(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001512
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】空気調和機のグリルセットおよび空気調和機のグリルセットの設置方法
(51)【国際特許分類】
F24F 13/06 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
F24F13/06 B
F24F13/06 A
F24F13/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102286
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】393024717
【氏名又は名称】オーケー器材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】坂下 朗彦
(72)【発明者】
【氏名】島 弘己
(72)【発明者】
【氏名】伴地 佑哉
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080BB01
3L080BE09
(57)【要約】
【課題】電気配線を配置する作業を簡単に行うことができる、空気調和機のグリルセットおよび空気調和機のグリルセットの設置方法を提供する。
【解決手段】空気調和機のグリルセットは、天井(5)に設けられるグリル(12)と、前記天井(5)の内側空間(SA)に設けられる室内機と前記グリル(12)との間の空気通路を構成するダクト(13)と、を備える。グリル(12)は、開口部(21A)を有するグリル本体(21)と、前記開口部(21A)に設けられるフィルタユニット(23)を昇降させる昇降装置(30)と、を有する。昇降装置(30)は、電気端子を有する。前記ダクト(13)は、前記電気端子に接続される電気配線が通される配線通路部(17)を有する。前記配線通路部(17)は、前記ダクト(13)の外面(13A)と内面(13B)とを繋ぐように構成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機のグリルセットであって、
天井に設けられるグリルと、
前記天井の内側空間に設けられる室内機と前記グリルとの間の空気通路を構成するダクトと、を備え、
前記グリルは、開口部を有するグリル本体と、前記開口部に設けられるフィルタユニットを昇降させる昇降装置と、を有し、
前記昇降装置は、電気端子を有し、
前記ダクトは、前記電気端子に接続される電気配線が通される配線通路部を有し、
前記配線通路部は、前記ダクトの外面と内面とを繋ぐように構成される
空気調和機のグリルセット。
【請求項2】
前記グリル本体は、追加開口部を有し、
前記追加開口部は、前記グリル本体の外周と前記開口部との間に設けられる
請求項1に記載の空気調和機のグリルセット。
【請求項3】
前記配線通路部は、前記ダクトの周方向において前記昇降装置の電装ボックスの近くに設けられる
請求項1または2に記載の空気調和機のグリルセット。
【請求項4】
前記配線通路部は、前記ダクトに設けられる孔、前記ダクトの端に設けられる切り欠き、または、前記ダクトと前記グリルとの間に設けられるシール部である
請求項1~3のいずれか一項に記載の空気調和機のグリルセット。
【請求項5】
前記ダクトは、前記グリルが接続されるチャンバーと、前記チャンバーと前記室内機とを接続するダクト配管と、を有し、
前記チャンバーは、建築物の天井内に固定される
請求項1~4のいずれか一項に記載の空気調和機のグリルセット。
【請求項6】
前記フィルタユニットは、前記開口部を塞ぐエアフィルターを有する
請求項1~5のいずれか一項に記載の空気調和機のグリルセット。
【請求項7】
空気調和機のグリルセットの設置方法であって、
前記グリルセットは、グリルと、前記グリルに接続されるダクトと、を備え、前記グリルは、開口部を有するグリル本体と、前記開口部に設けられるフィルタユニットを昇降させる昇降装置と、を有し、
天井の内側空間に設置された室内機に接続されるように前記ダクトを設置する第1手順と、
電気配線を前記ダクトの外から内に通す第2手順と、
前記グリルを前記ダクトに接続する第3手順と、
前記グリルの前記昇降装置に前記電気配線を接続する第4手順と、を含む
空気調和機のグリルセットの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機のグリルセットおよび空気調和機のグリルセットの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、昇降装置を有する吸込グリルが知られている。特許文献1の吸込グリルは昇降装置を備える。吸込グリルは、昇降装置によって昇降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸込グリルが室内機から離れたところに設けられる空気調和機が知られている。例えば、埋込型の空気調和機では、室内機が天井裏の空間に配置される。吸込グリルは、天井に設けられる。吸込グリルは、ダクトを介して室内機に接続される。
【0005】
グリルが室内機から離れたところに設けられる空気調和機において、吸込グリルが電動の昇降装置を有する場合、吸込グリルに電気配線を接続することに手間を要する場合がある。例えば、室内機と吸込グリルとの間の距離が長い場合、室内機と吸込グリルとを電気配線で接続することに手間を要する。このように、吸込グリルに接続される電気配線の配置の観点で、空気調和機には改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決する空気調和機のグリルセットは、天井に設けられるグリルと、前記天井の内側空間に設けられる室内機と前記グリルとの間の空気通路を構成するダクトと、を備え、前記グリルは、開口部を有するグリル本体と、前記開口部に設けられるフィルタユニットを昇降させる昇降装置と、を有し、前記昇降装置は、電気端子を有し、前記ダクトは、前記電気端子に接続される電気配線が通される配線通路部を有し、前記配線通路部は、前記ダクトの外面と内面とを繋ぐように構成される。
【0007】
この構成によれば、配線通路部に電気配線を通すことが出来るため、昇降装置に接続する電気配線をダクト周囲の空間に配置できる。このため、電気配線をダクト内に通す場合に比べて、電気配線を配置する作業が簡単である。
【0008】
上記空気調和機のグリルセットにおいて、前記グリル本体は、追加開口部を有し、前記追加開口部は、前記グリル本体の外周と前記開口部との間に設けられる。この構成によれば、追加開口部に手を入れて、ダクト内に引き出された電気配線を電気端子に接続できる。これによって、グリルの開口部からフィルタユニットを取り外さなくても、追加開口部に手を入れて、電気配線を電気端子に接続できる。
【0009】
上記空気調和機のグリルセットにおいて、前記配線通路部は、前記ダクトの周方向において前記昇降装置の電装ボックスの近くに設けられる。この構成によれば、電気配線を引き回す作業が少なくなるため、電気配線の接続作業が簡単になる。
【0010】
上記空気調和機のグリルセットにおいて、前記配線通路部は、前記ダクトに設けられる孔、前記ダクトの端に設けられる切り欠き、または、前記ダクトと前記グリルとの間に設けられるシール部である。この構成によれば、配線通路部を簡単に構成できる。
【0011】
上記空気調和機のグリルセットにおいて、前記ダクトは、前記グリルが接続されるチャンバーと、前記チャンバーと前記室内機とを接続するダクト配管と、を有し、前記チャンバーは、建築物の天井内に固定される。
【0012】
この構成によれば、グリルは、チャンバーに固定される。チャンバーは、建築物の天井内に固定される。このようにして、グリルは、チャンバーを介して建築物の天井面に設けられる。このため、昇降装置を有するグリルを強固に支持できる。これによって、地震などの大きい揺れにおいて、グリルの落下を抑制できる。
【0013】
上記空気調和機のグリルセットにおいて、前記フィルタユニットは、前記開口部を塞ぐエアフィルターを有する。この構成によれば、開口部から埃が入ることを抑制できる。
【0014】
上記課題を解決する空気調和機のグリルセットの設置方法は、空気調和機のグリルセットの設置方法であって、前記グリルセットは、グリルと、前記グリルに接続されるダクトと、を備え、前記グリルは、開口部を有するグリル本体と、前記開口部に設けられるフィルタユニットを昇降させる昇降装置と、を有し、天井の内側空間に設置された室内機に接続されるように前記ダクトを設置する第1手順と、電気配線を前記ダクトの外から内に通す第2手順と、前記グリルを前記ダクトに接続する第3手順と、前記グリルの前記昇降装置に前記電気配線を接続する第4手順と、を含む。
【0015】
グリルをダクトに接続する前にグリルの昇降装置に電気配線を接続する場合では、作業者は、グリルを持ちながら電気配線の接続作業を行う必要があるため、電気配線の接続作業は、困難を伴う。この点、上記構成によれば、グリルをダクトに接続した後、電気配線を電気端子に接続する。加えて、グリルは開口部を有するため、開口部に手を入れて電気配線の接続作業を行うことができる。このため、電気配線の接続作業が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】天井埋込型の空気調和機の室内機とグリルセットとの関係を示す模式図である。
【
図2】
図1において矢印Aから見た、グリルセットの正面図である。
【
図3】チャンバーおよびグリルの分解斜視図である。
【
図4】電装ボックスとダクトの配線通路部との配置関係を示す、グリルの斜視図である。
【
図5】電気配線を電装ボックスの電気端子に接続する作業シーンの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~
図5を参照して、天井埋込型の空気調和機1に使用されるグリルセット10について説明する。
図1に示されるように、天井埋込型の空気調和機1の室内機2は、天井5の内側空間SAに配置される。グリルセット10は、天井5に設けられる開口部6から室内機2の吸込口2Aまでを繋ぐ。グリルセット10は、天井5下の外側空間SBにある空気を室内機2に導くための空気通路を構成する。
【0018】
図1および
図2に示されるように、グリルセット10は、天井5に設けられるグリル12と、天井5の内側空間SAに設けられる室内機2とグリル12との間の空気通路を構成するダクト13と、を備える。グリル12は、「吸込グリル」とも呼ばれる。
【0019】
一例では、ダクト13は、グリル12が接続されるチャンバー15と、チャンバー15と室内機2とを接続するダクト配管16と、を有する。ダクト配管16は、建築物の天井5内に固定される。ダクト配管16は、天井5に沿うように配置される。
【0020】
チャンバー15は、建築物の天井5内に固定される。一例では、チャンバー15は、天吊り金具7によって天井5内の上壁から吊るされる。一例では、チャンバー15は、直方体の箱に構成される。
【0021】
チャンバー15は、第1開口部15Aと、第2開口部15Bとを有する。第1開口部15Aには、ダクト配管16が接続される。第2開口部15Bには、グリル12が接続される。チャンバー15が天井5内に固定された固定状態において、第1開口部15Aは水平方向に向き、第2開口部15Bは下方に向く。
【0022】
図3に示されるように、グリル12は、開口部21Aを有するグリル本体21と、昇降装置30と、を有する。昇降装置30は、開口部21Aに設けられるフィルタユニット23を昇降させる。
【0023】
グリル本体21は、2個の開口部21Aを有する。一例では、開口部21Aは、矩形に構成される。2個の開口部21Aは、グリル本体21の長手方向DLに並べられる。グリル本体21は、2個の第1側部21Bと、2個の第1側部21Bを繋ぐ2個の第2側部21Cとを有する。2個の第1側部21Bは、グリル本体21の長手方向DLにおける両端に配置される。2個の第2側部21Cは、グリル本体21の長手方向DLに直交する幅方向DWにおける両端に配置される。第2側部21Cは、グリル本体21の長手方向DLに延びる。
【0024】
フィルタユニット23は、グリル本体21の開口部21Aを塞ぐエアフィルター25を有する。エアフィルター25は、埃を通し難い網目部材によって構成される。一例では、フィルタユニット23は、フィルタ支持枠24と、2個のエアフィルター25とを備える。エアフィルター25は、2個の開口部21Aを塞ぐようにフィルタ支持枠24に固定される。エアフィルター25は、フィルタ支持枠24に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0025】
昇降装置30は、電装ボックス33と、2個のケーブル巻取機32と、2個のケーブル31とを備える。ケーブル巻取機32は、グリル本体21の長手方向DLにおける両端の第1側部21Bそれぞれに設けられる。電装ボックス33は、2個のケーブル巻取機32の間において、一方のケーブル巻取機32に隣接するようにグリル本体21に設けられる。チャンバー15にグリル本体21が取り付けられた状態において、チャンバー15にグリル本体21が取り付けられた状態において、2個のケーブル巻取機32は、チャンバー15外に配置される(
図2参照)。電装ボックス33は、チャンバー15内に配置される(
図2参照)。電装ボックス33は、チャンバー15内に配置されることによって、電装ボックス33に埃が付着することが抑制される。
【0026】
ケーブル31に一端は、ケーブル巻取機32のコイルに接続される。ケーブル31の他端は、フィルタユニット23のフィルタ支持枠24に接続される。ケーブル巻取機32は、コイルの回転によってケーブル31を繰り出したり、巻き取ったりする。ケーブル巻取機32は、ケーブル31の繰り出すことによって、フィルタユニット23を降下させる。ケーブル巻取機32は、ケーブル31の巻く取ることによって、フィルタユニット23を上昇させる。
【0027】
昇降装置30は、電気端子34を有する。電気端子34は、電装ボックス33に設けられる。電装ボックス33は、昇降装置30を制御する。電装ボックス33は、昇降装置30を動作させるための操作信号を受信し、操作信号に基づいて、昇降装置30を動作させる。操作信号は、室内機2から送信される。他の例では、操作信号は、リモートコントローラから送信される。リモートコントローラから送信される場合は、電装ボックス33には、リモートコントローラから送信される光信号または電波を受信する受信機が設けられる。
【0028】
電装ボックス33に設けられる電気端子34は、電気配線18が接続される。電気配線18の一例は、3芯ケーブルである。電装ボックス33には、複数の電気端子34が設けられる。複数の電気端子34のうちの幾つかは、電源端子である。電源端子には、電源配線が接続される。複数の電源端子の他の幾つかは、信号端子である。信号端子には、操作信号を送る信号配線が接続される。昇降装置30がリモートコントローラの操作信号によって動く場合、信号端子は省略される。
【0029】
本実施形態では、電装ボックス33に接続される電気配線18は、ダクト13の外から内に引き入れられる。このため、ダクト13には、電気端子34に接続される電気配線18が通される配線通路部17が設けられる。配線通路部17は、ダクト13の外面13Aと内面13Bとを繋ぐように構成される。
【0030】
図4に示されるように、配線通路部17は、ダクト13の周方向DCにおいて昇降装置30の電装ボックス33の近くに設けられる。ダクト13の周方向DCは、室内機2とグリル12との間の空気通路を線と見做したときの、線周りの方向を示す。
【0031】
一例では、配線通路部17は、チャンバー15に設けられる。配線通路部17は、チャンバー15の周方向DCにおいて、昇降装置30の電装ボックス33の近くに設けられる。これによって、配線が、グリル本体21の開口部21Aを跨らないように配置し易くなる。
【0032】
図4に示されるように、配線通路部17は、ダクト13に設けられる孔として構成される。孔には、電気配線18を案内する筒状のガイド19が設けられる。一例では、筒状のガイド19は、チャンバー15の側面15Sに直交するように設けられる。筒状のガイド19は、チャンバー15の側面15Sから内方に突出する。ガイド19は、チャンバー15の側面15Sに対して電気配線18が直交するように支持する。ガイド19によってチャンバー15に対する電気配線18の出し入れが行い易くなる。ガイド19によって電気配線18の先端部がチャンバー15の側面15Sに直交するように支持されるため、電気配線18の先端部を電気端子34に接続し易くなる。
【0033】
配線通路部17は、ダクト13の端に設けられる切り欠きであってもよい。配線通路部17は、ダクト13とグリル12との間に設けられるシール部として構成されてもよい。シール部は、ゴムで構成される。シール部とダクト13との間に挟まれるように電気配線18が通される。または、シール部とグリル12との間に挟まれるように電気配線18が通される。
【0034】
図5を参照して、空気調和機1のグリルセット10の設置方法について説明する。
グリルセット10の設置方法を使用できるグリルセット10は、次の構成を備える。対象のグリルセット10は、グリル12と、グリル12に接続されるダクト13と、を備える。グリル12は、開口部21Aを有するグリル本体21と、昇降装置30と、を有する。ダクト13にグリル12が取り付けられた状態において、昇降装置30の電装ボックス33は、ダクト13内に配置される。
【0035】
グリルセット10の設置方法は、第1手順~第4手順を含む。
第1手順では、天井5の内側空間SAに設置された室内機2に接続されるようにダクト13を設置する。本実施形態では、室内機2の吸込口2Aにダクト配管16の第1開口端を接続し、天井5に沿うようにダクト配管16を設置する。さらに、ダクト配管16の第2開口端にチャンバー15を取り付ける。天井5の上壁から吊るされるようにチャンバー15を設置する。室内機2、ダクト配管16、およびチャンバー15の取り付け後、天井ボードを天井下地材に取り付ける。天井5において、チャンバー15の下には、グリル12が嵌る開口部6が設けられる。天井5の設置は、第2手順の後に行われてもよい。
【0036】
第2手順では、電気配線18をダクト13の外から内に通す。本実施形態では、チャンバー15に設けられた配線通路部17に電気配線18を通す。一例では、室内機2から延びる電気配線18を配線通路部17に通す。昇降装置30がリモートコントローラで動作する場合であって、電装ボックス33が信号端子を有しない場合、商用電源から延びる電気配線18を配線通路部17に通してもよい。
【0037】
第3手順では、グリル12をダクト13に接続する。具体的には、グリル本体21からフィルタユニット23を外した状態で、グリル12を天井5の開口部6に嵌め込み、グリル12をチャンバー15にねじまたはビスによって取り付ける。このとき、フィルタユニット23がグリル本体21から外されているため、グリル本体21の下からチャンバー15内を覗き込むことができる。グリル本体21は、チャンバー15に取り付けられ、かつ、フィルタユニット23がケーブル31で支持されているため、作業者は、電気配線18の接続のために、両手を使うことができる。
【0038】
第4手順では、グリル12の昇降装置30に電気配線18を接続する。具体的には、電装ボックス33の端子カバーを外して、ダクト13内に引き込まれた電気配線18を電装ボックス33内の電気端子34に接続する。
【0039】
本実施形態の作用を説明する。
天井埋込型の空気調和機1において、昇降装置30を有するグリル12を設置する場合、グリル12の設置に手間を要する場合がある。天井埋込型の空気調和機1の場合、グリル12が室内機2から遠くに離れた場所に配置される場合がある。このような場合、室内機2の吸込口2Aとグリル12とは、ダクト13を介して接続される。
【0040】
参考例では、グリル12の昇降装置30は、電気的に室内機2に接続される。加えて、昇降装置30の電装ボックス33は、ダクト13にグリル12が取り付けられた状態において、ダクト13内に配置される。このため、電気配線18は、ダクト13内に通されて、グリル12の電装ボックス33に接続される。ダクト13が短い場合、ダクト13内に電気配線18を通すことは簡単であるが、ダクト13が曲がっている場合、または、ダクト13が長い場合、ダクト13内に電気配線18を通す作業は、手間を要する。一例では、室内機2にダクト13を接続した後、室内機2に接続されている電気配線18をダクト13の開口端から手繰り寄せて、電気配線18をダクト13の開口端まで引き出す。このような作業は、手間を要する。他の方法として、予めダクト13内に電気配線18を通したあと、ダクト13を設置する方法もある。しかし、この方法を設置済みの室内機2に適用することは、コスト増を伴う。例えば、設置済み室内機2においてグリル12だけを昇降装置30付きのグリル12に交換する場合、ダクト13を取り外し、ダクト13の電気配線18を通し、再度、ダクト13を設置し直す必要がある。このように、ダクト13の取り外しと、ダクト13の再設置が必要となるため、設置コストが増大する。
【0041】
本実施形態のグリルセット10は、室内機2とグリル12とを結ぶダクト13の外側からダクト13の内側に電気配線18を引き込むことができる構造を有する。具体的には、グリルセット10は、ダクト13と、グリル12とを有する。ダクト13は、電気端子34に接続される電気配線18が通される配線通路部17を有する。配線通路部17は、ダクト13の外面13Aと内面13Bとを繋ぐように構成される。配線通路部17に電気配線18を通すことが出来る。このため、電気配線18を配置する作業が簡単になる。
【0042】
例えば、室内機2とグリル12の昇降装置30とを電気配線18で繋ぐ場合、電気配線18をダクト13内に通さずに、天井5の内側空間SAに配線することができる。天井5の内側空間SAはダクト13内の空間に比べて広いため、電気配線18の引き回しが簡単である。電気配線18の端部は、ダクト13の配線通路部17を介してダクト13内に配置され、昇降装置30に接続される。このように簡単に電気配線18を昇降装置30に接続できる。
【0043】
他の例では、昇降装置30を商用電源に接続できるという効果もある。例えば、昇降装置30自体がリモコンの操作部を有する場合、昇降装置30は、室内機2と接続する必要がない。しかし、ダクト13に配線通路部17が無い場合、電源配線をダクト13内に引き入れることが出来ないために、室内機2とグリル12の昇降装置30とを電気配線18で繋ぐ必要があった。この点、本実施形態のグリルセット10の場合、ダクト13が配線通路部17を有するため、商用電源の電源配線をダクト13の配線通路部17を介してダクト13内に引き入れることができる。グリル12が設置される場所が室内機2から遠い場合は、グリル12の近くの商用電源と昇降装置30とを接続することができるため、商用電源を利用することによってグリル12の設置作業がより簡単になる。
【0044】
本実施形態の効果を説明する。
(1)グリルセット10は、天井5に設けられるグリル12と、室内機2とグリル12との間の空気通路を構成するダクト13とを備える。グリル12は、開口部21Aを有するグリル本体21と、開口部21Aに設けられるフィルタユニット23を昇降させる昇降装置30と、を有する。ダクト13は、電気配線18が通される配線通路部17を有する。配線通路部17は、ダクト13の外面13Aと内面13Bとを繋ぐように構成される。
【0045】
この構成によれば、配線通路部17に電気配線18を通すことが出来るため、昇降装置30に接続する電気配線18をダクト13周囲の空間に配置できる。このため、電気配線18をダクト13内に通す場合に比べて、電気配線18を配置する作業が簡単である。
【0046】
(2)一例では、配線通路部17は、ダクト13の周方向DCにおいて昇降装置30の電装ボックス33の近くに設けられる。この構成によれば、電気配線18を引き回す作業が少なくなるため、電気配線18の接続作業が簡単になる。
【0047】
(3)具体的には、配線通路部17は、ダクト13に設けられる孔、ダクト13の端に設けられる切り欠き、または、ダクト13とグリル12との間に設けられるシール部である。この構成によれば、配線通路部17を簡単に構成できる。
【0048】
(4)ダクト13は、グリル12が接続されるチャンバー15と、チャンバー15と室内機2とを接続するダクト配管16と、を有する。チャンバー15は、建築物の天井5内に固定される。この構成によれば、グリル12は、チャンバー15に固定される。チャンバー15は、建築物の天井5内に固定される。このようにして、グリル12は、チャンバー15を介して建築物の天井面に設けられる。このため、昇降装置30を有するグリル12を強固に支持できる。これによって、地震などの大きい揺れにおいて、グリル12の落下を抑制できる。
【0049】
(5)フィルタユニット23は、開口部21Aを塞ぐエアフィルター25を有する。この構成によれば、開口部21Aから埃が入ることを抑制できる。
【0050】
(6)空気調和機1のグリルセット10の設置方法は、次の構成を備えるグリルセット10を天井5に設置するための設置方法である。対象のグリルセット10は、グリル12と、グリル12に接続されるダクト13と、を備える。グリル12は、開口部21Aを有するグリル本体21と、開口部21Aに設けられるフィルタユニット23を昇降させる昇降装置30と、を有する。
【0051】
空気調和機1のグリルセット10の設置方法は、次の第1手順~第4手順を含む。第1手順は、天井5の内側空間SAに設置された室内機2に接続されるようにダクト13を設置する。第2手順は、電気配線18をダクト13の外から内に通す。第3手順は、グリル12をダクト13に接続する。第4手順は、グリル12の昇降装置30に電気配線18を接続する。
【0052】
グリル12をダクト13に接続する前にグリル12の昇降装置30に電気配線18を接続する場合では、作業者は、グリル12を持ちながら電気配線18の接続作業を行う必要があるため、電気配線18の接続作業は、困難を伴う。この点、上記構成によれば、グリル12をダクト13に接続した後、電気配線18を電気端子34に接続する。加えて、グリル12は開口部21Aを有するため、開口部21Aに手を入れて電気配線18の接続作業を行うことができる。このため、電気配線18の接続作業が簡単である。
【0053】
(変形例)
本開示のグリルセット10および空気調和機1のグリルセット10の設置方法は、上記各実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0054】
・
図6に示されるように、グリル本体21は、追加開口部40を有してもよい。例えば、追加開口部40は、グリル本体21の外周と開口部21Aとの間に設けられる。追加開口部40には、追加開口部40を閉じるように蓋41が設けられる。追加開口部40は、手が入る大きさに構成される。
【0055】
この構成によれば、追加開口部40に手を入れて、ダクト13内に引き出された電気配線18を電気端子34に接続できる。これによって、グリル12の開口部21Aからフィルタユニット23を取り外さなくても、追加開口部40に手を入れて、電気配線18を電気端子34に接続できる。
【0056】
グリル本体21が追加開口部40を有する場合、電装ボックス33は、追加開口部40の上に配置される。電装ボックス33の電気端子34は、電装ボックス33の下面に設けられる。この構成によれば、追加開口部40の蓋41を開いた場合に、追加開口部40を介して電装ボックス33の電気端子34を視認できる。このため、電気端子34に電気配線18を接続する作業が行い易い。
【0057】
・上記実施形態では、ダクト13は、ダクト配管16と、チャンバー15とを備えるが、室内機2とグリル12との間の距離が短い場合には、ダクト配管16は省略されてもよい。
【0058】
例えば、
図7に示されるように、天井5の開口部6の上に室内機2が配置される場合、ダクト配管16が省略される。チャンバー15は、室内機2の吸込口2Aと天井5の開口部6とを繋ぐように構成される。
【0059】
・以上、空気調和機1のグリルセット10および空気調和機1のグリルセット10の設置方法について実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載されたグリルセット10の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0060】
DC…周方向
SA…内側空間
1…空気調和機
2…室内機
5…天井
6…開口部
10…グリルセット
12…グリル
13…ダクト
13A…外面
13B…内面
15…チャンバー
16…ダクト配管
17…配線通路部
18…電気配線
21…グリル本体
21A…開口部
23…フィルタユニット
25…エアフィルター
30…昇降装置
33…電装ボックス
34…電気端子
40…追加開口部