IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大日精化工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151039
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20231005BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20231005BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20231005BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J163/00
C09J5/06
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060433
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】飯野 匠太
(72)【発明者】
【氏名】三輪 祐也
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EC061
4J040EF051
4J040EF281
4J040GA05
4J040JB01
4J040KA16
4J040MA10
4J040MB09
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】熱圧着することができ、基材との密着性に優れ、しかも耐熱水性、耐酸性、耐アルコール性に優れるホットメルト接着剤を提供する。
【解決手段】本発明に係るホットメルト接着剤は、架橋剤を含む接着剤組成物の架橋物を含むホットメルト接着剤であって、ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有し、前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が450g/eq以上3000g/eq以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有し、前記ポリウレタン樹脂(A)が、骨格の炭素数が8以上のポリオール(a1)に由来する構成単位を有する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋剤を含む接着剤組成物の架橋物を含むホットメルト接着剤であって、
ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有し、
前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が450g/eq以上3000g/eq以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有し、
前記ポリウレタン樹脂(A)が、骨格の炭素数が8以上のポリオール(a1)に由来する構成単位を有する
ホットメルト接着剤。
【請求項2】
前記ポリウレタン樹脂(A)は、水酸基を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂を含有し、
前記水酸基含有ポリウレタン樹脂の水酸基価は、0.1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下である
請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂(A)は、芳香族ジイソシアネートを構成単位として有する
請求項1または2に記載のホットメルト接着剤。
【請求項4】
前記接着剤組成物に含まれる前記エポキシ樹脂(B)の割合は、前記ポリウレタン樹脂(A)の100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下である
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のホットメルト接着剤。
【請求項5】
前記ポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwは、1,000以上100,000以下である
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のホットメルト接着剤。
【請求項6】
前記接着剤組成物に含まれる前記イソシアネート系架橋剤(C)の割合は、前記ポリウレタン樹脂(A)および前記エポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下である
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のホットメルト接着剤。
【請求項7】
少なくとも表面が樹脂で構成されている部材の接着に用いられ、
前記樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、および、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のホットメルト接着剤。
【請求項8】
第1の部材と第2の部材との接着に用いられ、
前記第1の部材及び前記第2の部材のそれぞれは、少なくとも接着される表面が樹脂で構成されており、
前記第1の部材における樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、および、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記第2の部材における樹脂は、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂である
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のホットメルト接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種プラスチック用の接着剤として、低温域(例えば、-10℃~15℃)での接着安定性、並びに、常温域(25±10℃)での接着性、柔軟性、加工性、及び、各種分子設計の容易さから、ポリウレタン系の接着剤が多く使われている。
前記ポリウレタン系の接着剤としては、主剤として、ポリエステルポリオールやアクリルポリオールを含み、かつ、架橋剤として、ポリイソシアネートを含んでおり、前記主剤と前記架橋剤との間で架橋反応を進行させることによりウレタン結合を生成させて用いられるものや、主剤として、ある程度の鎖長を有するポリウレタン(いわゆる、ポリウレタンプレポリマー)を含み、かつ、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤を含んでおり、前記主剤と前記架橋剤との間で架橋反応を進行させ硬化させることにより用いられるものがある。
【0003】
また、主剤としてポリウレタン樹脂を含み、エポキシ樹脂、および、イソシアネート系架橋剤を含有した二液性の接着剤として、下記特許文献1には、耐湿熱性に優れた接着剤が記載されている。
近年、下記特許文献1に記載されたような液状の接着剤に比べて、取り扱い性に優れるとの観点から、部材の接着にホットメルト接着剤を利用する機会が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/157604号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
耐湿熱性(耐熱性)の向上を図ることは、引用文献1に記載されたような二液性の接着剤だけではなく、ホットメルト接着剤にも求められている。
【0006】
また、ホットメルト接着剤には、耐酸性、耐アルコール性などを向上させることが求められているものの、そのような要望は満たされていない。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、熱圧着することができ、基材との密着性に優れ、しかも耐熱水性、耐酸性、耐アルコール性に優れるホットメルト接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討したところ、ホットメルト接着剤を、架橋剤を含む接着剤組成物の架橋物を含むホットメルト接着剤とした上で、ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有するものとし、前記エポキシ樹脂(B)を、エポキシ当量が450g/eq以上3000g/eq以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有するものとし、さらに、前記ポリウレタン樹脂(A)を、骨格の炭素数が8以上のポリオール(a1)に由来する構成単位を有するものとすることにより、熱圧着することができ、基材との密着性に優れ、しかも耐熱性(耐熱水性)、耐酸性、耐アルコール性に優れるものとなることを見出した。
そして、本発明を想到するに至った。
【0009】
即ち、本発明に係るホットメルト接着剤は、
ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有し、
前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が450eq/g以上3000eq/g以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有し、
前記ポリウレタン樹脂(A)が、骨格の炭素数が8以上のポリオール(a1)に由来する構成単位を有する。
【0010】
斯かる構成によれば、前記ホットメルト接着剤は、熱圧着することができ、基材との密着性に優れ、しかも耐熱性、耐酸性、耐アルコール性に優れるものとなる。
【0011】
前記ホットメルト接着剤においては、
前記ポリウレタン樹脂(A)は、水酸基を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂を含有し、
前記水酸基含有ポリウレタン樹脂の水酸基価は、0.1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下である、ことが好ましい。
【0012】
斯かる構成によれば、前記ホットメルト接着剤は、より熱圧着し易くなり、基材との密着性により優れるものとなり、しかも耐熱性、耐酸性、耐アルコール性により優れるものとなる。
【0013】
前記ホットメルト接着剤においては、
前記ポリウレタン樹脂(A)は、芳香族ジイソシアネートを構成単位として有する、ことが好ましい。
【0014】
斯かる構成によれば、前記ホットメルト接着剤は、より熱圧着し易くなり、基材との密着性により優れるものとなり、しかも耐熱性、耐酸性、耐アルコール性により優れるものとなる。
【0015】
前記ホットメルト接着剤においては、
前記接着剤組成物に含まれる前記エポキシ樹脂(B)は、前記ポリウレタン樹脂(A)の100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下である、ことが好ましい。
【0016】
斯かる構成によれば、前記ホットメルト接着剤は、より熱圧着し易くなり、基材との密着性により優れるものとなり、しかも耐熱性、耐酸性、耐アルコール性により優れるものとなる。
【0017】
前記ホットメルト接着剤においては、
前記ポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwは、1,000以上100,000以下である、ことが好ましい。
【0018】
斯かる構成によれば、前記ホットメルト接着剤は、より熱圧着し易くなり、基材との密着性により優れるものとなり、しかも耐熱性、耐酸性、耐アルコール性により優れるものとなる。
【0019】
前記ホットメルト接着剤においては、
前記接着剤組成物に含まれる前記イソシアネート系架橋剤(C)は、前記ポリウレタン樹脂(A)および前記エポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下である、ことが好ましい。
【0020】
斯かる構成によれば、前記ホットメルト接着剤は、より熱圧着し易くなり、基材との密着性により優れるものとなり、しかも耐熱性、耐酸性、耐アルコール性により優れるものとなる。
【0021】
前記ホットメルト接着剤においては、
少なくとも表面が樹脂で構成されている部材の接着に用いられ、
前記樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、および、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、ことが好ましい。
【0022】
前記ホットメルト接着剤においては、
第1の部材と第2の部材との接着に用いられ、
前記第1の部材及び前記第2の部材のそれぞれは、少なくとも接着される表面が樹脂で構成されており、
前記第1の部材における樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、および、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記第2の部材における樹脂は、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂である、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、熱圧着することができ、基材との密着性に優れ、しかも耐熱水性、耐酸性、耐アルコール性に優れるホットメルト接着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定され
るものではない。
【0025】
本実施形態に係るホットメルト接着剤は、架橋剤を含む接着剤組成物の架橋物を含むホットメルト接着剤である。
本実施形態に係るホットメルト接着剤は、ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有する。
本実施形態に係るホットメルト接着剤においては、前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が450g/eq以上3000g/eq以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有する。
本実施形態に係るホットメルト接着剤においては、前記ポリウレタン樹脂(A)は、骨格の炭素数が8以上のポリオール(a1)に由来する構成単位を有する。
【0026】
(ポリウレタン樹脂(A))
前記ポリウレタン樹脂(A)は、1分子中に2以上の水酸基を有するポリオール成分(a)と、1分子中に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分(b)とを含む反応成分をウレタン結合させて得られるものである。
本実施形態では、前記ポリウレタン樹脂(A)は、先に説明したように、前記ポリオール成分(a)として、骨格の炭素数が8以上のポリオール(a1)に由来する構成単位を有する。
【0027】
前記ポリウレタン樹脂(A)は、前記イソシアネート系架橋剤(C)と反応するために、水酸基を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。
また、前記水酸基含有ポリウレタン樹脂は、末端に水酸基を有していることが好ましい。
前記水酸基含有ポリウレタン樹脂の水酸基価は、0.1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以上15mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0028】
本実施形態に係るホットメルト接着剤においては、前記ポリウレタン樹脂(A)は、前記エポキシ樹脂(B)とともに、前記イソシアネート系架橋剤(C)によって架橋されている。
具体的には、本実施形態に係るホットメルト接着剤においては、比較的低温(60℃以下の温度)にて、前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記エポキシ樹脂(B)が、前記イソシアネート系架橋剤(C)によって架橋されている。
すなわち、本実施形態に係るホットメルト接着剤においては、前記ポリウレタン樹脂(A)および前記エポキシ樹脂(B)は、比較的低温(60℃以下の温度)にて、前記イソシアネート系架橋剤(C)によって架橋された状態とされて含まれている。
このように、前記ポリウレタン樹脂(A)および前記エポキシ樹脂(B)が前記イソシアネート系架橋剤(C)によって架橋された状態となっていることにより、容易に熱圧着させることができる。
【0029】
ポリオール成分(a)は、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)と共に一般的なポリオール(a2)を含有することが好ましい。
なお、以下では、一般的なポリオール(a2)を、単に、ポリオール(a2)と称することがある。
本明細書において、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)とは、水酸基の間の炭素の数が8以上のポリオールを意味し、水酸基の間の8以上の炭素は、ヘテロ原子を介して結合していてもよく、隣り合う炭素どうしが飽和結合していても不飽和結合していてもよいポリオールを意味する。
骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)は、ポリカーボネートポリオールであることが好ましい。
また、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)においては、8以上の炭素を含む部分に含まれるヘテロ原子の数は、2以下であることが好ましい。
さらに、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)は、炭素数8以上の飽和または不飽和の炭化水素から複数の水素原子を除いた残基が分子中に存在していることが好ましい。
また、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)は、炭素数6以上のアルキレン基を有していることが好ましい。
【0030】
骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)としては、ジカルボン酸(セバシン酸(炭素数10)、アゼライン酸(炭素数9)、イソフタル酸(炭素数8)、テレフタル酸(炭素数8)など)と、グリコール(1,9-ノナンジオール(炭素数9)、1,4 -ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン(炭素数8)など)と、を含むモノマーを縮重合した、ポリエステルポリオールなどが例示される。
【0031】
また、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)としては、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンカーボネート)ジオール(炭素数8)、ポリオクタメチレンカーボネートジオール(炭素数8)、ポリノナメチレンカーボネートジオール(炭素数9)、ポリデカメチレンカーボネートジオール(炭素数10)などのポリカーボネートポリオール、及び、これらを含むモノマーのランダム/ブロック共重合体などが挙げられる。
【0032】
また、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)としては、ダイマー酸に由来するポリオールも挙げることができる。
前記ダイマー酸は、オレイン酸やリノール酸等の炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化して得られる炭素数36のジカルボン酸であり、植物由来の脂肪酸である。
前記ダイマー酸の代表的な構造は下記式(1)で表される。
前記ダイマー酸は、トリマー酸を含んでいてもよい。
トリマー酸は上記炭素数18の不飽和脂肪酸を三量化して得られる炭素数54のトリカルボン酸であり、ダイマー酸製造の際にも副生し、市販のダイマー酸は、通常、トリマー酸を含んでいる。
【0033】
【化1】
【0034】
ダイマー酸に由来するポリオールであるダイマージオールは、上記ダイマー酸のカルボキシ基を水酸基に還元して得られる炭素数36のポリオールである。
該ポリオールは、その分子中に不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。
このようなダイマーポリオールの具体例としては、ダイマージオール等を挙げることができる。
トリマートリオールも同様に、トリマー酸のカルボキシル基を水酸基に還元して得られるポリオールである。
市販のダイマージオールは、通常、トリマートリオールを含んでいる。
そのため、ダイマー酸由来のポリオール、ダイマーポリオール及びダイマージオールは、トリマートリオールを含んでいてもよい。
【0035】
また、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)としては、ポリオレフィンポリオールも挙げることができる。
ポリオレフィンポリオールは、複数の水酸基を有する1種以上のポリオレフィンどうしが重合された重合体である。
このようなポリオレフィンポリオールの具体例としては、ポリエチレンブチレンジオール、ポリブタジエンジオール、及び水素化ポリブタジエンジオール等を挙げることができる。
これらは炭素鎖同士が重合するため、炭素鎖が極めて長いポリオールである。
【0036】
ホットメルト接着剤が、ポリウレタン樹脂(A)として、上記のような、骨格の炭素数が8以上のポリオール(a1)に由来する構成単位を有することにより、骨格の炭素数が8以上のポリオール(a1)に由来する構成単位を有さないものと比べて、前記ホットメルト接着剤の疎水性を向上させることができる。
これにより、このようなホットメルト接着剤は、耐熱水性、耐酸性、及び、耐アルコール性に優れるものとなる。
【0037】
前記ポリオール(a2)としては、ポリウレタン樹脂の合成の際に用いられる従来公知のポリオールを用いることができる。
前記ポリオール(a2)の具体例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオールなどを挙げることができる。
【0038】
ポリエステルポリオールとしては、脂肪族系ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸など)と、低分子量グリコール(例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなど)と、を縮重合したものが例示される。
上記のようなポリエステルポリオールを、炭素数が8以上のジカルボン酸やグリコールと共重合させてもよい。
【0039】
このようなポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートジオール、ポリ-3-メチルペンタンアジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ-3-メチルバレロラクトンジオールなどを挙げることができる。
ポリエステルポリオールは、ポリエーテルポリオールに比べ、耐熱性に優れている。
従って、ポリエステルポリオールは、得られるホットメルト接着剤を耐熱性に優れたものとする上において、ポリエーテルポリオールよりも有利である。
【0040】
ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれらのランダム/ブロック共重合体などを挙げることができる。
ポリエーテルポリオールは、ポリエステルポリオールに比べ、耐加水分解性に優れている。
従って、ポリエーテルポリオールは、得られるホットメルト接着剤を耐加水分解性に優れたものとする上において、ポリエステルポリオールよりも有利である。
【0041】
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリネオペンチルカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール及びこれらのランダム/ブロック共重合体などを挙げることができる。
上記のようなポリカーボネートポリオールを、炭素数が8以上のジオールと共重合させてもよい。
ポリカーボネートポリオールとして、上記のごとき各種ポリカーボネートジオールを用いることにより、前記ポリウレタン樹脂(A)にカーボネートジオールの構成単位を備えさせることができる。
ポリカーボネートポリオールは、耐加水分解性および耐熱性に優れる。
そのため、得られるホットメルト接着剤を、耐加水分解性および耐熱性に優れるものとする点において有利である。
ポリカーボネートポリオールの中でも、ポリヘキサメチレンカーボネートが、コストの観点や、材料としての入手のし易さの観点から好適である。
【0042】
その他のポリオールの具体例としては、アクリルポリオール、エポキシポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、シロキサン変性ポリオール、α,ω-ポリメチルメタクリレートジオール、α,ω-ポリブチルメタクリレートジオール、シロキサン変性ポリオールなどを挙げることができる。
【0043】
前記ポリオール(a2)について上で説明した内容をまとめると、得られるホットメルト接着剤を耐熱水性に優れるものとする観点から、耐加水分解性及び耐熱性に優れたポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
また、コストや材料としての入手し易さの観点から、前記ポリカーボネートポリオールの中でも、ポリヘキサメチレンカーボネートを用いることが特に好ましい。
【0044】
前記ポリオール(a1)及び前記ポリオール(a2)の数平均分子量Mn(末端官能基定量法による)は、特に限定されないが、500以上6000以下であることが好ましい。
前記ポリオール(a1)及び前記ポリオール(a2)の数平均分子量Mnが上記のごとき数値範囲内であることにより、本実施形態のホットメルト接着剤において、ウレタン結合による凝集力が発現し易くなる。
これにより、本実施形態のホットメルト接着剤は、機械特性が高いものとなる。
また、結晶性ポリオールは、数平均分子量Mnが大きすぎると、本実施形態のホットメルト接着剤を被膜化した際に、被膜に白化現象が引き起こされることがある。
そのため、前記ポリオール(a1)及び前記ポリオール(a2)として、結晶性ポリオールを単独で使用する場合には、数平均分子量Mnが3,000以下のものを使用することが好ましい。
なお、前記ポリオール(a1)及び前記ポリオール(a2)は、それぞれ一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
前記ポリオール(a1)は、前記ポリオール成分(a)を100質量%としたときに、10質量%以上60質量%以下の割合で配合されていることが好ましい。
前記ポリオール(a1)が10質量%以上の割合で配合されていることにより、本実施形態に係るホットメルト接着剤を十分な耐熱水性、耐酸性、耐アルコール性を有するものとすることができる。
また、前記ポリオール(a1)が60質量%以下の割合で配合されていることにより、ウレタン樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との相溶性が良好となるとともに、得られるホットメルト接着剤を、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、及び、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂で形成された樹脂フィルムに対する密着性に優れたものとすることができる。
なお、前記ポリオール成分(a)が骨格の炭素数が8以上を有するモノマーと骨格の炭素数が7以下を有するモノマーの共重合体の場合は、骨格の炭素数が8以上を有するモノマーの質量部を前記ポリオール(a1)の質量部として算出し、骨格の炭素数が7以下を有するモノマーの質量部を前記ポリオール(a2)の質量部として算出する。
【0046】
前記ポリオール成分(a)としては、前記ポリオール(a1)及び前記ポリオール(a2)に加えて、必要に応じて、短鎖ジオール(a3)を用いることができる。
前記短鎖ジオール(a3)の具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(末端官能基定量法による数平均分子量Mn500未満);1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,1-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量Mn500未満、同上);キシリレングリコールなどの芳香族グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量Mn500未満、同上);ビスフェノールA、チオビスフェノール、スルホンビスフェノールなどのビスフェノールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量Mn500未満、同上)などを挙げることができる。
上記のごとき短鎖ジオール(a3)の中でも、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1 ,6-ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどを用いることが好ましく、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコールを用いることが特に好ましい。
これらの短鎖ジオール(a3)は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
なお、前記ポリウレタン樹脂(A)を生成する際には、前記ポリウレタン樹脂(A)の材料として、前記短鎖ジオール(a3)と同様に、多価アルコール系化合物を用いることもできる。
前記多価アルコール系化合物の具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパンなどを挙げることができる。
【0048】
必要に応じて、カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a4)を使用してもよい。
前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a4)は、通常、1分子中に2以上の水酸基を有する。
また、前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a4)は、通常、1分子中に2以上の水酸基を有するので、1分子中に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分(b)と反応し、ポリウレタン樹脂が得られる。
【0049】
前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a4)としては、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸、それらのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量Mn500未満)や、γ-カプロラクトン低モル付加物(数平均分子量Mn500未満)、酸無水物とグリセリンから誘導されるハーフエステル類、水酸基と不飽和基を含有するモノマーと、カルボキシル基及び不飽和基を含有するモノマーとをフリーラジカル反応させることにより誘導される化合物などが挙げられる。
これらの各種化合物の中でも、ジメチロールプロパン酸やジメチロールブタン酸を使用することが好ましく、ジメチロールプロパン酸を使用することが特に好ましい。
これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、前記数平均分子量Mnは、末端官能基定量法で測定した値を意味する。
なお、上記した各種化合物は、本発明において好ましい化合物の例示である。
したがって、本発明において使用される前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a4)は、上記した各種化合物に限定される訳ではない。
そのため、上記した各種化合物以外にも、現在市販されていて、市場において容易に入手できるカルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a4)は、いずれも本発明において使用できる。
【0050】
前記ポリイソシアネート成分(b)としては、ポリウレタン樹脂の製造に用いられている従来公知のポリイソシアネート成分を用いることができる。
前記ポリイソシアネート成分(b)の具体例としては、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、それらの混合体、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-イソプロピル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-クロル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-ブトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’-メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、及びクルード又はポリメリックMDI、ジュリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o-ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4-ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソフォロンンジイソシアネート、水添XDIなどの脂環式ジイソシアネート;これらのジイソシアネートと、低分子量のポリオールとを、末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなどを挙げることができる。
【0051】
これらポリイソシアネート成分(b)の中でも、工業上安定的に、廉価で耐熱性に優れるホットメルト接着剤を得るといった観点から、芳香族イソシアネートを用いることが好ましく、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、それらの混合体、4,4’-メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、及びクルード又はポリメリックMDIを用いることが特に好ましい。
前記ポリイソシアネート成分(b)として、芳香族イソシアネートを用いることにより、前記ポリウレタン樹脂(A)に芳香族ジイソシアネートの構成単位を備えさせることができる。
これらのポリイソシアネート成分(b)は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
(ポリウレタン樹脂(A)の製造方法)
ポリウレタン樹脂(A)は、従来公知のポリウレタンの製造方法により製造することができる。
具体的には、まず、分子内に活性水素を含まない有機溶剤の存在下又は不存在下で、反応成分として、前記骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)と、前記ポリオール(a2)と、前記ポリイソシアネート成分(b)と、鎖伸長剤として必要に応じて用いられる短鎖ジオール(a3)と、を含む反応用組成物を反応させてポリウレタン樹脂(A)を得る。
また、前記ポリウレタン樹脂(A)を得るに際しては、必要に応じて、前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a4)を用いてもよい。
前記反応用組成物は、一般的にはイソシアネート基と水酸基の当量比が0.8~1.25の配合組成とすればよい。
また、反応はワンショット法又は多段法により、通常20~150℃、好ましくは60~110℃で実施すればよい。
【0053】
上記のようにして得られるポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwは、1,000以上100,000以下であることが好ましい。
前記ポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwが上記数値範囲内であることにより、該ポリウレタン樹脂(A)を含むホットメルト接着剤は、基材への密着性、耐熱水性、耐酸性、及び、耐アルコール性などの特性がより有効に発揮されるものとなる。
なお、前記ポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した値を意味する。
前記ポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwは、例えば、以下の装置、条件にて測定することができる。

測定装置及び測定条件
・機器装置:商品名「HLC-8020」(東ソー社製)
・カラム:商品名「TSKgel G2000HXL」、「G3000HXL」、「G4000GXL」(東ソー社製)
・溶媒:THF
・流速:1.0ml/min
・試料濃度:2g/L
・注入量:100μL
・温度:40℃
・検出器:型番「RI-8020」(東ソー社製)
・標準物質:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0054】
本実施形態では、ポリウレタン樹脂の合成において、必要に応じて触媒を使用できる。
前記触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、スタナスオクトエート、オクチル酸亜鉛、テトラn-ブチルチタネートなどの金属と有機酸又は無機酸との塩、有機金属誘導体、トリエチルアミンなどの有機アミン、ジアザビシクロウンデセン系触媒などが挙げられる。
前記触媒は、ポリウレタン樹脂の合成反応を促進する。
一方で、前記触媒を過剰に使用すると、ポリウレタン樹脂以外の物質を分解する分解反応を誘発するおそれがあり、その結果、得られるホットメルト接着剤が、長時間の耐熱性に劣るものとなるおそれがある。
そのため、前記触媒を用いる場合には、前記触媒を適量用いることが好ましい。
【0055】
前記ポリウレタン樹脂(A)は、有機溶剤を用いずに合成してもよいし、有機溶剤を用いて合成してもよい。
前記有機溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性な有機溶剤、又はイソシアネート基に対して反応成分よりも低活性な有機溶剤を用いることができる。
前記有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール(商品名、コスモ石油社製)、ソルベッソ(商品名、エクソン化学社製)などの芳香族系炭化水素溶剤;n-ヘキサンなどの脂肪族系炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレンなどの炭酸エステル系溶剤;エチレングリコールエチルエーテルアセテ-ト、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;N-メチル-2-ピロリドンなどのラクタム系溶剤などを挙げることができる。
特にトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチルが、ポリウレタン樹脂の溶解性を高める観点や、ホットメルト接着剤を得るときに揮発させ易い観点などから好ましい。
【0056】
(エポキシ樹脂(B))
本実施形態に係るホットメルト接着剤では、前記接着剤組成物に含まれる前記エポキシ樹脂(B)の割合は、前記ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下であることが好ましく、20質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。
前記エポキシ樹脂(B)の割合が10質量部以上であることにより、得られるホットメルト接着剤は、十分な耐熱水性、耐酸性、及び、耐アルコール性を示すものとなることに加えて、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、及び、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂で形成された樹脂フィルムに対して十分な密着性を示すものとなる。
また、前記エポキシ樹脂(B)の割合が100質量部以下であることにより、得られるホットメルト接着剤は、ウレタン樹脂系由来のフレキシブル性を十分に発揮できるものとなる。
これにより、得られるホットメルト接着剤が、硬化後(架橋反応後)において、過度に硬くなり過ぎてホットメルト接着ができなくなることを抑制することができる。
【0057】
本実施形態のホットメルト接着剤では、上記したように、前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が450g/eq以上3000g/eq以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有している。
エポキシ当量が上記数値範囲内であることにより、本実施形態のホットメルト接着剤は基材への密着性に優れ、比較的低温(例えば、60℃以下)において硬化し、硬化後(架橋反応後)に熱圧着することができるものとなる。
上記エポキシ当量は、JIS K 7236により求めることができる。
【0058】
前記水酸基価は、50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であることがより好ましい。
前記水酸基価が50mgKOH/g以上であることにより、前記水酸基含有エポキシ樹脂を前記ポリウレタン樹脂(A)とともに前記イソシアネート系架橋剤(C)と架橋反応させた後において、架橋密度をより一層高くすることができる。
これにより、架橋反応後に得られる硬化物としてのホットメルト接着剤を耐熱水性、耐酸性、耐アルコール性により一層優れるものとすることができる。
また、前記水酸基価が250mgKOH/g以下であることにより、架橋密度が過度に高くなることを抑制できる。
これにより、架橋反応後に得られる硬化物としてのホットメルト接着剤が過度に柔軟性に劣るものとなって、熱圧着し難くなることを抑制できる。
さらに、前記水酸基価が250mgKOH/g以下であることにより、未反応の水酸基を比較的少なくすることができる。
これにより、比較的多く残存した未反応の水酸基が、熱水、酸に含まれる水と作用することが原因となって、得られるホットメルト接着剤の耐熱水性、耐酸性、耐アルコール性が低下することを抑制できる。
【0059】
前記エポキシ樹脂(B)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂 、ビスフェノールS型エポキシ樹脂を使用することができ、これらを一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
前記エポキシ樹脂(B)としては、上記以外にもフェノキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ゴム変性型等のエポキシ樹脂を併用することが可能である。
【0061】
前記エポキシ樹脂(B)は、有機溶剤に溶解した状態で、前記ポリウレタン樹脂(A)と混合することが好ましい。
【0062】
前記有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール(商品名、コスモ石油社製)、ソルベッソ(商品名、エクソン化学社製)などの芳香族系炭化水素溶剤;n-ヘキサンなどの脂肪族系炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレンなどの炭酸エステル系溶剤;エチレングリコールエチルエーテルアセテ-ト、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤; ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;N-メチル-2-ピロリドンなどのラクタム系溶剤などを挙げることができる。
特にトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチルが、エポキシ樹脂の溶解性を高める観点や、ホットメルト接着剤を得るときに揮発させ易い観点などから好ましい。
また、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチルは、アルコール系の溶剤に比べて、イソシアネート基を失活させ難いという観点から好ましい。
【0063】
(イソシアネート系架橋剤(C))
本実施形態のホットメルト接着剤では、前記接着剤組成物に含まれる前記イソシアネート系架橋剤(C)の割合は、前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記エポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
前記イソシアネート系架橋剤(C)の含有量が上記数値範囲内であることにより、架橋反応が過度に進行することにより、前記接着剤組成物を塗布して塗膜としてホットメルト接着剤を得たときに、該塗膜が硬脆くなり、熱圧着され難くなることを抑制できる。
これにより、本実施形態に係るホットメルト接着剤は十分な熱圧着特性(ホットメルト特性)を備えるものとなる。
【0064】
前記イソシアネート系架橋剤(C)としては、特に限定されるものではないが、イソシアヌレート体、ビューレット体、アダクト体、ポリメリック体といった多官能のイソシアネート基を有するもの等、従来から使用されている公知のものを使用することができる。
例えば、2,4-トルイレンジイソシアネートの二量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス-(p-イソシアネートフェニル) チオフォスファイト、多官能芳香族イソシアネート、多官能芳香族脂肪族イソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、脂肪酸変性多官能脂肪族イソシアネート、ブロック化多官能脂肪族イソシアネートなどのブロック型ポリイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。
【0065】
これらのイソシアネート系架橋剤(C)のうち、芳香族系のものであれば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびキシリレンジイソシアネートが好ましい。
脂肪族系のものであれば、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの変性体が好ましい。
また、イソシアネート系架橋剤(C)としては、1分子中にイソシアネート基を3個以上含むものが好ましい。
さらに、イソシアネート系架橋剤(C)としては、前記ポリイソシアネートの多量体や他の化合物との付加体、さらには低分子量のポリオールとポリアミンとを分子末端がイソシアネートとなるように反応させたウレタンプレポリマーなども好ましく使用される。
このようなイソシアネート系架橋剤(C)として好ましい化合物を、下記式(2)~(9)として例示する。
しかしながら、イソシアネート系架橋剤(C)は、下記式(2)~(9)で示される化合物に限定されるものではない。
【0066】
【化2】
【0067】
【化3】
【0068】
【化4】
【0069】
【化5】
【0070】
【化6】
【0071】
【化7】
【0072】
【化8】
【0073】
【化9】
【0074】
本実施形態に係るホットメルト接着剤は、必要に応じて添加剤を更に含有してもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系など)、光安定剤(ヒンダードアミン系など)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など)、ガス変色安定剤(ヒドラジン系など)、金属不活性剤、シランカップリング剤、粘着付与剤などが挙げられる。
これらの添加剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
本実施形態に係るホットメルト接着剤は、前記ポリウレタン樹脂(A)、前記エポキシ樹脂(B)、および、前記イソシアネート系架橋剤(C)を混合することによって得ることができる。
前記エポキシ樹脂(B)は、前記ポリウレタン樹脂(A)の100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下の割合で含まれていることが好ましい。
また、前記イソシアネート系架橋剤(C)は、前記ポリウレタン樹脂(A)および前記エポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下の割合で含まれていることが好ましい。
【0076】
上記のようにして得た本実施形態に係るホットメルト接着剤は、少なくとも表面が樹脂で構成されている部材の接着に用いられることが好ましい。
前記樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、および、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
該部材は、樹脂フィルム(プラスチックフィルム)であってもよい。
前記部材が樹脂フィルムである場合、該樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、及び、ポリブチレンテレフタレートフィルムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0077】
また、本実施形態のホットメルト接着剤は、第1の部材と第2の部材との接着に用いられ、前記第1の部材及び前記第2の部材のそれぞれは、少なくとも接着される表面が樹脂で構成されていることが好ましい。
前記第1の部材における樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、および、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記第2の部材における樹脂は、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂であることが好ましい。
前記第1の部材及び前記第2の部材は、樹脂フィルム(プラスチックフィルム)であってもよい。
前記第1の部材が樹脂フィルムである場合、該樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、および、ポリブチレンテレフタレートフィルムからなる群から選択される少なくとも1種の第1樹脂フィルムであることが好ましい。
前記第2の部材が樹脂フィルムである場合、該樹脂フィルムは、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂で形成されたフィルムであることが好ましい。
【0078】
前記パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂としては、デュポン社製の商品名「ナフィオン」、旭化成株式会社製の商品名「フレミオン」、旭硝子株式会社製の商品名「アシプレックス」などが挙げられる。
パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂は、例えば、下記式(1)に示されるポリマー構造を有する樹脂である。
下記式(1)におけるm、n、および、xについて、例えば、前記「ナフィオン」では、m≧1、n=2、x=5~13.5であり、前記「アシプレックス」では、m=0,1、n=2~5、x=1.5~14であり、前記「フレミオン」では、m=0,1、n=1~5である。
【0079】
【化10】
【0080】
本実施形態に係るホットメルト接着剤は、前記ポリウレタン樹脂(A)、前記エポキシ樹脂(B)、及び、前記イソシアネート系架橋剤(C)に加えて、トルエンやメチルエチルケトンなどの有機溶媒を含む樹脂溶液を樹脂フィルム(例えば、前記第1樹脂フィルム)に塗工して乾燥させることによりシート状として得ることができる。
前記樹脂溶液の塗工は、従来公知の塗工方法、例えば、グラビア、スプレーなど種々の塗工方法で実施することができる。
前記塗工は、乾燥後の塗膜の厚みが1μm以上50μm以下となるように実施することが好ましい。
前記ホットメルト接着剤をシート状に加工した後、該シート状のホットメルト接着剤は、比較的低温(60℃以下の温度)にて、前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記エポキシ樹脂(B)が、前記イソシアネート系架橋剤(C)によって架橋された状態となって硬化される。
これにより、シート状に加工されたホットメルト接着シートを樹脂フィルム上にて品質を維持した状態で長期間保管することができる。
また、前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記エポキシ樹脂(B)が前記イソシアネート系架橋剤(C)によって架橋された状態となって硬化されることにより、過度なタック性を有するようになることを抑制できる。
上記により、このようなホットメルト接着剤は、取扱い性に優れるものとなる。
また、前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記エポキシ樹脂(B)が前記イソシアネート系架橋剤(C)によって架橋された状態となって硬化されていることにより、前記ホットメルト接着剤は、熱圧着させ易いものとなり、基材との密着性により優れるものとなり、しかも、耐熱水性、耐酸性、耐アルコール性により優れるという効果を奏することができる。
【0081】
本実施形態に係るホットメルト接着剤は、樹脂フィルムに塗工して乾燥した後に比較的低温(60℃以下の温度)にて架橋された状態となって硬化された後においては、すなわち、ホットメルト接着剤が前記樹脂フィルム上でホットメルト接着剤層とされた状態で硬化された後においては、一のホットメルト接着剤層は他のホットメルト接着剤層と当接された状態で、120℃~180℃の温度で加熱されることにより、熱圧着(ホットメルト接着)されることが好ましい。
【0082】
また、本実施形態に係るホットメルト接着剤は、樹脂フィルムに塗工して乾燥した後に比較的低温(60℃以下の温度)にて架橋された状態となって硬化された後においては、すなわち、ホットメルト接着剤が前記樹脂フィルム上でホットメルト接着剤層とされた状態で硬化された後においては、前記ホットメルト接着剤層の露出面(樹脂フィルムと当接していない面)に、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂によって形成された樹脂フィルムを重ね合せた状態として、120℃~180℃の温度で加熱することにより、前記ホットメルト接着剤層は前記パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂によって形成された樹脂フィルムと熱圧着(ホットメルト接着)されることが好ましい。
【0083】
また、ホットメルト接着剤は、固体高分子型燃料電池において、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂によって形成された固体電解質膜に取り付けられて用いられてもよい。
具体的には、ホットメルト接着剤は、固体電解質膜の互いに対向する両面に、平面寸法が前記固体電解質膜よりも小さく形成された正極及び負極をそれぞれ積層させて構成される、膜/電極接合体(MEA)において、前記膜/電極接合体(MEA)の外周端部に露出した前記固体電解質膜に取り付けて用いられてもよい。
また、前記膜/電極接合体(MEA)の外周端部に露出した前記固体電解質膜に前記ホットメルト接着剤を取り付けるに際しては、ホットメルト接着剤層付の樹脂シートの2枚によって前記固体電解質膜を両面側から挟持して、2枚のホットメルト接着剤層付の樹脂シートによってサブガスケットが構成されるようにしてもよい。
【0084】
なお、本発明に係るホットメルト接着剤は、上記実施形態に限定されるものではない。
また、本発明に係るホットメルト接着剤は、上記した作用効果によって限定されるものでもない。
本発明に係るホットメルト接着剤は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例0085】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、参考例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
【0086】
[ポリウレタン樹脂(A)の合成例]
<ポリウレタン樹脂の合成例:A1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002 旭化成ケミカルズ(株)製)300.0g、ポリシクロヘキサンジメタノール/ヘキサンジオール共重合カーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUM-90(3/1)」、宇部興産社製、水酸基価=112.2mgKOH/g、シクロヘキサンジメタノール/ヘキサンジオール=3/1モル比)200.0g、1,3-ブチレングリコール10.0gを仕込んだ。
次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)207.3g を仕込み、系内を撹拌した。
系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)111.8gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。
反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A1を含む樹脂溶液AA1を得た。
得られた樹脂溶液AA1は、固形分が30質量%であり、ポリウレタン樹脂A1は、水酸基価が2.5mgKOH/g、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)が29.7質量%であった。
また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A1の質量平均分子量は72,000 であった。
【0087】
<ポリウレタン樹脂の合成例:A2>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002 旭化成ケミカルズ(株)製)300.0g、ポリシクロヘキサンジメタノール/ヘキサンジオール共重合カーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUM-90(3/1)」、宇部興産社製、水酸基価=112.2mgKOH/g)200.0g、1,3-ブチレングリコール10.0g、ジメチロールプロパン酸16gを仕込んだ。
次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)222.3g を仕込み、系内を撹拌した。
系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)140.8gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。
反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A2を含む樹脂溶液AA2を得た。
得られた樹脂溶液AA2は、固形分が30質量%であり、ポリウレタン樹脂A2は、水酸基価が2.9mgKOH/gであり、酸価が10.0mgKOH /gであった。
また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A2の質量平均分子量は61,000 であった。
なお、ポリウレタン樹脂A2において、骨格の炭素数が8以上を有するポリオールは、29.7質量%であった。
【0088】
<ポリウレタン樹脂の合成例:A3>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002 旭化成ケミカルズ(株)製)300.0g、両末端水酸基のポリデカメチレンカーボネートジオール(水酸基価=56.1mgKOH/g)200.0g、1,3-ブチレングリコール10.0gを仕込んだ。
次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)199.2g を仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)87.6gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。
反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A3を含む樹脂溶液AA3を得た。
得られた樹脂溶液AA3は、固形分が30質量%であり、ポリウレタン樹脂A3は、水酸基価が2.0mgKOH/g、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)が30.6質量%であった。
また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A3の質量平均分子量は76,000 であった。
【0089】
<ポリウレタン樹脂の合成例:A4>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002 旭化成ケミカルズ(株)製)300.0g、ダイマージオール(商品名「Pripol2033」、クローダジャパン社製、OHv=207mgKOH/g)200g、1,3-ブチレングリコール10.0gを仕込んだ。
次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)220.9g を仕込み、系内を撹拌した。
系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)152.8gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。
反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A4を含む樹脂溶液AA4を得た。
得られた樹脂溶液AA4は、固形分が30質量%であり、ポリウレタン樹脂A4は、水酸基価が3.2mgKOH/g、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)が39.2質量%であった。
また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A1の質量平均分子量は56,000 であった。
【0090】
<ポリウレタン樹脂の合成例:A5>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002 旭化成ケミカルズ(株)製)300.0g、水素化ポリブタジエンポリオール(商品名「GI-1000」、日本曹達社製、OHv=66mgKOH/g)200g、1,3-ブチレングリコール10.0gを仕込んだ。
次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)200.6g を仕込み、系内を撹拌した。
系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)91.8gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。
反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A5を含む樹脂溶液AA5を得た。
得られた樹脂溶液AA5は、固形分が30質量%であり、ポリウレタン樹脂A5は、水酸基価が2.1mgKOH/g、骨格の炭素鎖が8以上を有するポリオール(a1)が39.2質量%であった。
また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A5の質量平均分子量は84,000 であった。
【0091】
<ポリウレタン樹脂の合成例:A6>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002 旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量=2,000)200.0g、1,3-ブチレングリコール10.0gを仕込んだ。
次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)87.1g を仕込み、系内を撹拌した。
系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)51.2gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。
反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A6を含む樹脂溶液AA6を得た。
得られた樹脂溶液AA6は、固形分が30質量%であり、ポリウレタン樹脂A6は、水酸基価が2.7mgKOH/gであった。
また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A6の質量平均分子量は65,000 であった。
なお、ポリウレタン樹脂A6は、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)を含んでいないものである。
【0092】
<ポリウレタン樹脂の合成例:A7>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002 旭化成ケミカルズ(株)製)300.0g、ポリシクロヘキサンジメタノール/ヘキサンジオール共重合カーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUM-90(3/1)」、宇部興産社製、水酸基価=112.2mgKOH/g、シクロヘキサンジメタノール/ヘキサンジオール=3/1モル比)20.0g、1,3-ブチレングリコール6.4gを仕込んだ。
次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)128.3g を仕込み、系内を撹拌した。
系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)58.5gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。
反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A7を含む樹脂溶液AA7を得た。
得られた樹脂溶液AA7は、固形分が30質量%であり、ポリウレタン樹脂A7は、水酸基価が2.1mgKOH/g、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)が4.8質量%であった。
また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A7の質量平均分子量は85,000 であった。
【0093】
<ポリウレタン樹脂の合成例:A8>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002 旭化成ケミカルズ(株)製)300.0g、ポリシクロヘキサンジメタノール/ヘキサンジオール共重合カーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUM-90(3/1)」、宇部興産社製、水酸基価=112.2mgKOH/g、シクロヘキサンジメタノール/ヘキサンジオール=3/1モル比)1700g、1,3-ブチレングリコール40gを仕込んだ。
次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)865.5g を仕込み、系内を撹拌した。
系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)556.4gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。
反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A8を含む樹脂溶液AA8を得た。
得られた樹脂溶液AA8は、固形分が30質量%であり、ポリウレタン樹脂A8は、水酸基価が3.0mgKOH/g、骨格の炭素数が8以上を有するポリオール(a1)が65.0%であった。
また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A8の質量平均分子量は60,000 であった。
【0094】
[エポキシ樹脂(B)の溶解例]
<エポキシ樹脂の溶解例:B1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:450g/eq 、jER1001:三菱化学(株)製。以下、エポキシ樹脂B1という)400.0 gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温しエポキシ樹脂B1を完全溶解させて、エポキシ樹脂B1の溶解品BB1(以下、エポキシ樹脂溶液BB1という)を得た。
得られたエポキシ樹脂溶液BB1の固形分は40質量% であった。
【0095】
<エポキシ樹脂の溶解例:B2>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:925g/eq 、jER1004:三菱化学(株)製。以下、エポキシ樹脂B2という)400.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温しエポキシ樹脂B2を完全溶解させて、エポキシ樹脂B2の溶解品BB2(以下、エポキシ樹脂溶液BB2という)を得た。
得られたエポキシ樹脂溶液BB2の固形分は40質量% であった。
【0096】
<エポキシ樹脂の溶解例:B3>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:1975g/eq 、jER1007:三菱化学(株)製。以下、エポキシ樹脂B3という)400.0 gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温しエポキシ樹脂B3完全溶解させて、エポキシ樹脂B3の溶解品BB3(以下、エポキシ樹脂溶液BB3という)を得た。
得られたエポキシ樹脂溶液BB3の固形分は40質量%であった。
【0097】
<エポキシ樹脂の溶解例:B4>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(エポキシ当量:8500g/eq 、jER1256:三菱化学(株)製。以下、エポキシ樹脂B4という)400.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温しエポキシ樹脂B4を完全溶解させて、エポキシ樹脂B4の溶解品BB4(以下、エポキシ樹脂溶液BB4という)を得た。
得られたエポキシ樹脂溶液BB4の固形分は40質量%であった。
【0098】
<エポキシ樹脂の溶解例:B5>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。
反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールAノボラック型のエポキシ樹脂(3官能以上)(エポキシ当量:200g/eq、jER157S70:三菱化学(株)製。以下、エポキシ樹脂B5という)800.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)200.0gを仕込み、系内を60℃に昇温しエポキシ樹脂B5を完全溶解させて、エポキシ樹脂B5の溶解品BB5(エポキシ樹脂溶液BB5)を得た。
得られたエポキシ樹脂溶液BB5の固形分は80質量%であった。
【0099】
[ホットメルト接着剤の作製]
下記表1に示したような材料を、下記表1に示したような配合割合で使用することにより、各例に係るホットメルト接着剤を得た。
【0100】
ポリウレタン樹脂(A)を含有する樹脂溶液としては、前記合成例A1~A8で示した樹脂溶液AA1~AA8を使用した。
【0101】
エポキシ樹脂(B)を含有するエポキシ樹脂溶液としては、前記エポキシ樹脂の溶解例B1~B5で示したエポキシ樹脂溶液BB1~BB5を使用した。
【0102】
イソシアネート系架橋剤(C)としては、XDIのTMPアダクト体(C1)(D-110N:三井化学(株)製)、TDIのTMPアダクト体(C2)(D-101E:三井化学(株)製)、HDIのイソシアヌレート体(C3)(D-170N:三井化学(株)製)を使用した。
【0103】
【表1】
【0104】
[配合液のフィルムへの塗工]
メチルエチルケトン(MEK)を用いて、各例の配合液を固形分30質量%となるように希釈した。
実施例1では、希釈した配合液をPETフィルム(縦:210mm、横:150mm、厚み:100μm 、ルミラー:パナック(株)製)の片面側全面に塗布し、塗布後100℃で1分間乾燥させた後、40℃のオーブン中に48時間放置して硬化反応を進行させホットメルト接着剤層付きPETフィルムを作製した。
なお、塗工は、乾燥後のホットメルト接着剤層の厚みが20μmとなる様に行った。
また、実施例2では、PETフィルムをPENフィルム(縦:210 mm、横:150mm、厚み:100μm 、テオネックス:東洋紡フィルムソリューション(株)製)に変えた以外は、実施例1と同様にして塗工を行った。
さらに、実施例3では、PETフィルムをPBTフィルム(縦:210mm、横:150mm、厚み:25μm、ボブレット: 興人フィルム&ケミカルズ(株)製)に変えた以外は、実施例1と同様にして塗工を行った。
また、実施例4-14、比較例1-5では、実施例2と同様に、PETフィルムをPENフィルムに変えた以外は、実施例1と同様にして塗工を行った。
また比較例4では実施例2と同様に、PETフィルムをPENフィルムに変え、40℃のオーブン中に48時間放置する硬化反応を行わなかった以外は実施例1と同様にして塗工を行った。
【0105】
[接着シートEの作成]
各例のホットメルト接着剤層付きフィルム2枚用意し、ホットメルト接着剤層どうしが当接するように前記2枚のホットメルト接着剤層付きフィルムを重ね合わせた。
140℃に調整したラミネーターを用いて、各例のホットメルト接着剤層付きフィルム2枚を熱圧着することで貼り合せて、各例に係る接着シートEを作製した。
また、比較例4は貼り合わせ後に40℃のオーブン中に48時間放置する硬化反応を行った。
【0106】
[接着シートFの作成]
各例のホットメルト接着剤層付きフィルムのホットメルト接着剤層の露出面とパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂シート(テトラフルオロエチレン/ パーフルオロ[2-(フルオスルホニルエトキシ)プロビルビニルエーテル]共重合体膜(デュポン社製、商品名“NAFIONN-115”))(該接ホットメルト着剤層付きフィルムと同形状)の一方面とが当接するように、各例のホットメルト接着剤層付きフィルムとパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂シートとを重ね合わせた。
140℃に調整したラミネーターを用いて、各例のホットメルト接着剤層付きフィルムとパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂シートとを熱圧着することで貼り合せて、各例に係る接着シートFを作製した。
また、比較例4は貼り合わせ後に40℃のオーブン中に48時間放置する硬化反応を行った。
【0107】
[接着強度の測定方法]
オートグラブ((株)島津製作所オートグラフAGS-J500N)を用いて、接着強度の測定を行った。
試験は、25℃の温度条件下でT字剥離試験にて行い、引張速度は50mm/minとした。
【0108】
[初期密着性1]
各例の接着シートEについて、オートグラブを用いて、初期密着性1を評価した。
各例の接着シートEから幅10mm×長さ80mmの大きさの試験体を切り出して、該試験体について、オートグラフを用いて接着強度を測定した。
なお、接着強度の値が3N/10mm以上である場合には、十分な接着強度であると評価でき、接着強度の値が4N/10mm以上である場合には、より十分な接着強度であると評価できる。
以下においても同様である。
その測定結果を以下の表2に示した。以下の表2において、数値の単位はN/10mmである。
【0109】
[耐熱水性1]
各例の接着シートEについて、各例の接着シートから幅10mm×長さ80mmの大きさの試験体を切り出して、該試験体を95℃の熱水中に100時間浸漬させ、室温に冷却後、該試験体についてオートグラフを用いて接着強度を測定した。
その測定結果を以下の表2に示した。
【0110】
[耐酸性1]
各例の接着シートEについて、各例の接着シートから幅10mm×長さ80mmの大きさの試験体を切り出して、該試験体を95℃のpH2の希硫酸に100時間浸漬させ、室温に冷却後、該試験体についてオートグラフを用いて接着強度を測定した。
その測定結果を以下の表2に示した。
【0111】
[耐アルコール性1]
各例の接着シートEについて、各例の接着シートから幅10mm×長さ80mmの大きさの試験体を切り出して、該試験体を95℃のエチレングリコールに100時間浸漬させ、室温に冷却後、該試験体についてオートグラフを用いて接着強度を測定した。
その測定結果を以下の表2に示した。
【0112】
[初期密着性2]
各例の接着シートFについて、オートグラブを用いて、初期密着性2を評価した。
接着シートから幅10mm×長さ80mmの大きさの試験体を切り出して、該試験体について、オートグラフを用いて接着強度を測定した。
その測定結果を以下の表2に示した。
【0113】
[耐熱水性2]
各例の接着シートFについて、各例の接着シートから幅10mm×長さ80mmの大きさの試験体を切り出して、該試験体を95℃の熱水中に100時間浸漬させ、室温に冷却後各試験体について、以下の基準で、耐熱水性を評価した。

・〇: 浸漬後に、剥離が認められない。
・△: 浸漬後に、剥離が認められないものの、一部浮きが見られる。
・×: 浸漬後に、剥離が認められる。

その評価結果を以下の表2に示した。
【0114】
[耐酸性2]
各例の接着シートFについて、各例の接着シートから幅10mm×長さ80mmの大きさの試験体を切り出して、該試験体を95℃のpH2の希硫酸に100時間浸漬させ、室温に冷却後各試験体について、以下の基準で、耐酸性を評価した。

・〇: 浸漬後に、剥離が認められない。
・△: 浸漬後に、剥離が認められないものの、一部浮きが見られる。
・×: 浸漬後に、剥離が認められる。

その評価結果を以下の表2に示した。
【0115】
[耐アルコール性2]
各例の接着シートFについて、各例の接着シートから幅10mm×長さ80mmの大きさの試験体を切り出して、該試験体を95℃のエチレングリコールに100時間浸漬させ、室温に冷却後各試験体について、以下の基準で、耐アルコール性を評価した。

・〇: 浸漬後に、剥離が認められない。
・△: 浸漬後に、剥離が認められないものの、一部浮きが見られる。
・×: 浸漬後に、剥離が認められる。

その評価結果を以下の表2に示した。
【0116】
[タック]
各例のホットメルト接着剤層付きフィルムの接着剤層表面を指で接触し、以下の基準でタックを判断した。

・〇: 指に付かず、表面が平滑なままである。
・△: 指に付かないが、指の跡が残ってしまう。
・×: 指に付く程のタックがある。

その評価結果を以下の表2に示した。
【0117】
【表2】
【0118】
表2に示した結果から、本発明のホットメルト接着剤は、熱圧着することができ、基材との密着性に優れ、しかも耐熱水性、耐酸性、耐アルコール性、タック性に優れるホットメルト接着剤となることが把握される。