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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151254
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】表示制御装置及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/20 20220101AFI20231005BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20231005BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20231005BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20231005BHJP
【FI】
B60R1/20 100
G06F3/0484
H04N7/18 U
H04N7/18 J
B60R1/26 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060764
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 友教
【テーマコード(参考)】
5C054
5E555
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FE23
5C054FE26
5C054HA30
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC04
5E555CA12
5E555CA42
5E555CB12
5E555DA33
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】車両の周辺等の画像の表示制御に関する調整において、不十分な表示を抑制すること。
【解決手段】車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像を表示するディスプレイと、画像を調整する操作の入力を受け付ける入力受付部と、操作に基づいて、画像を調整する画像調整部と、操作が行われる前の画像の調整に関する確定設定情報と、操作を反映させた途中設定情報とを記憶する記憶部と、画像を調整する操作を終了する終了操作を受け付けたかどうかを判定する終了操作判定部と、車両が走行状態かどうかを検知する車両状態検知部と、を備え、画像調整部は、終了操作判定部が終了操作を受け付けていないと判定し、かつ車両状態検知部が走行状態であることを検知したときに、確定設定情報に基づいて、ディスプレイに車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像を表示することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像の表示を制御する表示制御装置であって、
前記車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像を表示するディスプレイと、
前記画像を調整する操作の入力を受け付ける入力受付部と、
前記操作に基づいて、前記画像を調整する画像調整部と、
前記操作が行われる前の前記画像の調整に関する確定設定情報と、前記操作を反映させた途中設定情報とを記憶する記憶部と、
前記画像を調整する操作を終了する終了操作を受け付けたかどうかを判定する終了操作判定部と、
前記車両が走行状態かどうかを検知する車両状態検知部と、
を備え、
前記画像調整部は、前記終了操作判定部が前記終了操作を受け付けていないと判定し、かつ前記車両状態検知部が前記走行状態であることを検知したとき、前記確定設定情報に基づいて、前記ディスプレイに前記車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像を表示することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記記憶部は、前記終了操作判定部が前記終了操作を受け付けていないと判定し、かつ前記車両状態検知部が前記走行状態であることを検知したとき、前記車両状態検知部が前記走行状態であることを検知した時点における画像の状態を前記途中設定情報として記憶することを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記入力受付部は、前記終了操作判定部が前記終了操作を受け付けていないと判定し、かつ前記車両状態検知部が前記走行状態であることを検知したとき、前記画像を調整する操作の入力を受け付けないことを特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記画像調整部は、前記車両状態検知部が前記車両の停止を検知したとき、前記記憶部における前記途中設定情報の有無を判定し、前記途中設定情報があるならば、前記途中設定情報に基づいて前記車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像を調整して前記ディスプレイに表示し、前記入力受付部は、前記画像を調整する操作の入力を受け付けることを特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記走行状態において前記車両の周辺及び/又は車内のうち第1の範囲の画像を表示する第1のディスプレイと、
前記走行状態において前記車両の周辺及び/又は車内のうち第2の範囲の画像を表示する第2のディスプレイと、を備え、
前記入力受付部は、前記第1のディスプレイに対応付けて配置したタッチパネルであり、
前記画像調整部は、前記第2のディスプレイに表示する画像の調整を行うとき、前記第2のディスプレイが表示する画像を前記第1のディスプレイに表示させ、前記入力受付部が受け付けた操作に基づいて調整を行うことを特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示制御装置であって、
前記第2のディスプレイに表示する画像の調整を行うとき、前記画像調整部は、前記第2のディスプレイと前記第1のディスプレイに同一の画像を表示することを特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項5に記載の表示制御装置であって、
前記第1の範囲は運転席側の後側方であり、前記第1のディスプレイは前記運転席側に配置し、
前記第2の範囲は助手席側の後側方であり、前記第2のディスプレイは前記助手席側に配置したことを特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像の表示を制御する表示制御装置の表示制御方法であって、
前記表示制御装置は、
前記車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像をディスプレイに表示するステップと、
前記画像を調整する操作の入力を受け付けて、前記画像を調整するステップと、
前記画像を調整する操作を終了する終了操作を受け付けたかどうかを判定するステップと、
前記車両が走行状態かどうかを検知するステップと、
前記終了操作を受け付けたと判定したときに、前記画像の調整に関する設定情報を確定し、記憶部の確定設定情報を更新するステップと、
前記終了操作を受け付けていないと判定し、かつ前記走行状態であることを検知したとき、前記画像を調整する操作を反映させた途中設定情報を前記記憶部に格納し、前記画像を調整する操作が行われる前の確定設定情報に基づいて、前記ディスプレイに前記車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像を表示するステップとを含むことを特徴とする表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周辺をカメラで撮像し、撮像結果として得られた画像を車内のディスプレイに表示することで、ドラミラーやフェンダーミラーに対応する機能を提供する電子ミラーシステムが知られている。
電子ミラーシステムの表示映像調整に関し、特許文献1がある。
特許文献1には、「左サイド操作受付画面を右サイドディスプレイ4に右後方映像に重ねて表示すると共に、左サイド操作受付画面と表示オブジェクトの配置が左右対称なデザインのガイド画面を左サイドディスプレイ3に左後方映像に重ねて表示する。また、右サイドディスプレイ4上に配置した右サイドタッチパネル5にタッチされた右サイドディスプレイ4の表示面の座標であるタッチ座標の右サイドディスプレイ4の左サイド操作受付画面の中心に対する相対位置と、左サイドディスプレイ3のガイド画面の中心に対する相対位置が左右対称な位置となる、左サイドディスプレイ3の表示面の位置へカーソル601を表示する。ユーザの右サイドディスプレイ4の左サイド操作受付画面へのタッチ操作に応じて、左サイドディスプレイ3の左後方映像の表示を調整する。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021‐116033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドアミラーなどは、角度を変更する調整が可能である。これに対し、電子ミラーシステムは、角度の変更のみならず、拡大や縮小など多様な調整が可能である。多様な調整が可能であると、画像がユーザの所望の表示状態となるよう調整できるが、調整の完了まで時間を要する。このため、調整が完了する前に走行を開始するケースが想定される。調整が完了する前の、ユーザにとって不十分な表示状態の画像のまま走行すると、安全確認の効率が低下する。
しかし、従来の技術では、電子ミラーの表示制御において、画像の調整が途中で中断される事態に対応することができない。
【0005】
そこで、本発明では、車両の周辺等の画像の表示制御に関する調整において、不十分な表示を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の表示制御装置の一つは、車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像の表示を制御する表示制御装置であって、前記車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像を表示するディスプレイと、前記画像を調整する操作の入力を受け付ける入力受付部と、前記操作に基づいて、前記画像を調整する画像調整部と、前記操作が行われる前の前記画像の調整に関する確定設定情報と、前記操作を反映させた途中設定情報とを記憶する記憶部と、前記画像を調整する操作を終了する終了操作を受け付けたかどうかを判定する終了操作判定部と、前記車両が走行状態かどうかを検知する車両状態検知部と、を備え、前記画像調整部は、前記終了操作判定部が前記終了操作を受け付けていないと判定し、かつ前記車両状態検知部が前記走行状態であることを検知したときに、前記確定設定情報に基づいて、前記ディスプレイに前記車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の周辺等の画像の表示制御に関する調整において、不十分な表示を抑制できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子ミラーシステムの説明図。
図2】助手席側のディスプレイの画像の調整についての説明図。
図3】表示制御装置20の構成を示す構成図。
図4】助手席側のディスプレイの画像の調整のフローチャート。
図5】運転席側のディスプレイの画像の調整のフローチャート(その1)。
図6】運転席側のディスプレイの画像の調整のフローチャート(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例について図面を用いて説明する。
【実施例0010】
図1は、電子ミラーシステムの説明図である。車両10は、右側に運転席、左側に助手席を有する。車両10は、運転席の外側にカメラ11Rを有し、助手席の外側にカメラ11Lを有する。カメラ11Rは、車両10の右後方を撮像する。カメラ11Lは、車両10の左後方を撮像する。
【0011】
車両10の車内にディスプレイ21R及びディスプレイ21Lが配置される。
ディスプレイ21Rは、カメラ11Rが撮像した画像を表示することで、右後方を視認するドアミラーに対応する機能を提供する。
ディスプレイ21Lは、カメラ11Lが撮像した画像を表示することで、左後方を視認するドアミラーに対応する機能を提供する。
【0012】
ディスプレイ21Rの配置位置は、例えば右フロントピラー近傍である。ディスプレイ21Lの配置位置は、例えば左フロントピラーの近傍である。
ディスプレイ21Rは運転席から近いため、運転席に着座したユーザは、ディスプレイ21Rに対して直接に操作を行うことができる。具体的には、ディスプレイ21Rにタッチパネルを重畳して配置することで、タッチパネル操作によりディスプレイ21Rが表示する画像の調整が可能である。画像の調整は、角度の変更、拡大、縮小等を含む。例えばスライド操作を角度の変更操作、ピンチアウト操作を拡大操作、ピンチイン操作を縮小操作に対応させればよい。
【0013】
ディスプレイ21Lは運転席から遠いため、運転席に着座したユーザは、ディスプレイ21Lに対して直接に操作を行うことが困難である。そこで、後述する表示制御装置20は、ディスプレイ21Lが表示する画像の調整に際し、ディスプレイ21Rを利用する。
【0014】
図2は、助手席側のディスプレイの画像の調整についての説明図である。まず、表示状態G1では、ディスプレイ21Lは車両10左後方の画像を表示し、ディスプレイ21Rは車両10の右後方の画像を表示する。この表示状態G1は、車両10が走行中の場合などに用いられる。
【0015】
表示状態G1で車両10が停止し、ディスプレイ21Rに重畳したタッチパネルがディスプレイ21Lの調整を開始する操作を受け付けると、表示状態G2へ遷移する。表示状態G2では、ディスプレイ21Lは車両10の左後方の画像を表示し、ディスプレイ21Rはディスプレイ21Lと同一の画像を表示する。
【0016】
表示状態G2で、ディスプレイ21Rに重畳したタッチパネルが画像を調整する操作(スライド操作、ピンチイン操作、ピンチアウト操作等)を受け付けると、表示状態G3へ遷移する。表示状態G3では、ディスプレイ21Rは、受け付けた操作に対応して表示する画像を調整する。ディスプレイ21Lは、ディスプレイ21Rと同一の画像を表示する。このように、ディスプレイ21Rとディスプレイ21Lの表示が同期し、ディスプレイ21Lの画像の調整をディスプレイ21Rのタッチパネル操作で行うことができる。このため、運転席に着座したユーザは、ディスプレイ21Lの実際の視認性を確認でき、ディスプレイ21Rの表示を見ながら高い操作性で調整できる。
【0017】
表示状態G3で、ディスプレイ21Rに重畳したタッチパネルが調整の終了操作を受け付けると、表示状態G4へ遷移する。表示状態G4では、ディスプレイ21Lは、表示状態G3における調整を反映している。また、ディスプレイ21Rは、元の表示、すなわち、車両10の右後方の画像を表示する。表示状態G4で車両10が走行すると、運転席に着座したユーザは、表示状態G3での調整を反映した画像で安全確認を行うことができる。
【0018】
表示状態G3で、ディスプレイ21Rに重畳したタッチパネルが調整の終了操作を受け付ける前に車両10が走行を開始すると、表示状態G1に戻る。すなわち、表示状態G3における調整は反映されず、調整前の画像を表示する。このため、調整が完了する前に車両10が走行を開始しても、ユーザにとって視認性の不十分な画像がディスプレイ21Lに表示される事態は発生しない。なお、表示状態G3における調整は、調整途中の情報として別途記憶し、車両10が停止すれば表示状態G3から調整を再開することができる。
【0019】
図3は、表示制御装置20の構成を示す構成図である。表示制御装置20は、カメラ11L、カメラ11R、駆動制御ユニット13などと接続する。駆動制御ユニット13は、車両の加減速制御や操舵制御などを行うユニット群である。
【0020】
表示制御装置20は、ディスプレイ21、入力受付部22、車両状態検知部23、記憶部24及び制御部25を有する。制御部25は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、画像調整部31及び終了操作判定部32としての機能を実現する。
【0021】
既に説明したように、カメラ11Rは、車両10の周囲のうち、右後方、すなわち運転席側の後方の画像を撮像する。車両10の右後方を、便宜上、第1の範囲とする。また、カメラ11Lは、車両10の周囲のうち、左後方、すなわち助手席側の後方の画像を撮像する。車両10の左後方を、便宜上、第2の範囲とする。
【0022】
ディスプレイ21は、ディスプレイ21Rとディスプレイ21Lを含む。
ディスプレイ21Rは、車両10の走行状態において、第1の範囲の画像を表示する第1のディスプレイである。ディスプレイ21Rは、運転席側、たとえば右フロントピラーに配置する。
ディスプレイ21Lは、車両10の走行状態において、第2の範囲の画像を表示する第2のディスプレイである。ディスプレイ21Lは、助手席側、たとえば左フロントピラーに配置する。
【0023】
入力受付部22は、ディスプレイ21R及びディスプレイ21RLに表示する画像を調整する操作の入力を受け付ける。ただし、画像の調整の途中で車両10が走行したときには、入力受付部22は、画像を調整する操作の入力を受け付けない。画像の調整の途中で車両10が走行した場合とは、具体的には、後述する終了操作判定部32が終了操作を受け付けていないと判定し、かつ車両状態検知部23が走行状態であることを検知した場合である。入力受付部22は、運転席に着座したユーザが操作可能な位置に配置する。例えば、入力受付部22は、ディスプレイ21Rに対応付けて配置したタッチパネルとすることが好適である。
【0024】
車両状態検知部23は、車両10が走行状態かどうかを検知する。具体的には、車両状態検知部23は、シフト情報、ハンドブレーキ情報、速度情報などを駆動制御ユニット13から取得して、走行状態か否かを検知する。
【0025】
記憶部24は、ハードディスクドライブなどの記憶装置であり、確定設定値41と途中設定値42を記憶する。確定設定値41は、確定設定値41Rと確定設定値41Lを含む。途中設定値42は、途中設定値42Rと途中設定値42Lを含む。
【0026】
確定設定値41Rは、ディスプレイ21Rが表示する画像の調整に関する設定情報である。具体的には、確定設定値41Rは、カメラ11Rが撮像した画像のどの範囲を表示するかを示す。また、カメラ11Rの撮像方向や光学ズームに関する設定を示すものであってもよい。ユーザがディスプレイ21Rの画像を調整する操作を行ったときに、ディスプレイ21Rの各種設定の値は対応して変化する。そして、終了操作が行われると、各種設定の値が確定し、記憶部24は、確定した値で確定設定値41Rを更新する。終了操作が行われずに車両10が走行を始めると、記憶部24は、その時点のディスプレイ21Rの各種設定の値を途中設定値42Rとして記憶する。
【0027】
確定設定値41Lは、ディスプレイ21Lが表示する画像の調整に関する設定情報である。具体的には、確定設定値41Lは、カメラ11Lが撮像した画像のどの範囲を表示するかを示す。また、カメラ11Lの撮像方向や光学ズームに関する設定を示すものであってもよい。ユーザがディスプレイ21Lの画像を調整する操作を行ったときに、ディスプレイ21Lの各種設定の値は対応して変化する。そして、終了操作が行われると、各種設定の値が確定し、記憶部24は、確定した設定値で確定設定値41Lを更新する。終了操作が行われずに車両10が走行を始めると、記憶部24は、その時点のディスプレイ21Lの各種設定の値を途中設定値42Lとして記憶する。
なお、ユーザが過去に一度も画像の調整を行っていなければ、確定設定値41R及び確定設定値41Lは、初期値として与えられた各種設定を示す。
【0028】
画像調整部31は、入力受付部22に対する操作に基づいて、ディスプレイ21に表示する画像を調整する。その後、終了操作判定部32が終了操作を受け付けたならば、画像調整部31は、設定を確定し、記憶部24の確定設定値41を更新する。
一方、終了操作判定部32が終了操作を受け付けていないと判定し、かつ車両状態検知部23が走行状態であることを検知したときには、画像調整部31は、記憶部24の確定設定値41に基づいて、ディスプレイ21に車両10の周辺を撮像した画像を表示する。この場合、記憶部24の確定設定値41は更新されていないので、調整を行う前の設定値で画像を表示することになる。また、画像調整部31は、調整の内容を途中設定値42として記憶部24に格納する。途中設定値42は、中断した調整を再開するときに用いる。
【0029】
具体的には、画像調整部31は、車両状態検知部23が車両10の停止を検知したときに、記憶部24における途中設定値42の有無を判定する。画像調整部31は、途中設定値42があるならば、途中設定値42に基づいて車両10の周辺を撮像した画像を調整してディスプレイ21に表示する。このとき、入力受付部22は、画像を調整する操作の入力を受け付ける。
【0030】
ここで、画像調整部31は、ディスプレイ21Lに表示する画像の調整を行うときには、ディスプレイ21Lが表示する画像をディスプレイ21Rに表示させ、入力受付部22が受け付けた操作に基づいて調整を行う。このとき、ディスプレイ21Lとディスプレイ21Rは、同一の画像を表示することになる。
【0031】
終了操作判定部32は、画像を調整する操作を終了する終了操作を受け付けたかどうかを判定する。終了操作は、例えばタッチパネル上に表示したボタンに対する操作であってもよいし、物理キーを割り当ててもよい。
【0032】
図4は、助手席側のディスプレイの画像の調整のフローチャートである。助手席側のディスプレイ21Lの画像の調整は、次のステップS101~S113を順次実行することで行う。
ステップS101 入力受付部22が、助手席の画像を調整するボタン操作を受け付ける。その後、ステップS102に進む。
ステップS102 車両状態検知部23が走行状態であるか否かを判定する。走行状態であれば(ステップS102;Yes)、そのまま処理を終了する。走行状態でなければ(ステップS102;No)、ステップS103に進む。
【0033】
ステップS103 画像調整部31は、記憶部24に途中設定値42Lが記憶されているか否かを判定する。途中設定値42Lが記憶されていなければ(ステップS103;No)、ステップS104に進む。途中設定値42Lが記憶されていれば(ステップS103;Yes)、ステップS105に進む。
【0034】
ステップS104 画像調整部31は、記憶部24から確定設定値41Lを読み込む。その後、ステップS106に進む。
ステップS105 画像調整部31は、記憶部24から途中設定値42Lを読み込む。その後、ステップS106に進む。
【0035】
ステップS106 運転席側のディスプレイ21Rは、助手席側のディスプレイ21Lの画像を表示する。このとき、ステップS104又はステップS105で読み込んだ設定値を使用する。ステップS106の後、ステップS107に進む。
【0036】
ステップS107 画像調整部31は、タッチ操作に基づいて、運転席側のディスプレイ21Rに表示した助手席側の画像を調整する。助手席側のディスプレイ21Lの画像も同期する。その後、ステップS108に進む。
【0037】
ステップS108 終了操作判定部32は、画像を調整する操作を終了する終了操作を受け付けたかどうかを判定する。終了操作を受け付けていれば(ステップS108;Yes)、ステップS109に進む。終了操作を受け付けていなければ(ステップS108;No)、ステップS111に進む。
【0038】
ステップS109 画像調整部31は、記憶部24の確定設定値41Lを更新する。その後、ステップS110に進む。
ステップS110 画像調整部31は、記憶部24の途中設定値42Lを消去する。その後、処理を終了する。
【0039】
ステップS111 車両状態検知部23が走行状態であるか否かを判定する。走行状態でなければ(ステップS111;No)、ステップS107に戻る。走行状態であれば(ステップS111;Yes)、ステップS112に進む。
【0040】
ステップS112 画像調整部31は、その時点の設定値を途中設定値42Lとして記憶部24に格納する。その後、ステップS113に進む。
ステップS113 画像調整部31は、記憶部24から確定設定値41Lを読み出し、確定設定値41Lに基づいてディスプレイ21Lに画像を表示する。また、記憶部24から確定設定値41Rを読み出し、確定設定値41Rに基づいてディスプレイ21Rに画像を表示する。その後、処理を終了する。
【0041】
図5は、運転席側のディスプレイの画像の調整のフローチャートである。運転席側のディスプレイ21Rの画像の調整は、次のステップS201~S212を順次実行することで行う。
ステップS201 入力受付部22が、運転席の画像を調整するボタン操作を受け付ける。その後、ステップS202に進む。
ステップS202 車両状態検知部23が走行状態であるか否かを判定する。走行状態であれば(ステップS202;Yes)、そのまま処理を終了する。走行状態でなければ(ステップS202;No)、ステップS203に進む。
【0042】
ステップS203 画像調整部31は、記憶部24に途中設定値42Rが記憶されているか否かを判定する。途中設定値42Rが記憶されていなければ(ステップS203;No)、ステップS204に進む。途中設定値42Rが記憶されていれば(ステップS203;Yes)、ステップS205に進む。
【0043】
ステップS204 画像調整部31は、記憶部24から確定設定値41Rを読み込む。その後、ステップS206に進む。
ステップS205 画像調整部31は、記憶部24から途中設定値42Rを読み込む。その後、ステップS206に進む。
【0044】
ステップS206 運転席側のディスプレイ21Rは、ステップS204又はステップS205で読み込んだ設定値を使用して表示を行う。画像調整部31は、タッチ操作に基づいて、運転席側のディスプレイ21Rに表示した運転席側の画像を調整する。助手席側のディスプレイ21Lの画像は維持する。その後、ステップS207に進む。
【0045】
ステップS207 終了操作判定部32は、画像を調整する操作を終了する終了操作を受け付けたかどうかを判定する。終了操作を受け付けていれば(ステップS207;Yes)、ステップS208に進む。終了操作を受け付けていなければ(ステップS207;No)、ステップS210に進む。
【0046】
ステップS208 画像調整部31は、記憶部24の確定設定値41Rを更新する。その後、ステップS209に進む。
ステップS209 画像調整部31は、記憶部24の途中設定値42Rを消去する。その後、処理を終了する。
【0047】
ステップS210 車両状態検知部23が走行状態であるか否かを判定する。走行状態でなければ(ステップS210;No)、ステップS206に戻る。走行状態であれば(ステップS210;Yes)、ステップS211に進む。
【0048】
ステップS211 画像調整部31は、その時点の設定値を途中設定値42Rとして記憶部24に格納する。その後、ステップS212に進む。
ステップS212 画像調整部31は、記憶部24から確定設定値41Rを読み出し、確定設定値41Rに基づいてディスプレイ21Rに画像を表示する。ディスプレイ21Lの表示は、維持されたままである。その後、処理を終了する。
【0049】
図5に示したフローチャートでは、運転席側のディスプレイ21Rの画像の調整が中断したときにも途中設定値42Rを格納して調整前の確定設定値41Rを読み出している。変形例として、運転席側のディスプレイ21Rの画像の調整が中断したときに、その時点での設定値を確定設定値41Rとしてもよい。運転席側のディスプレイ21Rの画像の調整は、直接の操作で行うことができ、中断時点の表示状態を継続して使用してもユーザの混乱を招かないからである。
【0050】
図6は、変形例における運転席側のディスプレイの画像の調整のフローチャートである。変形例における運転席側のディスプレイ21Rの画像の調整は、次のステップS301~S307を順次実行することで行う。
ステップS301 入力受付部22が、運転席の画像を調整するボタン操作を受け付ける。その後、ステップS302に進む。
ステップS302 車両状態検知部23が走行状態であるか否かを判定する。走行状態であれば(ステップS302;Yes)、そのまま処理を終了する。走行状態でなければ(ステップS302;No)、ステップS303に進む。
【0051】
ステップS303 画像調整部31は、記憶部24から確定設定値41Rを読み込む。その後、ステップS304に進む。
ステップS304 運転席側のディスプレイ21Rは、ステップS303で読み込んだ設定値を使用して表示を行う。画像調整部31は、タッチ操作に基づいて、運転席側のディスプレイ21Rに表示した運転席側の画像を調整する。助手席側のディスプレイ21Lの画像は維持する。その後、ステップS305に進む。
【0052】
ステップS305 終了操作判定部32は、画像を調整する操作を終了する終了操作を受け付けたかどうかを判定する。終了操作を受け付けていれば(ステップS305;Yes)、ステップS307に進む。終了操作を受け付けていなければ(ステップS305;No)、ステップS306に進む。
【0053】
ステップS306 車両状態検知部23が走行状態であるか否かを判定する。走行状態でなければ(ステップS306;No)、ステップS304に戻る。走行状態であれば(ステップS306;Yes)、ステップS307に進む。
ステップS307 画像調整部31は、記憶部24の確定設定値41Rを更新する。その後、処理を終了する。
【0054】
上述してきたように、開示の表示制御装置20は、車両10の周辺及び/又は車内を撮像した画像の表示を制御する表示制御装置であって、前記車両10の周辺及び/又は車内を撮像した画像を表示するディスプレイ21と、前記画像を調整する操作の入力を受け付ける入力受付部22と、前記操作に基づいて、前記画像を調整する画像調整部31と、前記操作が行われる前の前記画像の調整に関する確定設定情報と、前記操作を反映させた途中設定情報とを記憶する記憶部24と、前記画像を調整する操作を終了する終了操作を受け付けたかどうかを判定する終了操作判定部32と、前記車両10が走行状態かどうかを検知する車両状態検知部23と、を備える。そして、前記画像調整部31は、前記終了操作判定部32が前記終了操作を受け付けていないと判定し、かつ前記車両状態検知部23が前記走行状態であることを検知したときに、前記確定設定情報に基づいて、前記ディスプレイ21に前記車両の周辺及び/又は車内を撮像した画像を表示する。
かかる構成及び動作により、画像の調整が中断したときには、調整前の画像を表示することができるため、車両の周辺等の画像の表示制御に関する調整において、不十分な表示を抑制することができる。
【0055】
また、前記記憶部24は、前記終了操作判定部32が前記終了操作を受け付けていないと判定し、かつ前記車両状態検知部23が前記走行状態であることを検知したときに、前記車両状態検知部23が前記走行状態であることを検知した時点における画像の状態を前記途中設定情報として記憶する。
このため、表示制御装置20は、中断した調整の情報を残し、調整の再開時に使用することができる。
【0056】
また、前記入力受付部22は、前記終了操作判定部32が前記終了操作を受け付けていないと判定し、かつ前記車両状態検知部23が前記走行状態であることを検知したときに、前記画像を調整する操作の入力を受け付けない。
このため、表示制御装置20は、走行中に画像の表示の設定が変化する事態の発生を抑止することができる。
【0057】
また、前記画像調整部31は、前記車両状態検知部23が前記車両10の停止を検知したときに、前記記憶部24における前記途中設定情報の有無を判定し、前記途中設定情報があるならば、前記途中設定情報に基づいて前記車両10の周辺及び/又は車内を撮像した画像を調整して前記ディスプレイ21に表示し、前記入力受付部22は、前記画像を調整する操作の入力を受け付ける。
このため、表示制御装置20は、調整の中断後、車両10が停止したときに、中断された調整を再開することができる。
【0058】
また、表示制御装置20は、前記走行状態において前記車両の周辺及び/又は車内のうち第1の範囲の画像を表示する第1のディスプレイ21Rと、前記走行状態において前記車両の周辺及び/又は車内のうち第2の範囲の画像を表示する第2のディスプレイ21Lと、を備え、前記入力受付部22は、前記第1のディスプレイ21Rに対応付けて配置したタッチパネルであり、前記画像調整部31は、前記第2のディスプレイ21Lに表示する画像の調整を行うときに、前記第2のディスプレイ21Lが表示する画像を前記第1のディスプレイ21Rに表示させ、前記入力受付部22が受け付けた操作に基づいて調整を行う。
また、前記第2のディスプレイ21Lに表示する画像の調整を行うときに、前記画像調整部31は、前記第2のディスプレイ21Lと前記第1のディスプレイ21Rに同一の画像を表示する。
また、前記第1の範囲は運転席側の後側方であり、前記第1のディスプレイは前記運転席側に配置し、前記第2の範囲は助手席側の後側方であり、前記第2のディスプレイは前記助手席側に配置する。
かかる構成及び動作により、運転席に着座したユーザは、接触可能な範囲にあるディスプレイ21Rと入力受付部22を用い、接触が困難なディスプレイ21Lの画像を調整することができる。
また、運転席に着座したユーザは、ディスプレイ21Lでの表示を確認しながら、ディスプレイ21Rと入力受付部22を用いて画像の調整を行うことができる。
【0059】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
【0060】
例えば、上記の実施例では、運転席側のディスプレイ21Rと助手席側のディスプレイ21Lを例示して説明したが、本発明は車両に搭載される任意の電子ミラーに適用することができる。特に、本発明は、ユーザから接触可能に配置したディスプレイと接触が困難な位置に配置したディスプレイとが存在する構成で有効であり、接触が困難な位置のディスプレイが表示する画像の調整を、接触可能なディスプレイを利用して実行することができる。
具体的には、ルームミラーや大型車両の前方確認用のミラーに本発明を適用することができる。
また、助手席の乗員用のミラーに本発明を適用してもよい。助手席の乗員用のミラーに本発明を適用する構成では、助手席側のディスプレイが接触可能なディスプレイとなり、運転席側のディスプレイが接触困難なディスプレイとなる。
【符号の説明】
【0061】
10:車両、11:カメラ、13:駆動制御ユニット、20:表示制御装置、21:ディスプレイ、22:入力受付部、23:車両状態検知部、24:記憶部、31:画像調整部、32:終了操作判定部、41:確定設定値、42:途中設定値
図1
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図6