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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151183
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ベルマウス、及びファンユニット
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/66 20060101AFI20231005BHJP
   F04D 29/54 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F04D29/66 N
F04D29/54 G
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060651
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】陳 作舟
(72)【発明者】
【氏名】太田黒 竜佑
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 明楠
(72)【発明者】
【氏名】丸山 要
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC30
3H130BA14A
3H130BA98B
3H130CA04
3H130DD01Z
3H130EA08A
3H130EB02A
(57)【要約】
【課題】ベルマウスの表面で発生する風切り音を好適に低減する。
【解決手段】ベルマウス40は、周壁41における軸流ファン30との離間距離L3が最も小さい箇所に、圧力変動成分透過部50を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁(41)における軸流ファン(30)との離間距離(L3)が最も小さい箇所に、圧力変動成分透過部(50)を有する
ベルマウス。
【請求項2】
前記圧力変動成分透過部(50)は、前記周壁(41)を厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する
請求項1に記載のベルマウス。
【請求項3】
前記圧力変動成分透過部(50)は、前記周壁(41)を厚さ方向に連通する平均気孔径が700μm以下の気孔を有する
請求項1又は2に記載のベルマウス。
【請求項4】
前記圧力変動成分透過部(50)は、前記周壁(41)の周方向に間隔をおいて配置されている
請求項1~3のいずれか一項に記載のベルマウス。
【請求項5】
前記周壁(41)の厚さが1mm以上である
請求項1~4のいずれか一項に記載のベルマウス。
【請求項6】
前記周壁(41)の厚さが10mm以下である
請求項1~5のいずれか一項に記載のベルマウス。
【請求項7】
軸流ファン(30)と、請求項1~6のいずれか一項に記載のベルマウス(40)と、前記軸流ファン(30)及び前記ベルマウス(40)が収容されるケース(20)とを備え、
前記ベルマウス(40)の周壁(41)と前記ケース(20)との間に空気層(S)を有する
ファンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベルマウス、及びファンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
軸流ファンのファンシュラウドに関する技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、ファンシュラウドの全体もしくは一部を、アルミニウム焼結合金もしくは樹脂等の貫通多孔質材で形成することが記載されている。軸流ファンの羽根がファンシュラウドに接近した際に、風圧の急激な変化によって発生する風の衝撃音を貫通多孔質材で吸収することによって、翼ピッチ音であるNZ音を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願平04-68593号(実開平06-25597号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、軸流ファンのベルマウスには、NZ音とは別に、ベルマウスの表面で発生する風切り音を低減することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するベルマウスは、周壁における軸流ファンとの離間距離が最も小さい箇所に、圧力変動成分透過部を有する。
この構成によれば、軸流ファンの周囲を通過する空気に圧力変動が生じた際に、周壁付近の空気が圧力変動成分透過部を透過しやすくなるため、圧力変動を小さくすることができる。これにより、周壁上に発生する表面渦を軽減することができるため、表面渦に起因する風切り音を好適に低減することができる。
【0006】
上記ベルマウスにおいて、前記圧力変動成分透過部は、前記周壁を厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する。
この構成によれば、圧力変動が生じた際に、周壁付近の空気が圧力変動成分透過部を透過することを許容しつつ、過剰の空気が圧力変動成分透過部を透過することが抑制される。これにより、軸流ファンを通過する空気のロスを低減することができる。
【0007】
上記ベルマウスにおいて、前記圧力変動成分透過部は、前記周壁を厚さ方向に連通する平均気孔径が700μm以下の気孔を有する。
この構成によれば、周壁付近の空気が圧力変動成分透過部を透過することを許容しつつ、軸流ファンを通過する空気のロスをより低減することができる。
【0008】
上記ベルマウスにおいて、前記圧力変動成分透過部は、前記周壁の周方向に間隔をおいて配置されている。
この構成によれば、ベルマウスの強度を好適に保持しつつ、圧力変動成分透過部を配置することができる。
【0009】
上記ベルマウスにおいて、前記周壁の厚さが1mm以上である。
この構成によれば、圧力変動成分透過部を透過する空気の流路長を確保することができるため、周壁付近の空気を透過させる機能と、過剰の空気の透過を抑制する機能とを両立させやすくなる。
【0010】
上記ベルマウスにおいて、前記周壁の厚さが10mm以下である。
この構成によれば、周壁の厚さが相対的に薄くなるため、コストを低減することができる。
【0011】
上記課題を解決するファンユニットは、軸流ファンと、前記ベルマウスと、前記軸流ファン及び前記ベルマウスが収容されるケースとを備え、前記ベルマウスの周壁と前記ケースとの間に空気層を有する。
【0012】
この構成によれば、圧力変動成分透過部を透過した空気を空気層に逃がすことができる。これにより、圧力変動成分透過部において圧力変動を小さくすることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ファンユニットの内部の部分断面図である。
図2】ベルマウスの斜視図である。
図3】実施例1の特性と比較例1の特性を比較した結果を示す模式図である。
図4】実施例1の特性と比較例1の特性を比較した結果を示す模式図である。
図5】変更例のベルマウスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<ファンユニット>
図1を参照して、ファンユニット10を説明する。
図1に示されるように、ファンユニット10は、ケース20と、軸流ファン30と、ベルマウス40とを備える。ケース20は、矩形板状の底壁21と、底壁21の各辺から底壁21の厚さ方向に延びる側壁22とを有する。ケース20は、側壁22における底壁21側とは反対側の端部に天壁23を有する。天壁23は、円形の開口部23aを有する。天壁23の開口部23aに、網状の吹き出しグリル24が取り付けられている。底壁21に軸流ファンモータ25が取り付けられている。
【0015】
軸流ファン30とベルマウス40は、ケース20に収容されている。
軸流ファン30は、回転軸部31と、回転軸部31に接続された3枚の羽根32とを有する。軸流ファン30は、回転軸部31が軸流ファンモータ25に接続された状態でケース20に収容されている。
【0016】
ベルマウス40は、天壁23における開口部23aの周縁に取り付けられた状態でケースに収容されている。
図1に示すように、ファンユニット10は、ケース20に設けられた吸い込み口(図示省略)から導入された空気を、軸流ファン30の羽根32の回転によって、開口部23aから吹き出すように構成されている。ケース20の開口部23aは、吹き出し口ともいう。
【0017】
ファンユニット10は、送風装置として用いられる。具体的には、オフィス等の室内空間の冷房や暖房を行う空気調和装置の室外機として用いられる。
<ベルマウス>
図1、2を参照して、ベルマウス40を説明する。
【0018】
ベルマウス40は、平面視で円環状に繋がった周壁41を有している。周壁41は、吹出部41aと、円筒部41bと、吸込部41cとを有する。
図2に示すように、吹出部41aは、ベルマウス40の軸心Dに沿う方向における一方側の端部に位置する。吹出部41aは、ベルマウス40の軸心Dに沿う方向における他方側の端部に向かうにつれて、内径が小さくなるように湾曲している。
【0019】
円筒部41bは、吹出部41aの他方側の端部から連続してベルマウス40の他方側に向かって延びている。円筒部41bの内径は一定になっている。円筒部41bの軸心は、ベルマウス40の軸心Dと同一になっている。
【0020】
吸込部41cは、円筒部41bの他方側の端部から連続して延びている。吸込部41cは、円筒部41bの他方側の端部からベルマウス40の他方側に向かうにつれて、内径が大きくなるように湾曲している。
【0021】
周壁41の厚さは特に制限されないが、例えば厚さが1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。また、10mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。
【0022】
周壁41の材質は特に制限されず、公知のベルマウス40の材質を採用することができる。公知のベルマウス40の材質としては、例えば樹脂、セラミックス、金属等が挙げられる。これらの中でも、樹脂製であると強度を保持しつつ軽量化できるため好ましい。
【0023】
図1、2に示すように、ベルマウス40の周壁41は、周方向に沿って所定の間隔をおいて、4つの圧力変動成分透過部50を有する。図1では、便宜上、圧力変動成分透過部50の断面をドット表示にしている。圧力変動成分透過部50の詳細については後述する。
【0024】
図1に示すように、ベルマウス40がケース20に収容された状態で、ベルマウス40の吸込部41cとケース20の底壁21との間に、ベルマウス40の軸心Dに沿って所定の間隔L1を有している。
【0025】
図1に示すように、軸心Dに直交する方向におけるベルマウス40の外周側は、ケース20との間に所定の間隔を有している。言い換えれば、ファンユニット10は、ベルマウス40の外周側とケース20の側壁22との間に空間を有している。この空間は、空気層Sとして機能する。空気層Sの大きさは特に制限されないが、ケース20の側壁22から周壁41までの最大距離L2が、1cm以上であることが好ましく、3cm以上であることがより好ましい。なお、図1において、ケース20の側壁22から周壁41までの最大距離L2は、ケース20の側壁22からベルマウス40の円筒部41bまでの距離を意味する。
【0026】
<圧力変動成分透過部>
図2を参照して、圧力変動成分透過部50を説明する。
圧力変動成分透過部50は、ベルマウス40の周壁41において、周方向に沿って所定の間隔をおいて4つ設けられている。各圧力変動成分透過部50は等間隔となっている。圧力変動成分透過部50は、周壁41の円筒部41bに設けられているとともに、吹出部41aの一部と、吸込部41cの一部とに跨って設けられている。
【0027】
圧力変動成分透過部50は、周壁41の円筒部41b、吹出部41a、及び吸込部41cの表面に沿って面一になっている。圧力変動成分透過部50の厚さは、周壁41の圧力変動成分透過部50以外の箇所の厚さと略同じ厚さになっている。
【0028】
圧力変動成分透過部50は、多孔質体で構成されている。多孔質体は、周壁41を厚さ方向に貫通している。多孔質体は、外部に連通した開気孔を有している。この開気孔は、周壁41を厚さ方向に連通した気孔となっている。開気孔の平均気孔径は、特に制限されないが、1000μm以下であることが好ましく、700μm以下であることがより好ましい。
【0029】
平均気孔径の測定方法は特に制限されないが、例えばBET法ともいうガス吸着法によって測定することができる。
圧力変動成分透過部50の材質は特に制限されず、公知の多孔質体の材質を採用することができる。公知の多孔質体の材質としては、例えば樹脂、セラミックス、金属等が挙げられる。樹脂としては、発泡樹脂を採用することができる。セラミックスや金属としては、多孔質焼結体を挙げることができる。また、金属としては、メッシュともいう網状体を採用することもできる。これらの中でも、多孔質焼結体であると平均気孔径を制御しやすいため好ましい。
【0030】
図1に示すように、ベルマウス40の周壁41は、円筒部41bにおいて軸流ファン30との離間距離L3が最も小さくなっている。なお、軸流ファン30との離間距離L3とは、軸流ファン30の軸線方向に直交する方向において、軸流ファン30の羽根32と、ベルマウス40の周壁41との離間距離を意味するものとする。ベルマウス40の円筒部41bに圧力変動成分透過部50が設けられていることによって、圧力変動成分透過部50は、周壁41における軸流ファン30との離間距離L3が最も小さい箇所に設けられた状態となる。なお、図1において、軸流ファン30の軸線方向は、ベルマウス40の軸心Dの延びる方向に沿っている。
【0031】
ベルマウス40の周壁41に圧力変動成分透過部50を設ける方法は特に制限されない。例えば、所定の形状を有する圧力変動成分透過部50を作製する。また、圧力変動成分透過部50を嵌合させるための開口を周壁41に設けたベルマウス40を作製する。そして、このベルマウス40の周壁41の開口に、圧力変動成分透過部50を嵌合させることによって、ベルマウス40の周壁41に圧力変動成分透過部50を設けることができる。さらに公知の接着剤を用いて、圧力変動成分透過部50をベルマウス40の周壁41に接合してもよい。
【0032】
図3は、実施形態である実施例1の特性と比較例1の特性を比較した結果を説明する模式図である。比較例1は、圧力変動成分透過部50を有していないベルマウスである。実施例1のベルマウス40は、図2に示す圧力変動成分透過部50を有する。圧力変動成分透過部50は平均気孔径が100μmの多孔質焼結体である。
【0033】
図3では、ベルマウス表面の風量に対する、送風音の大きさを示している。図3より、実施例1のベルマウス40では、測定した全ての風量域において、送風音を低減できることが確認された。
【0034】
図4は、実施例1の特性と比較例1の特性を比較例した結果を説明する模式図である。
図4では、周波数に対する送風音の大きさを示している。図4において、音圧レベルのピークの箇所は、NZ音に起因しており、ピーク以外の箇所は、ベルマウス表面の風切り音に起因している。
【0035】
図4より、実施例1のベルマウス40は、比較例1と比較して全周波数領域において音圧レベルを低減できることが確認された。また、NZ音に起因するピークの高さは、比較例1のベルマウスと実施例1のベルマウス40とで大きな変化は無かった。そのため、実施例1のベルマウス40では、NZ音の低減効果は小さいものの、ベルマウス40表面の風切り音は好適に低減できることが確認された。
【0036】
<作用及び効果>
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態のベルマウス40は、周壁41における軸流ファン30との離間距離L3が最も小さい箇所に圧力変動成分透過部50を有する。軸流ファン30の周囲を通過する空気に圧力変動が生じた際に、圧力変動成分透過部50を空気が通過しやすくなる。言い換えれば、圧力変動が生じた空気を圧力変動成分透過部50を通して迅速に逃がすことができる。これにより、周壁41付近の圧力変動を小さくすることができるため、周壁41上に発生する表面渦を軽減することができる。
【0037】
また、本実施形態のファンユニット10は、ベルマウス40の外周側とケース20の側壁22との間に空気層Sを有している。圧力変動成分透過部50を通過した空気が、空気層Sへと抜けやすくなるため、ベルマウス40の周壁41上に発生する表面渦をより効率良く軽減することができる。
【0038】
本実施形態の効果を説明する。
(1)ベルマウス40は、周壁41における軸流ファン30との離間距離L3が最も小さい箇所に、圧力変動成分透過部50を有する。
【0039】
この構成によれば、軸流ファン30の周囲を通過する空気に圧力変動が生じた際に、周壁41付近の空気が圧力変動成分透過部50を透過しやすくなるため、圧力変動を小さくすることができる。これにより、周壁41上に発生する表面渦を軽減することができるため、表面渦に起因する風切り音を好適に低減することができる。
【0040】
(2)圧力変動成分透過部50は、周壁41を厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する。
この構成によれば、圧力変動が生じた際に、周壁41付近の空気が圧力変動成分透過部50を透過することを許容しつつ、過剰の空気が圧力変動成分透過部50を透過することが抑制される。これにより、軸流ファン30を通過して吹き出し口から噴き出される空気のロスを低減することができる。
【0041】
(3)圧力変動成分透過部50は、周壁41を厚さ方向に連通する平均気孔径が700μm以下の気孔を有する。
この構成によれば、周壁41付近の空気が圧力変動成分透過部50を透過することを許容しつつ、軸流ファン30を通過して吹き出し口から噴き出される空気のロスをより低減することができる。
【0042】
(4)圧力変動成分透過部50は、周壁41の周方向に間隔をおいて配置されている。
この構成によれば、ベルマウス40の強度を好適に保持しつつ、圧力変動成分透過部50を配置することができる。
【0043】
(5)周壁41の厚さが1mm以上である。
この構成によれば、圧力変動成分透過部50を透過する空気の流路長を確保することができるため、周壁41付近の空気を透過させる機能と、過剰の空気の透過を抑制する機能とを両立させやすくなる。
【0044】
(6)周壁41の厚さが10mm以下である。
この構成によれば、周壁41の厚さが相対的に薄くなるため、ベルマウス40を作製する際のコストを低減することができる。先行技術のファンシュラウドでは、風の衝撃音を貫通多孔質材で吸収することによってNZ音を低減しているため、周壁の厚さを厚くする必要がある。これに対し、本実施形態のベルマウス40は、圧力変動が生じた空気を、圧力変動成分透過部50を通して逃がしているため、周壁の厚さを薄くすることができる。
【0045】
(7)ファンユニット10は、軸流ファン30と、上記のベルマウス40と、軸流ファン30及びベルマウス40が収容されるケース20とを備え、ベルマウス40の周壁41とケース20との間に空気層Sを有する。
【0046】
この構成によれば、圧力変動成分透過部50を透過した空気を空気層Sに逃がすことができる。これにより、圧力変動成分透過部50において圧力変動を小さくすることが容易になる。
【0047】
<変形例>
本開示のベルマウス40、及びファンユニット10は、上記各実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0048】
・本実施形態において、圧力変動成分透過部50は、ベルマウス40の周壁41において、周方向に沿って等間隔で4つ設けられていたが、この態様に限定されない。圧力変動成分透過部50の数は、3以下であってもよいし、5以上であってもよい。各圧力変動成分透過部50の間隔はランダムであってもよい。
【0049】
図5に示すように、圧力変動成分透過部50は、ベルマウス40の周壁41に全周に亘って設けられていてもよい。また、ベルマウス40の周壁41全体が、圧力変動成分透過部50で構成されていてもよい。
【0050】
・本実施形態において、圧力変動成分透過部50は、周壁41の円筒部41bに設けられているとともに、吹出部41aの一部と、吸込部41cの一部とに跨って設けられていたが、この態様に限定されない。圧力変動成分透過部50は、周壁41の円筒部41bのみに設けられていてもよい。
【0051】
・本実施形態において、ベルマウス40の周壁41は、吹出部41aと、円筒部41bと、吸込部41cとを有していたが、この態様に限定されない。ベルマウス40の周壁41は、円筒部41bを有していなくてもよい。ベルマウス40の周壁41が、吹出部41aと吸込部41cとが連続した状態で構成されていてもよい。
【0052】
・本実施形態において、圧力変動成分透過部50を構成する多孔質体は、発泡樹脂や、多孔質焼結体に限定されない。圧力変動成分透過部50は、一方向に沿った多数の貫通孔を有する多孔質体であってもよい。例えば、樹脂製の中実体に対して、一方向から針状部材を複数回挿入することによって、一方向に沿った多数の貫通孔を有する多孔質体を作製することができる。
【0053】
・以上、ベルマウス40、及びファンユニット10の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載されたベルマウス40、及びファンユニット10の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0054】
10…ファンユニット
20…ケース
21…底壁
22…側壁
23…天壁
23a…開口部
24…グリル
25…軸流ファンモータ
30…軸流ファン
31…回転軸部
32…羽根
40…ベルマウス
41…周壁
41a…吹出部
41b…内筒部
41c…吸込部
50…圧力変動成分透過部
L1…間隔
L2…最大距離
L3…離間距離
D…軸心
S…空気層
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁(41)を有するベルマウス(40)であって、
前記周壁(41)は、円筒部(41b)と、前記ベルマウス(40)の軸心に沿う方向において前記円筒部(41b)の一方側の端部に位置する吹出部(41a)と、前記ベルマウス(40)の前記軸心に沿う方向において前記円筒部(41b)の他方側の端部に位置する吸込部(41c)と、を備え、
前記吹出部(41a)は、前記吹出部(41a)の端縁から前記軸心に沿う方向における他方側の端部に向かうにつれて、内径が小さくなるように湾曲し、
前記吸込部(41c)は、前記円筒部(41b)の他方側の端部から前記ベルマウス(40)の他方側の端縁に向かうにつれて、内径が大きくなるように湾曲し、
前記周壁(41)は、圧力変動成分透過部(50)を有し、
前記圧力変動成分透過部(50)は、前記周壁(41)における軸流ファン(30)との離間距離(L3)が最も小さい箇所として、前記円筒部(41b)に設けられる、
ベルマウス。
【請求項2】
前記圧力変動成分透過部(50)は、前記周壁(41)における軸流ファン(30)との離間距離(L3)が最も小さい箇所として前記円筒部(41b)に設けられるとともに、前記円筒部(41b)と前記吹出部(41a)の一部とに跨るように設けられる、
請求項1に記載のベルマウス。
【請求項3】
前記圧力変動成分透過部(50)は、前記周壁(41)における軸流ファン(30)との離間距離(L3)が最も小さい箇所として前記円筒部(41b)に設けられるとともに、前記円筒部(41b)と前記吸込部(41c)の一部に跨るように設けられる、
請求項1または2に記載のベルマウス。
【請求項4】
前記圧力変動成分透過部(50)は、前記周壁(41)を厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する
請求項1~3のいずれか一項に記載のベルマウス。
【請求項5】
前記圧力変動成分透過部(50)は、前記周壁(41)を厚さ方向に連通する平均気孔径が700μm以下の気孔を有する
請求項1~4のいずれか一項に記載のベルマウス。
【請求項6】
前記圧力変動成分透過部(50)は、前記周壁(41)の周方向に間隔をおいて配置されている
請求項1~5のいずれか一項に記載のベルマウス。
【請求項7】
前記周壁(41)の厚さが1mm以上である
請求項1~6のいずれか一項に記載のベルマウス。
【請求項8】
前記周壁(41)の厚さが10mm以下である
請求項1~7のいずれか一項に記載のベルマウス。
【請求項9】
軸流ファン(30)と、請求項1~8のいずれか一項に記載のベルマウス(40)と、前記軸流ファン(30)及び前記ベルマウス(40)が収容されるケース(20)とを備え、
前記ベルマウス(40)の周壁(41)と前記ケース(20)との間に空気層(S)を有する
ファンユニット。