IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151031
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】液体排出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B41J2/165 401
B41J2/165 101
B41J2/165 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060423
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】林田 健太
(72)【発明者】
【氏名】竹内 心咲
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA17
2C056EC23
2C056EC53
2C056FA13
2C056JA21
2C056JB04
2C056JB09
2C056JB15
2C056JC13
(57)【要約】
【課題】ノズルが吐出する液体が付着したキャップおよびワイパに対して最適なメンテナンスを実現できる手段を提供する。
【解決手段】画像記録装置100は、ノズル面50を有するヘッド38と、メンテナンス位置においてノズル面50に当接し、待避位置においてノズル面50から離間するキャップ62と、ノズル面50を払拭するゴムワイパ63と、メンテナンス機構80の保持部材90と、コントローラ130と、を備えている。保持部材90は、第1メンテナンス液を保持している。コントローラ130は、待避位置に位置するキャップ62およびゴムワイパ63に保持部材90を当接する。洗浄処理において、第2メンテナンス液をキャップ62の内部空間に流通する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル面が有する開口であるノズルから液体を吐出するヘッドと、
被覆位置において上記ノズル面に当接し、待避位置において上記ノズル面から離間するキャップと、
上記ノズル面を払拭する第1ワイパと、
上記キャップの内部空間と外部とを連通する排出流路と、
コントローラと、を備えており、
上記コントローラは、
上記待避位置に位置する上記キャップおよび上記第1ワイパに第1メンテナンス液を接触させる第1メンテナンス処理と、
上記第1メンテナンス液と異なる第2メンテナンス液を上記キャップの内部空間および上記排出流路に流通する第2メンテナンス処理と、を実行する液体排出装置。
【請求項2】
上記第1メンテナンス液を保持する吸水性の清掃部材を更に備えており、
上記コントローラは、上記第1メンテナンス処理において、上記待避位置に位置する上記キャップおよび上記第1ワイパに上記清掃部材を当接させる請求項1に記載の液体排出装置。
【請求項3】
上記第2メンテナンス液を貯留するタンクと、
上記タンクから上記キャップの内部空間に液体を供給する供給流路と、を更に備えており、
上記コントローラは、
上記第2メンテナンス処理において、上記供給流路を通じて上記キャップの内部空間へ供給された上記第2メンテナンス液を上記排出流路へ流出する請求項1または2に記載の液体排出装置。
【請求項4】
上記コントローラは、上記被覆位置に位置する上記キャップの内部空間に上記第2メンテナンス液が貯留された状態とする第3メンテナンス処理を実行する請求項1から3のいずれかに記載の液体排出装置。
【請求項5】
上記コントローラは、
上記第2メンテナンス処理において、第1流速で上記キャップの内部空間へ上記第2メンテナンス液を流入し、
上記第3メンテナンス処理において、第2流速で上記キャップの内部空間へ上記第2メンテナンス液を流入し、
上記第2流速は、上記第1流速よりも遅い請求項4に記載の液体排出装置。
【請求項6】
上記コントローラは、上記第1ワイパにより上記ノズル面を払拭する第4メンテナンス処理を実行する請求項1から5のいずれかに記載の液体排出装置。
【請求項7】
吸水性の第2ワイパをさらに備えており、
上記第2ワイパは、上記第2メンテナンス液を保持しており、
上記コントローラは、上記第4メンテナンス処理において、上記第2ワイパを上記ノズル面に当接することにより、上記ノズル面を清掃する請求項6に記載の液体排出装置。
【請求項8】
上記コントローラは、上記第4メンテナンス処理において、上記第2ワイパが上記ノズル面を清掃した後、上記第1ワイパにより上記ノズル面を払拭する請求項7に記載の液体排出装置。
【請求項9】
上記第2ワイパへ上記第2メンテナンス液を供給する流路をさらに備えており、
上記コントローラは、上記第4メンテナンス処理において上記流路を通じて上記第2ワイパに上記第2メンテナンス液を供給した後、上記流路から上記第2メンテナンス液を排出する請求項7または8に記載の液体排出装置。
【請求項10】
複数の上記ヘッドと、
複数の上記キャップと、
上記キャップの内部空間のそれぞれと連通する上記供給流路および上記排出流路と、
上記排出流路のそれぞれに設けられた吸引ポンプと、
モータと、を更に備えており、
上記コントローラは、上記モータを駆動して上記吸引ポンプを動作させ、
上記供給流路の容積と、上記排出流路における上記吸引ポンプより上流の容積と、当該キャップの内部空間の容積と、の合計は、複数の上記キャップそれぞれにおいて同等である請求項3に記載の液体排出装置。
【請求項11】
上記第1メンテナンス液の粘度は、上記第2メンテナンス液の粘度よりも大きい請求項1から10のいずれかに記載の液体排出装置。
【請求項12】
上記第1メンテナンス液の蒸発率は、上記第2メンテナンス液の蒸発率よりも小さい請求項1から11のいずれかに記載の液体排出装置。
【請求項13】
上記第1メンテナンス液が含有する水溶性有機溶剤のうちの最大量のものと、上記第2メンテナンス液が含有する水溶性有機溶剤のうちの最大量のものと、が同一である請求項1から12のいずれかに記載の液体排出装置。
【請求項14】
上記ノズルが吐出する液体は、樹脂微粒子および水を含む請求項1から13のいずれかに記載の液体排出装置。
【請求項15】
上記第1メンテナンス液の粘度V1と、上記第2メンテナンス液の粘度V2と、上記ノズルが吐出する液体の粘度V3とは、粘度V1>粘度V3>粘度V2の関係にある請求項14に記載の液体排出装置。
【請求項16】
上記第1メンテナンス液の表面張力T1は、上記ノズルが吐出する液体の表面張力T3よりも大きく、
上記第2メンテナンス液の表面張力T2は、上記表面張力T3よりも大きい請求項14または15に記載の液体排出装置。
【請求項17】
上記第1メンテナンス液の蒸発率E1と、上記第2メンテナンス液の蒸発率E2と、上記ノズルが吐出する液体の蒸発率E3とは、蒸発率E3>蒸発率E2>蒸発率E1の関係にある請求項14から16のいずれかに記載の液体排出装置。
【請求項18】
ヘッドのノズル面から離間した待避位置に位置するキャップおよび第1ワイパに第1メンテナンス液を接触する第1メンテナンス工程と、
第1メンテナンス液と異なる第2メンテナンス液を、上記キャップの内部空間および当該内部空間と連通する排出流路に流通する第2メンテナンス工程と、を含むメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドのノズル面を覆うキャップ、およびノズル面を払拭するワイパのメンテナンスを行う液体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドのノズルから液体を吐出してシートに印刷する液体排出装置としては、例えば、特許文献1のインクジェット入出力装置が知られている。特許文献1のインクジェット記録装置は、ヘッドのノズル開口をキャッピングするキャッピング手段を有している。インクジェット記録装置は、電源が遮断される際に、キャッピング手段の流路内を洗浄液で洗浄した後に、ノズル開口をキャッピングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-320674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドのノズルから吐出される液体は、キャップなどに付着し得る。例えば、キャップの内部空間や流路などに液体が残存したり、ノズル面と接触するキャップの一部分に液体が付着したりする。特許文献1では、キャップにおいて液体が付着している箇所によって、最適な清掃方法を実現することは考慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、ノズルが吐出する液体が付着したキャップおよびワイパに対して最適なメンテナンスを実現できる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る液体排出装置は、ノズル面が有する開口であるノズルから液体を吐出するヘッドと、被覆位置において上記ノズル面に当接し、待避位置において上記ノズル面から離間するキャップと、上記ノズル面を払拭する第1ワイパと、上記キャップの内部空間と外部とを連通する排出流路と、コントローラと、を備えている。上記コントローラは、上記待避位置に位置する上記キャップおよび上記第1ワイパに第1メンテナンス液を接触させる第1メンテナンス処理と、上記第1メンテナンス液と異なる第2メンテナンス液を上記キャップの内部空間および上記排出流路に流通する第2メンテナンス処理と、を実行する。
【0007】
第1メンテナンス液によりキャップおよび第1ワイパが清掃され、第2メンテナンス液によりキャップの内部空間および排出流路が洗浄されるので、ノズルから吐出される液体が付着する各部材に適したメンテナンスが実現される。
【0008】
(2) 上記第1メンテナンス液を保持する吸水性の清掃部材を更に備えており、上記コントローラは、上記第1メンテナンス処理において、上記待避位置に位置する上記キャップおよび上記第1ワイパに上記清掃部材を当接させてもよい。
【0009】
(3) 上記液体排出装置は、上記第2メンテナンス液を貯留するタンクと、上記タンクから上記キャップの内部空間に液体を供給する供給流路と、を更に備えてもよい。上記コントローラは、上記第2メンテナンス処理において、上記供給流路を通じて上記キャップの内部空間へ供給された上記第2メンテナンス液を上記排出流路へ流出してもよい。
【0010】
ノズルから吐出される液体が付着しやすいキャップの内部空間および排出流路が、第2メンテナンス液により洗浄される。
【0011】
(4) 上記コントローラは、上記被覆位置に位置する上記キャップの内部空間に上記第2メンテナンス液が貯留された状態とする第3メンテナンス処理を実行してもよい。
【0012】
被覆位置のキャップの内部空間が高湿度に保たれるので、ノズルにおいて液体が乾燥し難い。
【0013】
(5) 上記コントローラは、上記第2メンテナンス処理において、第1流速で上記キャップの内部空間へ上記第2メンテナンス液を流入し、上記第3メンテナンス処理において、第2流速で上記キャップの内部空間へ上記第2メンテナンス液を流入し、上記第2流速は、上記第1流速よりも遅くてもよい。
【0014】
第3メンテナンス処理において、第2メンテナンス液がキャップの内部空間から溢れ出にくい。
【0015】
(6) 上記コントローラは、上記第1ワイパにより上記ノズル面を払拭する第4メンテナンス処理を実行してもよい。
【0016】
ノズル面に付着した液体が払拭される。
【0017】
(7) 上記液体排出装置は、吸水性の第2ワイパをさらに備えており、上記第2ワイパは、上記第2メンテナンス液を保持しており、上記コントローラは、上記第4メンテナンス処理において、上記第2ワイパを上記ノズル面に当接することにより、上記ノズル面を清掃してもよい。
【0018】
(8) 上記コントローラは、上記第4メンテナンス処理において、上記第2ワイパが上記ノズル面を清掃した後、上記第1ワイパにより上記ノズル面を払拭してもよい。
【0019】
(9) 上記液体排出装置は、上記第2ワイパへ上記第2メンテナンス液を供給する流路をさらに備えており、上記コントローラは、上記第4メンテナンス処理において上記流路を通じて上記第2ワイパに上記第2メンテナンス液を供給した後、上記流路から上記第2メンテナンス液を排出してもよい。
【0020】
(10) 上記液体排出装置は、複数の上記ヘッドと、複数の上記キャップと、上記キャップの内部空間のそれぞれと連通する上記供給流路および上記排出流路と、上記排出流路のそれぞれに設けられた吸引ポンプと、モータと、を更に備えており、上記コントローラは、上記モータを駆動して上記吸引ポンプを動作させ、上記供給流路の容積と、上記排出流路における上記吸引ポンプより上流の容積と、当該キャップの内部空間の容積と、の合計は、複数の上記キャップそれぞれにおいて同等であってもよい。
【0021】
複数の吸引ポンプを駆動するモータを共通にしつつ、複数の吸引ポンプの動作により各キャップの内部空間へ流入する第2メンテナンス液の量を均等にすることができる。
【0022】
(11) 上記第1メンテナンス液の粘度は、上記第2メンテナンス液の粘度よりも大きくてもよい。
【0023】
第2メンテナンス液によりキャップの内部空間および排出流路を洗浄しやすい。
【0024】
(12) 上記第1メンテナンス液の蒸発率は、上記第2メンテナンス液の蒸発率よりも小さくてもよい。
【0025】
清掃部材から第1メンテナンス液が蒸発し難い。
【0026】
(13) 上記第1メンテナンス液が含有する水溶性有機溶剤のうちの最大量のものと、上記第2メンテナンス液が含有する水溶性有機溶剤のうちの最大量のものと、が同一であってもよい。
【0027】
第1メンテナンス液と第2メンテナンス液とが混合したときに凝集などが生じ難い。
【0028】
(14) 上記ノズルが吐出する液体は、樹脂微粒子および水を含んでもよい。
【0029】
(15) 上記第1メンテナンス液の粘度V1と、上記第2メンテナンス液の粘度V2と、上記ノズルが吐出する液体の粘度V3とは、粘度V1>粘度V3>粘度V2の関係にあってもよい。
【0030】
(16) 上記第1メンテナンス液の表面張力T1は、上記ノズルが吐出する液体の表面張力T3よりも大きく、上記第2メンテナンス液の表面張力T2は、上記表面張力T3よりも大きくてもよい。
【0031】
(17) 上記第1メンテナンス液の蒸発率E1と、上記第2メンテナンス液の蒸発率E2と、上記ノズルが吐出する液体の蒸発率E3とは、蒸発率E3>蒸発率E2>蒸発率E1の関係にあってもよい。
【0032】
(18) 本発明は、ヘッドのノズル面から離間した待避位置に位置するキャップおよび第1ワイパを、第1メンテナンス液を保持する清掃部材に当接する第1メンテナンス工程と、第1メンテナンス液と異なる第2メンテナンス液を、上記キャップの内部空間および当該内部空間と連通する排出流路に流通する第2メンテナンス工程と、を含むメンテナンス方法として捉えられてもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ノズルが吐出する液体が付着したキャップおよびワイパに対して最適なメンテナンスが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像記録装置100の外観斜視図である。
図2図2は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第1姿勢であり、メンテナンス機構60が待機位置である状態を示す。
図3図3は、図2において上筐体31が開位置となった状態を示す断面図である。
図4図4は、ヘッド38の底面図である。
図5図5は、第2姿勢の第1支持機構51及び第2支持機構52の平面図である。
図6図6は、第2姿勢の第1支持機構51及びメンテナンス機構60の正面図である。
図7図7は、メンテナンス機構60の斜視図である。
図8図8は、メンテナンス機構60の底面図である。
図9図9は、支持台61の液体流路153を液体流路153の流れ方向に平行な平面で切断した断面図である。
図10図10は、メンテナンス位置におけるキャップ62A,62B,62Cの断面図である。
図11図11は、ワイパクリーニング機構80を斜め下方から視た斜視図である。
図12図12は、支持部材81の斜視図である。
図13図13は、蓋部材82の斜視図である。
図14図14は、ワイパクリーニング機構80の一部拡大断面図である。
図15図15は、蓋部材82の係合部93、操作部92を示す断面斜視図である。
図16図16は、画像記録装置100のブロック図である。
図17図17は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が被キャッピング位置であり、第1支持機構51が第1姿勢であり、メンテナンス機構60がメンテナンス位置である状態を示す。
図18図18は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が被ワイピング位置であり、第1支持機構51が第1姿勢であり、メンテナンス機構60がワイピング位置である状態を示す。
図19図19は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第2姿勢であり、メンテナンス機構60が第1支持機構51に支持された位置である状態を示す。
図20図20は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第2姿勢であり、メンテナンス機構60が待機位置とメンテナンス位置の間の位置である状態を示す。
図21図21は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第2姿勢であり、メンテナンス機構60が待機位置である状態を示す。
図22図22は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第2姿勢であり、メンテナンス機構60が待避位置である状態を示す。
図23図23は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第1姿勢であり、メンテナンス機構60が待避位置である状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、画像記録装置100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口33が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、画像記録装置100を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0036】
[画像記録装置100の外観構成]
図1に示される画像記録装置100(液体排出装置の一例)は、インクジェット記録方式でロール体37(図2参照)をなすシートSに画像を記録する。
【0037】
図1に示されるように、画像記録装置100は、筐体30を備える。筐体30は、上筐体31及び下筐体32を備える。上筐体31及び下筐体32は、全体として概ね直方体形状であって、卓上に載置可能な大きさである。すなわち、画像記録装置100は、卓上に載置されて使用されるのに適している。もちろん、画像記録装置100は、床面やラックに載置されて使用されてもよい。
【0038】
図2に示されるように、筐体30は、上筐体31の内部に内部空間31Aが、下筐体32の内部に内部空間32Aが外部から区画される。
【0039】
図2図3に示されるように、上筐体31は、下筐体32によって回動可能に支持されている。上筐体31は、後下端部に設けられ且つ左右方向9に延びる回動軸15周りに、図2に示される閉位置と、図3に示される開位置とに回動可能である。
【0040】
図1に示されるように、下筐体32の前面32Fには、左右方向9に長いスリット状の排出口33が形成されている。排出口33からは、画像記録済みのシートS(図2参照)が排出される。
【0041】
上筐体31の前面31Fには、操作パネル44が設けられている。ユーザは、操作パネル44に、画像記録装置100を動作させたり各種設定を確定したりするための入力を行う。操作パネル44は、後述する蓋部材82が支持部材81に装着されていることを示す表示部44Aを有している。
【0042】
[画像記録装置100の内部構成]
図2に示されるように、内部空間31A,32Aには、ホルダ35、テンショナ45、搬送ローラ対36、搬送ローラ対40、ヘッド38、第1支持機構51、ヒータ39、支持部46、第2支持機構52、CIS25、カッターユニット26、インクタンク34、洗浄液タンク76、廃液タンク77、メンテナンス機構60、ワイパクリーニング機構80及びコントローラ130(図16参照)が配置されている。図2には示されていないが、内部空間32Aには、コントローラ130が配置されている(図16参照)。コントローラ130は、画像記録装置100の動作を制御するものである。
【0043】
内部空間32Aには、隔壁41が設けられている。隔壁41は、内部空間32Aの後下部を仕切って、シート収容空間32Cを区画する。シート収容空間32Cは、隔壁41、下筐体32により包囲される。
【0044】
シート収容空間32Cには、ロール体37が収容される。ロール体37は、芯管と、長尺のシートSとを有している。シートSは、芯管の軸芯の周方向にロール状に芯管に巻回されている。
【0045】
図2に示されるように、シート収容空間32Cには、左右方向9に沿って延びるホルダ35が位置する。装着時、ロール体37の芯管の軸芯が左右方向9に沿い、且つロール体37が軸芯の周方向に周りに回転可能に、ホルダ35はロール体37を支持する。ホルダ35は、搬送モータ53(図16参照)から駆動力が伝達されて回転する。ホルダ35の回転に伴って、ホルダ35に支持されているロール体37も回転する。
【0046】
図2に示されるように、シート収容空間32Cは、後部において上方へ向かって開口している。隔壁41と後面32Bとの間、すなわち、ロール体37の後端の上方に隙間42が形成されている。シートSは、搬送ローラ対36,40が回転することで、ロール体37の後端から上方に引き出され隙間42を介してテンショナ45へと案内される。
【0047】
テンショナ45は、内部空間32Aの後部において隔壁41よりも上方に位置する。テンショナ45は、下筐体32の外側を向いている外周面45Aを有している。外周面45Aの上端は、上下方向7において搬送ローラ対36のニップDと概ね同じ上下位置にある。
【0048】
外周面45Aには、ロール体37から引き出されたシートSが掛けられ当接する。シートSは、外周面45Aに沿って前方に湾曲して、搬送向き8Aに延びて搬送ローラ対36に案内される。搬送向き8Aは、前後方向8に沿う前向きである。
【0049】
テンショナ45の前方には、搬送ローラ対36が位置する。搬送ローラ対36は、搬送ローラ36Aとピンチローラ36Bとを有する。搬送ローラ36A、及びピンチローラ36Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接し合ってニップDを形成する。
【0050】
搬送ローラ対36の前方には、搬送ローラ対40が位置する。搬送ローラ対40は、搬送ローラ40Aとピンチローラ40Bとを有する。搬送ローラ40A、及びピンチローラ40Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接し合ってニップを形成する。
【0051】
搬送ローラ36A,40Aは、搬送モータ53(図16参照)から駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対36は、テンショナ45から搬送向き8Aに延びるシートSをニップしつつ回転することにより、後述する搬送路43の搬送面43Aに沿う搬送向き8Aに送り出す。搬送ローラ対40は、搬送ローラ対36から送り出されたシートSをニップしつつ回転することにより搬送向き8Aに送り出す。また、搬送ローラ対36,40の回転により、シートSは、シート収容空間32Cから隙間42を通ってテンショナ45に向けて引き出される。
【0052】
図2に示されるように、内部空間32Aには、外周面45Aの上端から排出口33に至る搬送路43が形成されている。搬送路43は、搬送向き8Aに沿ってほぼ直線的に延びており、シートSが通過可能な空間である。詳細には、搬送路43は、搬送向き8A及び左右方向9に拡がり且つ搬送向き8Aに長い搬送面43Aに沿っている。なお、図2では、搬送面43Aは、搬送路43を示す二点鎖線で示されている。搬送路43は、上下方向7に離れて位置するガイド部材(不図示)や、ヘッド38、搬送ベルト101、支持部46、ヒータ39などによって区画されている。すなわち、ヘッド38、搬送ベルト101、支持部46、及びヒータ39は、搬送路43に沿って位置する。
【0053】
ヘッド38は、搬送路43の上方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流側に位置する。ヘッド38は、ノズル面50(図4参照)において開口する複数のノズル38Aを有する。複数のノズル38Aから、インク(液体の一例)が搬送ベルト101に支持されたシートSへ向かって下方へ吐出される。これにより、シートSに画像が記録される。ヘッド38の構成は、後に説明される。
【0054】
第1支持機構51は、搬送路43の下方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流に位置する。第1支持機構51は、ヘッド38の下方に、ヘッド38と対向している。第1支持機構51は、搬送ベルト101と支持部材104を有する。搬送ベルト101は、搬送ローラ対36によって搬送向き8Aに搬送されてヘッド38の直下に位置するシートSを支持する。搬送ベルト101は、支持しているシートSを搬送向き8Aに搬送する。支持部材104は、メンテナンス機構60を支持可能である。第1支持機構51の構成は、後に説明される。
【0055】
ヒータ39は、搬送路43の下方においてヘッド38よりも搬送向き8Aの下流であって搬送ローラ対40よりも搬送向き8Aの上流に位置する。ヒータ39は、第1支持機構51より前方でフレームに支持され、左右方向9に延びる。ヒータ39は、伝熱プレート(不図示)と、フィルムヒータ(不図示)と、を有している。伝熱プレートは、金属製であり、搬送ベルト101の搬送面108と概ね同じ上下位置に、前後左右に拡がる支持面を有する。第1支持機構51から送り出されたシートSは、伝熱プレートの支持面上で前方へと搬送される。フィルムヒータは、伝熱プレートの下面に固定されており、コントローラ130の制御下で発熱する。この熱は、伝熱プレートを介して、伝熱プレート上のシートSに伝わる。また、ヒータ39からの熱は、ヒータ39の上方に配置されたダクト145によって回収される。
【0056】
ダクト145は、搬送路43の上方であって、ヘッド38の搬送向き8Aの下流かつ搬送ローラ対40の上流に配置されている。
【0057】
支持部46は、搬送路43の下方に位置している。支持部46は、ヘッド38及び第1支持機構51よりも搬送向き8Aの下流に位置する。支持部46の後部には、ヒータ39が位置している。支持部46の前部は、搬送ローラ40Aと対向している。支持部46は、カッターユニット26よりも搬送向き8Aの上流に位置する。
【0058】
支持部46は、下筐体32によって左右方向9に延びる軸(不図示)周りに回動可能に支持されている。図3に示されるように、上筐体31が開位置のとき、支持部46は、図3に実線で示される倒伏位置と、図3に破線で示される起立位置とに回動可能である。
【0059】
支持部46が倒伏位置のとき、支持部46の回動先端46Bは、回動基端46Aよりも前方(搬送向き8Aの下流)に位置している。支持部46が倒伏位置のとき、支持部46は、搬送路43の一部を構成しており、搬送ベルト101によって搬送向き8Aに搬送されてきたシートSを支持可能である。支持部46が起立位置のとき、支持部46の回動先端46Bは支持部46が倒伏位置のときよりも上方に位置しており、メンテナンス機構60が外部に露出可能である。支持部46の軸は、支持部46の後端部に設けられており、左右方向9に延びている。
【0060】
第2支持機構52は、傾斜方向6及び左右方向9に直交する直交方向10に移動可能に下筐体32に支持されている。第2支持機構52は、メンテナンス機構60を支持可能である。第2支持機構52の構成は、後に説明される。
【0061】
CIS25は、搬送路43の上方において搬送ローラ対40よりも搬送向き8Aの下流
に位置する。CIS25は、シートの印刷面の画像を読み取ることができる。
【0062】
カッターユニット26は、搬送路43の上方においてCIS25よりも搬送向き8Aの下流に位置する。カッターユニット26は、カッターキャリッジ27にカッター28が搭載されたものである。カッター28の移動によって、搬送路43に位置するシートSが左右方向9に沿って切断される。
【0063】
インクタンク34は、インクを貯留している。インクは、顔料などを含む液体である。インクタンク34から不図示のチューブを通じてインクがヘッド38に供給される。インクタンク34とヘッド38とを連通するチューブには、インクバルブ142(図16参照)が設けられている。インクバルブ142は、チューブの内部空間である流路を開閉する。
【0064】
洗浄液タンク76は、第2メンテナンス液を貯留している。第2メンテナンス液は、ヘッド38のノズル38Aおよびノズル面50を洗浄するためのものである。洗浄液タンク76は、後述する第2支持機構52よりも下方に位置する。洗浄液タンク76には、タンク内に形成される空気層を外部に連通する大気連通路140(図2参照)が形成されている。洗浄液タンク76は、大気連通路140を開閉する洗浄液流通バルブを有している。廃液タンク77は、第2メンテナンス液が排出される容器である。
【0065】
メンテナンス機構60は、ヘッド38のメンテナンスを行うためのものである。メンテナンス機構60は、移動可能に構成されており、ヘッド38のメンテナンスが行われるときにヘッド38の直下に移動される(図17参照)。
【0066】
ヘッド38のメンテナンスは、パージ処理、キャップ洗浄処理、及びワイピング処理などである。パージ処理は、図17に示されるように、メンテナンス機構60の後述するキャップ62によってノズル面50を被覆した上で吸引ポンプ74によってノズル38Aからインクを吸引する処理である。キャップ洗浄処理は、キャップ62によってノズル面50を被覆した状態でキャップ62の内部空間67A,67B,67C(図10参照)に送り込んだ第2メンテナンス液によってヘッド38のノズル面50を洗浄する処理である。ワイピング処理は、図18に示されるように、メンテナンス機構60の後述するスポンジワイパ(吸水性の第2ワイパの一例)64によってヘッド38のノズル面50を払拭する処理である。メンテナンス機構60の構成は、後に説明される。
【0067】
ワイパクリーニング機構80は、メンテナンス機構60のゴムワイパ(第1ワイパの一例)63を清掃するためのものである。メンテナンス機構60は、ゴムワイパ63の清掃が行われるときにワイパクリーニング機構80の直下に移動される。ワイパクリーニング機構80の構成は、後に説明される。
【0068】
[ヘッド38]
図2及び図4に示されるように、ヘッド38は、概ね左右方向9に長い直方体形状である。ヘッド38は、フレーム48と、3つの吐出モジュール49A,49B,49Cとを備えている。以下、3つの吐出モジュール49A,49B,49Cを総称して、吐出モジュール49とも称する。なお、吐出モジュール49の数は、3つに限らず、例えば1つでもよい。
【0069】
図2及び図4に示されるように、吐出モジュール49は、フレーム48によって支持されている。吐出モジュール49の下面は、下方に露出される。吐出モジュール49は、左右方向9において搬送路43内に配置されている。
【0070】
図4に示されるように、吐出モジュール49A,49Bは、搬送向き8Aにおいて同位置に配置されている。吐出モジュール49A,49Bは、左右方向9に間隔を空けて配置されている。吐出モジュール49Cは、吐出モジュール49A,49Bよりも搬送向き8Aの下流側に配置されている。吐出モジュール49Cは、左右方向9において隣り合う2個の吐出モジュール49A,49Bの間に配置されている。吐出モジュール49Cの左端は、吐出モジュール49Aの右端より左方に位置している。吐出モジュール49Cの右端は、吐出モジュール49Bの左端より右方に位置している。つまり、左右方向9において、吐出モジュール49Cの端部と、吐出モジュール49A,49Bの端部とは重複している。
【0071】
各吐出モジュール49A,49B,49Cは、複数のノズル38Aを備えている。各ノズル38Aは、各吐出モジュール49A,49B,49Cのノズル面50に開口されている。ノズル面50は、前後方向8、及び左右方向9に拡がる面である。上述したように、複数のノズル38Aから、インクが第1支持機構51の搬送ベルト101に支持されたシートSへ向かって下方へ吐出されて、シートSに画像が記録される。
【0072】
ヘッド38は、上下方向7に沿って、図19図21に示される記録位置、図17に示される被キャッピング位置、図18に実線で示される被ワイピング位置、及び図18に破線で示されるアンキャップ位置に移動する。記録位置は、搬送ベルト101に支持されたシートSに画像を記録するときのヘッド38の位置である。被キャッピング位置は、吐出モジュール49がメンテナンス機構60のキャップ62によって覆われるときのヘッド38の位置である。被キャッピング位置は、記録位置より上方の位置(記録位置よりも第1支持機構51から離れた位置)である。被ワイピング位置は、メンテナンス機構60のスポンジワイパ64が吐出モジュール49のノズル面50を払拭するときのヘッド38の位置である。被ワイピング位置は、被キャッピング位置より上方の位置である。アンキャップ位置は、ヘッド38をメンテナンス機構60から完全に離間させるときのヘッド38の位置である。アンキャップ位置は、被ワイピング位置より上方の位置である。
【0073】
図2に示されるように、ヘッド38は、ボールネジ29によって移動される。ボールネジ29は、ネジ軸29Aとナット部材29Bとを備える。ネジ軸29Aは、下筐体32によって、上下方向7に沿った軸周りに回転可能に支持されている。ネジ軸29Aは、ヘッドモータ54(図16参照)から駆動力を伝達されることによって回転する。ナット部材29Bは、ネジ軸29Aの正転によって上方へ移動し、ネジ軸29Aの逆転によって下方へ移動する。なお、ヘッド38が上下動するための構成は、ボールネジ29を用いた構成に限らず、公知の種々の構成が採用可能である。
【0074】
[第1支持機構51]
図2図5、及び図6に示されるように、第1支持機構51は、搬送ベルト101、駆動ローラ102、従動ローラ103、支持部材104、ギヤ105、及びギヤ106を備えている。なお、各図において、ギヤ105,106の歯の図示は省略されている。
【0075】
駆動ローラ102及び従動ローラ103は、支持部材104によって回転可能に支持されている。駆動ローラ102及び従動ローラ103は、前後方向8(搬送向き8A)に互いに離間している。搬送ベルト101は、無端ベルトである。搬送ベルト101は、駆動ローラ102、及び従動ローラ103に張架される。搬送ベルト101は、左右方向9において、搬送路43内に配置されている。
【0076】
駆動ローラ102は、搬送モータ53(図16参照)によって与えられる駆動力により回転し、搬送ベルト101を回動させる。搬送ベルト101の回動に伴い、従動ローラ103が回転する。搬送ベルト101は、搬送面108を有している。搬送面108は、搬送ベルト101の外周面における上側の部分であり、搬送向き8Aに沿って延びている。搬送面108は、搬送路43を挟んでヘッド38のノズル38Aと対向している。搬送面108は、搬送ローラ対36,40の間で搬送されるシートSを下方から支持しつつ、シートSに搬送力を与える。これによって、搬送ベルト101は、搬送路43に位置するシートSを搬送面108に沿う搬送向き8Aに搬送する。
【0077】
図2及び図5に示されるように、支持部材104は、軸109Aを備えている。軸109Aは、下筐体32によって回転可能に支持されている。軸109Aは、左右方向9(搬送向き8Aと直交し且つ吐出モジュール49のノズル面50と平行な方向)に延びている。軸109Aは、駆動ローラ102より搬送向き8Aの上流に設けられている。軸109Aは、搬送ローラ対36より下方に位置している。
【0078】
軸109Aは、軸モータ59(図16参照)から駆動力が伝達されて回転する。軸109Aが回転することによって、支持部材104は軸109A周りに回動する。第1支持機構51の回動先端51Aは、軸109Aよりも搬送向き8Aの下流に位置している。
【0079】
支持部材104は、吐出モジュール49のノズル面50に平行な第1姿勢(図2参照)と、第1姿勢から軸109Aを中心に傾き、回動先端51Aが軸109よりも下方に位置する第2姿勢(図19参照)とに姿勢変化可能である。
【0080】
図2に示されるように、第1支持機構51が第1姿勢のとき、搬送ベルト101の搬送面108は前後方向8に沿って延びている。これにより、搬送ベルト101は、搬送路43に位置するシートSを前方に搬送して支持部46に送ることが可能である。
【0081】
図2図19図21に示されるように、第1支持機構51が第2姿勢のとき、搬送ベルト101の搬送面108は、前方へ向かうにしたがって下方へ向かう傾斜方向6に沿って延びている。なお、傾斜方向6は、左右方向9に直交し且つ搬送向き8Aと交差する向きである。
【0082】
図5及び図6に示されるように、支持部材104は、本体109と、立壁110,111とを備えている。なお、以下の支持部材104の説明では、第1支持機構51が第2姿勢であるとする。本体109は、概ね板状の部材であり、軸109Aを備えている。立壁110は、本体109の左端部から上方へ立設されている。立壁111は、本体109の右端部から上方へ立設されている。立壁110,111は、傾斜方向6に沿って延びている。
【0083】
立壁110,111は、左右方向9において、搬送路43外に配置されている。立壁110,111は、駆動ローラ102及び従動ローラ103を回転可能に支持している。
【0084】
立壁110は、上面110Aを備える。立壁111は、第1上面111Aと第2上面111Bとを備える。第2上面111Bは、左右方向9において、第1上面111Aと異なる位置にある。上面110A及び第1上面111Aは、メンテナンス機構60を支持して、メンテナンス機構60の移動をスライド自在に支持する。図5及び図8に示されるように、第2上面111Bは、メンテナンス機構60の後述のラック154と対向可能な位置にある。第2上面111Bに、開口112が形成されている。開口112からギヤ105Aの一部が上方に突出している。ギヤ105Aは、対向する位置にあるラック154と噛合可能である。
【0085】
図2及び図5に示されるように、ギヤ105,106は、第1支持機構51の支持部材104によって回転可能に支持されている。ギヤ105は、左右方向9に沿って並んだギヤ105A,105Bで構成されている。ギヤ105A及びギヤ105Bは、互いに同軸に配置されている。ギヤ105Aは、ギヤ105Bと一体回転する。ギヤ105Bは、ギヤ106と噛合している。ギヤ106は、直接的にまたは他のギヤなどを介して第1モータ55(図16参照)と繋がっており、第1モータ55から駆動力を付与される。
【0086】
[第2支持機構52]
図2に示されるように、第2支持機構52は、全体として傾斜方向6に延びた状態で配置されており、ボールネジ160によって直交方向10に移動可能である。ボールネジ160は、ネジ軸161と、ナット部材162とを有している。なお、第2支持機構52を駆動するボールネジ160については、図2においてのみ示し他の図面においては省略する。
【0087】
図2及び図5に示されるように、第2支持機構52は、本体115と、立壁116,117と、ギヤ118,119,120とを備えている。なお、各図において、ギヤ118,119,120の歯の図示は省略されている。
【0088】
本体115は、概ね板状の部材である。本体115にはボールネジ160のネジ軸161が固定されており、下筐体32に固定されたナット部材162に螺合されている。ネジ軸161は、上下駆動モータ163(図16参照)から駆動力を伝達されることによって回転する。これにより、本体115は直交方向10に移動可能である。なお、ヘッド38が上下動するための構成は、ボールネジ160を用いた構成に限らず、公知の種々の構成が採用可能である。
【0089】
立壁116は、本体115の左端部から上方へ立設されている。立壁117は、本体115の右端部から上方へ立設されている。立壁116,117は、傾斜方向6に沿って延びている。
【0090】
立壁116は、左右方向9において、第1支持機構51の立壁110と同位置である。立壁117は、左右方向9において、第1支持機構51の立壁111と同位置である。
【0091】
立壁116は、上面116Aを備える。立壁117は、第1上面117Aと第2上面117Bとを備える。第2上面117Bは、左右方向9において、第1上面117Aと異なる位置にある。
【0092】
第1支持機構51が第2姿勢のとき、第1上面117Aは、第1支持機構51の立壁111の第1上面111Aと傾斜方向6に沿って並んでおり、且つ第1上面111Aと同一平面上にある。つまり、第1上面117A及び第1上面111Aは、直線的に並んでいる。第1支持機構51が第2姿勢のとき、第2上面117Bは、第1支持機構51の立壁111の第2上面111Bと傾斜方向6に沿って並んでおり、且つ第2上面111Bと同一平面上にある。つまり、第2上面117B及び第2上面111Bは、直線的に並んでいる。
【0093】
上面116A及び第1上面117Aは、メンテナンス機構60を支持して、メンテナンス機構60の移動をスライド自在に支持する。第2上面117Bは、メンテナンス機構60のラック154と対向可能な位置にある。図5に示されるように、第2上面117Bに、開口123,124が形成されている。開口124は、開口123より前方に位置している。開口123からギヤ118の一部が上方に突出している。開口124からギヤ119の一部が上方に突出している。ギヤ118,119は、対向する位置にあるラック154と噛合可能である。
【0094】
図2及び図5に示されるように、ギヤ118,119,120は、第2支持機構52の本体115によって回転可能に支持されている。ギヤ118は、左右方向9に沿って並んだギヤ118A,118Bで構成されている。ギヤ118A及びギヤ118Bは、互いに同軸に配置されている。ギヤ118Aは、ギヤ118Bと一体回転する。ギヤ119は、左右方向9に沿って並んだギヤ119A,119Bで構成されている。ギヤ119A及びギヤ119Bは、互いに同軸に配置されている。ギヤ119Aは、ギヤ119Bと一体回転する。ギヤ120は、ギヤ118B,119Bに噛合している。これにより、ギヤ120が回転したときに、ギヤ118,119は同方向に回転する。ギヤ120は、直接的にまたは他のギヤなどを介して第2モータ56(図16参照)と繋がっており、第2モータ56から駆動力を付与される。
【0095】
[メンテナンス機構60]
図6及び図7に示されるように、メンテナンス機構60は、支持台61、スポンジワイパ64(第2ワイパの一例)、ゴムワイパ63(第1ワイパの一例)、及びキャップ62を備えている。なお、以下のメンテナンス機構60の説明では、メンテナンス機構60が第2姿勢の第1支持機構51及び第2支持機構52によって支持されているとする。
【0096】
[支持台61]
支持台61は、底台61Aと、底台61Aに載置される本体61Bと、スポンジワイパ64及びゴムワイパ63を本体61Bに保持するワイパホルダ61Cと、を有する。底台61Aは、上方が開口された箱型形状を有する。底台61Aは、第1底板121と、第1底板121の周縁から上方へ立設された第1縁板122と、延出片125と、ラック154(図8参照)と、を備えている。
【0097】
第1底板121は、傾斜方向6及び左右方向9へ拡がる平板状である。第1底板121の上面および下面は、傾斜方向6よりも左右方向9に長い矩形状に形成されている。第1底板121の下面は、第1支持機構51の立壁110の上面110Aに上方から当接可能である。第1底板121の下面は、立壁111の第1上面111Aに上方から当接可能である。これにより、メンテナンス機構60は、第1支持機構51によって支持可能である。第1底板121の下面は、第2支持機構52の立壁116の上面116Aに上方から当接可能である。第1底板121の下面は、第2支持機構52の立壁117の第1上面117Aに上方から当接可能である。これにより、メンテナンス機構60は、第2支持機構52によって支持可能である。
【0098】
第1縁板122は、平面視において矩形枠状である。延出片125は、第1縁板122の右壁の下端部から右方へ延びている。延出片125は、第1縁板122の右壁の傾斜方向6の一端から他端まで延びている。
【0099】
ラック154は、延出片125の下面に形成されている。図8に示されるように、ラック154は、延出片125の傾斜方向6の一端部から他端部の近傍まで延びている。ラック154は、第1支持機構51の立壁111の第2上面111Bと上下に対向可能である(図6参照)。
【0100】
ラック154は、第2上面111Bの開口112から突出したギヤ105Aと噛合可能である。ラック154とギヤ105Aとが噛合した状態でギヤ105Aが回転することによって、メンテナンス機構60は、第1支持機構51に対して上面110A及び第1上面111Aに沿ってスライドする。つまり、メンテナンス機構60の移動は、第1支持機構51の上面110A及び第1上面111Aによってガイドされる。
【0101】
ラック154は、第2支持機構52の立壁117の第2上面117Bと上下に対向可能である。ラック154は、第2上面117Bの開口123から突出したギヤ118A、及び第2上面117Bの開口124から突出したギヤ119Aと噛合可能である。ラック154とギヤ118A及びギヤ119Aの少なくとも一方が噛合した状態でギヤ105Aが回転することによって、メンテナンス機構60は、第2支持機構52に対して上面116A及び第1上面117Aに沿ってスライドする。つまり、メンテナンス機構60の移動は、第2支持機構52の上面116A及び第1上面111Aによってガイドされる。
【0102】
これにより、メンテナンス機構60は、後述するように、図2及び図21に示される待機位置、図22及び図23に示される待避位置(待避位置の一例)、図17に示されるメンテナンス位置(被覆位置の一例)、及び図18に示されるワイピング位置に移動可能である。メンテナンス位置及びワイピング位置のメンテナンス機構60は、ヘッド38の吐出モジュール49のノズル面50と上下方向7に対向している。待機位置及び待避位置のメンテナンス機構60は、ノズル面50から離間した状態である。
【0103】
図7に示されるように、本体61Bは、上方が開放された略箱形形状である。本体61Bは、底台61Aに固定されている。本体61Bは、第2底板151と、第2底板151から上方へ立設された第2縁板152と、洗浄液タンク76に貯留される第2メンテナンス液を環流する液体流路153と、を備えている。
【0104】
図7及び図9に示されるように、第2底板151は、傾斜方向6及び左右方向9に拡がる平板状である。第2底板151の上面および下面は、傾斜方向6よりも左右方向に長い矩形状に形成されている。第2縁板152は、平面視において矩形枠状である。
【0105】
図9に示されるように、液体流路153は、第2底板151の上面に形成されている。液体流路153は、第2底板151の上面から下向きに凹んだ凹溝であり、上方に開口している。液体流路153は、平面視において、左右方向9に延びてUターンするように折り返すU字形状に連続した形状を有する。液体流路153は、凹溝上において配置されるスポンジワイパ64A、スポンジワイパ64B、およびスポンジワイパ64Cを直列に接続するように延びている。液体流路153は、第1流路153A、中間流路153B、及び第2流路153Cを有する。
【0106】
第1流路153Aは、液体流路153における第2メンテナンス液の流通向きの上流側に位置する。第1流路153Aは、本体61Bにおける前側において左右方向9に延びる部分である。
【0107】
中間流路153Bは、第1流路153Aの第2メンテナンス液の流通向きの下流に位置する。中間流路153Bは、第1流路153Aの下流端から本体61bの傾斜方向6の中間部まで前傾斜向き5に延びている。
【0108】
第2流路153Cは、液体流路153における第2メンテナンス液の流通向きの下流側に位置する。第2流路153Cは、中間流路153Bの下流端から右方に延びる。
【0109】
図9に示されるように、第1流路153Aの上流端における凹溝の内壁面には、第2メンテナンス液が第1流路153Aに流入する流入口171が開口している。流入口171には、第1供給チューブ175の一端が接続されている。第1供給チューブ175の他端は、第1支持機構51の外側に至り、洗浄液タンク76に接続され、洗浄液タンク76内に貯留される第2メンテナンス液の水面よりも低い位置において開口する。
【0110】
第2流路153Cの下流端における内壁面には、第2メンテナンス液が流出する流出口174が開口している。流出口174には、戻りチューブ176の一端が接続されている。戻りチューブ176の他端は、第1支持機構51の外側に至り、洗浄液タンク76に接続され、洗浄液タンク76内に貯留される第2メンテナンス液の水面よりも高い位置において開口する。戻りチューブ176には戻りポンプ75が設けられている(図2参照)。戻りポンプ75の駆動は、コントローラ130によって制御される。
【0111】
図7に示されるように、ワイパホルダ61Cは、スポンジワイパ64と、ゴムワイパ63と、を有している。スポンジワイパ64およびゴムワイパ63は、ワイパホルダ61Cによって本体61Bに支持されている。
【0112】
[スポンジワイパ64]
スポンジワイパ64は、スポンジによって形成されている。本実施形態では、スポンジワイパ64は、3つ(64A,64B,64C)が設けられている。以下、3つのスポンジワイパ64A,64B,64Cを総称して、スポンジワイパ64とも称する。スポンジワイパ64は、左右方向9の長さが傾斜方向6及び上下方向7の長さよりも長い直方体状に形成されている。スポンジワイパ64の上下方向7の長さは、傾斜方向6の長さよりも長い。
【0113】
スポンジワイパ64Aおよびスポンジワイパ64Bは、液体流路153の第1流路153Aに配置されている。スポンジワイパ64Aは、スポンジワイパ64Bよりも上流側に配置されている。スポンジワイパ64Cは、液体流路153の第2流路153Cに配置されている。
【0114】
スポンジワイパ64A、スポンジワイパ64B、およびスポンジワイパ64Cはそれぞれ、吐出モジュール49A、吐出モジュール49B、および吐出モジュール49Cに上下方向7に対応している。スポンジワイパ64Aおよびスポンジワイパ64Bは、互いに左右方向9に間隔を空けて位置する。スポンジワイパ64Cは、スポンジワイパ64Aおよびスポンジワイパ64Bよりも前傾斜向き5に間隔を空けて位置している。スポンジワイパ64Cは、左右方向9においてスポンジワイパ64Aとスポンジワイパ64Bとの間の中間に位置している。
【0115】
スポンジワイパ64Aは、吐出モジュール49Aに対応しており、吐出モジュール49Aと上下方向7に対向可能である。図7図9に示されるように、スポンジワイパ64Aは、第1流路153Aの左右方向9の中央よりも右側に配置されている。
【0116】
[ゴムワイパ63]
ゴムワイパ63は、ゴムによって形成されている。本実施形態では、ゴムワイパ63は、3つ(63A,63B,63C)が設けられている。以下、3つのゴムワイパ63A、63B、63Cを総称して、ゴムワイパ63とも称する。
【0117】
ゴムワイパ63は、上下方向7及び左右方向9に拡がる平板状に形成されている。ゴムワイパ63の傾斜方向6の長さは、スポンジワイパ64の傾斜方向6の長さよりも短い。これにより、ゴムワイパ63は、ワイピング処理時において吐出モジュール49のノズル面50に当接したときに、屈曲しやすくなっている。ゴムワイパ63の左右方向9の長さは、スポンジワイパ64の左右方向9の長さよりも僅かに長い。ゴムワイパ63の支持台61からの長さは、スポンジワイパ64の支持台61からの長さよりも長い。ゴムワイパ63は、スポンジワイパ64の左右方向9の両端よりも左右方向9の外側に位置している。ゴムワイパ63の上端部は、先細りに形成されている。これにより、ゴムワイパ63の上端部が、ワイピング処理時において吐出モジュール49のノズル面50に接触しやすい。
【0118】
ゴムワイパ63Aおよびゴムワイパ63Bは、液体流路153の外側に配置されている。ゴムワイパ63A、ゴムワイパ63B、およびゴムワイパ63Cはそれぞれ、吐出モジュール49A、吐出モジュール49B、および吐出モジュール49Cに上下方向7に対応している。ゴムワイパ63Aは、ゴムワイパ63B、およびゴムワイパ63Cはそれぞれ、スポンジワイパ64A、スポンジワイパ64B、およびスポンジワイパ64Cから後傾斜向き4に間隔を空けて支持台61に配置されている。
【0119】
[キャップ62]
図7に示されるように、キャップ62は、支持台61に支持されている。キャップ62は、複数設けられている。本実施形態では、キャップ62は、3つのキャップ62A,62B,62Cで構成されている。以下、3つのキャップ62A,62B,62Cを総称して、キャップ62とも称する。
【0120】
キャップ62は、ゴムやシリコンなどの弾性体で構成されている。キャップ62は、上方が開放された箱形形状である。
【0121】
キャップ62A、キャップ62Bおよびキャップ62Cはそれぞれ、吐出モジュール49A、吐出モジュール49Bおよび吐出モジュール49Cに上下方向7に対向可能である。キャップ62A、キャップ62Bおよびキャップ62Cはそれぞれ、スポンジワイパ64A、スポンジワイパ64B、およびスポンジワイパ64Cから前傾斜向き5に間隔を空けて配置されている。キャップ62A、キャップ62Bおよびキャップ62Cはそれぞれ、メンテナンス機構60がメンテナンス位置に位置するときリップ66A,66B,66Cがノズル面50に当接し内部空間67A,67B,67Cを封止する。キャップ62A、キャップ62Bおよびキャップ62Cはそれぞれ、内部空間67A,67B,67Cと外部とを連通するキャップ流路68A,68B,68Cを有している。キャップ流路68A,68B,68Cは、第2メンテナンス液がキャップ62の内部空間67A,67B,67Cに流入する供給流路20A,20B,20Cと、第2メンテナンス液がキャップ62A,62B,62Cの内部空間67A,67B,67Cから流出する排出流路21A,21B,21Cと、を有している。
【0122】
以下、3つのリップ66A,66B,66Cを総称して、リップ66とも称する。また、内部空間67A,67B,67C、キャップ流路68A,68B,68C、供給流路20A,20B,20C、及び、排出流路21A,21B,21Cについても同様に、それぞれ内部空間67、キャップ流路68、供給流路20、及び、排出流路21とも称する。
【0123】
図10に示されるように、キャップ62Aは、吐出モジュール49Aに対応しており、吐出モジュール49Aと上下方向7に対向可能である。キャップ62Aは、スポンジワイパ64Aから前傾斜向き5に間隔を空けて配置されている。キャップ62Aの底板69には、第2メンテナンス液がキャップ62Aに流入する供給流路20Aと第2メンテナンス液がキャップ62Aから流出する排出流路21Aとが形成されている。キャップ62Aの供給流路20Aには、第2供給チューブ177の一端が接続されている。第2供給チューブ177の他端は、メンテナンス機構60の外側に至り、洗浄液タンク76(図2参照)に接続されている。排出流路21Aには、第1廃液チューブ178の一端が接続されている。第1廃液チューブ178の他端は、メンテナンス機構60の外側に至り、廃液タンク77(図2参照)に接続されている。
【0124】
キャップ62Bは、吐出モジュール49Bに対応しており、吐出モジュール49Bと上下方向7に対向可能である。キャップ62Bは、スポンジワイパ64Bから前傾斜向き5に間隔を空けて配置されている。キャップ62Bの底板69には、第2メンテナンス液がキャップ62Bに流入する供給流路20Bと第2メンテナンス液がキャップ62Bから流出する排出流路21Bとが形成されている。供給流路20Bには、第2供給チューブ177から分岐した第3供給チューブ179の一端が接続されている。排出流路21Bには、第2廃液チューブ180の一端が接続されている。第2廃液チューブ180の他端は、メンテナンス機構60の外側において第1廃液チューブ178に合流している。
【0125】
キャップ62Cは、吐出モジュール49Cに対応しており、吐出モジュール49Cと上下方向7に対向可能である。キャップ62Cは、スポンジワイパ64Cから前傾斜向き5に間隔を空けて配置されている。キャップ62Cの底板69には、第2メンテナンス液がキャップ62Cに流入する供給流路20Cと第2メンテナンス液がキャップ62Cから流出する排出流路21Cとが形成されている。供給流路20Cには、第2供給チューブ177から分岐した第4供給チューブ201の一端が接続されている。排出流路21Cには、第3廃液チューブ202の一端が接続されている。第3廃液チューブ202の他端は、メンテナンス機構60の外側において第1廃液チューブ178に合流している。
【0126】
第2供給チューブ177における第3供給チューブ179及び第4供給チューブ201の分岐点よりも上流側にキャップ洗浄バルブ72(図16参照)が設けられている。キャップ洗浄バルブ72の開閉は、コントローラ130によって制御される。
【0127】
第1廃液チューブ178における第2廃液チューブ180及び第3廃液チューブ202には、合流点よりも上流側においてそれぞれ吸引ポンプ74(図2参照)が設けられている。3つの吸引ポンプ74は、1つの吸引ポンプモータ58(図16参照)によって駆動される。
【0128】
供給流路20Aの容積、排出流路21Aの容積および第1廃液チューブ178において吸引ポンプ74より上流の容積と、キャップ62Aの内部空間の容積と、の合計Taは、供給流路20Bの容積、排出流路21Bの容積および第2廃液チューブ180において吸引ポンプ74より上流の容積と、キャップ62Bの内部空間の容積と、の合計Tb、並びに、供給流路20Cの容積、排出流路21Cの容積および第3廃液チューブ202において吸引ポンプ74より上流の容積と、キャップ62Cの内部空間の容積と、の合計Tc、と同等である(合計Ta=合計Tb=合計Tc)。
【0129】
[ワイパクリーニング機構80]
図2図14に示されるように、ワイパクリーニング機構80は、支持部46の下側に位置しており、支持部材81と、蓋部材82とを有している。ワイパクリーニング機構80は、支持部46の下方に弾性部材83を介して連結されている。ワイパクリーニング機構80は、支持部46に対して直交方向10に沿って揺動可能に支持されている。
【0130】
図11及び図12に示されるように、支持部材81は、概ね平板状である。支持部材81は、蓋部材82が着脱可能である。支持部材81は、装着された蓋部材82に対向する対向面81Aと、左側の縁から下方に延びる左縁壁84Aと、右側の縁から下方に延びる右縁壁84Bと、左縁壁84Aの左右方向9における右方において下方に向かって延びる左内壁84Cと、右縁壁84Bの左右方向9における左方において下方に向かって延びる右内壁84Dと、規制軸97とを有している。
【0131】
対向面81Aは、支持部材81の下側の面である。左内壁84Cは、支持片85Aと、ガイド面86Aとを有している。支持片85Aは、左内壁84Cから左右方向9における右方に突出する突条である。支持片85Aは、傾斜方向6に沿って複数配置されている。
【0132】
ガイド面86Aは、支持部材81への蓋部材82の装着を案内する突部である。ガイド面86Aは、左内壁84Cから左右方向9における右方に突出している。ガイド面86Aは、支持片85Aよりも前傾斜向き5の位置に配置されている。ガイド面86Aは、一端側が後傾斜向き4に延びており、他端側が前傾斜向き5に向かうに従って対向面81Aから離間するように延びている。
【0133】
右内壁84Dは、左内壁84Cと同様に、支持片85Bと、ガイド面86Bとを有している。右内壁84Dの支持片85Bは、右内壁84Dから左右方向9における左方に突出する以外は前述の支持片85Aと同じ構成である。支持片85A及び支持片85Bは、蓋部材82を下方から支持する。右内壁84Dのガイド面86Bは、右内壁84Dから左右方向9における左方に突出する以外は前述のガイド面86Aと同じ構成である。
【0134】
規制軸97は、装着された蓋部材82の後傾斜向き4の動きを規制する。規制軸97は、対向面81A上において軸状に形成されている。規制軸97は、支持部材81の前側における左右方向9の中央位置に配置されている。
【0135】
支持部材81は、蓋部材82が装着されたことを検知する装着センサ87(図12及び図14参照)を有している。
【0136】
図2図11図13図14に示されるように、蓋部材82は、支持部材81に装着された状態において待避位置に位置するメンテナンス機構60に対向する。蓋部材82は、概ね平板状であり、下面88と、上面89と、切欠き部98とを有している。
【0137】
蓋部材82は、下面88において保持部材90(清掃部材の一例)を有している。保持部材90は、スポンジによって形成されており、第1メンテナンス液を保持している。保持部材90は、待避位置に位置するリップ66及びゴムワイパ63に当接する(図14参照)。これにより、保持部材90は、リップ66及びゴムワイパ63に付着したインクを拭う。保持部材90は、待避位置に位置するキャップ62の内部空間67を封止する。
【0138】
図13図14図15に示されるように、蓋部材82は、上面89において支持部材81に向かって突出するリブ91と、上面89の左側領域に配置された左操作部92Aと、上面89の右側領域に配置された右操作部92Bとを有している。左操作部92Aと右操作部92Bは、一対の操作部92A,92Bとして上面89の前傾斜向き5側において左右方向9に離間して配置されている。操作部92A,92Bは、支持部材81に対する蓋部材82の係合を解除する部材である。
【0139】
リブ91は、蓋部材82が支持部材81に装着された状態において装着センサ87によって検知可能である。リブ91は、上面89の傾斜方向6における中央であって、左側の領域に配置されている。リブ91は、平板状であり傾斜方向6に沿って延びている。
【0140】
左操作部92Aは、平板状であり、上面89において傾斜方向6に沿って延びている。左操作部92Aは、リブ91と一体に形成されている。左操作部92Aは、後傾斜向き4側の端部が上面に固定されている。つまり、左操作部92は、後傾斜向き4側の端部を支点にして左右方向9に揺動可能である。左操作部92Aは、傾斜方向6の中央位置において左方に向かって突出する左係合部93Aを有している。
【0141】
左係合部93Aは、左操作部92Aの左側の面に形成されている。左係合部93Aは、左右方向9及び直交方向10に広がる面である左当接面95Aと、左操作部92Aの左側の面から前傾斜向き5に向かうに従って左方に傾斜し左当接面95Aに繋がる左傾斜面94Aと、を有している。
【0142】
右操作部92Bは、傾斜方向6の中央位置において右方に向かって突出する右係合部93Bを有している以外の構成が左操作部92Aと同じであるため説明を省略する。
【0143】
右係合部93Bは、右操作部92Bの右側の面に形成されている。右係合部93Bは、左右方向9及び直交方向10に広がる面である右当接面95Bと、右操作部92Bの右側の面から前傾斜向き5に向かうに従って右方に傾斜し右当接面95Bに繋がる右傾斜面94Bと、を有している。左係合部93Aと右係合部93Bは、支持部材81に形成されたロック部96(図12及び図15参照)に係合する一対の係合部93A,93Bである。
【0144】
切欠き部98は、規制軸97に当接して蓋部材82の支持部材81に対する後傾斜向き4の動きを規制する。切欠き部98は、蓋部材82の前側における左右方向9の中央位置に配置されている。切欠き部98は、後傾斜向き4に開口している。
【0145】
支持部材81に装着された蓋部材82は、支持部材81に対して前傾斜向き5へスライドするとき、当接面95A,95Bが支持部材81に形成されたロック部96に当接することにより動きが規制される。ユーザは、左操作部92Aを左右方向9における右方、右操作部92Bを左右方向9における左方に移動させることで、係合部93A,93Bをロック部96から離脱させることができる。この状態において、ユーザは、蓋部材82を前傾斜向き5へスライドさせて支持部材81から離脱させることができる。
【0146】
ユーザは、蓋部材82の挿入先端をガイド面86A,86Bに沿うように後傾斜向き4に移動させることで支持部材81に蓋部材82を装着することができる。具体的には、蓋部材82を支持部材81に挿入すると、左係合部93Aがロック部96によって右方に押されて左操作部92Aが右方に変形し、右係合部93Bがロック部96によって左方に押されて右操作部92Bが左方に変形する。さらに蓋部材82が後傾斜向き4に押し込まれると、係合部93A,93Bがロック部96を乗り越え、その後当接面95A,95Bがロック部96に係合する。このとき、切欠き部98が規制軸97に当接するため、蓋部材82は支持部材81に対して後傾斜向き4の動きも規制される。なお、操作部92A,92B、係合部93A,93B、ロック部96、切欠き部98、及び規制軸97は、支持部材81に装着された蓋部材82の傾斜方向6の動きを規制できるものであればよく、その他の公知のものが採用されてもよい。
【0147】
[コントローラ130]
図16に示されるように、コントローラ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131の各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0148】
ASIC135には、搬送モータ53、ヘッドモータ54、第1モータ55、第2モータ56、戻りポンプモータ47、吸引ポンプモータ58、軸モータ59、上下駆動モータ163、バルブモータ71、操作パネル44、装着センサ87、及び表示部44Aが接続されている。
【0149】
ASIC135は、各モータを回転させるための駆動信号を生成し、この駆動信号を元に各モータを制御する。各モータは、ASIC135からの駆動信号によって正転又は逆転する。コントローラ130は、搬送モータ53の駆動を制御して、ホルダ35、搬送ローラ36A、搬送ローラ40A、及び駆動ローラ102を回転させる。コントローラ130は、ヘッドモータ54の駆動を制御して、ネジ軸29Aを回転させ、ヘッド38を上下方向7に沿って移動させる。コントローラ130は、軸モータ59の駆動を制御して、第1支持機構51を回動させる。コントローラ130は、第1モータ55の駆動を制御して、第1支持機構51のギヤ106を回転させる。コントローラ130は、上下駆動モータ163の駆動を制御して、ネジ軸161を回転させ、第2支持機構52を直交方向10に沿って移動させる。コントローラ130は、第2モータ56の駆動を制御して、第2支持機構52のギヤ120を回転させる。コントローラ130は、戻りポンプモータ78の駆動を制御して、戻りポンプ75を駆動させる。コントローラ130は、吸引ポンプモータ58の駆動を制御して、3つの吸引ポンプ74を駆動させる。コントローラ130は、バルブモータ71の駆動を制御して、キャップ洗浄バルブ72を開閉させる。コントローラ130は、バルブモータ73の駆動を制御して、洗浄液流通バルブ141を開閉させる。コントローラ130は、バルブモータ79の駆動を制御して、インクバルブ142を開閉させる。
【0150】
ASIC35には、操作パネル44、表示部44A、圧電素子(不図示)が接続されている。操作パネル44は、ユーザによる操作に応じた操作信号をコントローラ130に出力する。操作パネル44は、例えば、押ボタンを有していてもよいし、ディスプレイに重畳されたタッチセンサを有していてもよい。表示部44Aは、蓋部材82が支持部材81に装着されていることを表示する。圧電素子は、不図示のドライブ回路を介してコントローラ130により給電されることで動作する。コントローラ130は、圧電素子への給電を制御し、複数のノズル38Aから選択的にインク滴を吐出させる。
【0151】
ASIC35には、装着センサ87が電気的に接続されている。コントローラ130は、蓋部材82の挿抜について装着センサ87を通じて検出する。
【0152】
[インク]
以下、インクの詳細が説明される。インクは、樹脂微粒子、色材、有機溶剤、界面活性剤、及び水を有する。インクは、樹脂微粒子、色材、及び有機溶剤が水に溶けた水性インクである。
【0153】
インクは、コート紙、プラスチック、フィルム、OHPシート等の疎水性の記録媒体への濡れ性があるが、これに限定されるものではなく、例えば、普通紙、光沢紙、マット紙等の疎水性の記録媒体以外の画像記録に好適なものであってもよい。「コート紙」とは、例えば、上級印刷紙、中級印刷紙等のパルプを主要な構成要素とした普通紙に、平滑性、白色度、光沢度等の向上を目的として、コート剤を塗布したものを言い、具体的には、上級コート紙、中級コート紙等があげられる。
【0154】
樹脂微粒子としては、例えば、メタクリル酸及びアクリル酸の少なくとも一方をモノマーとして含むものを用いることができ、例えば、市販品を用いてもよい。樹脂微粒子は、例えば、モノマーとして、さらに、スチレン、塩化ビニル等を含んでもよい。樹脂微粒子は、例えば、エマルジョンに含まれるものであってもよい。エマルジョンは、例えば、樹脂微粒子と、分散媒(例えば、水等)とで構成されるものである。樹脂微粒子は、分散媒に対して溶解状態ではなく、特定の粒子径の範囲で分散している。樹脂微粒子としては、例えば、アクリル酸系樹脂、マレイン酸系エステル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、カーボネート型樹脂、ポリカーボネート型樹脂、スチレン系樹脂、エチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びこれらの共重合体樹脂等が挙げられるが、アクリル系樹脂であることが好ましい。
【0155】
樹脂微粒子としては、例えば、0℃以上200℃以下の範囲内においてガラス転移温度(Tg)を有する樹脂が用いられる。より好ましくは、ガラス転移温度(Tg)は、20℃以上180℃以下であり、さらに好ましくは、30℃以上150℃以下である。
【0156】
エマルジョンとしては、例えば、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス(登録商標)870」(Tg:71℃)、「スーパーフレックス(登録商標)150」(Tg:40℃)、ジャパンコーティングレジン(株)製の「モビニール(登録商標)6760」(Tg:-28℃)、「モビニール(登録商標)DM774」(Tg:33℃)、昭和電工(株)製の「ポリゾール(登録商標)AP-3270N」(Tg:27℃)、星光PMC(株)製の「ハイロース-X(登録商標)KE-1062」(Tg:112℃)、「ハイロース-X(登録商標)QE-1042」(Tg:69℃)等が挙げられる。
【0157】
樹脂微粒子の平均粒子径は、例えば、30nm以上200nm以下の範囲内である。平均粒子径は、例えば、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB-550」を用いて、算術平均径として測定可能である。
【0158】
インク全量における樹脂微粒子の含有量(R)は、例えば、0.1wt%以上30wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは0.5wt%以上20wt%以下の範囲内であり、特に好ましくは1.0wt%以上15.0wt%以下の範囲内である。樹脂微粒子は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0159】
色材は、例えば、顔料分散用樹脂(樹脂分散剤)によって、水に分散可能な顔料である。色材としては、例えば、カーボンブラック、無機顔料及び有機顔料等が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料及びカーボンブラック系無機顔料等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック昼光蛍光顔料;等が挙げられる。
【0160】
インク全量における色材の固形分含有量は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度又は彩度等により、適宜決定できる。色材の固形分含有量は、例えば、0.1wt%以上20.0wt%以下の範囲内が好ましく、更に好ましくは1.0wt%以上15.0wt%以下の範囲内である。色材の固形分含有量は、顔料のみの重量であり、樹脂微粒子の重量は含まない。色材は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0161】
有機溶剤は、溶剤と水とを1:1で混合した際に、均一に混ざり合う溶剤である。有機溶剤としては、特に限定はなく、任意のものが使用できる。有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、プロピレンオキサイドを含むグリコールエーテルが好ましい。その他の有機溶剤の例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1~4のアルキルアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテルなどのアルキレングリコール類の低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0162】
インク全量における有機溶剤の含有量は、例えば、1wt%以上70wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは3wt%以上50wt%以下の範囲内である。
【0163】
水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。インク全量における水の含有量は、例えば、15wt%以上95wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは25wt%以上85wt%以下の範囲内である。水の含有量は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0164】
インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防腐剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、ノズル乾燥防止剤、エマルジョンなどのポリマー成分、染料等が挙げられる。界面活性剤は、さらに、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、またはノニオン性界面活性剤を含んでもよい。これら界面活性剤は、例えば、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日信化学工業(株)製の「オルフィン(登録商標)E1010」、「オルフィン(登録商標)E1006」及び「オルフィン(登録商標)E1004」等が挙げられる。インク全量における界面活性剤の含有量は、例えば、5重量%以下、3重量%以下、0.1重量%~2重量%である。粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等が挙げられる。
【0165】
インクは、例えば、樹脂微粒子と、色材と、有機溶剤と、水と、必要に応じて他の添加剤とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
【0166】
なお、インクは、加熱により記録媒材に定着する樹脂微粒子を含むものに代えて、紫外線照射により記録媒体に定着するものであってもよい。その場合、インクは、紫外線硬化剤、樹脂成分、色材、有機溶剤、界面活性剤、及び水を有する。紫外線硬化剤は、光重合開始剤と重合性化合物とを含む。
【0167】
光重合開始剤は、紫外線の照射によって重合性化合物を重合反応させる水溶性の化合物である。光重合開始剤は、水に溶解した状態である。光重合開始剤が水に溶解した状態とは、水100gに対して1wt%以上の光重合開始剤が溶解した状態をいう。光重合開始剤は、例えば、フェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィン酸リチウムが挙げられる。その他の光重合開始剤の例としては、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤、アセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ベンゾイン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、アミノアルキルフェノン系開始剤、キサントン系開始剤、オキシム系開始剤等が挙げられる。例えば、ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤の例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン等が挙げられる。アセトフェノン系開始剤の例としては、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェン等が挙げられる。ベンゾフェノン系開始剤の例としては、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ジクロロベンゾフェン、p,p’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン等が挙げられる。ベンゾイン系開始剤及びベンゾインエーテル系開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等が挙げられる。インク全量における光重合開始剤の固形分含有量は、例えば、0.1wt%以上10.0wt%以下の範囲内が好ましく、更に好ましくは0.5wt%以上5.0wt%以下の範囲内であり、特に好ましくは0.8wt%以上2.5wt%以下の範囲内である。
【0168】
重合性化合物は、紫外線が照射された光重合開始剤によって重合反応する水溶性の化合物である。重合性化合物は、水に溶解した状態である。重合性化合物が水に溶解した状態とは、水100gに対して1wt%以上の重合性化合物が溶解した状態をいう。重合性化合物は、例えば、N,N’-1,2-エタンジイルビス{N-[2-(アクリロイルアミノ)エチル]アクリルアミド}、N,N’-(((2-アクリルアミド-2((3-(ブタ-1,3-ジエン-2-イラミノ)プロポキシ-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ビス(プロパン-3,1-ジイル))ジアクリルアミド、N,N-ビス(2-アクリルアミドエチル)アクリルアミド、N,N’-{オキシビス(2,1-エタンジイルオキシ-3,1-プロパンジイル)}ビスアクリルアミドが挙げられる。インク全量における重合性化合物の固形分含有量は、例えば、1.0wt%以上40.0wt%以下の範囲内が好ましく、更に好ましくは2.5wt%以上40.0wt%以下の範囲内であり、特に好ましくは5.0wt%以上40wt%以下の範囲内である。
【0169】
[第1メンテナンス液]
第1メンテナンス液は、ワイパクリーニング機構80の保持部材90に保持されている。第1メンテナンス液は、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水と、を含む。
【0170】
水溶性有機溶剤としては、特に限定はなく、任意のものが使用できる。水溶性有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、プロピレングリコール又は1,2-ブタンジオールが好ましい。その他の有機溶剤の例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1~4のアルキルアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテルなどのアルキレングリコール類の低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0171】
水溶性有機溶剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。第1メンテナンス液全量における水溶性有機溶剤の含有量は、例えば20wt%以上95wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは45wt%以上85wt%以下の範囲内である。
【0172】
界面活性剤としては、一般的なカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、またはノニオン性界面活性剤が用いられ、また、市販品を用いてもよい。市販品の非イオン性界面活性剤としては、例えば、日信化学工業(株)製の「オルフィン(登録商標)」や花王(株)製の「エマルゲン(登録商標)」等があげられる。
【0173】
界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。第1メンテナンス液全量における界面活性剤の含有量は、例えば0.01wt%以上10wt%以下の範囲内であることが好ましくは、更に好ましくは0.1wt%以上10wt%以下の範囲内である。
【0174】
水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。第1メンテナンス液全量における水の含有量は、例えば、10質量%~90質量%、20質量%~80質量%である。水の含有量は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0175】
第1メンテナンス液は、着色剤を含まないことが好ましいが、着色剤を含んでもよい。第1メンテナンス液が着色剤を含む場合には、記録画像に影響を与えない程度の量であることが好ましい。
【0176】
第1メンテナンス液は、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロール、水溶性樹脂等があげられる。
【0177】
第1メンテナンス液は、例えば、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水とを、従来公知の方法で均一に混合することにより調製できる。
【0178】
[第2メンテナンス液]
第2メンテナンス液は、洗浄液タンク76に貯留されている。第2メンテナンス液は、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水と、を含む。
【0179】
水溶性有機溶剤としては、特に限定はなく、任意のものが使用できる。水溶性有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、プロピレングリコール又は1,2-ブタンジオールが好ましい。その他の有機溶剤の例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1~4のアルキルアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテルなどのアルキレングリコール類の低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0180】
水溶性有機溶剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。第2メンテナンス液全量における水溶性有機溶剤の含有量は、例えば5wt%以上55wt%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは25wt%以上35wt%以下の範囲内である。
【0181】
界面活性剤としては、一般的な、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が使用でき、また、市販品を用いてもよい。市販品の非イオン性界面活性剤としては、例えば、日信化学工業(株)製の「オルフィン(登録商標)」や花王(株)製の「エマルゲン(登録商標)」等があげられる。
【0182】
界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。第2メンテナンス液全量における界面活性剤の含有量は、例えば0.01wt%以上10wt%以下の範囲内であることが好ましくは、更に好ましくは1wt%以上10wt%以下の範囲内である。
【0183】
水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。第2メンテナンス液全量における水の含有量は、例えば、10質量%~90質量%、20質量%~80質量%である。水の含有量は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0184】
第2メンテナンス液は、着色剤を含まないことが好ましいが、着色剤を含んでもよい。第2メンテナンス液が着色剤を含む場合には、記録画像に影響を与えない程度の量であることが好ましい。
【0185】
第2メンテナンス液は、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロール、水溶性樹脂等があげられる。
【0186】
第2メンテナンス液は、例えば、水溶性有機溶剤と、界面活性剤と、水とを、従来公知の方法で均一に混合することにより調製できる。
【0187】
[第1メンテナンス液と第2メンテナンス液との差異]
第1メンテナンス液の粘度V1は、第2メンテナンス液の粘度V2よりも大きいことが好ましい(V1>V2)。具体的には、第1メンテナンス液の粘度V1は、例えば5mPa・s以上50mPa・s以下の範囲内であることが好ましくは、更に好ましくは10mPa・s以上45mPa・s以下の範囲内であり、特に好ましくは20mPa・s以上40mPa・s以下の範囲内である。第2メンテナンス液の粘度V2は、例えば1.8mPa・s以上10mPa・s以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは1.8mPa・s以上5mPa・s以下の範囲内である。第1メンテナンス液の粘度V1が、第2メンテナンス液の粘度V2よりも大きいことにより、第2メンテナンス液によりキャップ62の内部空間、排出流路21A,21B,21C、および第1廃液チューブ178、第2廃液チューブ180,第3廃液チューブ202の内部空間を洗浄しやすい。また、第1メンテナンス液の粘度V1と、第2メンテナンス液の粘度V2と、インクの粘度V3とは、粘度V1>粘度V3>粘度V2の関係にあることが好ましい。なお、粘度は、例えばコーンプレート型回転式粘度計により測定できる。
【0188】
第1メンテナンス液の蒸発率E1は、第2メンテナンス液の蒸発率E2よりも小さいことが好ましい(E1<E2)。具体的には、第1メンテナンス液の蒸発率E1は、例えば0%以上50%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは0%以上30%以下の範囲内であり、特に好ましくは0%以上10%以下の範囲内である。第2メンテナンス液の蒸発率E2は、例えば40%以上80%以下の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは50%以上70%以下の範囲内である。第1メンテナンス液の蒸発率E1が、第2メンテナンス液の蒸発率E2よりも小さいことにより、ワイパクリーニング機構80の保持部材90から第1メンテナンス液が蒸発し難い。また、第1メンテナンス液の蒸発率E1と、第2メンテナンス液の蒸発率E2と、インクの蒸発率E3とは、蒸発率E3>蒸発率E2>蒸発率E1の関係にあることが好ましい。
【0189】
なお、蒸発率は、以下の試験により測定することができる。第1メンテナンス液または第2メンテナンス液を容量24mLのガラス製の規格瓶(No.2)に5g入れて秤量し、蓋をせずに温度60度、湿度40%の恒温槽で48時間放置した後に、再び秤量したときの差分を、最初の分取値(5g)で除した百分率(%)で表す。
【0190】
第1メンテナンス液が含有する水溶性有機溶剤のうちの最大量のものと、第2メンテナンス液が含有する水溶性有機溶剤のうちの最大量のものと、が同一であることが好ましい。これにより、第1メンテナンス液と第2メンテナンス液とが混合したときに凝集などが生じ難い。
【0191】
第1メンテナンス液の表面張力T1は、インクの表面張力T3よりも大きいことが好ましい。また、第2メンテナンス液の表面張力T2は、表面張力T3よりも大きいことが好ましい。具体的には、第1メンテナンス液の表面張力T1は、例えば30mN/m以上65mN/m以下の範囲内であり、更に好ましくは35mN/m以上50mN/m以下の範囲内である。第2メンテナンス液の表面張力T2は、例えば30mN/m以上65mN/m以下の範囲内であり、更に好ましくは35mN/m以上50mN/m以下の範囲内である。インクの表面張力T3は、例えば0mN/m以上35mN/m以下の範囲内であり、更に好ましくは20mN/m以上28mN/m以下の範囲内であり、特に好ましくは20mN/m以上25mN/m以下の範囲内である。なお、表面張力は、例えばWilhelmy法により測定できる。
【0192】
以下、メンテナンス機構60の動作についてパージ処理および洗浄処理、ワイピング処理、画像記録処理とともに説明する。本実施形態において、上記の処理とともに第2メンテナンス液の供給及び排出が行われる。
【0193】
[パージ処理および洗浄処理]
画像記録処理が実行されていないときの画像記録装置100は待機状態である。待機状態のとき、図17に示されるように、ヘッド38は被キャッピング位置に位置しており、第1支持機構51はメンテナンス機構60を支持した状態で第1姿勢に位置しており、メンテナンス機構60はメンテナンス位置に位置している。このとき、キャップ62は、ノズル面50を覆っている。
【0194】
待機状態のときに、コントローラ130は、パージ処理を、所定タイミングでまたは外部からの命令を受け取ったときに実行する。以下では、画像記録装置100が待機状態のときに、コントローラ130が外部からパージ処理を実行する旨の命令を受け取ったときの処理が説明される。
【0195】
パージ処理において、コントローラ130は、キャップ洗浄バルブ72を閉じた状態で吸引ポンプ74を駆動させる。これにより、ノズル38A内のインクが吸引されて、キャップ62の内部空間67A,67B,67Cから排出流路21A、21B、21Cを通って第1廃液チューブ178、第2廃液チューブ180、及び第3廃液チューブ202を通ってインクが廃液タンク77に排出される。このとき、キャップ洗浄バルブ72が閉じられているので、洗浄液タンク76から第2供給チューブ177、第3供給チューブ179、及び第4供給チューブ201を通してキャップ62A,62B,62Cに第2メンテナンス液が供給されることはない。
【0196】
コントローラ130は、洗浄処理(第2メンテナンス処理)を、所定タイミングでまたは外部からの命令を受け取ったときに実行する。以下では、画像記録装置100が待機状態のときにおいてパージ処理が行われた後に、コントローラ130が洗浄処理を実行するときの処理が説明される。
【0197】
洗浄処理において、コントローラ130は、キャップ洗浄バルブ72を開き、かつインクバルブ142を閉じた状態で吸引ポンプ74を駆動させる。これにより、洗浄液タンク76から第2供給チューブ177、第3供給チューブ179、及び第4供給チューブ201を通してキャップ62A,62B,62Cの内部空間に第2メンテナンス液が供給される。インクバルブ142が閉じられているので、ヘッド38のノズル38Aからキャップ62A,62B,62Cの内部空間へインクは排出されない。
【0198】
つづいて、コントローラ130は、ヘッド38をアンキャップ位置に移動してから、キャップ洗浄バルブ72を閉じた状態で吸引ポンプ74を駆動させる。これにより、キャップ62の内部空間67A,67B,67Cから排出流路21A、21B、21Cを通って第1廃液チューブ178、第2廃液チューブ180、及び第3廃液チューブ202を通って第2メンテナンス液が廃液タンク77に排出される。これにより、キャップ62の内部空間67A,67B,67C、排出流路21A、21B、21C、第1廃液チューブ178、第2廃液チューブ180、及び第3廃液チューブ202に残存したインクが第2メンテナンス液により洗い流される。
【0199】
コントローラ130は、洗浄液流通バルブ141を駆動して大気連通路140を開いた状態にするとともに戻りポンプ75を駆動する。これにより、流出口174から排出された第2メンテナンス液が戻りチューブ176を通して洗浄液タンク76に戻される。
【0200】
また、画像記録処理が実行されていないときの画像記録装置100は待機状態であるが、待機状態となるときに、コントローラ130は、キャップ洗浄バルブ72を開き、かつインクバルブ142を閉じた状態で吸引ポンプ74を駆動させる洗浄液供給処理(第3メンテナンス処理の一例)を実行する。洗浄液供給処理により、洗浄液タンク76から第2供給チューブ177、第3供給チューブ179、及び第4供給チューブ201を通してキャップ62A,62B,62Cの内部空間に第2メンテナンス液が供給される。インクバルブ142が閉じられているので、ヘッド38のノズル38Aからキャップ62A,62B,62Cの内部空間へインクは排出されない。
【0201】
洗浄処理において、コントローラ130は、キャップ62A,62B,62Cの内部空間へ第2メンテナンス液が流入する速度が流速F1となるように吸引ポンプ74を動作する。洗浄液供給処理において、コントローラ130は、キャップ62A,62B,62Cの内部空間へ第2メンテナンス液が流入する速度が流速F2となるように吸引ポンプ74を動作する。流速F2は、流速F1よりも遅い(F2<F1)。
【0202】
[ワイピング処理]
コントローラ130は、スポンジワイパ64A、64B、64Cに第2メンテナンス液を含浸させた状態でワイピング処理(第4メンテナンス処理の一例)を実行する。以下、ワイピング処理が説明される。
【0203】
ワイピング処理において、コントローラ130は、洗浄液流通バルブ141を駆動して大気連通路140を閉じた状態にするとともに戻りポンプ75を駆動する。これにより、洗浄液タンク76から第2メンテナンス液が第1供給チューブ175を通して支持台61に供給される。支持台61に供給された第2メンテナンス液は、流入口171を通して液体流路153における第1流路153Aに流入する。第1流路153Aに流入した第2メンテナンス液は、中間流路153B、及び第2流路153Cを順に流通し、流出口174から排出される。このとき、スポンジワイパ64A、64B、64Cに第2メンテナンス液が含浸しスポンジワイパ64A、64B、64Cは、第2メンテナンス液を十分に含んだ状態になる。コントローラ130は、洗浄液流通バルブ141を駆動して大気連通路140を開いた状態にするとともに戻りポンプ75を駆動する。これにより、液体流路153から第2メンテナンス液が洗浄液タンク76へ排出される。
【0204】
コントローラ130は、ヘッド38を下方へ移動させることによって図18において破線で示されるアンキャップ位置から実線で示される被ワイピング位置へ移動させる。
【0205】
メンテナンス位置のメンテナンス機構60は、第1支持機構51に支持されているが、このとき、ラック154が、ギヤ105と噛合している。この状態で第1モータ55が駆動されて、ギヤ106が図17において時計回りに回転すると、ギヤ105が図17において反時計回りに回転する。これにより、メンテナンス位置のメンテナンス機構60は、前後方向8(搬送向き8A)に沿って前方(搬送向き8Aの下流)へ移動し、ワイピング位置に到達する(図18参照)。
【0206】
メンテナンス機構60がメンテナンス位置からワイピング位置へ移動する過程において、スポンジワイパ64及びゴムワイパ63の先端部(上端部)が吐出モジュール49のノズル面50に当接しつつノズル面50に対してスライドする。具体的には、スポンジワイパ64A、64B、64C及びゴムワイパ63A、63B、63Cが吐出モジュール49A、49B、49Cのノズル面50に対して接触した状態でスライドする。これにより、各吐出モジュール49A,49B,49Cのノズル面50が、第2メンテナンス液が含浸したスポンジワイパ64A、64B、64Cに払拭された後、ゴムワイパ63A、63B、63Cに払拭される。その結果、ノズル面50及びノズル面50に開口されたノズル38Aに付着した異物などが取り除かれるとともに、ノズル面50に付着した第2メンテナンス液も取り除かれる。
【0207】
メンテナンス機構60がワイピング位置のとき、第1モータ55が駆動されて、ギヤ106が図18において反時計回りに回転すると、ギヤ105が図18において時計回りに回転する。これにより、ワイピング位置のメンテナンス機構60は、後方(搬送向き8Aの上流)へ移動し、メンテナンス位置に到達する(図17参照)。
【0208】
コントローラ130は、軸モータ59を駆動して第1支持機構51を第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化させる(図19参照)。
【0209】
[メンテナンス機構60の移動]
図19図21に示されるように、メンテナンス機構60は、第1支持機構51および第2支持機構52に支持された状態で第2姿勢の第1支持機構51および第2支持機構52に対してスライド移動することによって傾斜方向6に沿って待機位置に移動可能である(第1メンテナンス処理の一例)。つまり、第1支持機構51および第2支持機構52は、メンテナンス位置、待機位置、及びこれらの両位置の間に位置するメンテナンス機構60を支持可能である。
【0210】
具体的には、コントローラ130は、まず、第1モータ55を駆動する。これにより、ギヤ106が図19において時計回りに回転するため、ギヤ105が反時計回りに回転し、メンテナンス位置のメンテナンス機構60は、前傾斜向き5へ移動して第2支持機構52上に受け渡される(図20参照)。
【0211】
コントローラ130は、第2モータ56を駆動する。これにより、ギヤ120が図20において時計回りに回転するため、ギヤ118,119が反時計回りに回転し、第1支持機構51からスライド移動したメンテナンス機構60が第2支持機構52上の待機位置に到達する(図21参照)。
【0212】
コントローラ130は、上下駆動モータ163を駆動する。これにより、ネジ軸161が回転するため第2支持機構52が待機位置から直交方向(保持部材90の表面と交差する方向の一例)10に沿って上方に移動し、メンテナンス機構60が待避位置に到達する(図22参照)。このとき、支持部材81は、弾性部材83によって蓋部材82をキャップ62A,62B,62Cへ向けて付勢する。保持部材90は、キャップ62A,62B,62Cのリップ66A,66B,66C及びゴムワイパ63A,63B,63Cに当接した状態となる。保持部材90を通じて、キャップ62A,62B,62Cのリップ66A,66B,66C及びゴムワイパ63A,63B,63Cに第1メンテナンス液が付着するので、インクが固化しにくい。なお、スポンジワイパ64A、64B、64Cは保持部材90から離間した状態となる。
【0213】
また、キャップ62A,62B,62Cは、シートSの搬送向き8Aにおけるヒータ39の占める範囲に重複して配置される。より具体的には、図22に示されるように、搬送向き8A(前後方向8)において、ヒータ39が占める範囲(以下、ヒータ39の範囲とも称する。)P1と、キャップ62Cの傾斜方向6における前側からキャップ62Bの傾斜方向6における後ろ側までが占める範囲(以下、キャップ62の範囲とも称する。)P2とが、重複する。本実施形態において一部重複する場合としてヒータ39の範囲P1の前側部分と、キャップ62の範囲P2の後ろ側部分とが重複する。このとき、ワイパクリーニング機構80がキャップ62A,62B,62Cとヒータ39との間に位置するので、ヒータ39からの熱がワイパクリーニング機構80によって遮られてキャップ62A,62B,62Cに伝わり難くなる。
【0214】
[画像記録処理]
以下に、シートSに画像が記録されるときの処理(画像記録処理)が説明される。
【0215】
コントローラ130は、操作パネル44や、画像記録装置100とLANなどによって接続された情報処理装置などの外部から、シートSに画像を記録する旨の命令を受け取ると、上述したようにメンテナンス機構60をメンテナンス位置から待機位置へ移動させる。そして、コントローラ130は、上下駆動モータ163を駆動し、メンテナンス機構60を待機位置から待避位置に移動させる。コントローラ130は、軸モータ59を駆動し、第1支持機構51を第2姿勢から第1姿勢へ姿勢変化させる(図23参照)。
【0216】
次に、コントローラ130は、ヘッド38を下方へ移動させることによって被キャッピング位置から記録位置へ移動させる(図23参照)。そして、シートSの搬送を開始して、当該シートSがヘッド38の直下に位置する状態でノズル38Aからインクを吐出する。これによりシートSに画像が記録される。シートS上に付着したインクは、ヒータ39を通過する際に加熱されることによってシートSに定着する。更に搬送されたシートSは、CIS25によって記録された画像をチェックされた後、カッターユニット26によって所定のサイズに切断されて排出される。
【0217】
シートSへの画像記録処理の後、メンテナンス機構60がメンテナンス位置に移動するときは、上述の逆の工程が行われる。
【0218】
具体的には、まず、コントローラ130は、上下駆動モータ163を駆動する。これにより、ネジ軸161が回転し第2支持機構52が待避位置から直交方向10に沿って下方に移動し、メンテナンス機構60が待機位置に到達する。このとき、キャップ62A,62B,62Cのリップ66A,66B,66C、ゴムワイパ63A,63B,63C、及びスポンジワイパ64A,64B,64Cが蓋部材82の保持部材90から離間した状態となる(図21参照)。
【0219】
次に、コントローラ130は、軸モータ59を駆動し、第1支持機構51を第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化させる(図21参照)。このとき、メンテナンス機構60は、第2支持機構52に支持されている。この状態で、ラック154は、ギヤ118,119双方と噛合している。第2モータ56(図16参照)が駆動されて、ギヤ120が図21において反時計回りに回転すると、ギヤ118,119が図21において時計回りに回転する。これにより、待機位置のメンテナンス機構60は、後傾斜向き4へ移動する(図20参照)。
【0220】
コントローラ130は、第1モータ55を駆動する。これにより、ギヤ106が図20において反時計回りに回転するため、ギヤ105が時計回りに回転し、第2支持機構52からスライド移動したメンテナンス機構60が第1支持機構51上に到達する(図19参照)。
【0221】
メンテナンス機構60が第1支持機構51に支持された状態において、軸モータ59(図16参照)が駆動されることによって、第1支持機構51が第2姿勢から第1姿勢へ回動される。そして、ヘッド38が被ワイピング位置から被キャッピング位置に移動される。これにより、メンテナンス機構60は、メンテナンス位置に位置する(図17参照)。メンテナンス位置のメンテナンス機構60は、ヘッド38と第1姿勢の第1支持機構51との間に位置している。
【0222】
[実施形態における作用効果]
本実施形態では、第1メンテナンス液によりキャップ62A,62B,62Cのリップ66A,66B,66C、及びゴムワイパ63A,63B,63Cが清掃され、第2メンテナンス液によりキャップ62A,62B,62Cの内部空間67A,67B,67C、排出流路21A、21B、21C、第1廃液チューブ178、第2廃液チューブ180、及び第3廃液チューブ202に残存したインクが第2メンテナンス液により洗い流されるので、ノズル38Aから吐出されるインクが付着する各部材に適したメンテナンスが実現される。
【0223】
メンテナンス位置においてノズル面50に当接するキャップ62A,62B,62Cの内部空間67A,67B,67Cに第2メンテナンス液が供給されていることにより、内部空間67A,67B,67Cが高湿度に保たれるので、ノズル38Aにおいてインクが乾燥し難い。
【0224】
また、洗浄処理においてキャップ62A,62B,62Cの内部空間67A,67B,67Cに第2メンテナンス液が供給される流速F1よりも、ヘッド38がアンキャップ位置にある状態でキャップ62A,62B,62Cの内部空間67A,67B,67Cに第2メンテナンス液が供給される流速F2が遅いので、キャップ62A,62B,62Cの内部空間67A,67B,67Cから第2メンテナンス液が溢れ出にくい。
【0225】
また、ワイピング処理において、各吐出モジュール49A,49B,49Cのノズル面50が、スポンジワイパ64A、64B、64Cに払拭された後、ゴムワイパ63A、63B、63Cに払拭されるので、ノズル面50及びノズル面50に開口されたノズル38Aに付着した異物などが取り除かれる。
【0226】
また、供給流路20Aの容積、排出流路21Aの容積および第1廃液チューブ178において吸引ポンプ74より上流の容積と、キャップ62Aの内部空間の容積と、の合計Taは、供給流路20Bの容積、排出流路21Bの容積および第2廃液チューブ180において吸引ポンプ74より上流の容積と、キャップ62Bの内部空間の容積と、の合計Tb、並びに、供給流路20Cの容積、排出流路21Cの容積および第3廃液チューブ202において吸引ポンプ74より上流の容積と、キャップ62Cの内部空間の容積と、の合計Tc、と同等であるので(合計Ta=合計Tb=合計Tc)、3つの吸引ポンプ74を駆動する吸引ポンプモータ58を共通にしつつ、3つの吸引ポンプ74の動作により各キャップ62A,62B,62Cの内部空間67A,67B,67Cへ流入する第2メンテナンス液の量を均等にすることができる。
【0227】
また、第2メンテナンス液の粘度V2が第1メンテナンス液の粘度V1より小さいので、第2メンテナンス液によりキャップ62A,62B,62Cの内部空間67A,67B,67C、排出流路21A、21B、21C、第1廃液チューブ178、第2廃液チューブ180、及び第3廃液チューブ202を洗浄しやすい。
【0228】
また、第1メンテナンス液の蒸発率E1は、第2メンテナンス液の蒸発率E2よりも小さいので、メンテナンス機構80の保持部材90から第1メンテナンス液が蒸発し難い。第1メンテナンス液を含浸した保持部材90にゴムワイパ63A、63B、63Cが接触しているので、ワイピング処理においてゴムワイパ63A、63B、63Cにインクが微量に付着していたとしても、ゴムワイパ63A、63B、63Cにインクが固着することが抑制される。また、第2メンテナンス液の蒸発率E2が第1メンテナンス液の蒸発率E1よりも大きいでの、キャップ位置にあるキャップ62の内部空間67において第2メンテナンス液が蒸発しやすく、内部空間67が高湿度に保たれる。
【0229】
また、第1メンテナンス液が含有する水溶性有機溶剤のうちの最大量のものと、第2メンテナンス液が含有する水溶性有機溶剤のうちの最大量のものと、が同一であるので、第1メンテナンス液と第2メンテナンス液とが混合したときに凝集などが生じ難い。
【0230】
[変形例]
画像記録装置100では、スポンジワイパ64は、3つのスポンジワイパ64A、64B、64Cを有したが、スポンジワイパ64の数は、吐出モジュール49Aの数に対応していれば、3つに限定されることはない。例えば、スポンジワイパ64の数は、4つ以上でもよく、2つ以下でもよい。また、スポンジワイパ64は必ずしも設けられなくてもよい。スポンジワイパ64がない場合には、例えば第2メンテナンス液を噴霧するノズルや第2メンテナンス液を含浸するスポンジなどの機構によって、ノズル面50に第2メンテナンス液が吹き付けられたり、接触されたりする。そして、ノズル面50に付着した第2メンテナンス液がゴムワイパ63によって払拭される。
【0231】
画像記録装置100では、支持台61に3つのゴムワイパ63A,63B,63Cが設けられたが、ゴムワイパ63の数は、吐出モジュール49Aの数に対応していれば、特に限定されることはない。例えば、ゴムワイパ63の数は、4つ以上でもよく、2つ以下でもよい。また、ゴムワイパ63は、省略されてもよい。ゴムワイパ63がない場合には、例えばスポンジワイパ64によってノズル面50が払拭されてもよい。
【0232】
画像記録装置100では、蓋部材82の下面88に保持部材90があるが、保持部材90は省略されてもよい。保持部材90がない場合には、例えば第1メンテナンス液を噴霧するノズルや第1メンテナンス液を含浸するスポンジなどの機構によって、キャップ62A,62B,62Cのリップ66A,66B,66C、及びゴムワイパ63A,63B,63Cに第1メンテナンス液が接触されて清掃されてもよい。
【0233】
画像記録装置100では、支持台61に3つのキャップ62A,62B,62Cが設けられたが、キャップ62の数は、吐出モジュール49Aの数に対応していれば、特に限定されることはない。例えば、キャップ62の数は、4つ以上でもよく、2つ以下でもよい。
【0234】
画像記録装置100では、メンテナンス機構60は、メンテナンス位置から前方へ移動することにより、ワイピング位置へ移動したが、メンテナンス位置から後方へ移動することにより、ワイピング位置へ移動してもよい。この場合、スポンジワイパ64は、ゴムワイパ63の後方に配置されてもよい。
【0235】
画像記録装置100では、ワイピング処理において、ヘッド38が被ワイピング位置にある状態で、スポンジワイパ64及びゴムワイパ63がヘッド38に対して移動したが、スポンジワイパ64及びゴムワイパ63の位置が固定された状態で、ヘッド38がスポンジワイパ64及びゴムワイパ63に対して移動してもよい。
【0236】
画像記録装置100では、メンテナンス機構60が第1支持機構51と第2支持機構52とに支持されており、メンテナンス機構60がメンテナンス位置と待機位置とに移動する際、第1支持機構51と第2支持機構52との間で受け渡される場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。第1支持機構51と第2支持機構52は、例えば、一体に形成されており第1姿勢と第2姿勢とに姿勢変化可能なものであってもよく、メンテナンス機構60が、これによって支持されるものであってもよい。
【0237】
また、前述された実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、インクに代えて、印刷時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液や用紙に付着したインクをオーバコートする後処理液であってもよい。また、保存液は、ヘッド38を洗浄するための洗浄液として用いられてもよい。
【符号の説明】
【0238】
20・・・供給流路
21・・・排出流路
38・・・ヘッド
38A・・・ノズル
50・・・ノズル面
58・・・吸引ポンプモータ
62・・・キャップ
63A,63B,63C(63)・・・ゴムワイパ(第1ワイパ)
64A,64B,64C(64)・・・スポンジワイパ(第2ワイパ)
74・・・吸引ポンプ
76・・・洗浄液タンク(タンク)
90・・・保持部材(清掃部材)
100・・・画像記録装置(液体排出装置)
130・・・コントローラ
153・・・液体流路
177・・・第2供給チューブ(供給流路)
178・・・第1廃液チューブ(排出流路)
180・・・第2廃液チューブ(排出流路)
202・・・第3廃液チューブ(排出流路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23