(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151276
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】圧電素子
(51)【国際特許分類】
H10N 30/87 20230101AFI20231005BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20231005BHJP
H10N 30/06 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L41/047
H01L41/09
H01L41/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060800
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】三井 拓樹
(72)【発明者】
【氏名】坂本 英也
(72)【発明者】
【氏名】太田 佳生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 美帆
(72)【発明者】
【氏名】井尻 博之
(72)【発明者】
【氏名】武田 明丈
(57)【要約】
【課題】内部電極での電気的な接続の信頼性を向上する圧電素子を提供する。
【解決手段】圧電素子PD1は、素体1と、外部電極と、内部電極と、を備えている。内部電極は、互いに対向している内部導体31,32を有している。内部導体31は、互いに連続している導体部分31a,31bを含んでいる。内部導体32は、第一方向D1で導体部分31aと対向している導体部分32aと、導体部分31bに接続されている領域32cと、領域32cと連続し、かつ、導体部分32aと連続している領域32dとを有する導体部分32bと、を含んでいる。導体部分32bは、第一方向D1に素体部分5bを貫通する貫通孔35b内に位置している。導体部分32bの第一方向D1での厚みは、貫通孔35bの中心線CL1に近づくにつれて増加している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素体と、
前記圧電素体の外表面に配置されている外部電極と、
前記外部電極に接続されていると共に、前記圧電素体内に配置されている内部電極と、
を備え、
前記内部電極は、互いに対向している第一内部導体と第二内部導体とを有し、
前記第一内部導体は、互いに連続している第一導体部分と第二導体部分とを含み、
前記第二内部導体は、
前記第一内部導体と前記第二内部導体とが対向している方向で前記第一導体部分と対向している第三導体部分と、
前記第二導体部分に接続されている第一領域と、前記第一領域と連続し、かつ、前記第三導体部分と連続している第二領域とを有する第四導体部分と、を含み、
前記圧電素体は、前記第一内部導体と前記第二内部導体との間に位置する素体部分を含み、
前記第四導体部分は、前記方向に前記素体部分を貫通する貫通孔内に位置し、
前記第四導体部分の前記方向での厚みは、前記貫通孔の中心線に近づくにつれて増加している、圧電素子。
【請求項2】
前記第二領域の前記方向での厚みが増加する度合いは、前記第一領域の前記方向での厚みが増加する度合いより小さい、請求項1に記載の圧電素子。
【請求項3】
前記方向は、前記第一内部導体から前記第二内部導体に向かう第一方向と、前記第二内部導体から前記第一内部導体に向かう第二方向と、を含み、
前記方向に直交し、かつ、前記第三導体部分を含む平面を基準面として、前記第二領域は、前記基準面から前記第一方向に厚みを有する領域部分と、前記基準面から前記第二方向に厚みを有する領域部分と、を含み、
前記第二領域が含む各前記領域部分の、前記方向での厚みは、前記中心線に近づくにつれて増加している、請求項1又は2に記載の圧電素子。
【請求項4】
前記方向から見て、前記第二導体部分の外縁の全体が、前記第二領域の外縁より内側に位置している、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項5】
前記第二領域には、前記第一領域から前記方向に離れた端部に、窪みが形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項6】
前記窪みの深さは、前記中心線に近づくにつれて増加している、請求項5に記載の圧電素子。
【請求項7】
前記方向から見て、前記第二導体部分は、前記窪みの外周縁の内側に位置している、請求項5又は6に記載の圧電素子。
【請求項8】
前記第二領域及び前記窪みは、前記方向から見て、円形状を呈している、請求項5~7のいずれか一項に記載の圧電素子。
【請求項9】
前記第一領域の前記方向での長さは、前記窪みの底部と、前記第二導体部分との前記方向での長さより小さい、請求項5~8のいずれか一項に記載の圧電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
知られている圧電素子は、圧電素体と、素体の外表面に配置されている外部電極と、外部電極に接続されていると共に、素体内に配置されている内部電極と、を備えている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一態様は、内部電極での電気的な接続の信頼性を向上する圧電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、内部電極での電気的な接続の信頼性を向上する圧電素子について、調査研究を行った。この結果、本発明者らは、以下の知見を新たに得て、本発明を想到するに至った。
内部電極は、互いに対向している第一内部導体と第二内部導体とを有する場合がある。この場合、第一内部導体は、互いに連続している第一導体部分と第二導体部分とを含み、第二内部導体は、互いに連続している第三導体部分と第四導体部分とを含む。第三導体部分は、第一内部導体と第二内部導体とが対向している方向で第一導体部分と対向している。第四導体部分は、第二導体部分に接続されている。
圧電素子では、圧電素体の変形に伴って、圧電素体からの応力が内部電極に作用することがあり、圧電素体から作用する応力は、内部電極の形状が変化する箇所に集中しやすい。内部電極の形状は、第四導体部分と、第二及び第三導体部分とが互いに接続又は連続している接続箇所で変化しており、圧電素体から作用する応力は、接続箇所に集中しやすい。応力の集中によって、接続箇所での電気的な接続の信頼性が低下する。電気的な接続の信頼性が低下した内部電極は、駆動信号の安定的な伝送を実現しがたい。
本発明者らの検討では、接続箇所での形状の変化が減少した内部電極は、圧電素体から作用する応力の接続箇所への集中を抑制する。応力集中の抑制は、内部電極での電気的な接続の信頼性を向上する。
【0006】
本発明の一態様に係る圧電素子は、圧電素体と、圧電素体の外表面に配置されている外部電極と、外部電極に接続されていると共に、圧電素体内に配置されている内部電極と、を備えている。内部電極は、互いに対向している第一内部導体と第二内部導体とを有している。第一内部導体は、互いに連続している第一導体部分と第二導体部分とを含んでいる。第二内部導体は、第一内部導体と第二内部導体とが対向している方向で第一導体部分と対向している第三導体部分と、第二導体部分に接続されている第一領域と、第一領域と連続し、かつ、第三導体部分と連続している第二領域とを有する第四導体部分と、を含んでいる。圧電素体は、第一内部導体と第二内部導体との間に位置する素体部分を含んでいる。第四導体部分は、上記方向に素体部分を貫通する貫通孔内に位置している。第四導体部分の上記方向での厚みは、貫通孔の中心線に近づくにつれて増加している。
【0007】
上記一態様では、互いに対向している第一内部導体と第二内部導体とは、第四導体部分によって、互いに接続されている。第四導体部分は、第二内部導体の第三導体部分と連続しており、第四導体部分の上記方向での厚みは、貫通孔の中心線に近づくにつれて増加している。したがって、第四導体部分と第三導体部分とが互いに連続する箇所で、内部電極の形状が緩やかに変化する。圧電素体の変形に伴って圧電素体から内部電極に作用する応力は、上記連続する箇所に集中しがたい。上記連続する箇所において、応力の集中による電気的な接続の信頼性の低下が抑制される。この結果、内部電極での電気的な接続の信頼性が向上する。
【0008】
上記一態様では、第二領域の上記方向での厚みが増加する度合いは、第一領域の上記方向での厚みが増加する度合いより小さくてもよい。
第二領域の上記方向での厚みが増加する度合いが、第一領域の上記方向での厚みが増加する度合いより小さい構成では、上記連続する箇所で内部電極の形状がより緩やかに変化する。圧電素体の変形に伴って圧電素体から内部電極に作用する応力は、上記連続する箇所により集中しがたい。この結果、内部電極での電気的な接続の信頼性がより向上する。
【0009】
上記一態様では、上記方向は、第一内部導体から第二内部導体に向かう第一方向と、第二内部導体から第一内部導体に向かう第二方向と、を含んでいてもよい。上記方向に直交し、かつ、第三導体部分を含む平面を基準面として、第二領域は、基準面から第一方向に厚みを有する領域部分と、基準面から第二方向に厚みを有する領域部分と、を含んでいてもよい。第二領域が含む各領域部分の、上記方向での厚みは、中心線に近づくにつれて増加していてもよい。
第二領域が含む各領域部分の、上記方向での厚みが、中心線に近づくにつれて増加している構成では、上記連続する箇所で内部電極の形状が更により緩やかに変化する。圧電素体の変形に伴って圧電素体から内部電極に作用する応力は、上記連続する箇所に更により集中しがたい。この結果、内部電極での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0010】
上記一態様では、上記方向から見て、第二導体部分の外縁の全体が、第二領域の外縁より内側に位置していてもよい。
上記方向から見て、第二導体部分の外縁の全体が、第二領域の外縁より内側に位置している構成では、上記方向から見て、第二領域の外縁が中心線からより離れて位置しており、第二領域の上記方向での厚みの増加の度合いが減少する。上記連続する箇所で内部電極の形状が更により緩やかに変化する。圧電素体の変形に伴って圧電素体から内部電極に作用する応力は、上記連続する箇所に更により集中しがたい。この結果、内部電極での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0011】
上記一態様では、第二領域には、第一領域から上記方向に離れた端部に、窪みが形成されていてもよい。
第二領域において、第一領域から上記方向に離れた端部に、窪みが形成されている構成では、第二領域に窪みが形成された分、第四導体部分の上記方向での厚みが減少している。厚みの減少によって、第四導体部分は、圧電素体の変形に伴う第三導体部分の収縮及び延伸に対してより追随しやすい。したがって、上記連続する箇所での電気的な接続の信頼性の低下がより抑制される。この結果、内部電極での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0012】
上記一態様では、窪みの深さは、中心線に近づくにつれて増加していてもよい。
窪みの深さが、中心線に近づくにつれて増加している構成では、第四導体部分の上記方向での厚みが、中心線に近づくにつれて減少しており、第四導体部分は、圧電素体の変形に伴う第三導体部分の収縮及び延伸に対して更により追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0013】
上記一態様では、上記方向から見て、第二導体部分は、窪みの外周縁の内側に位置していてもよい。
上記方向から見て、第二導体部分が窪みの外周縁の内側に位置している構成では、窪みの形成によって第四導体部分の上記方向での厚みが減少する範囲がより拡大する。広い範囲での厚みの減少によって、第四導体部分は、圧電素体の変形に伴う第三導体部分の収縮及び延伸に対して更により追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0014】
上記一態様では、第二領域及び窪みは、上記方向から見て、円形状を呈していてもよい。
第二領域及び窪みが、上記方向から見て、円形状を呈している構成では、第四導体部分は、圧電素体の変形に伴う第三導体部分の上記方向に交差する方向での収縮及び延伸に対してより追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0015】
上記一態様では、第一領域の上記方向での長さは、窪みの底部と、第二導体部分との上記方向での長さより小さくてもよい。
第一領域の上記方向での長さは、窪みの底部と、第二導体部分との上記方向での長さより小さい構成では、第四導体部分は、圧電素体の変形に伴う第三導体部分の収縮及び延伸に対して更により追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様は、内部電極での電気的な接続の信頼性を向上する圧電素子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る圧電素子の断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
図1~
図12を参照して、本実施形態に係る圧電素子PD1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る圧電素子の断面構成を示す図である。
図3は、貫通孔の配列を示す図である。
図4~
図12は、内部導体の構成を示す図である。
図4~
図12では、各部を明確に示すため、ハッチングが省略されている。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、圧電素子PD1は、素体1と、外部電極10,20と、内部電極30,40と、を備えている。外部電極10,20は、素体1の外表面に配置されている。内部電極30,40は、素体1内に配置されている。内部電極30,40は、外部電極10,20に接続されている。内部電極30,40は、外部電極10,20のうち、対応する外部電極10,20に接続されている。内部電極30,40は、対応する外部電極10,20と物理的かつ電気的に接続されている。外部電極10,20には、たとえば、互いに極性が異なる電圧が印加される。
【0021】
本実施形態では、素体1は、直方体形状を呈している圧電素体である。素体1は、互いに対向している一対の主面1a,1bと、互いに対向している一対の側面1c,1dと、互いに対向している一対の側面1e,1fと、を有している。主面1a,1b、側面1c,1d、及び側面1e,1fは、素体1の外表面を構成している。主面1a,1b、側面1c,1d、及び側面1e,1fは、矩形状を呈している。
【0022】
主面1a,1bは、第一方向D1で互いに対向している。主面1a,1bは、素体1の第一方向D1での両端を規定している。側面1c,1dは、主面1a,1bと隣り合うと共に、第一方向D1に交差する第二方向D2で互いに対向している。側面1c,1dは、素体1の第二方向D2での両端を規定している。側面1e,1fは、主面1a,1b及び側面1c,1dと隣り合うと共に、第一方向D1及び第二方向D2に交差する第三方向D3で互いに対向している。側面1e,1fは、素体1の第三方向D3での両端を規定している。本実施形態では、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は、互いに直交している。本明細書での「直方体形状」は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。本明細書での「矩形状」は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状を含む。
【0023】
主面1a,1bは、側面1cと側面1dとを連結するように、第二方向D2に延在している。主面1a,1bは、側面1eと側面1fとを連結するように、第三方向D3に延在している。側面1c,1dは、主面1aと主面1bとを連結するように、第一方向D1に延在している。側面1c,1dは、側面1eと側面1fとを連結するように、第三方向D3に延在している。側面1e,1fは、主面1aと主面1bとを連結するように、第一方向D1に延在している。側面1e,1fは、側面1cと側面1dとを連結するように、第二方向D2に延在している。主面1a,1bと、側面1c,1dと、側面1e,1fとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、主面1a,1bと、側面1c,1dと、側面1e,1fとの間には、稜線部が位置する。
【0024】
素体1の第一方向D1での長さ、すなわち、素体1の厚みは、たとえば、0.2~0.5mmである。素体1の第二方向D2での長さは、たとえば、20mmである。素体1の第三方向D3での長さは、たとえば、10mmである。素体1では、たとえば、第二方向D2が長辺方向である。
【0025】
素体1は、たとえば、複数の圧電体層3a,3b,3c,3d,3eを有している。本実施形態では、素体1は、5層の圧電体層3a,3b,3c,3d,3eを有している。圧電体層3a,3b,3c,3d,3eは、たとえば、第一方向D1に積層されている。圧電体層3aは、主面1aを有している。圧電体層3eは、主面1bを有している。圧電体層3b,3c,3dは、圧電体層3aと圧電体層3eとの間に位置している。本実施形態では、圧電体層3a,3b,3c,3d,3eの厚みは、互いに同等である。本明細書での「同等」は、必ずしも、値が一致していることだけを意味するのではない。予め設定した範囲での微差、製造誤差、又は測定誤差が含まれている場合でも、厚みが同等であるとしてもよい。本実施形態では、圧電素子PD1は、いわゆる積層型圧電素子である。
【0026】
圧電体層3a,3b,3c,3d,3eは、圧電材料からなる。本実施形態では、圧電体層3a,3b,3c,3d,3eは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料は、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)を含む。圧電体層3a,3b,3c,3d,3eは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体1では、圧電体層3a,3b,3c,3d,3eは、圧電体層3a,3b,3c,3d,3eの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
【0027】
外部電極10は、たとえば、主面1bに配置されている。外部電極10は、第一方向D1から見て、たとえば、主面1bの全ての縁(四辺)から離間している。外部電極20は、たとえば、主面1bに配置されている。外部電極20は、第一方向D1から見て、たとえば、主面1bの全ての縁(四辺)から離間している。本実施形態では、第一方向D1から見て、外部電極10,20は、矩形状を呈している。外部電極10,20は、第一方向D1から見て、たとえば、互いに同形状を呈している。第一方向D1から見て、外部電極10,20の長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致し、外部電極10,20の短辺方向は、第三方向D3と一致している。外部電極10,20は、導電性材料を含んでいる。外部電極10,20の導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Cu、Pt、Au-Pd合金、又はAg-Pd合金が用いられる。外部電極10,20は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0028】
内部電極30は、たとえば、外部電極10と接続されている。内部電極30は、内部導体31と、内部導体32と、内部導体33と、内部導体34とを有している。内部導体31と、内部導体32と、内部導体33と、内部導体34とは、第一方向D1において、互いに異なる位置(層)に配置されている。内部導体31と、内部導体32と、内部導体33と、内部導体34との各々は、互いに、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部導体31と、内部導体32と、内部導体33と、内部導体34とは、たとえば、第一方向D1で、この順に並んでいる。内部導体34は、第一方向D1で外部電極10と対向している。内部導体31と、内部導体32と、内部導体33と、内部導体34とは、素体1の外表面には露出していない。したがって、内部導体31と、内部導体32と、内部導体33と、内部導体34とは、主面1a,1bの全ての縁(四辺)から離間している。内部導体31と、内部導体32と、内部導体33と、内部導体34とは、側面1c,1d,1e,1fからも離間している。たとえば、内部導体31が、第一内部導体を構成する場合、内部導体32は、第二内部導体を構成する。たとえば、内部導体32が、第一内部導体を構成する場合、内部導体33は、第二内部導体を構成する。たとえば、内部導体33が、第一内部導体を構成する場合、内部導体34は、第二内部導体を構成する。
【0029】
素体1は、たとえば、複数の素体部分5a,5b,5c,5d,5eを含んでいる。素体部分5aは、主面1aと内部導体31との間に位置している。素体部分5aは、たとえば、圧電体層3aを含んでいる。素体部分5bは、内部導体31と内部導体32との間に位置している。素体部分5bは、たとえば、圧電体層3bを含んでいる。素体部分5cは、内部導体32と内部導体33との間に位置している。素体部分5cは、たとえば、圧電体層3cを含んでいる。素体部分5dは、内部導体33と内部導体34との間に位置している。素体部分5dは、たとえば、圧電体層3dを含んでいる。素体部分5eは、内部導体34と主面1bとの間に位置している。素体部分5eは、たとえば、圧電体層3eを含んでいる。内部導体31は、素体部分5aと素体部分5bとの間に位置している。内部導体32は、素体部分5bと素体部分5cとの間に位置している。内部導体33は、素体部分5cと素体部分5dとの間に位置している。内部導体34は、素体部分5dと素体部分5eとの間に位置している。
【0030】
本実施形態では、貫通孔35b,35c,35d,35eが形成されている。素体部分5bには、第一方向D1に素体部分5bを貫通する貫通孔35bが形成されている。素体部分5cには、第一方向D1に素体部分5cを貫通する貫通孔35cが形成されている。素体部分5dには、第一方向D1に素体部分5dを貫通する貫通孔35dが形成されている。素体部分5eには、第一方向D1に素体部分5eを貫通する貫通孔35eが形成されている。
【0031】
図3に示されるように、貫通孔35b,35c,35d,35eは、第一方向D1から見て、たとえば、行列状に配列されている。
図3に示された例では、貫通孔35b,35c,35d,35eは、第一方向D1から見て、2行2列の行列状に配列している。貫通孔35b,35dは、第一方向D1から見て、たとえば、互いに重なっている。貫通孔35c,35eは、第一方向D1から見て、たとえば、互いに重なっている。貫通孔35b,35d及び貫通孔35c,35eは、第一方向D1から見て、たとえば、互いに等間隔で配列されている。貫通孔35b,35d及び貫通孔35c,35eは、たとえば、等間隔で引かれた格子、すなわち、正方格子の交点に配列されている。貫通孔35b,35dの第二方向D2での配列間隔は、たとえば、貫通孔35c,35eの第二方向D2での配列間隔と等しい。貫通孔35b,35dの第三方向D3での配列間隔は、たとえば、貫通孔35c,35eの第三方向D3での配列間隔と等しい。貫通孔35c,35eは、第一方向D1から見て、貫通孔35b,35dに対して、たとえば、第二方向D2及び第三方向D3に、貫通孔35b,35c,35d,35eの配列間隔の1/2ずつ平行移動して配置されている。貫通孔35c,35eは、第一方向D1から見て、貫通孔35b,35dに対して、第二方向D2及び第三方向D3のいずれか一方向のみに、貫通孔35b,35c,35d,35eの配列間隔の1/2ずつ平行移動して配置されていてもよい。貫通孔35b,35c,35d,35eは、第一方向D1から見て、たとえば、3行3列の行列状に配列していてもよい。
【0032】
内部電極40は、たとえば、外部電極20と接続されている。内部電極40は、内部導体41と、内部導体42と、内部導体43と、内部導体44とを有している。内部導体41と、内部導体42と、内部導体43と、内部導体44とは、第一方向D1において、互いに異なる位置(層)に配置されている。内部導体41と、内部導体42と、内部導体43と、内部導体44との各々は、互いに、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部導体41と、内部導体42と、内部導体43と、内部導体44とは、たとえば、第一方向D1で、この順に並んでいる。内部導体44は、第一方向D1で外部電極20と対向している。内部導体41と、内部導体42と、内部導体43と、内部導体44とは、素体1の外表面には露出していない。したがって、内部導体41と、内部導体42と、内部導体43と、内部導体44とは、主面1a,1bの全ての縁(四辺)から離間している。内部導体41と、内部導体42と、内部導体43と、内部導体44とは、側面1c,1d,1e,1fからも離間している。たとえば、内部導体41が、第一内部導体を構成する場合、内部導体42は、第二内部導体を構成する。たとえば、内部導体42が、第一内部導体を構成する場合、内部導体43は、第二内部導体を構成する。たとえば、内部導体43が、第一内部導体を構成する場合、内部導体44は、第二内部導体を構成する。
【0033】
素体部分5aは、主面1aと内部導体41との間に位置している。素体部分5aは、たとえば、圧電体層3aを含んでいる。素体部分5bは、内部導体41と内部導体42との間に位置している。素体部分5bは、たとえば、圧電体層3bを含んでいる。素体部分5cは、内部導体42と内部導体43との間に位置している。素体部分5cは、たとえば、圧電体層3cを含んでいる。素体部分5dは、内部導体43と内部導体44との間に位置している。素体部分5dは、たとえば、圧電体層3dを含んでいる。素体部分5eは、内部導体44と主面1bとの間に位置している。素体部分5eは、たとえば、圧電体層3eを含んでいる。内部導体41は、素体部分5aと素体部分5bとの間に位置している。内部導体42は、素体部分5bと素体部分5cとの間に位置している。内部導体43は、素体部分5cと素体部分5dとの間に位置している。内部導体44は、素体部分5dと素体部分5eとの間に位置している。
【0034】
本実施形態では、貫通孔45b,45c,45d,45eが形成されている。素体部分5bには、第一方向D1に素体部分5bを貫通する貫通孔45bが形成されている。素体部分5cには、第一方向D1に素体部分5cを貫通する貫通孔45cが形成されている。素体部分5dには、第一方向D1に素体部分5dを貫通する貫通孔45dが形成されている。素体部分5eには、第一方向D1に素体部分5eを貫通する貫通孔45eが形成されている。
【0035】
貫通孔45b~45eは、第一方向D1から見て、たとえば、行列状に配列されている。たとえば、第一方向D1から見て、それぞれ4つの貫通孔45b~45eが、2行2列の行列状に配列している。貫通孔45b,45d及び貫通孔45c,45eは、第一方向D1から見て、たとえば、互いに等間隔で配列されている。貫通孔45b,45d及び貫通孔45c,45eは、たとえば、等間隔で引かれた格子、すなわち、正方格子の交点に配列されている。貫通孔45b~45eの配列は、たとえば、
図3に例示されている貫通孔35b~35eの配列と同じである。
【0036】
図2に示されている例では、内部導体31と内部導体42とは、第一方向D1で互いに対向している。内部導体31と内部導体42とは、素体部分5bを挟んでいる。内部導体42と内部導体33とは、第一方向D1で互いに対向している。内部導体42と内部導体33とは、素体部分5cを挟んでいる。内部導体33と内部導体44とは、第一方向D1で互いに対向している。内部導体33と内部導体44とは、素体部分5dを挟んでいる。
【0037】
素体1では、素体部分5bのうち内部導体31と内部導体42とで挟まれた領域と、素体部分5cのうち内部導体42と内部導体33とで挟まれた領域と、素体部分5dのうち内部導体33と内部導体44とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な活性領域を構成する。内部導体31と内部導体42との間、内部導体42と内部導体33との間、及び内部導体33と内部導体44との間に、活性領域が形成される。第一方向D1から見て、素体部分5b,5c,5dにおいて、内部導体31及び内部導体42と、内部導体42及び内部導体33と、内部導体33及び内部導体44とが互いに重なっている領域の外縁が、活性領域と、圧電効果的に不活性な不活性領域との境界を画成している。素体1では、素体部分5aと素体部分5eとは、不活性領域を構成する。
【0038】
内部電極30,40は、たとえば、Ag-Pd合金を含んでいる。内部電極30,40は、たとえば、素体1との同時焼成によって形成され、Ag及びPdからなる粒子を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。内部電極30,40は、Ag-Pd合金以外に、たとえば、Pt、Ag、Pd、Au、Cu、及びこれらの合金からなる導電性材料を含んでいる。内部電極30,40は、これらの導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されてもよい。
【0039】
図4及び
図5は、内部導体31,32の構成を示す図である。
図4及び
図5に示されるように、内部導体31は、導体部分31aと導体部分31bとを含んでいる。導体部分31aと導体部分31bとは、互いに連続している。導体部分31aと導体部分31bとは、たとえば、第二方向D2及び第三方向D3で、互いに連続している。たとえば、導体部分31aが、第一導体部分を構成する場合、導体部分31bは、第二導体部分を構成する。
【0040】
内部導体32は、導体部分32aと導体部分32bとを含んでいる。導体部分32aは、第一方向D1で導体部分31aと対向している。導体部分32bは、第一方向D1に延在していると共に、内部導体31に接続されている。導体部分32bは、領域32cと領域32dとを有している。領域32cは、導体部分31bに接続されている。領域32cは、たとえば、導体部分31bに物理的かつ電気的に接続されている。領域32dは、領域32cと連続し、かつ、導体部分32aと連続している。本実施形態では、領域32dは、第一方向D1で領域32cと連続し、第二方向D2及び第三方向D3で導体部分32aと連続している。導体部分32bは、貫通孔35b内に位置している。たとえば、導体部分32aが、第三導体部分を構成する場合、導体部分32bは、第四導体部分を構成する。たとえば、導体部分32aが、第三導体部分を構成する場合、導体部分32bは、接続部分を構成する。たとえば、領域32cが、第一領域を構成する場合、領域32dは、第二領域を構成する。導体部分31a及び導体部分32aの厚みは、たとえば、2μmである。
【0041】
図5に示されるように、導体部分32bの第一方向D1での厚みは、貫通孔35bの中心線CL1に近づくにつれて増加している。したがって、領域32cと領域32dとにおいて、第一方向D1での厚みが、中心線CL1に近づくにつれて増加している。領域32cと領域32dとの第一方向D1での合計厚みは、導体部分32aから導体部分31aに向かう方向で、中心線CL1に近づくにつれて増加している。たとえば、中心線CL1は、第一方向D1に延びている。
【0042】
本実施形態では、領域32dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域32cの第一方向D1での厚みが増加する度合いと異なっている。たとえば、領域32dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域32cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより小さい。したがって、導体部分32bの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、たとえば、領域32dと領域32cとの境界で減少する。領域32dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域32cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより大きくてもよい。領域32dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域32cの第一方向D1での厚みが増加する度合いと略同一でもよい。
【0043】
本実施形態では、第一方向D1は、内部導体31から内部導体32に向かう方向D1aと、内部導体32から内部導体31に向かう方向D1bと、を含んでいる。領域32dは、領域部分32d1と、領域部分32d2と、を含んでいる。基準面SP1は、第一方向D1に直交し、かつ、導体部分32aを含む平面である。領域32dは、基準面SP1から方向D1aに厚みを有する領域部分32d2と、基準面SP1から方向D1bに厚みを有する領域部分32d1と、を含んでいる。各領域部分32d1,32d2の、第一方向D1での厚みは、中心線CL1に近づくにつれて増加している。たとえば、方向D1aが第一方向を構成する場合、方向D1bは、第二方向を構成する。
【0044】
第一方向D1から見て、領域32dは、たとえば、円形状を呈している。第一方向D1から見て、領域32c及び導体部分31bも、たとえば、円形状を呈している。領域32dは、第一方向D1から見て、導体部分31bの全周にわたって、導体部分31bの外側に延在している。したがって、たとえば、第一方向D1から見て、領域32dの円形状は、導体部分31bの円形状を含んでおり、かつ、導体部分31bの円形状の外側にまで拡がっている。本明細書での「円形状」は、たとえば、真円形状又は楕円形状を含む。
【0045】
領域32dには、領域32cから第一方向D1に離れた端部32fに、窪み36が形成されている。窪み36は、第一方向D1から見て、たとえば、円形状を呈している。窪み36内には、たとえば、素体部分5cが充填している。窪み36は、導体部分31aから導体部分32aに向かう方向に開口している。窪み36は、たとえば、開口縁36aと、底部36bと、開口縁36aと底部36bとを連結する傾斜部36cによって構成されている。窪み36の深さは、開口縁36aから底部36bに近づくにつれて増加している。開口縁36aは、第一方向D1から見て、窪み36の外周縁を画成している。第一方向D1から見て、導体部分31bは、窪み36の外周縁の内側に位置している。底部36bは、第一方向D1から見て、たとえば、円形状を呈している。底部36bの幅は、開口縁36aの幅、すなわち、開口幅W1より小さい。傾斜部36cは、たとえば、底部36bの幅が開口幅W1より小さくなるように、形成されている。底部36bは、たとえば、中心線CL1と交差している。窪み36の中心軸は、たとえば、中心線CL1と略一致している。
【0046】
本実施形態では、第一方向D1から見て、導体部分31bの外縁の全体は、たとえば、領域32dの外縁より内側に位置している。したがって、開口幅W1は、たとえば、導体部分31bの幅W2より大きい。したがって、窪み36は、第一方向D1から見て、導体部分31bの全周にわたって、導体部分31bの外側に延在している。開口幅W1は、導体部分31bの幅W2より小さくてもよく、導体部分31bの幅W2と略同一であってもよい。
【0047】
領域32cの第一方向D1での長さH1は、たとえば、底部36bと導体部分31bとの第一方向D1での長さH2より小さい。したがって、導体部分32bの厚みが増加する度合いが変化する位置は、第一方向D1で、底部36bに比べて、導体部分31bに近い。長さH1は、長さH2より大きくてもよく、長さH2と略同一であってもよい。窪み36が形成されている分、導体部分32bの第一方向D1での厚みが減少している。
【0048】
図4及び
図5に示されているように、導体部分32bは、領域32pと領域32qとを有している。領域32pは、導電性を有する第一材料を含んでいる。領域32qは、第一材料とは異なる第二材料を含んでいる。第二材料の線膨張係数は、第一材料の線膨張係数と異なっている。第二材料の線膨張係数は、たとえば、第一材料の線膨張係数より小さい。本明細書では、「線膨張係数」は、材料の長さが温度変化によって変化する割合を表している。この「線膨張係数」は、たとえば、温度変化1℃あたりの長さの変化率で定義される。
【0049】
第一材料は、たとえば、導体部分32b以外の内部電極30に含まれる材料と同一の導電性材料を含んでいる。本実施形態では、第一材料は、たとえば、Ag-Pd合金、又は、Pt、Ag、Pd、Au、Cu、及びこれらの合金からなる導電性材料を含んでいる。導体部分32bは、これらの導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されてもよい。
【0050】
第二材料は、たとえば、セラミック材料を含んでいる。第二材料に含まれるセラミック材料は、たとえば、素体1に含まれるセラミック材料と同一である。第二材料に含まれるセラミック材料は、たとえば、酸化銅を含有している。
【0051】
導体部分32bは、たとえば、複数の領域32qを有している。複数の領域32qは、領域32p内に分布している。複数の領域32qは、たとえば、領域32p内に均一に分布している。この場合、領域32pは、複数の領域32qが他の領域に比べて片寄って分布している領域を有しない。
【0052】
領域32qは、たとえば、素体1に向けて突出する突起状の部位32rを有している。したがって、領域32qは、たとえば、素体1と接している。領域32qは、たとえば、素体1と一体化していてもよい。
【0053】
領域32qは、領域32c及び領域32dの少なくともいずれか一方に位置している。したがって、領域32qは、たとえば、領域32c及び領域32dの両方に位置している。領域32qは、たとえば、領域32cに位置し、領域32dに位置していない。領域32qは、たとえば、領域32dに位置し、領域32cに位置していない。
【0054】
領域32qは、たとえば、領域32d内であって、窪み36を画成する面を含む領域32sに位置している。本実施形態では、領域32qは、たとえば、領域32c、領域32d、及び領域32sに位置している。領域32qは、たとえば、領域32c及び領域32sに位置し、領域32dに位置していない。領域32qは、たとえば、領域32d及び領域32sに位置し、領域32cに位置していない。領域32qは、領域32sに位置していなくてもよい。領域32c,32d,32sでは、領域32qが位置している場合、たとえば、部位32rが、素体1に向けて突出してもよい。
【0055】
図4及び
図5に示されているように、導体部分32bには、空洞50が形成されている。本実施形態では、一つ又は複数の空洞50が形成されている。
図4及び
図5は、複数の空洞50が形成されている例を示している。空洞50内には、たとえば、不活性ガスが含まれている。空洞50内に含まれる不活性ガスは、たとえば、N
2又はCO
2であり、不活性ガスの濃度は、たとえば、希薄である。空洞50の断面は、多角形状を呈している。
【0056】
複数の空洞50は、導体部分32b内に分布するように形成されている。複数の空洞50は、たとえば、導体部分32b内に均一に分布するように形成されている。この場合、導体部分32bは、複数の空洞50が他の領域に比べて片寄って分布している領域を有しない。
【0057】
空洞50は、領域32c及び領域32dの少なくともいずれか一方に形成されている。したがって、空洞50は、たとえば、領域32c及び領域32dの両方に形成されている。空洞50は、たとえば、領域32cに形成され、領域32dには、形成されていない。空洞50は、たとえば、領域32dに形成され、領域32cには、形成されていない。
【0058】
空洞50は、たとえば、領域32c内であって、窪み36を画成する面を含む領域32sに形成されている。本実施形態では、空洞50は、たとえば、領域32c、領域32d及び領域32sに形成されている。空洞50は、たとえば、領域32c及び領域32sに形成され、領域32dに形成されていない。空洞50は、たとえば、領域32d及び領域32sに位置し、領域32cに形成されていない。空洞50は、領域32sに形成されていなくてもよい。
【0059】
導体部分32bには、導体部分32bの外周面に開口している窪み51が形成されている。たとえば、複数の窪み51が形成されている。窪み51内には、素体1が充填されている。
図4及び
図5に示された例では、窪み51内に、素体部分5b,5cが充填されている。
【0060】
図6は、内部導体33,34の構成を示す図である。
図6に示されるように、内部導体33は、導体部分33aと導体部分33bとを含んでいる。導体部分33aと導体部分33bとは、互いに連続している。導体部分33aと導体部分33bとは、たとえば、第二方向D2及び第三方向D3で、互いに連続している。たとえば、導体部分33aが、第一導体部分を構成する場合、導体部分33bは、第二導体部分を構成する。
【0061】
内部導体34は、導体部分34aと導体部分34bとを含んでいる。導体部分34aは、第一方向D1で導体部分33aと対向している。導体部分34bは、第一方向D1に延在していると共に、内部導体33に接続されている。導体部分34bは、領域34cと領域34dとを有している。領域34cは、導体部分33bに接続されている。領域34cは、たとえば、導体部分33bに物理的かつ電気的に接続されている。領域34dは、領域34cと連続し、かつ、導体部分34aと連続している。本実施形態では、領域34dは、第一方向D1で領域34cと連続し、第二方向D2及び第三方向D3で導体部分34aと連続している。導体部分34bは、貫通孔35d内に位置している。たとえば、導体部分34aが、第三導体部分を構成する場合、導体部分34bは、第四導体部分を構成する。たとえば、導体部分34aが、第三導体部分を構成する場合、導体部分34bは、接続部分を構成する。たとえば、領域34cが、第一領域を構成する場合、領域34dは、第二領域を構成する。導体部分33a及び導体部分34aの厚みは、たとえば、2μmである。
【0062】
図6に示されるように、導体部分34bの第一方向D1での厚みは、貫通孔35dの中心線CL1に近づくにつれて増加している。したがって、領域34cと領域34dとにおいて、第一方向D1での厚みが、中心線CL1に近づくにつれて増加している。領域34cと領域34dとの第一方向D1での合計厚みは、導体部分34aから導体部分33aに向かう方向で、中心線CL1に近づくにつれて増加している。たとえば、中心線CL1は、第一方向D1に延びている。
【0063】
本実施形態では、領域34dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域34cの第一方向D1での厚みが増加する度合いと異なっている。たとえば、領域34dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域34cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより小さい。したがって、導体部分34bの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、たとえば、領域34dと領域34cとの境界で減少する。領域34dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域34cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより大きくてもよい。領域34dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域34cの第一方向D1での厚みが増加する度合いと略同一でもよい。
【0064】
本実施形態では、第一方向D1は、内部導体33から内部導体34に向かう方向D1aと、内部導体34から内部導体33に向かう方向D1bと、を含んでいる。領域34dは、領域部分34d1と、領域部分34d2と、を含んでいる。基準面SP1は、第一方向D1に直交し、かつ、導体部分34aを含む平面である。領域34dは、基準面SP1から方向D1aに厚みを有する領域部分34d2と、基準面SP1から方向D1bに厚みを有する領域部分34d1と、を含んでいる。各領域部分34d1,34d2の、第一方向D1での厚みは、中心線CL1に近づくにつれて増加している。たとえば、方向D1aが第一方向を構成する場合、方向D1bは、第二方向を構成する。
【0065】
第一方向D1から見て、領域34dは、たとえば、円形状を呈している。第一方向D1から見て、領域34c及び導体部分33bも、たとえば、円形状を呈している。領域34dは、第一方向D1から見て、導体部分33bの全周にわたって、導体部分33bの外側に延在している。したがって、たとえば、第一方向D1から見て、領域34dの円形状は、導体部分33bの円形状を含んでおり、かつ、導体部分33bの円形状の外側にまで拡がっている。
【0066】
領域34dには、領域34cから第一方向D1に離れた端部34fに、窪み36が形成されている。窪み36は、第一方向D1から見て、たとえば、円形状を呈している。窪み36内には、たとえば、素体部分5eが充填している。窪み36は、導体部分33aから導体部分34aに向かう方向に開口している。窪み36は、たとえば、開口縁36aと、底部36bと、開口縁36aと底部36bとを連結する傾斜部36cによって構成されている。窪み36の深さは、開口縁36aから底部36bに近づくにつれて増加している。開口縁36aは、第一方向D1から見て、窪み36の外周縁を画成している。第一方向D1から見て、導体部分33bは、窪み36の外周縁の内側に位置している。底部36bは、第一方向D1から見て、たとえば、円形状を呈している。底部36bの幅は、開口縁36aの幅、すなわち、開口幅W1より小さい。傾斜部36cは、たとえば、底部36bの幅が開口幅W1より小さくなるように、形成されている。底部36bは、たとえば、中心線CL1と交差している。窪み36の中心軸は、たとえば、中心線CL1と略一致している。
【0067】
本実施形態では、第一方向D1から見て、導体部分33bの外縁の全体は、たとえば、領域34dの外縁より内側に位置している。したがって、開口幅W1は、たとえば、導体部分33bの幅W2より大きい。したがって、窪み36は、第一方向D1から見て、導体部分33bの全周にわたって、導体部分33bの外側に延在している。開口幅W1は、導体部分33bの幅W2より小さくてもよく、導体部分33bの幅W2と略同一であってもよい。
【0068】
領域34cの第一方向D1での長さH1は、たとえば、底部36bと導体部分33bとの第一方向D1での長さH2より小さい。したがって、導体部分34bの厚みが増加する度合いが変化する位置は、第一方向D1で、底部36bに比べて、導体部分33bに近い。長さH1は、長さH2より大きくてもよく、長さH2と略同一であってもよい。窪み36が形成されている分、導体部分34bの第一方向D1での厚みが減少している。
【0069】
図6に示されているように、導体部分34bは、領域34pと領域34qとを有している。領域34pは、第一材料を含んでいる。領域34qは、第二材料を含んでいる。第二材料の線膨張係数は、第一材料の線膨張係数と異なっている。領域34pに含まれる第一材料は、たとえば、領域32pに含まれる第一材料と同じである。領域34qに含まれる第二材料は、たとえば、領域32qに含まれる第二材料と同じである。
【0070】
導体部分34bは、たとえば、複数の領域34qを有している。複数の領域34qは、領域34p内に分布している。複数の領域34qは、たとえば、領域34p内に均一に分布している。この場合、領域34pは、複数の領域34qが他の領域に比べて片寄って分布している領域を有しない。
【0071】
領域34qは、たとえば、素体1に向けて突出する突起状の部位34rを有している。したがって、領域34qは、たとえば、素体1と接している。領域34qは、たとえば、素体1と一体化していてもよい。
【0072】
領域34qは、領域34c及び領域34dの少なくともいずれか一方に位置している。したがって、領域34qは、たとえば、領域34c及び領域34dの両方に位置している。領域34qは、たとえば、領域34cに位置し、領域34dに位置していない。領域34qは、たとえば、領域34dに位置し、領域34cに位置していない。
【0073】
領域34qは、たとえば、領域34d内であって、窪み36を画成する面を含む領域34sに位置している。本実施形態では、領域34qは、たとえば、領域34c、領域34d、及び領域34sに位置している。領域34qは、たとえば、領域34c及び領域34sに位置し、領域34dに位置していない。領域34qは、たとえば、領域34d及び領域34sに位置し、領域34cに位置していない。領域34qは、領域34sに位置していなくてもよい。領域34c,34d,34sでは、領域34qが位置している場合、たとえば、部位34rが、素体1に向けて突出してもよい。
【0074】
図6に示されているように、導体部分34bには、空洞50が形成されている。本実施形態では、一つ又は複数の空洞50が形成されている。
図6は、複数の空洞50が形成されている例を示している。空洞50内には、たとえば、導体部分32bに形成された空洞50に含まれる不活性ガスと同じガスが含まれている。不活性ガスの濃度は、たとえば、希薄である。空洞50の断面は、多角形状を呈している。
【0075】
複数の空洞50は、導体部分34b内に分布するように形成されている。複数の空洞50は、たとえば、導体部分34b内に均一に分布するように形成されている。この場合、導体部分34bは、複数の空洞50が他の領域に比べて片寄って分布している領域を有しない。
【0076】
空洞50は、領域34c及び領域34dの少なくともいずれか一方に形成されている。したがって、空洞50は、たとえば、領域34c及び領域34dの両方に形成されている。空洞50は、たとえば、領域34cに形成され、領域34dには、形成されていない。空洞50は、たとえば、領域34dに形成され、領域34cには、形成されていない。
【0077】
空洞50は、たとえば、領域34c内であって、窪み36を画成する面を含む領域34sに形成されている。本実施形態では、空洞50は、たとえば、領域34c、領域34d及び領域34sに形成されている。空洞50は、たとえば、領域34c及び領域34sに形成され、領域34dに形成されていない。空洞50は、たとえば、領域34d及び領域34sに位置し、領域34cに形成されていない。空洞50は、領域34sに形成されていなくてもよい。
【0078】
導体部分34bには、導体部分34bの外周面に開口している窪み51が形成されている。たとえば、複数の窪み51が形成されている。窪み51内には、素体1が充填されている。
図6に示された例では、窪み51内に、素体部分5d,5eが充填されている。
【0079】
図7は、内部導体41,42の構成を示す図である。
図7に示されるように、内部導体41は、導体部分41aと導体部分41bとを含んでいる。導体部分41aと導体部分41bとは、互いに連続している。導体部分41aと導体部分41bとは、たとえば、第二方向D2及び第三方向D3で、互いに連続している。たとえば、導体部分41aが、第一導体部分を構成する場合、導体部分41bは、第二導体部分を構成する。
【0080】
内部導体42は、導体部分42aと導体部分42bとを含んでいる。導体部分42aは、第一方向D1で導体部分41aと対向している。導体部分42bは、第一方向D1に延在していると共に、内部導体41に接続されている。導体部分42bは、領域42cと領域42dとを有している。領域42cは、導体部分41bに接続されている。領域42cは、たとえば、導体部分41bに物理的かつ電気的に接続されている。領域42dは、領域42cと連続し、かつ、導体部分42aと連続している。本実施形態では、領域42dは、第一方向D1で領域42cと連続し、第二方向D2及び第三方向D3で導体部分42aと連続している。導体部分42bは、貫通孔45b内に位置している。たとえば、導体部分42aが、第三導体部分を構成する場合、導体部分42bは、第四導体部分を構成する。たとえば、導体部分42aが、第三導体部分を構成する場合、導体部分42bは、接続部分を構成する。たとえば、領域42cが、第一領域を構成する場合、領域42dは、第二領域を構成する。導体部分41a及び導体部分42aの厚みは、たとえば、2~2.5μmである。
【0081】
図7に示されるように、導体部分42bの第一方向D1での厚みは、貫通孔45bの中心線CL1に近づくにつれて増加している。したがって、領域42cと領域42dとにおいて、第一方向D1での厚みが、中心線CL1に近づくにつれて増加している。領域42cと領域42dとの第一方向D1での合計厚みは、導体部分42aから導体部分41aに向かう方向で、中心線CL1に近づくにつれて増加している。たとえば、中心線CL1は、第一方向D1に延びている。
【0082】
本実施形態では、領域42dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域42cの第一方向D1での厚みが増加する度合いと異なっている。たとえば、領域42dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域42cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより小さい。したがって、導体部分42bの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、たとえば、領域42dと領域42cとの境界で減少する。領域42dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域42cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより大きくてもよい。領域42dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域42cの第一方向D1での厚みが増加する度合いと略同一でもよい。
【0083】
本実施形態では、第一方向D1は、内部導体41から内部導体42に向かう方向D1aと、内部導体42から内部導体41に向かう方向D1bと、を含んでいる。領域42dは、領域部分42d1と、領域部分42d2と、を含んでいる。基準面SP1は、第一方向D1に直交し、かつ、導体部分42aを含む平面である。領域42dは、基準面SP1から方向D1aに厚みを有する領域部分42d2と、基準面SP1から方向D1bに厚みを有する領域部分42d1と、を含んでいる。各領域部分42d1,42d2の、第一方向D1での厚みは、中心線CL1に近づくにつれて増加している。たとえば、方向D1aが第一方向を構成する場合、方向D1bは、第二方向を構成する。
【0084】
第一方向D1から見て、領域42dは、たとえば、円形状を呈している。第一方向D1から見て、領域42c及び導体部分41bも、たとえば、円形状を呈している。領域42dは、第一方向D1から見て、導体部分41bの全周にわたって、導体部分41bの外側に延在している。したがって、たとえば、第一方向D1から見て、領域42dの円形状は、導体部分41bの円形状を含んでおり、かつ、導体部分41bの円形状の外側にまで拡がっている。
【0085】
領域42dには、領域42cから第一方向D1に離れた端部42fに、窪み46が形成されている。窪み46は、第一方向D1から見て、たとえば、円形状を呈している。窪み46内には、たとえば、素体部分5cが充填している。窪み46は、導体部分41aから導体部分42aに向かう方向に開口している。窪み46は、たとえば、開口縁46aと、底部46bと、開口縁46aと底部46bとを連結する傾斜部46cによって構成されている。窪み46の深さは、開口縁46aから底部46bに近づくにつれて増加している。開口縁46aは、第一方向D1から見て、窪み46の外周縁を画成している。第一方向D1から見て、導体部分41bは、窪み46の外周縁の内側に位置している。底部46bは、第一方向D1から見て、たとえば、円形状を呈している。底部46bの幅は、開口縁46aの幅、すなわち、開口幅W1より小さい。傾斜部46cは、たとえば、底部46bの幅が開口幅W1より小さくなるように、形成されている。底部46bは、たとえば、中心線CL1と交差している。窪み46の中心軸は、たとえば、中心線CL1と略一致している。
【0086】
本実施形態では、第一方向D1から見て、導体部分41bの外縁の全体は、たとえば、領域42dの外縁より内側に位置している。したがって、開口幅W1は、たとえば、導体部分41bの幅W2より大きい。したがって、窪み46は、第一方向D1から見て、導体部分41bの全周にわたって、導体部分41bの外側に延在している。開口幅W1は、導体部分41bの幅W2より小さくてもよく、導体部分41bの幅W2と略同一であってもよい。
【0087】
領域42cの第一方向D1での長さH1は、たとえば、底部46bと導体部分41bとの第一方向D1での長さH2より小さい。したがって、導体部分42bの厚みが増加する度合いが変化する位置は、第一方向D1で、底部46bに比べて、導体部分41bに近い。長さH1は、長さH2より大きくてもよく、長さH2と略同一であってもよい。窪み46が形成されている分、導体部分42bの第一方向D1での厚みが減少している。
【0088】
図7に示されているように、導体部分42bは、領域42pと領域42qとを有している。領域42pは、第一材料を含んでいる。領域42qは、第二材料を含んでいる。第二材料の線膨張係数は、第一材料の線膨張係数と異なっている。領域42pに含まれる第一材料は、たとえば、領域32pに含まれる第一材料と同じである。領域42qに含まれる第二材料は、たとえば、領域32qに含まれる第二材料と同じである。
【0089】
導体部分42bは、たとえば、複数の領域42qを有している。複数の領域42qは、領域42p内に分布している。複数の領域42qは、たとえば、領域42p内に均一に分布している。この場合、領域42pは、複数の領域42qが他の領域に比べて片寄って分布している領域を有しない。
【0090】
領域42qは、たとえば、素体1に向けて突出する突起状の部位42rを有している。したがって、領域42qは、たとえば、素体1と接している。領域42qは、たとえば、素体1と一体化していてもよい。
【0091】
領域42qは、領域42c及び領域42dの少なくともいずれか一方に位置している。したがって、領域42qは、たとえば、領域42c及び領域42dの両方に位置している。領域42qは、たとえば、領域42cに位置し、領域42dに位置していない。領域42qは、たとえば、領域42dに位置し、領域42cに位置していない。
【0092】
領域42qは、たとえば、領域42d内であって、窪み46を画成する面を含む領域42sに位置している。本実施形態では、領域42qは、たとえば、領域42c、領域42d、及び領域42sに位置している。領域42qは、たとえば、領域42c及び領域42sに位置し、領域42dに位置していない。領域42qは、たとえば、領域42d及び領域42sに位置し、領域42cに位置していない。領域42qは、領域42sに位置していなくてもよい。領域42c,42d,42sでは、領域42qが位置している場合、たとえば、部位42rが、素体1に向けて突出してもよい。
【0093】
図7に示されているように、導体部分42bには、空洞50が形成されている。本実施形態では、一つ又は複数の空洞50が形成されており、
図7は、複数の空洞50が形成されている例を示している。空洞50内には、たとえば、導体部分32bに形成された空洞50に含まれる不活性ガスと同じガスが含まれている。不活性ガスの濃度は、たとえば、希薄である。空洞50の断面は、多角形状を呈している。
【0094】
複数の空洞50は、導体部分42b内に分布するように形成されている。複数の空洞50は、たとえば、導体部分42b内に均一に分布するように形成されている。この場合、導体部分42bは、複数の空洞50が他の領域に比べて片寄って分布している領域を有しない。一つの空洞50は、たとえば、導体部分42bの中央部に形成されている。
【0095】
空洞50は、領域42c及び領域42dの少なくともいずれか一方に形成されている。したがって、空洞50は、たとえば、領域42c及び領域42dの両方に形成されている。空洞50は、たとえば、領域42cに形成され、領域42dには、形成されていない。空洞50は、たとえば、領域42dに形成され、領域42cには、形成されていない。
【0096】
空洞50は、たとえば、領域42c内であって、窪み46を画成する面を含む領域42sに形成されている。本実施形態では、空洞50は、たとえば、領域42c、領域42d及び領域42sに形成されている。空洞50は、たとえば、領域42c及び領域42sに形成され、領域42dに形成されていない。空洞50は、たとえば、領域42d及び領域42sに位置し、領域42cに形成されていない。空洞50は、領域42sに形成されていなくてもよい。
【0097】
導体部分42bには、導体部分42bの外周面に開口している窪み51が形成されている。たとえば、複数の窪み51が形成されている。窪み51内には、素体1が充填されている。
図7に示された例では、窪み51内に、素体部分5b,5cが充填されている。
【0098】
図8は、内部導体43,44の構成を示す図である。
図8に示されるように、内部導体43は、導体部分43aと導体部分43bとを含んでいる。導体部分43aと導体部分43bとは、互いに連続している。導体部分43aと導体部分43bとは、たとえば、第二方向D2及び第三方向D3で、互いに連続している。たとえば、導体部分43aが、第一導体部分を構成する場合、導体部分43bは、第二導体部分を構成する。
【0099】
内部導体44は、導体部分44aと導体部分44bとを含んでいる。導体部分44aは、第一方向D1で導体部分43aと対向している。導体部分44bは、第一方向D1に延在していると共に、内部導体43に接続されている。導体部分44bは、領域44cと領域44dとを有している。領域44cは、導体部分43bに接続されている。領域44cは、たとえば、導体部分43bに物理的かつ電気的に接続されている。領域44dは、領域44cと連続し、かつ、導体部分44aと連続している。本実施形態では、領域44dは、第一方向D1で領域44cと連続し、第二方向D2及び第三方向D3で導体部分44aと連続している。導体部分44bは、貫通孔45d内に位置している。たとえば、導体部分44aが、第三導体部分を構成する場合、導体部分44bは、第四導体部分を構成する。たとえば、導体部分44aが、第三導体部分を構成する場合、導体部分44bは、接続部分を構成する。たとえば、領域44cが、第一領域を構成する場合、領域44dは、第二領域を構成する。導体部分43a及び導体部分44aの厚みは、たとえば、2~2.5μmである。
【0100】
図8に示されるように、導体部分44bの第一方向D1での厚みは、貫通孔45dの中心線CL1に近づくにつれて増加している。したがって、領域44cと領域44dとにおいて、第一方向D1での厚みが、中心線CL1に近づくにつれて増加している。領域44cと領域44dとの第一方向D1での合計厚みは、導体部分44aから導体部分43aに向かう方向で、中心線CL1に近づくにつれて増加している。たとえば、中心線CL1は、第一方向D1に延びている。
【0101】
本実施形態では、領域44dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域44cの第一方向D1での厚みが増加する度合いと異なっている。たとえば、領域44dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域44cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより小さい。したがって、導体部分44bの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、たとえば、領域44dと領域44cとの境界で減少する。領域44dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域44cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより大きくてもよい。領域44dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域44cの第一方向D1での厚みが増加する度合いと略同一でもよい。
【0102】
本実施形態では、第一方向D1は、内部導体43から内部導体44に向かう方向D1aと、内部導体44から内部導体43に向かう方向D1bと、を含んでいる。領域44dは、領域部分44d1と、領域部分44d2と、を含んでいる。基準面SP1は、第一方向D1に直交し、かつ、導体部分44aを含む平面である。領域44dは、基準面SP1から方向D1aに厚みを有する領域部分44d2と、基準面SP1から方向D1bに厚みを有する領域部分44d1と、を含んでいる。各領域部分44d1,44d2の、第一方向D1での厚みは、中心線CL1に近づくにつれて増加している。たとえば、方向D1aが第一方向を構成する場合、方向D1bは、第二方向を構成する。
【0103】
第一方向D1から見て、領域44dは、たとえば、円形状を呈している。第一方向D1から見て、領域44c及び導体部分43bも、たとえば、円形状を呈している。領域44dは、第一方向D1から見て、導体部分43bの全周にわたって、導体部分43bの外側に延在している。したがって、たとえば、第一方向D1から見て、領域44dの円形状は、導体部分43bの円形状を含んでおり、かつ、導体部分43bの円形状の外側にまで拡がっている。
【0104】
領域44dには、領域44cから第一方向D1に離れた端部44fに、窪み46が形成されている。窪み46は、第一方向D1から見て、たとえば、円形状を呈している。窪み46内には、たとえば、素体部分5cが充填している。窪み46は、導体部分43aから導体部分44aに向かう方向に開口している。窪み46は、たとえば、開口縁46aと、底部46bと、開口縁46aと底部46bとを連結する傾斜部46cによって構成されている。窪み46の深さは、開口縁46aから底部46bに近づくにつれて増加している。開口縁46aは、第一方向D1から見て、窪み46の外周縁を画成している。第一方向D1から見て、導体部分43bは、窪み46の外周縁の内側に位置している。底部46bは、第一方向D1から見て、たとえば、円形状を呈している。底部46bの幅は、開口縁46aの幅、すなわち、開口幅W1より小さい。傾斜部46cは、たとえば、底部46bの幅が開口幅W1より小さくなるように、形成されている。底部46bは、たとえば、中心線CL1と交差している。窪み46の中心軸は、たとえば、中心線CL1と略一致している。
【0105】
本実施形態では、第一方向D1から見て、導体部分43bの外縁の全体は、たとえば、領域44dの外縁より内側に位置している。したがって、開口幅W1は、たとえば、導体部分43bの幅W2より大きい。したがって、窪み46は、第一方向D1から見て、導体部分43bの全周にわたって、導体部分43bの外側に延在している。開口幅W1は、導体部分43bの幅W2より小さくてもよく、導体部分43bの幅W2と略同一であってもよい。
【0106】
領域44cの第一方向D1での長さH1は、たとえば、底部46bと導体部分43bとの第一方向D1での長さH2より小さい。したがって、導体部分44bの厚みが増加する度合いが変化する位置は、第一方向D1で、底部46bに比べて、導体部分43bに近い。長さH1は、長さH2より大きくてもよく、長さH2と略同一であってもよい。窪み46が形成されている分、導体部分44bの第一方向D1での厚みが減少している。
【0107】
図8に示されているように、導体部分44bは、領域44pと領域44qとを有している。領域44pは、第一材料を含んでいる。領域44qは、第二材料を含んでいる。第二材料の線膨張係数は、第一材料の線膨張係数と異なっている。領域44pに含まれる第一材料は、たとえば、領域32pに含まれる第一材料と同じである。領域44qに含まれる第二材料は、たとえば、領域32qに含まれる第二材料と同じである。
【0108】
導体部分44bは、たとえば、複数の領域44qを有している。複数の領域44qは、領域44p内に分布している。複数の領域44qは、たとえば、領域44p内に均一に分布している。この場合、領域44pは、複数の領域44qが他の領域に比べて片寄って分布している領域を有しない。
【0109】
領域44qは、たとえば、素体1に向けて突出する突起状の部位44rを有している。したがって、領域44qは、たとえば、素体1と接している。領域44qは、たとえば、素体1と一体化していてもよい。
【0110】
領域44qは、領域44c及び領域44dの少なくともいずれか一方に位置している。したがって、領域44qは、たとえば、領域44c及び領域44dの両方に位置している。領域44qは、たとえば、領域44cに位置し、領域44dに位置していない。領域44qは、たとえば、領域44dに位置し、領域44cに位置していない。
【0111】
領域44qは、たとえば、領域44d内であって、窪み46を画成する面を含む領域44sに位置している。本実施形態では、領域44qは、たとえば、領域44c、領域44d、及び領域44sに位置している。領域44qは、たとえば、領域44c及び領域44sに位置し、領域44dに位置していない。領域44qは、たとえば、領域44d及び領域44sに位置し、領域44cに位置していない。領域44qは、領域44sに位置していなくてもよい。領域44c,44d,44sでは、領域44qが位置している場合、たとえば、部位44rが、素体1に向けて突出してもよい。
【0112】
図8に示されているように、導体部分44bには、空洞50が形成されている。本実施形態では、一つ又は複数の空洞50が形成されており、
図8は、複数の空洞50が形成されている例を示している。空洞50内には、たとえば、導体部分32bに形成された空洞50に含まれる不活性ガスと同じガスが含まれている。不活性ガスの濃度は、たとえば、希薄である。空洞50の断面は、多角形状を呈している。
【0113】
複数の空洞50は、導体部分44b内に分布するように形成されている。複数の空洞50は、たとえば、導体部分44b内に均一に分布するように形成されている。この場合、導体部分44bは、複数の空洞50が他の領域に比べて片寄って分布している領域を有しない。一つの空洞50は、たとえば、導体部分44bの中央部に形成されている。
【0114】
空洞50は、領域44c及び領域44dの少なくともいずれか一方に形成されている。したがって、空洞50は、たとえば、領域44c及び領域44dの両方に形成されている。空洞50は、たとえば、領域44cに形成され、領域44dには、形成されていない。空洞50は、たとえば、領域44dに形成され、領域44cには、形成されていない。
【0115】
空洞50は、たとえば、領域44c内であって、窪み46を画成する面を含む領域44sに形成されている。本実施形態では、空洞50は、たとえば、領域44c、領域44d及び領域44sに形成されている。空洞50は、たとえば、領域44c及び領域44sに形成され、領域44dに形成されていない。空洞50は、たとえば、領域44d及び領域44sに位置し、領域44cに形成されていない。空洞50は、領域44sに形成されていなくてもよい。
【0116】
導体部分44bには、導体部分44bの外周面に開口している窪み51が形成されている。たとえば、複数の窪み51が形成されている。窪み51内には、素体1が充填されている。
図8に示された例では、窪み51内に、素体部分5d,5eが充填されている。
【0117】
図9は、導体部分32bに形成された空洞50を示している。本実施形態では、一つ又は複数の空洞50が形成されており、
図9は、一の空洞50が形成されている例を示している。一つの空洞50は、たとえば、導体部分32bの中央部に形成されている。空洞50内には、たとえば、不活性ガスが含まれている。空洞50内に含まれる不活性ガスは、たとえば、N
2又はCO
2であり、不活性ガスの濃度は、たとえば、希薄である。空洞50の断面は、多角形状を呈している。
【0118】
図9に示されているように、空洞50を含む切断面において、空洞50の切断面での円相当径R1は、たとえば、導体部分32bの切断面での幅R2の50%以下である。本実施形態では、空洞50の切断面での円相当径R1は、たとえば、導体部分32bの切断面での幅R2の20%以上である。
【0119】
図10は、導体部分34bに形成された空洞50を示している。本実施形態では、一つ又は複数の空洞50が形成されており、
図10は、一の空洞50が形成されている例を示している。一つの空洞50は、たとえば、導体部分34bの中央部に形成されている。空洞50内には、たとえば、導体部分32bに形成された空洞50に含まれる不活性ガスと同じガスが含まれている。空洞50の断面は、多角形状を呈している。
【0120】
図10に示されているように、空洞50を含む切断面において、空洞50の切断面での円相当径R1は、たとえば、導体部分34bの切断面での幅R2の50%以下である。本実施形態では、空洞50の切断面での円相当径R1は、たとえば、導体部分34bの切断面での幅R2の20%以上である。
【0121】
図11は、導体部分42bに形成された空洞50を示している。本実施形態では、一つ又は複数の空洞50が形成されており、
図11は、一の空洞50が形成されている例を示している。一つの空洞50は、たとえば、導体部分42bの中央部に形成されている。空洞50内には、たとえば、導体部分32bに形成された空洞50に含まれる不活性ガスと同じガスが含まれている。空洞50の断面は、多角形状を呈している。
【0122】
図11に示されているように、空洞50を含む切断面において、空洞50の切断面での円相当径R1は、たとえば、導体部分42bの切断面での幅R2の50%以下である。本実施形態では、空洞50の切断面での円相当径R1は、たとえば、導体部分42bの切断面での幅R2の15%以上である。
【0123】
図12は、導体部分44bに形成された空洞50を示している。本実施形態では、一つ又は複数の空洞50が形成されており、
図12は、一の空洞50が形成されている例を示している。一つの空洞50は、たとえば、導体部分44bの中央部に形成されている。空洞50内には、たとえば、導体部分32bに形成された空洞50に含まれる不活性ガスと同じガスが含まれている。空洞50の断面は、多角形状を呈している。
【0124】
図12に示されているように、空洞50を含む切断面において、空洞50の切断面での円相当径R1は、たとえば、導体部分44bの切断面での幅R2の50%以下である。本実施形態では、空洞50の切断面での円相当径R1は、たとえば、導体部分44bの切断面での幅R2の15%以上である。
【0125】
圧電素子PD1の製造方法の一例について説明する。製造方法の各工程の順番は、互いに入れ替わってもよい。製造方法の一例では、初めに、圧電セラミック粉末、たとえば、PZT粉末を塗料化する。続いて、たとえば、ドクターブレード法によって、複数のグリーンシートを形成する。複数のグリーンシートは、圧電体層3a~3eを形成するために用いられる。圧電体層3a~3eは、たとえば、それぞれ、素体部分5a~5eに対応している。
【0126】
圧電素子PD1の製造方法では、続いて、たとえば、レーザ光を照射して、グリーンシートに貫通孔35b~35e,45b~45eを形成するための開口を形成する。レーザ光の照射は、たとえば、2回に分けて行われる。たとえば、1回目のレーザ光の照射は、領域32c,34c,42c,44cを挿通させるための開口を形成し、2回目のレーザ光の照射は、領域32d,34d,42d,44dを挿通させるための開口を形成する。領域32c,34c,42c,44cを挿通するための開口と、領域32d,34d,42d,44dを挿通するための開口とは、互いに連続している。レーザ光は、たとえば、領域32d,34d,42d,44dの第一方向D1での厚みが増加する度合いが領域32c,34c,42c,44cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより小さくなるように、グリーンシートに照射される。1回目のレーザ光の照射が、領域32d,34d,42d,44dを挿通させるための開口を形成し、2回目のレーザ光の照射が、領域32c,34c,42c,44cを挿通させるための開口を形成してもよい。グリーンシートにレーザ光を照射する回数は、1回であってもよい。レーザ光は、たとえば、YAGレーザ光である。
【0127】
本実施形態では、続いて、内部電極30,40が形成される。たとえば、圧電体層3aを形成するための第一のグリーンシート上に、内部導体31,41を形成するための電極パターンを形成する。続いて、レーザ照射によって開口を形成した、圧電体層3bを形成するための第二のグリーンシートを、電極パターンを形成した第一のグリーンシート上に積層する。第二のグリーンシートの開口内にも、導体部分32b,34b,42b,44bを形成するための導電性ペーストを充填する。本実施形態では、開口内に導電性ペーストを充填すると共に、第二のグリーンシート上に、内部導体32,42を形成するための電極パターンを形成する。内部導体31,32,41,42を形成するための電極パターンは、電極パターンの形成は、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷によって形成される。
【0128】
導体部分32b,34b,42b,44bを形成するための導電性ペーストは、たとえば、第一材料と第二材料とを含んでいてもよい。この場合、導体部分32b,34b,42b,44bは、領域32p,34p,42p,44pと領域32q,34q,42q,44qとを有している。導体部分32b,34b,42b,44bを形成するための導電性ペーストに含まれる第一材料の含有量は、たとえば、55質量%である。上記導電性ペーストに含まれる第二材料の含有量は、たとえば、10質量%である。
【0129】
充填された導電性ペーストは、たとえば、60℃~75℃の低温で乾燥される。乾燥時間は、たとえば、5分間である。この場合、導体部分32b,34b,42b,44bには、空洞50及び窪み51の少なくとも一方が形成される。低温下で乾燥している間に、導体部分32b,34b,42b,44bを形成するための導電性ペーストは、たとえば、低粘度の状態を保つので、貫通孔35bの形状に沿った外周面を形成し得る。印刷された電極パターンは、たとえば、90℃以上の高温で乾燥される。乾燥時間は、たとえば、1分間である。印刷された電極パターンは、高温下かつ短時間で乾燥されるので、貫通孔35b,35d,45b,45dの形状に沿った外周面を有しがたい。
【0130】
本実施形態では、以下、同様の工程により、圧電体層3c~3eを形成するためのグリーンシートに、導電性ペーストの開口への充填と電極パターンの形成とを行う。導電性ペーストの開口への充填と電極パターンの形成とを行った各グリーンシートは、互いに積層される。
【0131】
続いて、たとえば、静水圧プレス法によって、積層されたグリーンシートを加圧する。グリーンシートは、積層方向である第一方向D1に加圧される。静水圧プレス法では、たとえば、100MPaの圧力がかけられる。加圧する際の温度は、たとえば、70℃程度である。加圧の時間は、たとえば、5分間である。積層されたグリーンシートを加圧した後、積層体が形成される。
【0132】
続いて、たとえば、積層体に対して脱バインダ処理を行う。脱バインダ処理する際の温度は、たとえば、450℃である。脱バインダ処理の時間は、たとえば24時間程度である。続いて、積層体を焼成して、積層体基板を形成する。積層体を焼成する際の温度は、たとえば、1100℃である。焼成時間は、たとえば、18時間である。
【0133】
導体部分32b,34b,42b,44bには、空洞50及び窪み51の少なくとも一方を形成する場合には、積層体を焼成する際の温度は、たとえば、940℃程度である。焼成時間は、たとえば、16時間である。昇温速度は、たとえば、450℃/時間である。積層体の焼成温度が上記の温度であることによって、導体部分32b,34b,42b,44bでの金属材料の凝集が抑制される。したがって、導体部分32b,34b,42b,44b内に残留した不活性ガスが、導体部分32b,34b,42b,44b内に封止され得る。本実施形態では、内部電極30,40は、たとえば、導電性ペーストの焼結体として構成される。内部電極30,40を形成するための導電性ペーストは、たとえば、Ag、Pd、Pt、又はAg-Pd合金を含んでいる。
【0134】
続いて、外部電極10,20を、たとえば、内部電極30,40と共に、導電性ペーストの焼結体として構成する。したがって、外部電極10,20を形成するために、たとえば、積層されたグリーンシートに導電性ペーストを付与する。導電性ペーストと一体となった積層グリーンシートに対して、たとえば、静水圧プレス法によって、積層されたグリーンシートを加圧する。加圧して形成した積層体に対して、たとえば、脱バインダ処理と、積層体の焼成とを行う。積層体の焼成によって、外部電極10,20を形成する。
【0135】
本実施形態では、外部電極10,20を、積層体基板の外表面に付与された導電性ペーストを焼成することによって形成してもよい。したがって、たとえば、外部電極10,20を形成するための導電性ペーストを積層体基板の外表面に付与し、導電性ペーストと一体となった積層体基板を焼成する。積層体基板の焼成によって、外部電極10,20を形成する。導電性ペーストの積層体基板への付与は、たとえば、スクリーン印刷法による。積層体基板の外表面に付与される導電性ペーストは、たとえば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金を含んでいる。外部電極10,20を焼成する際の温度は、たとえば、850℃である。焼成時間は、たとえば、2時間である。
【0136】
続いて、外部電極10,20が形成された素体1に対して、分極処理を行う。分極処理を行う際の温度は、たとえば、100~110℃である。素体1に印加される電圧は、たとえば、3kV/mmである。分極処理の時間は、5分間程度である。分極処理を行った後に、圧電素子PD1が作製される。
【0137】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電素子PD1は、素体1と、外部電極10,20と、内部電極30,40と、を備えている。内部電極30,40は、互いに対向している内部導体31,33,41,43と内部導体32,34,42,44とを有している。内部導体31,33,41,43は、互いに連続している導体部分31a,33a,41a,43aと導体部分31b,33b,41b,43bとを含んでいる。内部導体32,34,42,44は、第一方向D1で導体部分31a,33a,41a,43aと対向している導体部分32a,34a,42a,44aと、導体部分31b,33b,41b,43bに接続されている領域32c,34c,42c,44cと、領域32c,34c,42c,44cと連続し、かつ、導体部分32a,34a,42a,44aと連続している領域32d,34d,42d,44dとを有する導体部分32b,34b,42b,44bと、を含んでいる。素体1は、内部導体31,33,41,43と内部導体32,34,42,44との間に位置する素体部分5b,5dを含んでいる。導体部分32b,34b,42b,44bは、第一方向D1に素体部分5b,5dを貫通する貫通孔35b,35d,45b,45d内に位置している。導体部分32b,34b,42b,44bの第一方向D1での厚みは、貫通孔35b,35d,45b,45dの中心線CL1に近づくにつれて増加している。
【0138】
圧電素子PD1では、互いに対向している内部導体31,33,41,43と内部導体32,34,42,44とは、導体部分32b,34b,42b,44bによって、互いに接続されている。導体部分32b,34b,42b,44bは、内部導体32,34,42,44の導体部分32a,34a,42a,44aと連続しており、導体部分32b,34b,42b,44bの第一方向D1での厚みは、貫通孔35b,35d,45b,45dの中心線CL1に近づくにつれて増加している。したがって、導体部分32bと導体部分32a,34a,42a,44aとが互いに連続する箇所で、内部電極30,40の形状が緩やかに変化する。素体1の変形に伴って素体1から内部電極30,40に作用する応力は、上記連続する箇所に集中しがたい。上記連続する箇所において、応力の集中による電気的な接続の信頼性の低下が抑制される。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が向上する。
【0139】
圧電素子PD1では、領域32d,34d,42d,44dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域32c,34c,42c,44cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより小さい。
この場合、上記連続する箇所で内部電極30,40の形状がより緩やかに変化する。素体1の変形に伴って素体1から内部電極30,40に作用する応力は、上記連続する箇所により集中しがたい。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性がより向上する。
【0140】
圧電素子PD1では、第一方向D1は、内部導体31,33,41,43から内部導体32,34,42,44に向かう方向D1aと、内部導体32,34,42,44から内部導体31,33,41,43に向かう方向D1bと、を含んでいる。第一方向D1に直交し、かつ、導体部分32a,34a,42a,44aを含む平面を基準面SP1として、領域32d,34d,42d,44dは、基準面SP1から方向D1aに厚みを有する領域部分32d2,34d2,42d2,44d2と、基準面SP1から方向D1bに厚みを有する領域部分32d1,34d1,42d1,44d1と、を含んでいる。領域32d,34d,42d,44dが含む各領域部分32d1,34d1,42d1,44d1,32d2,34d2,42d2,44d2の、第一方向D1での厚みは、中心線CL1に近づくにつれて増加している。
この場合、上記連続する箇所で内部電極30,40の形状が更により緩やかに変化する。素体1の変形に伴って素体1から内部電極30,40に作用する応力は、上記連続する箇所に更により集中しがたい。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0141】
圧電素子PD1では、第一方向D1から見て、導体部分31b,33b,41b,43bの外縁の全体が、領域32d,34d,42d,44dの外縁より内側に位置している。
この場合、第一方向D1から見て、領域32d,34d,42d,44dの外縁が中心線CL1からより離れて位置しており、領域32d,34d,42d,44dの第一方向D1での厚みの増加の度合いが減少する。上記連続する箇所で内部電極30,40の形状が更により緩やかに変化する。素体1の変形に伴って素体1から内部電極30,40に作用する応力は、上記連続する箇所に更により集中しがたい。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0142】
圧電素子PD1では、領域32d,34d,42d,44dには、領域32c,34c,42c,44cから第一方向D1に離れた端部32f,34f,42f,44fに、窪み36,46が形成されている。
この場合、領域32d,34d,42d,44dに窪み36,46が形成された分、導体部分32b,34b,42b,44bの第一方向D1での厚みが減少している。厚みの減少によって、導体部分32b,34b,42b,44bは、素体1の変形に伴う導体部分32a,34a,42a,44aの収縮及び延伸に対してより追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下がより抑制される。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0143】
圧電素子PD1では、窪み36,46の深さは、中心線CL1に近づくにつれて増加している。
この場合、導体部分32b,34b,42b,44bの第一方向D1での厚みが、中心線CL1に近づくにつれて減少しており、導体部分32b,34b,42b,44bは、素体1の変形に伴う導体部分32a,34a,42a,44aの収縮及び延伸に対して更により追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0144】
圧電素子PD1では、第一方向D1から見て、導体部分31b,33b,41b,43bが窪み36,46の開口縁の内側に位置している。
この場合、窪み36,46の形成によって導体部分32b,34b,42b,44bの第一方向D1での厚みが減少する範囲がより拡大する。広い範囲での厚みの減少によって、導体部分32b,34b,42b,44bは、素体1の変形に伴う導体部分32a,34a,42a,44aの収縮及び延伸に対して更により追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極30,40内での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0145】
圧電素子PD1では、領域32d,34d,42d,44d及び窪み36,46は、第一方向D1から見て、円形状を呈している。
この場合、領域32d,34d,42d,44dは、素体1の変形に伴う導体部分32a,34a,42a,44aの第一方向D1に交差する方向での収縮及び延伸に対してより追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0146】
圧電素子PD1では、領域32c,34c,42c,44cの第一方向D1での長さは、窪み36,46の底部36b,46bと、導体部分31b,33b,41b,43bとの第一方向D1での長さより小さい。
この場合、導体部分32b,34b,42b,44bは、素体1の変形に伴う導体部分32a,34a,42a,44aの収縮及び延伸に対して更により追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0147】
本発明者の検討によれば、圧電素子では、導体に与えられる駆動信号に応じて、圧電素体が伸縮して変形する。圧電素体の変形に伴って、接続部分も変形することがある。接続部分が変形する場合、接続部分には、クラックが発生することがある。接続部分にクラックが発生した場合、導体での電気的な接続の信頼性が低下する。電気的な接続の信頼性が低下した導体は、駆動信号の安定的な伝送を実現しがたい。上記導体は、たとえば、内部電極30,40に相当する。上記接続部分は、たとえば、導体部分32b,34b,42b,44bに相当する。
したがって、導体部分32b,34b,42b,44bが素体1の変形に近い変形をし得る場合、導体部分32b,34b,42b,44bは、当該導体部分32b,34b,2b,44bにクラックが発生するリスクを低減する。クラック発生のリスクの低減は、素体1の変形に対する内部電極30,40の耐性を増大する。
【0148】
本実施形態に係る圧電素子PD1は、素体1と、外部電極10,20と、内部電極30,40と、を備えている。内部電極30は、互いに対向している内部導体31,33,41,43と内部導体32,34,42,44とを有している。内部導体32,34,42,44は、第一方向D1に延在していると共に内部導体31,33,41,43に接続されている導体部分32b,34b,42b,44bを含んでいる。導体部分32b,34b,42b,44bは、導電性を有する第一材料を含む領域32p,34p,42p,44pと、第一材料の線膨張係数とは異なる線膨張係数を有する、第一材料とは異なる第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qと、を有している。
【0149】
圧電素子PD1では、内部電極30,40は、互いに対向している内部導体31,33,41,43と内部導体32,34,42,44とを有している。内部導体32,34,42,44は、31,33,41,43に接続されている導体部分32b,34b,42b,44bを含んでいる。導体部分32b,34b,42b,44bは、第一材料を含む領域32p,34p,42p,44pと第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qとを有しており、第二材料の線膨張係数は、第一材料の線膨張係数と異なっている。したがって、第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qを有する導体部分32b,34b,42b,44bの線膨張係数は、第一材料を含む領域32p,34p,42p,44pからなる導体部分32b,34b,42b,44bの線膨張係数に比べて、たとえば、素体1の線膨張係数に近くなり得る。素体1の変形に伴う導体部分32b,34b,42b,44bの変形が、素体1の変形に近づく。この結果、導体部分32b,34b,42b,44bにクラックが発生するリスクが低減し、素体1の変形に対する内部電極30,40の耐性が増大する。
導体部分32b,34b,42b,44bの第一方向D1での厚みが、貫通孔35b,35d,45b,45dの中心線CL1に近づくにつれて増加している場合、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性がより向上する。すなわち、上述の通り、素体1の変形に伴って素体1から内部電極30,40に作用する応力が、導体部分32b,34b,42b,44bに集中しがたいことに加えて、素体1の変形に伴う導体部分32b,34b,42b,44bの変形が、その線膨張係数の大きさに起因して、素体1の変形に近づく。したがって、導体部分32b,34b,42b,44bにクラックが発生するリスクがより確実に低減し、素体1の変形に対する内部電極30,40の耐性が一層増大する。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性がより向上する。
【0150】
圧電素子PD1では、導体部分32b,34b,42b,44bは、第二材料を含む複数の領域32q,34q,42q,44qを有し、第二材料を含む複数の領域32q,34q,42q,44qは、第一材料を含む領域32p,34p,42p,44p内に分布している。
この場合、導体部分32b,34b,42b,44bの線膨張係数は、第一材料を含む領域32p,34p,42p,44pからなる導体部分32b,34b,42b,44bの線膨張係数に比べて、たとえば、素体1の線膨張係数により近くなり得る。素体1の変形に伴う導体部分32b,34b,42b,44bの変形が、素体1の変形により近づく。この結果、導体部分32b,34b,42b,44bにクラックが発生するリスクがより低減し、素体1の変形に対する内部電極30,40の耐性がより増大する。内部電極30,40での電気的な接続の信頼性がより向上する。
【0151】
圧電素子PD1では、第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qは、素体1に向けて突出する突起状の部位32rを有している。
この場合、導体部分32b,34b,42b,44bは、第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qの突起状の部位32rを介して、素体1と接し得る。導体部分32b,34b,42b,44bと素体1との密着性が向上する。この結果、導体部分32b,34b,42b,44bにクラックが発生するリスクが更により低減し、素体1の変形に対する内部電極30,40の耐性が更により増大する。内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0152】
圧電素子PD1では、第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qは、領域32c,34c,42c,44c及び領域32d,34d,42d,44dの少なくともいずれか一方に位置している。
この場合、領域32c,34c,42c,44c及び領域32d,34d,42d,44dの少なくともいずれか一方の線膨張係数は、第一材料を含む領域32p,34p,42p,44pからなる導体部分32b,34b,42b,44bの線膨張係数に比べて、素体1の線膨張係数に近くなり得る。素体1の変形に伴う領域32c,34c,42c,44c及び領域32d,34d,42d,44dの変形が、素体1の変形に近づく。この結果、領域32c及び領域32d,34d,42d,44dにクラックが発生するリスクが低減し、素体1の変形に対する内部電極30の耐性が更により増大する。内部電極30での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0153】
圧電素子PD1では、第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qは、領域32d,34d,42d,44d内であって、窪み36,46を画成する面を含む領域32s,34s,42s,44sに位置している。
この場合、窪み36,46と素体1との剥離が抑制され得る。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0154】
本発明者の検討によれば、圧電素子では、圧電素体の変形に伴って、圧電素体からの応力が導体に作用することがある。圧電素体から作用する応力は、接続部分に集中することがある。圧電素体から作用する応力が接続部分に集中する場合、接続部分にクラックが発生するおそれがある。接続部分にクラックが発生した場合、導体での電気的な接続の信頼性が低下する。電気的な接続の信頼性が低下した導体は、駆動信号の安定的な伝送を実現しがたい。上記導体は、たとえば、内部電極30,40に相当する。上記接続部分は、たとえば、導体部分32b,34b,42b,44bに相当する。
したがって、導体部分32b,34b,42b,44bが変形し得る構成では、素体1から作用する応力が接続部分に作用する場合でも、導体部分32b,34b,42b,44bは、当該導体部分32b,34b,42b,44bにクラックが発生するリスクを低減する。クラック発生のリスクの低減は、素体1から作用する応力に対する、内部電極30,40の耐性を更により増大する。
【0155】
本実施形態に係る圧電素子PD1は、素体1と、外部電極10,20と、内部電極30,40と、を備えている。内部電極30,40は、互いに対向している内部導体31,33,41,43と内部導体32,34,42,44とを有している。内部導体32,34,42,44は、第一方向D1に延在していると共に内部導体31,33,41,43に接続されている導体部分32b,34b,42b,44bを含んでいる。導体部分32b,34b,42b,44bには、空洞50が形成されている。
【0156】
圧電素子PD1では、内部電極30,40は、互いに対向している内部導体31,33,41,43と内部導体32,34,42,44とを有している。内部導体32,34,42,44は、内部導体31,33,41,43に接続されている導体部分32b,34b,42b,44bを含んでいる。導体部分32b,34b,42b,44bには、空洞50が形成されている。空洞50が形成された導体部分32b,34b,42b,44bは、空洞50が形成されていない導体部分32b,34b,42b,44bに比して、空洞50が存在する分、全体的に見て、緻密な焼結体を構成しがたい。空洞50が形成された導体部分32b,34b,42b,44bは、空洞50が形成されていない導体部分32b,34b,42b,44bに比して、変形しやすい。したがって、素体1の変形に伴って素体1からの応力が導体部分32b,34b,42b,44bに作用する場合、導体部分32b,34b,42b,44bには、クラックが発生しがたい。この結果、素体1から作用する応力に対する、内部電極30,40の耐性が増大する。
上述の通り、導体部分32b,34b,42b,44bの第一方向D1での厚みが、貫通孔35b,35d,45b,45dの中心線CL1に近づくにつれて増加している場合、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。導体部分32b,34b,42b,44bに空洞50が形成された場合、導体部分32b,34b,42b,44bには、空洞50が形成されていない導体部分32b,34b,42b,44bに比して、クラックがより発生しがたい。この結果、導体部分32b,34b,42b,44bにクラックが発生するリスクが確実に低減し、素体1の変形に対する内部電極30,40の耐性が増大する。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0157】
圧電素子PD1では、第一方向D1に延在する平面で導体部分32b,34b,42b,44bを切断した切断面であって、空洞50を含む切断面において、空洞50の切断面での円相当径R1は、導体部分32b,34b,42b,44bの切断面での幅R2の50%以下である。
この場合、導体部分32b,34b,42b,44bでの空洞50の形成による電気的な断線が生じがたい。導体部分32b,34b,42b,44bによる駆動信号の安定的な伝送が実現され、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性がより向上する。
【0158】
圧電素子PD1では、空洞50の断面は、多角形状を呈している。
この場合、空洞50を画成する面が、複数の角及び稜を有するので、素体1の変形に応じて、導体部分32b,34b,42b,44bは、変形しやすい。導体部分32b,34b,42b,44bには、クラックがより発生しがたい。この結果、素体1から作用する応力に対する、内部電極30,40の耐性がより増大する。内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0159】
圧電素子PD1では、空洞50は、領域32c,34c,42c,44c及び領域32d,34d,42d,44dの少なくともいずれか一方に形成されている。
この場合、領域32c,34c,42c,44c及び領域32d,34d,42d,44dの少なくともいずれか一方は、変形しやすい。領域32c,34c,42c,44c,32d,34d,42d,44dには、クラックがより発生しがたい。この結果、素体1から作用する応力に対する、内部電極30,40の耐性がより増大する。
【0160】
圧電素子PD1では、空洞50は、領域32d,34d,42d,44d内であって、窪み50を画成する面を含む領域32s,34s,42s,44sに形成されている。
この場合、窪み36,46と素体1との剥離が抑制され得る。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0161】
圧電素子PD1では、導体部分32b,34b,42b,44bには、導体部分32b,34b,42b,44bの外周面に開口している窪み51が形成されている。
この場合、窪み51が形成されている外周面は、窪み51が形成されていない外周面に比べて、素体1から伝わる振動を反射しがたい。したがって、素体1の変形に伴う振動が素体1内で伝わりやすく、圧電素子PD1の共振特性が向上する。
【0162】
圧電素子PD1は、素体1と、外部電極10,20と、内部電極30,40と、を備えている。内部電極30,40は、互いに対向している内部導体31と内部導体32とを有している。内部導体32,34,42,44は、第一方向D1に延在していると共に内部導体31,33,41,43に接続されている導体部分32b,34b,42b,44bを含んでいる。導体部分32b,34b,42b,44bには、窪み51が形成されている。
【0163】
圧電素子PD1では、内部電極30,40は、互いに対向している内部導体31,33,41,43と内部導体32,34,42,44とを有している。内部導体32,34,42,44は、内部導体31,33,41,43に接続されている導体部分32bを含んでいる。導体部分32b,34b,42b,44bには、導体部分32b,34b,42b,44bの外周面に開口している窪み51が形成されている。窪み51が形成された導体部分32b,34b,42b,44bには、空洞50が形成されていない導体部分32b,34b,42b,44bに比して、クラックが発生しがたい。素体1から作用する応力に対する、内部電極30,40の耐性が増大する。内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が向上する。
本実施形態では、導体部分32b,34b,42b,44bに、窪み51及び空洞50の少なくともいずれか一方が形成され、導体部分32b,34b,42b,44bが、第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qをも有する場合には、上記信頼性が更により向上する。導体部分32b,34b,42b,44bが、第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qを有する場合、導体部分32b,34b,42b,44bが、より低い焼結温度を有する。したがって、導体部分32b,34b,42b,44bには、空洞50が形成されていない導体部分32b,34b,42b,44bに比して、よりクラックが発生しがたい。内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が向上する。
【0164】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0165】
圧電素子PD1では、領域32d,34d,42d,44dの第一方向D1での厚みが増加する度合いは、領域32c,34c,42c,44cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより小さくなくてもよい。領域32d,34d,42d,44dの第一方向D1での厚みが増加する度合いが、領域32c,34c,42c,44cの第一方向D1での厚みが増加する度合いより小さい構成では、上述したように、第四導体部分と第三導体部分とが互いに連続する箇所で内部電極30,40の形状がより緩やかに変化する。素体1の変形に伴って素体1から内部電極30,40に作用する応力は、上記連続する箇所により集中しがたい。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性がより向上する。
圧電素子PD1では、領域32d,34d,42d,44dが含む各領域部分32d1,34d1,42d1,44d1,32d2,34d2,42d2,44d2の、第一方向D1での厚みは、中心線CL1に近づくにつれて増加していなくてもよい。領域32d,34d,42d,44dが含む各領域部分32d1,34d1,42d1,44d1,32d2,34d2,42d2,44d2の、第一方向D1での厚みが、中心線CL1に近づくにつれて増加している構成では、上述したように、第四導体部分と第三導体部分とが互いに連続する箇所で内部電極30,40の形状が更により緩やかに変化する。素体1の変形に伴って素体1から内部電極30,40に作用する応力は、上記連続する箇所に更により集中しがたい。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
圧電素子PD1では、第一方向D1から見て、導体部分31b,33b,41b,43bの外縁の全体は、領域32d,34d,42d,44dの外縁より内側に位置していなくてもよい。第一方向D1から見て、導体部分31b,33b,41b,43bの外縁の全体が、領域32d,34d,42d,44dの外縁より内側に位置している構成では、第一方向D1から見て、領域32d,34d,42d,44dの外縁が中心線CL1からより離れて位置しており、領域32d,34d,42d,44dの第一方向D1での厚みの増加の度合いが減少する。第四導体部分と第三導体部分とが互いに連続する箇所で内部電極30,40の形状が更により緩やかに変化する。素体1の変形に伴って素体1から内部電極30,40に作用する応力は、上記連続する箇所に更により集中しがたい。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
圧電素子PD1では、領域32d,34d,42d,44dには、領域32c,34c,42c,44cから第一方向D1に離れた端部32f,34f,42f,44fに、窪み36,46が形成されていなくてもよい。領域32d,34d,42d,44dには、領域32c,34c,42c,44cから第一方向D1に離れた端部32f,34f,42f,44fに、窪み36,46が形成されている構成では、上述したように、領域32d,34d,42d,44dに窪み36,46が形成された分、導体部分32b,34b,42b,44bの第一方向D1での厚みが減少している。厚みの減少によって、導体部分32b,34b,42b,44bは、素体1の変形に伴う導体部分32a,34a,42a,44aの収縮及び延伸に対してより追随しやすい。したがって、第四導体部分と第三導体部分とが互いに連続する箇所での電気的な接続の信頼性の低下がより抑制される。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
圧電素子PD1では、窪み36,46の深さは、中心線CL1に近づくにつれて増加していなくてもよい。窪み36,46の深さが、中心線CL1に近づくにつれて増加している構成では、上述したように、導体部分32b,34b,42b,44bの第一方向D1での厚みが、中心線CL1に近づくにつれて減少しており、導体部分32b,34b,42b,44bは、素体1の変形に伴う導体部分32a,34a,42a,44aの収縮及び延伸に対して更により追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
圧電素子PD1では、第一方向D1から見て、導体部分31b,33b,41b,43bは、窪み36,46の開口縁の内側に位置していなくてもよい。第一方向D1から見て、導体部分31b,33b,41b,43bが窪み36,46の開口縁の内側に位置している構成では、上述したように、窪み36,46の形成によって導体部分32b,34b,42b,44bの第一方向D1での厚みが減少する範囲がより拡大する。広い範囲での厚みの減少によって、導体部分32b,34b,42b,44bは、素体1の変形に伴う導体部分32a,34a,42a,44aの収縮及び延伸に対して更により追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極30,40内での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
圧電素子PD1では、領域32d,34d,42d,44d及び窪み36,46は、第一方向D1から見て、円形状を呈していなくてもよい。領域32d,34d,42d,44d及び窪み36,46が、第一方向D1から見て、円形状を呈している構成では、上述したように、領域32d,34d,42d,44dは、素体1の変形に伴う導体部分32a,34a,42a,44aの第一方向D1に交差する方向での収縮及び延伸に対してより追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
圧電素子PD1では、領域32c,34c,42c,44cの第一方向D1での長さは、窪み36,46の底部36b,46bと、導体部分31b,33b,41b,43bとの第一方向D1での長さより小さくなくてもよい。領域32c,34c,42c,44cの第一方向D1での長さが、窪み36,46の底部36b,46bと、導体部分31b,33b,41b,43bとの第一方向D1での長さより小さい構成では、上述したように、導体部分32b,34b,42b,44bは、素体1の変形に伴う導体部分32a,34a,42a,44aの収縮及び延伸に対して更により追随しやすい。したがって、上記連続する部分での電気的な接続の信頼性の低下が更により抑制される。この結果、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性が更により向上する。
【0166】
圧電素子PD1では、導体部分32b,34b,42b,44bは、第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qを有していなくてもよい。導体部分32b,34b,42b,44bが、第二材料を含む領域32q,34q,42q,44qを有している構成は、上述したように、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性をより向上する。
【0167】
圧電素子PD1では、導体部分32b,34b,42b,44bに、空洞50が形成されていなくてもよい。導体部分32b,34b,42b,44bに、空洞50が形成されている構成は、上述したように、内部電極30,40での電気的な接続の信頼性をより向上する。
圧電素子PD1では、導体部分32b,34b,42b,44bには、導体部分32b,34b,42b,44bの外周面に開口している窪み51が形成されていなくてもよい。導体部分32b,34b,42b,44bには、導体部分32b,34b,42b,44bの外周面に開口している窪み51が形成されている構成では、上述したように、素体1の変形に伴う振動が素体1内で伝わりやすく、圧電素子PD1の共振特性が向上する。
【符号の説明】
【0168】
1…素体、5b…素体部分、10…外部電極、20…外部電極、30…内部電極、31…内部導体、31a…導体部分、31b…導体部分、32…内部導体、32a…導体部分、32b…導体部分、32c…領域、32d…領域、32d1…領域部分、32d2…領域部分、32f…端部、32p…領域、32q…領域、33…内部導体、33a…導体部分、33b…導体部分、34…内部導体、34a…導体部分、34b…導体部分、34c…領域、34d…領域、34d1…領域部分、34d2…領域部分、34f…端部、35b…貫通孔、35c…貫通孔、36…窪み、40…内部電極、41…内部導体、41a…導体部分、41b…導体部分、42…内部導体、42a…導体部分、42b…導体部分、42c…領域、42d…領域、42d1…領域部分、42d2…領域部分、42f…端部、42p…領域、42q…領域、43…内部導体、43a…導体部分、43b…導体部分、44…内部導体、44a…導体部分、44b…導体部分、44c…領域、44d…領域、44d1…領域部分、44d2…領域部分、44f…端部、45b…貫通孔、45c…貫通孔、46…窪み、50…空洞、51…窪み、CL1…中心線、D1…第一方向、D1a…方向、D1b…方向、PD1…圧電素子、SP1…基準面。