(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151079
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】構造体の製造方法及び構造体の製造装置
(51)【国際特許分類】
B26D 3/16 20060101AFI20231005BHJP
B29C 49/42 20060101ALI20231005BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20231005BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B26D3/16 B
B29C49/42
B26D3/16 A
B26D7/02 E
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060506
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】丹治 忠敏
【テーマコード(参考)】
3C021
3C707
4F208
【Fターム(参考)】
3C021CC05
3C707AS05
3C707BS10
3C707NS02
4F208AG08
4F208LW02
4F208LW23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造体の製造工程のサイクルを短くすることができる構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】マニピュレータ50を用いて成形体1を切断装置30に搬入し、切断装置30で成形体1を切断して構造体(ダクト)を形成し、マニピュレータ50を用いて、切断されて形成された構造体を切断装置30から搬出する、サイクルを繰り返し行う構造体の製造方法であって、現サイクルでは、成形体1を切断装置30に搬入した後、現サイクルの前サイクルにおいて切断装置30で形成しておいた構造体1を、切断装置30から搬出する、方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニピュレータを用いて成形体を切断装置に搬入し、
前記切断装置で前記成形体を切断して構造体を形成し、
前記マニピュレータを用いて、切断されて形成された前記構造体を前記切断装置から搬出する、サイクルを繰り返し行う構造体の製造方法であって、
現サイクルでは、前記成形体を前記切断装置に搬入した後、現サイクルの前サイクルにおいて前記切断装置で形成しておいた前記構造体を、前記切断装置から搬出する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記切断装置は、保持装置を備え、
現サイクルでは、現サイクルの前サイクルにおいて前記切断装置で形成しておいた前記構造体が、前記保持装置に保持されることで、前記切断装置に搬入された前記成形体の上方で待機している、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記成形体を切断するときには、前記保持装置を下降させて、前記保持装置で前記成形体の動きを規制する、方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の方法であって、
前記切断装置は、配置部材と切断刃とを備え、
前記配置部材は、前記成形体を配置可能に構成され、
前記切断刃は、前記配置部材内に収容され、
前記切断装置で前記成形体を切断するときには、前記切断刃を前記配置部材から突き出す、方法。
【請求項5】
金型と、冷却装置と、切断装置と、コンベアと、マニピュレータとを備え、
前記金型は、成形体を成形するように構成され、
前記冷却装置は、前記金型で成形された前記成形体を冷却するように構成され、
前記切断装置は、前記冷却装置で冷却された前記成形体を切断して構造体を形成するように構成され、
前記コンベアは、前記構造体を搬送するように構成され、
前記マニピュレータは、前記金型からの前記成形体の搬出、前記冷却装置に対する前記成形体の搬入及び搬出、前記切断装置への前記成形体の搬入、前記切断装置からの前記構造体の搬出、及び、前記コンベアへの前記構造体の搬入をするように構成され、
前記金型、前記冷却装置、前記切断装置及び前記コンベアが、前記マニピュレータを中心とする周方向において、並ぶように配置されている、構造体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体の製造方法及び構造体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、円筒状のパリソンを金型でブロー成形し、構造体としてのダクトを製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
構造体を効率よく生産する観点から、金型から取り出される一塊の成形体の中には、複数の構造体(特許文献1の場合には複数のダクト)が含まれる場合がある。このような場合には、成形品を切断して、複数の構造体に分離する必要があるが、このように分離する工程が生じる分、構造体の製造工程のサイクルが長くなってしまう、という課題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、構造体の製造工程のサイクルを短くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、マニピュレータを用いて成形体を切断装置に搬入し、前記切断装置で前記成形体を切断して構造体を形成し、前記マニピュレータを用いて、切断されて形成された前記構造体を前記切断装置から搬出する、サイクルを繰り返し行う構造体の製造方法であって、現サイクルでは、前記成形体を前記切断装置に搬入した後、現サイクルの前サイクルにおいて前記切断装置で形成しておいた前記構造体を、前記切断装置から搬出する、方法が提供される。
【0007】
本発明では、現サイクルでは、成形体を切断装置に搬入した後、現サイクルの前サイクルにおいて切断装置で形成しておいた前記構造体を、切断装置から搬出する。つまり、マニピュレータが成形体を切断装置に搬入した後に、成形体が切断されるのを待つのではなく、予め切断しておいた構造体を受け取るような方法となっている。このため、成形体が構造体に切断されるのを待たない分、製造工程のサイクルを短くすることができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記切断装置は、保持装置を備え、現サイクルでは、現サイクルの前サイクルにおいて前記切断装置で形成しておいた前記構造体が、前記保持装置に保持されることで、前記切断装置に搬入された前記成形体の上方で待機している、方法が提供される。
好ましくは、前記成形体を切断するときには、前記保持装置を下降させて、前記保持装置で前記成形体の動きを規制する、方法が提供される。
好ましくは、前記切断装置は、配置部材と切断刃とを備え、前記配置部材は、前記成形体を配置可能に構成され、前記切断刃は、前記配置部材内に収容され、前記切断装置で前記成形体を切断するときには、前記切断刃を前記配置部材から突き出す、方法が提供される。
【0009】
本発明の実施形態の別の観点によれば、金型と、冷却装置と、切断装置と、コンベアと、マニピュレータとを備え、前記金型は、成形体を成形するように構成され、前記冷却装置は、前記金型で成形された前記成形体を冷却するように構成され、前記切断装置は、前記冷却装置で冷却された前記成形体を切断して構造体を形成するように構成され、前記コンベアは、前記構造体を搬送するように構成され、前記マニピュレータは、前記金型からの前記成形体の搬出、前記冷却装置に対する前記成形体の搬入及び搬出、前記切断装置への前記成形体の搬入、前記切断装置からの前記構造体の搬出、及び、前記コンベアへの前記構造体の搬入をするように構成され、前記金型、前記冷却装置、前記切断装置及び前記コンベアが、前記マニピュレータを中心とする周方向において、並ぶように配置されている、構造体の製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る構造体の製造装置100を模式的に示す斜視図である。
図1では、マニピュレータ50が金型10から成形体1を取り出している状態を示している。
【
図3】
図3は、
図1に示す製造装置100のマニピュレータ50が計量部23に成形体1を配置した後に、冷却装置20から冷却済みの成形体1を取り出す様子を示している。
【
図4】
図4Aは、
図3に示す配置部材33Aの拡大図である。
図4Bは、
図4Aに示す配置部材33Aに内蔵されている切断刃33Cが突き出した状態を示している。
【
図5】
図5Aは、マニピュレータ50の保持機構部52が切断装置30の正面に位置しており、切断装置30内に進入する前の状態を示している。
図5Bは、
図5Aに示すマニピュレータ50の保持機構部52が前進及び下方に移動し、配置部材33A上に成形体1を載置した状態を示している。
【
図6】
図6Aは、
図5Bに示すマニピュレータ50の保持機構部52が上方に移動し、保持装置32が保持している切断済みの成形体1t(ダクト2及び連結廃棄材3)を受けたった状態を示している。
図6Bは、
図6Aに示すマニピュレータ50の保持機構部52が下方に移動及び後退し、切断装置30から退避した状態を示している。
【
図7】
図7Aは、
図6Bに示すマニピュレータ50の保持機構部52が切断装置30から退避した後に、保持装置32が下降した状態を示している。
図7Bは、保持装置32が下降した後に、切断刃33Cが突き出て、成形体1(
図7A参照)を切断した状態を示している。
【
図8】
図8は、保持装置32が切断された成形体1tを減圧吸引して保持した状態で、保持装置32が上昇している様子を示している。
【
図9】
図9は、切断装置30で切断された成形体1の構成を示す上面図である。
【
図10】
図10は、
図6Bに示すマニピュレータ50の保持機構部52が軸回転し、成形体1t(ダクト2及び連結廃棄材3)が基部52Aの下にくるように配置した後に、第1コンベア41上にダクト2を配置した様子を示している。
図10では、第1コンベア41上にダクト2を配置した後に、連結廃棄材3をコンベア40に付設される廃棄ボックス(図示省略)へ落下させ、廃棄している様子を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0012】
1 製造装置100の構成説明
図1に示すように、実施形態に係る構造体の製造装置100は、金型10と、冷却装置20と、切断装置30と、コンベア40と、マニピュレータ50とを備えている。その他に、製造装置100は、図示省略の成形機を備えている。
図1では、成形機のヘッド11のみを模式的に示している。ヘッド11は、円筒状のパリソン(溶融樹脂)を垂下するように構成されている。また、製造装置100は、金型10、冷却装置20、切断装置30、コンベア40及びマニピュレータ50を統括制御する制御装置(図示省略)を備えている。
【0013】
1-1 金型10
図1に示す金型10は、円筒状のパリソンをブロー成形することで、中空の成形体1を成形することができるように構成されている。パリソンを構成する樹脂は、例えば、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物で構成することができる。金型10で製造された成形体1は、冷却装置20で冷却された後に、切断装置30で切断されて、所望の形状のダクト2を得ることができる。
金型10でブロー成形が完了すると、金型10が開き、マニピュレータ50によって成形体1が取り出される。実施形態では、円筒状のパリソンを用いて成形体1を成形するが、これに限定されるものではなく、金型10間に垂下した樹脂シートを成形して成形体1を取得してもよい。また、実施形態では、1回のブロー成形において、2つの成形体1を製造することが可能であるが、これに限定されるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0014】
1-2 冷却装置20
図1に示す冷却装置20は、成形体1を冷却する機能を有する。冷却装置20は、複数段(実施形態では3段)の部屋を備えており、各部屋には、一対の成形体1を収容することが可能になっている。具体的には、冷却装置20は、各部屋を閉塞するための扉21(
図1参照)と、各部屋内に設けられた載置台22(
図3参照)とを備えている。扉21は、ヒンジ式になっており、回動することで部屋を開閉可能に構成されている。載置台22は、扉21が開くと部屋内から突き出るように構成され、扉21が閉じると部屋内に収容されるように構成されている。マニピュレータ50が載置台22上に成形体1を配置し、扉21が閉じることで、成形体1が冷却装置20の部屋内に収容される。冷却装置20の各部屋には、エアーが供給されており、成形体1の冷却が促進されている。また、冷却装置20の上部には、計量部23が設けられている。計量部23では、成形体1の重量を取得可能に構成されており、例えば、成形体1の良品・不良品の判定に利用することができる。
【0015】
1-3 切断装置30
図1及び
図2に示す切断装置30は、成形体1を切断するように構成されている。また、切断装置30は、切断済みの成形体1tを保持しておく機能(待機させておく機能)を有する。成形体1及び成形体1tは、共に、構造体の一例であるダクト2を含んでいる。
【0016】
図2に示すように、切断装置30は、配置台31と、保持装置32と、切断機構33とを有する。
配置台31は、成形体1を配置することが可能に構成されており、配置台31には、切断機構33が設けられている。
保持装置32は、配置台31上の配置物(実施形態では切断された成形体1t)を保持可能に構成されている。また、保持装置32は、上下動が可能に構成され、例えば、モーターやリニア機構等で構成することができる。保持装置32は、配置部材32Aを有する。配置部材32Aには、減圧吸引穴(図示省略)が形成されており、切断済みの成形体1tを保持することが可能になっている。また、配置部材32Aは、下降したときにおいて、後述する切断機構33の配置部材33A上に配置された成形体1の動き(上方向の動き)を規制することが可能である。つまり、配置部材32Aが、下降することで、成形体1に覆いかぶさり、切断機構33が駆動したときに成形体1が位置ずれしてしまうことを回避することが可能である。実施形態では、保持装置32が減圧吸引することで成形体1tを保持するものとして説明しているがこれに限定されるものではなく、減圧吸引する代わりに成形体1tを把持する機構を備えていてもよい。
【0017】
図4A及び
図4Bに示す切断機構33は、配置部材33Aと、切断刃33Cとを有する。配置部材33A内には、切断刃33Cが収容されている。具体的には、配置部材33Aには、収容穴33Bが形成されており、収容穴33Bには切断刃33Cが収容されている。切断刃33Cは、成形体1を切断するように、配置部材33Aから上方に突き出し可能に構成されている。切断刃33Cの駆動機構は、特に限定されるものではないが、例えば、エアシリンダー等で切断刃33Cを上下に駆動させることができる。
【0018】
1-4 コンベア40
図1及び
図10に示すコンベア40は、第1コンベア41、第2コンベア42及び第3コンベア43を有する。
第1コンベア41は、切断された成形体1t(ダクト2)を配置するためのコンベアである。マニピュレータ50が保持しているダクト2が第1コンベア41に全て配置されると、第1コンベア41が駆動し、ダクト2を第2コンベア42へ順次搬送する。
第2コンベア42は、ダクト2の重量を計量可能に構成されており、例えば、ダクト2の良品・不良品の判定に利用することができる。
第3コンベア43には、回動可能に構成された複数の選別板44が付設されている。第2コンベア42における計量結果等に基づいて、選別板44が回動する。これにより、第3コンベア43を流れるダクト2が、適宜、選別される。
【0019】
1-5 マニピュレータ50
マニピュレータ50は、アーム部51と、保持機構部52とを有する。
アーム部51は、いわゆるロボットアームであり、リンク及びジョイント等を備えている。アーム部51の先端部には、保持機構部52が取り付けられ、アーム部51は、保持機構部52を移動可能に構成されている。
保持機構部52は、基部52Aと、第1保持部52B1と、第2保持部52B2とを有する。第1保持部52B1及び第2保持部52B2には、図示省略の減圧吸引穴が形成されており、成形体1(成形体1t)を保持することが可能になっている。基部52Aの一方側の面には、第1保持部52B1が取り付けられ、他方側の面には、第2保持部52B2が取り付けられている。つまり、第1保持部52B1と第2保持部52B2とは基部52Aを境にして互いに反対側に位置するように設けられている。このため、マニピュレータ50は、保持機構部52を回転させなくても、後述する搬入工程及び受取工程を実施することが可能である。
【0020】
マニピュレータ50は、金型10からの成形体1の搬出、冷却装置20に対する成形体1の搬入及び搬出、切断装置30への成形体1の搬入、切断装置30からの成形体1t(ダクト2等)の搬出、及び、コンベア40へのダクト2の搬入をするように構成されている。つまり、その他に、マニピュレータ50は、計量部23への成形体1の搬入も可能である。このように、実施形態では、1台のマニピュレータ50によって、金型10、冷却装置20、切断装置30及びコンベア40等に対する成形体1等の搬入及び搬出を賄うことが可能となっている。
そして、実施形態では、金型10、冷却装置20、切断装置30及びコンベア40が、マニピュレータ50を中心とする周方向において、金型10、冷却装置20、切断装置30及びコンベア40の順番で並ぶように配置されている。これにより、1台のマニピュレータ50によって、後述する各製造工程を円滑に流すことができ、ひいては、製造工程のサイクルを短くすることが可能である。
【0021】
2 製造方法
実施形態に係る製造方法は、マニピュレータ50を用いて成形体1を切断装置30に搬入し(後述の(1)搬入工程に対応)、切断装置30で成形体1を切断してダクト2を形成し(後述の(8)切断工程に対応)、マニピュレータ50を用いて、切断されて形成されたダクト2を切断装置30から搬出する(後述の(5)受取工程及び(6)退避工程に対応)、サイクルを繰り返し行う。そして、現サイクルでは、成形体1を切断装置30に搬入した後、現サイクルの前サイクルにおいて切断装置30で形成しておいたダクト2を、切断装置30から搬出する。
【0022】
具体的に、実施形態に係る製造方法について説明する。
実施形態に係る製造方法は、(1)成形工程と、(2)計量工程と、(3)冷却工程、(4)取出工程と、(5)搬入工程と、(6)受取工程と、(7)退避工程と、(8)下降工程と、(9)切断工程と、(10)上昇工程と、(11)コンベア搬送工程と、(12)冷却装置搬入工程を備える。
マニピュレータ50は、(1)成形工程と、(2)計量工程と、(4)取出工程と、(5)搬入工程と、(6)受取工程と、(7)退避工程と、(11)コンベア搬送工程と、(12)冷却装置搬入工程において関与し、工程はここで示した順番で実施される。なお、(8)下降工程、(9)切断工程及び(10)上昇工程は、切断装置30で独立して完結するため、マニピュレータ50は関与しない。
つまり、(8)下降工程、(9)切断工程及び(10)上昇工程を実施している間に、並行して、(11)コンベア搬送工程及び(12)冷却装置搬入工程に移ることができる。
【0023】
2-1 成形工程
成形工程では、パリソンを金型10間に垂下してブロー成形を実施し、成形体1を成形する。成形された成形体1は、マニピュレータ50の第1保持部52B1によって保持され、金型10から取り出される。
【0024】
2-2 計量工程
成形工程が完了すると、マニピュレータ50は、成形体1を冷却装置20上に配置される計量部23に載置する。そして、計量部23が成形体1の重量を取得する。制御装置が、計量部23の計量結果に基づいて、成形体1が不良であると判断した場合、マニピュレータ50が成形体1を廃棄してもよい。
【0025】
2-3 冷却工程
成形工程や計量工程等を実施しているときに、冷却装置20内では、現サイクル以前のサイクルにおいて成形済みの成形体1が、冷却装置20内に搬入されており(後述の冷却装置搬入工程で搬入される)、冷却装置20内で冷却されている。
【0026】
2-4 取出工程
冷却装置20の扉21が開き、冷却装置20で冷却が完了した成形体1が取り出し可能となる。マニピュレータ50は、
図3に示すように、冷却装置20で冷却が完了した成形体1を保持し、冷却装置20から取り出す。
【0027】
2-5 搬入工程
マニピュレータ50は、
図5A及び
図5Bに示すように、冷却装置20から取り出した成形体1を切断装置30の配置台31(配置部材33A)に配置(搬入)する。具体的には、マニピュレータ50の保持機構部52は、
図5Aに示すように、成形体1が切断装置30の正面の位置に到達すると、水平方向に平行に前進し、その後、下方に移動する。これにより、マニピュレータ50の保持機構部52は、
図5Bに示す状態となる。そして、
図5Bに示す状態において、第1保持部52B1の減圧吸引が停止し、第1保持部52B1の成形体1の保持が解除される。
【0028】
2-6 受取工程
図5Bに示すマニピュレータ50の保持機構部52は、
図6Aに示すように、上方に移動して、第2保持部52B2が切断済みの成形体1tに接触又は近接する。この成形体1tは、現サイクルの前のサイクルにおいて、切断装置30に予め切断して形成しておいたものである。なお、実施形態において、成形体1tは、配置台31よりも上側である予め定められた高さ位置において、保持装置32(配置部材32A)に減圧吸引されることによって保持されている。配置部材32Aにおける減圧吸引が停止し、第2保持部52B2が減圧吸引する。これにより、マニピュレータ50の保持機構部52は、成形体1tを配置部材32Aから受け取る。
なお、マニピュレータ50の保持機構部52が受け取る対象は、
図9に示すように、一対のダクト2が2組と、連結廃棄材3が2組の合計6つの成形体である。換言すると、
図9に示す端部廃棄材4については、後述する切断工程において、切断された後に配置台31に落下するため、保持機構部52で受け取られない。
また、配置部材32Aにおける減圧吸引の停止と、第2保持部52B2が減圧吸引の開始とは、同じタイミングであってもよいが、多少ずれていてもよい。なお、この場合、第2保持部52B2が減圧吸引の開始の方が、配置部材32Aにおける減圧吸引の停止よりも先であることが好ましい。
【0029】
なお、
図6Aに示すように、成形体1の上端部の位置h1と、上方で待機している切断済みの成形体1tの下端の位置h2との間の高さ幅H(cm)は、具体的には例えば、50,55,60,65,70,75,80,85,90,95,100,105,110,115,120,125,130,135,140,145,150であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0030】
2-7 退避工程
図6Aに示すマニピュレータ50の保持機構部52は、
図6Bに示すように、切断済みの成形体1tを保持したまま、下方に移動し、その後、水平方向に平行に後退して、切断装置30から退避する。マニピュレータ50の保持機構部52が、切断装置30から退避することで、保持装置32と干渉しなくなり、後述する下降工程、切断工程及び上昇工程を実施することができる。
【0031】
2-8 下降工程
図7Aに示すように、保持装置32(配置部材32A)が、配置部材33Aの位置まで下降する。これにより、成形体1の動き(特に上下方向の動き)が規制される。なお、保持装置32(配置部材32A)は、成形体1に接触して押さえつけている必要はない。つまり、保持装置32(配置部材32A)は、後述する切断工程において、切断刃33Cが成形体1に付き当てられて成形体1が上方に移動しようとしたとき、成形体1が逃げないようにすることができればよい。
【0032】
2-9 切断工程
図7Bに示すように、切断刃33Cが上方に移動し、成形体1を切断する。切断工程において、切断された成形体1は、
図9に示す通りである。1つの成形体1は、2つのダクト2と、ダクト2を連結していた連結廃棄材3と、成形体1の端部に位置する端部廃棄材4とに分離される。端部廃棄材4については、配置台31に落下し、その後、図示省略の廃棄ボックスに廃棄される。
【0033】
2-10 上昇工程
保持装置32(配置部材32A)が再び減圧吸引を開始する。そして、
図8に示すように、保持装置32(配置部材32A)は、次の受取工程において成形体1tが受け取られるように上昇し、その場で待機する。
【0034】
2-11 コンベア搬送工程
図10に示すように、退避工程を完了したマニピュレータ50の保持機構部52は、第1コンベア41上に全てのダクト2を配置し、その後、連結廃棄材3をコンベア40に付設される廃棄ボックス(図示省略)へ落下させ、廃棄する。具体的には、4つのダクト2を第1コンベア41に配置する際には、ダクト2が順次、第1コンベア41上に配置される。つまり、マニピュレータ50の動作に併せて、ダクト2を保持していた第2保持部52B2の減圧吸引が、順次、解除され、第1コンベア41上に4つのダクト2が並べて配置される。この4つのダクト2を第1コンベア41に配置しているときにおいて、マニピュレータ50は、連結廃棄材3を保持したままである。マニピュレータ50は、ダクト2を配置し終えると、所望の廃棄位置(図示省略の廃棄ボックスの位置)に移動し、連結廃棄材3を保持していた第2保持部52B2の減圧吸引が、解除され、連結廃棄材3が廃棄ボックスに落下し、廃棄される。
【0035】
2-12 冷却装置搬入工程
マニピュレータ50の保持機構部52は、計量部23上に配置した成形体1を、冷却装置20の部屋内に搬入する。
【0036】
なお、上述の2-1~2-12で説明した工程を、任意のサイクルの成形体1(ダクト2)に着目した場合、以下のような順番で、成形体1(ダクト2)が流れる。
つまり、(1)成形工程、(2)計量工程、(12)冷却装置搬入工程、(3)冷却工程、(4)取出工程、(5)搬入工程、(7)退避工程、(8)下降工程、(9)切断工程、(10)上昇工程、(6)受取工程、及び、(10)コンベア搬送工程の順番で、成形体1(ダクト2)が流れることになる。
【0037】
3 実施形態の作用・効果
マニピュレータ50の保持機構部52が、成形体1を配置台31(配置部材33A)に配置した後、成形体1がダクト2等に切断されるのを待つのではなく、予め切断されたダクト2等を保持装置32から受け取る。このように、実施形態に係る製造方法では、成形体1がダクト2等に切断されるのを待たない分、製造工程のサイクルを短くすることができる。
【0038】
現サイクルでは、現サイクルの前サイクルにおいて切断装置30で形成しておいたダクト2等(成形体1t)が、保持装置32に保持されることで、切断装置30に搬入された成形体1の上方で待機している(
図5B参照)。ここで、マニピュレータ50(保持機構部52)が、両面において成形体を保持することができる。つまり、マニピュレータ50(保持機構部52)において、搬入工程において成形体1を保持していた面と、受取工程において成形体1tを受け取る面とが、表裏の関係になっており、マニピュレータ50(保持機構部52)の面を反転させなくても、成形体1tを受け取る面が既に上を向いている。このため、マニピュレータ50は、上方に移動する簡易な動作によって、成形体1tを受け取ることができ、マニピュレータ50の動きが複雑化することを抑制することが可能であるとともに、切断装置30の省スペース化を実現することが可能である。
【0039】
切断工程において、予め下降させておいた保持装置32(配置部材32A)によって、成形体1の動きを規制している状態において、切断機構33の切断刃33Cを用いて成形体1を切断する。つまり、切断機構33の切断刃33Cが下から突き出してきても、成形体1の上方の動きが保持装置32(配置部材32A)によって規制され、より確実且つ綺麗に成形体1を切断することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 :成形体
1t :成形体
2 :ダクト
3 :連結廃棄材
4 :端部廃棄材
10 :金型
11 :ヘッド
20 :冷却装置
21 :扉
22 :載置台
23 :計量部
30 :切断装置
31 :配置台
32 :保持装置
32A :配置部材
33 :切断機構
33A :配置部材
33B :収容穴
33C :切断刃
40 :コンベア
41 :第1コンベア
42 :第2コンベア
43 :第3コンベア
44 :選別板
50 :マニピュレータ
51 :アーム部
52 :保持機構部
52A :基部
52B1 :第1保持部
52B2 :第2保持部
100 :製造装置