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特開2023-151061フィルターのリーク検査システム及びリーク検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151061
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】フィルターのリーク検査システム及びリーク検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/20 20060101AFI20231005BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20231005BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01M3/20 G
B01J20/20 A
B01D53/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060470
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】722014321
【氏名又は名称】東洋紡エムシー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 誠
(72)【発明者】
【氏名】水谷 晶徳
(72)【発明者】
【氏名】坂口 瞬
【テーマコード(参考)】
2G067
4D012
4G066
【Fターム(参考)】
2G067AA36
2G067BB02
2G067BB03
2G067CC11
2G067DD17
4D012BA03
4D012CA10
4D012CA14
4D012CB01
4D012CG01
4D012CG04
4D012CK08
4G066AA05B
4G066BA16
4G066CA12
4G066DA02
4G066DA03
(57)【要約】
【課題】フィルターボックス設置後のフィルターのリーク検査を、安定して実現できるシステムを提供すす。
【解決手段】フィルターボックスに設置されたフィルターのリーク検査システムにおいて、評価用液体を蒸発させる蒸気発生部と、前記蒸気発生部に評価用液体を供給する液体供給部と、前記蒸気発生部にて発生した蒸気を前記フィルターボックスに送り込む蒸気供給部と、を備え、前記蒸気供給部は、前記蒸気発生部を覆う覆部、送気部、及び送気配管を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルターボックスに設置されたフィルターのリーク検査システムにおいて、
評価用液体を蒸発させる蒸気発生部と、
前記蒸気発生部に評価用液体を供給する液体供給部と、
前記蒸気発生部にて発生した蒸気を前記フィルターボックスに送り込む蒸気供給部と、を備え、
前記蒸気供給部は、前記蒸気発生部を覆う覆部、送気部、及び送気配管を有することを特徴とする、リーク検査システム。。
【請求項2】
前記蒸気発生部は、架台に配置された加熱板を備え、
前記液体供給部は、当該加熱板に前記評価用液体を滴下して供給するよう構成されており、
前記覆部の下方には蒸気発生部への吸気が可能な隙間が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のリーク検査システム。
【請求項3】
前記フィルターには、少なくとも活性炭素繊維を用いたフィルターが含まれることを特徴とする請求項1または2に記載のリーク検査システム。
【請求項4】
前記覆部の上方には、吸い込み用のフレキシブル配管が設置され、
前記送気部により前記覆部内の前記蒸気を吸引して、前記フィルターボックスに供給すること特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載のリーク検査システム。
【請求項5】
前記蒸気の濃度が前記評価用液体の飽和濃度以下になるように調整されたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のリーク検査システム。
【請求項6】
前記評価用液体は、沸点90℃以上140℃以下でかつ20℃における蒸気圧が10kPa以下のフルオロカーボンであること特徴とする請求項1~5のいずれか1に記載のリーク検査システム。
【請求項7】
フィルターボックスに設置されたフィルターのリーク検査方法において、
請求項1~6のいずれか1に記載のリーク検査システムを用いることを特徴とするリーク検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルターのリーク検査システム及びリーク検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療施設や原子力施設などにおいては、放射性ヨウ素などのガス状の放射性物質が排出されるため、空調施設の気体処理経路中に空気浄化装置を設置し、発生した放射性気体分の濃度を法律に規制された基準値以下に低下させた後、施設外に排出している。そのため多くの施設では粒状活性炭を充填した充填層から構成されるフィルターユニットを用いて気体成分を除去する方法を採用している。こうしたフィルターユニットとしては、例えば鋼板またはSUS板からなる箱形フレーム内にガスケットを介して上下に各2枚の平行なパンチング板を設け、そのパンチング板の間に粒状活性炭を充填したものが知られている(特許文献1)。こうした粒状活性炭を主体とするフィルターユニットは充填時の重量が50kg以上あり、交換に多大な労力を必要としている。そこで除去効率の高い活性炭素繊維を用いたフィルターユニットが考案されている(特許文献2)。
【0003】
これまで、粒状活性炭を主体とするフィルターユニットは充填によって場合によっては充填の斑が形成され本来吸着すべき放射性気体分の除去が十分でないことが起こる。そのため、フィルターユニットは排気設備のフィルターボックスに設置された後、充填が均一であるかを確認するためにリーク検査を実施することがある。リーク検査は放射性物質ではない蒸気を短時間通過させ、上下流の測定された濃度から下流側のリーク率を求めるもので、元来フレオン112(フロンR-112)が用いられていたが、これはオゾン層破壊物質であり製造中止になった。そのため塩素を含まないフッ素系物質を用いた蒸気を用いて行っている(特許文献3)。特に現在ではパーフルオロヘキサン(C14)を用いた測定が一般的に行われている。
【0004】
活性炭素繊維を用いたフィルターユニットは、既に品質検査を終えた活性炭素繊維の不織布をジグザグに加工してその間に波型セパレータを挿入して形状を安定化し、外枠に糊付けして作成するため粒状活性炭のような充填斑は起きない。そのためリーク検査は本来不要である。しかし、利用者からは現在でも従来通りフィルターボックス設置後のリークテストを求められる場合が多く、対応せざるを得ないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭62-44239号公報
【特許文献2】特許第4549388号
【特許文献3】特許第5595110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィルターは排気系で用いられることが多いため、排気する室内の温湿度の空気がフィルターに供給される。この場合、空気は、温度は概ね室温で相対湿度は40~60%であることが多い。しかし、一般的に用いられているパーフルオロヘキサン(C14)をこの相対湿度範囲で使用した場合、活性炭素繊維を用いたフィルターではパーフルオロヘキサンを吸着することができず、リーク率が高く出てしまうことがあることがわかった。他方で、パーフルオロヘキサン以外の有機溶剤、例えばトルエンやヨウ化メチルでは十分な除去効率を示すため、製品としての不良ではない。また、こうした現象は正常な粒状活性炭を用いたフィルターでは起きないため、活性炭素繊維を用いたフィルターとパーフルオロヘキサンとの相性にかかわる現象である。
【0007】
活性炭素繊維を用いたフィルターは通気抵抗と除去効率のバランスを考えたうえで設計されているため、活性炭としての充填量が粒状活性炭に比べ低くなっていることが特徴で、空気中の水分の影響をより受けやすくなっていると考えられる。従来の技術でも揮発性の低いパーフルオロカーボンを使用することで湿度の影響を軽減することが検討されている(特許文献3)。しかしながら、パーフルオロカーボンは揮発性が乏しいため、従来公知である気化器を用いて測定に供する十分な濃度の蒸気を提供することが困難な状況にある。
【0008】
そこで、本発明は、フィルターボックス設置後のフィルターのリーク検査を、安定して実現できるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑み、鋭意検討した結果得られたものである。本発明は、以下の構成から成る。
【0010】
(1)フィルターボックスに設置されたフィルターのリーク検査システムにおいて、評価用液体を蒸発させる蒸気発生部と、前記蒸気発生部に評価用液体を供給する液体供給部と、
前記蒸気発生部にて発生した蒸気を前記フィルターボックスに送り込む蒸気供給部と、を備え、前記蒸気供給部は、前記蒸気発生部を覆う覆部、送気部、及び送気配管を有することを特徴とする、リーク検査システム。
(2)前記蒸気発生部は、架台に配置された加熱板を備え、前記液体供給部は、当該加熱板に前記評価用液体を滴下して供給するよう構成されており、前記覆部の下方には蒸気発生部への吸気が可能な隙間が設けられている(1)に記載のリーク検査システム。
(3)前記フィルターには、少なくとも活性炭素繊維を用いたフィルターが含まれる(1)または(2)に記載のリーク検査システム。
(4)前記覆部の上方には、吸い込み用のフレキシブル配管が設置され、前記送気部により前記覆部内の前記蒸気を吸引して、前記フィルターボックスに供給する(1)~(3)のいずれか1に記載のリーク検査システム。
(5)前記蒸気の濃度が前記評価用液体の飽和濃度以下になるように調整された(1)~(4)のいずれか1に記載のリーク検査システム。
(6)前記評価用液体は、沸点90℃以上140℃以下でかつ20℃における蒸気圧が10kPa以下のフルオロカーボンである(1)~(5)のいずれか1に記載のリーク検査システム。
(7)フィルターボックスに設置されたフィルターのリーク検査方法において、(1)~(6)のいずれか1に記載のリーク検査システムを用いることを特徴とするリーク検査方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、フィルターボックス設置後のフィルターのリーク検査を安定して実施することができる。特に揮発性の低いフルオロカーボンを用いても安定して実施できる。よって、例えば、医療施設や原子力施設などで発生したガス状の放射性物質を捕集除去するための、活性炭素繊維を用いた放射性物質除去フィルターの品質検査を安定して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】トレー型の活性炭素繊維製放射性物質除去フィルターユニットを示す斜視組立図である。
図2】610角型活性炭素繊維製放射性物質除去フィルターユニットを示す斜視組立図である。
図3】一般的なフィルターボックスの概略図および正面図である。
図4】本発明の一実施形態のリーク検査システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のリーク検査システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図中、同じ構成部材については同じ番号を付すものとする。
【0014】
まず、本実施の形態のリーク検査システムの検査対象になるフィルターの例について説明する。フィルターは、例えば、図1に示すような610角型のフィルターユニット30aや、図2に示すようなトレー型のフィルターユニット30bのようにフィルターユニットとして存在してもよい。フィルターやフィルターユニットは、形状や規格風量が異なるため各々の形状に応じたフィルターボックスが用意される。
【0015】
フィルターボックスの一例の外観の斜視図を図3に、正面図を図4に示す。フィルターボックス20は、フィルター(フィルターユニット)を設置させて格納する筐体である。本実施の形態では、フィルターボックスには、プレフィルター、HEPAフィルター、及びヨウ素除去フィルターが配置されている。ヨウ素除去フィルターは、例えば粒状活性炭を用いたケミカルフィルターであってもよい。しかし、粒状活性炭の有する問題、特に重量に関わるメンテナンス性の悪さを改善するため、活性炭素繊維を用いたフィルターであるのが好ましい。フィルターボックスに20に設置されるのは、上記フィルターに限定されず、ヨウ素除去フィルター以外の放射性物質除去フィルターでも、他のフィルターでもよい。
【0016】
フィルターボックス20は、放射性同位元素を扱う室内の排気系に設置され、フィルターを格納するボックス本体1を有し、室内から伸びた送気ダクト10がフィルターボックス20の上流にある上流ダクト2に接続される。フィルターを通じて正常化された空気はフィルターボックス20の下流ダクト3に接続された排気ダクトを通じて室外に排気される。
【0017】
ボックス本体1には、プレフィルター、HEPAフィルター、及びヨウ素フィルターを設置するスペースが設けられており、そのために開閉する蓋(プレフィルター設置蓋4、HEPAフィルター設置蓋5、ヨウ素フィルター設置蓋6)を通じて、各フィルターが設置される。各フィルターを設置後、正しく設置されたかを確認するリーク検査は、上流側送気ダクト9から揮発させた評価用液体の蒸気を導入し、濃度測定用の上流側サンプリング口7、下流側サンプリング口8から細管を挿入して、同時にガスをサンプリングし、上下流の蒸気濃度を測定する。フィルターボックス20内の気流の流れは下流側の排出ダクト3に接続されたブロアー(図示せず)によって作られる。
【0018】
続いて図4を用いて、本実施の形態のリーク検査システム100について説明する。リーク検査システム100は、従来の粒状活性炭を充填したヨウ素フィルターでは用いられない揮発性の低いフルオロカーボンを効率よく揮発させて安定した濃度でリーク検査ができるシステムである。
【0019】
リーク検査システム100は、評価用液体を蒸発させて蒸気を発生させる蒸気発生部として加熱板13、加熱板13に評価用液体を定量供給する液体供給部として定量ポンプ11、発生した蒸気を前記フィルターボックス20に送り込む蒸気供給部と、を備える。上記供給部は、フード14、ブロアー16、送気管17を備える。
【0020】
定量ポンプ11によって所定の濃度を得るための必要量の評価用液体が導入管12を通じて、加熱板13上に滴下される。加熱板13にて発生した蒸気は、効率よく吸引されるように、加熱板13の周りはフード(覆部)14で覆われており、蒸気は、フレキシブルダクト15を通じて接続されたブロアー16によって吸引され、送気管17を通じて、図3に示す蒸気導入口10に送られる。
【0021】
評価用液体をより効率よく揮発させるためには、加熱板13の設定温度が供給する液体の沸点より高い温度、特に沸点より20℃以上、好ましくは30℃以上であることが必要である。さらに供給される空気が効率よくフード14内に供給されるためには、フード14の下方から吸気できりょうに、フード14の下部分に隙間が構成されていることが必要である。隙間の幅や面積は導入する空気量によって好適に設定される。
【0022】
加熱板14は、例えば、市販のホットプレートが用いることができるがこれに限定されない。加熱板13の上面が平坦であると、評価用液体の供給量が多くなる場合、評価用液体が加熱板13に落下して液体のまま散逸してしまう可能性がある。そのため上面に凹凸をつけたり、曲面にするなどして加熱板13の表面積を多くすることが好ましい。
【0023】
また、評価用液体の散逸を防止するための方策としては、例えば1~3mmの金属ボールを加熱板の上に2~3層になるように充填してもよい。この場合、金属ボールはできるだけ熱伝導性の高いアルミが好適に使用される。
【0024】
また、評価用液体を加熱板13の上に適度に散らすために、動入管12の先端と加熱板13の間隔を適宜調整することが好ましく、例えば、加熱板13の下にスタンドなどの高さが調整可能な架台18を用意することが好ましい。
【0025】
発生した蒸気は、もともと揮発性が低いため、あまり濃度が高くならなかったり、送り込む際の温度が低い場合、発生させた蒸気が液化し、フレキシブルダクトや送気管に付着して設定された濃度にならない場合がある。そのため、発生時の蒸気の濃度は飽和濃度未満に設定する必要がある。飽和濃度は空気の温湿度や送り込む流量によって決定されるので、送り込む際の温度はできるだけ高くした方がよい。特に冬季の場合は空気が極端に低くなるためにフレキシブルダクト15を断熱構造にしたり、送気管17を温めて常温にすることが好ましい。発生させた蒸気は蒸気導入口10を通じてフィルターボックス20に導入され、公知による濃度測定方法によって上流側、下流側の濃度を測定することが可能となる。
【0026】
次に本発明に用いる評価用液体について説明する。通常はカーボン数6のパーフルオロヘキサン(C14)が用いられるが、本発明では沸点90℃以上140℃以下でかつ20~25℃における蒸気圧が10kPa以下のフルオロカーボンである。特に1、1、1、2、2、3、4、5、5、5-デカフルオロ-3-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)-ペンタン((C13O)(例えば商品名『NOVEC 7300』沸点97.8℃、蒸気圧5.6kPa)、N、N-ビスヘプタフルオロプロピルヘプタフルオロプロピルアミン(C21N)(例えば商品名「Fluorinart FC-3283」沸点128℃、蒸気圧1.9kPa)が好適である。これらより沸点が低く蒸気圧が高い、すなわち揮発性が高いものでも特に発生は問題なく行われるが活性炭素繊維のリーク検査としては通常での相対湿度では下流側にリークする場合があり、これよりも揮発性が低いものでは揮発が困難であり、好ましくない。また、本発明における蒸気の揮発はフルオロカーボンが対象であり、それ以外の物質、たとえば塩素系化合物などでは揮発が困難な状況である。
【0027】
本実施の形態のリーク検査システム100により、フィルターボックス設置後のフィルターのリーク検査を安定して実施することができる。特に揮発性の低いフルオロカーボンを用いても安定して実施できる。よって、例えば、医療施設や原子力施設などで発生したガス状の放射性物質を捕集除去するための、活性炭素繊維を用いた放射性物質除去フィルターの品質検査を安定して実施できる。
【実施例0028】
次に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。以下に試験方法について説明する。
1.フィルターユニットと環境
処理風量は16000m/hrとした。評価対象のフィルターユニットとして、株式会社ワカイダ・エンジニアリング製トレー型フィルターユニットWAC-678(定格風量10m/min)を用い、フィルターボックス20内に配置させた。排出される空気の温度は14℃で湿度は40%であった。
【0029】
2.蒸気発生器の設置
表面設定温度165℃に加熱した30cm角の加熱板13を架台18上に高さ100mmになるよう設置した。加熱板13上には5mmφの球状のビーズを15mm程度の厚みになるように敷き詰め、表面温度が160℃になるまで待機した。
評価用液体として「Fluorinart FC-3283」を用いて、供給量が162g/minになるように定量ポンプ11を調整して流量を設定した。加熱板13に塩化ビニル製のフード14(幅560mm×奥行500mm×高さ800mm)を被せ、接地面から50mmの隙間を作るようにフード14を上げておいた。
長さ1m、直径150mmのフレキシブルダクト15の一端をフード14上方に取り付け、フレキシブルダクト15の他端をブロアー16に接続した。ブロアー16と蒸気導入口10の間は内径20mmのヒーター付きの送気管17(3m)を接続して温度33℃に設定した。
【0030】
3.蒸気の導入と蒸気濃度測定
加熱板および導入管の温度が設定値になったことを確認した後、評価用液体の供給を開始した。評価用液体は加熱板上の外に飛び散らないように導入管の位置を調整した。ブロアーの吐出量が0.78m/minになるように調製し、導入管の終端部分のガスをサンプリングして濃度測定を行い、濃度が温度30℃で10700ppmであることを確認した。なお、FC-3283の飽和濃度は飽和蒸気圧1866.5Paからドルトンの分圧の法則より18Vol%(18000ppm)でであると推定し、それ以下の濃度になっていることを確認した。
【0031】
4.フィルターボックス中の濃度測定
上流側サンプリング口7、および下流側サンプリング口8に吸引ポンプと3Lのガス捕集袋を接続し、蒸気発生から2分後に5L/minの速度でガスを同時にサンプリングした。入口濃度は炭化水素計(島津製作所製HCM-1B)、蒸気の設定濃度がおおむね30±5ppmになるように事前に設定した。
【0032】
5.リーク率の計算
以下の数式によってフィルターのリーク率を算出した。
リーク率(%)={(下流側濃度-下流側ブランク)/(上流側濃度-上流側ブランク)}×100
【0033】
結果は、次の通りであった。
上流側:29.25ppm(ブランク:0.72ppm)
下流側:0.90ppm(ブランク:0.98ppm)
このように、下流側の濃度がブランク値より低くなる結果となったことより、リーク率はゼロであることがわかる。
【0034】
なお、上記開示した実施形態および各実施例はすべて例示であり制限的なものではない。また、実施の形態および各実施例で開示した構成を適宜組み合わせた実施の形態や実施例も本発明に含まれる。つまり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって有効であり、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内のすべての変更・修正・置き換え等を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のリーク検査システムにより、フィルターボックスに設置されたフィルターについて、一般的な室内環境下で実施されるリーク検査において、環境の湿度に影響されない状態で評価できる。これはフィルターの品質を保証する上で大変有用であり、産業に大いに貢献できる。
【符号の説明】
【0036】
1 : ボックス本体
2 : 吸入ダクト
3 : 排出ダクト
4 : プレフィルター取付蓋
5 : HEPAフィルター取付蓋
6 : ヨウ素フィルター取付蓋
7 : 上流側サンプリング口
8 : 下流側サンプリング口
9 : 送気ダクト
10 : 蒸気導入口
11 : 定量ポンプ(液体供給部)
12 : 導入管
13 : 加熱板
14 : フード(覆部)
15 : フレキシブルダクト(フレキシブル配管)
16 : ブロアー(送気部)
17 : 送気管
18 : 架台
20 : フィルターボックス
30,30a,30b :フィルターユニット
100: リーク検査システム
図1
図2
図3
図4