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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151165
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】筆記体セット
(51)【国際特許分類】
   B43K 31/00 20060101AFI20231005BHJP
   B43K 23/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B43K31/00
B43K23/00 100Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060623
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】真田 裕右
(57)【要約】
【課題】簡易的な構造で複数の筆記体をコンパクトに収納でき、筆記体と筆記体ホルダーを簡単にケース本体から取り外し使用できる筆記体セットを得ること。
【解決手段】複数の筆記体40を装着可能な筆記体収納部21を有するケース本体20を備え、ケース本体20に着脱可能に装着された筆記体ホルダー30を有し、筆記体ホルダー30は、筆記体40が装着される装着部32と、ケース本体20のホルダー装着部22に装着される被装着部35と、把持部31aと、を備え、筆記体40は、一端部に設けた筆記部41と、他端部に設けた尾冠43と、を有し、装着部32は、筆記体40の一端部または他端部のどちらからでも着脱可能に構成され、筆記体40の他端部から装着した状態では筆記部41の少なくとも一部が筆記体ホルダー30から露出し、筆記体40を、装着部32に筆記体40の一端部または他端部のどちらから装着した状態においても、筆記体ホルダー30をホルダー装着部22に着脱可能に構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の筆記体を装着可能な筆記体収納部を有するケース本体を備えた筆記体セットであって、
前記ケース本体に対して着脱可能に装着された筆記体ホルダーを有し、
前記筆記体ホルダーは、前記筆記体が着脱可能に装着される装着部と、前記ケース本体に設けたホルダー装着部に装着される被装着部と、筆記時に把持するための把持部と、を備え、
前記筆記体は、軸方向における一端部に設けた筆記部と、他端部に設けた尾冠と、を有し、
前記装着部は、前記筆記体の一端部または他端部のどちらからでも前記筆記体が着脱可能に構成するとともに、前記筆記体の他端部から装着した状態では前記筆記部の少なくとも一部が筆記体ホルダーから露出し、
前記筆記体を、前記装着部に該筆記体の一端部または他端部のどちらから装着した状態においても、前記筆記体ホルダーを前記ホルダー装着部に着脱可能に構成したことを特徴とする筆記体セット。
【請求項2】
前記筆記体を前記筆記体収納部および前記装着部に装着した状態において、前記筆記体の種類を識別する識別部を前記筆記体に設けたことを特徴とする請求項1に記載の筆記体セット。
【請求項3】
前記識別部を前記筆記体の一端部または他端部に設けたことを特徴とする請求項2に記載の筆記体セット。
【請求項4】
前記本体の筆記体収納部は、前記筆記体の尾冠に設けた被係止部と着脱自在に係止する係止部を有することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の筆記体セット。
【請求項5】
前記筆記体ホルダーが、前記装着部を複数有していることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の筆記体セット。
【請求項6】
前記本体のホルダー装着部と前記筆記体ホルダーの被装着部のどちらか一方が磁性体または強磁性体を備え、どちらか他方が強磁性体を備えたことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の筆記体セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の筆記体を装着可能な筆記体ケースを備えた筆記体セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筆記するための筆記体を使用する際は複数の異なる仕様の筆記体(例えば、筆記した際の色、線の太さ、組成、構造が異なるもの)から選択して使用することが便利であることから、筆記体を複数収納して持ち運ぶためのものとして、筆箱や筆入れなどが使われている。例えば特許文献1(実用新案登録第3067662号)など。
【0003】
特許文献1のような、筆入れは複数の筆記体を同時に持ち運ぶことができるが、筆入れから筆記体を取り出して使用す際に蓋を開けるまで内部の筆記体を視認することができず、筆記体を筆入れから取り出して使用する際も、筆記体を取り出してからノックやキャップを外して筆記部を露出させて筆記するため、筆記するまでの手間が掛かるという問題があった。
【0004】
これを解決する手段として、特許文献2(実公平6-15725号公報)には、ホルダーから簡単にペン(筆記体)を取り外して使用できるペンセットが知られている。
この特許文献2の構造では、ペンの軸外面部に円周方向の環状溝又は環状リブを設け、ホルダーには両側の横側面部にそれぞれ開口してペンを収納して抱持する軸方向の縦溝と、ペンの環状溝又は環状リブと相互に係合する横リブ又は横溝と、を備えており、ホルダーから露出しているペンを横リブ又は横溝に沿って移動させることで、ペンをホルダーから簡単に取り外せ、すぐに使用できることから便利なものとなっている。
【0005】
しかしながら、特許文献2の構造では、ホルダーに2本のペンしか固定できないため、2本よりも多くのペンを持ち運べないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3067662号公報
【特許文献2】実公平6-15725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を鑑みて、簡易的な構造で複数の筆記体をコンパクトに収納でき、筆記体と筆記体ホルダーを簡単にケース本体から取り外し使用できる筆記体セットを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の筆記体を装着可能な筆記体収納部を有するケース本体を備えた筆記体セットであって、
前記ケース本体に対して着脱可能に装着された筆記体ホルダーを有し、
前記筆記体ホルダーは、前記筆記体が着脱可能に装着される装着部と、前記ケース本体に設けたホルダー装着部に装着される被装着部と、筆記時に把持するための把持部と、を備え、
前記筆記体は、軸方向における一端部に設けた筆記部と、他端部に設けた尾冠と、を有し、
前記装着部は、前記筆記体の一端部または他端部のどちらからでも前記筆記体が着脱可能に構成するとともに、前記筆記体の他端部から装着した状態では前記筆記部の少なくとも一部が筆記体ホルダーから露出し、
前記筆記体を前記装着部に該筆記体の一端部または他端部のどちらから装着した状態においても、前記筆記体ホルダーを前記ホルダー装着部に着脱可能に構成したことを特徴とする筆記体セットである。
【0009】
本発明によれば、筆記体を装着可能な筆記体ホルダーがケース本体に対して着脱可能に装着されているため、筆記体ホルダーと筆記体とをケース本体から取り外し、筆記体を筆記体ホルダーに装着することで、筆記時に把持部となる筆記体ホルダーを共有して使用することができる。このため、複数の筆記体を装着する場合でもケース本体の大きさを抑えてコンパクトに形成でき、これにより携帯時の持ち運びが容易となる。また、筆記体ホルダーの装着部には、筆記体を筆記部がある一端部または尾冠のある他端部のどちらからでも装着可能であり、且つ、筆記体ホルダーは一端部及び他端部のどちらから装着した状態でもケース本体に対して着脱可能に構成されている。このため、ケース本体に対して筆記体ホルダーを着脱する際、他端部から筆記体を装着した状態であれば一端部にある筆記部を保護でき、他端部から筆記体を装着した状態であればケース本体から筆記体ホルダーを取り出せばすぐに筆記できるため利便性が高い。更に、ケース本体に装着する複数の筆記体は、それぞれ異なる筆記線の太さ、色、ペン種(ボールペン、万年筆、マーカー、シャープペンシル、入力ペン、修正ペン、筆跡消去具(消しゴムや摩擦体)など)のものを装着することで、さまざまな用途に合わせて組み合わせ変更してもよく、これにより更に利便性がさらに向上する。尚、筆記体が揮発性の高いインキを収納している場合は、保管時にインキの乾燥を防止する必要があるため、筆記体をケース本体および筆記体ホルダーに装着した状態で筆記部の周囲が気密状態になるように構成することが好ましい。
【0010】
また、筆記体を筆記体収納部および装着部に装着した状態において、筆記体の種類を識別する識別部を該筆記体に設けてもよく、この場合、識別部により筆記体の種類を判別することができるため、筆記体を選択することが容易になる。尚、識別部で筆記体を識別する手段は特に限定されないが、識別部の形状や色を変化することや、加飾を塗装、印刷、転写、シールなど用いて変化させることで識別可能に構成してもよい。
【0011】
また、前記識別部を筆記体の一端部または他端部に設けてもよく、この場合、ケース本体や筆記体ホルダーに筆記体を装着させた際に識別部を視認し易いことから好適である。
【0012】
また、ケース本体の筆記体収納部は、筆記体の尾冠に設けた被係止部と着脱自在に係止する係止部を有していてもよく、この場合、筆記体セットを携帯する際に筆記体がケース本体から脱落して紛失、破損することを防止できる。尚、筆記体をケース本体に対して係止する手段は特に限定されないが、のり越え嵌合、軽い圧入嵌合、螺子嵌合、磁石による磁着構造などを用いてもよい。
【0013】
また、筆記体ホルダーは、筆記体を装着するための装着部を複数有していてもよく、この場合、筆記体を交換する手間が軽減するため好適である。尚、筆記体ホルダーに筆記体を装着する位置は該筆記体ホルダーの長手方向に沿って両端部に設けてもよく、複数の筆記体が平行して並ぶように設けてもよいが、使い勝手を考慮すると両端部に1本ずつ計2本装着できるように構成することが好ましい。
【0014】
また、ケース本体の筆記体収納部と筆記体ホルダーの被装着部のどちらか一方が磁性体または強磁性体(永久磁石など)を備え、どちらか他方が強磁性体(永久磁石など)を備えていてもよく、この場合、ケース本体に対して筆記体ホルダーの着脱が容易になることから好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易的な構造で複数の筆記体をコンパクトに収納でき、筆記体と筆記体ホルダーを簡単にケース本体から取り外し使用できる筆記体セットを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の筆記体セットを示す外観図である。
図2図1の筆記体セットの縦断面図である。
図3図2のA-A断面を示す断面図である。
図4図1の筆記体セットの筆記体を示す図であり、図4(a)は外観図であり、図4(b)は縦断面図である。
図5図1の筆記体セットの筆記体ホルダーを示す図であり、図5(a)は外観図であり、図5(b)は縦断面図である。
図6図1の筆記体セットを示す斜視図であり、筆記体2本と筆記体ホルダーをケース本体から取り外した図である。
図7】筆記体ホルダーに筆記体を2本装着した状態を示す図であり、図7(a)は外観図であり、図7(b)は縦断面図である。
図8図7の筆記体ホルダーをケース本体に装着した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本実施の形態における筆記体セットを詳細に説明する。
【0018】
実施形態1
図1は、本発明の筆記体セットを示す外観図であり、図2は、図1の筆記体セットの縦断面図であり、図3は、図2のA-A断面を示す断面図であり、図4は、図1の筆記体セットの筆記体を示す図であり、図4(a)は外観図であり、図4(b)は縦断面図であり、図5は、図1の筆記体セットの筆記体ホルダーを示す図であり、図5(a)は外観図であり、図5(b)は縦断面図であり、図6は、図1の筆記体セットを示す斜視図であり、筆記体2本と筆記体ホルダーをケース本体から取り外した図であり、図7は、筆記体ホルダーに筆記体を2本装着した状態を示す図であり、図7(a)は外観図であり、図7(b)は縦断面図であり、図8は、図7の筆記体ホルダーをケース本体に装着した状態を示す縦断面図である。
尚、筆記体の長手方向において、筆記部がある側を一端部または前方と表現し、尾冠がある側を他端部または後方と表現する。また、ケース本体は、図1及び図2における筆記体収納部がある側を上方と表現し、ホルダー装着部がある側を下方と表現する。
【0019】
図1から図5に示すように、本実施形態の筆記体セット10は、複数の筆記体40と、筆記体40を装着する複数の筆記体収納部21を備えたケース本体20と、ケース本体20に着脱自在に装着された筆記体ホルダー30と、からなる。
【0020】
ケース本体20は、筆記体収納部21として、図2おける上方にあたる上面部20aから下方にあたる下面部20bへ向かって有底の挿入孔21aが複数本、上面部20aに沿って均等に配置されている。具体的に、本実施形態では挿入孔21aを15箇所形成してあり、仕様の異なる15本の筆記体40をそれぞれ装着してある。挿入孔21aの上部にはケース本体20の表面まで貫設された係止部21bを形成してあり、図3及び図8に示すように係止部21bは下端のみケース本体20に接続され該ケース本体20に保持されていることから、係止部21bは挿入孔21aに直交する方向(図3における左右方向)に揺動するように構成されている。また、係止部21bの挿入孔21a側には内方へ向かって突出する内方突起21cが形成され、係止部21bには後述するように筆記体40の被係止部43aが着脱可能に係止される。そして、挿入孔21aの内面には下方に形成された段部21dが形成され、上方に比べて奥側となる下方の幅が小さく形成されている。
【0021】
ケース本体20の下面部20bには上方へ向かって切り欠かれる切欠部24が形成されており、切欠部24に筆記体ホルダー30を装着するためのホルダー装着部22が形成されている。ホルダー装着部22の中央下部には磁性体である金属性のプレート23を挿入するためのプレート挿入穴22aが形成され、プレート23をプレート挿入穴22aに挿入した際、プレートの一部の面がケース本体20の切欠部24から露出するように固着してある。また、切欠部24の両側方且つケース本体20の下面部20bには上面部20aに向かって凹状に形成された凹状空間部22bを有しており、凹状空間部22bの幅は、後述する筆記体40の先端部材41及び尾冠43が挿入可能な大きさで形成してある。
【0022】
筆記体ホルダー30は、ホルダー本体31と、ホルダー本体31に形成された装着部32と、ホルダー本体31に圧入装着された磁石35とで構成してある。
【0023】
ホルダー本体31は、PC材を用いて略筒状に成形してあり、長手方向の両端内周部に筆記体40を装着するための装着部32として、第一装着部33と第二装着部34とが形成されている。そして、ホルダー本体31の外周部には筆記する際に把持するための把持部31aを備えている。とりわけ把持部31aは、表面に凹凸部を形成して滑止部を有するように形成してもよく、シリコンやエラストマーなどの弾性部材を装着して一体化させることで把持し易いように形成してもよい。また、第一装着部33側と第二装着部34側とで異なる仕様の把持部を形成してもよい。
【0024】
ホルダー本体31の中央側面部には、内方へ向かって穴状に形成された磁石取付穴31bを有しており、磁石取付穴31bは第一装着部33及び第二挿着部34に連通させた状態で形成してある。また、磁石取付穴31bには強磁性体である磁石35が着脱不能に圧入装着されており、これにより、第一装着部33及び第二挿着部34の底部は磁石35の側面が配置される。更に、磁石35は、筆記体ホルダー30をケース本体20のホルダー装着部22に装着するする際の被装着部として機能し、筆記体ホルダー35は、磁石35の磁力でプレート23に固定される。そして、第一装着部33と第二装着部34には、その内周部に後述する筆記体40の第一鍔状部41eが係止する前部内突起33aおよび前部内突起34aをそれぞれ備えている。前部内突起33aおよび前部内突起34aは内方へ突出する突起が周状に延びるように形成されている。
【0025】
本実施形態の筆記体40は所謂ボールペンの形態に形成されている。
筆記体40は、筒状の軸体42と、軸体の42の前端側(一端部)の内周部に圧入挿着することで固定された筆記部となる先端部材41と、軸体42の後端側(他端部)の内周部に圧入装着することで固定された尾冠43と、により構成され、軸体42の内部には筆記用インキが収容されている。
【0026】
先端部材41(筆記部)は、前後方向に貫通する内孔を有する先端部材本体41aと、先端部材本体41aの内孔の前部に圧入装着されたチップ41bと、チップ41bの前部に穴状に形成されたボール包持部41cと、ボール包持部41cに回転可能に包持された筆記部となるボール41dとで構成され、筆記時にボール41dが回転することで筆記用インキが筆記面に転写される一般的なボールペンのチップ構造を備えている。そして、先端部材本体41aの外周部には外方へ突出するように形成され周状に延びる第一鍔状部41eと第二鍔状部41fを備えいる。とりわけ第一鍔状部41eは、ケース本体20の筆記体収納部21の挿入孔21aに挿入した際、段部21dに当接することで、段部21dより下方側(第一鍔状部41eより前方側)に外部と遮断された気密部21eが形成されるように構成してある。また、筆記体40を筆記体ホルダー30の第一装着部33に一端部となる先端部材41の筆記部側から挿入した際は、第一鍔状部41eは前部内突起33aに係止することで前部内突起33aより奥側(第一鍔状部41eより前方側)に外部と遮断された気密部33bが形成される。尚、第一装着部33と第二装着部34は同形状で形成されているため、筆記体40を先端部材41側から第二装着部34に挿入した際も、同様に気密部が形成される。
【0027】
尾冠43は、前部外周部に周状に延びる鍔状突起43bを有しており、鍔状突起43bは、筆記体40をケース本体20の挿入孔21aに筆記部を有する一端部側から挿入した際、係止部21bの内方突起21cと係止する被係止部43aとして機能する。また、尾冠43の後端には前方へ向かって形成された穴部として棒状体取付穴43cを形成してあり、棒状体取付穴43cには磁性体である金属性の棒状体44が圧入装着されている。これにより、筆記体40を他端部となる尾冠43側から装着部32に挿入した際、磁石35と棒状体44が磁着することで、筆記体40は筆記体ホルダー30に固定される。
【0028】
本実施形態では、ケース本体20に装着されている15本の筆記体40はそれぞれ異なる色の筆記用インキが軸体42内に収容されており、筆記体40の先端部材本体41a及び尾冠43はそれぞれのインキ色に類似した色の樹脂で成形され、先端部材本体41a(先端部材41)及び尾冠43を視認することで軸体内に充填されている筆記体インキの色を認識可能に構成してある。また、筆記体40をケース本体20の筆記体収納部21または筆記体ホルダー30の装着部32に装着した状態において、先端部材41または尾冠43が外部に露出するよう構成しているため、ケース本体20及び筆記体ホルダー30に筆記体40を装着した状態でも先端部材41及び尾冠43が筆記体40の種類を特定する識別部45として機能する。尚、筆記体40の種類を識別する手段としては、本実施形態に限られることはなく、先端部材41及び尾冠43の形状や、表面に加飾(印刷、塗装、転写、シールの貼り付けなど)を施すことで識別可能に構成してもよい。
【0029】
次に、図1及び図6から図8を用いて、ケース本体20から筆記体40を2本と、筆記体ホルダー30とを取り外し、筆記体ホルダーに筆記体40を装着して使用する状態を説明する。
【0030】
図1に示す状態から筆記体40を図1の上方に向かって引っ張ると、係止部21bがケース本体20の表面側に揺動して係止部21bである内方突起21cと、被係止部43aである鍔状突起43bと、の係止状態が解除され、図6に示すように、筆記体40がケース本体20から取り外される。また、図2に示す状態から筆記体ホルダー30を把持し、プレート23と磁石35の間で働く磁力に抗して筆記体ホルダー30を下方に引っ張ることで、図6に示すようにホルダー本体30をケース本体20から取り外すことができる。
【0031】
そして、取り外した2本の筆記体40のうちの1本目(一方)を筆記体ホルダー30の第二装着部34に尾冠43側から挿入すると尾冠43に固定した棒状体44と磁石35とが磁着して固定される。この際、1本目(一方)の筆記体40の第二鍔状部41fと鍔状突起43bが第二装着部32の内面と摺接することで、筆記体40は第二装着部32にがたつくことなく装着される。また、ケース本体20から取り外した2本目(他方)の筆記体40を第一装着部34に一端部側となる先端部材41側から挿入すると、筆記体40の第一鍔状部41eが前部内突起33aに当接して第一鍔状部41eの前方側が外気と遮断され気密部33bが形成される。そして、さらに筆記体40を押し込むことで第一鍔状部41eが前部内突起33aを乗り越えて係止状態となり、他方の筆記体40は第一装着部43に固定される図7に示す状態となる。この状態では筆記体ホルダー30の把持部31aを把持して筆記が可能であり、一方の筆記体40は、先端部材本体41aの一部が外部に露出しているため、先端部材本体41aが識別部45となり、先端部材本体41aの色で軸体42内の筆記用インキの色を特定することができる。また、第二装着部34に装着された2本目(他方)の筆記体40は尾冠43の一部が外部に露出しているため、同様に尾冠43が識別部45となり、他方の筆記体40の軸体42内の筆記体インキの色を判別することができる。
【0032】
そして、図7の状態の筆記体ホルダー30は、図8に示すように2本の筆記体40を外すことなく、磁石35の磁力によりケース本体20に再装着することができる。この際、筆記体ホルダー30から突出した先端部材41(筆記部)及び尾冠43は、ケース本体20のホルダー装着部22の両側端に形成された凹状空間部22bに収納され、保護される。これにより、一次的に筆記体ホルダー30による筆記を中断する際には磁石により簡単にケース本体20に再装着して保管状態に戻すことができ、筆記体ホルダー30を再び外せばすぐに筆記が開始できるため、非常に利便性が高いものとなってる。尚、筆記体ホルダー30は図7の状態だけでなく、2本の筆記体40の両方を第一装着部33及び第二装着部34に先端部材41側及び尾栓43側のどちらから装着した状態でもケース本体20のホルダー装着部22に装着可能に構成している。このため、筆記を優先する場合は筆記部(先端部材41)を露出させた状態で装着してもよく、筆記部(先端部材41)の保護や乾燥を考慮したい場合は尾冠43を露出させ、筆記体ホルダー30の内部に気密部が形成されるように装着してもよい。また、図7の筆記体ホルダー30は、使用後にケース本体20に必ずしも戻す必要はなく、磁性体で形成されたものであればどこにでも磁石35により磁着させて一次的に固定することが可能である。このため更に使い勝手がよいものとなった。
【0033】
以上のように、本実施形態では筆記体40を装着可能な筆記体ホルダー30がケース本体20に対して着脱可能に装着されているため、筆記体ホルダー30と筆記体40とをケース本体から取り外し、筆記体40を筆記体ホルダー30に装着することで、筆記時に把持部となる筆記体ホルダー30を共有して使用することができる。このため、複数の筆記体40を装着する場合でもケース本体20の大きさを抑えてコンパクトに形成でき、これにより携帯時の持ち運びが容易となった。
【符号の説明】
【0034】
10…筆記体セット、
20…ケース本体、
21…筆記体収納部、21a…挿入孔、21b…係止部、21c…内方突起、
21d…段部、21e…気密部、
22…ホルダー装着部、22a…プレート挿入穴、22b…凹状空間部、
23…プレート、
24…切欠部、
30…筆記体ホルダー、
31…ホルダー本体、31a…把持部、31b…磁石取付穴、
32…装着部、
33…第一装着部、33a…前部内突起、33b…気密部、
34…第二装着部、34a…前部内突起、
35…磁石(被装着部)、
40…筆記体、
41…先端部材(筆記部)、41a…先端部材本体、41b…チップ、
41c…ボール包持部、41d…ボール、41e…第一鍔状部、41f…第二鍔状部、
42…軸体、
43…尾冠、43a…被係止部、43b…第二鍔状部、43c…棒状体取付穴、
44…棒状体、
45…識別部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8