(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151072
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】送風装置及び理美容装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/58 20060101AFI20231005BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20231005BHJP
A45D 20/12 20060101ALI20231005BHJP
A45D 20/10 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F04D29/58 P
H02K7/14 A
A45D20/12 C
A45D20/10 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060493
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池水 大夢
(72)【発明者】
【氏名】谷川 雅一
【テーマコード(参考)】
3B040
3H130
5H607
【Fターム(参考)】
3B040CD00
3B040CG00
3H130AA13
3H130AB02
3H130AB12
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC27
3H130BA33A
3H130BA33G
3H130BA66A
3H130BA66G
3H130CA05
3H130CB01
3H130CB06
3H130DA02Z
3H130DD01X
3H130EB02A
3H130EB02G
5H607AA02
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC05
5H607CC09
5H607DD03
5H607DD08
5H607DD17
5H607DD19
5H607FF04
5H607GG01
5H607JJ02
5H607JJ04
5H607JJ06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】送風量の低下を抑制しつつ、ステータを冷却することのできる送風装置を提供する。
【解決手段】送風装置の筐体は、軸方向に延びてロータ及びステータを囲む筒部を有する。筒部は、軸方向他方端部から軸方向一方に延びる第1開口を有する。筒部の軸方向一方端部から径方向内方に広がる蓋部は、第2開口を有する。筒部の軸方向他方端部から径方向内方に広がる底部は、径方向外端部から径方向内方に延びて第1開口と繋がる第3開口を有する。第3開口は、底部の軸方向他方部に配置されるスペーサの平板部に面する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心に回転可能なシャフトを有するロータと、
前記ロータと径方向に対向するステータと、
前記シャフトとともに回転可能なインペラと、
前記ロータ、前記ステータ、及び前記インペラを収容する筐体と、
前記筐体に取り付けられるスペーサと、
を備え、
前記インペラは、
前記シャフトの軸方向一方端部に配置されて、前記シャフトから径方向外方に広がるハブと、
前記ハブの径方向外端部から径方向外方に延びる動翼と、
を有し、
前記筐体は、
軸方向に延びて前記ロータ及び前記ステータを囲む筒部と、
前記筒部の軸方向一方端部から径方向内方に広がる蓋部と、
前記筒部の軸方向他方端部から径方向内方に広がる底部と、
軸方向に延びる筒状であって、前記インペラ及び前記筒部を囲む外側筐体部と、
を有し、
前記筒部の軸方向一方端部は、前記ハブよりも軸方向他方に配置され、且つ、前記ハブの径方向外端部と同じ径方向位置、又は、前記ハブの径方向外端部よりも径方向内方に配置され、
前記筒部は、前記筒部の軸方向他方端部から軸方向一方に延びて前記筒部を径方向に貫通する第1開口を有し、
前記蓋部は、前記蓋部を軸方向に貫通する第2開口を有し、
前記底部は、前記底部を軸方向に貫通する第3開口を有し、
前記スペーサは、前記底部の軸方向他方部に配置されて径方向に広がる平板部を有し、
前記第3開口は、前記底部の径方向外端部から径方向内方に延びて前記第1開口と繋がり、前記平板部に面する、送風装置。
【請求項2】
前記ステータは、
前記ロータと径方向に対向するステータコアと、
前記ステータコアに配置されるコイル部と、
を有し、
前記第2開口は、前記コイル部と軸方向に重なる、請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記コイル部は、複数であって、周方向に並び、
前記第2開口は、周方向に隣り合う前記コイル部間の空間と軸方向に重なる、請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記平板部よりも軸方向他方に配置されて、軸方向と交差する方向に広がる基板をさらに備え、
前記スペーサは、
前記平板部から軸方向一方に延びて前記筐体に接続される第1接続部と、
前記平板部から軸方向他方に延びて前記基板に接続される第2接続部と、
をさらに有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項5】
前記平板部は、電気絶縁性を有する、請求項4に記載の送風装置。
【請求項6】
前記第1接続部は、複数であって、周方向において等間隔に配置される、請求項4又は請求項5に記載の送風装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記底部の径方向内端部に配置されるベアリングホルダをさらに有し、
前記ベアリングホルダは、ベアリングを介して前記シャフトを回転可能に支持し、
複数の前記第1接続部は、前記ベアリングホルダに接続される、請求項6に記載の送風装置。
【請求項8】
前記ベアリングは、前記シャフトの軸方向他方端部に配置され、
前記平板部は、軸方向他方に凹む第1凹部を有し、
前記第1凹部は、前記ベアリングの軸方向他方端部の全てと軸方向に重なる、請求項7に記載の送風装置。
【請求項9】
前記第1接続部は、
前記平板部から軸方向一方に延びる柱部と、
前記柱部から軸方向と交差する方向に突出し、前記筐体に引っ掛けられる爪部と、
を有する、請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項10】
前記平板部は、前記平板部を軸方向に貫通する第1貫通孔を有し、
前記第1貫通孔は、前記第1爪部の全てと軸方向に重なる、請求項9に記載の送風装置。
【請求項11】
前記第2接続部は、複数であって、周方向において等間隔に配置される、請求項4から請求項10のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項12】
前記第2接続部は、前記基板の径方向外端部に接続される、請求項4から請求項11のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項13】
前記基板は、前記平板部の軸方向他方端部に接し、
前記第2接続部は、
前記平板部から軸方向他方に延びる第2柱部と、
前記第2柱部から軸方向と交差して前記基板に向かう方向に突出し、前記基板に引っ掛けられる第2爪部と、
を有する、請求項4から請求項12のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項14】
前記平板部は、前記平板部を軸方向に貫通する第2貫通孔をさらに有し、
前記第2貫通孔は、前記第2爪部の全てと軸方向に重なる、請求項13に記載の送風装置。
【請求項15】
前記平板部は、
軸方向一方に凹むとともに前記基板を臨んで開口する基板側凹部と、
軸方向から見て前記基板側凹部を囲む周壁部と、
を有し、
前記周壁部の軸方向他方端部には、前記基板が接する、請求項13又は請求項14に記載の送風装置。
【請求項16】
前記平板部は、軸方向一方に凹むとともに前記基板を臨んで開口する基板側凹部を有する、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項17】
前記ステータは、前記ステータの軸方向他方端部において軸方向他方に延びる第1延出部をさらに有し、
前記スペーサは、前記平板部から軸方向一方に延びて、周方向に並ぶ一対の支持部を有し、
一方の前記支持部は前記第1延出部の周方向一方端部に接し、他方の前記支持部は前記第1延出部の周方向他方端部に接する、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項18】
前記支持部は、
前記平板部から軸方向一方に突出して径方向に広がる第1壁部と、
前記平板部から軸方向一方に突出して、前記第1壁部から軸方向と垂直であり且つ径方向と交差する方向に広がる第2壁部と、
を有する、請求項17に記載の送風装置。
【請求項19】
前記底部は、前記筒部の軸方向一方端部から径方向内方に延びる第2延出部を有し、
前記第2延出部は、前記第1延出部と前記支持部とに対して周方向に並ぶ、請求項17又は請求項18に記載の送風装置。
【請求項20】
前記平板部は、軸方向他方に凹む第2凹部を有し、
前記第2凹部は、前記シャフトの軸方向他方端部と軸方向に重なる、請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の送風装置。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の送風装置を搭載する、理美容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置及び理美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアドライヤーなどの送風機能を有する装置が知られている。たとえば、ヘアドライヤーのファンは、後端に蓋を有する円筒状の基台を有し、外周壁に羽根が形成される。ファンを駆動するモータは、ファンの基台の内部にマグネットリングが固定されたロータと、コアにコイルが巻装されてロータの径方向内方に配置されるステータと、を有する。基台の前端には、ホルダーがその内部に収納固定される。(たとえば特開2001-178528号公報)
【0003】
送風装置の出力を上げると、モータ(特にステータ)の発熱量が大きくなる。このような発熱は、ファンから送出される空気の一部をモータ内に導入することで、解消できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モータの内部に空気を導入すると、送風装置の風量が低下することになる。
【0006】
本発明は、送風量の低下を抑制しつつ、ステータを冷却することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な送風装置は、ロータと、ステータと、インペラと、筐体と、スペーサと、を備える。前記ロータは、シャフトを有する。前記シャフトは、軸方向に延びる中心軸を中心に回転可能である。前記ステータは、前記ロータと径方向に対向する。前記インペラは、前記シャフトとともに回転可能である。前記筐体は、前記ロータ、前記ステータ、及び前記インペラを収容する。前記スペーサは、前記筐体に取り付けられる。前記インペラは、ハブと、動翼と、を有する。前記ハブは、前記シャフトの軸方向一方端部に配置されて、前記シャフトから径方向外方に広がる。前記動翼は、前記ハブの径方向外端部から径方向外方に延びる。前記筐体は、筒部と、蓋部と、底部と、外側筐体部と、を有する。前記筒部は、軸方向に延びて前記ロータ及び前記ステータを囲む。前記蓋部は、前記筒部の軸方向一方端部から径方向内方に広がる。前記底部は、前記筒部の軸方向他方端部から径方向内方に広がる。前記外側筐体部は、軸方向に延びる筒状であって、前記インペラ及び前記筒部を囲む。前記筒部の軸方向一方端部は、前記ハブよりも軸方向他方に配置され、且つ、前記ハブの径方向外端部と同じ径方向位置、又は、前記ハブの径方向外端部よりも径方向内方に配置される。前記筒部は、前記筒部の軸方向他方端部から軸方向一方に延びて前記筒部を径方向に貫通する第1開口を有する。前記蓋部は、前記蓋部を軸方向に貫通する第2開口を有する。前記底部は、前記底部を軸方向に貫通する第3開口を有する。前記スペーサは、前記底部の軸方向他方部に配置されて径方向に広がる平板部を有する。前記第3開口は、前記底部の径方向外端部から径方向内方に延びて前記第1開口と繋がり、前記平板部に面する。
【0008】
本発明の例示的な理美容装置は、上記の送風装置を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の例示的な送風装置及び理美容装置によれば、送風量の低下を抑制しつつ、ステータを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る送風装置の構成例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、送風装置の軸方向他方側の斜視図である。
【
図3】
図3は、軸方向一方から他方を向いて見た送風装置の平面図である。
【
図4】
図4は、静翼を径方向内方から径方向外方に向かって見た図である。
【
図5A】
図5Aは、スペーサの軸方向一方側の構成例を示す斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、スペーサの軸方向他方側の構成例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、送風装置を搭載する理美容装置の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0012】
なお、本明細書では、送風装置100において、中心軸CAと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、後述するスペーサ6からインペラ3への向きを「軸方向一方Da1」と呼び、インペラ3からスペーサ6への向きを「軸方向他方Da2」と呼ぶ。また、中心軸CAに直交する方向を「径方向」と呼び、中心軸CAを中心とする回転方向を「周方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸CAへと近づく向きを「径方向内方」と呼び、中心軸CAから離れる向きを「径方向外方」と呼ぶ。
【0013】
また、本明細書において、「環状」は、中心軸CAを中心とする周方向の全域に渡って切れ目の無く連続的に一繋がりとなる形状のほか、中心軸CAを中心とする全域の一部に1以上の切れ目を有する形状を含む。また、中心軸CAを中心として、中心軸CAと交差する曲面において閉曲線を描く形状も含む。
【0014】
また、方位、線、及び面のうちのいずれかと他のいずれかとの位置関係において、「平行」は、両者がどこまで延長しても全く交わらない状態のみならず、実質的に平行である状態を含む。また、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者が互いに90度で交わる状態のみならず、実質的に垂直である状態及び実質的に直交する状態を含む。つまり、「平行」、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者の位置関係に本発明の主旨を逸脱しない程度の角度ずれがある状態を含む。
【0015】
なお、これらは単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係、方向、及び名称などを限定する意図はない。
【0016】
<1.実施形態>
図1は、本実施形態に係る送風装置100の構成例を示す断面図である。
図2は、送風装置100の軸方向他方Da2側の斜視図である。
図3は、軸方向一方Da1から他方Da2を向いて見た送風装置100の平面図である。なお、
図3では、筐体4の軸方向一方端部の構成が理解できるように、インペラ3の図示を省略している。
【0017】
送風装置100は、ロータ1と、ステータ2と、インペラ3と、筐体4と、基板5と、スペーサ6と、を有する。ロータ1及びステータ2は、送風装置100のモータ部を構成する。
【0018】
<1-1.ロータ1>
ロータ1は、軸方向に延びる中心軸CAを中心にして回転可能である。ロータ1は、シャフト11と、マグネット12と、を有する。
【0019】
シャフト11は、円柱形状であって、中心軸CAに沿って軸方向に延びる。シャフト11は、軸方向に延びる中心軸CAを中心に回転可能である。前述の如く、送風装置100は、ロータ1を備える。ロータ1は、シャフト11を有する。
【0020】
マグネット12は、シャフト11の径方向外側面に配置される。マグネット12では、互いに異なる磁極(N極及びS極)が周方向において交互に配列する。マグネット12は、中心軸CAを囲む環状であってもよいし、周方向に配置される複数の磁石片を含む構成であってもよい。
【0021】
<1-2.ステータ2>
ステータ2は、ロータ1と径方向に対向する。前述の如く、送風装置100は、ステータ2を備える。ステータは2、ステータコア21と、インシュレータ22と、コイル部23と、渡り線カバー24と、延出部25と、絡げピン26と、を有する。
【0022】
ステータコア21は、ロータ1(特にマグネット12)と径方向に対向する。前述の如く、ステータ2は、ステータコア21を有する。本実施形態では、ステータ2は、ロータ1(特にマグネット12)よりも径方向外方に配置される。ステータコア21は、磁性体であり、本実施形態では電磁鋼板が軸方向に積層された積層体である。
【0023】
ステータコア21は、コアバック211と、ティース212と、を有する。コアバック211は、本実施形態ではロータ1を囲んで軸方向に延びる筒状である。但し、この例示に限定されず、コアバック211は、軸方向に延びて周方向に複数配置されるコアバック片で構成されてもよい。ティース212は、コアバック211から径方向内方に延び、マグネット12と径方向に対向する。ティース212は、周方向に隙間を有して複数配置される。なお、以下では、周方向に隣り合うティース212間の隙間を「スロット213」と呼ぶことがある。
【0024】
ステータ2は、インシュレータ22をさらに有する。インシュレータ22は、ステータコア21(特にティース212)に配置され、その表面を覆う。インシュレータ22には、樹脂などの電気絶縁性を有する材料が用いられる。インシュレータ22は、第1インシュレータ部221と、第2インシュレータ部222と、を有する。第1インシュレータ部221は、ステータコア21の軸方向一方Da1側の部分に配置されて、その表面を覆う。第1インシュレータ部221は、軸方向一方Da1側からステータコア21に嵌め込まれる。第2インシュレータ部222は、ステータコア21の軸方向他方Da2側の部分に配置されて、その表面を覆う。第2インシュレータ部222は、軸方向他方Da2側からステータコア21に嵌め込まれる。第2インシュレータ部222の軸方向一方端部は、第1インシュレータ部221の軸方向他方端部に接続される。
【0025】
コイル部23は、ステータコア21に配置される。前述の如く、ステータ2は、ステータコア21をさらに有する。コイル部23は、複数であって、周方向に並ぶ。コイル部23は、導線(図示省略)がインシュレータ22を介してステータコア21に配置された部材である。より詳細には、導線は、インシュレータ22を介してティース212に巻き回される。周方向において、コイル部23は、スロット213の一部を占める。導線は、たとえばエナメル被覆銅線、絶縁部材で被覆された金属線などである。コイル部23に駆動電流が供給されると、ステータ2は、励磁されてロータ1を駆動する。
【0026】
渡り線カバー24は、ステータ2の軸方向他方端部に取り付けられ、コイル部23の軸方向他方Da2側のコイルヘッド(符号省略)を覆うとともに、各々のコイル部23間を接続する渡り線(図示省略)などを径方向から覆う。渡り線カバー24は、たとえば樹脂製であって、軸方向他方Da2側のコイルヘッド(符号省略)及び渡り線を筐体4(特に後述する第2筐体部42)から電気的に絶縁する。
【0027】
延出部25は、ステータ2の軸方向他方端部において軸方向他方Da2に延びる。延出部25は、本発明の「第1延出部」の一例である。前述の如く、ステータ2は、延出部25を有する。延出部25には、樹脂などの電気絶縁性を有する材料が用いられる。延出部25は、第2インシュレータ部222から軸方向他方Da2に延び、絡げピン26を保持する。本実施形態では、延出部25及び第2インシュレータ部222は、一体であって、単一の部材を構成する。但し、この例示に限定されず、両者は、別体であってもよい。
【0028】
絡げピン26は、たとえば金属製であり、ステータ2の軸方向他方Da2側において軸方向に延びる。絡げピン26には、コイル部23の導線の端部が接続される。また、絡げピン26の軸方向他方端部は、基板5上の配線と電気的に接続される。
【0029】
<1-3.インペラ3>
インペラ3は、シャフト11とともに回転可能である。前述の如く、送風装置100は、インペラ3を備える。
【0030】
インペラ3は、ハブ31と、動翼32と、を有する。ハブ31は、シャフト11の軸方向一方端部に配置されて、シャフト11から径方向外方に広がる。動翼32は、ハブ31の径方向外端部から径方向外方に延びる。動翼32は、軸方向に延びる中心軸CAを中心にして周方向に回転可能である。
【0031】
ロータ1とともにインペラ3が回転することにより、動翼32は、中心軸CAを中心に回転する。これにより、インペラ3は、筐体4の軸方向一方端部から吸引した空気Arを軸方向他方Da2に送出する。
【0032】
<1-4.筐体4>
筐体4は、ロータ1、ステータ2、及びインペラ3を収容する。前述の如く、送風装置100は、筐体4を備える。筐体4は、第1筐体部41と、第2筐体部42と、を有する。第2筐体部42は、第1筐体部41に接続される。本実施形態では、第1筐体部41及び第2筐体部42はそれぞれ、亜鉛合金を材料とする鋳造成型品である。但し、第1筐体部41及び第2筐体部42の材料及び製造方法は、この例示には限定されない。
【0033】
<1-4-1.第1筐体部41>
第1筐体部41は、シャフト11の軸方向一方Da1側を保持する。第1筐体部41は、第1筒部411と、蓋部412と、第1ベアリングホルダ413と、外側筐体部414と、静翼415と、を有する。
【0034】
第1筒部411は、軸方向に延びて、ロータ1及びステータ2の軸方向一方Da1側を囲む。なお、以下では、第1筒部411と第2筐体部42の後述する第2筒部421とを「筒部401」と総称することがある。筒部401は、軸方向に延びて、ロータ1及びステータ2を囲む。筐体4は、筒部401を有する。筒部401(詳細には、第1筒部411)の軸方向一方端部は、インペラ3のハブ31よりも軸方向他方Da2に配置される。また、筒部401(詳細には、第1筒部411)の軸方向一方端部は、ハブ31の径方向外端部と同じ径方向位置、又は、ハブ31の径方向外端部よりも径方向内方に配置される。これにより、動翼32によって軸方向他方Da2に送出される空気Arが軸方向における第1筒部411及びハブ31間に流れ込むことを防止できる。従って、空気Arを軸方向他方Da2に向けてスムーズに流すことができる。
【0035】
第1筒部411は、第1周壁部4111を有する。第1周壁部4111は、第1筒部411の軸方向他方端部において軸方向他方Da2に延びる。さらに、第1周壁部4111は、周方向に延びて、ロータ1及びステータ2を囲む。本実施形態では、第1周壁部4111は、中心軸CAを囲む環状である。但し、この例示に限定されず、第1周壁部4111は、周方向に複数配置される構成であってもよい。この場合さらに、各々の第1周壁部4111は、軸方向から見て、円弧形状であってもよい。
【0036】
蓋部412は、筒部401(詳細には第1筒部411)の軸方向一方端部から径方向内方に広がる。前述の如く、筐体4は、蓋部412を有する。蓋部412は、開口4121を有する。開口4121は、本発明の「第2開口」の一例であり、蓋部412を軸方向に貫通する。開口4121は、ハブ31と第1筒部411の軸方向一方端部及び蓋部412との間を通じて、後述する風洞402に連通する。
【0037】
第1ベアリングホルダ413は、蓋部412の径方向内端部に配置される。第1ベアリングホルダ413は、ステータ2よりも軸方向一方Da1に配置され、第1ベアリング4131を介してシャフト11を回転可能に支持する。第1ベアリング4131は、シャフト11の軸方向一方端部に配置される。より詳細には、第1ベアリングホルダ413及び第1ベアリング4131は、ステータコア21及びコイル部23よりも軸方向一方Da1に配置される。
【0038】
外側筐体部414は、軸方向に延びる筒状であって、インペラ3及び筒部401を囲む。前述の如く、筐体4は、外側筐体部414を有する。たとえば、
図1では、外側筐体部414は、インペラ3、第1筒部411、及び、第2筒部421の軸方向一方Da1側を囲む。
【0039】
外側筐体部414は、筒部401(特に第1筒部411)とともに、風洞402を構成する。筐体4は、風洞402を有する。風洞402は、インペラ3から送出される空気Arが流れる通路であり、筒部401及び外側筐体部414間に配置され、軸方向に延びる。風洞402の軸方向一方端部は、外側筐体部414の軸方向一方端部であって、送風装置100の外部に開口する。風洞402の軸方向他方端部は、外側筐体部414の軸方向他方端部と筒部401との間に配置され、送風装置100の外部に開口する。インペラ3が回転する際、風洞402の軸方向一方端部は、外部から空気Arを吸引する吸気口として機能する。風洞402の軸方向他方端部は、外部に空気Arを送出する排気口として機能する。
【0040】
静翼415は、筒部401(特に第1筒部411)及び外側筐体部414間において、周方向に複数配置される。静翼415の径方向内端部は、第1筒部411に接続される。静翼415の径方向外端部は、外側筐体部414に接続される。静翼415は、動翼32よりも軸方向他方Da2側に配置され、少なくとも軸方向に延びる。
図4は、静翼415を径方向内方から径方向外方に向かって見た図である。
図4に示すように、静翼415の軸方向一方Da1側は、動翼32の回転方向前方に向かって周方向に延びる。
【0041】
<1-4-2.第2筐体部42>
第2筐体部42は、有底筒状であり、シャフト11の軸方向他方Da2側を保持する。第2筐体部42は、第1筒部411の軸方向他方端部に接続される。第2筐体部42は、第2筒部421と、底部422と、第2ベアリングホルダ423と、を有する。
【0042】
第2筒部421は、第1筒部411よりも軸方向他方Da2に配置され、軸方向に延びて、ロータ1及びステータ2の軸方向他方Da2側を囲む。
【0043】
第2筒部421は、第2周壁部4211と、開口4212と、アーム部4213と、を有する。
【0044】
第2周壁部4211は、第2筒部421の軸方向一方端部において軸方向一方Da1に延びる。さらに、第2周壁部4211は、周方向に延びて、ロータ1及びステータ2を囲む。本実施形態では、第2周壁部4211は、第1周壁部4111と同様に、中心軸CAを囲む環状である。但し、この例示に限定されず、第2周壁部4211は、周方向に複数配置される構成であってもよい。この場合さらに、各々の第2周壁部4211は、軸方向から見て、円弧形状であってもよい。
【0045】
また、本実施形態では、第2周壁部4211は、第1周壁部4111の径方向外端部に配置され、第1周壁部4111と径方向に重なって接する。但し、本実施形態の例示に限定されず、第2周壁部4112は、第1周壁部4111の径方向内端部に配置されてもよい。つまり、第1周壁部4111及び第2周壁部4211のうちの一方の周壁部は、他方の周壁部の径方向外端部に配置されればよい。こうすれば、他方の周壁部を一方の周壁部に圧入することにより、第1筒部411及び第2筒部421を接続できる。
【0046】
開口4212は、本発明の「第1開口」の一例であり、筒部401(詳細には、第2筒部421)を径方向に貫通する。前述の如く、第2筒部421は、開口4212を有する。開口4212は、筒部401(詳細には、第2筒部421)の軸方向他方端部から軸方向一方Da1に延びる。
【0047】
アーム部4213は、第2筒部421の軸方向他方端部において軸方向他方Da2に延びる。アーム部4213は、周方向に複数並ぶ。周方向に隣り合うアーム部4213間には、開口4212が配置される。アーム部4213は、後述する延出部4222とともに、第2筒部421と第2ベアリングホルダ423とを繋ぐ。
【0048】
底部422は、筒部401(詳細には、第2筒部421)の軸方向他方端部から径方向内方に広がる。前述の如く、筐体4は、底部422を有する。
【0049】
底部422は、開口4221を有する。開口4221は、本発明の「第3開口」の一例であり、底部422を軸方向に貫通する。開口4221は、底部422の径方向外端部から径方向内方に延びて、筒部401の開口4212と繋がる。
【0050】
また、底部422は、延出部4222を有する。延出部4222は、本発明の「第2延出部」の一例であり、筒部401(詳細には、第2筒部421)の軸方向一方端部から径方向内方に延びる。延出部4222は、周方向に複数並ぶ。周方向に隣り合う延出部4222間には、開口4221が配置される。延出部4222は、第2筒部421のアーム部4213の軸方向他方端部から径方向内方に延びる。言い換えると、各々の延出部4222の径方向外端部は、アーム部4213の軸方向他方端部に接続される。各々の延出部4222の径方向内端部は、第2ベアリングホルダ423に接続される。
【0051】
延出部4222は、ステータ2の延出部25とスペーサ6の支持部65とに対して、周方向に並ぶ(たとえば
図2参照)。こうすれば、延出部4222が延出部25及び支持部65が軸方向に重なることを防止できる。従って、送風装置100の軸方向サイズの増大を防止できる。
【0052】
また、第2筐体部42は、リブ4223を有する。リブ4223は、周方向と交差する方向に広がる板状であり、アーム部4213及び延出部4222を補強する。リブ4223は、アーム部4213から径方向内方に突出するとともに、延出部4222から軸方向一方Da1に突出する。リブ4223の径方向内端部は、第2ベアリングホルダ423に接続される。
【0053】
第2ベアリングホルダ423は、本発明の「ベアリングホルダ」の一例であり、底部422の径方向内端部に配置される。前述の如く、筐体4は、第2ベアリングホルダ423を有する。第2ベアリングホルダ423は、第2ベアリング4231を介してシャフト11を回転可能に支持する。なお、第2ベアリング4231は、本発明の「ベアリング」の一例である。第2ベアリング4231は、シャフト11の軸方向他方端部に配置される。
【0054】
第2ベアリングホルダ423は、ステータ2よりも軸方向他方Da2に配置される。より詳細には、第2ベアリングホルダ423及び第2ベアリング4231は、ステータコア21及びコイル部23よりも軸方向他方Da2に配置される。
【0055】
送風装置100では、前述の如く、第1ベアリングホルダ413がステータ2よりも軸方向一方Da1に配置されるとともに、第2ベアリングホルダ423がステータ2よりも軸方向他方Da2に配置される。これにより、径方向から見てこれらがステータ2と重ならないので、ステータ2をより径方向内方に配置できる。従って、ステータ2の径サイズをより小さくでき、送風装置100を小型化できる。また、第1ベアリングホルダ413及び第2ベアリングホルダ423間の軸方向における間隔をより長くできるので、ロータ1の回転がより安定する。
【0056】
<1-5.基板5>
基板5は、第2筐体部42よりも軸方向他方Da2に配置され、駆動回路などを搭載する。基板5は、スペーサ6の後述する平板部61よりも軸方向他方Da2に配置されて、軸方向と交差する方向に広がる。前述の如く、送風装置100は、基板5を備える。基板5は、平板部61の軸方向他方端部に接する。
【0057】
基板5の軸方向他方端面には、コネクタ51が搭載される。コネクタ51には、外部接続線(図示省略)が電気的に接続される。外部接続線は、送風装置100の外部に引き出される接続線であり、基板5と送風装置100の外部機器(たとえば外部電源)などとを電気的に接続する。
【0058】
基板5の外縁部(つまり径方向外端部)には、凹部52,53が配置される。凹部52,53はそれぞれ、径方向内方に凹む。また、凹部52,53はそれぞれ、基板5を軸方向に貫通し、言い換えると軸方向一方Da1及び他方Da2に開口する。
【0059】
凹部52には、スペーサ6の後述する第2接続部64が挿通される。また、凹部53には、絡げピン26が挿通される。これにより、基板5の配置に影響されることなく、絡げピン26を配置できる。凹部52,53は、周方向に複数並ぶ。複数の凹部52,53はそれぞれ、本実施形態では周方向において等間隔に配置される。但し、この例示に限定されず、周方向における複数の凹部52,53の配置はそれぞれ、等間隔でなくてもよい。
【0060】
<1-6.スペーサ6>
次に
図1から
図5Bを参照して、スペーサ6を説明する。
図5Aは、スペーサ6の軸方向一方Da1側の構成例を示す斜視図である。
図5Bは、スペーサ6の軸方向他方Da2側の構成例を示す斜視図である。
【0061】
スペーサ6は、筐体4に取り付けられる。前述の如く、送風装置100は、スペーサ6を備える。詳細には、スペーサ6は、基板5を保持し、底部422の軸方向他方端部に取り付けられる。スペーサ6は、平板部61と、周壁部62と、第1接続部63と、第2接続部64と、一対の支持部65と、突出部66と、を有する。
【0062】
<1-6-1.平板部61>
平板部61は、底部422の軸方向他方端部に配置されて、径方向に広がる。前述の如く、スペーサ6は、平板部61を有する。平板部61は、軸方向において筐体4の底部422と基板5との間に配置される。平板部61には、たとえば樹脂などの電気絶縁性を有する材料が用いられる。平板部61が電気絶縁性を有することで、平板部61によって、基板5とシャフト11及び筐体4との間を電気的に絶縁できる。
【0063】
平板部61には、底部422の開口4212が面する。送風装置100において、空気Arは、動翼32を有するインペラ3の回転により、筒部401及び外側筐体部414間に形成される風洞402を通って軸方向他方Da2に送出される。この空気Arの一部は、筒部401の開口4212において筒部401内に流れ込むとともに、底部422の開口4221においてスペーサ6の平板部61に当たって軸方向一方Da1に向かって流れる。そして、この空気Arは、ロータ1及びステータ2の周囲(特に周方向に隣り合うコイル部23間の隙間)を通って蓋部412の開口4121に達する。さらに、この空気Arは、開口4121及び軸方向における蓋部412及びハブ31間の隙間を通って上述の風洞402に流出し、動翼32によって軸方向他方Da2に送出される空気Arと合流する。
【0064】
なお、前述の如く、筒部401の軸方向一方端部は、ハブ31の径方向外端部と同じ径方向位置、又は、ハブ31の径方向外端部よりも径方向内方に配置される。そのため、動翼32によって軸方向他方Da2に送出される空気Arは、軸方向における蓋部412及びハブ31間と開口4121とには流れ込まない。
【0065】
送風装置100では、動翼32により送出される空気Arの一部は、筒部401内に誘導され、ロータ1及びステータ2の周囲を通ってこれら(特にコイル部23)を冷却する。また、誘導された空気Arは、蓋部412の開口4121を通じて、動翼32により送出される空気Arと合流する。つまり、ロータ1及びステータ2を冷却した空気Arは、風洞402の動翼32側に戻る。従って、送風装置100は、送風量の低下を抑制しつつ、ロータ1及びステータ2を冷却することができる。
【0066】
好ましくは、蓋部412の開口4121は、コイル部23と軸方向に重なる(たとえば
図1及び
図3参照)。こうすれば、開口4121から流出する空気Arが、軸方向一方Da1側のコイル部23のコイルヘッドの周囲を通って流れ易くなる。なお、このコイルヘッドは、コイル部23のうちのステータコア21よりも軸方向一方Da1側の部分を指す。従って、コイル部23の冷却効果をさらに高めることができる。但し、この例示は、開口4121がコイル部23と軸方向に重ならない構成を排除しない。
【0067】
また、好ましくは、開口4121は、周方向に隣り合うコイル部23間の空間と軸方向に重なる。たとえば
図3に示すように、開口4121は、スロット213のコイル部23間の空間(つまり、スロット213のうちのコイル部23が配置されていない箇所)と軸方向に重なる。従って、開口4212から流入して軸方向一方Da1に流れる空気Arが、開口4121に向かって流れ易くなる。空気Arの循環効率が向上するので、ステータ2(特にコイル部23)をより効果良く冷却できる。但し、この例示は、開口4121が周方向に隣り合うコイル部23間の空間と軸方向に重ならない構成を排除しない。
【0068】
図5A及び
図5Bに示すように、平板部61は、第1凹部611と、第2凹部612と、基板側凹部613と、外縁凹部614と、第1貫通孔615と、第2貫通孔616と、を有する。
【0069】
第1凹部611は、平板部61の軸方向一方端面に配置される。前述の如く、平板部61は、第1凹部611を有する。第1凹部611は、軸方向他方Da2に凹む。
【0070】
好ましくは、第1凹部611は、第2ベアリング4231の軸方向他方端部の全てと軸方向に重なる。言い換えると、第1凹部611の軸方向一方端部の外縁部(つまり、径方向外端部)は、第2ベアリング4231の軸方向他方端部(特に径方向外端部)と同じ径方向位置、又は、第2ベアリング4231の軸方向他方端部(特に径方向外端部)よりも径方向外方に配置される。こうすれば、第2ベアリング4231及び平板部61の接触を防止できる。従って、底部422の軸方向他方端部に対して平板部61を安定して配置できる。また、回転するシャフト11からの振動の伝達を抑制できる。
【0071】
但し、この例示は、第1凹部611が第2ベアリング4231の軸方向他方端部の少なくとも一部(たとえば、第2ベアリング4231の径方向外方側)と軸方向に重ならない構成を排除しない。少なくとも、シャフト11が、平板部61に接触しなければよい。また、第2ベアリング4231がボールベアリングである場合、第2ベアリング4231のシャフト11に固定される内輪が、平板部61に接触しなければよい。
【0072】
第2凹部612は、平板部61の軸方向一方端面に配置され、詳細には、第1凹部611の軸方向一方Da1を向く底面に配置される。前述の如く、平板部61は、第2凹部612を有する。第2凹部612は、軸方向他方Da2に凹む。
【0073】
好ましくは、第2凹部612は、シャフト11の軸方向他方端部と軸方向に重なる。言い換えると、第2凹部612の軸方向一方端部の外縁部(つまり、径方向外端部)は、シャフト11の軸方向他方端部(特に径方向外端部)と同じ径方向位置、又は、シャフト11の軸方向他方端部(特に径方向外端部)よりも径方向外方に配置される。こうすれば、シャフト11の軸方向他方端部と平板部61との接触を防止できる。
【0074】
但し、この例示は、第2凹部612の軸方向一方端部の外縁部(つまり、径方向外端部)がシャフト11の軸方向他方端部の径方向外端部よりも径方向内方に配置される構成を排除しないし、第2凹部612が省略される構成を排除しない。少なくとも、シャフト11が、平板部61に接触しなければよい。
【0075】
基板側凹部613は、平板部61の軸方向他方端部に配置される。前述の如く、平板部61は、基板側凹部613を有する。基板側凹部613は、軸方向一方Da1に凹むとともに、基板5を臨んで開口する。こうすれば、基板5の軸方向一方端面に配置される素子、配線などを基板側凹部613に収容できる。従って、これらが平板部61と接触することを防止できる。また、モールド成型によりスペーサ6を形成する際、ひけにより平板部61の形状が歪むことを防止できる。
【0076】
外縁凹部614は、平板部61の径方向外端部において一対の支持部65間に配置され、径方向内方に凹む。外縁凹部614には、延出部25及び絡げピン26が挿通される。これにより、平板部61の配置に影響されることなく、延出部25及び絡げピン26を配置できる。
【0077】
第1貫通孔615及び第2貫通孔616は、平板部61を軸方向に貫通する。前述の如く、平板部61は、第1貫通孔615及び第2貫通孔616を有する。後述するように、第1貫通孔615は、第1接続部63の根本付近に配置される。第2貫通孔616は、第2接続部64の根本付近に配置される。
【0078】
<1-6-2.周壁部62>
周壁部62は、平板部61の軸方向他方端部において、軸方向他方Da2に突出する。前述の如く、平板部61は、周壁部62を有する。周壁部62は、軸方向から見て、基板側凹部613を囲む。たとえば、周壁部62は、平板部61及び基板側凹部613の外縁部に沿って配置される。周壁部62の軸方向他方端部には、基板5が接する。基板5が周壁部62の軸方向他方端部に接することにより、スペーサ6は、第2接続部64及び周壁部62間に基板5を挟持できる。従って、スペーサ6は、基板5をより安定的に保持できる。
【0079】
<1-6-3.第1接続部63>
第1接続部63は、平板部61から軸方向一方Da1に延びて、筐体4に接続される。前述の如く、スペーサ6は、第1接続部63を有する。
【0080】
第1接続部63は、複数であり、より好ましくは3以上である。本実施形態では、複数の第1接続部63は、周方向において等間隔に配置される。こうすれば、筐体4に対してスペーサ6を安定して取り付できる。
【0081】
但し、本実施形態の例示は、全ての第1接続部63が異なる間隔で配置される構成を排除しないし、一部の第1接続部63が周方向において他の一部の第1接続部63とは異なる間隔で配置される構成を排除しない。また、本実施形態の例示は、第1接続部63が単数である構成を排除しない。
【0082】
本実施形態では、複数の第1接続部63は、第2ベアリングホルダ423に接続される。周方向において等間隔に配置される第1接続部63を第2ベアリングホルダ423に接続することより、中心軸CAを基準として、スペーサ6を精度良く取り付できる。但しこの例示は、少なくとも1つの第1接続部63が筐体4のうちの第2ベアリングホルダ423以外の部分に接続される構成を排除しない。
【0083】
各々の第1接続部63は、第1柱部631と、第1爪部632と、を有する。
【0084】
第1柱部631は、平板部61から軸方向一方Da1に延びる。前述の如く、第1接続部63は、第1柱部631を有する。本実施形態では、第1接続部63の第1柱部631は、周壁部62の軸方向一方端部から軸方向一方Da1に突出する。なお、この例示に限定されず、第1接続部63の第1柱部631は、平板部61の軸方向一方端面又は径方向外端面に配置されて、軸方向一方Da1に突出してもよい。
【0085】
第1爪部632は、第1柱部631から軸方向と交差する方向に突出して、筐体4と係合し、たとえば筐体4に引っ掛けられる。前述の如く、第1接続部63は、第1爪部632を有する。第1爪部632は、第1柱部631から径方向内方に突出して、第2ベアリングホルダ423に引っ掛けられる。
【0086】
第1爪部632を筐体4と係合させることにより、いわゆるスナップフィットによって容易に、第1接続部63を筐体4に接続できる。
【0087】
但し、この例示は、少なくとも1つの第1接続部63が上述のような第1柱部631及び第1爪部632から成る係合構造を有さない構成を排除しない。たとえば、少なくとも1つの第1接続部63は、溶接、ろう付け、接着などの手段で筐体4に接続されてもよい。
【0088】
また、本実施形態では、第1接続部63の第1柱部631は、周壁部62と繋がる。但し、この例示に限定されず、少なくとも1つの第1接続部63において、第1柱部631は、周壁部62と繋がらなくてもよい。たとえば、平板部61の軸方向一方端面又は径方向外端面に配置される第1柱部631の周方向一方端部及び他方端部の少なくともどちらかは、周壁部62と繋がっていなくてもよい。こうすれば、第1柱部631は、軸方向と垂直な方向により大きく撓むことができる。
【0089】
各々の第1接続部63に対して、1つの第1貫通孔615が、平板部61に配置される。好ましくは、各々の第1接続部63において、第1爪部632の全ては、第1貫通孔615と軸方向に重なる。こうすれば、たとえばモールド成型でスペーサ6を形成する際、入れ子を要することなく、金型を軸方向に抜くことで、第1爪部632を形成できる。従って、金型の形状を簡易にできるとともに、金型の部品点数を低減できる。よって、スペーサ6の生産性を向上できる。
【0090】
但し、この例示は、少なくとも1つの第1接続部63において、第1爪部632の全てが第1貫通孔615と軸方向に重ならない構成を排除しない。或いは、少なくとも1つの第1接続部63に対して、その第1爪部632と軸方向に重なる第1貫通孔615が省略されてもよい。
【0091】
<1-6-4.第2接続部64>
第2接続部64は、平板部61から軸方向他方Da2に延びて、基板5に接続される。前述の如く、スペーサ6は、第2接続部64を有する。
【0092】
スペーサ6が第1接続部63及び第2接続部64を有することにより、スペーサ6を介して基板5を筐体4に取付できる。従って、筐体4に対する基板5の取付がし易くなる。
【0093】
第2接続部64は、複数であり、より好ましくは3以上である。本実施形態では、複数の第2接続部64は、周方向において等間隔に配置される。こうすれば、スペーサ6は、基板5を安定して保持できる。
【0094】
但し、本実施形態の例示は、全ての第2接続部64が異なる間隔で配置される構成を排除しないし、一部の第2接続部64が周方向において他の一部の第2接続部64とは異なる間隔で配置される構成を排除しない。また、本実施形態の例示は、第2接続部64が単数である構成を排除しない。
【0095】
第2接続部64は、基板5の径方向外端部に接続される。こうすれば、素子、配線などを搭載する基板5の搭載面積の減少を抑制できる。
【0096】
各々の第2接続部64は、第2柱部641と、第2爪部642と、を有する。
【0097】
第2柱部641は、平板部61から軸方向他方Da2に延びる。前述の如く、第2接続部64は、第2柱部641を有する。本実施形態では、第2接続部64の第2柱部641は、平板部61の軸方向他方端面(側にその径方向外端部)に配置されて、軸方向他方Da2に突出する。但し、この例示に限定されず、第2柱部641は、平板部61の径方向外側面に配置されて、軸方向他方Da2に突出してもよい。或いは、第2柱部641は、周壁部62の軸方向他方端部から軸方向他方Da2に突出してもよい。第2柱部641の軸方向他方端部は、基板5の凹部52を通じて、基板5よりも軸方向他方Da2に突出する。
【0098】
第2爪部642は、第2柱部641から軸方向と交差して基板5に向かう方向に突出し、基板5と係合し、基板5に引っ掛けられる。前述の如く、第2接続部64は、第2爪部642を有する。第2爪部642は、基板5よりも軸方向他方Da2に配置される。第2爪部642は、第2柱部641から径方向内方に突出して、基板5の凹部52に沿う外縁部に引っ掛けられる。
【0099】
第2爪部642を基板5と係合させることにより、いわゆるスナップフィットによって容易に、第2接続部64を基板5に接続できる。
【0100】
但し、この例示は、少なくとも1つの第2接続部64が上述のような第2柱部641及び第2爪部642から成る係合構造を有さない構成を排除しない。たとえば、少なくとも1つの第2接続部64は、溶接、ろう付け、接着などの手段で基板5に接続されてもよい。また、少なくとも1つの第2接続部64において、第2柱部641の軸方向他方端部は、基板5の凹部52に挿入されなくてもよい。言い換えると、第2爪部642は、凹部52の外部において、基板5の径方向外端部に引っ掛けられてもよい。
【0101】
また、本実施形態では、第2接続部64の第2柱部641は、周壁部62と繋がっていない。そのため、第2柱部641は、軸方向と垂直な方向により大きく撓むことができる。但し、この例示は、少なくとも1つの第2接続部64において第2柱部641が周壁部62と繋がる構成を排除しない。たとえば、第2柱部641の周方向一方端部及び他方端部の少なくともどちらかは、周壁部62と繋がってもよい。
【0102】
各々の第2接続部64に対して、1つの第2貫通孔616が、平板部61に配置される。好ましくは、各々の第2接続部64において、第2爪部642の全ては、第2貫通孔616と軸方向に重なる。こうすれば、たとえばモールド成型でスペーサ6を形成する際、入れ子を要することなく、金型を軸方向に抜くことで、第2爪部642を形成できる。従って、金型の形状を簡易にできるとともに、金型の部品点数を低減できる。よって、スペーサ6の生産性を向上できる。
【0103】
但し、この例示は、少なくとも1つの第2接続部64において、第2爪部642の全てが第2貫通孔616と軸方向に重ならない構成を排除しない。或いは、少なくとも1つの第2接続部64に対して、その第2爪部642と軸方向に重なる第2貫通孔616が省略されてもよい。
【0104】
<1-6-5.支持部65>
一対の支持部65は、平板部61から軸方向一方Da1に延びて、周方向に並ぶ。前述の如くスペーサ6は、一対の支持部65を有する。一方の支持部65は、ステータ2の延出部25の周方向一方端部に接する。他方の支持部65は、延出部25の周方向他方端部に接する。こうすれば、一対の支持部65で延出部25を周方向に挟持できる。従って、ステータ2に対してスペーサ6を固定できる。
【0105】
各々の支持部65は、第1壁部651と、第2壁部652と、を有する。第1壁部651は、平板部61から軸方向一方Da1に突出して、径方向に広がる。第2壁部652は、平板部61から軸方向一方Da1に突出して、第1壁部651から軸方向と垂直であり且つ径方向と交差する方向に広がる。本実施形態では、各々の支持部65は、軸方向から見て、いわゆるL字形状である。こうすれば、簡易な構成で支持部65の強度を向上できる。従って、ステータ2に対するスペーサ6の固定強度を向上できる。但し、この例示は、支持部65が上述のL字形状でない構成を排除しない。たとえば、支持部65は、断面が円形、n角形(nは、3以上の自然数)の円柱形状又は円筒形状であってもよい。
【0106】
本実施形態では、周方向一方側の支持部65の第1壁部651は、第2壁部652の周方向他方端部から径方向内方に広がる。周方向他方側の支持部65の第1壁部651は、第2壁部652の周方向一方端部から径方向内方に広がる。この例示に限定されず、少なくともどちらかの支持部65において、第1壁部651は、径方向外方に広がってもよい。また、一対の支持部65の第1壁部651は、好ましくは周方向に対向するが、この例示に限定されず、周方向に対向しなくてもよい。たとえば、一対の支持部65の第1壁部651の径方向位置はそれぞれ、径方向にずれてもよい。
【0107】
<1-6-6.突出部66>
突出部66は、平板部61から軸方向他方Da2に延びる。突出部66は、
図5A及び
図5Bに示すように平板部61の径方向外側面に配置されてもよいし、平板部61の軸方向一方端面に配置されてもよい。また、突出部66は、単数であってもよいし、周方向に複数配置されてもよい。突出部66は、基板5の径方向外側面に接する。スペーサ6で基板5を保持する際、突出部66を基板5の径方向外端部に当てることにより、基板5をスペーサ6に接続し易くなる。また、軸方向と垂直方向における基板の配置位置が決め易くなる。なお、突出部66は、省略されてもよい。
【0108】
<2.理美容装置500>
次に、
図6を参照して、送風装置100の応用例を説明する。
図6は、送風装置100を搭載する理美容装置500の構成例を示す概略図である。
図6において、理美容装置500は、ヘアドライヤーであり、送出する熱風により使用者の髪などを乾燥させる。
【0109】
図6に示すように、理美容装置500は、送風装置100を備える。また、理美容装置500は、ハウジング200と、ヒータ300と、ハンドル400と、をさらに備える。ハウジング200は、筒状であり、送風装置100及びヒータ300を収容する。送風装置100は、ハウジング200の吸気口201から空気Arを吸引し、送風口202に向けて送出する。ヒータ300は、ハウジング200の内部において、送風装置100よりも送風口202側に配置され、送風装置100から送出される空気Arを加熱する。ハンドル400は、理美容装置500の使用者により把持可能であり、ハウジング200の外周面から外方に突出する。
【0110】
図6の理美容装置500では、送風装置100の送風量の低下を抑制しつつ、送風装置100のロータ1及びステータ2を冷却することができる。
【0111】
なお、送風装置100の用途は、
図6の例示に限定されない。送風装置100は、送風機能を有する装置に広く適用できる。たとえば、理美容装置500は、ヘアドライヤーなどのヘアケア装置(理容装置)のほか、美顔器、加湿器などのスキンケア装置(美容装置)であってもよい。
【0112】
<3.その他>
以上、本発明の実施形態を説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾が生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、たとえば、送風機能を有する装置に有用である。
【符号の説明】
【0114】
100・・・送風装置、200・・・ハウジング、201・・・吸気口、202・・・送風口、300・・・ヒータ、400・・・ハンドル、500・・・理美容装置、1・・・ロータ、11・・・シャフト、12・・・マグネット、2・・・ステータ、21・・・ステータコア、211・・・コアバック、212・・・ティース、213・・・スロット、22・・・インシュレータ、221・・・第1インシュレータ部、222・・・第2インシュレータ部、23・・・コイル部、25・・・延出部、26・・・絡げピン、3・・・インペラ、31・・・ハブ、32・・・動翼、4・・・筐体、401・・・筒部、402・・・風洞部、41・・・第1筐体部、411・・・第1筒部、4111・・・第1周壁部、412・・・蓋部、4121・・・開口、413・・・第1ベアリングホルダ、4131・・・第1ベアリング、414・・・外側筐体部、415・・・静翼、42・・・第2筐体部、421・・・第2筒部、4211・・・第2周壁部、4212・・・開口、4213・・・アーム部、422・・・底部、4221・・・開口、4222・・・延出部、4223・・・リブ、423・・・第2ベアリングホルダ、4231・・・第2ベアリング、5・・・基板、51・・・コネクタ、52,53・・・凹部、6・・・スペーサ、61・・・平板部、611・・・第1凹部、612・・・第2凹部、613・・・基板側凹部、614・・・外縁凹部、615・・第1貫通孔、616・・・第2貫通孔、62・・・周壁部、63・・・第1接続部、631・・・第1柱部、632・・・第1爪部、64・・・第2接続部、641・・・第2柱部、642・・・第2爪部、65・・・支持部、651・・・第1壁部、652・・・第2壁部、66・・・突出部、CA・・・中心軸、Ar・・・空気、Da1・・・軸方向一方、Da2・・・軸方向他方