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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151243
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】セグメント継手
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/04 20060101AFI20231005BHJP
   E21D 11/08 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E21D11/04 A
E21D11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060744
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000229667
【氏名又は名称】日本ヒューム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】浅野 均
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】大関 宗孝
(72)【発明者】
【氏名】浦澤 康治
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA01
2D155BB01
2D155GC04
2D155GD05
(57)【要約】
【課題】メス継手本体の開きを防止するとともに、トンネル半径方向継手内中心位置に誘導することによりずれが抑制されるセグメント継手の提供
【解決手段】溝壁部410を含む溝部41を有する雌型接続具4と、溝部41と係合する板状部51を有する雄型接続具5と、を備えるセグメント継手3で、溝壁部410から突出して板状部51と係合する第一被係合面411と板状部51の側面から突出して第一被係合面411に係合する第一係合面511とにより第一係合部31が形成され、第一被係合面411は溝壁部410から離れるにしたがって開口部反対側に傾斜しており、第一係合面511は板状部51の側面から離れるにしたがって基端部50側に傾斜しており、溝壁部410の開きを規制し、板状部51は板状部突条51aと一方向に移動する際に板状部51を溝部41の内部の中心にガイドするセンターガイド面51b1とを備える。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部、一対の溝壁部及びセグメント接合面側の開口部を含んでおり一方向に沿って形成された溝部を有する雌型接続具と、セグメント接合面側の基端部から突出し、前記一方向に沿って移動して前記溝部の内部で前記溝部と係合する板状部を有する雄型接続具と、を備えるセグメント継手であって、
前記溝壁部から突出して形成されるとともに前記板状部と係合する第一被係合面と、
前記板状部の側面から突出して形成されるとともに前記第一被係合面に係合する第一係合面と、により第一係合部が形成され、
前記第一被係合面は、前記溝壁部から離れるにしたがって前記開口部反対側に傾斜しており、
前記第一係合面は、前記板状部の側面から離れるにしたがって前記基端部側に傾斜しており、
前記第一係合部は、前記溝壁部の開きを規制し、
前記板状部は、側面から突出して形成される板状部ガイド突条と、該板状部ガイド突条に設けられるとともに前記一方向に移動する際に前記板状部を前記溝部の内部の中心にガイドするセンターガイド面と、を備える
ことを特徴とするセグメント継手。
【請求項2】
前記センターガイド面は、前記一方向に沿って次第に高さが低くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセグメント継手。
【請求項3】
前記センターガイド面は、前記第一係合部より前記基端部側に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセグメント継手。
【請求項4】
前記センターガイド面は、前記第一係合部より前記基端部反対側に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセグメント継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドトンネルの施工において、セグメント同士を連結するのに好適なセグメント継手に関する。
【背景技術】
【0002】
セグメントの接合構造として、接合すべき両セグメントにおけるセグメント間継手として、いわゆるフック継手を設け、このセグメント間の一方のセグメントの接合面に設けた継手係止部(一例としてメス部)に他方セグメントの接合面に設けた継手係止部(一例としてオス部)をトンネル軸方向へ移動させることにより、各セグメントにおけるセグメント間の接合を行う接合構造が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、断面略C字状とすべく板体状の基部を二枚離した位置に配した雌型継ぎ手と、略T字状とすべく板体状の基部を二枚近接位置に配した雄型継ぎ手とを用い、略C字状とした雌型継ぎ手のスリットに雄型継ぎ手の二枚の基部が入り込み両継ぎ手の係止部が互いに係止することで、両セグメントを連結して接合するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-328889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のようなセグメントの接合構造は、基部の露出端部を略L字状に折曲した雌型継ぎ手が開きやすく、継手内の中心位置からずれて接合されることがあり、接合が不安定になる場合があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、メス継手本体の開きを防止するとともに、トンネル半径方向継手内中心位置に誘導することによりずれが抑制され、セグメント組立時の施工精度及び品質の良いセグメント継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に係る発明は、底部、一対の溝壁部及びセグメント接合面側の開口部を含んでおり一方向に沿って形成された溝部を有する雌型接続具と、セグメント接合面側の基端部から突出し、前記一方向に沿って移動して前記溝部の内部で前記溝部と係合する板状部を有する雄型接続具と、を備えるセグメント継手であって、前記溝壁部から突出して形成されるとともに前記板状部と係合する第一被係合面と、前記板状部の側面から突出して形成されるとともに前記第一被係合面に係合する第一係合面と、により第一係合部が形成され、前記第一被係合面は、前記溝壁部から離れるにしたがって前記開口部反対側に傾斜しており、前記第一係合面は、前記板状部の側面から離れるにしたがって前記基端部側に傾斜しており、前記第一係合部は、前記溝壁部の開きを規制し、前記板状部は、側面から突出して形成される板状部ガイド突条と、該板状部ガイド突条に設けられるとともに前記一方向に移動する際に前記板状部を前記溝部の内部の中心にガイドするセンターガイド面と、を備えることを特徴とするセグメント継手である。
【0008】
本願請求項2に係る発明は、前記センターガイド面は、前記一方向に沿って次第に高さが低くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセグメント継手である。
【0009】
本願請求項3に係る発明は、前記センターガイド面は、前記第一係合部より前記基端部側に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセグメント継手である。
【0010】
本願請求項4に係る発明は、前記センターガイド面は、前記第一係合部より前記基端部反対側に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセグメント継手である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、溝壁部から突出して形成されるとともに板状部と係合する第一被係合面と、板状部の側面から突出して形成されるとともに第一被係合面に係合する第一係合面と、によりセグメント接合面に向けて相互間隔が拡大するハ字状の傾斜面として第一係合部が形成され、第一被係合面は、溝壁部から離れるにしたがって開口部反対側に傾斜しており、第一係合面は、板状部の側面から離れるにしたがって基端部側に傾斜しており、第一係合部は、溝壁部の開きを規制し、板状部は、側面から突出して形成される板状部突条と、該板状部突条に設けられるとともに、セグメント挿入方向である一方向、すなわちトンネル軸方向、に移動する際に板状部を溝部の内部の中心にガイドするセンターガイド面を有しており、トンネル半径方向の継手内中心位置に誘導することにより偏心量が抑制され、セグメント組立時の施工精度及び品質の良いセグメント継手を形成できる。
【0012】
加えて、センターガイド面は、一方向に沿って次第に高さが低くなるように形成されており、雄型接続具の貫入時に、奥に入るほどクリアランスが狭くなり雄型接続具が、雌型接続具の溝部の内部の中心位置に誘導することにより偏心量が抑制され、セグメント組立時の施工精度及び品質の良いセグメント継手を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係るシールドトンネルの概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るセグメントのトンネル中心側から視た平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るセグメントのトンネル軸方向から視た側面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るセグメントのトンネル中心側から視た平面図におけるセグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具の要部拡大図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るセグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具を示し、図5(a)は側面図、図5(b)は平面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るセグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具による連結状況の斜視図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るセグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具を連結した側面図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るセグメントのセグメント継手の連結手順を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るセグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具を連結した側面図である。
図10】本発明の第3の実施形態に係るセグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具を示し、図10(a)は側面図、図10(b)は平面図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係るセグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具による連結状況の斜視図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係るセグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具を連結した側面図である。
図13】本発明の第4の実施形態に係るセグメント継手を連結した側面図である。
図14】本発明の第5の実施形態に係るセグメント継手のセンターガイド面を設けて連結した側面図である。
図15図14におけるM-M断面図、図15(b)は、センターガイド面のない場合の図14におけるM-M断面図に相当する図である。
図16】本発明の第6の実施形態に係るセグメント継手のセンターガイド面を設けて連結した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
以下の説明は、シールドトンネルにおいて、トンネル円周方向に隣り合うセグメントピース同士を連結するセグメント継手に、本発明が採用された実施形態に関する。
【0015】
<第1の実施形態>
本実施形態は、断面略C字状とすべく板体状の基部を二枚離した位置に配した雌型継ぎ手と、略T字状とすべく板体状の基部を二枚近接位置に配した雄型継ぎ手とを用い、略C字状とした雌型継ぎ手のスリットに雄型継ぎ手の二枚の基部が入り込み両継ぎ手の係止部が互いに係止することで、両セグメントを連結して接合するような接合構造において、断面略C字状とすべく基部を二枚離して配置されたような雌型継ぎ手が開きやすいという問題点を解決し、雌型継ぎ手が開きにくく、継手強度が向上し、セグメント組立時の施工精度及び品質の良いセグメント継手を提供するものである。
【0016】
図1は、シールドトンネルの概略図、図2は、セグメントのトンネル中心側から視た平面図、図3は、セグメントのトンネル軸方向から視た側面図、図4は、セグメントのトンネル中心側から視た平面図におけるセグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具の要部拡大図、図5は、セグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具を示し、図5(a)は側面図、図5(b)は平面図、図6は、セグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具による連結状況の斜視図、図7は、セグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具を連結した側面図、図8は、セグメントのセグメント継手の連結手順を示す図である。
【0017】
図1に示すように、シールドトンネル1は、坑口から発進したシールド機で地中を掘進しながら、シールド機の内部でセグメント2が組み立てられ、セグメントリング21が形成されていく。
セグメントリング21は、既設のセグメントリング21の切羽側において各セグメント2のピースがトンネル円周方向に順次連結されて形成されて構成される。
【0018】
図2及び図3に示すように、セグメント2のトンネル軸方向の両側面には、セグメントリング21どうしを連結するためのセグメント継手であるリング間継手22が設けられる。
本実施形態では、リング間継手22は、セグメント2の両側面にそれぞれ埋め込まれた雄金具と雌金具とからいわゆるワンパス継手が採用されている。
【0019】
図2及び図3に示すように、トンネル円周方向に隣り合うセグメント2どうしを連結するセグメント継手3(ピース間継手)は、セグメント2のトンネル円周方向の両端面であるセグメント接合面20にそれぞれ設置された例えば鋼製の雌型接続具4と雄型接続具5とを備える。
雌型接続具4は、一方の接合面20aにトンネル軸方向に沿って二つ、雄型接続具5は、他方の接合面20bにトンネル軸方向に沿って二つ設けられている。
【0020】
図4に示すように雌型接続具4及び雄型接続具5は、それぞれセグメント2を構成するコンクリートに埋設されるアンカー部6を備えている。本実施形態では、アンカー部6は、板状の形状をしているが、筋形状や孔あき鋼板アンカー式等を適宜選択できる。
【0021】
図4に示すように、一方の接合面20aには凹部23aが設けられ、トンネル軸方向に隣接して雌型接続具4が埋設される。雌型接続具4の端部は、一方の接合面20aと面一に設けられる。
雄型接続具5は、他方の接合面20bから突出してセグメント2に設けられている。
【0022】
図5に示すように、雌型接続具4は、底部40、一対の溝壁部410,410及びセグメント接合面20側の開口部42を含んでおり一方向(トンネル軸方向の切羽から坑口方向(矢印B))に沿って形成された溝部41を備えている。
一対の溝壁部410,410は、セグメント接合面20側の開口部42から略トンネル円周方向に沿って底部40まで平行に形成されている。底部40には、アンカー部6が設けられている。
【0023】
溝部41のトンネル軸方向の切羽側の端部は凹部23aに開口しており、坑口側の端部は開口していない(図5(b))。
溝部41には、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に沿って雄型接続具5の板状部51が移動して係合される。
【0024】
一対の各溝壁部410,410には、溝部41内部に向かって溝壁部第一突条41a1,41a1が対称に突出して形成されている(図5(a))。溝壁部第一突条41a1,41a1の溝部41内部側の面は平面状となっている。
溝壁部第一突条41a1,41a1は、トンネル軸方向に沿って所定長さであって、切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かうにしたがって幅が対称に広くなるように形成されている(図5(b))。
【0025】
溝壁部第一突条41a1,41a1の底部40側の側面は、各溝壁部410,410から突出して離れるにしたがってセグメント接合面20(開口部42)の反対側に傾斜した形状となっており、第一被係合面411,411を形成する(図5(a))。
すなわち、溝部41は、各溝壁部410,410から突出して離れるにしたがって開口部42の反対側に傾斜して、セグメント接合面に向けて相互間隔が拡大するハ字状の傾斜面として形成される第一被係合面411,411を備えている。
【0026】
溝壁部第一突条41a1,41a1の開口部42側の側面は、各溝壁部410,410から突出して離れるにしたがってセグメント接合面20(開口部42)側に傾斜した形状となっており、第二被係合面412,412を形成する(図5(a))。
すなわち、溝部41は、第一被係合面411,411より開口部42側に位置し、溝壁部410,410から突出して離れるにしたがって開口部42側に傾斜して、セグメント接合面に向けて相互間隔が縮小する逆ハ字状の傾斜面として形成される第二被係合面412,412を備えている。
【0027】
図5に示すように、雄型接続具5は、セグメント接合面20側の基端部50からトンネル円周方向に突出し、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に沿って移動して溝部41の内部で雌型接続具4の溝部41と係合する板状部51を備える。
基端部50は、例えば、アンカー部6の一部であって、板状部51のセグメント接合面20より埋設されている部分である。本実施形態では、板状部51が、基端部50とアンカー部6とを含んで一体的に構成されている。
【0028】
板状部51も、溝部41と同様にトンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に沿う板状に設けられている(図5(b))。
【0029】
板状部51のトンネル半径方向の両側面には、一対の各溝壁部410,410にそれぞれ向かうように板状部第一突条51a1,51a1が対称に突出して形成されている(図5(a))。板状部第一突条51a1,51a1の各溝壁部410,410側の面は平面状となっている。
板状部第一突条51a1,51a1は、トンネル軸方向に沿って所定長さであって、切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かうにしたがって基端部50側の側面がセグメント接合面20より離れるように設けられている(図5(b))。
【0030】
板状部第一突条51a1,51a1の基端部50側の側面は、板状部51の側面から離れるにしたがって基端部50側に傾斜した形状となっており、第一係合面511,511を形成する(図5(a))。
すなわち、板状部51は、板状部51の側面から突出して離れるにしたがって基端部50側に傾斜して、セグメント接合面に向けて相互間隔が拡大するハ字状の傾斜面として形成される第一係合面511,511を備えている。
【0031】
板状部51のトンネル半径方向の両側面には、板状部第一突条51a1,51a1より基端部50側であって、一対の各溝壁部410,410にそれぞれ向かうように板状部第二突条51a2,51a2が対称に突出して形成されている(図5(a))。板状部第二突条51a2,51a2の各溝壁部410,410側の面は平面状となっている。
板状部第二突条51a2,51a2は、トンネル軸方向に沿って所定長さであって、切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かうにしたがって基端部50反対側の側面がセグメント接合面20に近づくように設けられている(図5(b))。
【0032】
板状部第二突条51a2,51a2の基端部50反対側の側面は、板状部51の側面から離れるにしたがって基端部50反対側に傾斜した形状となっており、第二係合面512,512を形成する(図5(a))。
すなわち、板状部51は、第一係合面511,511より基端部50側に位置し、板状部51の側面から突出して離れるにしたがって基端部50反対側に傾斜して、セグメント接合面に向けて相互間隔が縮小する逆ハ字状の傾斜面として形成される第二係合面512,512を備えている。
【0033】
そして、図5(b)、図6及び図7に示すように、トンネル円周方向に先行して設置されたセグメント2の凹部23aに向けて板状部51が進入した(矢印A)後、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に移動して溝部41の内部に進入すると、第一被係合面411,411と第一係合面511,511とが接することにより第一係合部31が形成されるとともに、第二被係合面412,412と第二係合面512,512とが接することにより第二係合部32が形成されることで、雌型接続具4の溝部41と雄型接続具5の板状部51とが係合される。
【0034】
図5(b)に示すように、雌型接続具4の第一被係合面411,411は、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に沿って次第に開口部42反対側(底部40側)に位置するように形成されている。
また、雌型接続具4の第二被係合面412,412は、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に沿って次第に開口部42側に位置するように、すなわち、第一被係合面411,411より離れる(セグメント接合面20に近づく)ように形成されている。
【0035】
図5(b)に示すように、雄型接続具5の第一係合面511,511は、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に沿って次第に基端部50反対側に位置するように(セグメント接合面20から離れるように)形成されている。
また、雄型接続具5の第二係合面512,512は、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に沿って次第に基端部50側に位置するように(セグメント接合面20に近づくように)、すなわち、第一係合面511,511より離れる(セグメント接合面20に近づく)ように形成されている。
【0036】
図8は、第1の実施形態に係る雌型接続具4及び雄型接続具5を備えたセグメント2の連結方法を示す。
構築が完了したセグメントリング21に隣接して、新たなセグメントリング21を構築するために、セグメント2をトンネル円周方向に順に連結していく。
【0037】
セグメント2を連結するには、図8(a)に示すように、既設のセグメントリング21に先行して取り付けられたセグメント2Aのトンネル円周方向にやや間隔をあけて臨むように、後行のセグメント2Bを配置する。
この際、セグメント2Aの接合面20aに形成された雌型接続具4に隣接する凹部23aと、セグメント2Bの接合面20bに形成された雄型接続具5の板状部51とが略対向している。
【0038】
次に、図8(b)に示すように、後行のセグメント2Bをトンネル円周方向(矢印A方向)に移動させて先行するセグメント2Aに接近させ、セグメント2Bの他方の接合面20bに設置された雄型接続具5の板状部51が、セグメント2Aの一方の接合面20aに形成された凹部23aの空間に挿入される。
【0039】
次いで、図8(c)に示すように、後行のセグメント2Bをトンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))へ移動させて、セグメント2Bに設けられた雄型接続具5の板状部51の第一係合面511,511及び第二係合面512,512を、先行のセグメント2Aに設けられた雌型接続具4の一対の溝壁部410,410の第一係合面511,511及び第二係合面512,512にそれぞれ係合させ、平面的に所定の長さの第一係合部31,31と第二係合部32,32とを形成させて、連結させる。
【0040】
なお、第一係合部31,31と第二係合部32,32のように複数の係合部を設けると製造・施工誤差などが生じる場合があるが、セグメント2A,2Bの接合面20a,20b間には、図示しないシール材や緩衝材が設けられるので、これらによって製造・施工誤差などを吸収することができる。
【0041】
溝壁部410,410から突出して形成されるとともに板状部51と係合する第一被係合面411,411と、板状部51の側面から突出して形成されるとともに第一被係合面411,411に係合する第一係合面511,511と、により第一係合部31,31が形成され、第一被係合面411,411は、溝壁部410,410から離れるにしたがって開口部42反対側に傾斜しており、第一係合面511,511は、板状部51の側面から離れるにしたがって基端部50側に傾斜しており、すなわち、第一係合部31,31は、セグメント接合面20に向けて相互間隔が拡大するハ字状の傾斜面となって、第一係合部31,31は、溝壁部410,410の開きを規制するので、雌型接続具4が開きにくく、継手強度が向上する。
【0042】
第一被係合面411,411より開口部42側に位置し、溝壁部410,410から突出して形成されるとともに板状部51と係合する第二被係合面412,412と、第一係合面511,511より基端部50側に位置し、板状部51の側面から突出して形成されるとともに第二被係合面412,412に係合する第二係合面512,512と、により第二係合部32,32が形成され、第一係合部31,31と第二係合部32,32のそれぞれは、二箇所において溝壁部410,410の開きを規制するので、さらに雌型接続具4が開きにくく、継手強度が向上する。
また、このように、第一係合部31、31に加えて第二係合部32、32を設けることで、第一係合部31、31と第二係合部32、32との間の中心位置に誘導されるともに、板状部51が、溝部41のトンネル半径方向の中心位置に誘導されるので、各係合部の噛み合わせの隙間の発生が抑制されるため、より雌型接続具4が開きにくく、継手強度も安定する。
【0043】
第二被係合面412,412は、溝壁部410,410から離れるにしたがって開口部42側に傾斜しており、第二係合面512,512は、板状部51の側面から離れるにしたがって基端部50反対側に傾斜しており、すなわち、第二係合部32,32はセグメント接合面20に向けて相互間隔が縮小する逆ハ字状の傾斜面となって、第二係合部32,32は、溝壁部410,410の開きを規制するので、さらに雌型接続具4が開きにくくなる。また、継手部に引張とは反対方向(トンネル円周方向の押込み方向(矢印A))に力が作用しても第二係合面512,512からの力を第二被係合面412,412が受け止めて対抗させることができるとともに、傾斜によって雌型接続具4は閉じる方向に曲げが作用しさらに開きにくくなる。
【0044】
第一被係合面411,411は、一方向(矢印B)に沿って次第に開口部42反対側に位置するよう形成されており、セグメント挿入方向である一方向(矢印B)、すなわちトンネル軸方向、に沿って次第にセグメント接合面20から離れる傾斜面に形成されており、第一係合面511,511は、一方向に沿って次第に基端部50反対側に位置するように形成され、セグメント挿入方向である一方向に沿って次第にセグメント接合面から離れる傾斜面に形成されているので、セグメント接合面20に沿ってセグメントが接合されるにしたがって、雄型接続具5の板状部51が溝部41の底部40側に誘導され、セグメント接合面20,20がより密着されるようになる。
【0045】
加えて、第二被係合面412,412は、一方向(矢印B)に沿って次第に第一被係合面411,411より離れるように形成され、セグメント挿入方向である一方向、すなわちトンネル軸方向、に沿って次第に第一被係合面411,411より離れるように形成されており、第二係合面512,512は、一方向(矢印B)に沿って次第に第一係合面511,511より離れるように形成され、セグメント挿入方向である一方向に沿って次第に第一係合面511,511より離れるように形成されているので、セグメント接合面20,20に沿ってセグメントが接合されるにしたがって、第一係合部31,31と第二係合部32,32との中心位置へと誘導される。
【0046】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態を図9と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0047】
第2の実施形態では、第1の実施形態に比して第二係合部32,32を構成する第二被係合面412,412と第二係合面512,512が異なる。この点について説明する。
図9は、第2の実施形態に係るセグメント継手3の雌型接続具4及び雄型接続具5を連結した側面図である。
【0048】
雌型接続具4の溝壁部第一突条41a1,41a1の開口部42側の側面は、各溝壁部410,410から垂直に立ち上がり、第二被係合面を形成しない。
また、溝壁部第一突条41a1,41a1の開口部42側の側面は、トンネル軸方向と平行の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に平行に設けられている(不図示)。
【0049】
雄型接続具5の板状部第二突条51a2,51a2の基端部50反対側の側面は、板状部51の側面から垂直に立ち上がり、第二係合面を形成しない。
また、板状部第二突条51a2,51a2の基端部50反対側の側面は、トンネル軸方向と平行の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に平行に設けられている(不図示)。
【0050】
雌型接続具4には、溝壁部第一突条41a1,41a1よりも開口部42側に、一対の溝壁部410,410から溝部41内側に向かって溝壁部第二突条41a2,41a2が対称に突出して形成されている。
溝壁部第二突条41a2,41a2は、トンネル軸方向に沿って所定長さであって、溝壁部第二突条41a2,41a2の底部40側の側面は、溝壁部第一突条41a1,41a1の底部40側の側面と平行であって、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かうにしたがってセグメント接合面20より離れて位置するように形成されている(不図示)。
【0051】
溝壁部第二突条41a2,41a2の底部40側の側面は、一対の溝壁部410,410から離れるにしたがって開口部42反対側に傾斜して、第二被係合面412,412を形成している。
【0052】
雄型接続具5には、板状部第一突条51a1,51a1よりも基端部50側であって、溝壁部第一突条41a1,41a1と溝壁部第二突条41a2,41a2との間に位置するように、一対の溝壁部410,410に向かって板状部第二突条51a2,51a2が対称に突出して形成されている。
板状部第二突条51a2,51a2は、トンネル軸方向に沿って所定長さであって、板状部第二突条51a2,51a2の基端部50側の側面は、板状部第一突条51a1,51a1の基端部50側の側面と平行であって、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かうにしたがってセグメント接合面20より離れて位置するように形成されている(不図示)。
【0053】
板状部第二突条51a2,51a2の基端部50側の側面は、板状部51の側面から離れるにしたがって基端部50側に傾斜した形状となっており、第二係合面512,512を形成する。
【0054】
雌型接続具4の第二被係合面412,412と、雄型接続具5の第二係合面512,512とで、セグメント接合面に向けて相互間隔が拡大するハ字状の傾斜面として第二係合部32,32が形成される。
【0055】
第一係合部31,31と第二係合部32,32との2箇所で接合部を有することになるので、さらに継手本体が開きにくくなるとともに、継手部に引張方向に力が作用してもより対抗させることができる。
【0056】
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態を図10乃至図12と共に説明する。なお、第1及び第2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0057】
第3の実施形態は、第1の実施形態の第一係合部31,31及び第二係合部32,32のセグメント接合面20側にさらに第三係合部33,33を設けたものである。この点について説明する。
図10は、雌型接続具4及び雄型接続具5を示し、図10(a)は側面図、図10(b)は平面図、図11は、雌型接続具4及び雄型接続具5による連結状況の斜視図、図12は、雌型接続具4及び雄型接続具5を連結した側面図である。
【0058】
一対の各溝壁部410,410には、溝壁部第一突条41a1,41a1より開口部42側であって溝部41内部に向かって溝壁部第二突条41a2,41a2が対称に突出して形成されている(図10(a))。溝壁部第二突条41a2,41a2の溝部41内部側の面は平面状となっている。
【0059】
溝壁部第一突条41a1,41a1と溝壁部第二突条41a2,41a2とは、トンネル軸方法の切羽から坑口方向の奥側で、一体的につながっており突条41a12,41a12を形成している(図10(b))。
【0060】
溝壁部第一突条41a1,41a1の底部40側の側面と突条41a12,41a12の底部40側の側面とが連続して、トンネル軸方向の長さL1にわたって第一被係合面411,411を形成している(図10(b))。
溝壁部第一突条41a1,41a1の開口部42側の側面は、トンネル軸方向の長さL2にわたって第二被係合面412,412を形成している(図10(b))。
【0061】
溝壁部第二突条41a2,41a2の底部40側の側面は、トンネル軸方向の長さL2にわたって、各溝壁部410,410から突出して離れるにしたがって底部40側に傾斜した形状となっており、第三被係合面413,413を形成する(図10(a)(b))。
すなわち、溝部41は、各溝壁部410,410から突出して離れるにしたがって開口部42の反対側に傾斜して、セグメント接合面に向けて相互間隔が拡大するハ字状の傾斜面として形成される第三被係合面413,413を備えている。
【0062】
第二被係合面412,412及び第三被係合面413,413が形成されるトンネル軸方向の長さL2は、第一被係合面411,411が形成されるトンネル軸方向の長さL1よりも短い設定されている。これは、第二被係合面412,412及び第三被係合面413,413は補助的な係合を担うためである。
【0063】
図10(b)に示すように、第一被係合面411,411と第二被係合面412,412とは、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かって対称に傾斜している。
また、第三被係合面413,413は、第一被係合面411,411と平行に配置され、第二被係合面412,412とトンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かって対称に傾斜している。
【0064】
板状部51の両側面から突出する板状部第二突条51a2,51a2は、第1の実施形態のものよりトンネル軸方向の長さL4で短く形成されている(図10(b))。
板状部第二突条51a2,51a2の基端部50反対側の側面は、トンネル軸方向の長さL4にわたって、第二係合面512,512を形成している(図10(b))。
【0065】
板状部第二突条51a2,51a2の基端部50側の側面は、トンネル軸方向の長さL4にわたって、板状部51の側面から突出して離れるにしたがって基端部50側に傾斜した形状となっており、第三係合面513,513を形成している(図10(a)(b))。
すなわち、板状部51は、側面から突出して離れるにしたがって基端部50側に傾斜して、セグメント接合面に向けて相互間隔が拡大するハ字状の傾斜面として形成される第三被係合面413,413を備えている。
【0066】
図10(b)に示すように、第一係合面511,511と第二係合面512,512とは、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かって対称に傾斜している。
また、第三係合面513,513は、第一係合面511,511と平行に配置され、第二係合面512,512とトンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かって対称に傾斜している。
【0067】
第一係合面511,511が形成されるトンネル軸方向の長さL3は、第一被係合面411,411が形成されるトンネル軸方向の長さL1に対応しており、第二係合面512,512及び第三係合面513,513が形成されるトンネル軸方向の長さL4は、第二被係合面412,412及び第三被係合面413,413が形成されるトンネル軸方向の長さL2に対応している。
【0068】
図10図11及び図12に示すように、板状部51がトンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に移動して溝部41の内部に進入すると、第一係合面511,511は第一被係合面411,411に係合して第一係合部31,31を、第二係合面512,512は第二被係合面412,412に係合して第二係合部32,32を、第三係合面513,513は第三被係合面413,413に係合して第三係合部33,33を形成する。
【0069】
第二被係合面412,412より開口部42側に位置し、溝壁部410,410から突出して形成されるとともに板状部51と係合する第三被係合面413,413と、第二係合面512,512より基端部50側に位置し、板状部51の側面から突出して形成されるとともに第三被係合面413,413に係合する第三係合面513,513と、により第三係合部33,33が形成され、第三被係合面413,413は、溝壁部410,410から離れるにしたがって開口部42反対側に傾斜しており、第三係合面513,513は、板状部51の側面から離れるにしたがって基端部50側に傾斜しており、すなわち、第三係合部33,33は、セグメント接合面20に向けて相互間隔が拡大するハ字状の傾斜面となって、第三係合部33,33は、溝壁部410,410の開きを規制するので、三か所で雌型接続具4の溝壁部410,410の開きが規制され、さらに継手本体が開きにくく、継手強度が向上する。
【0070】
<第4の実施形態>
以下、本発明の第4の実施形態を図13と共に説明する。なお、第1乃至第3の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0071】
第4の実施形態は、第2の実施形態の第一係合部31,31及び第二係合部32,32のセグメント接合面20側にさらに第三係合部33,33を設けたものである。この点について説明する。
図13は、セグメント継手3の雌型接続具4及び雄型接続具5を連結した側面図である。
【0072】
一対の溝壁部410,410から溝部41内部に突出して形成される溝壁部第二突条41a2,41a2の開口部42側の側面は、各溝壁部410,410から突出して離れるにしたがってセグメント接合面20(開口部42)側に傾斜した形状となっており、第三被係合面413,413を形成する。
すなわち、溝部41は、第二被係合面412,412より開口部42側に位置し、溝壁部410,410から突出して離れるにしたがって開口部42側に傾斜して、セグメント接合面に向けて相互間隔が縮小する逆ハ字状の傾斜面として形成される第三被係合面413,413を備えている。
【0073】
図示しないが、第一被係合面411,411と第二被係合面412,412とは、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かって平行に設けられている。また、第三被係合面413,413は、第二被係合面412,412とトンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かって対称に傾斜している。
【0074】
板状部51のトンネル半径方向の両側面には、板状部第二突条51a2,51a2より基端部50側であって、溝壁部第二突条41a2,41a2よりセグメント接合面20側に位置するように、一対の各溝壁部410,410にそれぞれ向かって板状部第三突条51a3,51a3が対称に突出して形成されている。板状部第三突条51a3,51a3の各溝壁部410,410側の面は平面状となっている。
板状部第三突条51a3,51a3は、トンネル軸方向に沿って所定長さであって、切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かうにしたがって基端部50反対側の側面がセグメント接合面20に近づくように設けられている(不図示)。
【0075】
板状部第三突条51a3,51a3の基端部50反対側の側面は、板状部51の側面から離れるにしたがって基端部50反対側に傾斜した形状となっており、第三係合面513,513を形成する。
すなわち、板状部51は、第二係合面512,512より基端部50側に位置し、板状部51の側面から突出して離れるにしたがって基端部50反対側に傾斜して、セグメント接合面に向けて相互間隔が縮小する逆ハ字状の傾斜面として形成される形成される第三係合面513,513を備えている。
【0076】
図示しないが、第一係合面511,511と第二係合面512,512とは、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かって平行に設けられている。また、第三係合面513,513は、第二係合面512,512とトンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かって対称に傾斜している。
【0077】
板状部51がトンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向)に移動して溝部41の内部に進入すると、第一係合面511,511は第一被係合面411,411に係合して第一係合部31,31を、第二係合面512,512は第二被係合面412,412に係合して第二係合部32,32を、第三係合面513,513は第三被係合面413,413に係合して第三係合部33,33を形成する。
【0078】
第二被係合面412,412より開口部42側に位置し、溝壁部410,410から突出して形成されるとともに板状部51と係合する第三被係合面413,413と、第二係合面512,512より基端部50側に位置し、板状部51の側面から突出して形成されるとともに第三被係合面413,413に係合する第三係合面513,513と、により第三係合部33,33が形成され、第三被係合面413,413は、溝壁部410,410から離れるにしたがって開口部42側に傾斜しており、第三係合面513,513は、板状部51の側面から離れるにしたがって基端部50反対側に傾斜しており、すなわち、第三係合部33,33は、セグメント接合面20に向けて相互間隔が縮小する逆ハ字状の傾斜面となって、第三係合部33,33は、溝壁部410,410の開きを規制するので、三か所で雌型接続具4の溝壁部410,410の開きが規制され、さらに継手が開きにくく、継手強度が向上する。
【0079】
<第5の実施形態>
以下、本発明の第5の実施形態を図14及び図15と共に説明する。なお、第1乃至第4の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0080】
本実施形態は、第1の実施形態と同様に雌型接手が開きやすいという課題を解決するとともに、トンネル半径方向継手内中心位置に誘導することによりずれを抑制し、セグメント組立時の施工精度及び品質の良いセグメント継手を提供するものである。
【0081】
図14は、セグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具を連結した側面図、図15(a)は連結手順を示したもので、右側は図14におけるM-M断面図、図15(b)は、センターガイド面のない場合の連結手順を示したもので、右側は図14におけるM-M断面図に相当する図である。
【0082】
雌型接続具4の溝壁部第一突条41a1,41a1に形成された第一被係合面411,411は雄型接続具5の板状部第一突条51a1,51a1に形成された第一係合面511,511とで、第1の実施形態と同様で、セグメント接合面に向けて相互間隔が拡大するハ字状の傾斜面として第一係合部31,31を形成して溝壁部410,410の開きを規制している。
【0083】
雌型接続具4の溝壁部第一突条41a1,41a1の開口部42側の側面は、各溝壁部410,410から垂直に立ち上がり、第二被係合面を形成しない。
また、溝壁部第一突条41a1,41a1の開口部42側の側面は、トンネル軸方向と平行の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に平行に設けられている(不図示)。
【0084】
板状部51のトンネル半径方向の両側面には、板状部第一突条51a1,51a1より基端部50側であって、溝壁部第一突条41a1,41a1の開口部42側に位置するように、一対の各溝壁部410,410にそれぞれ向かうように板状部ガイド突条51b,51bが対称に突出して形成されている。
板状部ガイド突条51b,51bは、トンネル軸方向に平行に所定長さで形成されており、基端部50側の側面及び基端部50反対側の側面は、板状部51の側面から垂直に立ち上がっている。
【0085】
板状部ガイド突条51b,51bは、各溝壁部410,410側の面に、センターガイド面51b1,51b1を備えている。
センターガイド面51b1,51b1は、図14に示すようにトンネル円周方向に平行な面であり、図15(a)に示すようにトンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B)に向かって、次第に板状部ガイド突条51b,51bの高さが低くなるような傾斜状となっている。
【0086】
センターガイド面51b1,51b1のもっとも高い部分は、板状部第一突条51a1,51a1の高さより高く設定されている(図14)。
センターガイド面51b1,51b1は、第一係合部31,31より板状部51の基端部50側に設けられている。
【0087】
図15(a)に示すように、雄型接続具5をトンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B)に移動して、雌型接続具4の溝部41内に進入させると、奥に入るほど次第に板状部ガイド突条51b,51bと溝壁部410,410とのクリアランスが狭くなり、すなわち、雄型接続具5を雌型接続具4の溝部41の内部の中心位置(トンネル半径方向の中心位置)に誘導することによりずれである偏心量が抑制され、第一被係合面411,411と第一係合面511,511とが中心位置で係合されて、溝壁部410,410の開きをより安定的に防止し、セグメント組立時の施工精度及び品質の良いセグメント継手を形成できる。
【0088】
図15(b)は、板状部ガイド突条51b,51bがない雄型接続具5をトンネル軸方向に挿入し、雌型接続具4に連結した場合の側面図である。
このような場合には、雄型接続具5の雌型接続具4へ貫入時に、雄型接続具5が雌型接続具4の溝部41の内部の中心位置に対して大きな偏心量Tが発生し、クリアランスが偏り、第一被係合面411,411と第一係合面511,511とが中心位置からずれて係合され、溝壁部410,410の開きを防止することが不安定となる。
【0089】
<第6の実施形態>
以下、本発明の第6の実施形態を図16と共に説明する。なお、第1乃至第5の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0090】
本実施形態は、第5の実施形態のセンターガイド面51b1,51b1を板状部第一突条51a1,51a1に設けたものである。板状部第一突条51a1,51a1は、板状部ガイド突条51b,51bとしても機能するものである。
図16は、セグメント継手の雌型接続具及び雄型接続具を連結した側面図である。
【0091】
板状部第一突条51a1,51a1(板状部ガイド突条51b,51b)は、各溝壁部410,410側の面に、センターガイド面51b1,51b1を備えている。
センターガイド面51b1,51b1は、第5の実施形態のセンターガイド面51b1,51b1と同様に、トンネル円周方向に平行な面であり、トンネル軸方向の切羽から坑口方向(一方向(矢印B))に向かって、次第に板状部第一突条51a1,51a1(板状部ガイド突条51b,51b)の高さが低くなるような傾斜状となっている。
【0092】
センターガイド面51b1,51b1は、第一係合部31,31より板状部51の基端部50反対側に設けられている。
本実施形態では、板状部第一突条51a1,51a1に、板状部ガイド突条51b,51bとしての機能を持たせたため、別途、板状部ガイド突条51b,51bを設ける必要がなく簡易な構造を形成することができる。
【0093】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0094】
本実施形態では、トンネル周方向に隣り合うセグメントピース同士を連結するセグメント継手に、本発明が採用されたがこれに限定されず、リング間継手のセグメント継手にも採用することができる。
また、トンネル軸方向に移動して継手を係合させることに限られるものでなく、例えば、トンネル半径方向に移動して係合させるものに適用しても良い。この場合には、トンネル半径方向が本発明における一方向に相当することになる。
【0095】
第1乃至第4の実施形態では、溝壁部の開きを規制する係合部を複数設けるものであったが、第一係合部だけで構成するようにしても良い。
【0096】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【0097】
例えば、第1の実施形態の板状部第二突条51a2,51a2より基端部50側に、第5の実施形態のセンターガイド面51b1,51b1を備える板状部ガイド突条51bをさらに設けるようにしても良い。
また、例えば、第2の実施形態の板状部第三突条51a3,51a3にセンターガイド面51b1,51b1を備える板状部ガイド突条51b,51bの機能を持たせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0098】
1 シールドトンネル
2 セグメント
20 セグメント接合面
20a 一方の接合面
20b 他方の接合面
21 セグメントリング
22 リング間継手
23a 凹部
3 セグメント継手
31 第一係合部
32 第二係合部
33 第三係合部
4 雌型接続具
40 底部
41 溝部
410 溝壁部
411 第一被係合面
412 第二被係合面
413 第三被係合面
41a1 溝壁部第一突条
41a2 溝壁部第二突条
42 セグメント接合面側の開口部
5 雄型接続具
50 基端部
51 板状部
511 第一係合面
512 第二係合面
513 第三係合面
51a 板状部突条
51a1 板状部第一突条
51a2 板状部第二突条
51a3 板状部第三突条
51b 板状部ガイド突条
51b1 センターガイド面
6 アンカー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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