算出式群を構成している複数組(本例では2組)の算出式から1組を選択し、(1b)選択された組に含まれる2つの算出式に従って、評価対象の柱継手構造10の設計パラメータ値や溶接金属の強度パラメータ値に応じて、0度載荷方向への載荷時に想定される接合部13の最大曲げ耐力と、45度載荷方向への載荷時に想定される接合部13の最大曲げ耐力とを算出する。
【0032】
次に、(2)算出された最大曲げ耐力に基づいて、柱部材11,12が全塑性状態になる前に接合部13が破断せずに済むか否かを判定する。すなわち、算出された最大曲げ耐力の数値を、式(1)の右辺の数値と比較し、式(1)の不等式の成否を判定する。0度載荷方向で想定される接合部13の最大曲げ耐力も、45度載荷方向で想定される接合部13の最大曲げ耐力も、式(1)を満たす場合に、耐震性も踏まえて、評価対象の柱継手構造10はその安全性が確保されていると評価する。少なくともいずれか一方の最大曲げ耐力が式(1)を満たさない場合には、評価対象の柱継手構造10はその安全性が保証されないと評価する。
【0033】
<3.接合部の最大曲げ耐力の算出式>
以下、接合部13の最大曲げ耐力の算出式についてより具体的に説明する。算出式の導出に先立ち、柱継手構造10の試験体10A,10B(図1および図4を参照)が製作される。試験体10A,10Bは、2種製作される。片方が、0度載荷方向に荷重が載荷されることが想定された0度載荷試験体10A(図1図3を参照)である。もう片方が、45度載荷方向に荷重が載荷されることが想定された45度載荷試験体10B(図4および図5を参照)である。これら試験体10A,10Bの主たる構成は、柱継手構造10の概要構成として前述したとおりである。
【0034】
図1図3に示すように、0度載荷試験体10Aでは、下柱部材11の外形の一辺縁がベース板15aの長辺縁または短辺縁と平行となる姿勢で、下柱部材11が支持構造15に支持される。そのため、一対の鉛直板15b,15cは、下柱部材11の側面の中央部に接合される。図4および図5に示すように、45度載荷試験体10Bでは、下柱部材11が図1図3に示す状態から中心軸周りに45度回転された姿勢で、下柱部材11が支持構造15に支持されている。そのため、一対の鉛直板15b,15cは、下柱部材11の角部に接合される。これら試験体10A,10Bを用いた実験において、荷重は、図2図4の紙面左右方向に載荷される。
【0035】
また、試験体10A,10Bのいずれにおいても、接合部13に変形が集中するように、下柱部材11が上柱部材11よりも大きい板厚を有しており、柱継手構造10が段継手となっている。下柱部材11の板厚は24mm、上柱部材12の板厚は12mmである。下柱部材11および上柱部材12の外形は、どちらも150mm角の正方形である。なお、実物柱では、板厚は約60mm程度、外形は約600mm角程度となる。
【0036】
図6を参照して、試験体10A,10Bを用いた実験においてこの実物柱の弾塑性挙動を良好に模擬できるように、試験体10A,10Bと実物柱の柱継手構造の相当塑性ひずみが同等となるような開先条件が抽出される。その結果として、試験体10A,10Bの開先角度θは35度、ルートギャップGは3mmに設定されている。
【0037】
このように試験体10A,10Bの設計パラメータが決定されると、次に崩壊機構が決定される。そのために、有限要素法解析を用いて、試験体10A,10Bの破断線を確認する。その結果として、本例では、開先に沿ってすべり変形することが確認された(図11を参照)。
【0038】
次に、溶接金属の耐力から、柱部材11,12による拘束を受けた溶接金属の耐力を換算するための関係性を特定する。そのために、上記のとおり決定された崩壊機構に基づいて、仮想仕事のつり合い(図12を参照)より、崩壊荷重Pを算出する。内力の仕事が外力の仕事と等しいという関係性と、本例の開先角度θが35度である点とから、崩壊荷重Pは、次式(2)で表される。
【0039】
【数5】
ここで、τは、せん断応力、δは、鉛直方向変位、δは、せん断方向変位、l(小文字のエル)は、板厚tのせん断方向成分、σy0は、溶接金属の降伏耐力である。式(2)より、崩壊荷重Pは、溶接金属の降伏耐力σy0の1.23倍となることがわかる。
【0040】
次に、全塑性時の応力分布を設定する。有限要素法解析を用いて、全塑性時の応力分布を設定する。軸力Nを考慮した最大曲げ耐力は、σで構成される領域と、σで構成される領域の各最大曲げ耐力の和である。0度載荷方向と45度載荷方向とのそれぞれにについて解析し、応力ブロックを個別に設定する。解析モデルは、上記の崩壊機構を決定した際に用いられたものと同様である。
【0041】
次に、軸力比nに応じて2ケースに分け、各ケースについて、上記の応力分布に基づいて、0度載荷方向と45度載荷方向とのそれぞれについて最大曲げ耐力を算定する。その結果として、最大曲げ耐力を算出するための算出式が、以下のように4通り得られる。
【0042】
【数6】
ここで、βは、溶接金属の降伏比の逆数、Bは、柱部材11,12の柱幅(辺長)である。
【0043】
算出式(1.0.L)および(1.45.L)は、軸力比nが0≦n≦0.5の条件下で適用される算出式の組を構成する。算出式(1.0.L)は、0度載荷方向での最大曲げ耐力を算出するための式である。算出式(1.45.L)は、45度載荷方向での最大曲げ耐力を算出するための式である。
【0044】
算出式(2.0.L)および(2.45.L)は、軸力比nが0.5<n≦0.5(β+1)の条件下で適用される算出式の組を構成する。算出式(2.0.L)は、0度載荷方向での最大曲げ耐力を算出するための式である。算出式(2.45.L)は、45度載荷方向での最大曲げ耐力を算出するための式である。
【0045】
<4.全塑性曲げ耐力の算出式等>
式(1)の右辺にある全塑性曲げ耐力に関しても、接合部13の最大曲げ耐力と同様、軸力比および載荷方向に応じて、以下の4通りの算出式が得られる。
【0046】
【数7】
算出式(1.0.R)、(1.45.R)、(2.0.R)、および(2.45.R)は、算出式(1.0.L)、(1.45.L)、(2.0.L)、および(2.45.L)それぞれと対応している。
【0047】
算出式(1.0.R)および(1.45.R)は、軸力比nが0≦n≦0.5の条件下で適用される算出式の組を構成する。算出式(1.0.R)は、0度載荷方向での全塑性曲げ耐力を算出するための式である。算出式(1.45.R)は、45度載荷方向での全塑性曲げ耐力を算出するための式である。算出式(2.0.R)および(2.45.R)は、軸力比nが0.5<n≦0.5(β+1)の条件下で適用される算出式の組を構成する。算出式(2.0.R)は、0度載荷方向での全塑性曲げ耐力を算出するための式である。算出式(2.45.R)は、45度載荷方向での全塑性曲げ耐力を算出するための式である。
【0048】
なお、軸力比nは、次式(3)より得られる。母材による拘束を受けた溶接金属の降伏強度σおよび引張強度σは、式(2)に基づき、次式(4)および(5)それぞれより得られる。溶接金属の降伏比の逆数βは、次式(6)より得られる。継手降伏耐力および継手最大引張耐力は、次式(7)および(8)それぞれより得られる。また、軸力比nの条件:0≦n≦0.5は、軸力Nを用いた条件式(9)と同値であり、同条件:0.5<n≦0.5(β+1)も、軸力Nを用いた条件式(10)と同値である。
【0049】
【数8】
ここで、σu0は、溶接金属の引張強さ、Aは、柱部材11,12の断面積である。
【0050】
式(3)~(8)と、算出式(1.0.L),(1.45.L),(2.0.L),(2.45.L),(1.0.R),(1.45.R),(2.0.R)、および(2.45.R)とに基づき、軸力Nと、柱継手構造10の設計パラメータ(柱断面積A、柱幅B、および板厚t)と、溶接金属の強度パラメータ(降伏点σy0および引張強さσu0)と、柱部材11,12の強度パラメータ(降伏耐力σ)の数値が決まれば、軸力比nも決まり、継手部13の最大曲げ耐力と、全塑性曲げ耐力とが容易に算出される。
【0051】
<5.アンダーマッチ溶接型柱継手構造の条件>
継手部13の最大曲げ耐力と、全塑性曲げ耐力とが算出されれば、式(1)で示される不等式の成否を判定することができる。つまり、式(1)は、軸力比nおよび載荷方向に応じて、以下の4通りの判定式に書き換えることができる。
【0052】
【数9】
判定式(1.0)は、式(1)の左辺を算出式(1.0.L)に書き換え、右辺の全塑性曲げ耐力を算出式(1.0.R)に書き換え、それにより、式(1)をこれまで述べてきた変数に依存する式へと変形することによって得られる。
【0053】
判定式(1.45)は、算出式(1.45.L)および(1.45.R)を用い、式(1)を上記同様にして変形することによって得られる。判定式(2.0)は、算出式(2.0.L)および(2.0.R)を用い、式(1)を上記同様にして変形することによって得られる。判定式(2.45)は、算出式(2.45.L)および(2.45.R)を用い、式(1)を上記同様にして変形することによって得られる。
【0054】
柱継手構造10の設計者は、評価対象の柱継手構造10に関するパラメータ値を取得し、軸力比nを求めればよい。すると、判定式(1.0)および(1.45)の組を用いる状況であるか、判定式(2.0)および(2.45)の組を用いる状況であるかが決まる。
【0055】
軸力比nが0≦n≦0.5であれば、判定式(1.0)および(1.45)の2つの成否を判定する。2つとも左辺値が右辺値以上であれば、評価対象の柱継手構造10は、保有耐力接合の考え方に照らして、耐震性も考慮に入れて、安全であると評価することができる。いずれか1つの判定式において左辺値が右辺値未満であれば、評価対象の柱継手構造10は、安全であるとは評価できない。
【0056】
軸力比nが0.5<n≦0.5(β+1)である場合も、これと同様である。判定式(2.0)および(2.45)の2つとも、左辺値が右辺値以上であれば、評価対象の柱継手構造10を安全であると評価することができる。いずれか1つの判定式において左辺値が右辺値未満であれば、評価対象の柱継手構造10を安全であるとは評価できない。
【0057】
設計段階において当該評価方法が用いられることにより、判定式(1.0)および(1.45)の両方、もしくは判定式(2.0)および(2.45)の両方を満たす柱継手構造10が、高層建築物の施工者に提供される。
【0058】
アンダーマッチ溶接を行う場合においても、判定式(1.0)および(1.45)の両方、もしくは判定式(2.0)および(2.45)の両方を満たすことは可能である。そのため、溶接施工性の高い柱継手構造10を提供することができる。
【0059】
柱継手構造10の設計者は、溶接金属あるいは母材を同じ素材としたまま、柱幅Bや板厚t等の設計パラメータを微調整しながら、柱継手構造10の設計を試行錯誤することも考えられる。このような場合、判定式(1.0)、(1.45)、(2.0)、および(2.45)を構成する変数の一部を定数として取り扱うことができる。例えば、wσy0 を500N/mm2wσu0を630N/mm2Bσyを630N/mm2の条件下において、判定式(1.0)、(1.45)、(2.0)、および(2.45)を次式(1'.0)、(1'.45)、(2'.0)、および(2'.45)に書き換えることができる。ただし、これらの提案式は80キロ級母材柱に対し、60キロ級の軟質溶接材料の適用を検討する際に有効なものである。例えばさらに軟質な50キロ級の溶接材料を検討する際には、0037段落に記載の崩壊機構を同様の手法で設定し、崩壊荷重Pが溶接金属の降伏耐力σy0の何倍となるか検討することで、応用することが可能である。
【0060】
【数10】
判定式の簡素化により、演算負荷が軽減され、評価結果を速やかに得ることが可能となる。
【0061】
<6.判定式の検証>
以上の判定式は、有限要素法解析を通じて得られたものである。本件発明者は、その妥当性を検証するための実験を行った。
【0062】
【表1】
まず、試験体が6種作成された。試験体の諸元を表1に示す。
【0063】
試験体C0-H、C0-M、C0-Lは、0度載荷方向に荷重を載荷することが想定され、図1図3に示される第1試験体10Aと同様の構成となるように作成された。試験体C45-H、C45-M、C45-Lは、45度載荷方向に荷重を載荷することが想定され、図4および図5に示される第2試験体10Bと同様の構成となるように作成された。
【0064】
いずれの試験体においても、母材としての柱部材11,12の材料特性は同一とした。母材には、降伏耐力σが719N/mm2の80キロ級高張力鋼が使用された。
【0065】
溶接金属は、3種準備された。1つ目は、3種のうち最も高い強度を有する80キロ級溶接金属であり、試験体C0-HおよびC45-Hに適用された。2つ目は、3種のうち中間の強度を有する60キロ級溶接金属であり、試験体C0-MおよびC45-Mに適用された。3つ目は、3種のうち最も低い強度を有する50キロ級溶接金属であり、試験体C0-LおよびC45-Lに適用された。
【0066】
この実験では、軸力Nを0とするため、判定式(1.0)および(1.45)の妥当性が検証される。
【0067】
【表2】
表2は、式による判定を示す。
【0068】
試験体C0-HおよびC45-Hは、接合部にイーブンマッチ溶接またはオーバーマッチ溶接が適用されており、本発明の趣旨に反する比較例である。試験体C0-MおよびC45-Mは、接合部にアンダーマッチ溶接が適用されており、また、判定式(1.0)および(1.45)を満たす実施例である。試験体C0-LおよびC45-Lは、接合部にアンダーマッチ溶接が適用されているが、溶接金属の強度が低すぎて判定式(1.0)および(1.45)を満たさない比較例である。
【0069】
なお、母材および各溶接金属の引張特性を得るため、試験片が作成された。母材の引張試験片には、JIS Z2241 5号が用いられ、各溶接金属の引張試験片には、JIS Z3111 A2号が用いられた。試験片の採取位置は、母材は、全圧、圧延方向と垂直な方向に採取した。各溶接金属については、より実態に近い値を得るべく、試験体と同一ロットの材料を用いて、同一溶接施工条件にて図7に示す平継手を作成し、図8に示すように、溶接部断面においてt/2位置が中心となるように採取した。
【0070】
次の実験計画に従って実験を行った。すなわち、試験体の断面形状、および母材の降伏耐力σに基づく全塑性耐力Mに対応する弾性変形量δに基づき、各サイクルの変形量を設定し、±δ、±2δ、±3δ、…を各2回ずつ、正負交番繰返し漸増載荷実験を行った。なお、軸力Nは0とした。試験体C0-H、C0-MおよびC0-Lには、0度載荷方向に荷重を載荷した。試験体C45-H、C45-MおよびC45-Lには、45度載荷方向に荷重を載荷した。
【0071】
【表3】
図9図10および表3に実験結果を示す。
【0072】
実験計画時の全塑性耐力Mの値に対し、実験により得られる最大曲げ耐力Mmaxと最小曲げ耐力Mminとの比(耐力上昇率)の絶対値が1.1以上となるものを実施例とした。
【0073】
試験体C0-MおよびC45-Mは、耐力上昇率が1.1以上となり、アンダーマッチ溶接型の継手であっても構造体として十分に安全であると言える。試験体C0-Mは判定式(1.0)を満たし且つ試験体C45-Mは判定式(1.45)を満たすことから、判定式の妥当性が確認された。加えて、接合部の最大曲げ耐力の実験値は、算出式(判定式の左辺)から算出される算出値と対応しており、この点からも判定式の妥当性が確認された。
【0074】
これまで、本発明の実施形態について説明したが、上記構成および方法は、本発明の趣旨の範囲内で適宜追加、変更および/または削除可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 柱継手構造
11 下柱部材
12 上柱部材
13 接合部
14 開先
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12