(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151056
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】リレー異常判定装置およびリレー異常判定システム
(51)【国際特許分類】
H01H 47/00 20060101AFI20231005BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20231005BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231005BHJP
B60L 1/00 20060101ALN20231005BHJP
B60L 3/00 20190101ALN20231005BHJP
【FI】
H01H47/00 C
H01H47/00 E
H01H9/54 C
B60R16/02 645D
B60L1/00 L
B60L3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060457
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 晃
(72)【発明者】
【氏名】杉本 恵一
【テーマコード(参考)】
5G034
5H125
【Fターム(参考)】
5G034AC03
5H125AA01
5H125AC12
5H125CD04
5H125DD10
5H125EE22
5H125EE23
(57)【要約】
【課題】複数のリレーをオンオフさせる駆動部と直列に接続されているとともに互いに並列に接続された複数のリレーの異常を判定するリレー異常判定装置およびリレー異常判定システムを提供する。
【解決手段】第1リレー31および第2リレー32は、互いに並列接続されているとともに駆動部40と直列に接続されており、リレー異常判定システム1のリレー異常判定装置60は、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときの第1リレー31および第2リレー32を介して駆動部40に流れる電流からの低下に基づいて、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列接続されているとともにオンされると対象物(10)に電圧を印加する複数のリレー(31、32)と直列接続されており前記リレーをオンオフさせる駆動部(40)に前記リレーを介して流れる電流(Ic)に関する値を取得する取得部(601)と、
前記リレーが正常であるときの前記リレーを介して前記駆動部に流れる電流からの低下に基づいて、前記リレーの異常を判定する判定部(602)と、
を備えるリレー異常判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記リレーを介して前記駆動部に流れる電流が、前記リレーが正常であるときの前記リレーを介して前記駆動部に流れる電流から低下して電流閾値(Ic_th)以下となるとき、前記リレーが異常であると判定する請求項1に記載のリレー異常判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記リレーが正常であるときの前記リレーを介して前記駆動部に流れる電流からの低下値の絶対値が変化閾値以上であるとき、前記リレーが異常であると判定する請求項1または2に記載のリレー異常判定装置。
【請求項4】
前記リレーは、前記駆動部と接続されているコイル(311、321)と、前記コイルに流れる電流による電磁力にてオンオフするスイッチ(312、322)と、を有し、
前記コイルの電気抵抗は、互いに異なっている請求項1ないし3のいずれか1つに記載のリレー異常判定装置。
【請求項5】
互いに並列接続されているとともにオンされると対象物(10)に電圧を印加する複数のリレー(31、32)から前記対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値を取得する取得部(601)と、
前記リレーと直列接続されているとともに前記リレーをオンオフさせる駆動部(40)により前記リレーがオンされるときから前記対象電圧が電圧閾値(Vsys_th)以上となるまでの時間である起動時間(ΔTc)が、前記リレーが正常であるときの前記起動時間よりも長い時間閾値(ΔTc_th)以上であるとき、前記リレーが異常であると判定する判定部(602)と、
を備えるリレー異常判定装置。
【請求項6】
前記リレーは、前記駆動部と接続されているコイル(311、321)と、前記コイルに流れる電流による電磁力にてオンオフするスイッチ(312、322)と、を有し、
前記コイルのインダクタンスは、互いに異なっている請求項5に記載のリレー異常判定装置。
【請求項7】
互いに並列接続されているとともにオンされると対象物(10)に電圧を印加する複数のリレー(31、32)と、
前記リレーと直列に接続されているとともに前記リレーをオンオフさせる駆動部(40)と、
前記リレーを介して前記駆動部に流れる電流(Ic)に関する値を取得する取得部(601)と、前記リレーが正常であるときの前記リレーを介して前記駆動部に流れる電流からの低下に基づいて、前記リレーの異常を判定する判定部(602)と、を有するリレー異常判定装置(60)と、
を備えるリレー異常判定システム。
【請求項8】
互いに並列接続されているとともにオンされると対象物(10)に電圧を印加する複数のリレー(31、32)と、
前記リレーと直列に接続されているとともに前記リレーをオンオフさせる駆動部(40)と、
前記リレーから前記対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値を取得する取得部(601)と、前記駆動部により前記リレーがオンされるときから前記対象電圧が電圧閾値(Vsys_th)以上となるまでの時間である起動時間(ΔTc)が時間閾値(ΔTc_th)以上であるとき、前記リレーが異常であると判定する判定部(602)と、を有するリレー異常判定装置(60)と、
を備えるリレー異常判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リレー異常判定装置およびリレー異常判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、複数の駆動部と、判定部とを備える電源制御装置が知られている。複数の駆動部は、複数のリレーのそれぞれと接続されているとともにリレーをオンオフさせる。判定部は、リレーのコイルに流れる電流の検出結果に基づいてリレーの動作異常を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等の検討によれば、リレーの冗長性が求められるところ、複数のリレーを並列にすることが考えられる。また、部品点数削減によるコスト削減のため、複数のリレーのそれぞれと接続されている複数の駆動部に代えて、互いに並列に接続された複数のリレーと直列に接続されている駆動部を備えることで、駆動部の数を減らすことが考えられる。この場合、特許文献1の電源制御装置は、複数の駆動部が複数のリレーのそれぞれと接続されている構成であることから上記構成と異なる。このため、特許文献1の電源制御装置では、駆動部と直列に接続されているとともに互いに並列に接続された複数のリレーの異常判定ができるとはいえない。
【0005】
本開示は、複数のリレーをオンオフさせる駆動部と直列に接続されているとともに互いに並列に接続された複数のリレーの異常を判定するリレー異常判定装置およびリレー異常判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、互いに並列接続されているとともにオンされると対象物(10)に電圧を印加する複数のリレー(31、32)と直列接続されておりリレーをオンオフさせる駆動部(40)にリレーを介して流れる電流(Ic)に関する値を取得する取得部(601)と、リレーが正常であるときのリレーを介して駆動部に流れる電流からの低下に基づいて、リレーの異常を判定する判定部(602)と、を備えるリレー異常判定装置である。
【0007】
また、請求項5に記載の発明は、互いに並列接続されているとともにオンされると対象物(10)に電圧を印加する複数のリレー(31、32)から対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値を取得する取得部(601)と、リレーと直列接続されているとともにリレーをオンオフさせる駆動部(40)によりリレーがオンされるときから対象電圧が電圧閾値(Vsys_th)以上となるまでの時間である起動時間(ΔTc)が、リレーが正常であるときの起動時間よりも長い時間閾値(ΔTc_th)以上であるとき、リレーが異常であると判定する判定部(602)と、を備えるリレー異常判定装置である。
【0008】
さらに、請求項7に記載の発明は、互いに並列接続されているとともにオンされると対象物(10)に電圧を印加する複数のリレー(31、32)と、リレーと直列に接続されているとともにリレーをオンオフさせる駆動部(40)と、リレーを介して駆動部に流れる電流(Ic)に関する値を取得する取得部(601)と、リレーが正常であるときのリレーを介して駆動部に流れる電流からの低下に基づいて、リレーの異常を判定する判定部(602)と、を有するリレー異常判定装置(60)と、を備えるリレー異常判定システムである。
【0009】
また、請求項8に記載の発明は、互いに並列接続されているとともにオンされると対象物(10)に電圧を印加する複数のリレー(31、32)と、リレーと直列に接続されているとともにリレーをオンオフさせる駆動部(40)と、リレーから対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値を取得する取得部(601)と、駆動部によりリレーがオンされるときから対象電圧が電圧閾値(Vsys_th)以上となるまでの時間である起動時間(ΔTc)が時間閾値(ΔTc_th)以上であるとき、リレーが異常であると判定する判定部(602)と、を有するリレー異常判定装置(60)と、を備えるリレー異常判定システムである。
【0010】
これにより、複数のリレーをオンオフさせる駆動部と直列に接続されているとともに互いに並列に接続された複数のリレーの異常が判定される。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態のリレー異常判定装置が用いられる車両システムの構成図。
【
図3】リレー異常判定装置の処理を説明するためのタイムチャート。
【
図4】リレー異常判定装置の処理を説明するためのタイムチャート。
【
図5】第2実施形態のリレー異常判定装置の処理を説明するためのタイムチャート。
【
図6】リレー異常判定装置の処理を説明するためのタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態のリレー異常判定装置60は、例えば、車両システム1に用いられる。まず、車両システム1について説明する。
【0015】
車両システム1は、
図1に示すように、電源5、対象システム10およびリレー異常判定システム20を備える。対象システム10は、対象物に対応しており、電源5からの電力供給が停止されると車両の走行に影響を及ぼすシステム等であって、例えば、車両の自動運転システムである。
【0016】
リレー異常判定システム20は、ヒューズ25、第1リレー31、第2リレー32、駆動部40、グランド45およびリレー異常判定装置60を備える。
【0017】
ヒューズ25の一端は、電源5に接続されている。また、ヒューズ25の他端は、後述の第1リレー31および第2リレー32に接続されている。そして、ヒューズ25は、電源5から後述の第1リレー31および第2リレー32を介して対象システム10および後述の駆動部40等に過電流が流れることを抑制する。
【0018】
第1リレー31は、第1コイル311および第1スイッチ312を有する。第1コイル311の一端は、ヒューズ25の他端に接続されている。第1スイッチ312は、第1コイル311に流れる電流による電磁力にて、オンオフする。また、第1スイッチ312の一端は、ヒューズ25の他端に接続されている。さらに、第1スイッチ312の他端は、対象システム10に接続されている。
【0019】
第2リレー32は、第2コイル321および第2スイッチ322を有する。第1コイル311および第2コイル321は、電気抵抗およびインダクタンスを有し、第2コイル321の電気抵抗は、第1コイル311の電気抵抗と同じになっている。また、第2コイル321のインダクタンスは、第1コイル311のインダクタンスと同じになっている。さらに、第2コイル321は、第1コイル311と並列接続されている。第2スイッチ322は、第1スイッチ312と並列に接続されている。したがって、第2リレー32は、第1リレー31と並列に接続されている。また、第2スイッチ322は、第2コイル321に流れる電流による電磁力にて、オンオフする。さらに、第2スイッチ322の他端は、対象システム10に接続されている。なお、ここでは、「同じ」は、製造誤差範囲を含む。
【0020】
駆動部40は、例えば、NチャネルMOSFETである。駆動部40のドレインは、後述の電流検出部50を介して、第1コイル311の他端および第2コイル321の他端に接続されている。したがって、駆動部40は、第1リレー31および第2リレー32と直列に接続されている。駆動部40のソースは、グランド45に接続されている。駆動部40のゲートは、後述のリレー異常判定装置60に接続されている。
【0021】
リレー異常判定装置60は、例えば、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路、A/Dコンバータおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。さらに、リレー異常判定装置60は、
図2に示すように、電流検出部50、電圧検出部55、制御部600、取得部601および判定部602を機能ブロックとして備えている。
【0022】
電流検出部50は、例えば、シャント抵抗であって、電源5からヒューズ25と、第1コイル311および第2コイル321とを介して駆動部40に流れる電流を検出する。さらに、電流検出部50は、この検出した電流に応じた信号をリレー異常判定装置60の取得部601に出力する。なお、電流検出部50は、シャント抵抗であるところ、これに限定されないで、例えば、駆動部40に対応するカレントミラー回路等であってもよい。
【0023】
電圧検出部55は、例えば、コンパレータ回路であって、電源5からヒューズ25と、第1スイッチ312および第2スイッチ322とを介して対象システム10に印加される電圧を検出する。また、電圧検出部55は、この検出した電圧に応じた信号をリレー異常判定装置60の取得部601に出力する。なお、電圧検出部55は、コンパレータ回路であるところ、これに限定されないで、例えば、A/Dコンバータ等であってもよい。
【0024】
制御部600は、例えば、車両のイグニッションのオンオフに応じて、ROMに記憶されているプログラムを実行する。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgを制御することで駆動部40のオンオフを制御する。これにより、制御部600は、第1コイル311および第2コイル321に流れる電流を制御することで、第1スイッチ312および第2スイッチ322のオンオフを制御する。
【0025】
取得部601は、例えば、車両のイグニッションがオンされるとき、ROMに記憶されているプログラムを実行する。これにより、取得部601は、電源5からヒューズ25と、第1コイル311および第2コイル321とを介して駆動部40に流れる電流を電流検出部50から取得する。また、取得部601は、電源5からヒューズ25と、第1スイッチ312および第2スイッチ322とを介して対象システム10に印加される電圧を電圧検出部55から取得する。
【0026】
判定部602は、車両のイグニッションがオンされるとき、ROMに記憶されているプログラムを実行する。このとき、判定部602は、取得部601によって取得された電流検出部50および電圧検出部55からの信号に基づいて、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。
【0027】
以上のように、車両システム1は、構成されている。この車両システム1に用いられるリレー異常判定装置60は、駆動部40と直列に接続されているとともに互いに並列に接続された第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。次に、リレー異常判定装置60による第1リレー31および第2リレー32の異常判定について
図3および
図4のタイムチャートを参照して説明する。
【0028】
ここで、この異常判定を説明するため、以下の用語を定義する。
図1に示すように、電源5からヒューズ25と、第1コイル311および第2コイル321とを介して駆動部40に流れる電流をコイル電流Icとする。電源5からヒューズ25と、第1スイッチ312および第2スイッチ322とを介して対象システム10に印加される電圧を対象電圧Vsysとする。
【0029】
そして、
図3に示すように、時刻t0から時刻t1までの期間において、例えば、車両のイグニッションがオンされているとする。このとき、リレー異常判定装置60の制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをハイレベルにしている。これにより、駆動部40がオンされている。このため、電源5から、ヒューズ25と第1コイル311および第2コイル321と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れている。第1コイル311および第2コイル321に電流が流れているため、第1スイッチ312および第2スイッチ322がオンされている。よって、電源5からの電圧がヒューズ25と第1スイッチ312および第2スイッチ322とを介して対象システム10に印加されている。
【0030】
また、リレー異常判定装置60の取得部601は、コイル電流Icを電流検出部50から取得する。第1コイル311および第2コイル321が正常であるため、コイル電流Icが一定値Ic_Cとなっている。さらに、取得部601は、対象電圧Vsysを電圧検出部55から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th以上であるため、リレー異常判定装置60の判定部602は、正常に、電源5からの電圧が対象システム10に印加されていると判定する。なお、電圧閾値Vsys_thは、電源5からの電圧が対象システム10に印加されていると判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。
【0031】
時刻t1から時刻t2までの期間において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをハイレベルにしている。これにより、駆動部40がオンされている。ここで、時刻t1に第1コイル311が断線したとする。このため、電源5から、ヒューズ25と第2コイル321と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れている。第2コイル321に電流が流れているため、第2スイッチ322がオンされている。よって、電源5からの電圧がヒューズ25および第2スイッチ322を介して対象システム10に印加されている。したがって、第1リレー31が故障したとしても、対象システム10への電圧印加が継続される。
【0032】
また、取得部601は、コイル電流Icを電流検出部50から取得する。第2コイル321が正常であるところ、第1コイル311が断線しているため、コイル電流Icが一定値Ic_Cから低下する。しかし、コイル電流Icが電流閾値Ic_thよりも大きいため、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321が正常であると判定することで第1リレー31および第2リレー32が正常であると判定する。さらに、取得部601は、対象電圧Vsysを電圧検出部55から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th以上であるため、判定部602は、正常に、電源5からの電圧が対象システム10に印加されていると判定する。
【0033】
時刻t2以降において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをハイレベルにしている。これにより、駆動部40がオンされている。第1コイル311が断線しているため、電源5から、ヒューズ25と第2コイル321と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れている。第2コイル321に電流が流れているため、第2スイッチ322がオンされている。よって、電源5からの電圧がヒューズ25および第2スイッチ322を介して対象システム10に印加されている。したがって、第1リレー31が故障したとしても、対象システム10への電圧印加が継続される。
【0034】
また、取得部601は、コイル電流Icを電流検出部50から取得する。第2コイル321が正常であるところ、第1コイル311が断線しているため、コイル電流Icが一定値Ic_Cから低下して第2コイル電流Ic2になる。このとき、コイル電流Icが電流閾値Ic_th以下となるため、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321が異常であると判定することで第1リレー31および第2リレー32が異常であると判定する。さらに、取得部601は、対象電圧Vsysを電圧検出部55から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th以上であるため、判定部602は、正常に、電源5からの電圧が対象システム10に印加されていると判定する。なお、第2コイル電流Ic2は、第2コイル321に流れる電流である。また、電流閾値Ic_thは、第1コイル311および第2コイル321が断線したことが判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。
【0035】
ここで、第1コイル311および第2コイル321の温度によって、第1コイル311および第2コイル321に流れる電流が変化するため、コイル電流Icが変化する。したがって、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321の温度に基づいて、電流閾値Ic_thを変更してもよい。例えば、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321の温度が高くなることに伴って、第1コイル311および第2コイル321に流れる電流が低下することから、電流閾値Ic_thを小さくさせる。
【0036】
このように、リレー異常判定装置60は、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。また、上記の場合は、第1コイル311が断線した場合であるところ、第2コイル321が断線した場合であっても、リレー異常判定装置60は、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。さらに、上記の場合は、車両のイグニッションがオンされている場合であるが、次に、例えば、車両のイグニッションがオフからオンされるときにおけるリレー異常判定装置60による第1リレー31および第2リレー32の異常判定について説明する。
【0037】
図4に示すように、時刻t10において、第1リレー31および第2リレー32が正常であって、車両のイグニッションがオフからオンされる。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをローレベルからハイレベルにする。これにより、駆動部40がオフからオンされる。このため、電源5から、ヒューズ25と第1コイル311および第2コイル321と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れる。第1コイル311および第2コイル321に電流が流れるため、第1スイッチ312および第2スイッチ322がオンされる。よって、電源5からの電圧がヒューズ25と第1スイッチ312および第2スイッチ322とを介して対象システム10に印加される。
【0038】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを電圧検出部55から取得する。対象電圧Vsysは、上昇することで、時刻t10より後に電圧閾値Vsys_thとなる。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th以上となるとき、判定部602は、正常に、電源5からの電圧が対象システム10に印加されていると判定する。
【0039】
ここで、判定部602は、起動時間ΔTcを算出する。この算出された起動時間ΔTcは、第1リレー31および第2リレー32が正常であるとき、時間閾値ΔTc_th未満となる。なお、起動時間ΔTcは、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをハイレベルにしてから対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th以上となるまでの時間である。
【0040】
また、ここで、時刻t10において、第1コイル311が断線しているとする。そして、車両のイグニッションがオフからオンされる。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをローレベルからハイレベルにする。これにより、駆動部40がオフからオンされる。第1コイル311が断線しているため、電源5から、ヒューズ25と第2コイル321と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れる。第2コイル321に電流が流れるため、第2スイッチ322がオンされる。よって、電源5からの電圧がヒューズ25および第2スイッチ322を介して対象システム10に印加される。したがって、第1リレー31が故障したとしても、対象システム10に電圧が印加される。
【0041】
このとき、第1スイッチ312から対象システム10に印加されないため、起動時間ΔTcは、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときと比較して遅くなる。このため、第1コイル311が断線しているときの起動時間ΔTcは、時間閾値ΔTc_th以上となる。このため、このとき、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321が異常であると判定することで第1リレー31および第2リレー32が異常であると判定する。なお、時間閾値ΔTc_thは、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときの起動時間ΔTcよりも長い時間であって、第1リレー31および第2リレー32の正常および異常が判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。
【0042】
以上のように、リレー異常判定装置60は、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。また、上記の場合は、第1コイル311が断線した場合であるところ、第2コイル321が断線した場合であっても、リレー異常判定装置60は、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。次に、駆動部40と直列に接続されているとともに互いに並列に接続された第1リレー31および第2リレー32の異常が判定されることについて説明する。
【0043】
ここで、上記したように、第1コイル311および第2コイル321のどちらかが断線すると、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときのコイル電流Icが低下する。したがって、判定部602は、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときのコイル電流Icからの低下に基づいて、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。例えば、
図3の時刻t2以降のときのように、コイル電流Icが、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときのコイル電流Icから電流閾値Ic_th以下になるとする。このとき、判定部602は、第1リレー31および第2リレー32が異常であると判定する。これにより、駆動部40と直列に接続されているとともに互いに並列に接続された第1リレー31および第2リレー32の異常が判定される。また、対象システム10への電圧印加、すなわち、対象システム10への電力供給が継続されるところ、第1リレー31および第2リレー32の異常が判定されることから、冗長対応できていない状態が継続されることを抑制することができる。なお、コイル電流Icは、上記したように、第1リレー31および第2リレー32を介して駆動部40に流れる電流に対応する。
【0044】
また、第1実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0045】
ここで、上記したように、第1コイル311および第2コイル321のどちらかが断線しているときの起動時間ΔTcは、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときの起動時間ΔTcよりも長くなる。したがって、判定部602は、
図4に示すように、起動時間ΔTcが時間閾値ΔTc_th以上であるとき、第1リレー31および第2リレー32が異常であると判定する。このため、駆動部40と直列に接続されているとともに互いに並列に接続された第1リレー31および第2リレー32の異常が判定される。なお、時間閾値ΔTc_thは、上記したように、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときの起動時間ΔTcよりも長くなっている。
【0046】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1コイル311の電気抵抗は、第2コイル321の電気抵抗と異なっており、第2コイル321の電気抵抗よりも大きくなっている。また、第1コイル311のインダクタンスは、第2コイル321のインダクタンスと異なっており、第2コイル321のインダクタンスよりも大きくなっている。さらに、リレー異常判定装置60の処理が第1実施形態と異なる。これら以外は、第1実施形態と同様である。
【0047】
リレー異常判定装置60による第1リレー31および第2リレー32の異常判定について
図5および
図6のタイムチャートを参照して説明する。
【0048】
図5に示すように、時刻t20から時刻t21までの期間において、例えば、車両のイグニッションがオンされている。このとき、リレー異常判定装置60は、時刻t0から時刻t1までの期間と同様の処理を行う。このため、時刻t20から時刻t21までの期間におけるリレー異常判定装置60の処理の詳細な説明は、省略する。
【0049】
時刻t21から時刻t22までの期間において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをハイレベルにしている。これにより、駆動部40がオンされている。ここで、時刻t21に第1コイル311が断線したとする。このため、電源5から、ヒューズ25と第2コイル321と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れている。第2コイル321に電流が流れているため、第2スイッチ322がオンされている。よって、電源5からの電圧がヒューズ25および第2スイッチ322を介して対象システム10に印加されている。したがって、第1リレー31が故障したとしても、対象システム10への電圧印加が継続される。
【0050】
また、取得部601は、コイル電流Icを電流検出部50から取得する。第2コイル321が正常であるところ、第1コイル311が断線しているため、コイル電流Icが一定値Ic_Cから低下する。しかし、コイル電流Icが第1閾値Ic_th1よりも大きいため、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321が正常であると判定し、第1リレー31および第2リレー32が正常であると判定する。さらに、取得部601は、対象電圧Vsysを電圧検出部55から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th以上であるため、判定部602は、正常に、電源5からの電圧が対象システム10に印加されていると判定する。
【0051】
時刻t22以降において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをハイレベルにしている。これにより、駆動部40がオンされている。第1コイル311が断線しているため、電源5から、ヒューズ25と第2コイル321と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れている。第2コイル321に電流が流れているため、第2スイッチ322がオンされている。よって、電源5からの電圧がヒューズ25および第2スイッチ322を介して対象システム10に印加されている。したがって、第1リレー31が故障したとしても、対象システム10への電圧印加が継続される。
【0052】
また、取得部601は、コイル電流Icを電流検出部50から取得する。第2コイル321が正常であるところ、第1コイル311が断線しているため、コイル電流Icが一定値Ic_Cから低下して、第1閾値Ic_th1以下、第2閾値Ic_th2よりも大きくなり、第2コイル電流Ic2になる。このとき、判定部602は、第1電流時間ΔTi1を算出する。なお、第1電流時間ΔTi1は、コイル電流Icが一定値Ic_Cから低下して第1閾値Ic_th1以下、かつ、第2閾値Ic_th2よりも大きいときの時間である。また、第1閾値Ic_th1および第2閾値Ic_th2は、後述するように、第1コイル311が断線したことが判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。さらに、第2閾値Ic_th2は、第1閾値Ic_th1よりも小さい値となっている。
【0053】
そして、判定部602は、この算出した第1電流時間ΔTi1が第1電流時間閾値ΔTi1_th以上であるとき、第1コイル311が異常であると判定することで第1リレー31が異常であると判定する。なお、第1電流時間閾値ΔTi1_thは、第1コイル311が断線したことが判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。さらに、第1電流時間閾値ΔTi1_thは、後述するように、第2コイル321が断線している場合の第1電流時間ΔTi1よりも長い時間となっている。また、ここでは、第1電流時間ΔTi1および第1電流時間閾値ΔTi1_thを用いて第1コイル311が異常であると判定されている。これに限定されないで、第1コイル311の異常によりコイル電流Icが低下し始めてから所定時間経過後におけるコイル電流Icの変化量、例えば、一定値Ic_Cと第2コイル電流Ic2との差に基づいて、第1コイル311が異常であると判定されてもよい。
【0054】
ここで、時刻t21から時刻t21aまでの期間において、第1コイル311の断線に代えて、第2コイル321が断線しているとする。また、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをハイレベルにしている。これにより、駆動部40がオンされている。第2コイル321が断線しているため、電源5から、ヒューズ25と第1コイル311と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れている。第1コイル311に電流が流れているため、第1スイッチ312がオンされている。よって、電源5からの電圧がヒューズ25および第1スイッチ312を介して対象システム10に印加されている。したがって、第2リレー32が故障したとしても、対象システム10への電圧印加が継続される。
【0055】
また、取得部601は、コイル電流Icを電流検出部50から取得する。第1コイル311が正常であるところ、第2コイル321が断線しているため、コイル電流Icが一定値Ic_Cから低下する。しかし、コイル電流Icが第1閾値Ic_th1よりも大きいため、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321が正常であると判定し、第1リレー31および第2リレー32が正常であると判定する。さらに、取得部601は、対象電圧Vsysを電圧検出部55から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th以上であるため、判定部602は、正常に、電源5からの電圧が対象システム10に印加されていると判定する。
【0056】
時刻t21aから時刻t22aまでの期間において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをハイレベルにしている。これにより、駆動部40がオンされている。第2コイル321が断線しているため、電源5から、ヒューズ25と第1コイル311と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れている。第1コイル311に電流が流れているため、第1スイッチ312がオンされている。よって、電源5からの電圧がヒューズ25および第1スイッチ312を介して対象システム10に印加されている。したがって、第2リレー32が故障したとしても、対象システム10への電圧印加が継続される。
【0057】
また、取得部601は、コイル電流Icを電流検出部50から取得する。第1コイル311が正常であるところ、第2コイル321が断線しているため、コイル電流Icが一定値Ic_Cから低下して、第1閾値Ic_th1以下、第2閾値Ic_th2よりも大きくなる。このとき、判定部602は、第1電流時間ΔTi1を算出する。しかし、第1コイル311の電気抵抗が第2コイル321の電気抵抗よりも大きいため、コイル電流Icの低下値は、第1コイル311が断線した場合と比較して、大きい。このため、第1電流時間ΔTi1が第1電流時間閾値ΔTi1_th未満となることから、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321が正常であると判定することで第1リレー31および第2リレー32が正常であると判定する。さらに、取得部601は、対象電圧Vsysを電圧検出部55から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th以上であるため、判定部602は、正常に、電源5からの電圧が対象システム10に印加されていると判定する。
【0058】
時刻t22a以降において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをハイレベルにしている。これにより、駆動部40がオンされている。第2コイル321が断線しているため、電源5から、ヒューズ25と第1コイル311と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れている。第1コイル311に電流が流れているため、第1スイッチ312がオンされている。よって、電源5からの電圧がヒューズ25および第1スイッチ312を介して対象システム10に印加されている。したがって、第2リレー32が故障したとしても、対象システム10への電圧印加が継続される。
【0059】
また、取得部601は、コイル電流Icを電流検出部50から取得する。第1コイル311が正常であるところ、第2コイル321が断線しているため、コイル電流Icが一定値Ic_Cから低下して、第2閾値Ic_th2以下となり、第1コイル電流Ic1になる。第1コイル電流Ic1は、第1コイル311に流れる電流であるところ、ここでは、第1コイル311および第2コイル321が並列接続されているとともに第1コイル311の電気抵抗が第2コイル321の電気抵抗よりも大きくなっている。このため、第1コイル電流Ic1は、第2コイル電流Ic2よりも小さくなっている。
【0060】
したがって、このとき、判定部602は、第2電流時間ΔTi2を算出する。また、判定部602は、この算出した第2電流時間ΔTi2が第2電流時間閾値ΔTi2_th以上であるとき、第2コイル321が異常であると判定することで第2リレー32が異常であると判定する。なお、第2電流時間ΔTi2は、コイル電流Icが一定値Ic_Cから低下して第2閾値Ic_th2以下であるときの時間である。また、第2電流時間閾値ΔTi2_thは、第2コイル321が断線したことが判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、ここでは、第2電流時間ΔTi2および第2電流時間閾値ΔTi2_thを用いて第2コイル321が異常であると判定されている。これに限定されないで、第2コイル321の異常によりコイル電流Icが低下し始めてから所定時間経過後におけるコイル電流Icの変化量、例えば、一定値Ic_Cと第1コイル電流Ic1との差に基づいて、第2コイル321が異常であると判定されてもよい。
【0061】
ここで、第1コイル311および第2コイル321の温度によって、第1コイル311および第2コイル321に流れる電流が変化するため、コイル電流Icが変化する。したがって、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321の温度に基づいて、第1閾値Ic_th1および第2閾値Ic_th2を変更してもよい。例えば、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321の温度が高くなることに伴って、第1コイル311および第2コイル321に流れる電流が低下することから、第1閾値Ic_th1および第2閾値Ic_th2を小さくさせる。
【0062】
このように、リレー異常判定装置60は、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。また、上記の場合は、車両のイグニッションがオンされている場合であるが、次に、車両のイグニッションがオフからオンされるときにおけるリレー異常判定装置60による第1リレー31および第2リレー32の異常判定について説明する。
【0063】
図6に示すように、時刻t10において、第2コイル321が断線しているとする。そして、車両のイグニッションがオフからオンされる。このとき、制御部600は、駆動部40のゲート電圧Vgの電圧レベルをローレベルからハイレベルにする。これにより、駆動部40がオフからオンされる。第2コイル321が断線しているため、電源5から、ヒューズ25と第1コイル311と電流検出部50と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れる。第1コイル311に電流が流れるため、第1スイッチ312がオンされる。よって、電源5からの電圧がヒューズ25および第1スイッチ312を介して対象システム10に印加される。したがって、第2リレー32が故障したとしても、対象システム10に電圧が印加される。
【0064】
ここで、第1コイル311のインダクタンスが第2コイル321のインダクタンスよりも大きいことから、第1コイル電流Ic1についての時定数は、第2コイル電流Ic2についての時定数よりも大きい。このため、第1コイル電流Ic1が過渡状態から定常状態になるまでの時間は、第2コイル電流Ic2が過渡状態から定常状態になるまでの時間よりも長くなる。したがって、第2コイル321が断線している場合のコイル電流Icが過渡状態から定常状態になるまでの時間は、第1コイル311が断線している場合よりも、長くなる。よって、第2コイル321が断線している場合の起動時間ΔTcは、第1コイル311が断線している場合の起動時間ΔTcよりも、長くなる。
【0065】
したがって、判定部602は、起動時間ΔTcが第1時間閾値ΔTc_th1以上、第2時間閾値ΔTc_th2未満であるとき、第1コイル311が異常であると判定することで第1リレー31が異常であると判定する。また、判定部602は、起動時間ΔTcが第2時間閾値ΔTc_th2以上であるとき、第2コイル321が異常であると判定することで第2リレー32が異常であると判定する。なお、第1時間閾値ΔTc_th1および第2時間閾値ΔTc_th2は、第1リレー31および第2リレー32の異常が判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。さらに、第1時間閾値ΔTc_th1は、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときの起動時間ΔTcよりも長い時間である。また、第2時間閾値ΔTc_th2は、第1時間閾値ΔTc_th1よりも長い時間となっている。
【0066】
以上のように、第2実施形態のリレー異常判定装置60は、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0067】
[2-1]第1コイル311の電気抵抗は、第2コイル321の電気抵抗と異なっている。これにより、第1コイル311が断線するときと第2コイル321が断線するときとで、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときのコイル電流Icからの低下値が異なる。この低下値の違いから、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321のどちらが断線したかを判定することができる。例えば、
図5に示すように、判定部602は、第1電流時間ΔTi1が第1電流時間閾値ΔTi1_th以上であるとき、第1コイル311が異常であると判定することで第1リレー31が異常であると判定する。また、判定部602は、第2電流時間ΔTi2が第2電流時間閾値ΔTi2_th以上であるとき、第2コイル321が異常であると判定することで第2リレー32が異常であると判定する。なお、判定部602は、第1コイル311の異常によりコイル電流Icが低下し始めてから所定時間経過後におけるコイル電流Icの変化量、例えば、一定値Ic_Cと第2コイル電流Ic2との差に基づいて、第1コイル311が異常であると判定してもよい。また、判定部602は、第2コイル321の異常によりコイル電流Icが低下し始めてから所定時間経過後におけるコイル電流Icの変化量、例えば、一定値Ic_Cと第1コイル電流Ic1との差に基づいて、第2コイル321が異常であると判定してもよい。
【0068】
[2-2]第1コイル311のインダクタンスは、第2コイル321のインダクタンスと異なっている。これにより、第1コイル311が断線するときと第2コイル321が断線するときとで、起動時間ΔTcが異なる。この起動時間ΔTcの違いから、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321のどちらが断線したかを判定することができる。例えば、
図6に示すように、判定部602は、起動時間ΔTcが第1時間閾値ΔTc_th1以上、第2時間閾値ΔTc_th2未満であるとき、第1コイル311が異常であると判定することで第1リレー31が異常であると判定する。また、判定部602は、起動時間ΔTcが第2時間閾値ΔTc_th2以上であるとき、第2コイル321が異常であると判定することで第2リレー32が異常であると判定する。
【0069】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0070】
本開示に記載の制御部、取得部、判定部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部、取得部、判定部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部、取得部、判定部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0071】
上記第1実施形態では、リレー異常判定装置60の判定部602は、コイル電流Icと、電流閾値Ic_thとに基づいて、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。上記第2実施形態では、判定部602は、コイル電流Icと、第1閾値Ic_th1と、第2閾値Ic_th2とに基づいて、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定する。これに対して、判定部602は、コイル電流Icと、電流閾値Ic_thと、第1閾値Ic_th1と、第2閾値Ic_th2とに基づいて、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定することに限定されない。
【0072】
例えば、判定部602は、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときのコイル電流Icからの低下値と、その低下値に関する閾値とに基づいて、第1リレー31および第2リレー32の異常を判定してもよい。例えば、判定部602は、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときのコイル電流Icからの低下値の絶対値が変化閾値以上であるとき、第1リレー31および第2リレー32が異常であると判定する。なお、変化閾値は、第1コイル311および第2コイル321が断線したことが判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、第1コイル311および第2コイル321の温度によって、第1コイル311および第2コイル321に流れる電流が変化するため、コイル電流Icが変化する。さらに、第1コイル311および第2コイル321のどちらかが断線しているときのコイル電流Icについての温度上昇による減少値は、第1コイル311および第2コイル321が正常であるときと比較して、小さい。このため、第1コイル311および第2コイル321の温度が高くなることに伴って、第1リレー31および第2リレー32が正常であるときのコイル電流Icからの低下値の絶対値が小さくなる。したがって、判定部602は、第1コイル311および第2コイル321の温度が高くなることに伴って、変化閾値を小さくさせてもよい。
【0073】
上記各実施形態では、リレーの数は、2つであるところ、2つであることに限定されないで、3つ以上であってもよい。
【0074】
上記各実施形態では、駆動部40は、NチャネルMOSFETであるところ、NチャネルMOSFETであることに限定されないで、例えば、PチャネルMOSFETやトランジスタ等の他の素子であってもよく、リレー等のスイッチであってもよい。
【0075】
上記各実施形態では、駆動部40の数が1つであるところ、これに限定されないで、駆動部40の数は、2つ以上であってもよい。
【0076】
上記各実施形態は、適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0077】
31 第1リレー
311 第1コイル
312 第1スイッチ
32 第2リレー
321 第2コイル
322 第2スイッチ
40 駆動部
60 リレー異常判定装置
600 制御部
601 取得部
602 判定部