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特開2023-151049太陽光発電量予測システム、太陽光発電量予測方法、太陽光発電量予測プログラム、過去予報推定装置、過去予報推定方法、および過去予報推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151049
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】太陽光発電量予測システム、太陽光発電量予測方法、太陽光発電量予測プログラム、過去予報推定装置、過去予報推定方法、および過去予報推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20231005BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20231005BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20231005BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20231005BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20231005BHJP
【FI】
H02J3/00 170
G06N20/00 130
H02J3/38 130
H02S50/00
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060449
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】514253459
【氏名又は名称】ネットスマイル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521402985
【氏名又は名称】株式会社Sustech
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 福光
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ ファエッダ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ハイニー
(72)【発明者】
【氏名】丹野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】大橋 昭文
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
5F151BA11
5F151KA10
5F251BA11
5F251KA10
5G066AA03
5G066HB06
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】 気象予報データを入力データとしている学習器を使用して太陽光発電量を予測する際に、比較的短時間で、正確な太陽光発電量の予測を開始することができるようにする。
【解決手段】 過去予報推定部22では、過去の気象実履歴データを入力データとする学習器で過去の気象予報履歴データが推定されて生成される。ここで、過去の気象実履歴データは、過去の複数時点での気象実履歴データであって、過去の気象予報履歴データは、過去の複数時点での気象予報履歴データである。そして、機械学習処理部26では、過去予報推定部22で生成された過去の気象予報履歴データを使用して、太陽光発電量予測部25における学習器の機械学習が行われる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気象予報データを入力データとする第1学習器で太陽光発電量を予測する太陽光発電量予測部と、
過去の気象実履歴データから過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定部と、
前記過去予報推定部により生成された前記過去の気象予報履歴データを使用して前記第1学習器の機械学習を行う第1機械学習処理部と、
を備えることを特徴とする太陽光発電量予測システム。
【請求項2】
前記太陽光発電量予測部は、前記気象予報データ、および前記太陽光発電量を予測する対象である発電設備から撮影装置で空を撮影して得られた空画像履歴データを入力データとする前記第1学習器で太陽光発電量を予測し、
前記第1学習器は、(a)前記空画像履歴データから日射量予測データを生成し、(b)前記日射量予測データおよび前記気象予報データから前記太陽光発電量の予測値を生成すること、
を特徴とする請求項1記載の太陽光発電量予測システム。
【請求項3】
第2機械学習処理部をさらに備え、
前記過去予報推定部は、第2学習器で前記過去の気象実履歴データから前記過去の気象予報履歴データを推定して生成し、
前記第2機械学習処理部は、前記第2学習器の機械学習を行うこと、
を特徴とする請求項1記載の太陽光発電量予測システム。
【請求項4】
気象予報データを入力データとする第1学習器で太陽光発電量を予測する太陽光発電量予測ステップと、
過去の気象実履歴データから過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定ステップと、
前記過去予報推定ステップで生成された前記過去の気象予報履歴データを使用して前記第1学習器の機械学習を行う機械学習処理ステップと、
を備えることを特徴とする太陽光発電量予測方法。
【請求項5】
コンピューターに、
気象予報データを入力データとする第1学習器で太陽光発電量を予測する太陽光発電量予測ステップと、
過去の気象実履歴データから過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定ステップと、
前記過去予報推定ステップで生成された前記過去の気象予報履歴データを使用して前記第1学習器の機械学習を行う機械学習処理ステップと、
を実行させる太陽光発電量予測プログラム。
【請求項6】
過去の気象実履歴データを入力データとする学習器で過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定部を備え、
前記過去の気象実履歴データは、過去の複数時点での気象実履歴データであって、
前記過去の気象予報履歴データは、前記過去の複数時点での気象予報履歴データであること、
を特徴とする過去予報推定装置。
【請求項7】
前記過去予報推定部は、前記過去の気象実履歴データ、並びに雲面積比率履歴データおよび太陽位置履歴データを入力データとして学習器で前記過去の気象予報履歴データを推定して生成することを特徴とする請求項6記載の過去予報推定装置。
【請求項8】
前記学習器は、前記過去の気象実履歴データと特定の気象予報提供者の過去の気象予報履歴データとを学習データとして機械学習されており、
前記過去予報推定部は、前記特定の気象予報提供者についての前記過去の気象予報履歴データを推定して生成すること、
を特徴とする請求項6記載の過去予報推定装置。
【請求項9】
過去の気象実履歴データを入力データとする学習器で過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定ステップを備え、
前記過去の気象実履歴データは、過去の複数時点での気象実履歴データであって、
前記過去の気象予報履歴データは、前記過去の複数時点での気象予報履歴データであること、
を特徴とする過去予報推定方法。
【請求項10】
コンピューターに、
過去の気象実履歴データを入力データとする学習器で過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定ステップを実行させ、
前記過去の気象実履歴データは、過去の複数時点での気象実履歴データであって、
前記過去の気象予報履歴データは、前記過去の複数時点での気象予報履歴データであること、
を特徴とする過去予報推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電量予測システム、太陽光発電量予測方法、太陽光発電量予測プログラム、過去予報推定装置、過去予報推定方法、および過去予報推定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある発電電力予測システムは、ニューラルネットワークを使用して、ある時点についての過去の気象実測データおよび将来の気象予報データに基づいて、将来の太陽光発電量を予測している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、ある太陽光発電量予測システムは、カメラで空画像を撮影し、その空画像に基づいて将来の太陽光発電量を予測している(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-007312号公報
【特許文献2】特開2017-200360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の発電電力予測システムでは、ニューラルネットワークの入力データとして、各時点での将来の気象予報データを使用しているため、そのニューラルネットワークを機械学習する際の学習データとして、長期間の多くの時点での気象予報データが要求される。
【0006】
しかしながら、過去の気象実測データは比較的簡単に入手できるが、過去の気象予報データを入手することは困難である。気象予報データの提供者は、気象予報の的中率などが明らかになってしまうため、過去の気象予報データを提供したがらない。そのため、長期の時間を掛けて気象予報データを収集した後でないと適切な機械学習を行うことが困難である。つまり、比較的短時間で、正確な太陽光発電量の予測を開始することは困難である。また、気象予報データの代わりに、気象実測データを使用することも考えられるが、その場合、予報データと実測データとではデータの取る値の傾向が異なるため、正確に機械学習が行われない可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、気象予報データを入力データとしている学習器を使用して太陽光発電量を予測する際に、比較的短時間で、正確な太陽光発電量の予測を開始することができる太陽光発電量予測システム、太陽光発電量予測方法、および太陽光発電量予測プログラム、並びに、その機械学習に使用可能な過去予報推定装置、過去予報推定方法、および過去予報推定プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る太陽光発電量予測システムは、気象予報データを入力データとする第1学習器で太陽光発電量を予測する太陽光発電量予測部と、過去の気象実履歴データから過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定部と、過去予報推定部により生成された過去の気象予報履歴データを使用して第1学習器の機械学習を行う第1機械学習処理部とを備える。
【0009】
本発明に係る太陽光発電量予測方法は、気象予報データを入力データとする第1学習器で太陽光発電量を予測する太陽光発電量予測ステップと、過去の気象実履歴データから過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定ステップと、過去予報推定ステップで生成された過去の気象予報履歴データを使用して第1学習器の機械学習を行う機械学習処理ステップとを備える。
【0010】
本発明に係る太陽光発電量予測プログラムは、コンピューターに、気象予報データを入力データとする第1学習器で太陽光発電量を予測する太陽光発電量予測ステップと、過去の気象実履歴データから過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定ステップと、過去予報推定ステップで生成された過去の気象予報履歴データを使用して第1学習器の機械学習を行う機械学習処理ステップとを実行させる。
【0011】
本発明に係る過去予報推定装置は、過去の気象実履歴データを入力データとする学習器で過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定部を備える。ここで、過去の気象実履歴データは、過去の複数時点での気象実履歴データであって、過去の気象予報履歴データは、過去の複数時点での気象予報履歴データである。
【0012】
本発明に係る過去予報推定方法は、過去の気象実履歴データを入力データとする学習器で過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定ステップを備える。ここで、過去の気象実履歴データは、過去の複数時点での気象実履歴データであって、過去の気象予報履歴データは、過去の複数時点での気象予報履歴データである。
【0013】
本発明に係る過去予報推定プログラムは、コンピューターに、過去の気象実履歴データを入力データとする学習器で過去の気象予報履歴データを推定して生成する過去予報推定ステップを実行させる。ここで、過去の気象実履歴データは、過去の複数時点での気象実履歴データであって、過去の気象予報履歴データは、過去の複数時点での気象予報履歴データである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、気象予報データを入力データとしている学習器を使用して太陽光発電量を予測する際に、比較的短時間で適切な機械学習を行うことができる太陽光発電量予測システム、太陽光発電量予測方法、および太陽光発電量予測プログラム、並びに、その機械学習に使用可能な過去予報推定装置、過去予報推定方法、および過去予報推定プログラムが得られる。
【0015】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電量予測システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す太陽光発電量予測システムにおける過去予報推定部22の構成を示すブロック図である。
図3図3は、図1に示す太陽光発電量予測システムにおける太陽光発電量予測部25の構成を示すブロック図である。
図4図4は、図3に示す太陽光発電量予測部25における日射量予測部41の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電量予測システムの構成を示すブロック図である。図1に示す太陽光発電量予測システムは、1台の情報処理装置(パーソナルコンピューターなど)で構成されているが、後述の処理部やユニットを、互いにデータ通信可能な複数の情報処理装置に分散させてもよい。また、そのような複数の情報処理装置には、特定の演算を並列処理するGPU(Graphics Processing Unit)が含まれていてもよい。
【0019】
図1に示す太陽光発電量予測システムは、例えば特定の太陽光発電設備による発電量を予測するシステムであって、記憶装置1、通信装置2、ユーザーインターフェイス3、および演算処理装置4を備える。
【0020】
記憶装置1は、フラッシュメモリー、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置であって、各種データやプログラムを格納する。
【0021】
ここでは、記憶装置1には、過去予報推定プログラム11および太陽光発電量予測プログラム12が格納されており、また、パラメーターデータセット13(後述のニューラルネットワークの結合係数(重み)、バイアスなどのパラメータなど)が必要に応じて格納される。
【0022】
通信装置2は、ネットワークインターフェイス、周辺機器インターフェイス、モデムなどのデータ通信可能な装置であって、必要に応じて、他の装置とデータ通信を行う。
【0023】
ユーザーインターフェイス3は、操作画面などを表示するディスプレイなどの表示装置3a、およびユーザー操作を受け付けるキーボードなどの入力装置3bを備える。
【0024】
なお、図1では、ユーザーインターフェイス3は、演算処理装置4に、内部バスや周辺機器インターフェイスで接続されているが、その代わりに、例えば、演算処理装置4がネットワーク(インターネット、LAN(Local Area Network)など)上のサーバーに内蔵されている場合、ユーザーインターフェイス3は、そのサーバーと通信可能な端末装置のユーザーインターフェイスデバイスとされ、そのサーバーとその端末装置との間のデータ通信によって、演算処理装置4において実現される処理部やユニットのユーザーインターフェイスとして機能する。
【0025】
演算処理装置4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えるコンピューターであって、プログラムを、ROM、記憶装置1などからRAMにロードしCPUで実行することで、各種処理部として動作する。RAMは、その処理部のワークメモリーとして使用される。
【0026】
ここでは、プログラム11を実行することで、演算処理装置4は、過去実データ取得部21、過去予報推定部22、および機械学習処理部23として動作する。
【0027】
過去実データ取得部21は、過去の気象予報における特定項目(気温、湿度、日射量、雲面積率など)についての、実測データを取得する。例えば、過去実データ取得部21は、通信装置2を使用して特定のサーバーから実測データをダウンロードしたり、記憶装置1に予め保存されている実測データを読み出したりする。
【0028】
過去予報推定部22は、過去の気象実履歴データを入力データとする学習器で過去の気象予報履歴データを推定して生成する。ここで、この過去の気象実履歴データは、過去の複数時点での気象実履歴データであって、この過去の気象予報履歴データは、その過去の複数時点での気象予報履歴データである。
【0029】
この実施の形態では、過去予報推定部22は、過去の気象実履歴データ、並びに雲面積比率履歴データおよび太陽位置履歴データを入力データとして学習器で過去の気象予報履歴データを推定して生成する。
【0030】
また、この学習器は、過去の気象実履歴データと特定の気象予報提供者の過去の気象予報履歴データとを学習データとして機械学習されており、過去予報推定部22は、特定の気象予報提供者についての過去の気象予報履歴データを推定して生成する。つまり、複数の気象予報提供者のそれぞれについて、その気象予報提供者に固有の過去の気象予報履歴データ(過去の時点からみた将来の複数時点の気象予報の各項目の値)が個別的に生成される。
【0031】
図2は、図1に示す太陽光発電量予測システムにおける過去予報推定部22の構成を示すブロック図である。
【0032】
例えば図2に示すように、過去予報推定部22は、エンコーダー31、エンコーダー32-1~32-3、特徴ベクトル連結部33、潜在空間エンコーダー34、およびデコーダー35を備える。
【0033】
エンコーダー31は、1または複数層のニューラルネットワーク(ここでは全結合のニューラルネットワーク)を備え、そのニューラルネットワークで、上述の気象実履歴データ(入力データ)を特徴ベクトルに変換する。
【0034】
エンコーダー32-1は、1または複数層のニューラルネットワーク(ここでは全結合のニューラルネットワーク)を備え、そのニューラルネットワークで、雲面積比率履歴データ(入力データ)を特徴ベクトルに変換する。エンコーダー32-2は、1または複数層のニューラルネットワーク(ここでは全結合のニューラルネットワーク)を備え、そのニューラルネットワークで、時間履歴データ(入力データ)を特徴ベクトルに変換する。エンコーダー32-3は、1または複数層のニューラルネットワーク(ここでは全結合のニューラルネットワーク)を備え、そのニューラルネットワークで、太陽位置履歴データ(入力データ)を特徴ベクトルに変換する。
【0035】
なお、エンコーダー31,32-1~32-3などにおけるニューラルネットワークの入力データは、適宜、(例えば0~1の値域に)正規化される。また、周期性のある入力データ(太陽位置および時間)は、正弦(サイン)関数や余弦(コサイン)関数を使用して正規化される。
【0036】
各時点における気象実測値(気温、湿度、風向き、風速など)、雲面積比率の値、および太陽位置(仰角と方位角)の値が特定され、複数時点についての気象実測値が気象実履歴データとされ、その複数時点についての雲面積比率の値が雲面積比率データとされ、その複数時点についての太陽位置の値が太陽位置履歴データとされる。
【0037】
特徴ベクトル連結部33は、エンコーダー31,32-1~32-3により生成される特徴ベクトルを連結し、1つの特徴ベクトルとする。
【0038】
潜在空間エンコーダー34は、ニューラルネットワークを備え、そのニューラルネットワークで、潜在空間において、特徴ベクトル連結部33により得られた連結後の特徴ベクトルの写像を行う。
【0039】
デコーダー35は、ニューラルネットワークを備え、そのニューラルネットワークで、潜在空間エンコーダー34による写像後の特徴ベクトルを、気象予報予測履歴データ(出力データ)に変換する。
【0040】
機械学習処理部23は、過去予報推定部22における学習器(ここでは、上述のニューラルネットワーク)の機械学習を既存の学習方法(誤差逆伝播法など)で行う。具体的には、機械学習処理部23は、その学習器の入力データと出力データとの対を複数セット含む学習データを使用して、その学習器のパラメータ(ここでは、ニューラルネットワークの重みおよびバイアス)を更新していく。
【0041】
一定期間分の入力データが得られ、過去予報推定部22における学習器(ここでは、上述のニューラルネットワーク)の機械学習が完了すれば、過去予報推定部22によって、気象予報の項目(気温、湿度、風向き、風速など)について、過去の実測値から過去の予報値が推定可能となり、比較的短時間で、大量の過去の予報値の取得が可能となり、その予報値が後述の機械学習処理部26での機械学習に利用される。
【0042】
また、ここでは、プログラム12を実行することで、演算処理装置4は、入力データ取得部24、太陽光発電量予測部25、および機械学習処理部26として動作する。
【0043】
入力データ取得部24は、太陽光発電量を予測すべき太陽光発電設備について、入力データを取得する。入力データは、例えば、空画像履歴データ、気象実履歴データ、発電条件履歴データ、人工衛星予報データ、気象予報データ、および雲面積比率履歴データを含む。例えば、入力データ取得部24は、通信装置2を使用して特定のサーバーからその入力データをダウンロードしたり、記憶装置1に予め保存されているその入力データを読み出したりする。
【0044】
太陽光発電量予測部25は、気象予報データを入力データとする学習器で太陽光発電量を予測する。
【0045】
この実施の形態では、太陽光発電量予測部25は、気象予報データ(現時点からみた将来の複数時点の気象予報の各項目の予報値)および空画像履歴データをマルチモーダルな入力データとする学習器で太陽光発電量を予測し、この学習器は、(a)空画像履歴データから日射量予測データを生成し、(b)日射量予測データおよび気象予報データから太陽光発電量の予測値を生成する。なお、空画像履歴データは、太陽光発電量を予測する対象である発電設備から撮影装置で複数時点で空を撮影して得られた一連の空画像の画像データである。
【0046】
図3は、図1に示す太陽光発電量予測システムにおける太陽光発電量予測部25の構成を示すブロック図である。図4は、図3に示す太陽光発電量予測部25における日射量予測部41の構成を示すブロック図である。
【0047】
例えば図3に示すように、太陽光発電量予測部25は、日射量予測部41、エンコーダー42-1~42-4、データ連結部43、および発電量予測部44を備える。
【0048】
日射量予測部41は、学習器を備え、その学習器で、空画像履歴データ、気象予報データ、雲面積比率予報データ、および時間データといった入力データから、将来の複数時点の日射量予測値を導出する。日射量予測部41は、すべての太陽光発電設備に共通のものである(つまり、複数の太陽光発電設備に共通となるように機械学習されている)。ただし、日射量予測部41における後述のエンコーダー51,52については当該太陽光発電設備に固有のものであり、太陽光発電設備ごとに異なる(つまり、太陽光発電設備ごとに異なるように機械学習されている)。
【0049】
空画像履歴データ、気象予報データ、雲面積比率予報データ、および時間データは、現時点までの複数時点における空画像、気象予報、雲面積比率予報、および時間をそれぞれ示すデータである。この空画像は、撮影画像が所定画素数になるように変倍されたりトリミングされたりして生成される。この気象予報、雲面積比率予報、および時間は、適宜、正規化される。
【0050】
そして、例えば図4に示すように、日射量予測部41は、エンコーダー51、エンコーダー52、特徴ベクトル連結部53、および日射量予測値演算部54を備える。
【0051】
エンコーダー51は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を備え、そのCNNで空画像履歴データを特徴ベクトルに変換する。エンコーダー51のCNNは、LSTM(Long short-term memory)層およびGAP(Global Average Pooling)層を備える。
【0052】
エンコーダー52は、LSTM層を含むニューラルネットワークを備え、そのニューラルネットワークで、気象予報データ(特定複数時刻における風速、風向きなど)、雲面積比率予報データ(その特定複数時刻における雲面積比率の予報値)、および太陽位置データ(その特定複数時刻における仰角と方位角)を入力データとして、その入力データを特徴ベクトルに変換する。
【0053】
特徴ベクトル連結部53は、エンコーダー51,52により生成される特徴ベクトルを連結し、1つの特徴ベクトルとする。
【0054】
日射量予測値演算部54は、1または複数層のニューラルネットワーク(ここでは全結合のニューラルネットワーク)を備え、そのニューラルネットワークで、特徴ベクトル連結部53により得られた特徴ベクトルから日射量予測値を導出する。
【0055】
ここで、この日射量予測値は、例えば全天日射量(GHI:
Global Horizontal Irradiance)の予測値である。
【0056】
また、図3におけるエンコーダー42-1は、LSTM層を含むニューラルネットワークを備え、そのニューラルネットワークで、過去の複数時点での発電条件を示す発電条件履歴データを特徴ベクトルに変換する。この発電条件は、日射量履歴(現時点までの複数時点の日射量実データ)、出力電圧、出力電流、出力電力などの出力履歴(現時点までの上述の複数時点の出力電圧、出力電流、出力電力など)、気温履歴(現時点までの上述の複数時点の当該太陽光発電設備での気温)、ソーラーパネル仕様(当該発電設備における架台やソーラーパネルの種別など)などを含む。エンコーダー42-1は、当該太陽光発電設備に固有のものであり、太陽光発電設備ごとに異なる(つまり、太陽光発電設備ごとに異なるように機械学習されている)。
【0057】
エンコーダー42-2は、LSTM層を含むニューラルネットワークを備え、そのニューラルネットワークで、過去および/または現在の複数時点での気象衛星により撮影された画像に基づく将来の複数時点での気象予報値を示す人工衛星予報データを特徴ベクトルに変換する。この気象予報値は、日射量(GHI,DNI:Direct Normal Irradiance,EBH,DHI:Diffuse Horizontal Irradianceなど)、雲面積比率、雲の不透明度、太陽位置(仰角と方位角)、気温などを含む。エンコーダー42-2は、すべての太陽光発電設備に共通のものである(つまり、複数の太陽光発電設備に共通となるように機械学習されている)。
【0058】
エンコーダー42-3は、LSTM層を含むニューラルネットワークを備え、そのニューラルネットワークで、将来の複数時点での気象予報値を示す気象予報データを特徴ベクトルに変換する。気象予報値は、気温、気圧、湿度、雲面積比率、降水量、風向き、風速などを含む。エンコーダー42-3は、すべての太陽光発電設備に共通のものである(つまり、複数の太陽光発電設備に共通となるように機械学習されている)。
【0059】
エンコーダー42-4は、LSTM層を含むニューラルネットワークを備え、そのニューラルネットワークで、将来の複数時点での雲面積比率予報値を示す雲面積比率予報データおよび時間データを特徴ベクトルに変換する。なお、時間データは、上述の複数時点の時間(1日の中での時刻など)の値である。エンコーダー42-4は、すべての太陽光発電設備に共通のものである(つまり、複数の太陽光発電設備に共通となるように機械学習されている)。
【0060】
データ連結部43は、日射量予測部41により得られた日射量予測値、およびエンコーダー42-1~42-4により生成される特徴ベクトルを連結し、1つの特徴ベクトルとする。
【0061】
発電量予測部44は、ニューラルネットワークを備え、そのニューラルネットワークで、データ連結部43により得られた特徴ベクトルから将来の複数時点での発電量予測値を導出する。なお、発電量予測値は、当該太陽光発電設備の発電量の予測値であり、電力の値でもよいし、電力量の値でもよい。ここで、将来の複数時点は、現時点から例えば3時間後、6時間後、24時間後などといった期間における、例えば5分間隔、15分間隔、30分間隔などといった所定時間間隔で到来する時点である。
【0062】
機械学習処理部26は、太陽光発電量予測部25における学習器(ここでは、ニューラルネットワーク)の機械学習を既存の学習方法(誤差逆伝播法など)で行う。具体的には、機械学習処理部26は、その学習器の入力データと出力データとの対を複数セット含む学習データを使用して、その学習器のパラメータ(ここでは、ニューラルネットワークの重みおよびバイアス)を更新していく。
【0063】
なお、機械学習処理部26は、日射量予測部41を、発電設備ごとに個別的に事前に機械学習される。ここで、各発電設備には日射量計が設置されており、この日射量計によって各発電設備の日射量の実測データが得られ、この機械学習の学習データに使用される。
【0064】
機械学習処理部26は、過去予報推定部22により生成された過去の気象予報履歴データを入力データ(上述の気象予報データ)として使用して太陽光発電量予測部25における学習器の機械学習を行う。
【0065】
次に、上記太陽光発電量予測システムの動作について説明する。
【0066】
(a)太陽光発電量の予測
【0067】
入力データ取得部24は、上述のように、空画像履歴データ、発電条件履歴データ、人工衛星予報データ、気象予報データ、および雲面積比率予報データを入力データとして取得し、太陽光発電量予測部25は、その入力データから、将来の複数の時点における太陽光発電量予測値を導出する。
【0068】
(b)太陽光発電量予測部25の機械学習
【0069】
(b1)学習データの生成
【0070】
まず、過去実データ取得部21が、過去の複数時点についての気象実履歴データ、雲面積比率履歴データ、時間履歴データ、および太陽位置履歴データを取得する。例えば、過去実データ取得部21は、過去の複数時点の気象実履歴データおよび雲面積比率履歴データを外部サーバーから取得し、また、その複数時点についての時間履歴データおよび太陽位置履歴データを生成する。
【0071】
次に、過去予報推定部22は、取得した気象実履歴データ、雲面積比率履歴データ、時間履歴データ、および太陽位置履歴データから、過去の複数時点について、気象実履歴データに対応する気象予報履歴データを導出する。
【0072】
なお、雲面積比率予報データおよび人工衛星予報データも、気象予報データ(つまり、上述の気象予報履歴データ)と同様にして、過去予報推定部22で生成してもよい。
【0073】
(b2)機械学習
【0074】
日射量予測部41は、複数の太陽光発電設備について共通して使用される。機械学習処理部26は、まず、日射量予測部41の機械学習を行う。その際、各太陽光発電設備での空画像履歴データと日射量実測値との対が学習データとされ、複数の太陽光発電設備についての学習データがまとめられ、日射量予測部41の機械学習に使用される。
【0075】
次に、過去の複数時点についての、空画像履歴データ、気象予報データ(つまり、上述の気象予報履歴データ)、雲面積比率予報データ、人工衛星予報データ、および発電条件履歴データと、その過去の複数時点からそれぞれみた将来の複数時点での実際の発電量との対が学習データとされ、機械学習処理部26は、その学習データを使用して、太陽光発電量予測部25の機械学習を行う。その際、日射量予測部41のエンコーダー51,52については更新されず、日射量予測部41の機械学習の結果のままとされる。
【0076】
上述のように、複数の太陽光発電設備についてそれぞれ得られる実測データなどに基づいて、学習データが生成され、その複数の太陽光発電設備に共通な過去予報推定部22および太陽光発電量予測部25が、その学習データに基づいて機械学習される。
【0077】
以上のように、上記実施の形態によれば、過去予報推定部22では、過去の気象実履歴データを入力データとする学習器で過去の気象予報履歴データが推定されて生成される。ここで、過去の気象実履歴データは、過去の複数時点での気象実履歴データであって、過去の気象予報履歴データは、過去の複数時点での気象予報履歴データである。そして、機械学習処理部26では、過去予報推定部22で生成された過去の気象予報履歴データを使用して、太陽光発電量予測部25における学習器の機械学習が行われる。
【0078】
これにより、気象予報データを入力データとしている学習器を使用して太陽光発電量を予測する際に、適切な過去の気象予報データ(つまり、気象予報履歴データ)が短時間で推定可能となるため、比較的短時間で適切な機械学習を行い正確な太陽光発電量の予測を開始することができる
【0079】
さらに、過去のどの時点での予報値でも推定でき、また、過去予報推定部22によって、そもそも気象予報が局所的にされていない地点(発電設備)での気象予報も推定できるため、いずれの地点(発電設備)についても十分に多くの学習データが得られ、適切な機械学習が行われる。
【0080】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0081】
例えば、上記実施の形態における過去実データ取得部21、過去予報推定部22、および機械学習処理部23を備える装置を過去予報推定装置としてもよい。その場合、その過去予報推定装置は、入力データ取得部24、太陽光発電量予測部25、および機械学習処理部26を備えていなくてもよい。また、その過去予報推定装置(および、その過去予報推定装置において実行される過去予報推定方法)で得られた過去の気象予報データは、太陽光発電量の予測以外の用途にも使用可能である。
【0082】
また、上記実施の形態において、プログラム11,12は、それぞれ、可搬性のあるコンピューター読取可能な記録媒体に記録され、その記録媒体から当該装置にインストールされるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、例えば、太陽光発電量の予測に適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
11 過去予報推定プログラム
12 太陽光発電量予測プログラム
22 過去予報推定部
23 機械学習処理部(第2機械学習処理部の一例)
25 太陽光発電量予測部
26 機械学習処理部(第1機械学習処理部の一例)
図1
図2
図3
図4