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特開2023-151057リレー寿命予測装置およびリレー寿命予測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151057
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】リレー寿命予測装置およびリレー寿命予測システム
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/00 20060101AFI20231005BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20231005BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231005BHJP
   B60L 1/00 20060101ALN20231005BHJP
   B60L 3/00 20190101ALN20231005BHJP
【FI】
H01H47/00 E
H01H9/54 C
H01H47/00 C
B60R16/02 645D
B60L1/00 L
B60L3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060458
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390001812
【氏名又は名称】株式会社デンソーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 晃
(72)【発明者】
【氏名】杉本 恵一
(72)【発明者】
【氏名】小野 仁
【テーマコード(参考)】
5G034
5H125
【Fターム(参考)】
5G034AC03
5H125AA01
5H125AC12
5H125CD04
5H125DD10
5H125EE22
5H125EE23
(57)【要約】
【課題】リレーの寿命を予測するリレー寿命予測装置およびリレー寿命予測システムを提供する。
【解決手段】リレー寿命予測システムにおけるリレー寿命予測装置60の予測部602は、リレーのスイッチがオフからオンされる場合に対象システムに印加される電圧が上昇して電圧閾値となるときのコイルの電圧である作動電圧についてのリレーが正常であるときからの変化、または、リレーのスイッチがオンからオフされる場合に対象システムに印加される電圧が低下して電圧閾値となるときのコイルの電圧である復帰電圧についてのリレーが正常であるときからの変化に基づいて、リレーの寿命を予測する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル(305)と前記コイルに流れる電流による電磁力にてオンされると対象物(10)に電圧を印加するスイッチ(330)とを有するリレー(30)から前記対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値と、前記スイッチがオフからオンされる場合に前記対象電圧が上昇して電圧閾値(Vsys_th)となるときの前記コイルの電圧(Vc)である作動電圧(VS)に関する値と、を取得する取得部(601)と、
前記作動電圧についての前記リレーが正常であるときからの変化に基づいて、前記リレーの寿命を予測する予測部(602)と、
を備えるリレー寿命予測装置。
【請求項2】
前記予測部は、
前記作動電圧が第1作動閾値(VS_th_low)以上、前記第1作動閾値よりも大きい第2作動閾値(VS_th_upp)以下であるとき、前記リレーが正常であると判定し、
前記作動電圧が前記第1作動閾値未満であるとき、前記リレーの寿命による異常があると判定し、
前記作動電圧が前記第2作動閾値よりも大きいとき、前記リレーの寿命による異常があると判定する請求項1に記載のリレー寿命予測装置。
【請求項3】
前記予測部は、
前記リレーが正常であるときからの前記作動電圧の変化量が第1変化閾値以上、前記第1変化閾値よりも大きい第2変化閾値以下であるとき、前記リレーが正常であると判定し、
前記リレーが正常であるときからの前記作動電圧の変化量が前記第1変化閾値未満であるとき、前記リレーの寿命による異常があると判定し、
前記リレーが正常であるときからの前記作動電圧の変化量が前記第2変化閾値よりも大きいとき、前記リレーの寿命による異常があると判定する請求項1または2に記載のリレー寿命予測装置。
【請求項4】
コイル(305)と前記コイルに流れる電流による電磁力にてオンされると対象物(10)に電圧を印加するスイッチ(330)とを有するリレー(30)から前記対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値と、前記スイッチがオンからオフされる場合に前記対象電圧が低下して電圧閾値(Vsys_th)となるときの前記コイルの電圧(Vc)である復帰電圧(VR)に関する値と、を取得する取得部(601)と、
前記復帰電圧についての前記リレーが正常であるときからの変化に基づいて、前記リレーの寿命を予測する予測部(602)と、
を備えるリレー寿命予測装置。
【請求項5】
前記予測部は、
前記復帰電圧が第1復帰閾値(VR_th_low)以上、前記第1復帰閾値よりも大きい第2復帰閾値(VR_th_upp)以下であるとき、前記リレーが正常であると判定し、
前記復帰電圧が前記第1復帰閾値未満であるとき、前記リレーの寿命による異常があると判定し、
前記復帰電圧が前記第2復帰閾値よりも大きいとき、前記リレーの寿命による異常があると判定する請求項4に記載のリレー寿命予測装置。
【請求項6】
前記予測部は、
前記リレーが正常であるときからの前記復帰電圧の変化量が第1変化閾値以上、前記第1変化閾値よりも大きい第2変化閾値以下であるとき、前記リレーが正常であると判定し、
前記リレーが正常であるときからの前記復帰電圧の変化量が前記第1変化閾値未満であるとき、前記リレーの寿命による異常があると判定し、
前記リレーが正常であるときからの前記復帰電圧の変化量が前記第2変化閾値よりも大きいとき、前記リレーの寿命による異常があると判定する請求項4または5に記載のリレー寿命予測装置。
【請求項7】
前記スイッチは、固定されている固定部(338)と、前記コイルに流れる電流による電磁力にて移動して前記固定部と接触することで前記対象物に電圧を印加させる可動部(336)と、前記可動部が前記固定部から離れる方向の力を前記可動部に与える弾性部材(334)と、を含み、
前記予測部は、前記固定部、前記可動部および前記弾性部材の寿命を予測する請求項1ないし6のいずれか1つに記載のリレー寿命予測装置。
【請求項8】
前記対象電圧が前記電圧閾値となるときの前記コイルの電圧(Vc)の変化を前記対象電圧が前記電圧閾値ではないときよりも小さくさせる制御部(600)をさらに備える請求項1ないし7のいずれか1つに記載のリレー寿命予測装置。
【請求項9】
コイル(305)と、前記コイルに流れる電流による電磁力にてオンされると対象物(10)に電圧を印加するスイッチ(330)と、を有するリレー(30)と、
前記リレーから前記対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値と、前記スイッチがオフからオンされる場合に前記対象電圧が上昇して電圧閾値(Vsys_th)となるときの前記コイルの電圧(Vc)である作動電圧(VS)に関する値と、を取得する取得部(601)と、前記作動電圧についての前記リレーが正常であるときからの変化に基づいて、前記リレーの寿命を予測する予測部(602)と、を有するリレー寿命予測装置(60)と、
を備えるリレー寿命予測システム。
【請求項10】
コイル(305)と、前記コイルに流れる電流による電磁力にてオンされると対象物(10)に電圧を印加するスイッチ(330)と、を有するリレー(30)と、
前記リレーから前記対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値と、前記スイッチがオンからオフされる場合に前記対象電圧が低下して電圧閾値(Vsys_th)となるときの前記コイルの電圧(Vc)である復帰電圧(VR)に関する値と、を取得する取得部(601)と、前記復帰電圧についての前記リレーが正常であるときからの変化に基づいて、前記リレーの寿命を予測する予測部(602)と、を有するリレー寿命予測装置(60)と、
を備えるリレー寿命予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リレー寿命予測装置およびリレー寿命予測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、リレーをオンオフさせる駆動部と、リレーのコイルに流れる電流の検出結果に基づいてリレーの動作異常を判定する判定部とを備える電源制御装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-225132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リレーを搭載するシステムの安全性等を鑑みれば、リレーの故障に至る前にリレーの寿命を予測することが望まれる。しかし、特許文献1に記載された電源制御装置は、リレーの動作異常を判定しているが、リレーの寿命までは予測していない。
【0005】
本開示は、リレーの寿命を予測するリレー寿命予測装置およびリレー寿命予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、コイル(305)とコイルに流れる電流による電磁力にてオンされると対象物(10)に電圧を印加するスイッチ(330)とを有するリレー(30)から対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値と、スイッチがオフからオンされる場合に対象電圧が上昇して電圧閾値(Vsys_th)となるときのコイルの電圧(Vc)である作動電圧(VS)に関する値と、を取得する取得部(601)と、作動電圧についてのリレーが正常であるときからの変化に基づいて、リレーの寿命を予測する予測部(602)と、を備えるリレー寿命予測装置である。
【0007】
また、請求項4に記載の発明は、コイル(305)とコイルに流れる電流による電磁力にてオンされると対象物(10)に電圧を印加するスイッチ(330)とを有するリレー(30)から対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値と、スイッチがオンからオフされる場合に対象電圧が低下して電圧閾値(Vsys_th)となるときのコイルの電圧(Vc)である復帰電圧(VR)に関する値と、を取得する取得部(601)と、復帰電圧についてのリレーが正常であるときからの変化に基づいて、リレーの寿命を予測する予測部(602)と、を備えるリレー寿命予測装置である。
【0008】
さらに、請求項9に記載の発明は、コイル(305)と、コイルに流れる電流による電磁力にてオンされると対象物(10)に電圧を印加するスイッチ(330)と、を有するリレー(30)と、リレーから対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値と、スイッチがオフからオンされる場合に対象電圧が上昇して電圧閾値(Vsys_th)となるときのコイルの電圧(Vc)である作動電圧(VS)に関する値と、を取得する取得部(601)と、作動電圧についてのリレーが正常であるときからの変化に基づいて、リレーの寿命を予測する予測部(602)と、を有するリレー寿命予測装置(60)と、を備えるリレー寿命予測システムである。
【0009】
また、請求項10に記載の発明は、コイル(305)と、コイルに流れる電流による電磁力にてオンされると対象物(10)に電圧を印加するスイッチ(330)と、を有するリレー(30)と、リレーから対象物に印加される電圧である対象電圧(Vsys)に関する値と、スイッチがオンからオフされる場合に対象電圧が低下して電圧閾値(Vsys_th)となるときのコイルの電圧(Vc)である復帰電圧(VR)に関する値と、を取得する取得部(601)と、復帰電圧についてのリレーが正常であるときからの変化に基づいて、リレーの寿命を予測する予測部(602)と、を有するリレー寿命予測装置(60)と、を備えるリレー寿命予測システムである。
【0010】
リレーの寿命が短くなるとき、作動電圧または復帰電圧が変化することから、上記構成により、リレーの寿命が予測される。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態のリレー寿命予測装置およびリレー寿命予測システムが用いられる車両システムの構成図。
図2】リレー寿命予測システムのリレーの断面図。
図3】リレー寿命予測装置のブロック構成図。
図4】リレー寿命予測装置の処理を説明するためのタイムチャート。
図5】可動接点および固定接点が摩耗しているときのリレーの拡大断面図。
図6】可動接点および固定接点に突起が形成されたときのリレーの拡大断面図。
図7】リレー寿命予測装置の処理を説明するためのタイムチャート。
図8】リレー寿命予測装置の処理を説明するためのタイムチャート。
図9】リレー寿命予測装置の処理を説明するためのタイムチャート。
図10】リレー寿命予測装置の処理を説明するための表。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
実施形態のリレー寿命予測装置60は、例えば、車両システム1に用いられる。まず、車両システム1について説明する。
【0015】
車両システム1は、図1に示すように、電源5、対象システム10およびリレー寿命予測システム20を備える。対象システム10は、対象物に対応しており、電源5からの電力供給が停止されると車両の走行に影響を及ぼすシステム等であって、例えば、車両の自動運転システムである。
【0016】
リレー寿命予測システム20は、ヒューズ25、リレー30、駆動部40、グランド45およびリレー寿命予測装置60を備える。
【0017】
ヒューズ25の一端は、電源5に接続されている。また、ヒューズ25の他端は、後述のリレー30に接続されている。そして、ヒューズ25は、電源5から後述のリレー30を介して対象システム10および後述の駆動部40等に過電流が流れることを抑制する。
【0018】
リレー30は、図2に示すように、ボビン300、コイル305、第1コイル端子311、第2コイル端子312、コア315、ヨーク320、スイッチ330、第1スイッチ端子351、第2スイッチ端子352およびケース355を備えている。
【0019】
ボビン300は、例えば、樹脂等で筒状に形成されていることにより、電気絶縁性を有する。
【0020】
コイル305は、電気抵抗およびインダクタンスを有するとともに、通電されることで磁力を発生させる。また、コイル305は、ボビン300に巻回されている。第1コイル端子311は、コイル305の一端に接続されているとともに、ヒューズ25の他端に接続されている。第2コイル端子312は、コイル305の他端に接続されているとともに、後述の駆動部40に接続されている。なお、第1コイル端子311および第2コイル端子312の接続は、これに限定されないで、第1コイル端子311が後述の駆動部40に接続されてもよい。また、第2コイル端子312は、ヒューズ25の他端に接続されてもよい。
【0021】
コア315は、金属等の磁性体で形成されていることにより、磁路を形成する。また、コア315は、コイル軸CLを中心とする円柱状に形成されている。さらに、コア315は、ボビン300の穴に挿入されている。
【0022】
ヨーク320は、金属等の磁性体で形成されていることにより、磁路を形成する。また、ヨーク320は、コイル軸CL方向に延びているととともにコイル軸CL方向と直交する方向に延びていることにより、L字状に形成されている。さらに、ヨーク320は、コア315の端部とカシメ固定されている。
【0023】
スイッチ330は、コイル305に流れる電流による電磁力にてオンオフする。具体的には、スイッチ330は、アーマチャプレート332、板バネ334、可動接点336、固定接点338およびストッパ340を有する。
【0024】
アーマチャプレート332は、金属等の磁性体で形成されていることにより、磁路を形成する。また、アーマチャプレート332は、ヨーク320の端部に支持されていることで、アーマチャプレート332とヨーク320の端部との接触部を支点として回転する。さらに、アーマチャプレート332のうち上記支点とは反対側の部位は、コイル軸CL方向にコア315と対向している。また、コイル軸CL方向において、アーマチャプレート332およびコア315の間には、コアプレート隙間345が形成されている。
【0025】
板バネ334は、弾性部材に対応しており、板状に形成されているとともに、弾性変形可能になっている。また、板バネ334は、アーマチャプレート332とヨーク320とに沿ってL字状に形成されている。さらに、板バネ334は、アーマチャプレート332に沿った部位にてアーマチャプレート332とカシメ固定されている。また、板バネ334は、アーマチャプレート332の支点とは反対側において、アーマチャプレート332との接触部からコイル軸CL方向と直交する方向に突き出ている。さらに、板バネ334は、ヨーク320に沿った部位にてヨーク320とカシメ固定されている。また、板バネ334は、弾性変形することにより、アーマチャプレート332がコア315から離れる方向の弾性力をアーマチャプレート332に与える。
【0026】
可動接点336は、可動部に対応しており、固定接点338が固定部に対応している。また、可動接点336は、固定接点338とコイル軸CL方向に対向している。さらに、コイル軸CL方向において、可動接点336および固定接点338の間には、接点隙間350が形成されている。また、可動接点336は、板バネ334の突き出ている端部に固定されている。このため、可動接点336は、可動接点336が固定接点338から離れる方向の弾性力を板バネ334から受ける。ストッパ340は、コイル軸CL方向において固定接点338とで可動接点336を挟む位置に配置されている。これにより、ストッパ340は、リレー30の初期状態において可動接点336を支持する。
【0027】
第1スイッチ端子351は、固定接点338に接続されているとともに、ヒューズ25の他端に接続されている。第2スイッチ端子352は、板バネ334を介して可動接点336に接続されているとともに、対象システム10に接続されている。なお、第1スイッチ端子351および第2スイッチ端子352の接続は、これに限定されないで、第1スイッチ端子351が板バネ334を介して可動接点336に接続されているとともに、対象システム10に接続されてもよい。また、第2スイッチ端子352は、固定接点338に接続されているとともに、ヒューズ25の他端に接続されてもよい。
【0028】
ケース355は、例えば、樹脂等で箱状に形成されていることにより、ボビン300、コイル305、コア315、ヨーク320、アーマチャプレート332、板バネ334、可動接点336、固定接点338およびストッパ340を収容している。また、ケース355から第1コイル端子311、第2コイル端子312、第1スイッチ端子351および第2スイッチ端子352がコイル軸CL方向に突き出ている。
【0029】
図1に戻って、駆動部40は、例えば、電気抵抗、トランジスタおよびツェナーダイオード等で構成された定電流回路である。また、駆動部40は、第2コイル端子312、グランド45および後述のリレー寿命予測装置60に接続されている。なお、駆動部40の定電流回路の半導体スイッチとしてトランジスタが挙げられているところ、これに限定されないで、半導体スイッチは、トランジスタに代えて、MOSFET等であってもよい。
【0030】
リレー寿命予測装置60は、例えば、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路、A/Dコンバータおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、リレー寿命予測装置60は、図3に示すように、第1電圧検出部51、第2電圧検出部52、制御部600、取得部601および予測部602を、機能ブロックとして備えている。
【0031】
第1電圧検出部51は、例えば、コンパレータ回路であって、電源5からヒューズ25を介してコイル305に印加される電圧を検出する。また、第1電圧検出部51は、この検出した電圧に応じた信号を取得部601に出力する。
【0032】
第2電圧検出部52は、例えば、コンパレータ回路であって、電源5からヒューズ25およびスイッチ330を介して対象システム10に印加される電圧を検出する。また、第2電圧検出部52は、この検出した電圧に応じた信号を取得部601に出力する。
【0033】
制御部600は、例えば、車両のイグニッションのオンオフに応じて、ROMに記憶されているプログラムを実行する。このとき、制御部600は、駆動部40のオンオフを制御する。これにより、制御部600は、コイル305に印加される電圧を制御することで、スイッチ330のオンオフを制御する。
【0034】
取得部601は、例えば、車両のイグニッションのオンオフに応じて、ROMに記憶されているプログラムを実行する。このとき、取得部601は、電源5からヒューズ25を介してコイル305に印加される電圧を第1電圧検出部51から取得する。また、取得部601は、電源5からヒューズ25およびスイッチ330を介して対象システム10に印加される電圧を第2電圧検出部52から取得する。
【0035】
予測部602は、例えば、車両のイグニッションのオンオフに応じて、ROMに記憶されているプログラムを実行する。これにより、予測部602は、取得部601によって取得された第1電圧検出部51および第2電圧検出部52からの信号に基づいて、リレー30の寿命を予測する。
【0036】
以上のように、車両システム1は、構成されている。この車両システム1に用いられるリレー寿命予測装置60は、リレー30の寿命を予測する。次に、この寿命予測について、図4図7図9のタイムチャートおよび図5図6を参照して説明する。
【0037】
ここで、この寿命予測を説明するため、以下の用語を定義する。図1に示すように、電源5からヒューズ25を介してコイル305に印加される電圧をコイル電圧Vcとする。電源5からヒューズ25とスイッチ330とを介して対象システム10に印加される電圧を対象電圧Vsysとする。
【0038】
時刻t0から時刻t1までの期間において、例えば、車両のイグニッションがオンされる。このとき、リレー寿命予測装置60の制御部600は、例えば、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御することで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替える。これにより、電源5から、ヒューズ25と第1コイル端子311とコイル305と第2コイル端子312と駆動部40とを介して、グランド45に電流が流れる。このとき、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなる。また、コイル305に電流が流れることから、コイル305の電気抵抗によりコイル電圧Vcが上昇するとともに、コイル305が磁界を発生させる。したがって、コア315は、磁気吸引力を発生させる。しかし、板バネ334の弾性力がコア315の磁気吸引力よりも大きいため、可動接点336がストッパ340と接触したままである。このため、可動接点336と固定接点338とが遮断されているため、対象電圧Vsysは、変化していない。
【0039】
また、リレー寿命予測装置60の取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th未満であるため、リレー寿命予測装置60の予測部602は、リレー30がオフされていると判定する。なお、電圧閾値Vsys_thは、リレー30のオンオフが判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。
【0040】
時刻t1から時刻t2までの期間において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、例えば、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御することで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替える。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなるとともに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t0から時刻t1までの期間と比較して小さくなる。また、このとき、コア315の磁気吸引力が板バネ334の弾性力よりも大きくなるため、アーマチャプレート332は、回転してコア315に近づく。よって、アーマチャプレート332とともに板バネ334がコア315に近づく方向に回転することにより、板バネ334の端部に接続されている可動接点336が固定接点338に近づく。これにより、可動接点336と固定接点338とが導通することから、電源5からヒューズ25と第1スイッチ端子351と固定接点338と可動接点336と板バネ334と第2スイッチ端子352とを介して対象システム10に電圧が印加される。このため、対象電圧Vsysが上昇する。しかし、対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th未満であるため、予測部602は、リレー30がオフされていると判定する。
【0041】
さらに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t0から時刻t1までの期間と比較して小さくなることから、コイル電圧Vcの上昇量の絶対値が、時刻t0から時刻t1までの期間と比較して小さくなる。これにより、取得部601によって取得される後述の作動電圧VSの誤差が小さくなる。
【0042】
時刻t2において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなるとともに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t0から時刻t1までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される後述の作動電圧VSの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338に近づいて接触することから、対象電圧Vsysが上昇する。
【0043】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオンされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを作動電圧VSとして、この作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low以上、第2作動閾値VS_th_upp以下であるか否かを判定する。これにより、予測部602は、リレー30の寿命を予測する。ここでは、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low以上、第2作動閾値VS_th_upp以下である。このため、予測部602は、リレー30が正常であると判定する。なお、第1作動閾値VS_th_lowおよび第2作動閾値VS_th_uppは、リレー30が正常であると判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、第2作動閾値VS_th_uppは、第1作動閾値VS_th_lowよりも大きい値である。
【0044】
時刻t2から時刻t3までの期間において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなるとともに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t0から時刻t1までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される作動電圧VSの誤差が小さくなっている。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338に接触していることから、対象システム10に電圧が印加されるため、対象電圧Vsysが上昇して一定の値になる。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thより大きいため、予測部602は、リレー30がオンされていると判定する。
【0045】
時刻t3から時刻t4までの期間において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、例えば、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御することで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替える。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなるとともに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t1から時刻t3までの期間と比較して大きくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338に接触していることから、対象電圧Vsysが一定の値になっている。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thより大きいため、予測部602は、リレー30がオンされていると判定する。
【0046】
さらに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t1から時刻t3までの期間と比較して大きくなるため、コイル電圧Vcの上昇量の絶対値が、時刻t1から時刻t3までの期間と比較して大きくなり、コイル電圧Vcが一定値Vc_Cになる。また、コイル電圧Vcの上昇量の絶対値が時刻t1から時刻t3までの期間と比較して大きくなることにより、コア315の磁気吸引力が大きくなりやすいことから、スイッチ330の応答性が時刻t1から時刻t3までの期間と比較して高くなっている。
【0047】
時刻t4から時刻t5までの期間において、車両のイグニッションがオフされる。このとき、制御部600は、例えば、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御することで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替える。これにより、電源5から、ヒューズ25と第1コイル端子311とコイル305と第2コイル端子312と駆動部40とを介して、グランド45に流れる電流が時刻t4のときよりも小さくなる。このとき、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなる。また、コイル305に流れる電流が小さくなることから、コイル電圧Vcが低下する。したがって、コア315の磁気吸引力が低下する。しかし、コア315の磁気吸引力が板バネ334の弾性力よりも大きいため、可動接点336と固定接点338とが接触したままである。このため、対象電圧Vsysが変化していない。また、対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thより大きいため、予測部602は、リレー30がオンされていると判定する。
【0048】
時刻t5から時刻t6までの期間において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、例えば、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御することで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替える。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t4から時刻t5までの期間と比較して小さくなる。また、このとき、板バネ334の弾性力がコア315の磁気吸引力よりも大きくなるため、アーマチャプレート332は、回転してコア315から離れる。よって、アーマチャプレート332とともに板バネ334がコア315から離れる方向に回転することにより、板バネ334の端部に接続されている可動接点336が固定接点338から離れる。このため、可動接点336と固定接点338とが遮断されることから、対象電圧Vsysが低下する。しかし、対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thより大きいため、予測部602は、リレー30がオンされていると判定する。
【0049】
さらに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t4から時刻t5までの期間と比較して小さくなることから、コイル電圧Vcの低下量の絶対値が、時刻t4から時刻t5までの期間と比較して小さくなる。これにより、取得部601によって取得される後述の復帰電圧VRの誤差が小さくなる。
【0050】
時刻t6において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t4から時刻t5までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される後述の復帰電圧VRの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338から離れることから、対象電圧Vsysが低下する。
【0051】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオフされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを復帰電圧VRとして、この復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるか否かを判定する。これにより、予測部602は、リレー30の寿命を予測する。そして、ここでは、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるため、予測部602は、リレー30が正常であると判定する。なお、第1復帰閾値VR_th_lowおよび第2復帰閾値VR_th_uppは、リレー30が正常であると判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、第2復帰閾値VR_th_uppは、第1復帰閾値VR_th_lowよりも大きい値である。
【0052】
時刻t6から時刻t7までの期間において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t4から時刻t5までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される復帰電圧VRの誤差が小さくなっている。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338から離れることから、対象電圧Vsysが低下して、初期値に戻る。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th未満であるため、予測部602は、リレー30がオフされていると判定する。
【0053】
時刻t7から時刻t8までの期間において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、例えば、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御することで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替える。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t5から時刻t7までの期間と比較して大きくなる。また、このとき、可動接点336が固定接点338から離れていることから、対象電圧Vsysが初期値に戻っている。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_th未満であるため、予測部602は、リレー30がオフされていると判定する。
【0054】
さらに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t5から時刻t7までの期間と比較して大きくなるため、コイル電圧Vcの低下量の絶対値が、時刻t5から時刻t7までの期間と比較して大きくなり、コイル電圧Vcが初期値に戻る。また、コイル電圧Vcの低下量の絶対値が時刻t5から時刻t7までの期間と比較して大きくなることにより、コア315の磁気吸引力が小さくなりやすいことから、スイッチ330の応答性が時刻t5からt7までの期間と比較して高くなっている。
【0055】
時刻t10から時刻t12までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t0から時刻t2までの期間と同様の処理を行う。
【0056】
時刻t12において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなるとともに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t10から時刻t11までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される作動電圧VSの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338に近づいて接触することから、対象電圧Vsysが上昇する。
【0057】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオンされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを作動電圧VSとして、この作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low以上、第2作動閾値VS_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きくなっている。
【0058】
ここで、図5に示すように、リレー30の経年劣化により、可動接点336および固定接点338が摩耗しているとする。このとき、接点隙間350の大きさが大きくなることにより、可動接点336が固定接点338と接触するまでの可動接点336の移動距離が長くなる。このため、可動接点336が固定接点338と接触するために必要なコア315の磁気吸引力は、可動接点336および固定接点338が摩耗していないときと比較して大きくなる。したがって、このとき、対象電圧Vsysが上昇して電圧閾値Vsys_thになるためのコイル電圧Vcが大きくなるため、作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きくなる。なお、図5において、可動接点336および固定接点338の摩耗がドット柄で示されている。
【0059】
よって、ここでは、作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きくなっているため、予測部602は、可動接点336および固定接点338が摩耗している可能性があると判定することで、リレー30の寿命が短いと判定する。また、リレー30の寿命以外による異常も考えられるため、予測部602は、リレー30の寿命以外による異常の可能性があると判定する。
【0060】
時刻t12から時刻t16までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t2から時刻t6までの期間と同様の処理を行う。
【0061】
時刻t16において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t14から時刻t15までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される復帰電圧VRの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338から離れることから、対象電圧Vsysが低下する。
【0062】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオフされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを復帰電圧VRとして、この復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下である。しかし、ここでは、時刻t12の処理により、予測部602は、可動接点336および固定接点338が摩耗している可能性がある、または、リレー30の寿命以外による異常の可能性があると判定する。
【0063】
時刻t16から時刻t18までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t6から時刻t8までの期間と同様の処理を行う。また、時刻t20から時刻t22までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t0から時刻t2までの期間と同様の処理を行う。
【0064】
時刻t22において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなるとともに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t20から時刻t21までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される作動電圧VSの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338に近づいて接触することから、対象電圧Vsysが上昇する。
【0065】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオンされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを作動電圧VSとして、この作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low以上、第2作動閾値VS_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満となっている。
【0066】
ここで、図6に示すように、リレー30の経年劣化により、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されたとする。このとき、接点隙間350の大きさが小さくなるため、可動接点336が固定接点338と接触するまでの可動接点336の移動距離が短くなる。このため、可動接点336が固定接点338と接触するために必要なコア315の磁気吸引力は、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されていないときと比較して小さくなる。したがって、このとき、対象電圧Vsysが上昇して電圧閾値Vsys_thになるためのコイル電圧Vcが小さくなるため、作動電圧VSは、第1作動閾値VS_th_low未満となる。
【0067】
また、ここで、リレー30の経年劣化により、板バネ334の弾性定数および弾性力が低下することで板バネ334が劣化しているとする。このとき、コア315の磁気吸引力が板バネ334の弾性力よりも大きくなりやすくなるため、アーマチャプレート332は、コア315に近づきやすくなる。よって、アーマチャプレート332とともに板バネ334がコア315に近づく方向に回転するとき、板バネ334の端部に接続されている可動接点336が固定接点338に近づきやすくなる。このため、可動接点336が固定接点338と接触するために必要なコア315の磁気吸引力は、板バネ334が劣化していないときと比較して小さくなる。したがって、このとき、対象電圧Vsysが上昇して電圧閾値Vsys_thになるためのコイル電圧Vcが小さくなるため、作動電圧VSは、第1作動閾値VS_th_low未満となる。
【0068】
よって、ここでは、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満であるため、予測部602は、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されている可能性がある、または、板バネ334が劣化している可能性があると判定する。これにより、予測部602は、リレー30の寿命が短いと判定する。
【0069】
時刻t22から時刻t26までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t2から時刻t6までの期間と同様の処理を行う。
【0070】
時刻t26において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t24から時刻t25までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される復帰電圧VRの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338から離れることから、対象電圧Vsysが低下する。
【0071】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオフされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを復帰電圧VRとして、この復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下である。しかし、ここでは、時刻t22の処理により、予測部602は、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されている可能性がある、または、板バネ334が劣化している可能性があると判定する。
【0072】
時刻t26から時刻t28までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t6から時刻t8までの期間と同様の処理を行う。次に、図7のタイムチャートに示すように、時刻t30から時刻t36までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t0から時刻t6までの期間と同様の処理を行う。
【0073】
時刻t36において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t34から時刻t35までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される復帰電圧VRの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338から離れることから、対象電圧Vsysが低下する。
【0074】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオフされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを復帰電圧VRとして、この復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、復帰電圧VRが第2復帰閾値VR_th_uppよりも大きくなっている。
【0075】
ここで、図6に示すように、リレー30の経年劣化により、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されたとする。このとき、接点隙間350の大きさが小さくなるため、可動接点336が固定接点338と接触するまでの可動接点336の移動距離が短くなる。これにより、アーマチャプレート332の移動距離も短くなる。このため、可動接点336が固定接点338と接触しているときのコアプレート隙間345の大きさが大きくなる。したがって、コイル軸CL方向におけるコア315およびアーマチャプレート332の間の距離が長くなることから、アーマチャプレート332に作用するコア315の磁気吸引力が小さくなる。よって、板バネ334の弾性力がコア315の磁気吸引力よりも大きくなりやすくなるため、アーマチャプレート332は、コア315から離れやすくなる。したがって、アーマチャプレート332とともに板バネ334がコア315から離れる方向に回転するとき、板バネ334の端部に接続されている可動接点336が固定接点338から離れやすくなる。したがって、このとき、対象電圧Vsysが低下して電圧閾値Vsys_thになるためのコイル電圧Vcが大きくなるため、復帰電圧VRは、第2復帰閾値VR_th_uppよりも大きくなる。
【0076】
よって、ここでは、復帰電圧VRが第2復帰閾値VR_th_uppよりも大きくなっているため、予測部602は、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されている可能性があると判定することで、リレー30の寿命が短いと判定する。また、このとき、リレー30の寿命以外によるリレー30の異常も考えられるため、予測部602は、リレー30の寿命以外による異常の可能性があると判定する。
【0077】
時刻t36から時刻t38までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t6から時刻t8までの期間と同様の処理を行う。また、時刻t40から時刻t46までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t0から時刻t6までの期間と同様の処理を行う。
【0078】
時刻t46において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t44から時刻t45までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される復帰電圧VRの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338から離れることから、対象電圧Vsysが低下する。
【0079】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオフされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを復帰電圧VRとして、この復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low未満となっている。
【0080】
ここで、図5に示すように、リレー30の経年劣化により、可動接点336および固定接点338が摩耗しているとする。このとき、接点隙間350の大きさが大きくなるため、可動接点336が固定接点338と接触するまでの可動接点336の移動距離が長くなる。これにより、アーマチャプレート332の移動距離も長くなる。このため、可動接点336が固定接点338と接触しているときのコアプレート隙間345の大きさが小さくなる。したがって、コイル軸CL方向におけるコア315およびアーマチャプレート332の間の距離が短くなることから、アーマチャプレート332に作用するコア315の磁気吸引力が大きくなる。よって、板バネ334の弾性力がコア315の磁気吸引力よりも大きくなりにくくなるため、アーマチャプレート332は、コア315から離れにくくなる。したがって、アーマチャプレート332とともに板バネ334がコア315から離れる方向に回転するとき、板バネ334の端部に接続されている可動接点336が固定接点338から離れにくくなる。したがって、このとき、対象電圧Vsysが低下して電圧閾値Vsys_thになるためのコイル電圧Vcが小さくなるため、復帰電圧VRは、第1復帰閾値VR_th_low未満となる。
【0081】
また、ここで、リレー30の経年劣化により、板バネ334の弾性定数および弾性力が低下することで板バネ334が劣化しているとする。このとき、板バネ334の弾性力がコア315の磁気吸引力よりも大きくなりにくくなるため、アーマチャプレート332は、コア315から離れにくくなる。よって、アーマチャプレート332とともに板バネ334がコア315から離れる方向に回転するとき、板バネ334の端部に接続されている可動接点336が固定接点338から離れにくくなる。したがって、このとき、対象電圧Vsysが低下して電圧閾値Vsys_thになるためのコイル電圧Vcが小さくなるため、復帰電圧VRは、第1復帰閾値VR_th_low未満となる。
【0082】
よって、ここでは、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low未満であるため、予測部602は、可動接点336および固定接点338が摩耗している可能性がある、または、板バネ334が劣化している可能性があると判定する。これにより、予測部602は、リレー30の寿命が短いと判定する。
【0083】
時刻t46から時刻t48までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t6から時刻t8までの期間と同様の処理を行う。次に、図8のタイムチャートに示すように、時刻t50から時刻t52までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t0から時刻t2までの期間と同様の処理を行う。
【0084】
時刻t52において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなるとともに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t50から時刻t51までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される作動電圧VSの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338に近づいて接触することから、対象電圧Vsysが上昇する。
【0085】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオンされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを作動電圧VSとして、この作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low以上、第2作動閾値VS_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きくなっている。
【0086】
作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きくなっているため、予測部602は、可動接点336および固定接点338が摩耗している可能性がある、または、リレー30の寿命以外による異常の可能性があると判定する。
【0087】
時刻t52から時刻t56までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t2から時刻t6までの期間と同様の処理を行う。
【0088】
時刻t56において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t54から時刻t55までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される復帰電圧VRの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338から離れることから、対象電圧Vsysが低下する。
【0089】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオフされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを復帰電圧VRとして、この復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、復帰電圧VRが第2復帰閾値VR_th_uppよりも大きくなっている。
【0090】
復帰電圧VRが第2復帰閾値VR_th_uppよりも大きくなっているため、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されている可能性がある、または、リレー30の寿命以外による異常の可能性がある。また、このとき、作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きくなっていることから、可動接点336および固定接点338が摩耗している可能性がある、または、リレー30の寿命以外による異常の可能性がある。したがって、このとき、リレー30の寿命以外による異常の確度が高い。よって、このとき、予測部602は、リレー30の寿命以外による異常があると判定する。
【0091】
時刻t56から時刻t58までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t6から時刻t8までの期間と同様の処理を行う。また、時刻t60から時刻t62までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t0から時刻t2までの期間と同様の処理を行う。
【0092】
時刻t62において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなるとともに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t60から時刻t61までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される作動電圧VSの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338に近づいて接触することから、対象電圧Vsysが上昇する。
【0093】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオンされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを作動電圧VSとして、この作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low以上、第2作動閾値VS_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満となっている。
【0094】
作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満であるため、予測部602は、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されている可能性がある、または、板バネ334が劣化している可能性があると判定する。
【0095】
時刻t62から時刻t66までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t2から時刻t6までの期間と同様の処理を行う。
【0096】
時刻t66において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t64から時刻t65までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される復帰電圧VRの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338から離れることから、対象電圧Vsysが低下する。
【0097】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオフされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを復帰電圧VRとして、この復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、復帰電圧VRが第2復帰閾値VR_th_uppよりも大きくなっている。
【0098】
復帰電圧VRが第2復帰閾値VR_th_uppよりも大きくなっているため、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されている可能性がある、または、リレー30の寿命以外による異常の可能性がある。また、このとき、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満であることから、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されている可能性がある、または、板バネ334が劣化している可能性がある。したがって、このとき、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されていることの確度が高い。よって、このとき、予測部602は、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されていると判定することで、リレー30の寿命が短いと判定する。
【0099】
時刻t66から時刻t68までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t6から時刻t8までの期間と同様の処理を行う。次に、図9のタイムチャートに示すように、時刻t70から時刻t72までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t0から時刻t2までの期間と同様の処理を行う。
【0100】
時刻t72において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなるとともに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t70から時刻t71までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される作動電圧VSの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338に近づいて接触することから、対象電圧Vsysが上昇する。
【0101】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオンされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを作動電圧VSとして、この作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low以上、第2作動閾値VS_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きくなっている。
【0102】
作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きくなっているため、予測部602は、可動接点336および固定接点338が摩耗している可能性がある、または、リレー30の寿命以外による異常の可能性があると判定する。
【0103】
時刻t72から時刻t76までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t2から時刻t6までの期間と同様の処理を行う。
【0104】
時刻t76において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t74から時刻t75までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される復帰電圧VRの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338から離れることから、対象電圧Vsysが低下する。
【0105】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオフされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを復帰電圧VRとして、この復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low未満となっている。
【0106】
復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low未満であるため、可動接点336および固定接点338が摩耗している可能性がある、または、板バネ334が劣化している可能性がある。また、このとき、作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きくなっているため、可動接点336および固定接点338が摩耗している可能性がある、または、リレー30の寿命以外による異常の可能性がある。したがって、このとき、可動接点336および固定接点338が摩耗していることの確度が高い。よって、このとき、予測部602は、可動接点336および固定接点338が摩耗していると判定することで、リレー30の寿命が短いと判定する。
【0107】
時刻t76から時刻t78までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t6から時刻t8までの期間と同様の処理を行う。また、時刻t80から時刻t82までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t0から時刻t2までの期間と同様の処理を行う。
【0108】
時刻t82において、車両のイグニッションがオンされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に大きくなるとともに、コイル305に流れる電流の上昇量の絶対値が時刻t80から時刻t81までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される作動電圧VSの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338に近づいて接触することから、対象電圧Vsysが上昇する。
【0109】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオンされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを作動電圧VSとして、この作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low以上、第2作動閾値VS_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満となっている。
【0110】
作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満であるため、予測部602は、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されている可能性がある、または、板バネ334が劣化している可能性があると判定する。
【0111】
時刻t82から時刻t86までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t2から時刻t6までの期間と同様の処理を行う。
【0112】
時刻t86において、車両のイグニッションがオフされている。このとき、制御部600は、駆動部40の定電流回路のトランジスタのオンオフを制御していることで、駆動部40の定電流回路の電流値設定用の電気抵抗を切り替えている。これにより、コイル305に流れる電流が徐々に小さくなるとともに、コイル305に流れる電流の低下量の絶対値が時刻t84から時刻t85までの期間と比較して小さくなる。このため、取得部601によって取得される復帰電圧VRの誤差が小さくなる。また、このとき、上記と同様に、可動接点336が固定接点338から離れることから、対象電圧Vsysが低下する。
【0113】
また、取得部601は、対象電圧Vsysを第2電圧検出部52から取得する。対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるため、予測部602は、リレー30がオフされたと判定する。さらに、このとき、取得部601は、コイル電圧Vcを第1電圧検出部51から取得する。また、予測部602は、この取得部601によって取得されたコイル電圧Vcを復帰電圧VRとして、この復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるか否かを判定する。そして、ここでは、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low未満となっている。
【0114】
復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low未満であるため、可動接点336および固定接点338が摩耗している可能性がある、または、板バネ334が劣化している可能性がある。また、このとき、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満であるため、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されている可能性がある、または、板バネ334が劣化している可能性がある。したがって、このとき、板バネ334が劣化していることの確度が高い。よって、このとき、予測部は、板バネ334が劣化していると判定することで、リレー30の寿命が短いと判定する。
【0115】
時刻t86から時刻t88までの期間において、リレー寿命予測装置60は、時刻t6から時刻t8までの期間と同様の処理を行う。
【0116】
以上のように、リレー寿命予測装置60は、リレー30の寿命を予測する。このように、リレー寿命予測装置60は、作動電圧VSについてのリレー30が正常であるときからの変化、および、復帰電圧VRについてのリレー30が正常であるときからの変化に基づいて、リレー30の寿命を予測する。
【0117】
具体的には、リレー寿命予測装置60は、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low以上、第2作動閾値VS_th_upp以下であるとき、リレー30が正常であると判定する。また、図10に示すように、リレー寿命予測装置60は、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満であるとき、リレー30の寿命による異常があると判定する。さらに、リレー寿命予測装置60は、作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きいとき、リレー30の寿命による異常があると判定する。なお、図10において、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満であるときが、Lowとして示されている。また、作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きいときが、Highとして示されている。
【0118】
また、リレー寿命予測装置60は、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low以上、第2復帰閾値VR_th_upp以下であるとき、リレー30が正常であると判定する。さらに、リレー寿命予測装置60は、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low未満であるとき、リレー30の寿命による異常があると判定する。また、リレー寿命予測装置60は、復帰電圧VRが第2復帰閾値VR_th_uppよりも大きいとき、リレー30の寿命による異常があると判定する。なお、図10において、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low未満であるときが、Lowとして示されている。また、復帰電圧VRが第2復帰閾値VR_th_uppよりも大きいときが、Highとして示されている。
【0119】
さらに、リレー寿命予測装置60は、作動電圧VSが第2作動閾値VS_th_uppよりも大きく、かつ、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low未満であるとき、可動接点336および固定接点338が摩耗していると判定する。また、リレー寿命予測装置60は、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満、かつ、復帰電圧VRが第2復帰閾値VR_th_uppよりも大きいとき、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されていると判定する。さらに、リレー寿命予測装置60は、作動電圧VSが第1作動閾値VS_th_low未満、かつ、復帰電圧VRが第1復帰閾値VR_th_low未満であるとき、板バネ334が劣化していると判定する。これらによって、リレー寿命予測装置60は、可動接点336、固定接点338および板バネ334の寿命が短いと判定することで、リレー30の寿命が短いと判定する。
【0120】
また、本実施形態のリレー寿命予測装置60では、以下に記載する効果も奏する。
【0121】
ここで、リレー寿命予測装置60の取得部601によって作動電圧VSおよび復帰電圧VRが取得される間においても、コイル電圧Vcが変化する。このため、取得部601によって取得される作動電圧VSおよび復帰電圧VRには誤差が生じる。これに対して、リレー寿命予測装置60の制御部600は、対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thとなるときのコイル電圧Vcの変化を、対象電圧Vsysが電圧閾値Vsys_thでないときよりも小さくさせる。これにより、取得部601が作動電圧VSおよび復帰電圧VRを取得するとき、コイル電圧Vcの変化が小さくなることから、取得部601が取得した作動電圧VSおよび復帰電圧VRの誤差が小さくなる。
【0122】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0123】
本開示に記載の制御部、取得部、予測部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部、取得部、予測部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部、取得部、予測部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0124】
上記実施形態では、駆動部40は、定電流回路であるところ、これに限定されないで、電気抵抗、トランジスタおよびツェナーダイオード等で構成された定電圧回路であってもよい。
【0125】
上記実施形態では、第1電圧検出部51および第2電圧検出部52は、コンパレータ回路であるところ、これに限定されないで、例えば、A/Dコンバータ等であってもよい。
【0126】
上記実施形態では、リレー寿命予測装置60の予測部602は、作動電圧VS、第1作動閾値VS_th_lowおよび第2作動閾値VS_th_uppに基づいて、リレー30の寿命を予測する。これに限定されないで、予測部602は、作動電圧VSについてのリレー30が正常であるときからの変化量に基づいて、リレー30の寿命を予測してもよい。例えば、予測部602は、取得部601によって取得された作動電圧VSからリレー30が正常であるときの作動電圧VSを減算することにより、作動電圧VSの変化量を算出する。なお、リレー30が正常であるときの作動電圧VSは、実験やシミュレーション等により設定される所定値に代えてもよい。
【0127】
また、予測部602は、作動電圧VSの変化量が第1変化閾値以上、第2変化閾値以下であるとき、リレー30が正常であると判定する。なお、第1変化閾値および第2変化閾値は、リレー30が正常であると判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、第1変化閾値は、負の値である。さらに、第2変化閾値は、正の値である。
【0128】
また、予測部602は、作動電圧VSの変化量が第1変化閾値未満であるとき、リレー30の寿命による異常があると判定する。さらに、予測部602は、作動電圧VSの変化量が第2変化閾値よりも大きいとき、リレー30の寿命による異常があると判定する。
【0129】
また、予測部602は、復帰電圧VR、第1復帰閾値VR_th_lowおよび第2復帰閾値VR_th_uppに基づいて、リレー30の寿命を予測する。これに限定されないで、予測部602は、復帰電圧VRについてのリレー30が正常であるときからの変化量に基づいて、リレー30の寿命を予測してもよい。例えば、予測部602は、取得部601によって取得された復帰電圧VRからリレー30が正常であるときの復帰電圧VRを減算することにより、復帰電圧VRの変化量を算出する。なお、リレー30が正常であるときの復帰電圧VRは、実験やシミュレーション等により設定される所定値に代えてもよい。
【0130】
また、予測部602は、復帰電圧VRの変化量が第3変化閾値以上、第4変化閾値以下であるとき、リレー30が正常であると判定する。なお、第3変化閾値および第4変化閾値は、リレー30が正常であると判定されるように、実験やシミュレーション等により設定される。また、第3変化閾値は、負の値である。さらに、第4変化閾値は、正の値である。
【0131】
また、予測部602は、復帰電圧VRの変化量が第3変化閾値未満であるとき、リレー30の寿命による異常があると判定する。さらに、予測部602は、復帰電圧VRの変化量が第4変化閾値よりも大きいとき、リレー30の寿命による異常があると判定する。
【0132】
また、予測部602は、作動電圧VSの変化量が第2変化閾値よりも大きく、かつ、復帰電圧VRの変化量が第3変化閾値未満であるとき、可動接点336および固定接点338が摩耗していると判定する。さらに、予測部602は、作動電圧VSの変化量が第1変化閾値未満、かつ、復帰電圧VRの変化量が第4変化閾値よりも大きいとき、可動接点336および固定接点338に突起360が形成されていると判定する。また、予測部602は、作動電圧VSの変化量が第1変化閾値未満、かつ、復帰電圧VRの変化量が第3変化閾値未満であるとき、板バネ334が劣化していると判定する。これらによって、リレー寿命予測装置60は、可動接点336、固定接点338および板バネ334の寿命が短いと判定することで、リレー30の寿命が短いと判定する。
【0133】
また、予測部602は、上記作動電圧VSおよび復帰電圧VRの条件が所定回数以上なったときに、リレー30が正常であるか否かを判定してもよい。これにより、瞬間的に上記作動電圧VSおよび復帰電圧VRの条件となったときに、リレー30の寿命による異常があると判定されないことで、予測部602による誤判定が抑制される。
【0134】
さらに、上記したように、取得部601が作動電圧VSおよび復帰電圧VRを取得するとき、コイル電圧Vcが変化しているため、取得部601が取得した作動電圧VSおよび復帰電圧VRには誤差が生じる。これに対して、予測部602は、取得部601によって取得された作動電圧VSから所定値を減算することによって、作動電圧VSを補正してもよい。これにより、取得部601が取得した作動電圧VSの誤差が小さくなる。また、予測部602は、取得部601によって取得された復帰電圧VRに所定値を加算することで、復帰電圧VRを補正してもよい。これによって、取得部601が取得した復帰電圧VRの誤差が小さくなる。なお、この補正に関する所定値は、作動電圧VSおよび復帰電圧VRの誤差が小さくなるように、実験やシミュレーション等により設定される。
【符号の説明】
【0135】
20 リレー寿命予測システム
30 リレー
305 コイル
330 スイッチ
40 駆動部
60 リレー寿命予測装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10