(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151172
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報表示装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20231005BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20231005BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20231005BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02J13/00 301K
H02J3/32
H02J7/34 B
H02J7/00 Y
H02J7/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060633
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】中井 啓太
(72)【発明者】
【氏名】松島 均
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064AC10
5G064BA02
5G064BA03
5G064BA08
5G064BA09
5G064CB07
5G064CB08
5G064DA02
5G066HA13
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503DA04
5G503EA05
5G503EA08
(57)【要約】
【課題】蓄電素子の保守活動の作業効率を向上させる情報処理装置、情報処理システム、情報表示装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを通信により取得する取得部と、取得したデータを、前記監視対象装置を識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶する記憶処理部と、前記記憶媒体に記憶してあるデータに基づき前記監視対象装置を含む前記システム又監視対象装置の状態を特定する特定部と、前記システム又は監視対象装置の画像と、特定された前記システム又は監視対象装置の状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た状態を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を表示させるための表示情報を送信する送信処理部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを通信により取得する取得部と、
取得した状態データを、前記監視対象装置を識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶する記憶処理部と、
前記記憶媒体に記憶してある状態データに基づき前記監視対象装置を含む前記システム又は監視対象装置の状態を特定する特定部と、
前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を表示させるための表示情報を送信する送信処理部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第2グラフィックは、前記システム又は監視対象装置の画像が、上面及び側面のいずれから見た様子を表すかを示す画像である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画面は、表示する前記システム又は監視対象装置の階層に基づいて階層的に作成され、
前記第2グラフィックは、一の階層に対応する状態画面と他の階層に対応する状態画面とで、いずれの方向から見た様子を表すかが異なる
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1グラフィックは、前記蓄電素子のセル又はモジュール又はバンク又は複数のバンクの、電圧、電流及び温度の少なくともいずれかの状態を示す
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムにて、前記監視対象装置に搭載又は接続されている複数の通信デバイスと、
該複数の通信デバイスと通信接続が可能な情報処理装置と、
該情報処理装置と通信接続が可能な表示部を備えるクライアント装置と
を含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記複数の通信デバイスから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを取得し、
取得した状態データを、前記監視対象装置を識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、
前記記憶媒体に記憶してあるデータに基づき前記監視対象装置を含む前記システム又は監視対象装置の状態を特定し、
前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を表示させるための表示情報を送信する
情報処理システム。
【請求項6】
蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムにて、前記監視対象装置に搭載又は接続されている複数の通信デバイスから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを取得し、記憶媒体に記憶する情報処理装置に通信接続する通信部と、
表示部と
を備え、
前記情報処理装置から送信される情報に基づき、前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を前記表示部に表示する
情報表示装置。
【請求項7】
蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを通信により取得し、
取得した状態データを、前記監視対象装置を識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、
前記記憶媒体に記憶してある状態データに基づき前記監視対象装置を含む前記システム又は監視対象装置の状態を特定し、
前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を表示させるための表示情報を送信する
情報処理方法。
【請求項8】
蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムと通信接続が可能なコンピュータに、
前記監視対象装置又はシステムから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを通信により取得し、
取得した状態データを、前記監視対象装置を識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、
前記記憶媒体に記憶してある状態データに基づき前記監視対象装置を含む前記システム又は監視対象装置の状態を特定し、
前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を表示させるための表示情報を送信する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
表示部を備えるコンピュータに、
蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムにて、前記監視対象装置に搭載又は接続されている複数の通信デバイスから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを取得し、記憶媒体に記憶する情報処理装置と通信接続し、
前記情報処理装置から送信される情報に基づき、前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を前記表示部に表示する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子の情報処理装置、情報処理システム、情報表示装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー又は既存の発電システムにて発電された電力を蓄電しておく大規模なシステムでの蓄電素子の利用が拡大している。
【0003】
鉛蓄電池又はリチウムイオン電池のような蓄電素子は、例えば、太陽光発電システムや風力発電システムに並設される。大規模な発電システムでは、非常に多くの蓄電素子が設置されて利用される。工場又は大規模施設における電力ピークカットやエネルギーマネジメントを実現する場合にも、非常に多くの蓄電素子が設置されて利用される。
【0004】
蓄電素子から構成される蓄電池システムや、蓄電素子に加えパワーコンディショナ等を含む蓄電システム(ESS:Energy Storage System)が、多くのロケーションに設置されつつある。蓄電素子を使用したシステムでは、蓄電素子の状態診断の実施、充電状態(SOC:State Of Charge )の推定、又は寿命の予測の実施を含むシステムの安定運用をサポートする保守活動が重要である。
【0005】
規模の大小によらず、蓄電素子を含むシステムにおける状況を、保守作業者が現地に赴かなくとも把握できることが作業負担や費用負担を減らし、保守活動の質を向上させ得る。このため、蓄電素子のSOC、又は電源関連装置の状態等の情報を、サーバ装置経由で保守作業者が取得できる技術(遠隔監視)が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
蓄電素子が物理的に場所を占有して配置されるものである以上、遠隔監視が実現されていても、何らかの異常又は異常の予兆が検知されている場合には、保守作業者が現地に赴き、点検や交換を行なう必要がある。保守作業者が現地に赴いて詳細な調査をする場合、いずれの場所に設置されたいずれの蓄電素子又は電源関連装置を確認すべきか、それらのいずれの箇所を確認すべきか、を事前に把握できれば、作業に要する時間を減らして作業効率を向上できる。
【0008】
本発明の一態様は、蓄電素子の保守活動の作業効率を向上させる情報処理装置、情報処理システム、情報表示装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の情報処理装置は、蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを通信により取得する取得部と、取得した状態データを、前記監視対象装置を識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶する記憶処理部と、前記記憶媒体に記憶してある状態データに基づき前記監視対象装置を含む前記システム又は監視対象装置の状態を特定する特定部と、前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を表示させるための表示情報を送信する送信処理部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】蓄電モジュール群の階層構造及び通信デバイスの接続形態の一例を示す図である。
【
図3】遠隔監視システムに含まれる装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバ装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】サーバ装置からクライアント装置への情報提示の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】サーバ装置からクライアント装置への情報提示の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一実施形態の情報処理装置は、蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを通信により取得する。情報処理装置は、取得した状態データを、前記監視対象装置を識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶する記憶処理部と、前記記憶媒体に記憶してある状態データに基づき前記監視対象装置を含む前記システム又は監視対象装置の状態を特定する特定部とを備える。情報処理装置は、前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を表示させるための表示情報を送信する送信処理部を備える。
【0012】
蓄電素子は、リチウムイオン電池(非水電解質二次電池)又はその組電池であってもよい。リチウムイオン電池やその組電池は、短い周期で様々な状態(電流、電圧、温度、充電状態(SOC)等)が測定ないし算出され、状態データとして管理装置に取得される。蓄電素子は、管理装置により状態データを取得できるものであれば、他の二次電池や、一次電池、キャパシタであってもよい。
【0013】
蓄電素子は、蓄電セルであってもよいし、複数の蓄電セルを直列及び/又は並列に接続した蓄電モジュールであってもよい。蓄電素子は、複数の蓄電モジュールを直列に接続した蓄電ユニット(以下、「バンク」とも称する)であってもよい。蓄電素子は、複数の蓄電モジュール又はバンクを並列に接続した蓄電ユニット(以下、「ドメイン」とも称する)であってもよい。
【0014】
電源関連装置は、パワーコンディショナ、無停電電源装置、整流器、直流電源装置、電気自動車向けの充電器や充放電器のいずれであってもよい。
【0015】
上記情報処理装置の処理対象である状態データは、システム又は監視対象装置毎に、このシステム又は監視対象装置を識別する識別データに対応付けられて示され、システム又は監視対象装置毎に状態がグラフィックによって表示される。システム又は監視対象装置は、1又は複数の蓄電素子、及び1又は複数の電源関連装置のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせで構成されている。1つの蓄電素子(蓄電モジュール)、あるいは1つの電源関連装置(無停電電源装置単体など)である場合は監視対象装置と称し、複数の組み合わせである場合は、システムと称する。
【0016】
上記構成により、保守作業者は、システム内のどの装置を確認すべきか、装置内のどの部分を確認すべきかを、表示されたグラフィックから事前に把握することができる。保守作業者は、現場に赴いた際に視認できる蓄電素子又は電源関連装置の設置状態と、グラフィックとを照らし合わせて、いずれの装置のいずれの部分を確認すべきかを容易に把握できる。
【0017】
前記情報処理装置では、前記第2グラフィックは、前記システム又は監視対象装置の画像が、上面及び側面のいずれから見た様子を表すかを示す画像であってもよい。
【0018】
上記構成により、第2グラフィックにより、表示されるシステム又は監視対象装置の画像が、いずれの方向から見た様子を表すかを、画像の視認者(保守作業者)が認識できる。第2グラフィックは、いずれの方向を見た様子であるかを表す記号やテキストを含んでもよい。
【0019】
前記情報処理装置では、前記画面は、表示する前記システム又は監視対象装置の階層に基づいて階層的に作成され、前記第2グラフィックは、一の階層に対応する状態画面と他の階層に対応する状態画面とでいずれの方向から見た様子を表すかが異なってもよい。
【0020】
上記構成では、システム又は監視対象装置の階層構造に応じて表示される状態画面は、例えば全体から部分、部分から更に詳細な部分へ階層的に遷移して表示される。各階層に対応する状態画面におけるシステム又は監視対象装置の画像は、階層によって異なる向きでそのシステム又は監視対象装置を表してよい。
【0021】
上記構成により、システム又は監視対象装置の規模に応じて、対象となる部分がいずれの場所に存在するかを、画像からより正確に認識可能となる。
【0022】
第2グラフィックに対する操作により、システム又は監視対象装置の画像を、上方から見た様子を表した画像から、右側方から見た様子を表す画像へ、右側方から見た様子を表す画像から正面から見た様子を表した画像へといった遷移を可能としてもよい。
【0023】
前記情報処理装置は、前記第1グラフィックは、前記蓄電素子のセル又はモジュール又はバンク又は複数のバンクの、電圧、電流及び温度の少なくともいずれかの状態を示してもよい。
【0024】
上記構成により、蓄電素子のセル、モジュール、バンク又は複数のバンクという階層構造における各階層の状態が、いずれのセルの状態であるのか、いずれのモジュールの状態であるのかといった詳細を、視認者が正確に認識できる。保守作業者は、実際に蓄電素子が配置されている場所に赴いた場合に、実際の設置状況と状態を表示したグラフィックとを照らし合わせて状態を容易に確認でき、保守作業を効率化できる。
【0025】
情報処理システムは、蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムにて、前記監視対象装置に搭載又は接続されている複数の通信デバイスと、該複数の通信デバイスと通信接続が可能な情報処理装置と、該情報処理装置と通信接続が可能な表示部を備えるクライアント装置とを含む情報処理システムである。前記情報処理装置は、前記複数の通信デバイスから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを取得し、取得した状態データを、前記監視対象装置を識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、前記記憶媒体に記憶してあるデータに基づき前記監視対象装置を含む前記システム又は監視対象装置の状態を特定し、前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を表示させるための表示情報を送信する。
【0026】
情報表示装置は、蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムにて、前記監視対象装置に搭載又は接続されている複数の通信デバイスから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを取得し、記憶媒体に記憶する情報処理装置に通信接続する通信部と、表示部とを備え、前記情報処理装置から送信される情報に基づき、前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を前記表示部に表示する。
【0027】
情報表示装置により表示される画面には、システム又は監視対象装置の画像と、システム又は監視対象装置の画像の状態を示す第1グラフィックと、その画像が前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとが含まれる。
【0028】
情報処理方法は、蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを通信により取得し、取得した状態データを、前記監視対象装置を識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、前記記憶媒体に記憶してある状態データに基づき前記監視対象装置を含む前記システム又は監視対象装置の状態を特定し、前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を表示させるための表示情報を送信する。
【0029】
コンピュータプログラムは、蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムと通信接続が可能なコンピュータに、前記監視対象装置又はシステムから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを通信により取得し、取得した状態データを、前記監視対象装置を識別する識別データと対応付けて記憶媒体に記憶し、前記記憶媒体に記憶してある状態データに基づき前記監視対象装置を含む前記システム又は監視対象装置の状態を特定し、前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を表示させるための表示情報を送信する処理を実行させる。
【0030】
コンピュータプログラムは、表示部を備えるコンピュータに、蓄電素子もしくは電源関連装置である監視対象装置、又は、監視対象装置を複数含むシステムにて、前記監視対象装置に搭載又は接続されている複数の通信デバイスから、前記監視対象装置の状態を示す状態データを取得し、記憶媒体に記憶する情報処理装置と通信接続し、前記情報処理装置から送信される情報に基づき、前記システム又は監視対象装置の画像と、前記システム又は監視対象装置の特定された状態を示す第1グラフィックと、前記システム又は監視対象装置の画像が、前記システム又は監視対象装置をいずれの方向から見た様子を表すかを示す第2グラフィックとを含む画面を前記表示部に表示する処理を実行させる。
【0031】
本発明をその実施形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図1は、遠隔監視システム100の概要を示す図である。遠隔監視システム100は、メガソーラー発電システムS、火力発電システムF、風力発電システムWに含まれる蓄電素子及び電源関連装置に関する情報への遠隔からのアクセスを可能とする。無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)U、安定化電源システム等に配置される整流器(直流電源装置、又は交流電源装置)Dが遠隔監視されてもよい。
【0033】
メガソーラー発電システムS、火力発電システムF及び風力発電システムWには、パワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System )P及び蓄電システム101が並設されている。蓄電システム101は、蓄電モジュール群Lを収容したコンテナCを複数並設して構成されていてもよい。蓄電システム101において、蓄電モジュール群L及びパワーコンディショナPは、建物(蓄電室)内に配置されてもよい。蓄電モジュール群Lは、複数の蓄電素子を含む。蓄電素子は、鉛蓄電池及びリチウムイオン電池のような二次電池や、キャパシタのような、再充電可能なものであることが好ましい。蓄電素子の一部が、再充電不可能な一次電池であってもよい。
【0034】
遠隔監視システム100では、監視対象となるシステムS,F,Wにおける蓄電システム101、又は電源関連装置(P,U,D及び後述の管理装置M)それぞれに、通信デバイス1(
図2参照)が搭載/接続される。遠隔監視システム100は、通信デバイス1と、通信デバイス1を介して情報を収集するサーバ装置2(情報処理装置:クレームでの文言)と、収集された情報を閲覧するためのクライアント装置3と、装置間の通信媒体であるネットワークNとを含む。
【0035】
通信デバイス1は、蓄電素子に備えられる電池管理装置(BMU)と通信して蓄電素子の情報を受信する端末装置(計測モニタ)であってもよいし、 ECHONET/ECHONETLite(登録商標)対応のコントローラであってもよい。通信デバイス1は、独立したデバイスであってもよいし、パワーコンディショナPや蓄電モジュール群Lに搭載可能なネットワークカード型のデバイスであってもよい。通信デバイス1は例えば、鉛蓄電池である蓄電素子の内部抵抗、電圧、電流、温度等を測定する子機から測定データを無線通信により収集するように設置される独立した通信装置である。通信デバイス1は例えば、リチウムイオン電池を直列に接続させた蓄電装置に組み込まれ、蓄電装置の制御基板に接続されるネットワークカード型のデバイスである。
【0036】
通信デバイス1は、蓄電システム101における蓄電モジュール群Lの情報を取得すべく、複数の蓄電モジュールからなるグループ毎に1つずつ設けられている。パワーコンディショナPは複数台でシリアル通信が可能に接続されており、通信デバイス1は、いずれか代表となるパワーコンディショナPの制御ユニットに接続されている。
【0037】
サーバ装置2はWebサーバ機能を含み、監視対象の各装置に搭載/接続された通信デバイス1から得られる情報を、クライアント装置3からのアクセスに応じて提示する。
【0038】
ネットワークNは、所謂インターネットである公衆通信網N1と、所定の移動通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN2とを含む。公衆通信網N1は、一般光回線を含み、ネットワークNは、サーバ装置2が接続する専用線を含んでもよい。ネットワークカードNは、 ECHONET/ECHONETLite 対応のネットワークを含んでもよい。キャリアネットワークN2には基地局BSが含まれ、クライアント装置3が通信端末の場合、クライアント装置3は基地局BSからネットワークNを介してサーバ装置2との通信が可能である。公衆通信網N1にはアクセスポイントAPが接続されており、クライアント装置3が通信端末の場合、クライアント装置3はアクセスポイントAPからネットワークNを介してサーバ装置2と通信が可能である。システムS,F,Wや、独立した電源関連装置P,U,Dに搭載/接続されている通信デバイス1は、システム又は電源関連装置P,U,Dが設置されている場所に敷設されているネットワークから公衆通信網N1を経てネットワークNを介してサーバ装置2又はクライアント装置3と通信接続が可能である。
【0039】
蓄電システム101の蓄電モジュール群Lは階層構造を有している。蓄電素子の情報をサーバ装置2へ送信する通信デバイス1は、蓄電モジュール群Lに設けられた管理装置Mから蓄電モジュール群Lに含まれる蓄電素子の情報を取得する。
図2は、蓄電モジュール群Lの階層構造及び通信デバイス1の接続形態の一例を示す図である。蓄電モジュール群Lは、例えば蓄電セル(セルとも称する)を複数直列に接続したバンクと、バンクを複数並列に接続したドメインとの階層構造にて構成されている。
【0040】
図2の例では番号(#)1~Nのバンクそれぞれと、バンクを並列に接続したドメインとに1つずつ、管理装置Mが設けられている。バンク毎に設けられている管理装置Mは、蓄電モジュールの内部にそれぞれ内蔵されている通信機能付きの制御基板(CMU:Cell Monitoring Unit)とシリアル通信によって通信し、蓄電モジュール内部の蓄電セルの測定データ(電流、電圧、温度、内部抵抗等)を取得する。バンクの管理装置Mは、蓄電モジュールの各セルの電圧異常の検知等の管理処理を実行する。バンクの管理装置Mはそれぞれ、ドメインに設けられている管理装置Mへ各々のバンクの蓄電モジュールから得られた測定データを送信する。ドメインの管理装置Mは、そのドメインに所属するバンクの管理装置Mから得られる測定データ、検知された異常等の情報を集約する。
図2の例では通信デバイス1は、ドメインの管理装置Mに接続されている。代替的に、通信デバイス1は、ドメインの管理装置Mとバンクの管理装置Mとのそれぞれに接続されていてもよい。
【0041】
遠隔監視システム100では、サーバ装置2が、各装置に搭載/接続させた通信デバイス1を利用し、蓄電システム101におけるSOC、SOH(State Of Health)等の状態、異常の有無といった情報を収集する。サーバ装置2は、収集された状態(測定データ)に基づき、蓄電システム101に含まれる蓄電素子に適したアルゴリズム、あるいは、電源関連装置P,U,Dの状態を各システム及び装置に適したアルゴリズムで導出し、提示することができる。
【0042】
図3は、遠隔監視システム100に含まれる装置の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、通信デバイス1は、制御部10、記憶部11、第1通信部12及び第2通信部13を備える。制御部10はCPU(Central Processing Unit )を用いたプロセッサであり、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。
【0043】
記憶部11は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部11には、制御部10が読み出して実行するデバイスプログラム1Pが記憶されている。デバイスプログラム1Pには、SSH(Secure Shell)、SNMP(Simple Network Management Protocol)等に準じた通信用プログラムが含まれる。記憶部11には、制御部10の処理によって収集された情報が記憶される。記憶部11に記憶された情報は、通信デバイス1の筐体に端子が露出するUSB等の通信インタフェースを介して読み出すことも可能である。記憶部11に記憶されるデバイスプログラム1Pは、記憶媒体4に記憶してあるデバイスプログラム4Pを制御部10が読み出して記憶部11に複製したものであってもよい。
【0044】
第1通信部12は、通信デバイス1が接続されている監視対象装置との通信を実現する通信インタフェースである。第1通信部12は例えば、RS232C又はRS485に準拠したシリアル通信インタフェースである。例えばパワーコンディショナP等の電源関連装置は、RS485に準拠したシリアル通信機能を有する制御ユニットを備えており、第1通信部12はその制御ユニットと通信する。蓄電モジュール群Lに備えられている制御基板がCAN(Controller Area Network)バスにより接続されて制御基板間の通信をCAN通信で実現する場合、第1通信部12はCANプロトコルに基づく通信インタフェースである。第1通信部12は、 ECHONET/ECHONETLite の規格に対応する通信インタフェースであってもよい。
【0045】
第2通信部13は、ネットワークNを介した通信を実現するインタフェースであり、例えばEthernet(登録商標)、又は無線通信用アンテナ等の通信インタフェースを用いる。制御部10は、第2通信部13を介してサーバ装置2と通信接続が可能である。第2通信部13が、 ECHONET/ECHONETLite の規格に対応する通信インタフェースであってもよい。
【0046】
このように構成される通信デバイス1では、制御部10が、第1通信部12を介して、通信デバイス1が搭載/接続されている装置にて得られる蓄電素子の測定データや、機器の異常の有無を示すデータ等を取得する。制御部10は、SNMP用プログラムを読み出して実行することにより、SNMPエージェントとして機能し、サーバ装置2からの情報要求に対して応答することで、測定データを、異常又は注意状態が検知されている場合には状態データをサーバ装置2へ送信してもよい。
【0047】
サーバ装置2はサーバコンピュータを用い、制御部20、記憶部21、及び通信部22を備える。第1実施形態においてサーバ装置2は、1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のサーバコンピュータで処理を分散させてもよい。
【0048】
制御部20は、CPU又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。制御部20は、記憶部21に記憶されているサーバプログラム21Pに基づく通信及び情報処理を実行する。サーバプログラム21Pには、Webサーバプログラムが含まれる。制御部20は、クライアント装置3へのWebページを提供するWebサーバとして機能する。制御部20は、サーバプログラム21Pに基づき、SNMP用サーバとして通信デバイス1から情報を収集する。
【0049】
記憶部21は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部21には、上述したサーバプログラム21P及びデータ処理プログラム22Pが記憶されている。記憶部21に記憶されるサーバプログラムP及びデータ処理プログラム22Pは、記憶媒体5に記憶してあるサーバプログラム51P及びデータ処理プログラム52Pを制御部20が読み出して記憶部21に複製したものであってもよい。
【0050】
記憶部21には、制御部20の処理によって収集される監視対象の蓄電システム101、パワーコンディショナP及び蓄電モジュール群Lの測定データが記憶される。監視対象のシステムに、その他の電源関連装置(整流器D、無停電電源装置U等)が含まれる場合、それらの測定データも記憶される。測定データは、システム又は装置を識別する識別情報(番号、記号)と対応付けられている。蓄電モジュール群Lの測定データは、ドメイン、バンク、モジュール、又はセルと階層構造に応じて記憶される。
【0051】
記憶部21には、監視対象の蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dの状態を表示するための画像が複数記憶されている。複数の画像は、監視対象の蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dを識別する識別情報と対応付けて記憶部21に記憶されている。複数の画像には、蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dを表す画像が含まれる。
【0052】
記憶部21に記憶されている複数の画像には、蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dの配置を示す画像が含まれる。これらの画像は、航空写真、衛星写真等の写真、2D地図、設計図、CAD図面、又はイラスト等である。これらの画像は、クライアント装置3からのアップロードにより記憶されてよい。写真、地図、設計図、図面又はイラストの内、監視対象の蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dの位置又は範囲が各画像について記憶されている。位置又は範囲を示す情報は例えば、画像に対応する座標情報である。画像が航空写真、衛星写真又は地図である場合には、緯度経度情報及び相対位置を示す情報であってもよい。配置を示す画像には、その画像が、上方から見た様子を表すのか、側面から見た様子を表すのか、あるいは斜め上方から見た様子を表すのかを識別するデータが対応付けられている。これにより、制御部20から画像を読み出す場合に、その読み出した画像が、蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dを上方から見た様子を表すのか、側面から見た様子を表すのか等を判別できる。
【0053】
記憶部21に記憶されている蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dの配置を示す画像には、画像内に表されているシステム又は装置の向きを示すアイコン、イラスト、アニメーションが含まれる。向きを示すアイコン、イラスト、アニメーション等は、その向きでシステム又は装置を見たときのどの位置に対象が存在するかを示すグラフィックと共に表示される。向きを示すアイコン、イラスト、アニメーション等は例えば、配置を示す画像が上方から見た様子を表す場合には、「上から」を示す矢符の画像、文字等を含む。配置を示す画像が正面(側方)から見た様子を表す場合には、「正面から」を示す矢符の画像、文字等を含む。配置を示す画像が側方(左右)から見た様子、あるいは背面から見た様子を表す場合も、同様にそれぞれ、「側面から」、「背面から」を示す矢符の画像、文字等を含む。向きを示すアイコン、イラスト、アニメーション等は、方角を示す図を含んでもよい。配置を示す画像が斜視図である場合、向きを示すアイコン、イラスト、アニメーション等は、方角を示す文字や画像、向きを示す矢符の画像等を含んでもよい。これにより、蓄電素子が蓄電モジュール群Lのいずれの箇所にあるか、電源関連装置P,U,Dがシステムのいずれに設置されているか、部品が電源関連装置P,U,Dのいずれにあるか、を識別可能なWebページを提供可能である。
【0054】
記憶部21に記憶されている複数の画像には、蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dの状態(異常/正常/注意)を表現するためのイラスト、アイコン、アニメーション等の画像が含まれてもよい。記憶部21には、状態や配置を表示するための画像の他、Webベースで蓄電システム101、電源関連装置P,U,Dの状態を視覚的に出力するためのスタイルシート、スクリプト等のデザインデータが記憶されていてもよい。
【0055】
通信部22は、ネットワークNを介して通信接続及び情報の送受信を実現するデバイスである。具体的には、通信部22はネットワークNに対応したネットワークカードである。
【0056】
クライアント装置3は、発電システムS,F,Wの管理者又は保守作業者等が使用するコンピュータである。クライアント装置3は、デスクトップ型、又はラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、所謂スマートフォン又はタブレット型の通信端末であってもよい。クライアント装置3は、制御部30、記憶部31、通信部32、表示部33、及び操作部34を備える。
【0057】
制御部30は、CPUを用いたプロセッサである。制御部30は、記憶部31に記憶されているクライアントプログラム3Pに基づき、サーバ装置2により提供されるWebページを表示部33に表示させる。クライアントプログラム3Pは、サーバ装置2のWebサーバ機能により提供されるWebページに組み込まれており、クライアント装置3で一時的に記憶されるスクリプトとWebブラウザプログラムとを含み、サーバ装置2における動作に基づいてWebベースの画面を表示させるためのプログラムである。
【0058】
記憶部31は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部31には、クライアントプログラム3Pを含む各種プログラムが記憶されている。クライアントプログラム3Pは、記憶媒体6に記憶してあるクライアントプログラム6Pを制御部30が読み出して記憶部31に複製したものであってもよい。
【0059】
通信部32は、有線通信用のネットワークカード、基地局BS(
図1参照)に接続する移動通信用の無線通信デバイス、又はアクセスポイントAP(
図1参照)への接続に対応する無線通信デバイスを用いる。制御部30は、通信部32により、ネットワークNを介してサーバ装置2又は各装置に搭載/接続された通信デバイス1との間で通信接続できるか、又は情報を送受信できる。
【0060】
表示部33は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを用いる。表示部33は、制御部30のクライアントプログラム3Pに基づく処理により、サーバ装置2により提供されるWebページのイメージを表示する。表示部33は、タッチパネル内蔵型ディスプレイであってもよいし、タッチパネル非内蔵型ディスプレイであってもよい。
【0061】
操作部34は、制御部30との間で入出力が可能なキーボード及びポインティングデバイス、もしくは音声入力部等のユーザインタフェースである。操作部34は、表示部33のタッチパネル、又は筐体に設けられた物理ボタンを用いてもよい。操作部34は、ユーザによる操作情報を制御部30は通知する。
【0062】
このように構成される遠隔監視システム100では、サーバ装置2が、データ処理プログラム22Pに基づいて監視対象のシステム又は監視対象装置の状態を含むデータを通信デバイス1から逐次取得し、記憶部21に記憶する。記憶部21には、蓄電モジュール群Lについては、管理装置Mから送信される測定データや検知された異常を示すデータが、監視対象の蓄電モジュール群Lの蓄電セル、あるいは蓄電モジュール毎に記憶される。記憶部21には、電源関連装置P,U,Dについては、各装置自体で検知された異常を示すデータ、通信デバイス1の処理によって検知された状態、異常を示すデータが、電源関連装置P,U,D毎に逐次記憶される。
【0063】
サーバ装置2は、監視対象のシステムにおける蓄電モジュール群L(ドメイン、バンク、モジュール、セル)、及び/又は電源関連装置P,U,Dの階層構造を示す構成データを記憶する。監視対象のシステム又は監視対象装置は、蓄電モジュール群Lを含む蓄電システム101、パワーコンディショナP、無停電電源装置U及び整流器Dのうちのいずれか1つ又は複数で構成されている。1つである場合は監視対象装置であり、複数である場合はシステムと称する。階層構造を示す構成データは、予め、システム毎に設定されてもよいし、通信デバイス1から、親子関係でデータ同士が紐づけられて送信されるデータから、導き出されるものであってもよい。監視対象装置の電源関連装置P,U,Dが監視対象の場合、サーバ装置2は、その監視対象が単体で使用されていることを示す構成データを記憶する。サーバ装置2は、監視対象のシステムにおける蓄電モジュール群L(ドメイン、バンク、モジュール、セル)、及び/又は電源関連装置P,U,Dの階層構造に応じて、各階層における状態を視覚的に示す画面情報を、クライアント装置3からのリクエストに応じて提示する。
【0064】
図4は、サーバ装置2における処理手順の一例を示すフローチャートである。サーバ装置2は、通信デバイス1から、蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dから、測定データを定期的に、又はイベントに応じて取得して記憶部21に記憶している。サーバ装置2は、記憶してある蓄電モジュール群L又は電源関連装置P,U,Dの情報を用いて、
図4の処理をイベントとして、又はクライアント装置3からの要求に応じて実行し、画面情報の元となる情報を作成する。イベントとは、定期的検知の到来であってもよいし、異常発生等のシステム又は装置の状態変化の検知であってもよい。
【0065】
制御部20は、監視対象であるシステム又は監視対象装置を識別する識別データを1つ選択する(ステップS101)。
【0066】
制御部20は、選択された識別データにより識別されるシステム又は監視対象装置が蓄電素子を含むか否かを判断する(ステップS102)。蓄電素子を含むと判断された場合(S102:YES)、選択された識別データにより識別されるシステム又は監視対象装置は、階層構造の蓄電素子を含むか否かを判断する(ステップS103)。
【0067】
システム又は監視対象装置は、階層構造の蓄電素子を含む、と判断された場合(S103:YES)、制御部20は、階層毎の充電状態(SOC)を導出する(ステップS104)。
【0068】
ステップS104において制御部20は、例えば、蓄電素子がリチウムイオン電池である場合、リチウムイオン電池向けのアルゴリズムによって、階層毎のセルのSOCを導出する。階層は
図2に示すような構造の蓄電システム101であれば例えばドメイン、バンク、モジュールであり、制御部20は、セル単位のSOCのみならず、ドメイン単位、バンク単位、モジュール単位でのSOCを導出する。または、蓄電素子が鉛蓄電池である場合、制御部20は、鉛蓄電池向けのアルゴリズムによって、蓄電システム101全体又は分割可能な単位毎に、SOCを導出する。
【0069】
制御部20は、階層毎に導出したSOCを、選択中の識別データ、階層構造の蓄電素子群(蓄電モジュール群L)それぞれ、即ちドメイン、バンク等を識別する名称(識別データ)に対応付けて一時的に記憶する(ステップS105)。
【0070】
ステップS103において、システム又は監視対象装置は、階層構造の蓄電素子を含まない、と判断された場合(S103:NO)、制御部20は、ステップS104及びステップS105の処理をスキップして処理をステップS106へ進める。
【0071】
ステップS106において制御部20は、選択中の識別データのシステム又は監視対象装置が含む蓄電素子全体としてのSOCを導出する(ステップS106)。制御部20は、ステップS106で導出したSOCを、選択中の識別データに対応付けて一時的に記憶し(ステップS107)、処理をステップS108へ進める。
【0072】
ステップS102で蓄電素子を含まないと判断された場合(S102:NO)、制御部20は、ステップS104-S107の処理をスキップし、ステップS108へ処理を進める。
【0073】
制御部20は、選択中の識別データで識別されるシステム又は監視対象装置における異常の有無を特定し(ステップS108)、選択中のシステム又は装置の識別データに対応付けて、特定した結果を一時的に記憶する(ステップS109)。
【0074】
制御部20は、監視対象であるシステム又は監視対象装置を識別する識別データを全て選択したか否かを判断する(ステップS110)。全て選択したと判断された場合(S110:YES)、制御部20は一回の処理を終了する。ステップS110にて全てを選択していないと判断された場合(S110:NO)、制御部20は、処理をステップS101へ戻す。
【0075】
図4のフローチャートに示した処理により、クライアント装置3からの要求があったタイミング、又はイベント発生(状態変化等)のタイミングでの各システム及び監視対象装置の状態(SOC、及び/又は異常の有無)が、一時的に、記憶部21に記憶される。クライアント装置3からの要求があったタイミング、又はイベント発生(状態変化等)のタイミングの都度、記憶される状態の情報は更新される。
【0076】
サーバ装置2における画面情報の作成及び情報提示について説明する。
図5及び
図6は、サーバ装置2からクライアント装置3への情報提示の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0077】
クライアント装置3は、クライアントプログラム3Pにより、ログイン要求を保守作業者から受け付けると、ログインデータをサーバ装置2へ送信する(ステップS301)。ログインデータが受け付けられたことを契機に、以下の処理が開始される。
【0078】
制御部20は、Webサーバとしてクライアント装置3からログイン要求とともにログインデータを受信する(ステップS201)。ステップS201において制御部20は、クライアント装置3を使用する保守作業者を識別するID及びパスワード等のカギを受信する。制御部20は、パスワードに代替して生体情報を受信してもよい。
【0079】
制御部20は、受信したログインデータに基づき、保守作業者を識別するIDに対応付けられているアクセス権限を有するシステム又は監視対象装置の識別データを抽出する(ステップS202)。ステップS202にて、受信したログインデータの認証が失敗した場合には、以後の処理を省略して処理を終了する。
【0080】
制御部20は、抽出された識別データで識別されるシステム又は監視対象装置に対し、
図4に示した処理によって保持されている状態のデータを参照する(ステップS203)。
【0081】
制御部20は、記憶部21に記憶してあるスタイルシート等のデザインデータに基づき、ステップS202で抽出されたシステム又は監視対象装置のリストを含むWebページのデータを作成する(ステップS204)。ステップS204にて作成されるWebページには、システム又は監視対象装置に含まれる蓄電素子の階層構造毎の状態、電源関連装置における構成部それぞれにおける詳細情報を表示する画面へのリンク情報も含まれる(
図8参照)
【0082】
制御部20は、作成したWebページの情報を、ログイン要求元のクライアント装置3へ送信する(ステップS205)。
【0083】
クライアント装置3は、通信部32により、ログインデータを送信した後(S301)、操作を行なう保守作業者のアクセス権限を有するシステム又は監視対象装置のリストを含むWebページのデータを受信する(ステップS302)。制御部30は、Webぺージを表示部33に表示する(ステップS303)。
【0084】
ステップS303にて表示されるWebページには、上述したように、システム又は監視対象装置のリストが表示される。リストには、各システム又は監視対象装置について詳細な情報を表示するためのリンク情報が含まれる。制御部30は、Webページでリンク情報の選択を受け付け(ステップS304)、選択されたリンク情報が示すWebページのデータの要求をサーバ装置2へ送信する(ステップS305)。
【0085】
サーバ装置2の制御部20は、リンク情報を指定したWebページのデータの要求を受信し(ステップS206)、リンク情報に基づき、選択されたシステム又は監視対象装置の詳細を表示するためのWebページのデータをクライアント装置3へ送信する(ステップS207)。ステップS207で送信されるWebページのデータ、選択されたシステム又は監視対象装置の階層構造に従って階層間を遷移可能な構成を有する。各Webページには、選択されたシステム又は監視対象装置の建物内における位置、コンテナC内における位置、蓄電池盤における位置等の配置を示す画像、画像の向きを示すアイコンが含まれる。Webページには、各階層の状態を表現するためのイラスト、アイコン、アニメーション等のグラフィックデータが含まれる。これらのグラフィックは、操作部34にて選択可能であってよい。選択されると制御部30は、Webブラウザの機能により、グラフィックに対応付けられているリンク情報に基づいて他の階層のWebページへ遷移させる(参照)。制御部30は、スクリプトにより装置又は構成部に対する測定データの数値を画面内に表示させる。
【0086】
クライアント装置3の制御部30は、Webページのデータを受信し(ステップS306)、受信したデータに基づき、詳細を示すWebページを表示部33に表示させる(ステップS307)。以後、ステップS307によるWebページの表示が維持されている間は、Webページのデータに含まれるスクリプト(自動更新)に基づき、制御部30は、選択されたシステム又は監視対象装置の測定データに基づき、
図4に示した処理で導出される対象の階層における状態のデータを、サーバ装置2から受信し、Webページ内で更新表示する。
図7は、自動モニタ部2Pの機能を説明する図である。
図7に示すように、サーバプログラム21Pに含まれるWebサーバプログラム及びデザインデータと、クライアントプログラム3Pに含まれるWebブラウザプログラムとの行動に基づく自動モニタ部2Pの機能により、状態表示を自動更新により実現する。自動モニタ部2Pは、例えば10秒間隔又は15秒間隔で、https通信によりクライアント装置3へのデータの送信を実現してもよい。
【0087】
制御部30は、選択対象のシステム又は監視対象装置の詳細を示すWebページにて、他の階層へのリンク情報が選択されたか否かを判断する(ステップS308)。リンク情報が対応付けられたグラフィックが選択されるなどして、リンク情報が選択されたと判断された場合(S308:YES)、対応付けられたリンク情報に基づき、選択された階層の詳細を表示するためのWebページのデータの要求をサーバ装置2へ送信する(ステップS309)。
【0088】
サーバ装置2の制御部20は、リンク情報を指定したデータの要求を受信し(ステップS208)、リンク情報に基づき、選択された階層の詳細を表示するためのWebページのデータをクライアント装置3へ送信する(ステップS209)。制御部20は、クライアント装置3にてWebページの表示の終了操作がされるまで、リンク情報を指定したデータの要求を受信する都度(S208)、Webページのデータをクライアント装置3へ送信する(S209)。
【0089】
クライアント装置3の制御部30は、選択された階層の詳細を示すWebページのデータを受信する(ステップS310)。制御部30は、選択された階層の詳細を示すWebページを表示部33に表示させる(ステップS311)。ステップS311においても制御部30は、
図7に示したように、Webページの表示が維持されている間は、選択された階層のWebページのデータに含まれるスクリプト(自動更新)に基づき、選択された階層の測定データに基づき導出される対象の階層における状態を、サーバ装置2から受信し、Webページ内で更新表示する。
【0090】
制御部30は、対象のシステム又は監視対象装置のWebページの表示の終了操作を受け付けたか否かを判断し(ステップS312)、受け付けていないと判断された場合(S312:NO)、処理をステップS308へ戻す。制御部30は、ステップS312において、Webブラウザが終了されたか、ログアウトが選択されたか、又は、ステップS302で表示したWebページへの遷移が選択された場合に、終了操作を受け付けたと判断してよい。
【0091】
終了操作を受け付けたと判断された場合(S312:YES)、制御部30は、情報提示の処理を終了する。
【0092】
図5及び
図6に示した処理手順では、システム又は監視対象装置の情報を表示するためのWebページには、自動更新用のスクリプトが含まれ、自動的に各階層における状態が更新される(自動モニタ機能とも称する)、と説明した。自動的に更新される都度、サーバ装置2が
図4に示した手順で、定期的に、又はイベントに応じて、導出する階層毎の状態及び解析処理の結果によってWebページの内容が更新される。代替的に、状態更新は、オペレータがクライアント装置3の操作部34を操作し他の階層、又は最上位の階層を選択する都度、クライアント装置3から、更新要求がサーバ装置2へ送信される構成としてもよい。この場合、サーバ装置2は、更新要求を受信したというイベントに応じて、対象のシステムについて、
図4に示した手順で階層毎の状態の導出と、解析処理とを実行してもよいし、定期的に導出しておいたデータを送信してもよい。
【0093】
サーバ装置2により提示されるWebページの具体例を、図を参照して説明する。
図8-
図13は、Webページの具体例を示す図である。
図8は、ログインした保守作業者に対して権限が与えられているシステム又は監視対象装置のリストを示すWeb画面(クライアント装置3の表示部33に表示される画面)330を示す。
図8の例であれば、
図1に示したメガソーラー発電システムSの名称「XY市メガソーラーシステム」、風力発電システムWの名称「WZ発電所システム」、他のシステム「K鉄道システム」、「X工場UPS」、「W工場蓄電システム」等がそれぞれ、リストとして表示されている。
【0094】
図8の画面330には、システム及び監視対象装置それぞれについて、状態を示すアイコン331が含まれている。アイコン331は、システム全体、又は監視対象装置の状態として、「異常」「注意」及び「正常(問題なし)」の3つのいずれかを表している。例えば、「XY市メガソーラーシステム」のアイコン331は「正常」である。「WZ発電所システム」のアイコン331は「異常」を表している。「K鉄道システム」のアイコン331は「注意」を表している。
【0095】
保守作業者は、ログイン操作をしたことにより表示される画面330により、各システム又は監視対象装置について、異常の有無をシステム又は監視対象装置毎に認識できる。
【0096】
図8の画面330では、各システム又は監視対象装置に対応付けて、「MAP」アイコン332が表示されている。「MAP」アイコン332には、対象のシステム又は監視対象装置の詳細を示す画面へのリンク情報が対応付けられている。リンク情報が選択された場合、クライアント装置3の制御部30は、リンク情報を指定してサーバ装置2へ、システム又は監視対象装置の詳細を示すWebページを要求する。
【0097】
図9は、システム又は監視対象装置の「MAP」アイコン332が選択された場合の画面333の例を示す。
図9における画面333は、
図8に示したシステム又は監視対象装置のリストの内の「WZ発電所システム」が、クライアント装置3の操作部34の操作により選択された場合に表示される。
図9の画面333は、「WZ発電所システム」が持つ階層構造の最上位層におけるシステムの構成及び状態を示す。
図9の画面333は、多数の蓄電モジュール群Lの配置を示すレイアウト画像K(線図)を含む。具体的には、レイアウト画像Kは、「WZ発電所システム」を構成する8つの蓄電室全体を、建物の上部から見た様子を表す。
図9におけるレイアウト画像Kの小矩形はそれぞれ、ドメインを構成するバンクを3つ格納する蓄電池盤を表している。
【0098】
図9に示す画面333は、レイアウト画像Kの近傍に、レイアウト画像Kが、蓄電モジュール群Lを上から見た様子を表すことを示すアイコン334を含む。
図9に示すアイコン334は、建物(最上位層)の斜視図を表し、建物の上に下向きの矢印を表している。サーバ装置2の制御部20は、画面333のデータを作成するにあたり、レイアウト画像Kに用いる画像に対応付けられている上面から見た様子を表すことを識別するデータから、画像の向きを示すアイコン334を選択する。アイコン334には、方角を示すアイコンも含まれる。
【0099】
図9に示す画面333は、「WZ発電所システム」の状態を視覚的に表すグラフィックオブジェクト335を含む。グラフィックオブジェクト335は、システムのレイアウト画像Kに重畳されている。グラフィックオブジェクト335は、当該箇所に配置された蓄電素子の状態を示すグラフィックである。グラフィックオブジェクト335が重畳されているシステム全体の状態(異常/注意/正常)に応じて、グラフィックオブジェクト335の色や表示形態を異ならせてもよい。
図9の画面333では、画面333の上部(Aブロック)の右から2番目の蓄電室の範囲に、「異常」状態であることを示すグラフィックオブジェクト335が重畳されている。
【0100】
図9の画面333は、システムに含まれる蓄電素子のSOCを示すグラフィックオブジェクト337を含む。グラフィックオブジェクト337は、複数のモジュール、又は複数のバンク、又は複数のドメインを、1つの評価単位としてその評価単位のSOC(複数のモジュールやバンクの総合的なSOC)を示してもよい。
図9の画面333では、グラフィックオブジェクト337に沿って、評価単位のSOC値が表示されている。SOC値は例えば、複数のモジュールが接続されたバンク単位で算出されるSOC値を基に算出される。SOC値は、例えば平均値として算出される値である。
【0101】
図9の画面333は、各階層における下位層の単位の個別の電圧、電流、温度等の情報を表示の単位を個別に切り替えるための個別情報欄339を含む。個別情報欄339は、電圧、電流、温度、抵抗、容量等の単位を選択するボタンを含む。個別情報欄339で単位を選択すると、個別情報欄339のボタンにおいて、「電圧」、「電流」、及び「温度」のいずれが選択されているかが示される。上述のグラフィックオブジェクト337が、バンク単位の情報を表示している一方で、個別情報欄339で単位を選択すると、
図9のレイアウト画像K上で小矩形により表されている蓄電池盤の単位の電圧、電流、温度のうち、選択されているパラメータの値をテキスト等により表示する。オペレータが個別情報欄339により、「電圧」を選択している場合、オペレータが操作部34にて画面333上で小矩形を選択すると、選択されている小矩形の蓄電池盤の総電圧、又は平均電圧が、小矩形又はその周辺に表示される。
【0102】
図9の画面333のような情報提示により、画面333を視認する保守作業者、膨大な数のモジュールを含む大規模ESSについても、レイアウト画像Kとグラフィックオブジェクト335,337によって全体の状況を把握できる。また、アイコン334により、画面333を視認する保守作業者は、レイアウト画像Kが、システムを上方から見た様子を表すことを認識できる。保守作業者は、画面333内で異常を示している蓄電素子が、建物内のいずれの蓄電室にあるかを容易に認識できる。
【0103】
画面333を記述する画面情報には、レイアウト画像Kにおけるモジュール又はバンク又はドメイン(すなわち、レイアウト画像Kにおける選択対象であり、SOCの評価単位と同じでもよい)が選択された場合に、下位の階層の状態の表示へ遷移するスクリプトが含まれている。
【0104】
画面333には、蓄電システム101の階層を表示する階層メニュー338が含まれていてもよい。
図9において階層メニュー338は、最上位層に対応する「全体」の階層を示す。階層メニュー338における階層は、階層が最上位層から下位層へ遷移する都度、上位層の画面333に戻るためのリンク情報を含む。
【0105】
図10は、他の階層の状態表示に遷移した画面333の一例を示す図である。
図10に示す画面333は、
図9に示したレイアウト画像Kの上で、「異常」の状態を示すグラフィックオブジェクト335が重畳された蓄電室の範囲(例えば、Aブロックの左から3番目の蓄電室に対応する部分)が選択された場合に、表示部33に表示される。
図10の画面333は、左側に、遷移前の上位層の全体のレイアウト画像Kを縮小したものを含み、右側に、選択された蓄電室のレイアウト画像Kを含む。
【0106】
図10の例に示す選択された蓄電室のレイアウト画像Kは、選択された蓄電室に含まれるユニット単位で蓄電モジュール群Lの配置を示す画像である。
図10のレイアウト画像Kは、
図9同様に上面図である。
図10の画面333が含む最小単位に対応する小矩形は、バンクを3つ格納する蓄電池盤を上から見たものに対応する。ユニットは、複数の蓄電池盤を幅方向に並べ、背中合わせにしたものに対応する。
図10の画面333は、レイアウト画像Kの近傍に、レイアウト画像Kが上からの視点で見た様子を表すことを示すアイコン334を含む。
図10に示すアイコン334は、
図9に示したアイコン334と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0107】
図10の画面333では、レイアウト画像Kに示す蓄電室内の北側の左から6番目のユニットに、「異常」の状態を示すグラフィックオブジェクト335が重畳されている。保守作業者は、画面333内で異常を示しているユニットに対応する蓄電素子が、蓄電室内のいずれにあるかを容易に認識できる。
【0108】
図11は、他の階層の状態表示に遷移した画面333の一例を示す図である。
図11は、
図10に示した蓄電室のレイアウト画像Kの上で、「異常」の状態を示すグラフィックオブジェクト335が重畳されたユニットの範囲が選択された場合に、表示部33に表示される。
図11に示す画面333は、左側に遷移前の上位層(蓄電室)の全体のレイアウト画像Kを縮小したものを含み、右側に、選択されたユニットのレイアウト画像Kを含む。
【0109】
図11の例に示す選択されたユニットのレイアウト画像Kは、選択されたユニットに含まれる蓄電池盤の単位で蓄電モジュール群Lの配置を示す画像である。
図11のレイアウト画像Kは、
図9及び
図10同様に上面図である。
図11の画面333が含む最小単位に対応する小矩形は、蓄電池盤を上から見たものに対応する。したがって、
図11のレイアウト画像Kの近傍には、レイアウト画像Kが上からの視点で見た様子を表すことを示すアイコン334を含む。
図11に示すアイコン334は、
図9に示したアイコン334と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0110】
図11の画面333では、レイアウト画像Kに示すユニット内の番号「02」が付されている蓄電池盤、及び「14」が付されている蓄電池盤に、「異常」の状態を示すグラフィックオブジェクト335が重畳されている。保守作業者は、画面333内の異常を示す蓄電池盤がユニットのいずれに位置しているかを、容易に認識できる。
【0111】
図12は、他の階層の状態表示に遷移した画面333の一例を示す図である。
図12は、
図11に示したユニットのレイアウト画像Kの上で、「異常」の状態を示すグラフィックオブジェクト335が重畳された蓄電池盤の範囲が選択された場合に、表示部33に表示される。
図12に示す画面333は、左側に遷移前の上位層(ユニット)の全体のレイアウト画像Kを縮小したものを含み、右側に、選択された蓄電池盤のレイアウト画像Kを含む。
【0112】
図12の例に示す選択された蓄電池盤のレイアウト画像Kは、選択された蓄電池盤の正面から、3つのバンクを含む蓄電池盤を正面からみた際のバンク内の蓄電モジュール群Lの配置を示す画像である。
図12の画面333が含む最小単位に対応する小矩形は蓄電モジュールに対応する。なお、
図12の画面333のレイアウト画像Kは、蓄電モジュールの配置のみならず、3つのバンクそれぞれについてバンク全体としての状態を示す矩形も加えて示されている。
【0113】
図12のレイアウト画像Kの近傍には、レイアウト画像Kが、正面からの視点で見た様子を表すことを示すアイコン334を含む。
図12のアイコン334は、直方体の斜視図を表し、直方体の正面に奥行方向の奥に向かう矢印を表している。サーバ装置2の制御部20は、
図12の階層の画面333のデータを作成するにあたり、レイアウト画像Kに用いる画像に対応付けられている正面から見た様子を示すことを識別するデータから、正面の向きを示すアイコン334を選択する。
【0114】
図12の画面333では、レイアウト画像Kに示す蓄電池盤内の3つ目のバンクの「01」及び「11」が付されている蓄電モジュールに、「異常」の状態を示すグラフィックオブジェクト335が重畳されている。保守作業者は、異常を示す蓄電モジュールが、蓄電池盤内のいずれに位置しているかを、容易に認識できる。
【0115】
図13は、他の階層の状態表示に遷移した画面333の一例を示す図である。
図13は、
図12に示した蓄電池盤のレイアウト画像Kの上で、「異常」の状態を示すグラフィックオブジェクト335が重畳されたモジュールの範囲が選択された場合に、表示部33に表示される。
図13が示す画面333は、左側に遷移前の上位層(蓄電池盤)の全体のレイアウト画像Kを縮小したものを含み、右側に、選択された蓄電モジュールのレイアウト画像Kを含む。
【0116】
図13に例に示す選択された蓄電モジュールのレイアウト画像Kは、棚状の蓄電池盤の奥行き方向に長い直方体状の蓄電モジュールの側面から、蓄電セルの配置を示す画像である。
図13の画面333が含む最小単位に対応する小矩形は、蓄電セルに対応する。したがって、
図13のレイアウト画像Kの近傍には、レイアウト画像Kが側面からの視点で見た様子を表すことを示すアイコン334を含む。
図13のアイコン334は、直方体の斜視図を表し、直方体の側面に幅(左右)方向における右又は左に向かう矢印を表している。サーバ装置2の制御部20は、
図13の階層の画面333のデータを作成するにあたり、レイアウト画像Kに用いる画像に対応付けられている側面図であることを識別するデータから、側面の向きを示すアイコン334を選択する。
【0117】
図13の画面333では、レイアウト画像Kに示す蓄電モジュール内の「16」が付されている末尾の蓄電セルに、「異常」の状態を示すグラフィックオブジェクト335が重畳されている。保守作業者は、異常を示す蓄電セルが、蓄電モジュール内のいずれに位置しているかを、容易に認識できる。
【0118】
図9-13に示したように、画面333に示したレイアウト画像K、グラフィックオブジェクト335、及びアイコン334により、保守作業者は、システム又は監視対象装置内のいずれの部分の状態かを、容易に把握できる。画面333を確認した保守作業者は、システム内のどの装置を確認すべきか、装置内のどの部分を確認すべきかを、事前に把握することができる。保守作業者は、現場に赴いた際に視認できる蓄電素子又は電源関連装置P,U,Dの設置状態と、画面333とを照らし合わせて、いずれの装置のいずれの部分を確認すべきかを容易に把握できる。
【0119】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1 通信デバイス
10 制御部
2 サーバ装置(情報処理装置)
20 制御部
21 記憶部(記憶媒体)
22P データ処理プログラム(コンピュータプログラム)
3 クライアント装置
30 制御部
33 表示部
34 操作部
330,333 画面
334 アイコン(第2グラフィック)
335 グラフィックオブジェクト(第1グラフィック)
3P クライアントプログラム(コンピュータプログラム)