(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151256
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】防振装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/06 20060101AFI20231005BHJP
F16F 1/362 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F16F15/06 A
F16F1/362
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060770
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】原田 崇史
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 和洋
【テーマコード(参考)】
3J048
3J059
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BC06
3J048DA01
3J048EA01
3J048EA07
3J048EA30
3J059BA54
3J059BB03
3J059BC01
3J059BD01
3J059CA14
3J059CB03
(57)【要約】
【課題】新規な構造を有する防振装置を提供することを課題の一つとする。
【解決手段】
防振装置は、第1プレートと、第1プレートの上の第1メッシュばねと、第1メッシュばねの上のカバーと、カバーの上のベゼルと、ベゼルの上の第2メッシュばねと、第2メッシュばねの上の第2プレートと、第1プレートと、前記カバーと、前記ベゼルと、前記第2プレートとを締結する締結部品と、を有する。また、ベゼルの内幅は、第1プレートの幅より大きくてもよい。さらに、防振装置は、ベゼルとカバーとの間に第3メッシュばねをさらに有し、ベゼルは、締結部品の軸部と第3メッシュばねを囲み、底面から下方向に伸びる脚を有してもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プレートと、
前記第1プレートの上の第1メッシュばねと、
前記第1メッシュばねの上のカバーと、
前記カバーの上のベゼルと、
前記ベゼルの上の第2メッシュばねと、
前記第2メッシュばねの上の第2プレートと、
前記第1プレートと、前記カバーと、前記ベゼルと、前記第2プレートとを締結する締結部品と、を有する、
防振装置。
【請求項2】
前記ベゼルの内幅は、前記第1プレートの幅より大きい、
請求項1に記載の防振装置。
【請求項3】
前記ベゼルと前記カバーとの間に第3メッシュばねをさらに有し、
前記ベゼルは、前記締結部品の軸部と前記第3メッシュばねを囲み、底面から下方向に伸びる脚を有する、
請求項1に記載の防振装置。
【請求項4】
前記脚の内幅は、前記ベゼルの内幅より小さい、
請求項3に記載の防振装置。
【請求項5】
前記ベゼルは、排出孔を底面に有し、
前記排出孔の直径は、前記締結部品の軸部の直径より小さい、
請求項1に記載の防振装置。
【請求項6】
前記カバーの深さは、前記第1メッシュばねの厚さ以下である、
請求項1に記載の防振装置。
【請求項7】
前記ベゼルの深さは、前記第2メッシュばねの厚さ以下である、
請求項1に記載の防振装置。
【請求項8】
前記カバーの深さは、前記第1メッシュばねの厚さ以上である、
請求項1に記載の防振装置。
【請求項9】
前記ベゼルの深さは、前記第2メッシュばねの厚さ以上である、
請求項1に記載の防振装置。
【請求項10】
第1ベゼルと、
前記第1ベゼルの上の第1メッシュばねと、
前記第1メッシュばねの上の第1カバーと、
前記第1カバーの上の第2ベゼルと、
前記第2ベゼルの上の第2メッシュばねと、
前記第2メッシュばねの上の第2カバーと、
第1ベゼルと、第1カバーと、第2ベゼルと、第2カバーと、を締結する締結部品と、を有し、
前記第1ベゼルの内幅は、前記第1カバーの外幅より大きい、
防振装置。
【請求項11】
前記第1ベゼルは、側壁にリブを有する、
請求項10に記載の防振装置。
【請求項12】
第1プレートと、
第2プレートと、をさらに有し、
前記第1ベゼルは、前記第1プレートの上に配置され、
前記第2カバーは、前記第2プレートの上に配置される、
請求項10に記載の防振装置。
【請求項13】
前記第1メッシュばねの厚さは、前記第1ベゼルの深さと前記第1カバーの深さの合計以下である、
請求項10に記載の防振装置。
【請求項14】
前記第1メッシュばねの厚さは、前記第1ベゼルの深さと前記第1カバーの深さの合計以上である、
請求項10に記載の防振装置。
【請求項15】
前記第2メッシュばねの厚さは、前記第2ベゼルの深さと前記第2カバーの深さの合計以上である、
請求項10に記載の防振装置。
【請求項16】
前記第2メッシュばねの厚さは、前記第2ベゼルの深さと前記第2カバーの深さの合計以上である、
請求項10に記載の防振装置。
【請求項17】
前記第1カバーと前記第2ベゼルとの間に第3メッシュばねをさらに有し、
前記第2ベゼルは、前記締結部品の軸部と前記第2メッシュばねを囲み、底面から下方向に伸びる脚を有し、
請求項10に記載の防振装置。
【請求項18】
前記脚の内幅は、前記第2ベゼルの内幅より小さい、
請求項17に記載の防振装置。
【請求項19】
前記第2ベゼルは、排出孔を底面に有し、
前記排出孔の直径は、前記締結部品の軸部の直径より小さい、
請求項10に記載の防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、防振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶における騒音源として、船舶用エンジンの主機・補機等の振動や、これらの主機・補機等からの排ガス管の振動が考えられる。これらの振動の伝達の抑制のための機構として、ワイヤメッシュばね防振装置が知られている。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の一つは、新規な構造を有する防振装置を提供することを課題の一つとする。また、防振装置の設置後も、本来の防振効果を奏する防振装置を提供することを課題の一つとする。さらに、設置を安全に行える防振装置を提供することを課題の一つとする。そのうえ、取り扱いを容易な防振装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つに係る防振装置は、第1プレートと、第1プレートの上の第1メッシュばねと、第1メッシュばねの上のカバーと、カバーの上のベゼルと、ベゼルの上の第2メッシュばねと、第2メッシュばねの上の第2プレートと、締結部品と、を有し、締結部品は、第1プレートと、カバーと、ベゼルと、第2プレートとを締結する。
【0006】
本発明の実施形態の一つに係る防振装置は、第1ベセルと、第1ベゼルの上の第1メッシュばねと、第1メッシュばねの上の第1カバーと、第1カバーの上の第2ベゼルと、第2ベゼルの上の第2メッシュばねと、第2メッシュばねの上の第2カバーと、第1ベゼルと、第1カバーと、第2ベゼルと、第2カバーと、を締結する締結部品と、を有し、第1ベゼルの内幅は、前記第1カバーの外幅より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的上面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的上面図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的上面図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的側面および断面図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的上面図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的上面図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る防振装置の模式的上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0009】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。添付される図面においては、便宜上XY面を水平面とし、Z方向を鉛直方向として定義する。
【0010】
本明細書および請求項において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。また、上述したZ方向において、上方、下方、または、上方向、下方向と表される場合がある。
【0011】
<第1実施形態>
1.全体構成
本実施形態では、一実施形態に係る防振装置100の構造を記述する。
図1に示すように、防振装置100は、第1プレート102-1および第2プレート102-2を有し、第1プレート102-1と第2プレート102-2との間にカバー104とベゼル106を有する。さらに、防振装置100は、締結部品として、ねじ108、第1ナット110-1、および第2ナット110-2を有する。ねじ108は、第1プレート102-1、第2プレート102-2、カバー104、およびベゼル106を貫通し、さらに第1ナット110-1および第2ナット110-2を用いて、それらを締結することができる。ねじ108に対し、第1ナット110-1および第2ナット110-2の2つのナットを用いた例について上述したが、ナットの数に制限はない。また、締結の際に、ねじ108の頭部と第2プレート102-2との間および、第1ナット110-1と第1プレートとの間に、座金112を配置してもよい。第1ナット110-1と第1プレート102-1との間の座金112は、図示されていない。また、締結部品として、ねじ、ナット、座金の組み合わせを例示したが、クイックレリーズ、クランプ、トグルクランプ、カムレバー等を用いることができる。
【0012】
防振装置100は、振動源の振動伝達抑制に用いられるが、例えば、振動源が船舶の配管である場合、
図1に示すように、船舶の構造物の一部である挟み込み鋼材114に固定して、設置することができる。挟み込み鋼材114は、カバー104とベゼル106との間に配置され、つまり、カバー104とベゼル106とに挟み込まれる。また、図示しないが、配管は、挟み込み鋼材114の上に設置、または、連結部を介して挟み込み鋼材114に設置される。配管が挟み込み鋼材114に連結される場合、防振装置100は、船舶の本体部116に固定される。例えば、
図1に示すように、本体部116は、第1プレート102-1と第1ナット110-1との間に配置され、第1ナット110-1およびねじ108によって締結され、固定される。ねじ108と第2ナット110-2によって挟み込み鋼材114と本体部116の定常的な間隔が維持され、一方、振動によって挟み込み鋼材114と本体部116の距離が変化しても、その変化を後述するメッシュばねによって吸収することができる。
2.断面構造
2-1.断面構造-1
【0013】
図2では、
図1で示す防振装置100の側面および断面模式図を示す。
図2では、説明の便宜上、X方向、Y方向、Z方向を規定する。防振装置100の側面に正対したとき、X方向は前後方向、Y方向は横方向、Z方向は縦方向に対応するものとする。すなわち、
図2に示す防振装置100は、ねじ108が第1プレート102-1と第2プレート102-2を貫通する方向がZ方向であり、ねじ108の頭部は、ねじ軸部108-1の上にある。
【0014】
図2に示すように、防振装置100は、対となる第1プレート102-1および第2プレート102-2を有する。第1プレート102-1と第2プレート102-2との間には、カバー104、ベゼル106、第1メッシュばね120-1および第2メッシュばね120-2が配置される。
【0015】
第1プレート102-1および第2プレート102-2は、ねじ108が通る貫通孔を有する。また、第1プレート102-1と第1ナット110-1との間や第2プレート102-2とねじ108の頭部との間には、それぞれ座金112を配置することができ、ねじ108の頭部や第1ナット110-1の陥没防止や緩み止めができる。
【0016】
第1プレート102-1と第2プレート102-2との間には、第1メッシュばね120-1および第2メッシュばね120-2が設けられる。第1メッシュばね120-1は、第1プレート102-1上に、配置され、第2メッシュばね120-2は、第2プレート102-2の下に、配置される。また、第1メッシュばね120-1と第2メッシュばね120-2との間には、カバー104とベゼル106が設けられる。
【0017】
上述したような配置では、下から順に第1プレート102-1、第1メッシュばね120-1、カバー104、ベゼル106、第2メッシュばね120-2、第2プレート102-2となる。
【0018】
第1メッシュばね120-1上のカバー104は、第1メッシュばね120-1の上面と側面を覆うように配置される。また、第2メッシュばね120-2下のベゼル106は、第2メッシュばね120-2を収納するように配置される。ベゼル106も、カバー104と同様に、第2メッシュばね120-2の下面と側面を覆うように配置される。
【0019】
上述したメッシュばねが覆われる構造により、例えば、船舶等の構造体に設置された後の塗装の際には、第1メッシュばね120-1および第2メッシュばね120-2に、塗料が入り込むことを防ぐことができる。塗料が入り込むと、塗料は第1メッシュばね120-1や第2メッシュばね120-2内部で硬化し、その結果、第1メッシュばね120-1や第2メッシュばね120-2のばね特性に大きな影響を与えることがある。このように塗料が入り込むことを防止可能な構造を採用することで、ばね特性に対する影響を防止することができる。
【0020】
さらに、
図2に示すように、ベゼル106の内幅W1は、第2プレート102-2の幅W2より大きい。ベゼル106の内幅W1は、
図2で示すように、内壁の幅を示し、または、底面の直径を示す。第2プレート102-2の幅W2は、
図2に示すように、第2プレート102-2の直径を示す。このように、ベゼル106の内幅W1が第2プレート102-2の幅W2よりも大きいので、ベゼル106の側壁と第2プレート102-2とが接触せず、第2プレート102-2の一部をベゼル106の内部に収容することができる。その結果、第2メッシュばね120-2をより確実にベゼル106の側壁で覆うことができる。
【0021】
カバー104および第1プレート102-1についても、上述したベゼル106および第2プレート102-2と同様な構成を有する。図示しないが、カバー104の内幅をW1とし、第1プレート102-1の幅をW2とする場合、カバー104の内幅W1は、第1プレート102-1の幅W2より大きい。このため、カバー104の側壁と第1プレート102-1とが接触せず、第1プレート102-1の一部をカバー104の内部に収容することができる。その結果、第1メッシュばね120-1をより確実にカバー104の側壁で覆うことができる。
【0022】
ベゼル106の深さと第2メッシュばね120-2の厚さの関係、およびカバー104の深さと第1メッシュばね120-1の厚さの関係は任意である。例えば防振装置100の設置後の状態では、
図2に示すように、ベゼル106の深さD1は、第2メッシュばね120-2の厚さT1以上でもよく、換言すると、第2メッシュばね120-2の厚さT1は、ベゼル106の深さD1以下であってもよく、図示しないが、前者が後者以下でもよい。好ましくは、塗料の浸入を効果的に防止するため、第2メッシュばね120-2がベゼル106と第2プレート102-2から露出しないよう、ベゼル106の深さD1が第2メッシュばね120-2の厚さT1以上となるように防振装置100を構成する。ただし、防振装置100に対し斜め方向からベゼル106に塗料を吹き付ける場合、例えば、ベゼル106の底面と側面が連結する部分をめがけて塗料を吹き付ける場合には、ベゼル106の幅が十分に広ければ塗料の浸入が防止できるので、第2メッシュばね120-2の厚さT1がベゼル106の深さD1以上であってもよい。
【0023】
カバー104の深さD2と第1メッシュばね120-1の厚さT2の関係も同様に、
図2に示すように、カバー104の深さD2は、第1メッシュばね120-1の厚さT2以上でもよく、換言すると、第1メッシュばね120-1の厚さT2は、カバー104の深さD2以下であってもよく、図示しないが、前者が後者以下でもよい。好ましくは、塗料の侵入を効果的に防止するため、第1メッシュばね120-1がカバー104と第1プレート102-1から露出しないよう、カバー104の深さD2が第1メッシュばね120-1の厚さT2以上になるように防振装置100を構成する。ただし、防振装置100に対し斜め方向からカバー104に塗料を吹き付ける場合、例えば、カバー104の上面と側面が連結する部分をめがけて塗料を吹き付ける場合には、カバー104の幅が十分に広ければ塗料の浸入が防止できるので、第1メッシュばね120-1の厚さT2がカバー104の深さD2以上であってもよい。
【0024】
防振装置100の設置前も同様であり、
図3に示すように、ベゼル106の深さD1は、第2メッシュばね120-2の厚さT1以下でもよく、図示しないが、前者が後者以上でもよい。カバー104の深さD2も同様に、第1メッシュばね120-1の厚さT2以下でもよく、図示しないが、前者が後者以上でもよい。
【0025】
ここで、
図2に示すベゼル106の深さD1は、ベゼル106の底面から側壁の端部106-11までの長さを示す。また、厚さT1は、Z方向の第2メッシュばね120-2の長さを示す。さらに、厚さT1は、第2メッシュばね120-2がベゼル106の底面および第1プレート102-1の第2メッシュばね120-2に直面する第1面102-21に接する場合、ベゼル106の底面から第1面102-21までの最短の長さを示してもよい。
【0026】
さらに、
図2に示すように、防振装置100の設置後において、第1プレート102-1と第1ナット110-1との間に船舶の本体部が配置される場合、カバー104の深さD2は、厚さT2と第1プレート102-1のZ方向の長さの合計以下であるとよい。深さD2が上述した合計より長い場合、カバー104は本体部116に接する可能性がある。ここで、深さD2および厚さT2の定義も、上述した深さD1および厚さT1と同様に定義される。
【0027】
防振装置100は、
図2に示すように、第3メッシュばね120-3をさらに有する。第3メッシュばね120-3は、ねじ108の周囲を覆うように設けられる。このように第1メッシュばね120-1、第2メッシュばね120-2、第3メッシュばね120-3を設けることで、防振装置100は、縦および横方向等の様々な方向における振動の伝達を抑制することができる。
【0028】
また、第3メッシュばね120-3は、第1メッシュばね120-1と第2メッシュばね120-2との間に配置される。さらに、第1メッシュばね120-1と第3メッシュばね120-3との間にカバー104が配置され、第2メッシュばね120-2と第3メッシュばね120-3との間にベゼル106が配置される。これらの配置により、第3メッシュばね120-3と第1メッシュばね120-1および第2メッシュばね120-2との接触を防ぐことができ、メッシュばね同士の共ずれを防ぐことができる。
【0029】
第3メッシュばね120-3は、例えば船舶等に配置される際に、挟み込み鋼材114に覆われる。また、第3メッシュばね120-3の厚さT3は、可変であり、例えばベゼル106とカバー104との間の挟み込み鋼材114の厚さにあわせて、厚さT3を調節することができる。
【0030】
ねじ108は、第1プレート102-1の貫通孔、第2プレート102-2の貫通孔、カバー104の貫通孔、ベゼル106の貫通孔を通る。
【0031】
任意の構成として、防振装置100は、第1メッシュばね120-1、第2メッシュばね120-2、カバー104、ベゼル106に囲まれる筒状のセンタースタッド128を備えてもよい。センタースタッド128は、
図2に示すように、第1プレート102-1と第2プレート102-2との間に、スペース130を有するように設けられる。また、センタースタッド128は、ねじ軸部108-1を部分的に覆うように配置される。
図2に示すように、第1プレート102-1と第2プレート102-2の間において、センタースタッド128は、ねじ軸部108-1を部分的に覆い、ねじ軸部108-1は、センタースタッド128に覆われない部分を有してもよい。
【0032】
ねじ軸部108-1のセンタースタッド128に覆われない部分には、
図2に示すように、上述したスペース130を設けることができる。スペース130は、防振装置100の設置時に起きるメッシュばねの圧縮に適応する空間である。
【0033】
センタースタッド128は、ねじ軸部108-1と第1メッシュばね120-1、第2メッシュばね120-2および第3メッシュばね120-3との間に配置される。また、センタースタッド128は、カバー104とベゼル106が有する貫通孔内に配置される。したがって、カバー104とベゼル106が有する貫通孔の直径は、ねじ108の直径やセンタースタッド128の外径より大きい。
【0034】
センタースタッド128は、防振装置100を設置する際のねじ108と第1ナット110-1および第2ナット110-2による過剰な締結を防止することができる。この締結では、第1メッシュばね120-1、第2メッシュばね120-2および第3メッシュばね120-3が上下方向に圧縮され、第1プレート102-1と第2プレート102-2との距離は、設置前の距離に比べ短くなる。しかし、センタースタッド128があることで第1プレート102-1と第2プレート102-2との距離は、スペース130の長さ分は短くなるが、センタースタッド128の長さL1以上に短くならない。より詳細には、第1プレート102-1の第1メッシュばね120-1と直面する第1面102-11と第2プレート102-2の第1面102-21との間の最短の距離が、センタースタッド128の長さL1以上に短くならない。
【0035】
また、後述する異なる構成を有する防振装置200の場合、センタースタッド228は、第1ベゼル206-1と第2プレート202-2に接し得るように設けられるため、上述した締結の際に短くなる距離は、第1ベゼル206-1と第2プレート202-2との間の最短の距離となる。つまり、上述した距離は、センタースタッド228の上下端が接する構成物同士の距離とすることができる。
【0036】
センタースタッド128と第2プレート102-2との間に配置されるスペース130は、防振装置100の設置前では、
図2に示すように、ある一定の大きさを有する。しかし、防振装置100の設置後には、上述したように、ねじ108と第1ナット110-1の締結により第1プレート102-1と第2プレート102-2との距離が設置前に比べ短くなり、その短くなった分だけ小さくなる、または、第1プレート102-1と第2プレート102-2との距離がセンタースタッド128の長さL1のとき、スペース130は消滅する。
2-2.断面構造-2
【0037】
図4は、
図1で示す防振装置100の側面、及び断面図を示す。
図2で示す防振装置100と異なる点は、ベゼル106が脚132を有する点である。以下、
図2と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0038】
図4に示すように、ベゼル106は、第2メッシュばね120-2を囲むように設けられ、底面に脚132を有する。脚132は、ベゼル106の底面より下に配置され、下方向に伸びる。また、脚132は、防振装置100の設置方向によっては、カバー104に配置されてもよい。例えば、ねじ108の頭部が
図2における下方向、第1ナット110-1が上方向に配置されるように防振装置100が設置される場合、カバー104に脚132が配置される。このときの脚132の位置は、ベゼル106が脚132を有する場合と同様である。
【0039】
さらに、例えば、ねじ軸部108-1が水平方向、すなわち、
図4における左右方向に配置されるように防振装置100が設置される場合、カバー104およびベゼル106の両方に脚132を配置してもよい。このとき、カバー104およびベゼル106の脚132は向き合うように配置されるため、カバー104およびベゼル106の脚132の長さは、互いに接触しない長さであればよい。例えば、カバー104およびベゼル106の脚132の長さの合計は、
図4に示すように、第3メッシュばね120-3の厚さT3以下であればよい。
【0040】
また、脚132は、第3メッシュばね120-3の周囲に配置され、第3メッシュばね120-3の側面を覆うように設けられる。ただし、脚132は、第3メッシュばね120-3の全てを覆わず、部分的に覆うように設けられる。つまり、脚132の長さは、第3メッシュばね120-3の厚さT3より小さい。また、脚132の長さは、挟み込み鋼材114の厚さ以下である。
【0041】
脚132の内幅W3は、ベゼル106の内幅W1より小さい。また、脚132は、ねじ軸部108-1が通る挟み込み鋼材114の貫通孔の内側に配置され、第3メッシュばね120-3の外側に配置される。したがって、脚132は、第3メッシュばね120-3と挟み込み鋼材114との間に配置され、第3メッシュばね120-3が挟み鋼材114と離隔する配置となる。
【0042】
上述したように、脚132をベゼル106に設けることで、防振装置100の設置を阻害することなく、防振装置100の設置後の塗装において、第3メッシュばね120-3への塗料の入り込みを抑制することができる。このため、塗料による第3メッシュばね120-3のばね特性への悪影響を防止することができる。
2-3.断面構造-3
【0043】
図5は、
図1で示す防振装置100の側面、及び断面図を示す。
図2で示す防振装置100と異なる点は、ベゼル106がねじ108の貫通するための貫通孔以外の孔を有する点である。以下、上述した構成と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0044】
図5に示すように、ベゼル106は、締結部品がねじの場合、その軸部としてねじ軸部108-1が貫通するための貫通孔以外の排出孔134を底面に有することができる。また、ベゼル106は、複数の排出孔134を有することができる。排出孔134は、ベゼル106の貫通孔と側壁との間に配置される。排出孔134は第2メッシュばね120-2と重なるように設けてもよい。
【0045】
図6は、
図5で示すベゼル106の上面図を示す。上述したように、排出孔134は、ベゼル106の貫通孔126と側壁との間に配置され、貫通孔126を囲むように設けられる。ただし、第3メッシュばね120-3の上には、排出孔134を配置しないことが好ましい。また、ベゼル106の底面に脚132を有する場合、底面における脚132の位置よりベゼル106の側壁側に排出孔134を配置する。このような配置により、防振装置100の設置後の塗装にて、ベゼル106内に入り込んだ塗料を排出孔134から排出でき、さらに、排出された塗料が毛細管現象によってベゼル106と挟み込み鋼材114との間に浸入しても、脚132によって、第3メッシュばね120-3への塗料の入り込みを抑制することができる。
【0046】
排出孔134の直径は、
図6に示すように、ベゼル106の貫通孔126の直径より小さく、または締結部品の軸部の直径より小さく設計することができる。具体的には、排出孔134の直径は、ねじ軸部108-1の直径より小さく設計することができる。ただし、防振装置100の設置後の塗装で使用される塗料の粘性が高い場合、塗料が排出できる程度の大きさの排出孔134を設ければよい。
【0047】
防振装置100では、第1メッシュばね120-1の上面と側面、および第2メッシュばね120-2の側面を覆うようにカバー104およびベゼル106が設けられる。防振装置100が設置された後に、防振装置100およびその周辺に塗装が施されるが、カバー104およびベゼル106によって第1メッシュばね120-1および第2メッシュばね120-2は塗料から保護され、メッシュばねのばねとしての特性や機能を維持することができる。さらに、第1メッシュばね120-1および第2メッシュばね120-2はカバー104およびベゼル106によって覆われているため、防振装置100の設置時に第1メッシュばね120-1および第2メッシュばね120-2を触れることなく設置が可能であり、安全に設置を行える防振装置が提供される。
【0048】
<第2実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つに係る防振装置200の構造を記述する。第1実施形態と同一、類似する構成については説明を割愛することがある。
【0049】
1.全体構造
防振装置200が第1実施形態の防振装置100と異なる点の一つは、前者は第1カバー204-1、第2カバー204-2、第1ベゼル206-1、および第2ベゼル206-2を有する点である。具体的には、
図7と
図8に示すように、第1プレート202-1と第2プレート202-2との間に、第1カバー204-1、第2カバー204-2、第1ベゼル206-1、および第2ベゼル206-2が設けられる。また、第1プレート202-1の上に第1ベゼル206-1、第1ベゼル206-1の上に第1カバー204-1が配置され、第1カバー204-1の上に第2ベゼル206-2、第2ベゼル206-2の上に第2カバー204-2は配置される。
【0050】
また、第1ベゼル206-1の幅は、第1カバー204-1の幅より大きく、第2ベゼル206-2の幅は、第2カバー204-2の幅より小さい。
【0051】
2.断面構造
2-1.断面構造-1
図8は、
図7で示す防振装置200の側面および断面模式図を示す。
【0052】
図8に示すように、第1プレート202-1と第1カバー204-1との間に第1ベゼル206-1は配置され、第2プレート202-2と第2ベゼル206-2との間に第2カバー204-2が配置される。第1ベゼル206-1と第1カバー204-1は、第1メッシュばね220-1を挟むように配置され、第2ベゼル206-2と第2カバー204-2は、第2メッシュばねを挟むように配置される。
【0053】
また、第1カバー204-1は、第1ベゼル206-1に収まるような大きさであり、第1ベゼル206-1に収まるように配置される。詳細には、第1ベゼル206-1の内幅W4は、
図8に示すように、第1カバー204-1の外幅W5より大きい。また、第2ベゼル206-2および第2カバー204-2の場合は、この反対の関係になる。つまり、第2ベゼル206-2は、第2カバー204-2に収まるような大きさであり、第2カバー204-2に収まるように配置される。詳細には、
図8に示すように、第2ベゼル206-2の外幅は、第2カバー204-2の内幅より小さい。このような幅の関係であることで、上下方向の振動を防振装置200が受けた場合、第1カバー204-1と第1ベゼル206-1、第2カバー204-2と第2ベゼル206-2が互いにぶつかり合わず、第1メッシュばね220-1および第2メッシュばね220-2のばねとしての機能を阻害しない。
【0054】
また、防振装置200を設置する際の締結によって第1メッシュばね220-1および第2メッシュばね220-2が圧縮されても、第1カバー204-1と第1ベゼル206-1、第2カバー204-2と第2ベゼル206-2が互いにぶつかり合わず、損傷を回避することができる。
【0055】
第1カバー204-1および第1ベゼル206-1は、上述したように、第1メッシュばね220-1を挟むように配置される。第1カバー204-1の深さD2および第1ベゼル206-1の深さD3の合計は、第1メッシュばね220-1の厚さT4以上である。換言すると、第1メッシュばね220-1の厚さT4は、第1カバー204-1の深さD2および第1ベゼル206-1の深さD3の合計以下である。ただし、防振装置200の設置前において、第1メッシュばね220-1の厚さT4は、第1カバー204-1の深さD2および第1ベゼル206-1の深さD3の合計以上である場合、第1メッシュばね220-1の厚さT4は、第1カバー204-1の深さD2および第1ベゼル206-1の深さD3の合計以上とすることができる。
【0056】
第2メッシュばね220-2の厚さも同様に、防振装置200の設置前において、第2メッシュばね220-2の厚さT1が第2カバー204-2の深さおよび第2ベゼル206-2の深さの合計以上である場合、図示しないが、第2カバー204-2の深さと第2ベゼル206-2の深さの合計以上とすることができる。このように第1メッシュばね220-1および第2メッシュばね220-2を設けることで、横方向の振動を防振装置200が受けた場合、第1カバー204-1と第1ベゼル206-1、第2カバー204-2と第2ベゼル206-2が互いにぶつかり合わず、損傷を回避することができる。
【0057】
2-2.断面構造-2
図9は、
図7で示す防振装置200の側面、及び断面図を示す。
図8で示す防振装置200と異なる点は、第2ベゼル206-2が脚232を有する点である。以下、
図8を用いて説明した構成と同一、または、類似する構成については説明を割愛することがある。
【0058】
図9に示すように、第2ベゼル206-2の底面に脚232は設けられる。脚232は、防振装置200の設置方向によっては、第1カバー204-1に配置される。例えば、ねじ208の頭部が
図8における下方向、第1ナット210-1が上方向に配置されるように防振装置200が設置される場合、第1カバー204-1に脚232が配置される。このときの脚232の位置は、第1ベゼル206-1が脚232を有する場合と同様である。
【0059】
脚232は、防振装置200の設置方向によっては、第1カバー204-1に配置される。例えば、ねじ208の頭部が
図9における下方向、第1ナット210-1が上方向に配置されるように防振装置200が設置される場合、第1カバー204-1に脚232が配置される。このときの脚232の位置は、第1ベゼル206-1が脚232を有する場合と同様である。
【0060】
防振装置200では、第1メッシュばね220-1は第1カバー204-1と第1ベゼル206-1とに挟まれ、また覆われているため、第1メッシュばね220-1の露出を少なくすることができる。また、第2メッシュばね220-2は、第2カバー204-2と第2ベゼル206-2とに挟まれ、さらに覆われているため、第2メッシュばね220-2の露出を少なくすることができる。このため、本実施形態を適用することで、防振装置200に塗装が行われても塗料が第1メッシュばね220-1や第2メッシュばね220-2に浸入することを防止することができるため、防振装置200のメッシュばねのばねとしての機能を維持することができ、本来の防振効果を奏する防振装置が提供される。さらに、本実施形態を適用することで、メッシュばねの露出が少ないため、設置を安全に行える防振装置が提供される。そのうえ、本実施形態を適用することで、取り扱いが容易である防振装置が提供される。
【0061】
<第3実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つに係る防振装置300の構造を記述する。第1および第2実施形態と同一、類似する構成については説明を割愛することがある。
【0062】
1.全体構造
防振装置300が、第2実施形態の防振装置300と異なる点の一つは、第1プレートおよび第2プレートを有さない点である。具体的には、
図10および
図11に示すように、防振装置300は、ねじ308の頭部とナット210との間に、
図1および
図2に示すような第1プレート102-1と第2プレート102-2を有さない。したがって、第1ナット310-1と第1ベゼル306-1との間には座金312が配置され、第1ベゼル306-1は、防振装置300の設置前では、座金312と接することができ、防振装置300の設置後では、設置先の本体316と接する。また、ねじ308の頭部と第2カバー304-2との間には座金312が配置され、第2カバーは座金312と接する。
【0063】
2.断面構造
図11は、
図10で示す防振装置300の側面および断面模式図を示す。
【0064】
図11に示すように、第1ベゼル306-1と座金312との間に第1プレートはなく、また、第2カバー304-2と座金312との間にも第2プレートはない。第1プレートと第2プレートを防振装置300に設けないため、第1ベゼル306-1および第2カバー304-2に、より剛性の強い材料を用いることで、第1ベゼル306-1および第2カバー304-2は、第1プレートまたは第2プレートの役割をそれぞれ兼ねさせることができる。第1プレートおよび第2プレートの役割としては、第1ベゼル306-1や第2カバー304-2の防振装置300が振動を受けるなどのときにかかる圧力による変形を抑制することが主に挙げられる。第1プレートと第2プレートを防振装置300に設けないことにより、防振装置300の構成が簡略化されるため、防振装置300の設置作業も簡略化することができる。
【0065】
3.変形例
3-1.変形例1
図12は、
図10で示す防振装置300の変形例の側面、および断面図を示す。
図11で示す防振装置300と異なる点は、第1ベゼル306-1および/または第2カバー304-2の厚みがそれぞれ第2ベゼル306-2および第1カバー304-1の厚みより大きい点である。以下、
図11と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0066】
上述したように、
図1や
図2で示した第1プレート102-1および第2プレート102-2を、防振装置300に設けない。防振装置300が振動を受けるときは、第1メッシュばね320-1や第2メッシュばね320-2を挟む第1ベゼル306-1および第2カバー304-2が振動による圧力を受ける。したがって、第1ベゼル306-1および第2カバー304-2の厚みを大きくすることで、その圧力からの変形を抑制することができる。
図12では、第1ベゼル306-1および第2カバー304-2の厚みを大きくした例を示したが、第1カバー304-1および第2ベゼル306-2の厚みも大きくすることができる。
【0067】
3-2.変形例2
図13は、
図10で示す防振装置300の変形例を斜視図で示す。
図10で示す防振装置300と異なる点は、第1ベゼル306-1および第2カバー304-2にそれぞれ複数のリブ336およびリブ338を有する点である。以下、
図12と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0068】
図13に示すように、第1ベゼル306-1は、複数のリブ336を有する。複数のリブ336は、第1ベゼル306-1の側壁に配置される。また、複数のリブ336は、第1ベゼル306-1を挟んで対角に位置するように配置される。このように複数のリブ336を配置することにより、第1ベゼル306-1の曲げ部を補強することができる。ここで、第1ベゼル306-1の曲げ部とは、第1ベゼル306-1の底面と側壁の間の角とする。
【0069】
また、第2カバー304-2も同様に、複数のリブ338を有する、複数のリブ338は、第2カバー304-2の側壁と上面にかけて、曲げ部を覆うように、設けられる。このとき、上面とは、座金312に直面する面とする。複数のリブ338は、ねじ308から放射状に伸びる形状を有する。また、複数のリブ338は、ねじ308の頭部を挟んで対角に位置するように配置される。このように複数のリブ338を配置することにより、上述した振動による圧力を複数のリブで均一に受けることができ、第1ベゼル306-1および/または第1ベゼル306-1の曲げ部を補強することができる。
【0070】
次に、
図13で示す防振装置300の側面、及び断面図を
図14にて示す。
【0071】
図14に示すように、リブ336は、第1ベゼル306-1の側壁に配置される。リブ336は、Z方向においてねじ308の頭部を上方向とすると、下方向に向かって広がる構造を有することができる。このような構造により、リブ336は、第1ベゼル306-1の本体316に直面する底面をより補強することができる。リブ336は、本体316と直面する面を第1ベゼル306-1の底面と同一平面とするとすることにより、第1ベゼル306-1をより補強することができる。さらに、リブ336のZ方向の高さは第1ベゼル306-1の側壁の高さと同じまたはそれ以下がよい。リブ336をそのような高さとすることで、防振装置300が受ける振動によって第1カバー304-1および第1ベゼル306-1がY方向に動くとき、リブ336の第1カバー304-1との接触による破損を防ぐことができる。
【0072】
第2カバー304-2のリブ338は、上述したように、第2カバー304-2の曲げ部を覆うように設けられる。具体的には、
図14に示すようにリブ338は、第2カバー304-2の曲げ部を覆うように配置される。第2カバー304-2の側壁に位置するリブ338は、Z方向において、第2カバー304-2の側壁の端部と揃うような長さ、またはそれより短くすることができる。リブ338をこのような配置および長さとすることで、第2カバー304-2と第2ベゼル306-2がY方向に動くとき、リブ338は第2ベゼル306-2との接触による破損を防ぎ、第2ベゼル306-2の曲げ部を補強することができる。さらに、第2カバー304-2は、座金312と直面するまたは接する面(上面)において、ねじ308および座金312から離れて配置される。リブ338をねじ308から離れて配置することで、防振装置300の設置の際にねじ308または座金312との接触がなく、円滑に設置することができる。
【0073】
3-3.変形例3
図15は、
図14で示す防振装置300の変形例の側面、及び断面図を示す。
図14で示す防振装置300と異なる点は、第2カバー304-2の上面に複数のリブ338-1およびリブ338-2を有する点である。以下、
図14と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0074】
図15に示すように、リブ338-1およびリブ338-2は、第2カバー304-2の第2メッシュばね320-2と直面する面と反対の面上に配置される。リブ338-1は、第2カバー304-2上でねじ308より外側に配置され、さらにその外側にリブ338-2が配置される。このとき、リブ338-2は、第2カバー304-2の上面と側壁が形成する角(曲げ部)よりねじ308側に配置される。リブ338-1およびリブ338-2は、Z方向において第2カバー304-2の側壁が伸びる方向と反対の方向に伸びる。リブ338-1およびリブ338-2のZ方向における高さは、ねじ308の頭部のZ方向における高さより小さくすることができる。このような高さにすることで、防振装置300を設置する際に、ねじ308の締結を円滑に行うことができる。
【0075】
図16は、
図15に示す防振装置300の上面図を示す。上述したように、リブ338-1およびリブ338-2は、第2カバー304-2の上に設けられ、ねじ308を囲むように配置される。リブ338-1およびリブ338-2は、ねじ308を中心とする円形を有する。リブ338-1は、リブ338-2の内側に配置され、リブ338-2は、リブ338-1と第2カバー304-2の角との間に配置される。
図16では、リブ338-1とリブ338-2と2つのリブの例を示したが、リブの数はこれに制限されず、3つ以上でもよい。
【0076】
3-4.変形例4
図17は、
図14で示す防振装置300の変形例の側面、及び断面図を示す。
図14で示す防振装置300と異なる点は、リブ338-1とリブ338を組み合わせて設けられる点である。以下、
図14と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0077】
図17に示すように、リブ338-1は、リブ338とねじ308との間に配置される。リブ338は、第2カバー304-2の曲げ部を覆うように設けられる。
【0078】
図18は、
図17に示す防振装置300の上面図を示す。リブ338-1は、ねじ308を囲むように設けられ、リブ338-1から複数のリブ338が放射状に伸びる。リブ338と複数のリブ338は、結合されている。このように上面と曲げ部にリブ338と複数のリブ338を組み合わせて設けることで、第2カバー304-2の反りや曲がりなどの様々な変形を防ぐことができる。
【0079】
3-5.変形例5
図19は、
図14で示す防振装置300の変形例の側面、及び断面図を示す、
図14で示す防振装置300と異なる点は、第2カバー304-2に複数の溝340を有する点である。以下、
図14と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0080】
図19に示すように、第2カバー304-2は上面に複数の溝340を有する。溝340は、ねじ308の貫通孔と側壁との間に設けられ、上面の座金312と接する部分には設けられない。溝340は、第2カバー304-2の断面視において三角形状の凹部を有し、その面と反対の面に三角形状の凸部を有することができる。
図19では、三角形状の溝340の例を示したが、三角形状に限らない。このように、第2カバー304-2に複数の溝340を設けることで、曲げに対する強度が増し、圧力による変形を抑制することができる。
【0081】
防振装置300では、第1ベゼル306-1および第2カバー304-2にリブ336やリブ338を設けられるため、第1ベゼル306-1および第2カバー304-2の強度を確保することができる。また、第1ベゼル306-1および第2カバー304-2の厚みを大きくすることで、強度を確保することができる。さらに、第2カバー304-2に溝340等の加工を施すことで、曲げ耐性を確保することができる。このように、本実施形態を適用することで、防振装置300は第1ベゼル306-1とナット310との間および第2カバー304-2とねじ308の頭部との間にプレートを持たなくても、第1ベゼル306-1および第2カバー304-2の変形を抑制することができる。また、防振装置300の構成も簡素となり、防振装置300の製造工程および設置が簡略化される。
【0082】
<第4実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つに係る防振装置400の構造を記述する。第1、第2実施形態、および第3実施形態と同一、類似する構成については説明を割愛することがある。
【0083】
1.基本構造
防振装置400が、第1実施形態の防振装置100と異なる点の一つは、センタースタッドを有さない点である。また、防振装置400が第1実施形態の防振装置100と異なる点の一つは、第3メッシュばねを有さない点である。
【0084】
具体的には、
図20に示すように、防振装置400は、第1メッシュばね420-1とねじ軸部408-1との間および第2メッシュばね420-2とねじ軸部408-1との間にセンタースタッドを有さない。また、防振装置400は、第1プレート402-1と第2プレート402-2との間にセンタースタッドを有さない。また、第1メッシュばね420-1とねじ軸部408-1が接してもよい。したがって、防振装置400のカバー404およびベゼル406の幅は、防振装置100のカバー404およびベゼル406の幅に比べ、小さくすることができる。また、防振装置400の第1プレート402-1および第2プレート402-2の幅は、防振装置100の第1プレート102-1および第2プレート102-2の幅に比べ、小さくすることができる。
【0085】
さらに、
図20に示すように、防振装置400は、カバー404とベゼル406との間に第3メッシュばねを有さない。防振装置400は、カバー404とベゼル406との間においてねじ軸部408-1を囲む第3メッシュばねを有さない。また、カバー404およびベゼル406は、防振装置400の設置後、鋼材414と接することができる。したがって、鋼材414は、第3メッシュばねが設置される空間を設ける必要がなく、ねじ軸部408-1が通る大きさの空間を設ければよい。
【0086】
2.変形例
2-1.変形例1
図21は、
図20で示す防振装置400の変形例を示す。
図21で示す防振装置400と
図20で示す防振装置400と異なる点は、前者はカバー404とベゼル406に替わって第1カバー404-1、第2カバー404-2、第1ベゼル406-1、および第2ベゼル406-2を有する点である。具体的には、
図21に示すように、第1プレート402-1と第2プレート402-2との間に、第1カバー404-1、第2カバー404-2、第1ベゼル406-1、および第2ベゼル406-2が設けられる。また、第1プレート402-1の上に第1ベゼル406-1、第1ベゼル406-1の上に第1カバー404-1が配置され、第1カバー404-1の上に第2ベゼル406-2、第2ベゼル406-2の上に第2カバー404-2は配置される。
【0087】
2-2.変形例2
図22は、
図20で示す防振装置400の変形例を示す。
図20で示す防振装置400と異なる点は、第3メッシュばねを有する点である。以下、
図20と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0088】
図22に示すように、第3メッシュばね420-3は、カバー404とベゼル406との間に配置される。
【0089】
防振装置400では、センタースタッドを設けないことにより、防振装置400の構成が簡略化され、また小型化される。したがって、本実施形態を適用することで、防振装置400の設置作業の簡略化および設置場所の省スペース化が可能である。
【0090】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0091】
100:防振装置、102-1:第1プレート、102-11:第1面、102-2:第2プレート、102-21:第1面、104:カバー、106:ベゼル、106-11:端部、108:ねじ、108-1:ねじ軸部、110-1:第1ナット、110-2:第2ナット、112:座金、114:鋼材、116:本体部、第1メッシュばね:120-1、第2メッシュばね:120-2、第3メッシュばね:120-3、126:貫通孔、128:センタースタッド、130:スペース、132:脚、134:排出孔、200:防振装置、202-1:第1プレート、202-2:第2プレート、204-1:第1カバー、204-2:第2カバー、206-1:第1ベゼル、206-2:第2ベゼル、第1メッシュばね:220-1、第2メッシュばね:220-2、第3メッシュばね:220-3、228:センタースタッド、232:脚、300:防振装置、304-1:第1カバー、304-2:第2カバー、306-1:第1ベゼル、306-2:第2ベゼル、308:ねじ、310:ナット、312:座金、316:本体、336:リブ、338:リブ、338-1:リブ、338-2:リブ、340:溝、400:防振装置、402-1:第1プレート、402-2:第2プレート、404:カバー、404-1:第1カバー、404-2:第2カバー、406:ベゼル、406-1:第1ベゼル、406-2:第2ベゼル、408-1:ねじ軸部、414:鋼材、420-1:第1メッシュばね、420-2:第2メッシュばね、420-3:第3メッシュばね