(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151073
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20231005BHJP
E04H 1/02 20060101ALI20231005BHJP
G09F 9/46 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G09F9/00 362
E04H1/02
G09F9/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060494
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 直
(72)【発明者】
【氏名】岩根 雅美
【テーマコード(参考)】
2E025
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2E025AA01
2E025AA03
2E025AA13
5C094DA01
5G435AA01
5G435LL18
(57)【要約】
【課題】部屋の窓環境を最適化した住宅を提供すること。
【解決手段】住宅は、部屋(2)の壁(31)に設けられた情報モニタ(41)と、壁(31)に、情報モニタ(41)と上下方向または左右方向に並べて配置された採光性を有する窓(42)とを備えている。窓(42)は、開閉可能な通風窓を含む。住宅は、情報モニタ(41)および窓(31)によってハイブリッドウィンドウ(4)が形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の壁に設けられた情報モニタと、
前記壁に、前記情報モニタと上下方向または左右方向に並べて配置された採光性を有する窓とを備え、
前記情報モニタおよび前記窓によってハイブリッドウィンドウが形成されていることを特徴とする、住宅。
【請求項2】
前記情報モニタは、前記壁の上下方向中央位置に配置されている、請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記情報モニタは、枠材によって取り囲まれている、請求項2に記載の住宅。
【請求項4】
前記情報モニタと前記壁との間に配線用空間が形成されている、請求項3に記載の住宅。
【請求項5】
前記情報モニタおよび前記窓が、共通の前記枠材によって取り囲まれて、窓ユニットを構成している、請求項3または4に記載の住宅。
【請求項6】
前記窓ユニットが、前記壁の左右方向に沿って複数個配置されている、請求項5に記載の住宅。
【請求項7】
前記窓は、前記情報モニタよりも上方または下方に位置し、開閉可能な通風窓を含む、請求項2~6のいずれかに記載の住宅。
【請求項8】
前記窓は、開閉できないフィックス窓をさらに含み、
前記情報モニタは、前記通風窓と前記フィックス窓との間に配置されている、請求項7に記載の住宅。
【請求項9】
前記壁の屋外側に設置された撮影手段と、
前記部屋内に設置され、前記情報モニタへの視線を検出する視線検出手段と、
前記視線検出手段により検出された視線の方向に応じて、前記窓から見える外部の景色と整合するように、前記撮影手段が撮影した映像を前記情報モニタに表示する表示制御手段とをさらに備える、請求項1~8のいずれかに記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に関し、特に、住宅の部屋の窓環境に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-179160号公報(特許文献1)には、従来の住宅用のガラス窓の替わりに映像モニタを取り付け、映像モニタの背面の位置にライブカメラを設置することで、ガラス窓と同等の視界が得られるようにした窓環境が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば都市部に建てられた狭小住宅の部屋においては、窓を設置可能な壁面を2面設けることが物理的に困難なケースがある。このようなケースにおいて、特許文献1の窓環境を採用すると、特許文献1では、通常のガラス窓を完全に排除して情報モニタを取り付けているため、外部からの採光が見込めず、部屋が暗くなってしまう。また、情報モニタだけが壁全体に取り付けられていると、圧迫感があり、意匠性の点においても課題がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、部屋の窓環境を最適化した住宅を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面に従う住宅は、部屋の壁に設けられた情報モニタと、壁に、情報モニタと上下方向または左右方向に並べて配置された採光性を有する窓とを備え、情報モニタおよび窓によってハイブリッドウィンドウが形成されていることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、情報モニタは、壁の上下方向中央位置に配置されている。
【0008】
好ましくは、情報モニタは、枠材によって取り囲まれている。この場合、情報モニタと壁との間に配線用空間が形成されていることが望ましい。
【0009】
より好ましくは、情報モニタおよび窓が、共通の枠材によって取り囲まれて、窓ユニットを構成している。
【0010】
窓ユニットが、壁の左右方向に沿って複数個配置されていることも望ましい。
【0011】
好ましくは、窓は、情報モニタよりも上方または下方に位置し、開閉可能な通風窓を含む。
【0012】
窓は、開閉できないフィックス窓をさらに含んでいてもよい。この場合、情報モニタは、通風窓とフィックス窓との間に配置されていることが望ましい。
【0013】
好ましくは、住宅は、壁の屋外側に設置された撮影手段と、部屋内に設置され、情報モニタへの視線を検出する視線検出手段と、視線検出手段により検出された視線の方向に応じて、窓から見える外部の景色と整合するように、撮影手段が撮影した映像を情報モニタに表示する表示制御手段とをさらに備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、情報モニタおよび採光性を有する窓によってハイブリッドウィンドウが形成されているため、部屋の窓環境を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る住宅の居室(部屋)の平面図である。
【
図2】(A)は、本発明の実施の形態1におけるハイブリッドウィンドウを模式的に示す正面図であり、(B)は、ハイブリッドウィンドウを構成する情報モニタの取り付け状態を模式的に示す断面図である。
【
図3】(A),(B)は、ハイブリッドウィンドウの他の構成例を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態2に係る住宅に設けられた映像表示システムを模式的に示す図である。
【
図5】(A),(B)は、本発明の実施の形態2における映像表示システムの機能を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0017】
<実施の形態1>
図1および
図2(A)を参照して、本実施の形態に係る住宅1の構成について説明する。
図1は、住宅1の居室2の平面図であり、
図2(A)は、住宅1の居室2の壁31を屋内側から見た斜視図であり、本実施の形態におけるハイブリッドウィンドウ4を模式的に示す。
【0018】
住宅1は、たとえば戸建て住宅である。居室2は、壁31~33によって三方が取り囲まれた部屋であり、たとえばLDK室である。この場合、居室2は、キッチン設備21aが設けられたキッチン21と、キッチン21に連続して設けられたダイニング22と、ダイニング22に連続して設けられたリビング23とを含む。なお、ダイニング22とリビング23とは区別なく一体的な寛ぎ空間を構成していてもよい。
【0019】
居室2の壁31は、たとえば道路に面した外壁である。本実施の形態では、ダイニング22およびリビング23が、壁31に沿って配置されている。壁31には、ハイブリッドウィンドウ4が設けられている。本実施の形態では、一例として、ハイブリッドウィンドウ4がダイニング22に面する壁面に設けられている。
【0020】
図2(A)を参照して、ハイブリッドウィンドウ4は、バーチャルウィンドウとして機能する(少なくとも1つの)情報モニタ41と、リアルウィンドウとして機能する(少なくとも1つの)透光性を有する窓42とを含む。すなわち、上下方向または左右方向に並べて配置された情報モニタ41および窓42によって、ハイブリッドウィンドウ4が形成されている。
【0021】
情報モニタ41は、居室2内の人の目線高さを考慮し、壁31の上下方向中央位置に配置されている。具体的には、居室2の床面34からの高さが700mm以上1700mm以下の高さ範囲内に配置されており、より好ましくは800mm以上1600mm以下の高さ範囲内に配置されている。本実施の形態では、同じ大きさおよび形状の情報モニタ41が、左右方向に複数個(たとえば3個)、互いに近接して並べられている。各情報モニタ41の形状は、若干縦長の長方形である。情報モニタ41の縦寸法は、たとえば500mm~800mm程度である。
【0022】
本実施の形態において、窓42は、情報モニタ41の下方に配置されている。窓42は、開閉可能な通風窓である。窓42は、床面34から700mm以下の高さ範囲内に配置されており、より好ましくは650mm以下の高さ範囲内に配置されている。情報モニタ41と窓42との間隔は、200mm以下であることが望ましい。窓42は、横長に形成された地窓であり、たとえば左右方向に開閉可能な引き違い窓である。窓42の横幅寸法W2は、たとえば800mm~1400mmであり、建築上の寸法単位で表わすと、1モジュールまたは1.5モジュール程度であることが望ましい。
【0023】
本実施の形態では、3個の情報モニタ41が1つの窓42と均整をとって配置されている。具体的には、左右方向における3個の情報モニタ41の設置範囲(全体の横幅)W1が、窓42の横幅寸法W2の範囲内に収まっており、両寸法W1,W2に大差がない。両寸法W1,W2の差はたとえば500mm以下である。
【0024】
ここで、情報モニタ41は、枠材51によって取り囲まれていることが望ましい。本実施の形態では、各々が、四角形の枠材51に取り囲まれている。これにより、情報モニタ41を、窓42と同様の建築窓のように演出することができる。なお、窓42もまた、四角形または門型の枠材52によって取り囲まれていてもよい。枠材51,52は、いずれも、木質の材料により形成されている。このように、情報モニタ41と窓42を同種の枠材51,52で囲うことにより、3個の情報モニタ41と窓42とに統一感を出すことができる。
【0025】
図2(B)に示されるように、情報モニタ41は、壁31に対し、直付けではなく、ふかし板53を介して取り付けられている。ふかし板53の上下長さは、情報モニタ41の縦寸法よりも小さく、情報モニタ41の下端部と壁31との間に配線用空間54が形成されている。壁31の屋内面のうち配線用空間54に面する部分に、コンセント55が設けられており、情報モニタ41に電力を供給するための配線プラグがコンセント55に差し込まれている。そのため、情報モニタ41の配線が居室2側から見えないので、意匠性が向上される。なお、ふかし板53の取り付け位置と配線用空間54の位置は、図示したような例に限定されない。
【0026】
本実施の形態では、上述のように、共通の壁31に複数の情報モニタ41および窓42が、統一感を持った状態で上下に並べて配置されている。そのため、情報モニタ41だけが壁31に設置されている形態に比べて、居室2への採光および通風が見込めるだけでなく、情報モニタ41による圧迫感が薄れる。したがって、本実施の形態によれば、採光性および通風性を確保した上で、意匠性を向上させることができる。
【0027】
なお、情報モニタ41と窓42との間の壁面に、奥行きの小さいカウンター(図示せず)を配置してもよい。たとえば、このカウンターを窓42と同じ幅だけ設けて、枠材51,52と同種の素材とすることで、情報モニタ41と窓42との間の間隔を目立たなくすることができる。
【0028】
以上説明した本実施の形態に係る住宅1によれば、情報モニタ41は一般的なダイニングテーブル91の高さ(700~720mm)よりも高い位置に配置されているので、居室2内において、情報モニタ41に表示される映像や画像が自然と視界に入る。情報モニタ41に、山の風景などを表示することにより、情報モニタ41をバーチャルウィンドウとして機能させることができる。情報モニタ41に、居住者の好みの風景を表示することにより、実際の屋外の景色を見るよりも心地良く過ごすことができる。
【0029】
さらに、リアルウィンドウとしての窓42は一般的なダイニングテーブル91の高さよりも低い位置に配置されており、窓42の設置高さは、壁31の屋外側の通行人の目線高さよりも低い。そのため、外部からの視線を気にすることなく、居室2内において(たとえばダイニング22において)寛ぐことができる。
【0030】
したがって、居室2の壁31にハイブリッドウィンドウ4を備えた住宅1によれば、居室2の窓環境を最適化することができる。
【0031】
なお、窓42は、地窓である例に限定されず、壁31の屋外側の通行人の目線高さよりも高い位置に配置された高窓であってもよい。つまり、窓42は、情報モニタ41の上方に配置されていてもよい。
【0032】
また、居室2の壁31のうち、リビング23に面する壁面には、たとえば窓42と同様の通風窓のみが設けられていてもよいし、この壁面にもハイブリッドウィンドウ4が設けられていてもよい。あるいは、ハイブリッドウィンドウ4は、ダイニング22側ではなくリビング23側にのみ設けられていてもよい。
【0033】
(ハイブリッドウィンドウの他の構成例)
図2では、情報モニタ41および透光性を有する窓42が個別の枠材51,52によって取り囲まれたハイブリッドウィンドウ4を例示したが、
図3(A)に示すハイブリッドウィンドウ4Aのように、情報モニタ41および透光性を有する窓が共通の枠材により取り囲まれていてもよい。
【0034】
ハイブリッドウィンドウ4Aは、情報モニタ41の個数に応じて左右方向に沿って配置された複数の窓ユニット40により構成されている。
図3(A)の例では、壁31に、3個の窓ユニット40が整列した状態で配置されている。各窓ユニット40は、上下方向中央位置に配置された情報モニタ41と、情報モニタ41の下方に配置された通風窓44と、情報モニタ41の上方に配置されたフィックス窓45とを含み、これらが共通の枠材61によって取り囲まれている。枠材61の形状は、縦長の四角形または門形である。
【0035】
このように、各窓ユニット40は、透光性を有する窓として、開閉可能な通風窓44と開閉できないフィックス窓45との2種類の窓を含んでいてもよい。通風窓44およびフィックス窓45の横幅寸法は、情報モニタ41の横幅寸法と同じである。情報モニタ41は、通風窓44とフィックス窓45との間に配置されている。情報モニタ41の設置高さは、
図2のハイブリッドウィンドウ4における情報モニタ41の設置高さと同様であってよい。
【0036】
通風窓44およびフィックス窓45は、縦長に形成されている。通風窓44は、たとえば屋内側に開く内倒し窓である。通風窓44は、地窓として機能するため、
図2に示した窓42と同様に、床面34から700mm以下の高さ範囲内に設置されている。フィックス窓45は、1500mm以上の高さに位置していることが望ましい。一例として、フィックス窓45の縦寸法は、通風窓44および情報モニタ41よりも長い。
【0037】
枠材61は、2本の縦材62と、縦材62間に掛け渡される複数本の横材63~67とを含む。横材63~67について説明すると、上端の横材63は、フィックス窓45の上端縁に沿うように、2本の縦材62の上端部間に掛け渡されている。下端の横材64は、通風窓44の下端縁に沿うように、2本の縦材62の下端部間に掛け渡されている。上から2つ目の横材65は、フィックス窓45の下端縁と情報モニタ41の上端縁との境界部に配置されている。上から3つ目の横材66は、情報モニタ41の下端縁に沿って配置されている。下から2つ目の横材67は、通風窓44の上端縁に沿って配置されている。情報モニタ41と通風窓44とは互いに間隔をあけて配置されているため、横材66と横材67とは、互いに離れて配置されている。
【0038】
横材66,67間には、幕板68が設けられていることが望ましい。これにより、横材66,67間に壁31が露出することがないので、情報モニタ41および2種類の窓44,45との一体感を増すことができる。また、その結果、窓ユニット40をスプレッドウィンドウのように演出することができるので、3連の縦長のスプレッドウィンドウが壁31に設けられているようなモダンな印象を与えることができる。なお、枠材61の下端の横材64は省いてもよい。
【0039】
また、ハイブリッドウィンドウ4Aでは、情報モニタ41の上方にも透光性を有する窓としてフィックス窓45が設けられているため、
図2に示したハイブリッドウィンドウ4よりも採光性が向上し、居室2が明るくなる。さらに、フィックス窓45は、典型的には床面34から1500mm以上の高さに配置されており、また、床面34の高さは屋外の道路よりも高位置であることから、フィックス窓45の設置高さは屋外側の通行人の目線高さよりも高い。そのため、情報モニタ41の上方にも透光性を有するフィックス窓45を設置しても、外部からの視線を気にすることなく、居室2内において(たとえばダイニング22において)寛ぐことができる。
【0040】
(ハイブリッドウィンドウのさらに他の構成例)
図3(A)に示したハイブリッドウィンドウ4Aでは、情報モニタ41の下方に通風窓44を配置し、情報モニタ41の上方にフィックス窓45を配置することとしたが、通風窓44とフィックス窓45とを逆にしてもよい。あるいは、情報モニタ41を挟む2つの窓の両方を、通風窓としてもよい。
【0041】
また、ハイブリッドウィンドウ4Aは、複数の縦長の窓ユニット40により構成されることとしたが、このような例に限定されず、比較的大型の1つの窓ユニット40Aにより構成されていてもよい。たとえば、
図3(B)に示すように、ハイブリッドウィンドウ4Bは、
図2に示した1つの横長の通風窓(地窓)42と、通風窓42と同じ横幅寸法の1つの情報モニタ41Aおよび1つのフィックス窓45を含んでいてもよい。
【0042】
また、情報モニタ41Aと通風窓42とが間隔をあけて配置されているのと同様に、
図3(B)に示すように、情報モニタ41Aとフィックス窓45とが間隔をあけて配置されていてもよい。この場合、フィックス窓45と情報モニタ41Aとの間にも、幕板68が設けられていることが望ましい。
【0043】
また、
図3(A)では、情報モニタ41と2つの窓44,45とを上下方向に並べた窓ユニット40を例示したが、情報モニタ41と1つまたは複数の窓とを左右方向に並べた横長の窓ユニットを、上下方向に連続して配置してもよい(図示せず)。この場合、たとえば、最上段の窓ユニットに含まれる全ての窓をフィックス窓とし、最下段の窓ユニットに含まれる全ての窓を通風窓にするなど、設置高さによって窓ユニットの構成が異なっていてもよい。
【0044】
<実施の形態2>
図4および
図5を参照して、本発明の実施の形態2に係る住宅1Aについて説明する。
図4は、住宅1Aに設けられた映像表示システム70を模式的に示す図である。
図5(A),(B)は、映像表示システム70の機能を模式的に示す図である。
【0045】
本実施の形態に係る住宅1Aは、情報モニタ41の位置に通常の窓(透光性を有する窓)を設置した場合と同等の視界を実現するための映像表示システム70を備えている。なお、本実施の形態では、居室2の壁31に、
図3(A)に示したハイブリッドウィンドウ4Aが設置されていると仮定する。
【0046】
映像表示システム70は、外部カメラ71と、視線センサ72と、外部カメラ71および視線センサ72と電気的に接続されたコントローラ73とを含む。外部カメラ71は、壁31の屋外側に設置された撮影手段であり、たとえば情報モニタ41の背面位置に配置される。外部カメラ71は、広角レンズを有し、壁31から見て広範囲の映像を撮影できることが望ましい。視線センサ72は、居室2内に設置され、情報モニタ41への視線を検出する視線検出手段である。コントローラ73は、外部カメラ71が撮影した映像を情報モニタ41に表示する表示制御手段である。
【0047】
本実施の形態のコントローラ73は、たとえばユーザにより「窓モード」が選択されると、情報モニタ41への表示映像を外部カメラ71の撮影映像に切り替える。そして、視線センサ72により検出された視線の方向に応じて、窓から見える外部の景色と整合するように、情報モニタ41に映像を表示する。なお、コントローラ73は、
図2(B)に示した配線用空間54に配置されていてもよい。
【0048】
図4を参照して、居室2内の位置P1から見る景色と位置P2から見る景色とは異なる。
図4の例では、位置P1から見ると周辺の「住宅A」が見えるのに対し、位置P2から見ると周辺の「住宅B」が見える。コントローラ73は、視線センサ72が検出した視線の方向に応じて外部カメラ71による撮影範囲の一部を切り出して、ハイブリッドウィンドウ4Aの情報モニタ41に表示する。つまり、
図5(A),(B)に示すように、各情報モニタ41に、上下の窓44,45から見える外部の景色と整合するように映像を表示する。そのため、外部からの視線を遮断しつつ、外部の様子を確認することもできる。
【0049】
このように、本実施の形態によれば、情報モニタ41に映し出された風景を、あたかも通常の窓で切り取られた風景のように見せることができる。その結果、ハイブリッドウィンドウ4A全体を一つの大きな窓のように機能させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態の展開例として、外部カメラ71を住宅1Aの壁31以外の外壁面に設置することで、住宅1Aの周囲の所望の景色を見ることもできる。また、住宅1Aとは異なる場所(たとえば別宅)に遠隔操作可能な外部カメラ(図示せず)を設置し、当該カメラの撮影映像(ライブ映像)を情報モニタ41に表示できるようにしてもよい。これにより、自宅に居ながら、遠く離れた別宅からの景色を楽しむことも可能となる。
【0051】
<変形例>
上記実施の形態1、2では、ハイブリッドウィンドウ4が設けられる居室2が、LDK室である例について説明したが、このような例に限定されない。居室2は、たとえば寝室などの個室であってもよい。また、ハイブリッドウィンドウ4は、廊下や洗面室などの非居室に設けられてもよい。つまり、ハイブリッドウィンドウ4は、住宅1内の任意の部屋(空間)の壁に適用可能である。
【0052】
また、上記実施の形態1、2では、住宅1が戸建て住宅である例について説明したが、このような例に限定されず、住宅1は集合住宅の一住戸であってもよい。
【0053】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1,1A 住宅、2 居室、4,4A,4B ハイブリッドウィンドウ、31~33 壁、40 窓ユニット、41,41A 情報モニタ、42,44,45 窓、51,52,61 枠材、70 映像表示システム、71 外部カメラ、72 視線センサ、73 コントローラ。