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特開2023-151191繰出容器、および繰出容器用カートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151191
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】繰出容器、および繰出容器用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A45D40/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060666
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】本間 友梨
(57)【要約】
【課題】カートリッジを付け替えることができる繰出容器、および繰出容器用カートリッジを提供する。
【解決手段】ベース2は、径方向に弾性変形可能な嵌合爪211dが形成された回転体21、および第1ねじ部221gが形成され回転体21を回転可能に保持するベース本体22を有し、カートリッジ3は、棒状内容物を保持し嵌合爪211dが嵌合する第2ねじ部312aが形成された中皿付き軸31、および中皿付き軸31を進退可能に収容し第1ねじ部221gに螺合する第3ねじ部323aが形成されたカートリッジ本体32を有し、ベース本体22の第1ねじ部221gとカートリッジ本体32の第3ねじ部323aが螺合することによりカートリッジ3がベース2に着脱可能に取り付けられ、嵌合爪211dと第2ねじ部312aが嵌合することにより回転体21の回転動作に連動して中皿付き軸31が進退動作を行うことが可能である繰出容器1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状内容物を収容するカートリッジと、前記カートリッジを着脱可能に保持するベースとを備える繰出容器であって、
前記ベースは、径方向に弾性変形可能な嵌合爪が形成された回転体、および第1ねじ部が形成され前記回転体を回転可能に保持するベース本体を有し、
前記カートリッジは、棒状内容物を保持する中皿と前記中皿に連続して形成され前記嵌合爪が嵌合する第2ねじ部が形成された軸部とを有する中皿付き軸、および前記中皿付き軸を進退可能に収容し前記第1ねじ部に螺合する第3ねじ部が形成されたカートリッジ本体を有し、
前記ベース本体の前記第1ねじ部と前記カートリッジ本体の前記第3ねじ部が螺合することにより、前記カートリッジが前記ベースに着脱可能に取り付けられ、
前記回転体の前記嵌合爪と前記中皿付き軸の前記第2ねじ部が嵌合することにより、前記回転体の回転動作に連動して前記中皿付き軸が進退動作を行うことが可能である、繰出容器。
【請求項2】
前記カートリッジ本体の内周面に周方向に沿い立設された規制突条部が設けられ、
前記カートリッジが前記ベースに取り付けられた状態において、前記規制突条部は前記回転体の前記嵌合爪に当接して前記嵌合爪の径方向への変形を規制する請求項1に記載の繰出容器。
【請求項3】
前記カートリッジ本体は、前記中皿をスライド可能に収容する大径部と、前記大径部よりも小さな内径を有する小径部と、を有して形成され、
前記カートリッジ本体を前記ベース本体に挿入する際前記小径部が前記ベース本体の内周面にガイドされることで、前記カートリッジの前記軸部が前記回転体内に挿入される請求項1または2に記載の繰出容器。
【請求項4】
前記カートリッジ本体の前記大径部と前記小径部との間に段部が形成され、前記段部に第1位置合わせ用構造体が形成され、
前記ベース本体に前記ベースに前記カートリッジを取り付けた状態において前記段部に対向する位置に前記第1位置合わせ用構造体と係止する第2位置合わせ用構造体が形成され、
前記カートリッジを前記ベースに完全に取り付けた状態において、前記第1位置合わせ用構造体と前記第2位置合わせ用構造体とが係止した状態になる請求項3に記載の繰出容器。
【請求項5】
前記第1位置合わせ用構造体と前記第2位置合わせ用構造体は、一方が位置合わせ用溝部で他方が突条状の位置合わせ用リブであるか、または双方が前記位置合わせ用リブである請求項4に記載の繰出容器。
【請求項6】
棒状内容物を収容し、回転体を備えるベースに装着された状態で前記回転体を回転させると棒状内容物が繰り出される繰出容器用カートリッジであって、
棒状内容物を保持する中皿、および前記中皿に連続して設けられ第2ねじ部が形成された軸部を有する中皿付き軸と、
前記中皿付き軸を進退可能に収容し第3ねじ部が形成されたカートリッジ本体と、
を備える繰出容器用カートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状内容物を繰り出すことができる繰出容器、および繰出容器用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
口紅やリップクリーム、或いはスティックタイプの糊のような棒状内容物を収容する容器として、全体として円柱状であって、有底筒状の袴部材を有する操作部と、袴部材の軸線に沿って操作部から突出するスリーブと、内容物を保持してスリーブの内側に設けられる保持部材とを備え、スリーブに対して操作部を回転させると保持部材が前進し、スリーブの繰出口から内容物が繰り出される繰出容器が既知である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また近年は、化粧品等を棒状内容物として収容した大型の繰出容器も使用されている(例えば特許文献2参照)。特許文献2の繰出容器は、ベース(ケース本体)に回転体が設けられていて、この回転体を回転させると、ベースに収容した棒状内容物をベースの開口から繰り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-248076号公報
【特許文献2】意匠登録第1568492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献2の繰出容器は、収容した棒状内容物を使い切った後はそのまま廃棄される。このため、省資源化や環境への負荷削減の観点から、ベース等の一部の部材を再利用可能であって、使い切った棒状内容物を含む使用済みのカートリッジを新たなカートリッジに付け替えることができる繰出容器が求められている。
【0006】
このような従来の問題点に鑑み、本発明は、使用済みのカートリッジを新たなカートリッジに付け替えることができる繰出容器、および繰出容器用カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、棒状内容物を収容するカートリッジと、前記カートリッジを着脱可能に保持するベースとを備える繰出容器であって、前記ベースは、径方向に弾性変形可能な嵌合爪が形成された回転体、および第1ねじ部が形成され前記回転体を回転可能に保持するベース本体を有し、前記カートリッジは、棒状内容物を保持する中皿と前記中皿に連続して形成され前記嵌合爪が嵌合する第2ねじ部が形成された軸部とを有する中皿付き軸、および前記中皿付き軸を進退可能に収容し前記第1ねじ部に螺合する第3ねじ部が形成されたカートリッジ本体を有し、前記ベース本体の前記第1ねじ部と前記カートリッジ本体の前記第3ねじ部が螺合することにより、前記カートリッジが前記ベースに着脱可能に取り付けられ、前記回転体の前記嵌合爪と前記中皿付き軸の前記第2ねじ部が嵌合することにより、前記回転体の回転動作に連動して前記中皿付き軸が進退動作を行うことが可能であることを特徴とする。
【0008】
上記繰出容器について、前記カートリッジ本体の内周面に周方向に沿い立設された規制突条部が設けられ、前記カートリッジが前記ベースに取り付けられた状態において、前記規制突条部は前記回転体の前記嵌合爪に当接して前記嵌合爪の径方向への変形を規制することが好ましい。
【0009】
また、上記繰出容器について、前記カートリッジ本体は、前記中皿をスライド可能に収容する大径部と、前記大径部よりも小さな内径を有する小径部と、を有して形成され、
前記カートリッジ本体を前記ベース本体に挿入する際前記小径部が前記ベース本体の内周面にガイドされることで、前記カートリッジの前記軸部が前記回転体内に挿入されることが好ましい。
【0010】
また、上記繰出容器について、前記カートリッジ本体の前記大径部と前記小径部との間に段部が形成され、前記段部に第1位置合わせ用構造体が形成され、前記ベース本体に前記ベースに前記カートリッジを取り付けた状態において前記段部に対向する位置に前記第1位置合わせ用構造体と係止する第2位置合わせ用構造体が形成され、前記カートリッジを前記ベースに完全に取り付けた状態において、前記第1位置合わせ用構造体と前記第2位置合わせ用構造体とが係止した状態になることが好ましい。
【0011】
また、上記繰出容器について、前記第1位置合わせ用構造体と前記第2位置合わせ用構造体は、一方が位置合わせ用溝部で他方が突条状の位置合わせ用リブであるか、または双方が前記位置合わせ用リブであることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、棒状内容物を収容し、回転体を備えるベースに装着された状態で前記回転体を回転させると棒状内容物が繰り出される繰出容器用カートリッジであって、棒状内容物を保持する中皿、および前記中皿に連続して設けられ第2ねじ部が形成された軸部を有する中皿付き軸と、前記中皿付き軸を進退可能に収容し第3ねじ部が形成されたカートリッジ本体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の繰出容器によれば、カートリッジをベースに装着した状態で回転体を回転させると、中皿付き軸が連動して進退動作を行うため、中皿に保持された棒状内容物をカートリッジ本体から繰り出したり繰り入れたりすることができる。また、ベース本体に対してカートリッジ本体が着脱可能に保持されているため、棒状内容物を使い切った後は、ベース本体とカートリッジ本体を分離させつつベースに装着したカートリッジを取り外すことができ、また逆の手順で新たなカートリッジを元のベースに装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る繰出容器の正面部分断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る繰出容器の側面部分断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る繰出容器に用いられている回転体を示す(a)は上面図、(b)は正面断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る繰出容器のベースを示す上面図である。
図5】本発明の実施形態に係る繰出容器に用いられるカートリッジを示す正面部分断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る繰出容器について蓋体を取り外し中皿付き軸を繰り出した状態を示す正面部分断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る繰出容器についてカートリッジを取り外す様子を示す正面部分断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る繰出容器においてベースにカートリッジを取り付ける様子を示す正面部分断面図である。
図9】本発明の実施形態に係る繰出容器においてベースにカートリッジを取り付ける際にベースの回転体に設けられている嵌合爪が径方向に弾性変形してカートリッジの第2ねじ部を乗り越える様子を示す正面部分断面図である。
図10】本発明の実施形態に係る繰出容器においてベースにカートリッジが完全に取り付けられた状態を示す正面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に従う繰出容器の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る繰出容器1の正面部分断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る繰出容器1の側面部分断面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る繰出容器1は、棒状内容物を収容するカートリッジ3と、カートリッジ3を着脱可能に保持するベース2と、ベース2に着脱可能に取り付けられてカートリッジ3を覆うキャップ4を備えて構成されている。
【0017】
ベース2は、径方向に弾性変形可能な嵌合爪211dが形成された回転体21、および第1ねじ部221gが形成され回転体21を回転可能に保持するベース本体22を有している。
【0018】
図3は、本発明の実施形態に係る繰出容器1に用いられている回転体21を示す(a)は上面図、(b)は正面断面図である。図3に示すように、回転体21は、円環状の底部211aと、底部211aの内周縁から立設される円柱状の構造体から立ち上がる嵌合爪211dと、底部211aの外周縁から立設される外周壁211cとを備えて形成されている。
【0019】
底部211aの上面(図3の紙面上方)には、径方向内側に嵌合爪211dが、径方向外側には外周壁211cが立設されている。また、底部211aの下面(図3の紙面下方)には、周方向に沿い連続して立設する環状突条部211bが形成されている。この環状突条部211bが形成されていることにより、回転体21の底部211aとベース本体22の底蓋222との接触面積が低下し、これにより回転体21の回転時の摩擦抵抗が低減され、回転体21の回転をスムーズに行うことが可能になる。
【0020】
嵌合爪211dは、底部211aの上面の内周縁から起立する円筒状の構造の上端部から立ち上がる2本の腕状の構造である。それぞれの嵌合爪211dの先端には、径方向内側に向かって突出する嵌合突起211eが形成されている。この嵌合爪211dは、径方向に弾性変形可能になっている。
【0021】
外周壁211cは、底部211aの上面の外周縁から起立する円筒状の構造である。外周壁211cの外周面には、軸方向に沿い山部211gと谷部211hが交互に繰り返して設けられた操作部211kが形成されている。
【0022】
図4は、本発明の実施形態に係る繰出容器1のベース2を示す上面図である。図4に示すように、ベース本体22は、平面視で楕円形状に形成されている。ベース本体22は、図1に示すように、筒状の枠体部221と、枠体部221の下方(図1および図2の紙面下方)に形成された開口部分に取り付けられる底蓋222とを備えて形成されている。
【0023】
枠体部221は、平面視が楕円形状である筒状の周壁221aと、周壁221aに形成された窓部221bと、周壁221aの上部を内向きに屈曲して形成された上面が平面になっている平面視で楕円環状のフランジ部221dと、フランジ部221dの内周縁部から下垂して形成された平面視が円環状の内壁部221fと、内壁部221fの内周面上に形成された第1ねじ部221gを備えて形成されている。ベース本体22の内部に収容されている回転体21は、窓部221bから外部に露出していて、使用者はこの露出部分を指で触れて回転することで、回転体21を回転し、中皿311とこれに収容されている棒状内容物の進退動作を行うことができる。
【0024】
また、枠体部221の下端部分は肉薄になっていて、外周側には周方向に沿い突出する突条状の係止凸部221jが形成されている。そして枠体部221の上部に設けた内壁部221fの内側には、図4に示すように平面視が円形状の開口部221mが形成されている。
【0025】
図1および図4に示すように、ベース本体22のフランジ部221dの上面には、カートリッジ3の装着時にベース2とカートリッジ3の位置合わせ用の構造体として、位置合わせ用リブ221kが長手方向の対向する2ヵ所に形成されている。
【0026】
底蓋222は、有底楕円筒状の構成であり、平面視が楕円形状の底部222aと、底部222aの周縁部から立設される平面視が楕円環状の周壁部222bを備えて構成されている。周壁部222bの内周側には、周方向に沿い係止溝部222cが形成されている。枠体部221の下端に設けられた薄肉部分が底蓋222内に挿入され、この係止溝部222c内に枠体部221の係止凸部221jが係止することで、枠体部221と係止凸部221jの係合状態を保持することができる。
【0027】
図5は、本発明の実施形態に係る繰出容器1に用いられるカートリッジ3を示す正面部分断面図である。カートリッジ3は、ベース2に着脱可能に取り付けられるものであり、図1図2および図5に示すように、棒状内容物を保持する中皿311と中皿311に連続して形成された軸部312とを有する中皿付き軸31、および中皿付き軸31を進退可能に収容するカートリッジ本体32を有して構成されている。また、カートリッジ本体32の上部(図5の紙面上方)に形成された開口部分には、カートリッジ3の未使用状態においてフィルムFが貼り付けられていて、内部に収容されている棒状内容物と外気との接触を抑制している。
【0028】
中皿311は、有底の平面視が楕円形状の皿体であり、この中皿311に棒状内容物が収容される。図1に示すように、中皿311の周壁311aの外周には、軸方向に沿い突条状のガイドリブ311bが形成されている。なお、中皿311に収容される棒状内容物の形状は中皿311に対応するものであり、本実施形態においては平面視が楕円形状の棒状内容物が収容される。
【0029】
軸部312は、ベース2の開口部221m(図4参照)に挿入可能な円筒状の構成であり、その外周面にはベース2の回転体21に形成された嵌合爪211dの嵌合突起211eが嵌合する第2ねじ部312aが形成されている。また、軸部312の外周面の下端部には、係止凸部312bが形成されている。
【0030】
カートリッジ本体32は、中皿311をスライド可能に収容する大径部322と、大径部よりも小さな内径を有する小径部323と、を有して形成されている。
【0031】
大径部322は、平面視が楕円形状の筒状の構成であり、内周に軸方向に沿いガイド溝322aが形成されていて、このガイド溝322a内に中皿311のガイドリブ311bが挿入されることで、大径部322内において中皿311が回転方向の動作を規制されつつ軸方向に沿う進退動作を行うことが可能になる。
【0032】
小径部323は、軸部312を収容する平面視で円形状の筒状の構成であり、平面視が円環状になる段部321を介して大径部322に連続して形成されている。カートリッジ本体32をベース本体22に挿入する際、小径部323がベース本体22の内周面にガイドされることで、カートリッジ3の軸部312が回転体21内に挿入される。
【0033】
小径部323の内周面には、周方向に沿い規制突条部324が設けられている。カートリッジ3がベース2に取り付けられた状態において、規制突条部324は回転体21の嵌合爪211dに当接して嵌合爪211dの径方向への変形を規制する。
【0034】
小径部323の外周面には、ベース2の第1ねじ部221gに螺合する第3ねじ部323aが形成されている。
【0035】
段部321の下面には、カートリッジ3の装着時にベース2とカートリッジ3の位置合わせ用の構造体として、位置合わせ用溝321aが長手方向の対向する2ヵ所に形成されている。この位置合わせ用溝321aは、ベース2の位置合わせ用リブ221kが係止可能な形状を有している。カートリッジ3をベース2に完全に取り付けた状態において、位置合わせ用溝321aと位置合わせ用リブ221kとが係止した状態になる。このような位置合わせ用溝321aと位置合わせ用リブ221kを備えることにより、ベース2へのカートリッジ3の着脱時に互いの位置決めに供するとともに、着脱操作時にクリック感を生じ、使用者にカートリッジ3の装着完了と、装着解除を認識させることが可能になる、
【0036】
次に、上述した構成を備える繰出容器1のカートリッジ3を交換する手順について説明する。
【0037】
図6は、本発明の実施形態に係る繰出容器について蓋体を取り外し中皿付き軸を繰り出した状態を示す正面部分断面図である。図6に示すように、カートリッジ3に収容されている棒状内容物(不図示)を使い切った状態において、中皿311は最大限に繰り出された状態になっている。この状態では、回転体21の嵌合爪211dの先端部分に形成された嵌合突起211eは、第2ねじ部312aよりも下側であって、係止凸部312bよりも上側の位置にある。また、嵌合爪211dは規制突条部324により径方向外側への弾性変形が規制された状態になっている。そして、図6に示す状態からさらに回転体21を中皿311を繰り出す方向に回転させようとしても、係止凸部312bが嵌合突起211eに係止した状態が保たれるため、中皿付き軸31がさらに突出してカートリッジ本体32から脱離することを防止することができる。
【0038】
次に、ベース2から使用済みのカートリッジ3が取り外される。図7は、本発明の実施形態に係る繰出容器についてカートリッジを取り外す様子を示す正面部分断面図である。図6に示す状態においてカートリッジ3を回転させてカートリッジ3の第3ねじ部323aとベース2の第1ねじ部221gとの螺合を解除すると、ベース2に対してカートリッジ3が上方(図7の紙面上方)に移動し、これに伴い規制突条部324による嵌合爪211dの規制が解除されることで、嵌合爪211dは径方向外側に弾性変形することが可能になる。これにより係止凸部312bは嵌合突起211eを乗り越えることができ、回転体21から中皿付き軸31を取り外すことができる。なお、このカートリッジ3を回転させてカートリッジ3とベース2との螺合を解除する際には、上述したように位置合わせ用溝321aと位置合わせ用リブ221kとの係止が解除されることによりクリック感が生じ、使用者に螺合が解除されたことを知らせることができる。
【0039】
次に、使用済みのカートリッジ3が取り外されたベース2に、新しいカートリッジ3が取り付けられる。図8は、本発明の実施形態に係る繰出容器1においてベース2にカートリッジ3を取り付ける様子を示す正面部分断面図である。図8に示すように、ベース2にカートリッジ3を挿入する際には、カートリッジ3の小径部323がベース本体22の内壁部221fにガイドされつつ、カートリッジ3の軸部312が回転体21の嵌合爪211d内に挿入される。
【0040】
図9は、本発明の実施形態に係る繰出容器1においてベース2にカートリッジ3を取り付ける際にベース2の回転体21に設けられている嵌合爪211dが径方向に弾性変形してカートリッジ3の第2ねじ部312aを乗り越える様子を示す正面部分断面図である。図8に示す状態からさらに図9に示す状態にカートリッジ3を挿入すると、カートリッジ3の係止凸部312bと回転体21の嵌合爪211dが当接する。この際、嵌合爪211dは径方向外側に弾性変形することにより、嵌合爪211dの嵌合突起211eは、係止凸部312bと第2ねじ部312aを乗り越えることができ、回転体21内への軸部312の挿入が進行していく。
【0041】
図10は、本発明の実施形態に係る繰出容器1においてベース2にカートリッジ3が完全に取り付けられた状態を示す正面部分断面図である。図9に示す状態からさらにカートリッジ3をベース2内へと挿入し、更にカートリッジ3を回転させて、第1ねじ部221gと第3ねじ部323aの螺合が行われる。そして、ベース2のフランジ部221dとカートリッジ3の段部321とが当接すると、ベース2がカートリッジ3に完全に取り付けられた状態になる。
【0042】
なお、この当接状態になる際、上述したように位置合わせ用溝321aと位置合わせ用リブ221kとの係止が行われることでクリック感が生じ、使用者にベース2にカートリッジ3が完全に取り付けられた状態になったことを知らせることができる。このクリック感を感知した後、使用者はカートリッジ3のフィルムFを剥がし、棒状内容物を外部に露出可能な状態とする。
【0043】
また、嵌合爪211dは規制突条部324に当接し、規制突条部324により径方向外側への弾性変形が規制された状態になる。この状態で回転体21を回転させると、嵌合爪211dの嵌合突起211eの回転動作がこれに螺合する軸部312の第2ねじ部312aへと伝わるが、中皿付き軸31はガイド溝322aとガイドリブ311bの係合により回転方向の動作が規制されているため、中皿付き軸31は回転することなく、上下方向への進退動作を行う。
【0044】
上述した実施形態に係る繰出容器1によると、棒状内容物を使い切った後、ベース2に装着したカートリッジ3を取り外すとともに、新たなカートリッジ3を元のベースに装着することで、カートリッジ3の交換を行うことができる。また、カートリッジ3以外のベース2とキャップ4については再利用することができる。
【0045】
なお、本発明は上述した実施形態に係る繰出容器1に限定されず、種々の変形を採用することができる。
【0046】
例えば上述した実施形態に係る繰出容器1においては位置合わせ用溝321aと位置合わせ用リブ221kにより位置決めとクリック感の発生を行っていたが、本発明においてはこれに限らず、双方を入れ替え、位置合わせ用溝をベース2に、位置合わせ用リブをカートリッジ3に設けてもよい。また、双方を位置合わせ用リブとしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1:繰出容器
2:ベース
3:カートリッジ
4:キャップ
21:回転体
31:中皿付き軸
32:カートリッジ本体
211d:嵌合爪
221g:第1ねじ部
311:中皿
312:軸部
312a:第2ねじ部
323a:第3ねじ部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10