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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151225
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】土木構造物
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20231005BHJP
   E02D 29/02 20060101ALI20231005BHJP
   E02B 7/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E02D17/20 101
E02D29/02
E02B7/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060721
(22)【出願日】2022-03-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)JFE建材株式会社の顧客訪問営業記録令和3年12月10日,令和3年12月13日 (2)JFE建材株式会社のメーリングリストの登録者へのメール令和3年12月13日 (3)JFE建材株式会社のウェブサイト掲載令和4年1月7日 https://www.jfe-kenzai.co.jp/newsrelease/pdf/210107.pdf
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 裕介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智和
【テーマコード(参考)】
2D044
2D048
【Fターム(参考)】
2D044DB45
2D048AA72
(57)【要約】
【課題】土木構造物において種々異なる角度で取り付けられる根入れ枠の形成に柔軟に対応する。
【解決手段】本発明に係る土木構造物1は、複数の鋼製枠10と、幅方向Wにおける両端に位置する鋼製枠10の少なくとも一方に連結されていて地盤に根入れされる鋼製の根入れ枠50と、を備え、根入れ枠50は、一方の端部で高さ方向Hにおいて上側に連結される鋼製枠10の下端部に連結されていてかつ他方の端部で幅方向Wにおいて連結される鋼製枠10の下端部に連結されていて斜めに延びる斜材61aを有し、高さ方向Hにおいて上側に連結される鋼製枠10の梁材23bは、斜材61aと幅方向Wにおいて連結される鋼製枠10の斜材61aの他方の端部が連結される柱材21aとの外角の角度に応じて斜材61aの一方の端部の連結を可能にする位置に連結の用に供される複数の孔23dを幅方向Wに沿って有することを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向及び該高さ方向に交差する一の交差方向に互いに連結された複数の鋼製枠と、
前記一の交差方向における両端に位置する前記鋼製枠の少なくとも一方に連結されていて地盤に根入れされる鋼製の根入れ枠と、
を備え、
前記根入れ枠は、前記高さ方向において上側に連結される鋼製枠の下端部に一方の端部で直接的に連結されていてかつ他方の端部で前記一の交差方向において連結される鋼製枠の下端部に直接的に連結されていて斜めに延びる鋼製の斜材を有し、
前記高さ方向において上側に連結される鋼製枠の枠材のうち前記斜材が連結される枠材は、前記斜材と前記一の交差方向において連結される前記鋼製枠の枠材のうち前記斜材の他方の端部が連結される枠材との外角の角度に応じて前記斜材の一方の端部の連結を可能にする位置に連結の用に供される複数の孔を前記一の交差方向に沿って有する
ことを特徴とする土木構造物。
【請求項2】
前記外角の角度を「θ(90<θ<180)」とした場合に、前記斜材と前記高さ交差方向において連結される前記鋼製枠の枠材のうち前記斜材の他方の端部が連結される枠材との外角の角度が「270-θ」又は内角の角度が「-90+θ」であることを特徴とする請求項1に記載の土木構造物。
【請求項3】
前記斜材は、前記一方の端部の側に前記一の交差方向に沿って延びる延長部を有し、前記延長部は、前記複数の孔の少なくとも1つの孔と重なる位置に、前記枠材との連結のように供される孔を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の土木構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、治山工事や砂防工事その他一般の土木工事において、堰堤、土留、擁壁等として、地山に設置される土木構造物が知られている。土木構造物は、鋼製枠と、石材(中詰材)と、を備え、鋼製枠同士は、上下左右に互いに連結されている。鋼製枠は、鋼製の柱材、水平材及び繋ぎ材によって立体形状の骨格を作り、その骨格の一部の面にスクリーン材を設けてユニット単位に組み立てられており、石材は、鋼製枠の内部に充填されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1における土木構造物において鋼製枠は、左右両端部が階段状になるように上下に積み重ねて互いに連結されている。土木構造物の左右の端部には、傾斜する地形線に沿って根入れする深さだけ掘られた地盤の部分と、土木構造物において階段形状をなす端部との間の空所を埋めるのに必要な形状、大きさ等に合わせて形成された補助鋼製枠(根入れ枠)が連結されている。
【0004】
補助鋼製枠は、土木構造物の左右の端部における鋼製枠の外側の柱材の各下端部に傾斜する鋼製斜材と、鋼製斜材の間を接続するスクリーン材とにより全体形状が籠状(バスケット状)に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-168886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、補助鋼製枠を有する土木構造物を設置する場合、補助鋼製枠に沿って根入れする量だけ地盤(地山)を掘削(余掘り)する必要がある。掘削する基準となる設計上の掘削線は、補助鋼製枠の鋼製斜材に沿って定められることがある。鋼製斜材は、設置される現場の地山の斜面の傾斜角度に応じて種々異なる取付け角度において、他の鋼製自由枠等に連結されている。
【0007】
鋼製斜材は、種々異なる取付け角度毎に別体の取付けプレートを介して鋼製自由枠に連結されることになるが、取付けプレートの側に、鋼製斜材及び鋼製自由枠との連結の用に供される孔が必要になる。連結孔の位置は、取付け角度を変更する度に連結用の孔の位置も変更する必要があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、土木構造物において種々異なる角度で取り付けられる根入れ枠の形成に柔軟に対応することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る土木構造物は、高さ方向及び該高さ方向に交差する一の交差方向に互いに連結された複数の鋼製枠と、前記一の交差方向における両端に位置する前記鋼製枠の少なくとも一方に連結されていて地盤に根入れされる鋼製の根入れ枠と、を備え、前記根入れ枠は、前記高さ方向において上側に連結される鋼製枠の下端部に一方の端部で直接的に連結されていてかつ他方の端部で前記一の交差方向において連結される鋼製枠の下端部に直接的に連結されていて斜めに延びる鋼製の斜材を有し、前記高さ方向において上側に連結される鋼製枠の枠材のうち前記斜材が連結される枠材は、前記斜材と前記一の交差方向において連結される前記鋼製枠の枠材のうち前記斜材の他方の端部が連結される枠材との外角の角度に応じて前記斜材の一方の端部の連結を可能にする位置に連結の用に供される複数の孔を前記一の交差方向に沿って有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る土木構造物の一態様においては、前記外角の角度を「θ(90<θ<180)」とした場合に、前記斜材と前記高さ交差方向において連結される前記鋼製枠の枠材のうち前記斜材の他方の端部が連結される枠材との外角の角度が「270-θ」又は内角の角度が「-90+θ」であってもよい。
【0011】
また、本発明に係る土木構造物の一態様においては、前記斜材は、前記一方の端部の側に前記一の交差方向に沿って延びる延長部を有し、前記延長部は、前記複数の孔の少なくとも1つの孔と重なる位置に、前記枠材との連結のように供される孔を有していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、土木構造物において種々異なる角度で取り付けられる根入れ枠の形成に柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る土木構造物を示す概略的な正面図である。
図2A】本発明に係る土木構造物の幅方向Wにおける一方の端部を示す正面図である。
図2B】本発明に係る土木構造物の側面図である。
図3】最下段の補強枠が連結された一の鋼製枠の構成を説明するための斜視図である。
図4】最上段の鋼製枠の平面図である。
図5】最下段の鋼製枠の底面図である。
図6】根入れ枠を下流側から見た正面図である。
図7A】斜材の構成を説明するために一部拡大した正面図である。
図7B】斜材の構成を説明するために一部拡大した背面図である。
図7C】斜材の構成を説明するための平面断面図である。
図7D】斜材を正面下方から見た斜視図である。
図7E】斜材の構成を説明するための背面斜視図である。
図8】根入れ枠を上流側から見た背面図である。
図9】変形例1に係る斜材を説明するための図である。
図10】変形例2に係る斜材を説明するための図である。
図11】変形例3に係る斜材を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
【0015】
本発明に係る土木構造物1は、傾斜地の斜面に設置され、堰堤、土留、擁壁等として使用される。例えば、本発明に係る土木構造物1は、渓谷間において川幅方向に設置されて、上流から流れてくる土石流等を堰き止める。
【0016】
<土木構造物の構成>
図1は、本発明に係る土木構造物1を示す概略的な正面図である。本発明に係る土木構造物1は、鋼製枠10と、補強枠30と、根入れ枠50と、中詰材(図示せず)と、を備え、屈撓性・透水性に優れており、工期短縮や通年施工が可能である。
【0017】
土木構造物1は、複数の鋼製枠10を所定の高さになるように高さ方向Hに積み重ねて連結されているとともに、幅方向W及び奥行き方向Dに互いに連結されてなる。なお、説明の便宜上、土木構造物1が堰堤として設置された状態において、土木構造物1の上下方向を「高さ方向H」、川幅に沿って延びる土木構造物1の方向を「幅方向W」、河川の流れに沿って延びる土木構造物1の方向を「奥行き方向D」とする。なお、土木構造物1が土留、擁壁として設置された場合、幅方向Wは、地山等の法面に沿って連続する方向であり、奥行き方向Dは、地山等の法面に向かう方向である。
【0018】
本発明に係る土木構造物1は、高さ方向H及び該高さ方向Hに交差する幅方向(一の交差方向)Wに互いに連結された複数の鋼製枠10と、幅方向Wにおける両端に位置する鋼製枠10の少なくとも一方に連結されていて地盤に根入れされる鋼製の根入れ枠50と、を備え、根入れ枠50は、高さ方向Hにおいて上側に連結される鋼製枠10の下端部に一方の端部で直接的に連結されていてかつ他方の端部で幅方向Wにおいて連結される鋼製枠10の下端部に直接的に連結されていて斜めに延びる鋼製の斜材61a,61bを有し、高さ方向Hにおいて上側に連結される鋼製枠10の梁材(枠材)23b,25bは、斜材61a,61bと幅方向Wにおいて連結される鋼製枠10の斜材61a,61bの他方の端部が連結される柱材(枠材)21a,21bとの外角の角度に応じて斜材61a,61bの一方の端部の連結を可能にする位置に連結の用に供される複数の孔23d,25dを幅方向Wに沿って有することを特徴とする。以下に本発明に係る土木構造物1について具体的に説明する。
【0019】
図2Aは、本発明に係る土木構造物1の幅方向Wにおける一方の端部を示す正面図である。図2Bは、本発明に係る土木構造物1の側面図である。本実施の形態に係る土木構造物1は、高さ方向Hに鋼製枠10が4段重ねられている。下側の3段の鋼製枠10は、側面視において台形又は略台形に形成されており、最上段の鋼製枠10は、側面視において矩形又は略矩形に形成されている。土木構造物1の設置状態において、下側3段の鋼製枠10における下流に面する側は、斜めに傾斜している。土木構造物1全体として、最下段の鋼製枠10の下流に面する面が3段目の鋼製枠10に向かって上流側に傾斜している。下側3段の鋼製枠10における上流に面する側は、高さ方向Hにおいて鉛直又は略鉛直方向に延びている。土木構造物1の奥行き方向Dにおける寸法は、高さ方向Hに沿って下側から上側にいくに連れて小さくなっている。
【0020】
最上段の鋼製枠10は、下から3段目の鋼製枠10の上側に連結されている。最上段の鋼製枠10における上流に面する側及び下流に面する側は、鉛直又は略鉛直方向に延びている。最上段の鋼製枠10の奥行き方向Dにおける寸法は、3段目における鋼製枠10の天面の奥行き方向Dにおける寸法と同じである。最上段の鋼製枠10は、水通し部2(図1参照)が形成されるように、中央において幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。補強枠30は、側面視において矩形又は略矩形に形成されていて、下側2段の鋼製枠10に幅方向Wに沿って上流に面する側で鋼製枠10に連結されている。
【0021】
本発明に係る土木構造物1は、河川に堰堤として設置された状態において、地山の斜面に対応した形状を有している(図1参照)。例えば、本実施の形態に係る土木構造物1は、高さ方向Hに沿って下側から上側に向かって幅方向Wに広がりをもって逆三角形状に構成されており、幅方向Wに連結されている鋼製枠10の数は、各段において異なる。例えば、下段の鋼製枠10の数は、幅方向Wの両端において、相対的に上段の鋼製枠10よりも1つだけ少ない。
【0022】
根入れ枠50は、各段における鋼製枠10の幅方向Wにおける両端部に連結されている。根入れ枠50は、正面視において三角形状又は略三角形状に形成されている。根入れ枠50は、土木構造物1において地山の形状に合わせて斜面に沿って形成されている。土木構造物1は、設置状態において、幅方向Wにおける両端部の根入れ枠50及び根入れ枠50に近い側の幾つかの鋼製枠10並びに河川の底側で地盤に埋め戻されている。
【0023】
[鋼製枠]
図3は、最下段の補強枠30が連結された一の鋼製枠10の構成を説明するための斜視図である。鋼製枠10は、鋼製の枠材を立体的に組み合わせてなる、幅方向Wに面する左側面部11a及び右側面部11bと、奥行き方向Dに面する前面部12a及び後面部12bと、高さ方向Hに面する天面部13a及び底面部13bを有する六面体の枠である。なお、以下では、土木構造物1において最下段に設置される鋼製枠10を例に説明する。
【0024】
(左側面部、右側面部)
左側面部11aは、下流側から見て左側にある端面であり、右側面部11bは、下流側から見て右側にある端面である。左側面部11a及び右側面部11bは台形状に形成されている。左側面部11aは、柱材(枠材)21a,21bと、繋ぎ材(枠材)22a,22bと、によって画定されている。柱材21a,21bは、例えば、H形鋼により形成されていて、高さ方向Hに立設されている。柱材21aは、奥行き方向Dにおいて柱材21bに対して下流に面する側に位置し、柱材21bは、奥行き方向Dにおいて柱材21aに対して上流に面する側に位置する。
【0025】
繋ぎ材22aは、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されている。繋ぎ材22aは、継手板14を介して柱材21aと柱材21bとを奥行き方向Dに連結している。繋ぎ材22aは、高さ方向Hにおいて柱材21a及び柱材21bそれぞれの上側の端部(以下、「上端部」ともいう)において柱材21aと柱材21bとを互いに連結している。
【0026】
繋ぎ材22bは、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されている。繋ぎ材22bは、継手板15を介して柱材21aと柱材21bとを連結している。繋ぎ材22bは、高さ方向Hにおいて柱材21a及び柱材21bそれぞれの下側の端部(以下、「下端部」ともいう)において奥行き方向Dに柱材21aと柱材21bとを互いに連結している。
【0027】
柱材21aと柱材21bとは奥行き方向Dにおいてさらにブレース16により連結されている。具体的には、ブレース16は、一端において継手板14を介して柱材21aの上端部に連結されており、他端において継手板15を介して柱材21bの下端部に連結されていて、柱材21aと柱材21bととの間を斜めに延びている。上記の柱材21a,21b及び繋ぎ材22a,22b同士は、ボルト及びナットにより連結されているが特に限定されず、ピンにより連結されてもよい。
【0028】
左側面部11a及び右側面部11bにおいて、柱材21aと繋ぎ材22aとがなす角度は鈍角であり、柱材21aと繋ぎ材22bとがなす角度は鋭角である。さらに、左側面部11a及び右側面部11bにおいて、柱材21bと繋ぎ材22aとがなす角度は直角又は略直角であり、柱材21bと繋ぎ材22bとがなす角度は直角又は略直角である。
【0029】
(前面部)
前面部12aは下流側に面し、平面視において矩形状に形成されている。前面部12aは、2本の柱材21aと、梁材(枠材)23a,23bと、によって画定されている。2本の柱材21aは、幅方向Wに互いに所定の間隔をあけて設けられている。
【0030】
梁材23aは、例えば、H形鋼により形成されている。梁材23aは、2本の柱材21a同士をその上端部において幅方向Wに連結している。具体的には、梁材23aは、柱材21aのH形鋼のフランジの間に挿入されていて、梁材23aの側のフランジと、柱材21aの側のフランジとが互いに連結されている。梁材23aは、複数の連結孔23cを有する。連結孔23cは、ウェブを挟んで対をなして、かつ、幅方向Wにおいて所定の間隔をあけて形成されている。連結孔23cは、後述する前面材24の連結の用に供されている。なお、土木構造物1において最上段の鋼製枠10における梁材23aは、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されていて、連結孔23cは、後述する天面材26の連結の用に供されている。
【0031】
梁材23bは、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されている。梁材23bは、2本の柱材21a同士をその下端部において幅方向Wに互いに連結している。梁材23bは、複数の連結孔23dを有する。連結孔23dは、ウェブを挟んで対をなして、かつ、幅方向Wにおいて所定の間隔をあけて形成されている。連結孔23dは、後述する前面材24、底面材27、斜材61a及び前面材64aの連結の用に供されている。なお、土木構造物1において最下段の以外の鋼製枠10における梁材23bは、例えば、H形鋼により形成されている。
【0032】
前面部12aは、後述する中詰材が鋼製枠10から流出することを防止するための複数の前面材24を幅方向Wに所定の間隔をあけて有する。前面材24は、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されている。前面材24は、一端が梁材23aに連結されていて、他端が梁材23bに連結されている。上記の柱材21a、梁材23a,23b及び前面材24同士は、ボルト及びナットにより連結されているが特に限定されず、ピンにより連結されてもよい。
【0033】
(後面部)
後面部12bは上流側に面し、平面視において矩形状に形成されている。後面部12bは、2本の柱材21bと、梁材(枠材)25a,25bと、によって画定されている。2本の柱材21bは、幅方向Wに互いに所定の間隔をあけて設けられている。
【0034】
梁材25aは、例えば、H形鋼により形成されている。梁材25aは、2本の柱材21b同士をその上端部において幅方向Wに連結している。梁材25aは、複数の連結孔25cを有する。連結孔25cは、ウェブを挟んで対をなして、かつ、幅方向Wにおいて所定の間隔をあけて形成されている。連結孔25cは、土木構造物1において上側2段の鋼製枠10においては後面材(図示せず)の連結の用に供されている。なお、土木構造物1において最上段の鋼製枠10における梁材25aは、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されており、連結孔25cは、後述する天面材26(図4参照)の連結の用に供されている。
【0035】
梁材25bは、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されている。梁材25bは、2本の柱材21b同士をその下端部において幅方向Wに互いに連結している。梁材25bは、複数の連結孔25dを有する。連結孔25dは、幅方向Wにおいて所定の間隔をあけて形成されている。連結孔25dは、後述する底面材27、後面材64b及び斜材61bの連結の用に供されている。なお、土木構造物1において最下段の以外の鋼製枠10における梁材25bは、例えば、H形鋼により形成されていて、下側2段以外の鋼製枠10の連結孔25dは、後述する後面材(図示せず)の連結の用に供される。
【0036】
土木構造物1のうち、高さ方向Hにおいて上側2段の鋼製枠10の後面部12bは、後述する中詰材が鋼製枠10から流出することを防止するための複数の後面材(図示せず)を幅方向Wに所定の間隔をあけて有する。後面材は、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されている。後面材は、一端が梁材25aに連結されていて、他端が梁材25bに連結されている。土木構造物1のうち、高さ方向Hにおいて下側2段の鋼製枠10においては、後述する補強枠30が連結されるため後面材は設けられていない。上記の柱材21b、梁材25a,25b及び後面材同士は、ボルト及びナットにより連結されているが特に限定されず、ピンにより連結されてもよい。
【0037】
(天面部)
天面部13aは、高さ方向Hにおいて上側に面し、平面視において矩形状に形成されている。天面部13aは、繋ぎ材22aと、梁材23a,25aとによって画定されている。本実施の形態においては、幅方向Wにおいて3個所に繋ぎ材22aが設けられている。各個所において2本の繋ぎ材22aが互いに背中合わせで設けられている。真ん中の繋ぎ材22aは、奥行き方向Dにおいて梁材23aと梁材25aとに連結されている。
【0038】
図4は、最上段の鋼製枠10の平面図である。土木構造物1のうち、高さ方向Hにおいて最上段の鋼製枠10の天面部13aは、後述する中詰材が鋼製枠10から流出することを防止するための複数の天面材26を有する。天面材26は、梁材23a,25aとの間で、幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。高さ方向Hにおいて最上段以外の鋼製枠10は、天面材26を有していない。
【0039】
天面材26は、例えば、長手方向に交差した断面形状が矩形又は略矩形の平鋼により形成されている。天面材26は、一端が梁材23aに連結されていて、他端が梁材25aに連結されている。上記の繋ぎ材22a及び梁材23a,25a同士は、ボルト及びナットにより連結されているが特に限定されず、ピンにより連結されてもよい。
【0040】
(底面部)
図5は、最下段の鋼製枠10の底面図である。底面部13bは、高さ方向Hにおいて下側に面し、平面視において矩形状に形成されている。底面部13bは、繋ぎ材22bと、梁材23bと、梁材25bとによって画定されている。本実施の形態においては、幅方向Wにおいて3個所に繋ぎ材22bが設けられている。各個所において2本の繋ぎ材22bが互いに背中合わせで設けられている。真ん中の底繋ぎ材22bは、奥行き方向Dにおいて梁材23bと梁材25bとに連結されている。底面部13bは、後述する中詰材が鋼製枠10から流出することを防止するための複数の底面材27を有する。底面材27は、梁材23bと梁材25bとの間で、幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。高さ方向Hにおいて最下段以外の鋼製枠10は、底面材27を有していない。
【0041】
底面材27は、例えば、長手方向に交差した断面形状が矩形又は略矩形の平鋼により形成されている。底面材27は、一端が梁材23bに連結されていて、他端が梁材25bに連結されている。上記の繋ぎ材22b、梁材23b,25b同士は、ボルト及びナットにより連結されているが特に限定されず、ピンにより連結されてもよい。
【0042】
[補強枠]
補強枠30は、高さ方向Hにおいて下側1段目及び2段目の鋼製枠10の上流側に設けられている。つまり、補強枠30は、鋼製枠10の後面部12bの側に設けられている。補強枠30は、鋼製の枠材を立体的に組み合わせてなる、幅方向Wに面する左側面部31a及び右側面部31bと、奥行き方向Dに面する後面部32と、高さ方向Hに面する天面部33a及び底面部33bを有する枠である。なお、以下では、土木構造物1において最下段に設置される鋼製枠10に設けられている補強枠30について説明する。
【0043】
(左側面部、右側面部)
左側面部31aは、下流側から見て左側にある端面であり、右側面部31bは、下流側から見て右側にある端面である。左側面部31a及び右側面部31bは矩形状に形成されている。左側面部31aは、柱材21bと、柱材41と、繋ぎ材42a,42bと、によって画定されている。柱材41はそれぞれ、例えば、H形鋼により形成されていて、高さ方向Hに立設されている。柱材41は、鋼製枠10の柱材21bに対して上流側に立設されている。
【0044】
繋ぎ材42aは、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されている。繋ぎ材42aは、高さ方向Hにおいて柱材41及び柱材21bそれぞれの上側の端部(以下、「上端部」ともいう)において柱材41と柱材21bとを互いに連結している。繋ぎ材42bは、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されている。繋ぎ材42bは、高さ方向Hにおいて柱材41及び柱材21bそれぞれの下側の端部(以下、「下端部」ともいう)において奥行き方向Dに柱材21aと柱材21bとを互いに連結している。
【0045】
補強枠30のうち幅方向Wにおいて両端にそれぞれ設けられた補強枠30の左側面部31a及び右側面部31bは、後述する中詰材が補強枠30から流出することを防止するための複数の側面材36(図2B参照)を幅方向Wに所定の間隔をあけて有する。側面材36は、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されている。側面材36は、一端が柱材41に連結されていて、他端が柱材21bに連結されており、柱材41と柱材21bとの間に設けられている。
【0046】
(後面部)
補強枠30において、柱材41と、梁材43a,43bとによって、上流側に面する後面部32が画定されている。梁材43aは、例えば、H形鋼により形成されている。梁材43aは、2本の柱材41同士をその上端部において幅方向Wに連結している。梁材45aは、複数の連結孔45cを有する。連結孔45cは、ウェブを挟んで対をなして、かつ、幅方向Wにおいて所定の間隔をあけて形成されている。連結孔45cは、後述する後面材46の連結の用に供されている。なお、土木構造物1において上段の補強枠30における梁材45aは、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されている。
【0047】
梁材43bは、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されている。梁材43bは、2本の柱材41同士をその下端部において幅方向Wに互いに連結している。梁材43bは、複数の連結孔43dを有する。連結孔43dは、幅方向Wにおいて所定の間隔をあけて形成されている。連結孔43dは、後述する後面材46の連結の用に供されている。なお、土木構造物1において上段の補強枠30における梁材43bは、例えば、H形鋼により形成されている。
【0048】
後面部32は、後述する中詰材が補強枠30から流出することを防止するための複数の後面材46を幅方向Wに所定の間隔をあけて有する。後面材46は、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の溝形鋼により形成されている。後面材46は、一端が梁材43aに連結されていて、他端が梁材43bに連結されている。
【0049】
(天面部)
天面部33aは、高さ方向Hにおいて上側に面し、平面視において矩形状に形成されている。天面部33aは、繋ぎ材42aと、梁材43a,梁材25aとによって画定されている。本実施の形態においては、幅方向Wにおいて3個所に繋ぎ材42aが設けられている。各個所において2本の繋ぎ材42aが互いに背中合わせで設けられている。真ん中の繋ぎ材42aは、奥行き方向Dにおいて梁材43a,25aに連結されている。
【0050】
土木構造物1のうち、高さ方向Hにおいて上段の補強枠30の天面部33aは、後述する中詰材が補強枠30から流出することを防止するための複数の天面材(図示せず)を有する。天面材は、梁材43aと梁材25aとの間で、幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。高さ方向Hにおいて下段の補強枠30は、面材を有していない。
【0051】
天面材は、例えば、長手方向に交差した断面形状が矩形又は略矩形の平鋼により形成されている。天面材は、一端が梁材43aに連結されていて、他端が梁材25aに連結されている。上記の繋ぎ材42a、梁材43a及び梁材25a同士は、ボルト及びナットにより連結されているが特に限定されず、ピンにより連結されてもよい。
【0052】
(底面部)
底面部33bは、高さ方向Hにおいて下側に面し、平面視において矩形状に形成されている。底面部33bは、繋ぎ材42bと、梁材43b,梁材25bとによって画定されている。本実施の形態においては、幅方向Wにおいて3個所に繋ぎ材42bが設けられている。各個所において2本の繋ぎ材42bが互いに背中合わせで設けられている。真ん中の繋ぎ材42bは、奥行き方向Dにおいて梁材43b,25bに連結されている。
【0053】
土木構造物1のうち、高さ方向Hにおいて下段の補強枠30の底面部33bは、後述する中詰材が補強枠30から流出することを防止するための複数の底面材47を有する。底面材47は、梁材43bと梁材25bとの間で、幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。高さ方向Hにおいて上段の補強枠30は、底面材47を有していない。
【0054】
底面材47は、例えば、長手方向に交差した断面形状が矩形又は略矩形の平鋼により形成されている。底面材47は、一端が梁材43bに連結されていて、他端が梁材25bに連結されている。上記の繋ぎ材42b、梁材43b及び梁材25a同士は、ボルト及びナットにより連結されているが特に限定されず、ピンにより連結されてもよい。
【0055】
[根入れ枠]
図6は、根入れ枠50を下流側から見た正面図である。根入れ枠50は、土木構造物1における鋼製枠10の各段に設けられている。具体的には、根入れ枠50は、各段の幅方向Wにおいて両端に設けられた鋼製枠10と、上段の幅方向Wにおいて両端に設けられた鋼製枠10との間に設けられている。根入れ枠50は、鋼製枠10に連結された状態において、前面部51aと、後面部51bと、底面部(斜面部)52(図2A及び図2B参照)と、を有する。なお、根入れ枠50は、各段の幅方向Wにおいて両端に設けられた鋼製枠10の一方にのみ設けられていてもよい。
【0056】
(前面部)
前面部51aは下流側に面し、平面視において三角形状に形成されている。前面部51aは、幅方向Wに隣接する鋼製枠10の柱材21aと、高さ方向Hに隣接する鋼製枠10の梁材23bと、斜材61aとによって画定されている。斜材61aは、幅方向Wに隣接する鋼製枠10の柱材21aの下端部と、高さ方向Hに隣接する鋼製枠10の梁材23bとの間で斜めに延在している。具体的には、斜材61aは、高さ方向Hに隣接する2本の柱材21aのうち幅方向Wにおいて自由端の側にある柱材21aの側で梁材23bと連結されている。
【0057】
図7Aは、斜材61a,61bの構成を説明するために一部拡大した正面図である。図7Bは、斜材61a,61bの構成を説明するために一部拡大した背面図である。図7Cは、斜材61a,61bの構成を説明するための平面断面図である。図7Dは、斜材61a,61bの構成を説明するための正面斜視図である。図7Eは、斜材61a,61bの構成を説明するための背面斜視図である。本発明に係る斜材61a,61bは、鋼製枠10の柱材21a,21bのフランジの間に格納されている。
【0058】
斜材61aは、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されており、互いに直角又は略直角をなす壁部66a,66bを有する。斜材61aが他部材と連結された状態(以下、「連結状態」ともいう)において、壁部66aは下流側に面しており、壁部66bは、高さ方向Hにおいて下側かつ幅方向Wにおいて側方に斜め下側に面している。
【0059】
斜材61aは、連結部63aと、傾斜部65aと、を有する。連結状態において、連結部63aは、柱材21aに直接的に連結される部分であり、柱材21aのフランジ間に挿入されていて、柱材21aの長手方向(延在方向)に沿って延びている。斜材61aは、傾斜部65aの壁部66aに複数の孔61cを有し、孔61cを通じて、一端の側で下流側に面する柱材21aのフランジに直接的に連結されていて、他端の側で上段の梁材23bに連結されている。斜材61aの連結部63aにおける柱材21aとの連結個所C1は、柱材21aのウェブを挟んで反対側における梁材23bとの連結個所C2と高さ方向Hにおいて同じ又は略同じ位置にある。
【0060】
傾斜部65aは、一端において、上段の梁材23bに連結されおり、他端において、連結部63aに接続している。斜材61aは、一端の側の孔61cと梁材23bに形成された連結孔23dとを整合させてボルト及びナット等の連結具を挿通させて上段の鋼製枠10に連結されている。
【0061】
傾斜部65aは、連結部63aに対して、所定の角度をなして上段の梁材23bに向かって延びている部分である。なお、連結部63aに対する傾斜部65aの角度は、適宜設定することができる。傾斜部65aにおいて壁部66bは、高さ方向Hにおいて壁部66aの下側の縁から上流側に向かって延びている。傾斜部65aにおいて壁部66bの長手方向の延長線上には連結部63aと柱材21aとの連結個所C1があり、さらに、この延長線は、柱材21aのウェブの下端に一致する。傾斜部65aと高さ方向Hにおいて連結される鋼製枠10の梁材23bとの外角の角度は、連結部63aと傾斜部65aとがなす角度を「θ」(90<θ<180)とした場合、「270-θ」を満たすようになっている(図6参照)。なお、角度θは、傾斜部65aとこの傾斜部65aの一端が連結される鋼製枠10の柱材21aとがなす外角の角度に一致又は略一致する。
【0062】
前面部51aは、後述する中詰材が根入れ枠50から流出することを防止するための複数の前面材64aを幅方向Wに所定の間隔をあけて有する。前面材64aは、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されている。前面材64aは、一端が梁材23bに連結されていて、他端が斜材61aの傾斜部65aに連結されている。
【0063】
(後面部)
図8は、根入れ枠50を上流側から見た背面図である。後面部51bは上流側に面し、平面視において三角形状に形成されている。後面部51bは、幅方向Wに隣接する鋼製枠10の柱材21bと、高さ方向Hに隣接する鋼製枠10の梁材25bと、材61bとによって画定されている。斜材61bは、幅方向Wに隣接する鋼製枠10の柱材21bの下端部と、高さ方向Hに隣接する鋼製枠10の梁材25bとの間で斜めに延在している。具体的には、斜材61bは、高さ方向Hに隣接する2本の柱材21bのうち幅方向Wにおいて自由端の側にあるの柱材21bの側で梁材25bと連結されている。
【0064】
斜材61bは、例えば、長手方向に交差した断面形状がL字形又は略L字形の山形鋼により形成されており、互いに直角又は略直角をなす壁部67a,67bを有する。斜材61bが他部材と連結された状態(以下、「連結状態」ともいう)において、壁部67aは上流側に面しており、壁部67bは、高さ方向Hにおいて下側かつ幅方向Wにおいて側方に斜め下側に面している。
【0065】
斜材61bは、連結部63bと、傾斜部65bと、を有する。連結状態において、連結部63bは、柱材21bに直接的に連結される部分であり、柱材21bのフランジ間に挿入されていて、柱材21bの長手方向(延在方向)に沿って延びている。斜材61bは、傾斜部65bの壁部66bに複数の孔61dを有し、孔61dを通じて、一端の側で下流側に面する柱材21bのフランジに直接的に連結されていて、他端の側で上段の梁材25bに連結されている。斜材61bの連結部63bにおける柱材21bとの連結個所C3は、柱材21aのウェブを挟んで反対側における梁材23bとの連結個所C4と高さ方向Hにおいて同じ又は略同じ位置にある。
【0066】
傾斜部65bは、一端において、上段の梁材25bに連結されおり、他端において、連結部63bに接続している。斜材61bは、一端の側の孔61dと梁材25bに形成された連結孔25dとを整合させてボルト及びナット等の連結具を挿通させて上段の鋼製枠10に連結されている。
【0067】
傾斜部65bは、連結部63bに対して、所定の角度をなして上段の梁材25bに向かって延びている部分である。なお、連結部63bに対する傾斜部65bの角度は、適宜設定することができる。傾斜部65bにおいて壁部67bは、高さ方向Hにおいて壁部67aの下側の縁から上流側に向かって延びている。傾斜部65bにおいて壁部67bの長手方向の延長線上には連結部63bと柱材21bとの連結個所C3があり、さらに、この延長線は、柱材21bのウェブの下端に一致する。傾斜部65bと高さ方向Hにおいて連結される鋼製枠10の梁材25bとの外角の角度は、連結部63bと傾斜部65bとがなす角度を「θ」(90<θ<180)とした場合、「270-θ」を満たすようになっている(図8参照)。なお、角度θは、傾斜部65bとこの傾斜部65bの一端が連結される鋼製枠10の柱材21bとがなす外角の角度に一致又は略一致する。
【0068】
後面部51bは、後述する中詰材が根入れ枠50から流出することを防止するための複数の後面材64bを幅方向Wに所定の間隔をあけて有する。後面材64bは、例えば、長手方向に交差した断面形状がU字形又は略U字形の溝形鋼により形成されている。後面材64bは、一端が梁材25bに連結されていて、他端が斜材61bの傾斜部65bに連結されている。
【0069】
(底面部)
底面部52は、高さ方向Hにおいて下側にかつ幅方向Wにおいて側方に斜めに面し、平面視において矩形状に形成されている。底面部52は、高さ方向Hにおいて上側に連結される鋼製枠10及び幅方向Wにおいて連結される鋼製枠10における繋ぎ材22bと、斜材61a,61bとによって画定されている。底面部52は、後述する中詰材が鋼製枠10から流出することを防止するための複数の底面材53を有する(図2B参照)。底面材53は、斜材61a,61bの間で、幅方向Wに所定の間隔をあけて設けられている。
【0070】
底面材53は、例えば、長手方向に交差した断面形状が矩形又は略矩形の平鋼により形成されている。底面材53は、一端が斜材61aの壁部66bに連結されていて、他端が斜材61bの壁部67bに連結されている。上記の繋ぎ材22b、斜材61a、斜材61b及び底面材53同士はそれぞれ、ボルト及びナットにより連結されているが特に限定されず、ピンにより連結されてもよい。
【0071】
[中詰材]
中詰材(図示せず)は、鋼製枠10、補強枠30及び根入れ枠50内にそれぞれ充填されている。中詰材としては、透水性の観点から玉石、割石等が用いられる。
【0072】
本発明に係る土木構造物1を設置する地山の傾斜に応じて、連結部63a,63bと傾斜部65a,65bとがなす角度θは種々異なり、地山の傾斜に合わせて適切な角度θを有する斜材61a,61bを準備する必要がある。本実施の形態によれば、斜材61a,61bが連結される、例えば、高さ方向Hにおいて上側に連結されている鋼製枠10の梁材23b,25bは、幅方向Wに沿って複数の連結孔23d,25dを有しているので、斜材61a,61bは、いずれかの連結孔23d,25dとの連結が可能になっている。
【0073】
土木構造物においては、地山の斜面に沿って根入れ枠の部分を地山に根入れする必要があり、地山を所定の深さだけ床掘りする必要がある。本発明に係る斜材61a,61bは、連結部63a,63bにおいて、鋼製枠10の柱材21a,21bのフランジの間に格納されており、柱材21a,21bの中心を通る中心線A1と、斜材61aの壁部66b及び斜材61bの壁部67bの延長線B1が柱材21a,21bの下端において交差している(図6図7A及び図8参照)。床掘する掘削ラインを、根入れ枠50の斜材61aの壁部66b及び斜材61bの壁部67bに一致又は略一致させてあるので、斜材61a,61bが鋼製枠10に対して、接近しており、床堀りする量を減じることができる。
【0074】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。例えば、斜材61a,61bは、それぞれ、梁材23b,25bに連結される他端に延長部を有していてもよい。以下に、図9図11を用いて、変形例に係る斜材について説明する。なお、以下では、上記実施の形態と同じ部分については、同じ名称に異なる符号を付して、説明を省略する。なお、図9図11においては、前面材64a及び後面材64bは、図示されていない。
【0075】
図9は、変形例1に係る斜材71a,71bを説明するための図である。変形例1に係る斜材71a,71bは、他端に延長部72a,72bを有する。延長部72a,72bは、斜材71a,71bの傾斜部75a,75bに対して所定の角度をなして、梁材23b,25bに沿って幅方向Wにおいて外側(斜面側)に延びている。延長部72a,72bは、斜材71a,71bに対して一体に又は別体に形成されている。
【0076】
連結部73a,73bと傾斜部75a,75bとが互いに角度θ(90°<θ<180°)をなしている場合、つまり、傾斜部75a,75bが鋼製枠10の柱材21a,21bに対して角度θ(90°<θ<180°)をなしている場合、延長部72a,72bは、傾斜部75a,75bに対して「270―θ」を満たす角度をなしている。
【0077】
延長部72a,72bは、連結状態において、梁材23b,25bと平行又は略平行に延びている。延長部72a,72bは、少なくとも1つの孔(図示せず)を有している。孔は、延長部72a,72bと傾斜部75a,75bとの移行部とは反対の側に設けられている。この孔は、連結状態において、梁材23b,25bに形成されたいずれかの連結孔23d,25dと整合するようになっている。
【0078】
図10は、変形例2に係る斜材81a,81bを説明するための図である。変形例2に係る斜材81a,81bは、他端に延長部82a,82bを有する。延長部82a,82bは、斜材81a,81bの傾斜部85a,85bに対して所定の角度をなして、梁材25a,25bに沿って幅方向Wにおいて内側(鋼製枠10の側)に延びている。延長部82a,82bは、斜材81a,81bに対して一体に又は別体に形成されている。
【0079】
連結部83a,83bと傾斜部85a,85bとが互いに角度θ(90°<θ<180°)をなしている場合、つまり、傾斜部85a,85bが鋼製枠10の柱材21a,21bに対して角度θ(90°<θ<180°)をなしている場合、延長部82a,82bは、傾斜部85a,85bに対して「-90+θ」を満たす(内角の)角度をなしている。
【0080】
延長部82a,82bは、連結状態において、梁材23b,25bと平行又は略平行に延びている。傾斜部85a,85bは、少なくとも1つの孔(図示せず)を有している。孔は、延長部82a,82bとの移行部と傾斜部85a,85bとの移行部とは反対の側に設けられている。この孔は、連結状態において、梁材23b,25bに形成されたいずれかの連結孔23d,25dと整合するようになっている。
【0081】
図11は、変形例3に係る斜材91a,91bを説明するための図である。変形例3に係る斜材91a,91bは、他端に延長部92a,92bを有する。延長部92a,92bは、斜材91a,91bの傾斜部95a,95bに交差して、梁材23b,25bに沿って幅方向Wにおいて外側(斜面側)及び内側(鋼製枠10の側)に延びている。延長部92a,92bは、斜材91a,91bに対して一体に又は別体に形成されている。
【0082】
連結部93a,93bと傾斜部95a,95bとが互いに角度θ(90°<θ<180°)をなしている場合、つまり、傾斜部95a,95bが鋼製枠10の柱材21a,21bに対して角度θ(90°<θ<180°)をなしている場合、延長部92a,92bは、傾斜部95a,95bに対して外側で「270―θ」を満たし及び内側で「-90+θ」を満たす(内角の)角度をなしている。
【0083】
延長部92a,92bは、連結状態において、梁材23b,25bと平行又は略平行に延びている。延長部92a,92bは、両端に、少なくとも1つの孔(図示せず)を有している。これらの孔は、連結状態において、梁材23b,25bに形成されたいずれかの連結孔23d,25dと整合するようになっている。
【0084】
例えば、連結状態において、角度θにより斜材61a,61bにおける孔61c,61dが鋼製枠10の梁材23b,25bに形成されたいずれかの孔23d,25dと整合しない場合であっても、変形例1~3に係る斜材71a,81a,91a,71b,81b,91bによれば、延長部72a,82a,92a,72b,82b,92bが梁材23b,25bに沿って延びているので、梁材23b,25bにおけるいずれかの孔23d,25dと整合するようになっており、土木構造物1を施工する地山の傾斜に柔軟に対応することができる。
【0085】
なお、上記の実施の形態において鋼製枠10はユニット化されていたが、高さ方向H及び幅方向Wに連結される鋼製枠10はそれぞれ、連結される鋼材が共通化されて構成されていてもよい。例えば、高さ方向Hに連結されている鋼製枠10のうち、下段の鋼製枠10の繋ぎ材22aと梁材23a,25aとをそれぞれ、上段の鋼製枠10の繋ぎ材22bと、梁材23b,25bと共通化してもよい。また、幅方向Wに連結されている鋼製枠10同士で共通の柱材21a,21bを用いてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1・・・土木構造物
10・・・鋼製枠、21a,21b・・・柱材(枠材)、22a,22b・・・繋ぎ材(枠材)、23a,23b・・・梁材(枠材)、25a,25b・・・梁材(枠材)、50・・・根入れ枠、61a,61b;71a,71b;81a,81b;91a,91b・・・斜材、72a,72b;82a,82b;92a,92b・・・延長部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10
図11