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特開2023-151114作業結果情報取得装置、作業結果情報取得システム、作業結果情報取得装置の制御方法及び作業結果情報取得装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151114
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】作業結果情報取得装置、作業結果情報取得システム、作業結果情報取得装置の制御方法及び作業結果情報取得装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20231005BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20231005BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01C15/00 104D
G01C15/00 103A
G01B11/24 A
G01B11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060556
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 薫
(72)【発明者】
【氏名】東海林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA09
2F065AA53
2F065AA65
2F065BB15
2F065BB27
2F065CC14
2F065DD06
2F065FF11
2F065FF67
2F065GG04
2F065HH04
2F065JJ01
2F065LL61
2F065MM06
2F065MM16
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ28
2F065UU06
(57)【要約】
【課題】自動的に正確に作業結果情報を取得することができる作業結果情報取得装置等を提供すること。
【解決手段】移動体を追尾する追尾部と、対象物CSの3次元点群情報を取得するスキャニング部4と、を備え、追尾部が追尾することで、移動体の移動情報である移動体移動情報208を取得し記憶する移動体移動情報取得部207と、移動体移動情報に基づいて対象物である作業範囲情報を生成する作業範囲情報生成部209と、作業範囲情報に基づき、スキャニングすることで、作業範囲情報の3次元作業結果情報211を生成する作業結果情報取得装置2。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を追尾する追尾部と、
対象物の3次元点群情報を取得するスキャニング部と、を備え、
前記追尾部が追尾することで、移動体の移動情報である移動体移動情報を取得し記憶する移動体移動情報取得部と、
前記移動体移動情報に基づいて前記対象物である作業範囲情報を生成する作業範囲情報生成部と、
前記作業範囲情報に基づき、前記スキャニング部がスキャニングすることで、前記作業範囲情報の3次元作業結果情報を生成することを特徴とする作業結果情報取得装置。
【請求項2】
前記追尾部が前記移動体を追尾するときに、前記追尾部が取得する前記移動体に関する水平角情報を記憶する水平角情報記憶部と、
前記水平角情報に基づいて、前記移動体移動情報の最大範囲である最大移動情報を生成する最大移動情報生成部と、を有し、
前記スキャニング部は、前記最大移動情報に基づいて、前記3次元作業結果情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の作業結果情報取得装置。
【請求項3】
前記移動体移動情報は、移動時の時刻情報である移動時刻情報と関連付けられ、予め定められた開始時刻情報と終了時刻情報の間の作業時間内の前記移動時刻情報と関連付けられている前記移動体移動情報に基づいて、前記最大移動情報を定めることを特徴とする請求項2に記載の作業結果情報取得装置。
【請求項4】
前記移動体に前記追尾部が追尾するためのターゲット部が備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の作業結果情報取得装置。
【請求項5】
前記移動体が建機であり、前記建機は、作業用の作業端部を有し、
前記ターゲット部が、前記作業端部に配置される作業端部ターゲット部であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の作業結果情報取得装置。
【請求項6】
移動体を追尾する追尾部と、
対象物の3次元点群情報を取得するスキャニング部と、を備える作業結果情報取得装置と、
前記作業結果情報取得装置と通信可能な端末装置とを備える作業結果情報取得システムであって、
前記端末装置は、
前記追尾部が追尾することで、移動体の移動情報である移動体移動情報を取得し記憶する移動体移動情報取得部と、
前記移動体移動情報に基づいて前記対象物である作業範囲情報を生成する作業範囲情報生成部と、
前記スキャニング部が、前記作業範囲情報に基づき、スキャニングすることで、前記作業範囲情報の3次元作業結果情報を生成することを特徴とする作業結果情報取得システム。
【請求項7】
移動体を追尾する追尾部と、
対象物の3次元点群情報を取得するスキャニング部と、を備える作業結果情報取得装置の制御方法であって、
前記追尾部が追尾することで、移動体の移動情報である移動体移動情報を取得し、
作業範囲情報生成部が、前記移動体移動情報に基づいて前記対象物である作業範囲情報を生成し、
前記スキャニング部が、前記作業範囲情報に基づき、スキャニングすることで、前記作業範囲情報の3次元作業結果情報を生成することを特徴とする作業結果情報取得装置の制御方法。
【請求項8】
移動体を追尾する追尾部と、
対象物の3次元点群情報を取得するスキャニング部と、を備える作業結果情報取得装置に、
前記追尾部が追尾することで、移動体の移動情報である移動体移動情報を取得する機能、
作業範囲情報生成部が、前記移動体移動情報に基づいて前記対象物である作業範囲情報を生成する機能、
前記スキャニング部が、前記作業範囲情報に基づき、スキャニングすることで、前記作業範囲情報の3次元作業結果情報を生成する機能、を実現させることを特徴とする作業結果情報取得装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の作業結果情報を取得するための作業結果情報取得装置、作業結果情報取得システム、作業結果情報取得装置の制御方法及び作業結果情報取得装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、工事現場等で工事等を行う場合は、測量装置が用いられている(例えば、特許文献1)。
そして、工事現場等では、このような測量装置が工事現場を測量したデータや設計図等のデータに基づき、目的の作業等を実施していた。
提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-223540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような作業等が1日で終了せず、他の日程でも連続して実施される場合、作業を再開する前に既に終了している状況を把握することが好ましいが、既に終了している作業箇所の状況を正確に把握することは難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、自動的に正確に作業結果情報を取得することができる作業結果情報取得装置、作業結果情報取得システム、作業結果情報取得装置の制御方法及び作業結果情報取得装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、本発明によれば、移動体を追尾する追尾部と、対象物の3次元点群情報を取得するスキャニング部と、を備え、前記追尾部が追尾することで、移動体の移動情報である移動体移動情報を取得し記憶する移動体移動情報取得部と、前記移動体移動情報に基づいて前記対象物である作業範囲情報を生成する作業範囲情報生成部と、前記作業範囲情報に基づき、前記スキャニング部がスキャニングすることで、前記作業範囲情報の3次元作業結果情報を生成することを特徴とする作業結果情報取得装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、追尾部が追尾することで、重機等の移動体の移動情報である移動体移動情報(例えば、トラクタ移動情報等)を取得し記憶する。
そして、移動体移動情報に基づいて工事現場等の対象物である作業範囲情報(例えば、0度乃至100度の水平角情報等)を生成する。
さらに、作業範囲情報に基づき、スキャニング部がスキャニングすることで、作業範囲情報の3次元作業結果情報(3次元点群データ等)を生成することができる。
したがって、移動体である重機等の作業結果である作業範囲のみについて、自動的に3次元作業結果情報(3次元点群データ等)を生成することができる。
【0008】
好ましくは、前記作業結果情報取得装置の前記追尾部が前記移動体を追尾するときに、前記追尾部が取得する前記移動体に関する水平角情報を記憶する水平角情報記憶部と、前記水平角情報に基づいて、前記移動体移動情報の最大範囲である最大移動情報を生成する最大移動情報生成部と、を有し、前記スキャニング部は、前記最大移動情報に基づいて、前記3次元作業結果情報を生成することを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、追尾部が移動体を追尾するときに、追尾部が取得する移動体に関する水平角情報を記憶し、水平角情報に基づいて、移動体移動情報の最大範囲である最大移動情報(最大水平角情報等)を生成する。
そして、スキャニング部は、最大移動情報に基づいて、3次元作業結果情報を生成する。
したがって、スキャニング部は、他の3次元座標情報等を用いることなく、水平角情報のみに基づき、最大移動情報を生成することができ、極めて、簡易且つ容易に最大移動情報を生成することができる。
【0010】
好ましくは、前記作業結果情報取得装置の前記移動体移動情報は、移動時の時刻情報である移動時刻情報と関連付けられ、予め定められた開始時刻情報と終了時刻情報の間の作業時間内の前記移動時刻情報と関連付けられている前記移動体移動情報に基づいて、前記最大移動情報を定めることを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、予め定められた開始時刻情報(例えば、9時等)と終了時刻情報(例えば、17時等)の間の作業時間内の移動時刻情報と関連付けられている移動体移動情報に基づいて、最大移動情報を定める。
したがって、作業時間内における作業結果を自動的に把握し、3次元作業結果情報(3次元点群データ等)を生成することができる。
【0012】
好ましくは、前記作業結果情報取得装置について、前記移動体に前記追尾部が追尾するためのターゲット部が備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の作業結果情報取得装置。
【0013】
前記構成によれば、移動体に追尾部が追尾するためのターゲット部(トラクタ側プリズム等)が備えられている。
このため、追尾部は、移動体のターゲット部を追尾することで、移動体を精度良く追尾することができる。
【0014】
好ましくは、前記作業結果情報取得装置について、前記移動体が建機であり、前記建機は、作業用の作業端部を有し、前記ターゲット部が、前記作業端部に配置される作業端部ターゲット部であることを特徴とする。
【0015】
前記構成によれば、移動体が建機であり、建機は、作業用の作業端部(作業用ブレード等)を有し、この作用端部に作業端部ターゲット部(ブレード側プリズム等)が配置されている。
したがって、作業用ブレードの移動を判断することができ、さらに、重機が作業中等と判断することもできる。
【0016】
前記目的は、本発明によれば、移動体を追尾する追尾部と、対象物の3次元点群情報を取得するスキャニング部と、を備える作業結果情報取得装置と、前記作業結果情報取得装置と通信可能な端末装置とを備える作業結果情報取得システムであって、前記端末装置は、前記追尾部が追尾することで、移動体の移動情報である移動体移動情報を取得し記憶する移動体移動情報取得部と、前記移動体移動情報に基づいて前記対象物である作業範囲情報を生成する作業範囲情報生成部と、前記スキャニング部が、前記作業範囲情報に基づき、スキャニングすることで、前記作業範囲情報の3次元作業結果情報を生成することを特徴とする作業結果情報取得システムにより達成される。
【0017】
前記目的は、本発明によれば、移動体を追尾する追尾部と、対象物の3次元点群情報を取得するスキャニング部と、を備える作業結果情報取得装置の制御方法であって、前記追尾部が追尾することで、移動体の移動情報である移動体移動情報を取得し、作業範囲情報生成部が、前記移動体移動情報に基づいて前記対象物である作業範囲情報を生成し、前記スキャニング部が、前記作業範囲情報に基づき、スキャニングすることで、前記作業範囲情報の3次元作業結果情報を生成することを特徴とする作業結果情報取得装置の制御方法により達成される。
【0018】
前記目的は、本発明によれば、移動体を追尾する追尾部と、対象物の3次元点群情報を取得するスキャニング部と、を備える作業結果情報取得装置に、前記追尾部が追尾することで、移動体の移動情報である移動体移動情報を取得する機能、作業範囲情報生成部が、前記移動体移動情報に基づいて前記対象物である作業範囲情報を生成する機能、前記スキャニング部が、前記作業範囲情報に基づき、スキャニングすることで、前記作業範囲情報の3次元作業結果情報を生成する機能、を実現させることを特徴とする作業結果情報取得装置の制御プログラムにより達成される。。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、自動的に正確に作業結果情報を取得することができる作業結果情報取得装置、作業結果情報取得システム、作業結果情報取得装置の制御方法及び作業結果情報取得装置の制御プログラムを提供することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる「作業結果情報取得システム100」の主な構成を示す概略図である。
図2図1のブルドーザ300を示す概略斜視図である。
図3図1の測量装置2の主な構成を示す概略図である。
図4図1のタブレット200の主な構成を示す概略ブロック図である。
図5】本システム100の主な動作例を示す概略フローチャートである。
図6】本システム100の主な動作例を示す他の概略フローチャートである。
図7】本発明の第2の実施の形態に係る作業結果情報取得システムにおけるブルドーザ400を示す概略斜視図である。
図8】第2実施の形態にかかる作業結果情報取得システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる「作業結果情報取得システム100」の主な構成を示す概略図である。
図1に示すように、本システム100は、作業結果情報取得装置の一例である「測量装置2」、測量装置2と通信可能な端末装置の一例である「タブレット200」及び対象物の一例である「工事現場CS」で、工事等の作業を行う移動体及び建機の一例である「ブルドーザ300」を有している。
なお、本実施の形態では、説明の都合上、ブルドーザ300を例にしている。すなわち、図1に示すブルドーザ300が、工事現場CSで移動及び作業を実施する例で説明するが、本発明の移動体は、単数でも複数でも多数でも良く、建機等のみならず、作業者等も含むものである。
【0023】
本システム100では、図1に示す工事現場CSで、作業を行ったブルドーザ300の作業結果情報を測量装置2が自動的に3次元点群データ(3次元点群情報)(3次元作業結果情報の一例)として取得し、記憶することを例に、以下説明する。このような3次元点群データを取得することで、後日の継続的な工事現場CSにおける作業を円滑に行うことができる。
【0024】
また、図1のブルドーザ300、測量装置2及びタブレット200は、コンピュータを有し、コンピュータは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、バス等を介して接続されている。
【0025】
以下、本システム100に含まれる「ブルドーザ300」等、測量装置2及びタブレット200の各装置等について、それぞれ説明する。
【0026】
(ブルドーザ300の構成)
図2は、図1のブルドーザ300を示す概略斜視図である。
図2に示すように、ブルドーザ300は、ブルドーザ本体であるトラクタ310と、図2に示すように、ブルドーザ300は、ブルドーザ本体であるトラクタ310と、ブルドーザ300が、工事現場CSで土等を掘削するときに用いられ、トラクタ310とは別個に可動する作業用ブレード330(作業端部の一例)を有している。
【0027】
この作業用ブレード330は、掘削、運土などのドーザ作業を行うためのアタッチメントである。
したがって、作業者がブルドーザ300のトラクタ310に乗車し、作業用ブレード330を操作することで、工事現場CSで、効率的に基礎工事等を実施することが可能な構成となっている。
【0028】
また、図1及び図2に示すように、ブルドーザ300には、ターゲット部の一例である「トラクタ側プリズム320」を有している。
このトラクタ側プリズム320は、後述するように測量装置2がブルドーザ300を追尾する際のターゲットであり、詳細は後述する。
なお、「トラクタ側プリズム320」等は、特には限定されず、例えば全周プリズムや球状プリズムや測量用反射シートなどが含まれる。
【0029】
(測量装置2の構成)
図3は、図1の測量装置2の主な構成を示す概略図である。
図3に示すように、測量装置2は、追尾機能を有する「視準測距ユニット4」及び3次元点群データを生成するための「スキャナユニット5(スキャニング部の一例)」を有している。
【0030】
図3に示すように、スキャナユニット5は、視準測距ユニット4と一体で設けられており、スキャナユニット5は、視準測距ユニット4の上部に固定されている。
また、スキャナユニット5は、視準測距ユニット4に対して回転自在に配置されている。
【0031】
(スキャナユニット5の構成)
スキャナユニット5は、スキャン対象範囲に測距光を照射し、測距光が同範囲で反射した反射測距光と内部参照光とに基づいて同範囲までの距離を測定するとともに、測距光の照射方向を検出する。
また、スキャナユニット5は、測距および測角を行う。
【0032】
具体的には、スキャナユニット5は、測距光を回転照射し、同範囲までの距離を測定するとともに測距光の照射方向を検出することにより、同範囲の形状に関する多数の測定点の3次元座標(3次元データ)を取得する。
すなわち、 スキャナユニット5は、後述するように、ブルドーザ300の作業範囲の形状における多数の測定点の3次元データ(点群データ)を取得する。
【0033】
(視準測距ユニット4の構成)
図3の視準測距ユニット4は、計測用ターゲットである例えばトラクタ側プリズム320について測距および測角を行う。
本実施形態の視準測距ユニット4は、整準部41、托架部42、水平回転部43、鉛直回転部44、望遠鏡部45を有する他、制御演算部46や基盤部48も有する。
【0034】
視準測距ユニッ ト4は、例えばトータルステーションなどと呼ばれ、望遠鏡部45の視準により、トラクタ側プリズム320に測距光を照射し、測距光がトラクタ側プリズム320で反射した反射測距光と内部参照光とに基づいてトラクタ側プリズム320までの距離を測定するとともに、測距光の照射方向すなわち望遠鏡部45の視準の方向を検出する。
【0035】
つまり、視準測距ユニット4は、トラクタ側プリズム320までの測距および測角を行い、測量装置2を基準とするトラクタ側プリズム320の3次元座標情報を取得する構成となっている。
【0036】
(視準測距ユニッ ト4の自動追尾機能)
視準測距ユニット4は、トラクタ側プリズム320を自動的に探す自動追尾機能(追尾部の一例)を有している。
望遠鏡部45で、トラクタ側プリズム320を視準し、視準測距ユニット4から追尾光を射出し、トラクタ側プリズム320からの反射光を受光検出するようになっている。
トラクタ側プリズム320が移動した場合には、トラクタ側プリズム320からの反射光の受光位置と視準中心とのズレ(誤差)を検出し、ズレ(誤差)に基づき、視準方向を修正し、トラクタ側プリズム320を自動追尾する構成となっている。
【0037】
図1の工事現場(CS)には、所定位置に測量装置2が配置され、測量装置2はブルドーザ300のトラクタ側プリズム320を測距及び測角することができ、トラクタ側プリズム320の座標位置情報(3次元位置情報)を取得可能な構成となっている。
【0038】
測量装置は、上述のように追尾機能を有するため、ブルドーザ300のトラクタ側プリズム320の移動を追尾して、移動後の座標情報を取得することができる。
そして、このブルドーザ300が移動した場合、トラクタ側プリズム320の座標情報を取得できるため、移動前と移動後の「水平角(ΔH)」情報も取得でき、この水平角情報を記憶することができる構成ともなっている。
これらの詳細については、後述する。
【0039】
(タブレット200の構成)
図1に示すように、タブレット200は、測量装置2と通信可能な構成となっており、本システム100の利用者が操作する構成となっている。
なお、本実施の形態では、後述するように、本システム100の利用者等が操作するタブレット200が、測量装置2の動作を指示する構成とされているが、本発明は、これに限らず、タブレット200の代わりに測量装置2が自ら判断、実行する構成としても構わない。
【0040】
図4は、図1のタブレット200の主な構成を示す概略ブロック図である。
図4に示すように、タブレット200は、「制御部201」を有し、同制御部201は、図1の測量装置2等と通信する「通信装置202」、「タッチパネル203」及び時刻情報を生成する「計時装置204」を制御する。
【0041】
このタッチパネル203は、「タッチパネル型ディスプレイ」となっており、タッチパネルは、表示部であるディスプレイと、位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、ディスプレイ上の表示に操作者Uが触れることで各種情報を入力できる入力装置となっている。
【0042】
また、タッチパネル203は、上述のように、表示と入力の2つの機能を備えており、コンピュータなどの外部から受けた画像情報を液晶ディスプレイなどで表示すると共に、操作者Uがその画面に表示された絵やピクトグラムなどの点または領域に手で触れて、圧力を加える等により、触れられた画面位置の情報を感知して外部へ情報信号として出力する。
【0043】
また、タッチパネル203には、複数の方式があり、本実施の形態では、例えば「静電容量方式」を採用する。
静電容量方式は、画面に指で触れると発生する微弱な電流、つまり静電容量(電荷)の変化をセンサで感知し、操作者Uが触れた位置を把握する。また指を画面に近づけると、人体の静電容量にセンサが反応する構成となっている。
【0044】
図4に示すように、制御部201は、他の移動情報取得時間管理部(プログラム)205等を制御するが、これらの内容は後述する。
【0045】
(本システム100の動作例)
図5及び図6は、本システム100の主な動作例を示す概略フローチャートである。
本実施の形態では、上述のように、図1に示す工事現場CSで、2台のブルドーザ300が、所定時間内に作業等を実行し、その作業範囲を測量装置2が、自動的に把握すると共に、同作業範囲の作業結果を自動的に3次元点群データとして取得、記憶する例で以下、説明する。
【0046】
先ず、図5のステップ(以下「ST」とする。)1では、図4のタブレット200の「移動情報取得時間管理部(プログラム)205」が動作し、「計時装置204」の現在時刻と「移動情報取得時間記憶部206」を参照する。
この「移動情報取得時間記憶部206」には、例えば、9時(開始時刻情報の一例)~17時(終了時刻情報の一例)」が、作業時間である旨の情報が記憶されている。
【0047】
そこで、ST2で、同管理部205は、現在時刻が、作業時間内であると判断したときは、ST3へ進み、ブルドーザ300Aのトラクタ側プリズム320の移動情報(移動体移動情報の一例)の取得時間内であると判断し、測量装置2にトラクタ側プリズム320の座標情報の取得を指示する。
【0048】
次いで、ST4で進む。ST4では、タブレット200の「座標情報取得部(プログラム)207(移動体移動情報取得部の一例)」の指示で、測量装置2の視準測距ユニット4が動作し、トラクタ側プリズム320の座標情報を時刻情報(移動時刻情報の一例)と関連付けて。図4の「トラクタ移動情報記憶部208」に記憶する。
【0049】
次いで、ST5へ進む。ST5では、図4の「座標情報取得部207」の指示に従い、測量装置2の視準測距ユニット4が、測距及び測角を継続し、トラクタ側プリズム320の座標情報を取得し、トラクタ側プリズム320が移動したときは、視準測距ユニット4の追尾機能(追尾部の一例)が、その移動を追尾し、移動先の座標情報を取得する。
そして、それぞれ時刻情報と関連付けて、トラクタ側プリズム320については「トラクタ移動情報」として「トラクタ移動情報記憶部208」に記憶する。
このとき、トラクタ側プリズム320の移動元と移動先の間の「水平角情報(ΔH)」も記憶される。
このため、「トラクタ移動情報記憶部208」は、水平角情報記憶部の一例ともなっている。
【0050】
次いで、ST6へ進む。ST6では、タブレット200の「移動情報取得時間管理部205」が動作し、「計時装置204」の現在時刻と「移動情報取得時間記憶部206(例えば、9時~17時)」を参照する。
そして、ブルドーザ300のトラクタ側プリズム320の移動情報の取得時間内であるか否かを判断し、ST7で、取得時間外であると判断したときは、ST8へ進み、測量装置2にトラクタ側プリズム320の座標情報の取得の停止を指示する。
【0051】
このように、本実施の形態では、工事現場CSにおける作業時間内におけるブルドーザ300の移動に関する座標情報のみを自動的に且つ正確に取得することができます。
【0052】
次いで、ST9へ進む。ST9では、タブレット200の図4の「最大水平角情報生成部(プログラム)209(最大移動情報生成部及び作業範囲情報生成部の一例)」が動作し、図4の「トラクタ移動情報記憶部208」のトラクタ側プリズム320の「水平角情報(ΔH)」に基づき、工事現場(CS)において、ブルドーザ300が移動した最大範囲に相当する水平角を「最大水平角情報(最大移動情報の一例)」として、図4の「最大水平角情報記憶部210」に記憶する。
【0053】
「最大水平角情報」を図1の例で示すと以下のようになる。
例えば、「水平角」を図1の測量装置2から向かって工事現場(CS)の「左端(L)」を「0度」とし、「右端(R)」を「90度」(AN1)とした場合、トラクタ側プリズム320が、9時から10時の間に、15度(AN2)から45度移動し、11時から14時までの間に45度から20度へ移動し、15時から17時までの間に20度から60度まで移動したとする。
【0054】
この場合、トラクタ側プリズム320の最大の移動範囲である「最大水平角情報(挟む角)」は「15度」から「60度」の合計「45度」となる。
そこで、この例では「15度乃至60度」の「45度」(AN3)を「最大水平角情報」として「最大水平角情報記憶部210」に記憶する。
【0055】
このように、本実施の形態では、予め定められたブルドーザ300の作業時間内におけるブルドーザ300の移動範囲を「水平角(ΔH)」情報に基づき定めることができる。
このため、ブルドーザ300の移動範囲を自動的に容易且つ正確に把握することができる。
【0056】
次いで、ST10へ進む。ST10では、タブレット200が測量装置2に指示し、スキャナユニット5が「最大水平角情報(上述の例では、0度~100度)」の範囲で動作し、工事現場(CS)までの距離を測定するとともに、当該「水平角(ΔH)」の範囲内の工事現場(CS)(作業範囲情報)の3次元データ(点群データ)を取得する。
そして、時刻情報と関連付けて、図4の「3次元データ記憶部211」に記憶する。
【0057】
すなわち、測量装置2は、ブルドーザ300が、作業した作業範囲のみの3次元点群データを自動的に取得し、タブレット200は、当該データを記憶する。
このため、測量装置2が作業範囲外の不必要な部分の3次元点群データを取得するのを未然に防ぐことができる。
【0058】
また、自動的にスキャニングされた工事現場CSの3次元点群データは記憶されるので、後日、同じ工事現場(CS)で作業を再開する際に、直近の正確な作業情報を正確に把握することができる。
また、本実施の形態では、スキャナユニット5の動作範囲が「水平角(ΔH)」情報に基づいて自動的に生成されるため、極めて容易且つ迅速に生成することができる。
【0059】
(第2の実施の形態)
本実施の形態にかかる作業結果取得システムの多くの構成は、上述の第1の実施の形態にかかる作業結果取得システムと共通するため、共通点についての説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0060】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る作業結果情報取得システムにおけるブルドーザ400を示す概略斜視図である。
本実施の形態では、ブルドーザ400には、上述の第1の実施の形態のトラクタ側プリズム320の代わりに、作業端部である例えば、作業用ブレード330の先端部である刃先部に、作業端部ターゲット部である例えば、「刃先側プリズム430」が設置されている。
また、ブルドーザ400は、作業用ブレード330を動作させ、その位置を移動させるアーム340を有し、このアーム340には、傾斜センサ431が配置されている。
【0061】
図8は、本実施の形態にかかる作業結果情報取得システムの動作例を示す概略フローチャートである。
以下、同フローチャートに沿って、第1の実施の形態と異なる特徴的な工程を説明する。
先ず、図8のST21では、上述の第1の実施の形態のタブレット200の図4の「座標情報取得部(プログラム)207」の指示に従い、測量装置2の視準測距ユニット4が動作し、刃先側プリズム430の座標情報を取得すると共に、傾斜センサ431の傾斜データを参照し、キャリブレーションすることで、刃先部の位置(座標情報)を検出し、時刻情報と関連付けて、図4の「作業用ブレード移動情報記憶部212」に記憶される。
【0062】
次いで、ST22へ進む。ST22では、座標情報取得部207の指示に従い、引き続き、測量装置2の追尾機能が刃先側プリズム430を追尾し、上述と同様に刃先部の位置を検出し、刃先部が移動したときは、移動先の刃先部の位置(座標情報)を取得し、それぞれ時刻情報と関連付けて、「作業用ブレード移動情報」として、図4の「作業用ブレード移動情報記憶部212」に記憶される。
【0063】
次いで、ST23へ進む。ST23では、タブレット200の「移動情報取得時間管理部(プログラム)205」が動作し、「計時装置204」の現在時刻と「移動情報取得時間記憶部206(例えば、9時~17時)」を参照し、ブルドーザ400の移動情報の取得時間外であるか否かを判断し、取得時間外であるときは、測量装置2に刃先部の位置情報(座標情報)の取得の停止を指示する。
【0064】
次いで、図8のST24へ進む。ST24では、図4の「作業用ブレード動作判断部(プログラム)213」が動作し、「作業用ブレード移動情報記憶部212」を参照する。
そして、刃先部の位置情報(座標情報)の変化(移動)が、作業用ブレード330の動作に基づく「作業用移動情報」であるか否かを判断する。
【0065】
そして、ST25で、刃先部の移動が「作業用移動情報」に該当する場合、ST26へ進み、その刃先側の座標情報を、作業用移動情報として、図4の「作業用移動情報記憶部214」に記憶する。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、「作業用移動情報記憶部214」を参照することで、ブルドーザ400が実際に作業用ブレード330を動作させていたか否かを精度良く把握することができる。
そして、この作業用移動情報に基づき、上述の第1の実施の形態の「最大水平角情報」を生成し、その角度範囲(挟む角)に基づき、測量装置2のスキャナユニット5で3次元点群データを生成する。
このように、測量装置2のスキャナユニット5で、工事現場CSの3次元点群データを生成する際、実際にブルドーザ400が作業を行った箇所をより正確にスキャニングすることができる。
【0067】
以上説明した本実施形態においては、装置として実現される場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納され頒布されてもよい。
【0068】
また、記憶媒体は、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であればよい。記憶媒体の記憶形式は、特には限定されない。
【0069】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0070】
さらに、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体には限定されず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0071】
また、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づいて本実施形態における各処理を実行すればよく、1つのパソコン(PC)等からなる装置であってもよいし、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等であってもよい。
【0072】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンには限定されず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0074】
2・・・測量装置、4・・・視準測距ユニット、5・・・スキャナユニット、41・・・整準部、42・・・托架部、43・・・水平回転部、44・・・鉛直回転部、45・・・望遠鏡部、46・・・制御演算部、48・・・基盤部、100・・・作業結果情報取得システム、200・・・タブレット、201・・・制御部、202・・・通信装置、203・・・タッチパネル、204・・・計時装置、205・・・移動情報取得時間管理部、206・・・移動情報取得時間記憶部、207・・・座標情報取得部、208・・・トラクタ移動情報記憶部、209・・・最大水平角情報生成部、210・・・最大水平角情報記憶部、211・・・3次元データ記憶部、212・・・作業用ブレード移動情報記憶部、213・・・作業用ブレード動作判断部、214・・・作業用移動情報記憶部、300、400・・・ブルドーザ、310・・・トラクタ、320・・・トラクタ側プリズム、330・・・作業用ブレード、430・・・刃先側プリズム、CS・・・工事現場
図1
図2
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図6
図7
図8