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特開2023-151201橋台の配置位置検討支援装置、橋台の配置位置検討支援システム、および橋台の配置位置検討支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151201
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】橋台の配置位置検討支援装置、橋台の配置位置検討支援システム、および橋台の配置位置検討支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/00 20060101AFI20231005BHJP
   E01D 1/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E01D21/00 Z
E01D1/00
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060677
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】594058333
【氏名又は名称】川田テクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168952
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】長尾 充博
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA01
2D059GG57
(57)【要約】      (修正有)
【課題】橋台の配置位置を計算して出力すること。
【解決手段】道路線形上の測点位置に橋台モデルを配置する橋台配置手段と、道路中心線に基づいて路面サーフェスを作成する路面サーフェス作成手段と、路面サーフェスを、橋台の高さ分移動させ、橋台モデルの前面の直角方向に橋座幅+前フーチング幅分移動させる路面サーフェス移動手段と、橋台モデルの測点位置周辺の地形サーフェスをコピーして、フーチングの直角方向に移動させる地形サーフェス移動手段と、移動された路面サーフェスと移動された地形サーフェスとの交差位置を特定し、交差位置にポリラインを作成するポリライン作成手段と、ポリラインと橋台モデルのフーチング前面との間の最短距離を取得する最短距離取得手段と、取得された最短距離位置にフーチング前面がくるように橋台モデルの測点位置を変更し、測点位置をその橋台の高さに応じた配置位置として決定する配置位置決定手段とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路線形上の測点位置に橋台モデルを配置する橋台配置手段と、
道路中心線を前記橋台モデルのパラペット方向にフーチング位置まで移動させて道路中心線を複写し、複写した道路中心線に基づいて路面サーフェスを作成する路面サーフェス作成手段と、
前記路面サーフェス作成手段によって作成された前記路面サーフェスを、前記橋台モデルの高さ方向に橋台の高さ分移動させるとともに、前記橋台モデルの前面の直角方向に橋座幅+前フーチング幅分移動させる路面サーフェス移動手段と、
前記橋台モデルの測点位置周辺の地形サーフェスをコピーして、コピーした地形サーフェスをフーチングの直角方向に前面余裕幅分移動させる地形サーフェス移動手段と、
前記路面サーフェス移動手段によって前記橋台モデルの前面の直角方向に移動された路面サーフェスと前記地形サーフェス移動手段によって移動された地形サーフェスとの交差位置を特定し、特定した交差位置にポリラインを作成するポリライン作成手段と、
前記ポリライン作成手段によって作成された前記ポリラインと前記橋台モデルのフーチング前面との間の最短距離を取得する最短距離取得手段と、
前記最短距離取得手段によって取得された最短距離位置にフーチング前面がくるように前記橋台モデルの測点位置を変更して、変更後の前記橋台モデルの測点位置をその橋台の高さに応じた配置位置として決定する配置位置決定手段とを備えることを特徴とする橋台の配置位置検討支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の橋台の配置位置検討支援装置において、
前記橋台の最大高さと最小高さがあらかじめ設定されており、前記橋台の最大高さから最小高さまでの高さを対象として、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を求めることを特徴とする橋台の配置位置検討支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の橋台の配置位置検討支援装置において、
前記橋台の最大高さから最小高さまでの高さを対象として、あらかじめ設定されている計算ピッチに基づいて前記橋台の高さを設定して、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を求めることを特徴とする橋台の配置位置検討支援装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の橋台の配置位置検討支援装置において、
前記配置位置決定手段によって決定された、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を一覧表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする橋台の配置位置検討支援装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の橋台の配置位置検討支援装置において、
それぞれの高さに応じた橋台の配置位置ごとに、その位置に橋台を配置するために必要な工費や掘削土量を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする橋台の配置位置検討支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の橋台の配置位置検討支援装置において、
それぞれの高さに応じた橋台の配置位置に対応付けて前記算出手段によって算出された工費や掘削土量を一覧表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする橋台の配置位置検討支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の橋台の配置位置検討支援装置において、
前記表示手段は、前記算出手段によって算出された工費が最小になる配置位置や前記算出手段によって算出された掘削土量が最小になる配置位置をユーザが把握しやすいような表示方法で表示することを特徴とする橋台の配置位置検討支援装置。
【請求項8】
道路線形上の測点位置に橋台モデルを配置する橋台配置手段と、
道路中心線を前記橋台モデルのパラペット方向にフーチング位置まで移動させて道路中心線を複写し、複写した道路中心線に基づいて路面サーフェスを作成する路面サーフェス作成手段と、
前記路面サーフェス作成手段によって作成された前記路面サーフェスを、前記橋台モデルの高さ方向に橋台の高さ分移動させるとともに、前記橋台モデルの前面の直角方向に橋座幅+前フーチング幅分移動させる路面サーフェス移動手段と、
前記橋台モデルの測点位置周辺の地形サーフェスをコピーして、コピーした地形サーフェスをフーチングの直角方向に前面余裕幅分移動させる地形サーフェス移動手段と、
前記路面サーフェス移動手段によって前記橋台モデルの前面の直角方向に移動された路面サーフェスと前記地形サーフェス移動手段によって移動された地形サーフェスとの交差位置を特定し、特定した交差位置にポリラインを作成するポリライン作成手段と、
前記ポリライン作成手段によって作成された前記ポリラインと前記橋台モデルのフーチング前面との間の最短距離を取得する最短距離取得手段と、
前記最短距離取得手段によって取得された最短距離位置にフーチング前面がくるように前記橋台モデルの測点位置を変更して、変更後の前記橋台モデルの測点位置をその橋台の高さに応じた配置位置として決定する配置位置決定手段とを備えることを特徴とする橋台の配置位置検討支援システム。
【請求項9】
請求項8に記載の橋台の配置位置検討支援システムにおいて、
前記橋台の最大高さと最小高さがあらかじめ設定されており、前記橋台の最大高さから最小高さまでの高さを対象として、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を求めることを特徴とする橋台の配置位置検討支援システム。
【請求項10】
請求項9に記載の橋台の配置位置検討支援システムにおいて、
前記橋台の最大高さから最小高さまでの高さを対象として、あらかじめ設定されている計算ピッチに基づいて前記橋台の高さを設定して、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を求めることを特徴とする橋台の配置位置検討支援システム。
【請求項11】
請求項9または10に記載の橋台の配置位置検討支援システムにおいて、
前記配置位置決定手段によって決定された、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を一覧表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする橋台の配置位置検討支援システム。
【請求項12】
請求項9または10に記載の橋台の配置位置検討支援システムにおいて、
それぞれの高さに応じた橋台の配置位置ごとに、その位置に橋台を配置するために必要な工費や掘削土量を算出する算出手段をさらに備えることを特徴とする橋台の配置位置検討支援システム。
【請求項13】
請求項12に記載の橋台の配置位置検討支援システムにおいて、
それぞれの高さに応じた橋台の配置位置に対応付けて前記算出手段によって算出された工費や掘削土量を一覧表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする橋台の配置位置検討支援システム。
【請求項14】
請求項13に記載の橋台の配置位置検討支援システムにおいて、
前記表示手段は、前記算出手段によって算出された工費が最小になる配置位置や前記算出手段によって算出された掘削土量が最小になる配置位置をユーザが把握しやすいような表示方法で表示することを特徴とする橋台の配置位置検討支援システム。
【請求項15】
道路線形上の測点位置に橋台モデルを配置する橋台配置手順と、
道路中心線を前記橋台モデルのパラペット方向にフーチング位置まで移動させて道路中心線を複写し、複写した道路中心線に基づいて路面サーフェスを作成する路面サーフェス作成手順と、
前記路面サーフェス作成手順で作成した前記路面サーフェスを、前記橋台モデルの高さ方向に橋台の高さ分移動させるとともに、前記橋台モデルの前面の直角方向に橋座幅+前フーチング幅分移動させる路面サーフェス移動手順と、
前記橋台モデルの測点位置周辺の地形サーフェスをコピーして、コピーした地形サーフェスをフーチングの直角方向に前面余裕幅分移動させる地形サーフェス移動手順と、
前記路面サーフェス移動手順によって前記橋台モデルの前面の直角方向に移動された路面サーフェスと前記地形サーフェス移動手順によって移動された地形サーフェスとの交差位置を特定し、特定した交差位置にポリラインを作成するポリライン作成手順と、
前記ポリライン作成手順で作成した前記ポリラインと前記橋台モデルのフーチング前面との間の最短距離を取得する最短距離取得手順と、
前記最短距離取得手順で取得した最短距離位置にフーチング前面がくるように前記橋台モデルの測点位置を変更して、変更後の前記橋台モデルの測点位置をその橋台の高さに応じた配置位置として決定する配置位置決定手順とをコンピュータに実行させるための橋台の配置位置検討支援プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の橋台の配置位置検討支援プログラムにおいて、
前記橋台の最大高さと最小高さがあらかじめ設定されており、前記橋台の最大高さから最小高さまでの高さを対象として、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を求めることを特徴とする橋台の配置位置検討支援プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の橋台の配置位置検討支援プログラムにおいて、
前記橋台の最大高さから最小高さまでの高さを対象として、あらかじめ設定されている計算ピッチに基づいて前記橋台の高さを設定して、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を求めることを特徴とする橋台の配置位置検討支援プログラム。
【請求項18】
請求項16または17に記載の橋台の配置位置検討支援プログラムにおいて、
前記配置位置決定手順で決定した、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を一覧表示する表示手順をさらに有することを特徴とする橋台の配置位置検討支援プログラム。
【請求項19】
請求項16または17に記載の橋台の配置位置検討支援プログラムにおいて、
それぞれの高さに応じた橋台の配置位置ごとに、その位置に橋台を配置するために必要な工費や掘削土量を算出する算出手順をさらに有することを特徴とする橋台の配置位置検討支援プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の橋台の配置位置検討支援プログラムにおいて、
それぞれの高さに応じた橋台の配置位置に対応付けて前記算出手順で算出した工費や掘削土量を一覧表示する表示手順をさらに有することを特徴とする橋台の配置位置検討支援プログラム。
【請求項21】
請求項20に記載の橋台の配置位置検討支援プログラムにおいて、
前記表示手順は、前記算出手順で算出した工費が最小になる配置位置や前記算出手順で算出した掘削土量が最小になる配置位置をユーザが把握しやすいような表示方法で表示することを特徴とする橋台の配置位置検討支援プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋台の配置位置検討支援装置、橋台の配置位置検討支援システム、および橋台の配置位置検討支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
次のような橋桁の架設工法が知られている。この橋桁の架設工法では、手延べ桁4を組み立てる手延べ桁組立工程と、複数のプレキャスト桁部材31を連結して本設桁3を形成するととともに当該本設桁3を手延べ桁4に連結する本設桁組立工程と、本設桁3の後端に押出装置5を設置する装置設置工程と、手延べ桁4および本設桁3を、押出装置5を利用して押し出して、本設桁3を橋脚11,12間に架設する架設工程とを備えることにより、現場周囲の環境に限定されることなく採用することが可能で、かつ、橋桁の架設工事を簡易に行うことを可能としている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-108771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の橋桁の架設工法のように、橋桁を架設するためには、橋梁の両側端部に橋台を配置し、橋台同士の間に橋桁が架設される。このとき、橋台は斜面に配置される場合もあり、橋台を斜面に配置する場合には、斜面上のどの位置に橋台を配置するかを検討する必要があるため、その検討を支援するための仕組みが求められるが、従来はそのための方法については何ら検討されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による橋台の配置位置検討支援装置は、道路線形上の測点位置に橋台モデルを配置する橋台配置手段と、道路中心線を橋台モデルのパラペット方向にフーチング位置まで移動させて道路中心線を複写し、複写した道路中心線に基づいて路面サーフェスを作成する路面サーフェス作成手段と、路面サーフェス作成手段によって作成された路面サーフェスを、橋台モデルの高さ方向に橋台の高さ分移動させるとともに、橋台モデルの前面の直角方向に橋座幅+前フーチング幅分移動させる路面サーフェス移動手段と、橋台モデルの測点位置周辺の地形サーフェスをコピーして、コピーした地形サーフェスをフーチングの直角方向に前面余裕幅分移動させる地形サーフェス移動手段と、路面サーフェス移動手段によって橋台モデルの前面の直角方向に移動された路面サーフェスと地形サーフェス移動手段によって移動された地形サーフェスとの交差位置を特定し、特定した交差位置にポリラインを作成するポリライン作成手段と、ポリライン作成手段によって作成されたポリラインと橋台モデルのフーチング前面との間の最短距離を取得する最短距離取得手段と、最短距離取得手段によって取得された最短距離位置にフーチング前面がくるように橋台モデルの測点位置を変更して、変更後の橋台モデルの測点位置をその橋台の高さに応じた配置位置として決定する配置位置決定手段とを備えることを特徴とする。
本発明による橋台の配置位置検討支援システムは、道路線形上の測点位置に橋台モデルを配置する橋台配置手段と、道路中心線を前記橋台モデルのパラペット方向にフーチング位置まで移動させて道路中心線を複写し、複写した道路中心線に基づいて路面サーフェスを作成する路面サーフェス作成手段と、路面サーフェス作成手段によって作成された路面サーフェスを、橋台モデルの高さ方向に橋台の高さ分移動させるとともに、橋台モデルの前面の直角方向に橋座幅+前フーチング幅分移動させる路面サーフェス移動手段と、橋台モデルの測点位置周辺の地形サーフェスをコピーして、コピーした地形サーフェスをフーチングの直角方向に前面余裕幅分移動させる地形サーフェス移動手段と、路面サーフェス移動手段によって橋台モデルの前面の直角方向に移動された路面サーフェスと地形サーフェス移動手段によって移動された地形サーフェスとの交差位置を特定し、特定した交差位置にポリラインを作成するポリライン作成手段と、ポリライン作成手段によって作成されたポリラインと橋台モデルのフーチング前面との間の最短距離を取得する最短距離取得手段と、最短距離取得手段によって取得された最短距離位置にフーチング前面がくるように橋台モデルの測点位置を変更して、変更後の橋台モデルの測点位置をその橋台の高さに応じた配置位置として決定する配置位置決定手段とを備えることを特徴とする。
本発明による橋台の配置位置検討支援プログラムは、道路線形上の測点位置に橋台モデルを配置する橋台配置手順と、道路中心線を橋台モデルのパラペット方向にフーチング位置まで移動させて道路中心線を複写し、複写した道路中心線に基づいて路面サーフェスを作成する路面サーフェス作成手順と、路面サーフェス作成手順で作成した路面サーフェスを、橋台モデルの高さ方向に橋台の高さ分移動させるとともに、橋台モデルの前面の直角方向に橋座幅+前フーチング幅分移動させる路面サーフェス移動手順と、橋台モデルの測点位置周辺の地形サーフェスをコピーして、コピーした地形サーフェスをフーチングの直角方向に前面余裕幅分移動させる地形サーフェス移動手順と、路面サーフェス移動手順によって橋台モデルの前面の直角方向に移動された路面サーフェスと地形サーフェス移動手順によって移動された地形サーフェスとの交差位置を特定し、特定した交差位置にポリラインを作成するポリライン作成手順と、ポリライン作成手順で作成したポリラインと橋台モデルのフーチング前面との間の最短距離を取得する最短距離取得手順と、最短距離取得手順で取得した最短距離位置にフーチング前面がくるように橋台モデルの測点位置を変更して、変更後の橋台モデルの測点位置をその橋台の高さに応じた配置位置として決定する配置位置決定手順とをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、橋台の高さに応じた橋台の配置位置を求めて出力することができるため、橋台の配置位置の検討を支援するための仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】橋台の配置位置検討支援装置100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
図2】斜面における橋台の配置位置の一例を示した図である。
図3】橋台の形状を模式的に示した図である。
図4】橋台に関する各部の寸法を示す図である。
図5】道路線形上の任意の測点位置に橋台モデルを配置した状態を模式的に示した図である。
図6】路面サーフェスを橋台モデルの前面の直角方向に橋座幅+前フーチング幅分移動させた状態を模式的に示した図である。
図7】地形サーフェスの移動例を模式的に示した図である。
図8】路面サーフェス6bと地形サーフェス7bとの交差位置8aにポリライン8bを生成した状態を模式的に示した図である。
図9】ポリライン8bと橋台モデル5aのフーチング前面との間の最短距離9aを模式的に示した図である。
図10】橋台モデル5aの測点位置が橋台モデル5a´の測点位置に変更された状態を模式的に示した図である。
図11】橋台の高さごとの橋台の配置位置の計算結果の表示例を示す図である。
図12】本形態における橋台の配置位置検討支援装置100で実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態における橋台の配置位置検討支援装置100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。橋台の配置位置検討支援装置100としては、例えば、サーバ装置やパソコン等が用いられる。図1は、橋台の配置位置検討支援装置100として例えばパソコンを用いた場合の一実施の形態の構成を示している。橋台の配置位置検討支援装置100は、操作部材101と、制御装置102と、記録装置103と、表示装置104とを備えている。
【0009】
操作部材101は、橋台の配置位置検討支援装置100の操作者によって操作される種々の装置、例えばキーボードやマウスを含む。
【0010】
制御装置102は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、橋台の配置位置検討支援装置100の全体を制御する。なお、制御装置102を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリである。このメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。
【0011】
記録装置103は、橋台の配置位置検討支援装置100が蓄える種々のデータや、制御装置102が実行するためのプログラムのデータ等を記録するための記憶媒体で構成される記録装置であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。なお、記録装置103に記録されるプログラムのデータは、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体に記録されて提供されたり、ネットワークを介して提供されたりし、操作者が取得したプログラムのデータを記録装置103にインストールすることによって、制御装置102がプログラムを実行できるようになる。
【0012】
表示装置104は、例えば液晶ディスプレイなどであって、制御装置102によって出力された表示用データを表示するための装置である。
【0013】
橋台を斜面に配置する場合には、斜面上のどの位置に橋台を配置するかによって、橋台を配置するための工費や掘削土量が変わるため、斜面上における橋台配置位置の検討を支援するための仕組みが求められる。このため、本実施の形態における橋台の配置位置検討支援装置100は、山岳橋梁のように斜面に橋台を配置して橋桁を架設する場合の斜面上における橋台の配置位置の検討を支援するための機能を提供する。
【0014】
本実施の形態では、橋台の配置位置検討支援装置100の記憶装置103には、斜面上における橋台の配置位置を算出し、算出結果を表示装置104に表示するためのプログラムがあらかじめインストールされており、制御装置102は、このプログラムを実行することにより、橋台の配置位置算出処理を実行する。以下、制御装置102によって実行される橋台の配置位置算出処理について説明する。
【0015】
斜面上における橋台は、例えば図2に示すような位置に配置される。なお、図2においては、橋台の配置位置2aは、斜面上で橋台高が最小になる位置であり、橋台の配置位置2cは、斜面上で橋台高が最大になる位置である。また、橋台の配置位置2bは、例えば図2に示す斜面上で工費が最小になる位置となる。
【0016】
本実施の形態では、制御装置102は、橋台の高さに応じて斜面上の橋台の配置位置を決定する。このために、以下のような橋台の配置位置算出処理を実行する。なお、橋台の配置位置算出処理を実行するに当たっては、あらかじめ計算ピッチ(m)、最大橋台高さ(m)、および最小橋台高さ(m)が設定されている。計算ピッチ(m)は、橋台の高さを何m単位で変化させて配置位置を計算するかが指定される。最大橋台高さ(m)は、配置する橋台の高さの最大値が指定される。最小橋台高さ(m)は、配置する橋台の高さの最小値が指定される。例えば、計算ピッチ(m)が1m、最大橋台高さ(m)が15m、最小橋台高さ(m)が3mと設定された場合には、制御装置102は、最大橋台高さを3mから15mの間で1mごとに橋台の配置位置を算出する。すなわち、この場合は、橋台の配置位置は、橋台の高さが3mの場合、4mの場合、5mの場合、6mの場合、7mの場合、8mの場合、9mの場合、10mの場合、11mの場合、12mの場合、13mの場合、14mの場合、15mの場合のそれぞれについて算出される。
【0017】
図3は、橋台の形状を模式的に示した図である。橋台は、例えば図3に示すように、パラペット3aと竪壁3bとフーチング3cとで構成されている。なお、図3では、橋台上に架けられる道路幅を破線で示し、道路中心線を実線で示している。また、橋台に関する各部の寸法は図4に示すようになる。図4に示す例では、橋台に関する各部の寸法として、橋台の高さH、フーチング幅B、橋座幅+前フーチング幅B´、前面余裕幅S、支持層根入れ前方S´、土被りd、支持層根入れ上方d´の各寸法が示されている。これらの寸法はあらかじめユーザによって入力されるなどして指定されている。
【0018】
制御装置102は、図5(A)に示すように、道路線形上の任意の測点位置に橋台の3次元モデル(以下「橋台モデル」と呼ぶ)を配置する。なお、橋台モデルの配置対象となる道路の道路線形はあらかじめ記録装置103に記録されているものとする。制御装置102は、図5(B)に示すように、道路中心線5bを橋台モデル5aのパラペット方向にフーチング位置まで移動させて道路中心線を複写する。これによって、道路中心線5bは、複写中心線5cと5dに複写される。制御装置102は、複写中心線5cと5d、および複写中心線5cと5dの両端を結んだ直線により構成される枠を作成し、この枠内を路面サーフェス5eとして作成する。
【0019】
制御装置102は、路面サーフェス5eを橋台モデルの高さ方向に橋台の高さH分移動させる。例えば、橋台の高さが15mの場合の配置位置を算出する場合は、制御装置102は、路面サーフェス5eを橋台モデルの高さ方向に15m分移動させる。また、制御装置102は、路面サーフェス5eを橋台モデルの前面の直角方向にB´分移動させる。これによって、路面サーフェス5eは図6に示すように移動される。すなわち、図6(A)に示すように、路面サーフェス5eを橋台モデルの高さ方向に橋台の高さH分移動させた路面サーフェス6aと、図6(C)に示すように、路面サーフェス6aを橋台モデルの前面の直角方向にB´分移動させた路面サーフェス6bが生成される。なお、図6(B)は、移動後の路面サーフェス6aを別の角度から見た状態を示す図であり、図6(D)は、移動後の路面サーフェス6aと移動後の路面サーフェス6bを別の角度から見た状態を示す図である。
【0020】
制御装置102は、橋台モデルの測点位置周辺の地形サーフェスをコピーして、コピーした地形サーフェスを橋軸方向、すなわちフーチングの直角方向に前面余裕幅S分移動させる。図7は、本実施の形態における地形サーフェスの移動例を示す図である。図7(A)は、橋台モデル5aの測点位置における地形サーフェス7aの例を示している。また、図7(C)では、地形サーフェス7bは、コピーした地形サーフェスがフーチングの直角方向に前面余裕幅S分移動された結果の例を示している。なお、図7(B)は、図7(A)を橋台モデルの側面方向から見た状態を示す図であり、図7(D)は、図7(C)を橋台モデルの側面方向から見た状態を示す図である。
【0021】
制御装置102は、図8(A)に示すように、路面サーフェス6bと複写した地形サーフェス7bとの交差位置8aを特定し、図8(B)に示すように、該交差位置にポリライン8bを生成する。そして、制御装置102は、図9に示すように、ポリライン8bと橋台モデル5aのフーチング前面との間の最短距離9aを取得する。
【0022】
制御装置102は、ポリライン8bと橋台モデル5aのフーチング前面との間の距離が最短距離9aになる位置にフーチング前面がくるように橋台モデル5aの測点位置を変更する。これによって、図10に示すように、橋台モデル5aの測点位置は、橋台モデル5a´の測点位置に変更される。
【0023】
制御装置102は、変更後の測点位置を現在の橋台の高さにおける配置位置として決定する。これによって、例えば、橋台モデル5a´の測点位置を橋台の高さが15mの場合の配置位置として特定することができる。そして、制御装置102は、上述した計算ピッチ(m)、最大橋台高さ(m)、および最小橋台高さ(m)に従って、それぞれの橋台の高さごとに上記の処理を実行することにより、各橋台高における橋台の配置位置を計算して特定することができる。例えば、制御装置102は、最大橋台高さ(m)から処理を開始し、その後、計算ピッチ(m)ずつ橋台高を下げながら最小橋台高さ(m)まで上記の処理を繰り返せばよい。
【0024】
制御装置102は、最大橋台高さ(m)から最小橋台高さ(m)の間の各高さに対して橋台の配置位置を算出した場合には、計算結果を表示装置104に一覧表示する。このとき、公知の方法により各配置位置に橋台を配置するために必要な工費や掘削土量を計算し、これらの計算結果も表示するようにしてもよい。また、工費が最小になる配置位置や掘削土量が最小になる配置位置がわかりやすいような表示方法にして、ユーザが工費が最小になる配置位置や掘削土量が最小になる配置位置を把握しやすくするようにしてもよい。図11は、橋台の高さごとの橋台の配置位置の計算結果の表示例を示す図である。なお、図11に示す表示例は一例であって、計算結果の表示方法はこれに限定されない。図11では、橋台の高さごとに、橋台の配置位置とともに、橋台の高さH、フーチング幅B、橋座幅+前フーチング幅B´、前面余裕幅S、支持層根入れ前方S´、土被りd、支持層根入れ上方d´の各寸法も表示されている。また、公知の方法で計算された工費や掘削土量などの情報も表示されている。さらに特記事項の欄には、「最大橋台高」、「最小橋台高」、「工費最小」、「土量最小」などの、ユーザが橋台高を決定する際に参考になる情報が表示されている。これによって、本実施の形態における橋台の配置位置検討支援装置100は、ユーザによる橋台高の検討を支援することができる。
【0025】
図12は、本形態における橋台の配置位置検討支援装置100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図12に示す処理は、ユーザによって橋台の配置位置の算出が指示されると起動するプログラムとして、制御装置102によって実行される。なお、図12においては、上述した計算ピッチ(m)、最大橋台高さ(m)、および最小橋台高さ(m)の各情報は事前に設定されているものとする。また、橋台の配置対象となる道路の道路線形や地形サーフェスのデータはあらかじめ用意されて記憶装置103に記録されているものとする。
【0026】
ステップS10において、制御装置102は、上述したように、道路線形上の任意の測点位置に橋台モデル5aを配置する。その後、ステップS20へ進む。
【0027】
ステップS20では、制御装置102は、上述したように、道路中心線を橋台モデル5aのパラペット方向にフーチング位置まで移動させて道路中心線を複写する。そして、制御装置102は、上述したように、複写中心線5cと5d、および複写中心線5cと5dの両端を結んだ直線により構成される枠を作成することにより、路面サーフェス5eを作成する。その後、ステップS30へ進む。
【0028】
ステップS30では、制御装置102は、上述したように、路面サーフェス5eを橋台モデルの高さ方向に橋台の高さH分移動させる。また、制御装置102は、路面サーフェス5eを橋台モデルの前面の直角方向にB´分移動させる。その後、ステップS40へ進む。
【0029】
ステップS40では、制御装置102は、上述したように、橋台モデルの測点位置周辺の地形サーフェスをコピーして、橋軸方向、すなわちフーチングの直角方向に前面余裕幅S分移動させる。その後、ステップS50へ進む。
【0030】
ステップS50では、制御装置102は、上述したように、路面サーフェス6bと複写した地形サーフェス7bとの交差位置8aを特定し、該交差位置にポリライン8bを生成する。その後、ステップS60へ進む。
【0031】
ステップS60では、制御装置102は、上述したように、ポリライン8bと橋台モデル5aのフーチング前面との間の最短距離9aを取得する。その後、ステップS70へ進む。
【0032】
ステップS70では、制御装置102は、上述したように、ポリライン8bと橋台モデル5aのフーチング前面との間の距離が最短になる位置にフーチング前面がくるように橋台モデル5aの測点位置を変更する。その後、ステップS80へ進む。
【0033】
ステップS80では、制御装置102は、計算ピッチ(m)、最大橋台高さ(m)、および最小橋台高さ(m)に従って、全ての橋台の高さについて橋台の高さにおける配置位置を計算するための処理が完了したか否かを判断する。ステップS80で否定判断した場合には、ステップS10へ戻って未完了の橋台高に対する処理を行う。これに対して、ステップS80で肯定判断した場合には、ステップS90へ進む。
【0034】
ステップS90では、制御装置102は、上述したように、計算結果を表示装置104に出力して一覧表示する。その後、処理を終了する。
【0035】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)制御装置102は、道路線形上の測点位置に橋台モデルを配置し、道路中心線を橋台モデルのパラペット方向にフーチング位置まで移動させて道路中心線を複写し、複写した道路中心線に基づいて路面サーフェスを作成し、作成した路面サーフェスを、橋台モデルの高さ方向に橋台の高さ分移動させるとともに、橋台モデルの前面の直角方向に橋座幅+前フーチング幅分移動させるようにした。そして、制御装置102は、橋台モデルの測点位置周辺の地形サーフェスをコピーして、コピーした地形サーフェスをフーチングの直角方向に前面余裕幅分移動させ、橋台モデルの前面の直角方向に移動された路面サーフェスと地形サーフェスとの交差位置を特定し、特定した交差位置にポリラインを作成して、作成したポリラインと橋台モデルのフーチング前面との間の最短距離を取得するようにした。制御装置102は、取得した最短距離位置にフーチング前面がくるように橋台モデルの測点位置を変更して、変更後の橋台モデルの測点位置をその橋台の高さに応じた配置位置として決定するようにした。これによって、橋台の高さに応じた橋台の配置位置を求めることができるため、橋台の配置位置の検討を支援するための仕組みを提供することができる。
【0036】
(2)橋台の最大高さと最小高さがあらかじめ設定されており、制御装置102は、橋台の最大高さから最小高さまでの高さを対象として、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を求めるようにした。これによって、橋台の最大高さから最小高さまでの間の高さを対象として橋台の配置位置を求めることができる。
【0037】
(3)制御装置102は、橋台の最大高さから最小高さまでの高さを対象として、あらかじめ設定されている計算ピッチに基づいて橋台の高さを設定して、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を求めるようにした。これによって、橋台の最大高さから最小高さまでの間の高さを対象として計算ピッチとして設定された高さ間隔で橋台の配置位置を求めることができる。
【0038】
(4)制御装置102は、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置を一覧表示するようにした。これによって、ユーザは、橋台の高さに応じた配置位置を把握することができる。
【0039】
(5)制御装置102は、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置ごとに、その位置に橋台を配置するために必要な工費や掘削土量を算出するようにした。これによって、橋台の配置位置ごとに工費や掘削土量を求めることができる。
【0040】
(6)制御装置102は、それぞれの高さに応じた橋台の配置位置に対応付けで工費や掘削土量を一覧表示するようにした。これによって、ユーザは、橋台の配置位置ごとの工費や掘削土量を把握することができる。
【0041】
(7)制御装置102は、工費が最小になる配置位置や掘削土量が最小になる配置位置をユーザが把握しやすいような表示方法で表示するようにした。これによって、ユーザは工費が最小になる配置位置や掘削土量が最小になる配置位置を考慮して橋台の配置位置を検討することができるため、ユーザの橋台の配置位置の検討を支援することができる。
【0042】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の橋台の配置位置検討支援装置100は、以下のように変形することもできる。
【0043】
(1)上述した実施の形態では、橋台の配置位置検討支援装置100としては、例えば、サーバ装置やパソコン等が用いられる例について説明した。しかしながら、上述した処理を実行することができる装置であれば、サーバ装置やパソコンには限定されない。
【0044】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
100 橋台の配置位置検討支援装置
101 操作部材
102 制御装置
103 記録装置
104 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12