(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151085
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】サイト管理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20231005BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060516
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大友 紘之
(72)【発明者】
【氏名】宮田 有二
(72)【発明者】
【氏名】門脇 正
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AA32
5B376AA35
5B376AB01
5B376AB12
5B376CA04
5B376CA05
5B376CA45
5B376CA46
(57)【要約】
【課題】サイトに対する更新プログラムの配信において、更新プログラムが不要なサイトへの無駄な配信や、それを避けるための管理者の判断等を削減し、通信リソースの浪費や人的負荷を削減する。
【解決手段】このサイト管理システムは、サイトを管理するセンターサーバと、前記サイトの構成情報を保持するデータベースと、を備える。前記センターサーバは、コンピュータプログラムの更新プログラムを受信した場合に、前記データベースに保持された前記構成情報に基づき、前記更新プログラムを配信すべきサイトを抽出し、抽出された前記サイトに前記更新プログラムを配信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイトを管理するセンターサーバと、
前記サイトの構成情報を保持するデータベースと、
を備え、
前記センターサーバは、コンピュータプログラムの更新プログラムを受信した場合に、前記データベースに保持された前記構成情報に基づき、前記更新プログラムを配信すべきサイトを抽出し、抽出された前記サイトに前記更新プログラムを配信する
ことを特徴とする、サイト管理システム。
【請求項2】
前記データベースは、
前記サイトに関する情報を管理するサイト管理データベースと、
前記構成情報として、前記サイトに含まれる管理対象機器の数、及び種類に関する情報を管理するサイト構成データベースと
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のサイト管理システム。
【請求項3】
前記サイト管理データベースは、前記サイトが前記更新プログラムの自動更新を実行するサイトであるか否かに関する自動更新設定情報を保持し、
前記センターサーバは、前記自動更新設定情報に従って、前記更新プログラムを配信すべきサイトを抽出する、請求項2に記載のサイト管理システム。
【請求項4】
前記サイト構成データベースは、
前記サイトに配置される管理対象機器を特定する機器特定情報と、当該サイトが含むソフトウェアを特定するソフトウェア特定情報と、前記サイトにおいて更新プログラムに関する適用済の更新に関する適用済更新データとを含む、請求項3に記載のサイト管理システム。
【請求項5】
サイトを管理するセンターサーバと、
前記サイトに配置される管理対象機器を管理するサイトサーバと、
前記サイトの構成情報を保持するデータベースと、
を備え、
前記センターサーバは、コンピュータプログラムの更新プログラムを受信した場合に、前記データベースに保持された前記構成情報に基づき、前記更新プログラムを配信すべきサイトを抽出し、抽出された前記サイトに前記更新プログラムを配信し、
前記サイトサーバは、前記センターサーバから提供された前記更新プログラムを前記管理対象機器に送信する
ことを特徴とする、サイト管理システム。
【請求項6】
前記データベースは、
前記サイトに関する情報を管理するサイト管理データベースと、
前記構成情報として、前記サイトに含まれる管理対象機器の数、及び種類に関する情報を管理するサイト構成データベースと
を備える
ことを特徴とする請求項5に記載のサイト管理システム。
【請求項7】
前記サイト管理データベースは、前記サイトが前記更新プログラムの自動更新を実行するサイトであるか否かに関する自動更新設定情報を保持し、
前記センターサーバは、前記自動更新設定情報に従って、前記更新プログラムを配信すべきサイトを抽出する、請求項6に記載のサイト管理システム。
【請求項8】
前記サイト構成データベースは、
前記サイトに配置される管理対象機器を特定する機器特定情報と、当該サイトが含むソフトウェアを特定するソフトウェア特定情報と、前記サイトにおいて更新プログラムに関する適用済の更新に関する適用済更新データとを含む、請求項7に記載のサイト管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のサイトを管理するサイト管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のサイトを管理するよう構成されたサイト管理システムが知られている。管理対象のサイトの各々は、それぞれ、センサ機器、加工機器、測定機器、制御機器、通信機器、コンピュータ等の各種機器を備えると共に、各種機器を管理するためサイトに設置されるサイトサーバを備える。サイトサーバは、ネットワークを介して接続されるセンターサーバにより管理される。センターサーバ及びサイトサーバは、共同して管理対象の各種機器の稼働状況を把握すると共に、その動作の異常を検知し、検知結果に従った制御を実行する。サイト中の各種機器は、コンピュータプログラムの制御の元で動作している。
【0003】
各種機器の品質維持・機能追加・セキュリティ確保・不具合修正などのための更新プログラムが作られ、各種機器にインストールされることがある。本明細書において「更新プログラム」の用語は、特に断らない限り、アプリケーションソフトウエアの他、ミドルウェア、ファームウェア、オペレーティングシステム(OS)の更新プログラムをも含む意味において使用される。従来のシステムでは、更新プログラムが作られると、例えば以下のような手順で更新プログラムが各種機器に配信され、インストールされる。
【0004】
(1)更新プログラムを作成した、又は当該機器・ソフトウェアの開発者から更新プログラムの提供を受けたサービス提供者は、サイトの管理者に対し、更新プログラムの案内を送る。サイトの管理者は、サービス提供者へ更新を許可する連絡を行う。
(2)サービス提供者は、更新プログラムをセンターサーバに登録する。
(3)センターサーバは、更新許可に係るサイトサーバへ更新プログラムを配信する。
(4)サイトの管理者は、配信された更新プログラムを適用する対象の機器が存在するかどうかを判断し、存在する場合には対象の機器に対し、当該更新プログラムのインストール作業を行う。
(5)サイトの管理者は、更新プログラムをインストールした機器に対し、更新プログラム適用後の各種機器が正常に動作しているかを確認する作業(事後健全性チェック)を行う。動作の異常があった場合は、更新動作開始前の状態を復元する動作(ロールバック)を実行し、その旨をセンターサーバに報告する。
【0005】
しかし、従来のシステムでは、サービス提供者は、サイトにある機器の数や種類、更新プログラムの更新状況などの情報を把握しておらず、更新プログラムの適用対象の機器が複数あるサイトの各々に存在するどうかを判断できない。このため、センターサーバは、複数のサイトの各々における更新プログラムの要否に拘わらず、複数のサイトに向けて一斉に更新プログラムの案内を送信したり、更新プログラム自体を一斉に複数のサイトに向けて配信したりしていた。これは、通信リソースが無用に消費されることを意味する。また、サイトの管理者においても、更新プログラムの案内があった場合にその更新プログラムの要否を判定することが必要となり、サイトサーバへの更新プログラムの配信後においては、サイトの管理者等が手動でインストール作業等を行う必要があった。手動によるインストール作業は、操作ミス等によるオペレーションミス等を避けることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、サイトに対する更新プログラムの配信において、更新プログラムが不要なサイトへの無駄な配信や、サイトの管理者による更新適用の要否の判断等を削減し、通信リソースの浪費や人的負荷を削減することができるサイト管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一形態に係るサイト管理システムは、サイトを管理するセンターサーバと、前記サイトの構成情報を保持するデータベースと、を備える。前記センターサーバは、コンピュータプログラムの更新プログラムを受信した場合に、前記データベースに保持された前記構成情報に基づき、前記更新プログラムを配信すべきサイトを抽出し、抽出された前記サイトに前記更新プログラムを配信する。
【0009】
また、本発明の他の形態に係るサイト管理システムは、サイトを管理するセンターサーバと、前記サイトに配置される管理対象機器を管理するサイトサーバと、前記サイトの構成情報を保持するデータベースとを備える。前記センターサーバは、コンピュータプログラムの更新プログラムを受信した場合に、前記データベースに保持された前記構成情報に基づき、前記更新プログラムを配信すべきサイトを抽出し、抽出された前記サイトに前記更新プログラムを配信する。前記サイトサーバは、前記センターサーバから提供された前記更新プログラムを前記管理対象機器に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サイトに対する更新プログラムの配信において、更新プログラムが不要なサイトへの無駄な配信や、サイトの管理者による更新適用の要否の判断等を削減し、通信リソースの浪費や人的負荷を削減することができるサイト管理システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態に係るサイト管理システム1の全体構成を示す概略図である。
【
図2】サイト管理データベース11に格納される、本システム1の管理下にあるサイトに関する情報のデータ構造の一例を示しているデータ構造図である。
【
図3】サイト構成データベース12に格納される、本システム1の管理下にあるサイトSの構成に関する情報のデータ構造図の一例を示しているデータ構造図である。
【
図4】第1の実施の形態のサイト管理システム1による更新プログラムの配信の手順の一例を説明する。
【
図5】第2の実施の形態に係るサイト管理システム1の全体構成を示す概略図である。
【
図6】更新進捗データベース13に格納される、更新プログラムの更新状況に関する情報のデータ構造の一例を示しているデータ構造図である。
【
図7】第2の実施の形態における本サイト管理システム1による更新プログラムの受信動作、及びそれ以後の更新進捗状況の更新進捗に関する情報の登録の手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】更新プログラムの更新適用の完了後に実行される手順を説明するフローチャートである。
【
図9】事後健全性チェックの詳細な手順、及び事後健全性チェックに関する更新進捗データベース13の更新の詳細について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0013】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0014】
[第1の実施の形態]
次に、第1の実施の形態に係るサイト管理システム1を、
図1を参照して説明する。このサイト管理システム1は、センターサーバ10と、サイトサーバ20(20-1、・・・20-N)から構成され、各サイトS(S1、・・・SN)に設置される管理対象機器30(30-1、・・・30-N)を管理する。サイト管理システム1は、サイト管理データベース11及びサイト構成データベース12も備えている。図示の例では、N個のサイトサーバ20及びN組の管理対象機器30が示されているが、Nの数は特定の数には限られず、1以上であればよい。センターサーバ10とサイトサーバ20とは、ネットワークNWを介して接続され、各種情報・要求・指令を送受信可能に構成されている。センターサーバ10は、サイトサーバ20を管理すると共に、サイトサーバ20を介して管理対象機器30を管理する。なお、以下では、複数のサイトを総称する場合に「サイトS」と呼称し、個々のサイトに言及する場合に、「サイトS1、S2…」のように添字を付して呼称する。サイトサーバ20についても同様に、複数のサイトサーバを呼称する場合には、「サイトサーバ20」と呼称し、個々のサイトサーバに言及する場合に「サイトサーバ20-1、20-2…」のように呼称する。
【0015】
サイトサーバ20-1、・・・20-Nは、各サイトS1、・・・、SNに配置されると共に、サイトS1、・・・、SNに配置される管理対象機器30(30-1、・・・30-N)を管理し、センターサーバ10から提供された更新プログラムを管理対象機器30に送信するように構成される。
【0016】
センターサーバ10は、サイト管理データベース11と、サイト構成データベース12と接続されている。サイト管理データベース11は、各サイトに関する情報を管理するデータベースである。また、サイト構成データベース12は、各サイトS1、・・・、SNに設置される管理対象機器30の数、種類、属性、状態等を含む、サイトの構成情報を保持・管理するデータベースである。センターサーバ10は、サイト管理データベース11及びサイト構成データベース12に記憶されている情報に従い、作成された更新プログラムを配信すべきサイトを特定し、当該更新プログラムの配信を行う。
【0017】
管理対象機器30は、一例として、センサ機器、加工機器、測定機器、制御機器、コンピュータ等を含む。一例として、管理対象機器30-Nは、HMI(Human Machine Interface)ステーション31、分散型制御システム(DCS(Distributed Control System))32、プラントリソースマネージャ(PRM)33、汎用コンピュータ34、ルータ35、スイッチ36、各種機器(センサ、バルブ等)37、38を備えている。管理対象機器30-Nの図示の例は、管理対象機器30の理解のために具体的に一例として示されているものであり、管理対象機器30の数、構成、種類等を限定する趣旨ではないことはいうまでもない。管理対象機器30-N以外の管理対象機器30は、各サイトS1~SN-1での要求仕様に従い、別の構成を採用し得る。
【0018】
HMIステーション31は、人間と機械の間で指令や情報の伝達を行うためのインタフェースを提供するコンピュータであり、分散型制御システム32は、サイトS内に配置される各種機器37の制御を担当するためのコンピュータである。また、プラントリソースマネージャ33は、サイトS内に配置される各種機器38の運転条件の調整や故障診断等を担当するコンピュータである。汎用コンピュータ34は、サイトS内の各種業務を管理・記録するためのコンピュータである。また、ルータ35、スイッチ36は、サイトS30-N内の無線通信網を提供するための通信機器の一例である。
【0019】
サイトS内に設置された各種機器の多くは、コンピュータプログラムの制御の下で動作しており、そのコンピュータプログラムは、品質維持・機能追加・不具合修正などのための更新プログラムにより適宜更新される必要がある。サービス提供者により更新プログラムが生成されると、その更新プログラムは、サービス提供者からセンターサーバ10に配信され、センターサーバ10からサイトサーバ20を介してサイトSへ提供される。この際、センターサーバ10は、データベース11及び12に管理されるデータを参照して、その更新プログラムを必要とするサイトSを判定(抽出)し、そのサイトSが配置されたサイトサーバ20に対してのみ、当該更新プログラムを配信する。
【0020】
図2は、サイト管理データベース11に格納される、本システム1の管理下にあるサイトに関する情報のデータ構造の一例を示している。この
図2の例では、各サイトの情報として、サイトID、サイト名、各サイトにおける自動更新の有無(する/しない)に関する情報が格納・管理されている。「自動更新」の項目が「する」に設定されているサイトについては、そのサイトにおいて必要とされる更新プログラムが生成された場合、サイトサーバ20の管理者の操作を要することなく、当該サイトにおける更新プログラムのインストール作業が自動的に開始され得る。「自動更新」の項目が「しない」に設定されているサイトについては、更新プログラムが生成された場合でも、更新プログラムの配信は開始されず、そのインストールは、更新プログラムの生成の案内に従い、サイトの管理者の判断・及びインストール作業により実行される。
【0021】
図3は、サイト構成データベース12に格納される、本システム1の管理下にあるサイトSの構成に関する情報のデータ構造図の一例を示している。この
図3の例では、各種機器に関して、その機器が配置されるサイトSのサイトID、機器の名称、当該機器にインストールされているオペレーティングシステム(OS)の名称、ソフトウェア(アプリケーション、ミドルウェア、ファームウェア等)の名称、適用済の更新プログラムの名称、その他が格納・管理されている。これは一例であって、サイトSに含まれる機器を特定する機器特定情報と、一のサイトSに配置されたいずれかの機器に含まれるソフトウェアを特定するソフトウェア特定情報と、更新プログラムに関する適用済の更新に関する適用済更新データが含まれていればよい。また、図示の情報に加え、又はこれらに替えて、各種機器のIPアドレス、MACアドレス、製造ロット番号などの情報がサイト構成データベース12に格納されていてもよい。
【0022】
サイト管理データベース11の格納データは、新しいサイトが新設されたとき、及び各サイトにおける自動更新の有無に変化があった場合において書き換えられる。
【0023】
サイト構成データベース12の格納データは、各サイトSにおける各種機器の変化(機器の新設、増設、置換、修理、部品交換、メンテナンス、廃棄、コンピュータプログラムの新規導入、更新プログラムのインストール等)があった場合において書き換えられる。サイト構成データベース12の格納データの書き換えは、当該サイトSに配置されるサイトサーバ20に書き換え情報が格納された後、その書き換え情報がセンターサーバ10に送信されることにより実行される。書き換え作業は、センターサーバ10の管理者により手動で実行されてもよいし、センターサーバ10に格納された自動登録プログラム、又はセンターサーバ10とは別のリソース管理用コンピュータ(図示せず)により自動的に実行されてもよい。
【0024】
図4のフローチャートを参照して、本サイト管理システム1による更新プログラムの配信の手順の一例を説明する。サービス提供者等により新たに生成された更新プログラムPG1がセンターサーバ10に登録されると(ステップS11)、その更新プログラムPG1の配信の要否が、N個のサイトS1~SNについて順次判定される(ステップS12、S17、S18)。まず、判定対象のサイトSn(n=1~N)が、更新プログラムの自動更新を設定されているサイトであるか否かが、サイト管理データベース11のデータに基づいて判定される(ステップS13)。
【0025】
そのサイトSnについて、サイト管理データベース11において「自動更新」の項目が「する」に設定されていれば(Yes)、当該更新プログラムPG1に係る更新対象の機器/又はソフトウェアを、サイト構成データベース12中から検索する(ステップS14)。該当するデータが検索されれば、当該更新プログラムPG1による更新適用の対象となる機器が当該サイトSn中に存在すると判定され(ステップS15のYes)、当該更新プログラムPG1が、そのサイトSnのサイトサーバ20に向けて配信される(ステップS16)。なお、ステップS14及びS15における更新対象の機器が当該サイトSn中に存在すると判定される場合であっても、既に当該機器に別の更新プログラムPG2が適用済であり、現在判定中の更新プログラムPG1とは共存不能と判定される場合には、更新対象の機器は存在せず、そのサイトSnは更新プログラムを送信する対象として抽出しないと判定することが可能である。
【0026】
ステップS13において、当該サイトSnが、自動更新を設定されたサイトではないと判定された場合には(No)、当該サイトSnへの更新プログラムの配信は行われず(サイトSnは抽出されず)、手順はステップS17に移行し、次のサイト(n=n+1)に関して、上述の手順が繰り返される。この場合は、別途サイト管理者による更新許可が得られた場合に、当該更新プログラムPG1がサイトSnへ配信される。また、ステップS15において、当該サイトSnが、自動更新を設定されてはいるが、判定対象の更新プログラムに係る更新適用の対象となる機器を有していないと判定される場合には(No)、同様にサイトSnへの更新プログラムの配信は行われず、手順はステップS17に移行し、次のサイト(n=n+1)に関して、上述の手順が繰り返される。
【0027】
以上説明したように、この第1の実施の形態のサイト管理システム1によれば、サイトに対する更新プログラムの配信において、更新プログラムが不要なサイトへの無駄な配信や、それを避けるための管理者の判断等を削減し、通信リソースの浪費や人的負荷を削減することができるサイト管理システムを提供することができる。
【0028】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態のサイト管理システムを、
図5の構成図及び
図6のデータ構造図を参照して説明する。この第2の実施の形態のサイト管理システム1の基本構成は、第1の実施の形態のシステムと、新たなデータベースが追加されている点において異なっている。
図5において、第1の実施の形態(
図1)と同一の構成については、
図1と同一の参照符号を付しているので、以下では重複する説明は省略する。
【0029】
図5に示す通り、第2の実施の形態のサイト管理システム1は、サイト管理データベース11、サイト構成データベース12に加え、更新進捗データベース13を備えている。更新進捗データベース13は、更新プログラムの生成から配信に至るまでの過程において、更新プログラムの更新の進捗がどの段階にあるのかに関する情報、及び更新の完了/失敗等に関する情報を管理するデータベースである。この第2の実施の形態は、更新進捗データベース13を備えることにより、更新プログラムの受信後における各種状況をセンターサーバ10において把握し、これを更新プログラム配信後におけるサイトSの管理に利用することができる。
【0030】
図6に、この更新進捗データベース13に格納される、更新プログラムの更新状況に関する情報のデータ構造の一例を示している。この
図6のデータ構造は、1つのサイトについての更新プログラムの更新状況を示しており、複数のサイトの各々に関し、
図6のようなデータが個別に格納され得る。この
図6の例では、更新される機器又はソフトウェアを特定するID(更新機器・ソフトID)、更新プログラムの名称、更新プログラムの各サイトにおける更新状況、及びその詳細データを含んでいる。このデータ構造は一例であり、これに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0031】
図6において、「更新状況」のデータは、例えば以下の項目を含むことができる。以下の項目の全てが含まれていなくても良いし、以下に列挙する項目以外の項目を含ませても良い。
(1)サイトサーバ20への更新プログラムの配信の途中であることを示す「サイト配信中」
(2)サイトサーバ20への更新プログラムの配信が完了していることを示す「サイト配信済」
(3)当該更新プログラムに関して当該サイトにおける適用が許可されるか否かの問い合わせをセンターサーバ10からサイトサーバ20に行い、その回答待ちであることを示す「適用許可待ち」
(4)当該更新プログラムに関して当該サイトにおける適用が許可される旨の返信が当該サイトからセンターサーバ10に受領済であることを示す「適用許可受領」
(5)当該更新プログラムが適用対象の機器においてバックアップ中であることを示す「機器バックアップ中」
(6)当該更新プログラムが対応する機器に配信されインストール済(更新済)であることを示す「更新適用済み」
(7)当該更新プログラムが対応する機器に配信されインストール済であるが、当該機器が再起動中であることを示す「再起動中」
(8)当該更新プログラムが対応する機器に配信されインストール済であるが、インストール後の動作が健全であるか否かをテストするための「事後健全性チェック」が実行中であることを示す「事後健全性チェック中」
(9)当該更新プログラムの更新動作が不調であり、その結果、ロールバック動作が開始され、その途中であることを示す「ロールバック中」
(10)当該更新プログラムの更新動作が不調であり、その結果、ロールバック動作が開始され、終了したことを示す「ロールバック済み」
【0032】
次に、
図7のフローチャートを参照して、この第2の実施の形態における本サイト管理システム1による更新プログラムの受信動作、及びそれ以後の更新進捗状況の更新進捗に関する情報の登録の手順の一例を説明する。更新プログラムのセンターサーバ10への登録からサイトサーバ20への配信までの動作は、第1の実施の形態と同様に行われる。
【0033】
第1の実施の形態と同様にして、更新プログラムPG1がセンターサーバ10から配信され(ステップS21)、サイトサーバ20において受信されると(ステップS22)、サイトサーバ20は、対象機器に対する当該更新プログラムPG1の適用許可を、サイト管理者に要求する(ステップS23)。対象機器において更新許可が受領されると(S24のYes)、対象機器に対し更新プログラムPG1の配信が開始される(ステップS25)。
【0034】
配信プログラムPG1の対象機器への配信が開始されると、当該対象機器において当該配信プログラムのバックアップ動作が実行され(ステップS26)、当該対象機器において更新適用が開始される(ステップS27)。対象機器における上記のような許可受領、更新プログラムの配信、バックアップ開始、更新適用の開始等の更新の進捗状況は、適宜センターサーバ10に通知され(ステップS28)、その通知内容は、更新進捗状況データとして更新進捗データベース13に格納される。なお、更新進捗データベース13には、更新プログラム自体が格納されてもよい。
【0035】
更新プログラムの更新適用の完了後に実行される手順を、
図8のフローチャートを参照して説明する。更新プログラムの対象機器への更新適用が完了すると、当該更新プログラムを適用された対象機器についての事後健全性チェックが行われる(ステップS31)。
【0036】
事後健全性チェックの結果、更新後の動作の健全性が認められ、更新動作が成功したと認められると(ステップS32のYes)、更新完了を知らせる更新完了通知がセンターサーバ10に送信される(ステップS35)。一方、更新後の動作に異常が認められ、更新動作が失敗と認められると(ステップS32のNo)、更新動作開始前の状態を復元するロールバック動作が開始され(ステップS33)、更新動作開始前の状態が復元されたらロールバック動作は完了となる(ステップS34)。
【0037】
事後健全性チェックの進捗及び結果、及びロールバック動作の進捗についての情報も、更新進捗状況のデータとしてセンターサーバ10へ通知され、更新進捗データベース13に格納される(ステップS36、S37)。
【0038】
図9を参照して、事後健全性チェックの詳細な手順、及び事後健全性チェックに関する更新進捗データベース13の更新の詳細について説明する。事後健全性チェックにおいては、まず更新適用が完了した更新プログラムに関するデータの収集・確認が行われる(ステップS41)。収集・確認されたデータにエラーがあるか否かが確認され(ステップS42)、エラーがなければステップS43に進み、エラーが見つかればステップS47に移行して、事後健全性チェックの確認結果としてエラーが見つかった旨が記録され、エラーの記録であるエラーログ等がサイトサーバ20において記録される。なお、ステップS47での確認結果等が記録されると、前述のロールバック動作が開始される。
【0039】
ステップS42でエラーが無いと判定されると、ステップS43では、収集データが正常か否かが判定される。正常であればステップS44に移行し、異常があればステップS47に移行して、事後健全性チェックの確認結果として、収集データの異常があった旨が記録され、異常の内容及び程度等に関するデータがサイトサーバ20において記録される。
【0040】
ステップS44では、ステップ41に要した所要時間が基準以内であったか否かが判定される。基準以内であればステップS45に移行し、基準を超えていればステップS47に移行し、データ収集に要した時間が事後健全性チェック結果として記録される。ステップS45では、更新プログラムのパフォーマンス(CPU使用率、メモリ使用率、ネットワークトラフィック、ストレージ使用量、など)、その他更新プログラムに関して得られた各種特性のチェックが行われ、チェック結果が良好であれば、更新プログラムの更新が完了する(ステップS46)。チェック結果が不適当の場合、ステップS47に移行して、その結果が記録される。
【0041】
以上説明したように、第2の実施の形態のサイト管理システム1によれば、更新プログラムの配信後における事後健全性チェック、及びロールバック動作の進捗に関するデータが、更新進捗状況を示すデータとして更新進捗データベース13に格納される。この更新進捗データベース13に格納される更新進捗状況データは、更新プログラムの適用に失敗した場合の原因調査や、機器の問題個所・更新プログラムの問題個所を修正し更新プログラムを再配信する場合において参照され得る。これにより、サイトに対する更新プログラムの配信において、更新プログラムの更新状況を迅速に把握し、更新動作を迅速且つ的確に実行することが可能になる。また、更新プログラムの適用に失敗した場合、更新進捗データベースに失敗時の詳細情報が格納されることで、サイト管理者による原因調査や調査結果の通知を待つことなく、サービス提供者による原因調査が可能になり、結果として時間や人的負荷を削減することができる。
【0042】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、上記の実施の形態では、センターサーバとサイトサーバを有するシステムを例示的に説明したが、センターサーバにてサイトの機器を直接管理し、サイトサーバは省略することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
10…センターサーバ、 11…サイト管理データベース、 12…サイト構成データベース、 13…更新進捗データベース、 20…サイトサーバ、 S…サイト、 30…管理対象機器、 31…HMI(Human Machine Interface)ステーション、 32…分散型制御システム(DCS(Distributed Control System))、 33…プラントリソースマネージャ(PRM)、 34…汎用コンピュータ、 35…ルータ、 36…スイッチ、 37、38…各種機器(センサ、バルブ等)。