IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社オートマジックの特許一覧

特開2023-151287消音装置、消音装置を備えた乗物、消音装置のメンテナンス方法、消音機能を備えたアッセンブリおよび消音装置の装着方法
<>
  • 特開-消音装置、消音装置を備えた乗物、消音装置のメンテナンス方法、消音機能を備えたアッセンブリおよび消音装置の装着方法 図1
  • 特開-消音装置、消音装置を備えた乗物、消音装置のメンテナンス方法、消音機能を備えたアッセンブリおよび消音装置の装着方法 図2
  • 特開-消音装置、消音装置を備えた乗物、消音装置のメンテナンス方法、消音機能を備えたアッセンブリおよび消音装置の装着方法 図3
  • 特開-消音装置、消音装置を備えた乗物、消音装置のメンテナンス方法、消音機能を備えたアッセンブリおよび消音装置の装着方法 図4
  • 特開-消音装置、消音装置を備えた乗物、消音装置のメンテナンス方法、消音機能を備えたアッセンブリおよび消音装置の装着方法 図5
  • 特開-消音装置、消音装置を備えた乗物、消音装置のメンテナンス方法、消音機能を備えたアッセンブリおよび消音装置の装着方法 図6
  • 特開-消音装置、消音装置を備えた乗物、消音装置のメンテナンス方法、消音機能を備えたアッセンブリおよび消音装置の装着方法 図7
  • 特開-消音装置、消音装置を備えた乗物、消音装置のメンテナンス方法、消音機能を備えたアッセンブリおよび消音装置の装着方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151287
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】消音装置、消音装置を備えた乗物、消音装置のメンテナンス方法、消音機能を備えたアッセンブリおよび消音装置の装着方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/00 20060101AFI20231005BHJP
   F24F 13/02 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
F01N1/00 Z
F24F13/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060831
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】501317962
【氏名又は名称】有限会社オートマジック
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】高森 裕
【テーマコード(参考)】
3G004
3L080
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004AA02
3G004AA03
3G004AA04
3G004AA05
3G004AA06
3G004BA09
3G004CA01
3G004CA04
3G004CA11
3G004CA12
3G004CA13
3G004DA06
3L080AE02
(57)【要約】
【課題】使用環境、使用状況などに応じて、消音効果の程度や機能性などを、適宜調整可能な消音装置を提供する。
【解決手段】二輪自動車のサイレンサー10が、サイレンサー本体20と、複数の消音部材30とを備え、複数の消音部材30をサイレンサー本体20に収容する。複数の消音部材30は、それぞれカートリッジ式であって代替可能な消音部材31~35によって構成され、ホルダとして機能するサイレンサー本体20に対し、並び順変更可能に収容、保持されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、流路を形成した複数の消音部材を備え、
前記複数の消音部材が、それぞれカートリッジタイプであり、その並び順を変換可能に、装置両端に渡って流路が繋がる配置構成になっていることを特徴とする消音装置。
【請求項2】
前記複数の消音部材が、一方向に沿って、対向配置されることを特徴とする請求項1に記載の消音装置。
【請求項3】
前記複数の消音部材をまとめて保持可能なホルダをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の消音装置。
【請求項4】
前記ホルダが、前記複数の消音部材を、外側から保持することを特徴とする請求項3に記載の消音装置。
【請求項5】
前記ホルダが、前記複数の消音部材を、流路を形成する内壁側から保持することを特徴とする請求項3に記載の消音装置。
【請求項6】
前記複数の消音部材が、消音方式、消音機構、消音効果の程度、形状およびサイズのうち少なくともいずれか1つ互いに異なることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の消音装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された消音装置を、内燃機関と接続する排気システムに設けた乗物であって、
前記消音装置が、前記排気システムの端部に設けられるサイレンサーとして構成されることを特徴とする乗物。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載された消音装置を、内燃機関と接続する排気システムに設けた乗物であって、
前記消音装置の少なくとも一部が、前記排気システムの端部に設けられるサイレンサーとは別に、前記サイレンサー内に収容されることを特徴とする乗物。
【請求項9】
流路を形成したシステムであって、
請求項1乃至6のいずれかに記載された消音装置を前記流路に備えたことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれかに記載された消音装置に対し、前記複数の消音部材の少なくともいずれか1つの消音部材を交換することを特徴とする消音装置のメンテナンス方法。
【請求項11】
それぞれ、流路を形成するとともに、消音方式、消音機構、消音効果の程度、形状およびサイズのうち少なくともいずれか1つ互いに異なる複数のカートリッジタイプの消音部材と、
定められた並び順に従って互いに配置された前記複数の消音部材をまとめて保持するホルダとを備えたことを特徴とする、消音機能を備えたアッセンブリ。
【請求項12】
それぞれ、流路を形成するとともに、消音方式、消音機構、消音効果の程度、形状およびサイズのうち少なくともいずれか1つ互いに異なる複数のカートリッジタイプの消音部材の並び順を定める、あるいは1つの取り付ける消音部材を定め、
定められた並び順に従い、前記複数の消音部材を、乗物又は建物を含むシステムの定められた場所にまとめて取り付ける、あるいは定めた1つの消音部材を取り付けることを特徴とする消音装置の装着方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪自動車、自動車などの乗物(主に、内燃機関を備えた乗物)に装備される消音装置(消音器)、建物などに装備される換気装置、空調装置に合わせて使用される消音装置など、音(音圧)を低減可能な消音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を動力源として利用する乗物(二輪自動車など)では、排気ガスの音を低減可能な消音装置(マフラー、サイレンサー)が、排気システムに設けられている(特許文献1、特許文献2参照)。また、建造物の換気装置などにおいても、騒音を低下させる機能をもつ消音装置が配設されている。
【0003】
これらの消音装置において、一部品をカートリッジ形式として構成することが知られている(特許文献3~6参照)。そこでは、消音装置のケース内に、カートリッジ形式の吸音材などを着脱可能な状態で装着し、メンテナンスに合わせて交換を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-144074号公報
【特許文献2】特開2010-248914号公報
【特許文献3】特開2002-250215号公報
【特許文献4】特開平10-99692号公報
【特許文献5】実開平5-57309号公報
【特許文献6】国際公開第2004/094920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
消音装置の構成は、消音対象となる音(音圧)の特性(例えば周波数、音量)、求められる消音効果などによって様々である。例えば、二輪自動車など内燃機関の排気ガスを消音対象とする場合、グラスウールなどの吸音材によって音を吸収させる吸収式、排気管の流路断面積を拡大して減圧させる膨張式、多数の小穴を設けて音を干渉させる共鳴式、排気通路に隔壁を設けて複数の区画を形成する隔壁式などが存在し、また、これらを組み合わせて消音装置を構成する場合もある。
【0006】
一方、消音効果(音の低減)の程度は、消音方式、消音機構の構成、それらの組み合わせの違いによって相違し、消音対象となる音の周波数や消音装置の使用環境などによっても違いが生じる。
【0007】
したがって、使用環境、使用状況などに応じて、消音効果の程度や機能性などを、適宜調整可能な消音装置を提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のカートリッジタイプの消音部材を備えた消音装置であって、音(音圧)の低減、抑制を必要とする(あるいは使用状況に応じて要求される)様々な機械、建物、構造物、システムなどに適用可能である。例えば、二輪自動車、自動車、船舶、航空機、トラクターなどの農耕機械、クレーン、ウインチなどの建設機械や特殊車両も含めた乗物に適用可能である。ガソリン、軽油、水素などの液体や気体を燃料とする内燃機関を動力源として利用する乗物(動力源として、内燃機関とともにモータなど電気エネルギーを動力に変換する装置を搭載するハイブリット形式を含む)の場合、排気システムに設置可能である。電気自動車の場合、モータ音などを低減、抑制可能な箇所に配置することができる。一方、換気装置や空調装置、暖房機など建物や構造物に装備、設置される環境下では、空調時に発生する音を低減、抑制可能な箇所(配管やダクトなど)に消音装置を設置すればよい。さらに、ファン(送風機)、掃除機、草刈り機、芝刈り機、農耕具、チェーンソーなど、騒音を発生する機械、機器、工具、道具に対し、例えば排気口や排気口付近、あるいは排気用流路などに配置することも可能である。
【0009】
本発明の一態様である消音装置は、それぞれ、流路を形成した複数の消音部材を備える。ここでの「流路」は、音の低減を必要とする、音圧を伴って流れるガスあるいは液体などの流体が流れる流路を表す。例えば、二輪自動車、自動車などの内燃機関と接続する排気システムから排出される排気ガス、建物の換気装置などを通じて室内等に流入又は流出する外気などが含まれる。流路としては、例えば一方向に流れる流路を形成可能であり、消音部材の外観形状、内部構造に沿った流路、あるいは消音部材の装着箇所の形態などに従って流路を形成することが可能である。そして、消音装置は、所定の流路に1つあるいは複数設置することが可能である。複数の消音部材は、それぞれ、流路を形成するとともに、消音方式、消音機構、消音効果の程度、形状およびサイズのうち少なくともいずれか1つ互いに異なる複数のカートリッジタイプの消音部材で構成可能であり、あるいは、消音方式、消音機構、消音効果の程度、形状およびサイズが同じ消音部材を複数配置する構成にすることもできる。
【0010】
消音部材としては、消音部材において、少なくともその一部分に気体の流れる流路が形成される構成の範囲内で、消音方式、機構、消音機能、音の低減効果の程度、形状、サイズに関して様々なバリエーションを適用することが可能である。また、消音には、遮音、減音、吸音、清音、音質の調整や音のバランス調整などが含まれる。例えば、割れた音だけを吸音する、低音が支配的な音になる(低音だけにする)、高音が支配的な音になる(高音だけにする)ことが含まれる。本発明の消音部材は、少なくとも消音機能をもつ部材であればよく、排気(通気)効率調整、圧力調整機能の一方あるいは両方の機能を合わせて持つ部材、それ以外の機能を合わせて持つ部材として構成することも可能である。本発明では、2つの消音部材あるいは3つ以上の消音部材で消音装置を構成することが可能である。また、消音部材は、素材単体で構成されるもの、複数の部材、あるいは部材と素材の組み合わせから構成されるものも含まれる。
【0011】
例えば、グラスウールなどの吸音材を用いた吸音式(吸収式)、流路を拡大する膨張式、複数の区画を形成する隔壁を設ける隔壁式、音を干渉によって低減させる共鳴式の消音部材を適用することが可能である。また、消音対象の音の周波数、音量(エネルギー)など音の特性に応じて、形状(絞り、パンチング、フィン形状など)、サイズ(隔壁によって区画される空間の大きさ、軸方向長さなど)、吸音材の材質、量などを、調整することができる。
【0012】
本発明では、複数の消音部材が、それぞれカートリッジタイプである、すなわち交換可能な構成であり、複数の消音部材が、装置両端に渡って気体の流れる流路が繋がるように配置可能な構成となっている。そして、複数の消音部材は、その並び順を変更可能に配置されている。並び順に関しては、少なくとも2つの消音部材の間で変更可能であればよい。あるいは、すべて並び順を変更可能な配置構成にしてもよい。
【0013】
このようなカートリッジ構成の消音装置では、上述した消音方式、構造、形状、サイズなどが互いに異なる消音部材を、使用状況、使用環境、組み込み対象物(二輪自動車などの乗物、建物)、音の特性等に応じて適宜並び順を定めることが可能である。そして、経年変化などに応じて、一部あるいはすべての消音部材を交換することが可能である。
【0014】
上述した消音形式などが異なる消音部材を多数用意し、その中から適宜選択して配置することにより、消音装置の使用環境、消音対象となる音の特性に適した消音装置を構成することができる。また、並び順を調整することによって、消音の低減の程度、すなわち消音効果を調整することが可能となる。
【0015】
消音部材の配置構成に関しては、並び順を変更可能であればよい。複数の消音部材を、一方向に沿って、対向配置させることが可能である。流路が位置方向に沿って流れるのであれば、その流路に沿って消音部材を配列することが可能である。また、消音部材の内部構造などに起因して流路が一方向に定まらない場合であっても、消音部材を、乗り物の構成などに合わせて所定の方向に配列させることが可能である。この場合、消音部材の配列方向としては、直線方向、曲線に沿った方向いずれも適用可能であり、乗り物のボディ形状といった消音装着装置の取り付け箇所の形態に合わせて配列させることができる。例えば、複数の消音部材を、互いに隣り合わせに配置する構成が可能である。あるいは、消音機能を持たず、気体の流路が形成されている部材(あるいは機構)を、消音部材の間に介在させた配置構成にしてもよい。
【0016】
消音装置は、複数の消音部材をまとめて保持することが可能であり、それぞれ個別に保持する構成としてもよく、あるいは、幾つかの消音部材に分けて保持するように構成してもよい。例えば、装置両端の間で流路が一方向に沿って形成される場合、消音装置は、複数の消音部材を保持可能な長さをもつホルダを備えた構成にすることができる。
【0017】
複数の消音部材の構成として、例えばホルダ、カートリッジなどの構成部品を、環状、筒状、管状部材として構成することが可能である。そして、消音部材の中心周りに流路を形成することが可能である。あるいは、管状、筒状、管状部材の一部として断面弧状、断面C字型の部材として構成することも可能であり、さらには、断面三角形状、矩形状、多角形状の筒状部材や管状部材として構成可能である。例えば、複数の消音部材は、それぞれ径が略等しい環状、筒状または管状部を少なくとも一部に設けた構成、もしくは、環体、筒体または管として構成することが可能である。また、複数の消音部材は、流路を形成する開口部の断面形状が互いに略等しい構成にすることが可能である。一方、消音部材は、環状、筒状、管状部材といった典型的形状に限定されるものではなく、消音部材の形状を板状、球状にすることも可能であり、形状に関して制限はない。複雑な形状や複数の異なる外観形状を組み合わせた部材として構成することも可能である。例えば、流路の断面形状に応じた断面形状をそれぞれ有する複数の消音部材で構成することが可能であり、乗物や機械、道具などにおいて、複雑、曲率不均一な曲面をもつボディやエンジンの形状、ケーシング形状(道具などの外観形状)、あるいはボディやケーシングの内部空間形状などに合わせた断面形状にすることができる。例えば、自動二輪車や自動車の場合、カウル内スペース、ボンネット内スペースの空間形状は様々であるが、複数の消音部材を交換可能に組み合わせる構成であるため、それら形状に合わせた消音装置を臨機応変に構成することができる。また、設置個所などに応じて形状を考慮した消音部材の構成部品を構成し、組み合わせることにより、消音に関しても所望の効果を得ることができる。例えば、蛇行、螺旋形状、流路の分岐や連結を組み合わせた構成にすることによって、所望する消音効果をもたらすことが可能となる。
【0018】
このような複数の消音部材の構成に従って、ホルダの構成を定めることができる。ホルダは、例えば消音部材が一方向に沿って配列させた構造である場合、直状のホルダとして構成可能である。また、例えば乗物のボディ形状やエンジン形状に合わせて、ホルダを曲状に形成することが可能である。例えば、ホルダは、複数の消音部材を外側、すなわちその周囲から保持するように構成することが可能である。あるいは、ホルダは、流路を形成する内壁側から保持するように構成することが可能である。
【0019】
以上のような特徴をもつ複数のカートリッジタイプの消音部材を備えた消音装置は、二輪自動車、自動車など内燃機関を備えた乗物に対して適用することが可能である。すなわち、消音装置を排気システムに設ける乗物に対し、本発明の一態様である消音装置をサイレンサーとして構成することが可能である。あるいは、排気システム端部に設けられたサイレンサーとは別に、消音装置をサイレンサー内に収容する構成を提供することが可能である。一方、本発明の一態様として、流路を形成したシステムに対しても、上記消音装置を流路に適用することが可能である。ここでの「システム」には、上述した乗物、チェーンソー、芝刈り機などの排気流路が形成される道具、工具、用具といったもの、あるいは、建物の空調装置を一部構成するものなどが含まれる。また、「システム」には、上述した乗物や道具などそのものに限定されず、乗物や道具などの内部に含まれる構成部品や装置なども含まれ、モータやギヤボックスといった構成部品が通気経路、吸気経路、排気経路などの流路に組み込まれたシステムも含まれる。例えば、自動車の場合、試験設備用の補助送風機や排気回収装置などが、システムとして構成可能である。さらに、排気システムを装備しない乗物(電気自動車など)あるいはその一部である装置についても、システムとして構成することが可能である。このようなシステムに対し、消音装置は、所定の流路に1つあるいは複数設置することが可能である。
【0020】
本発明では、複数の消音部材から成る消音装置をサイレンサーとして構成し、あるいは、消音機能を持たず、流路を形成した部材(機構)を含めた消音装置を構成することが可能である。そこでは、複数の消音部材の一部が、サイレンサー内に収容される配置構成が可能であり、あるいは、複数の消音部材全てがサイレンサー内に収容される配置構成が可能である。
【0021】
本発明では、消音機能を備えたアッセンブリとして消音装置を提供することが可能である。本発明の消音機能を備えたアッセンブリは、それぞれ、流路を形成するとともに、消音方式、消音機構、消音効果の程度、形状およびサイズのうち少なくともいずれか1つ互いに異なる複数のカートリッジタイプの消音部材と、定められた並び順に従って配置された前記複数の消音部材をまとめて保持するホルダとを備える。例えば、二輪自動車などの乗物の特性、乗物の所有者であるユーザの嗜好性、排気規制や規格などの行政や規格団体が定める使用環境に応じた音量などを考慮して、複数の消音部材の並び順を任意に定めることが可能である。
【0022】
さらに、本発明の一態様として、消音装置のメンテナンス方法、装着方法を提供することができる。本発明の消音装置のメンテナンス方法は、上述した消音装置に対し、前記複数の消音部材の少なくともいずれか1つの消音部材を交換する。本発明の消音装置の装着方法は、それぞれ、流路を形成するとともに、消音方式、消音機構、消音効果の程度、形状およびサイズのうち少なくともいずれか1つ互いに異なる複数のカートリッジタイプの消音部材の並び順を定め、定められた並び順に従い、前記複数の消音部材を、上述した乗物、道具、工具などの定められた場所、建物などの定められた場所、または上述したシステムの定められた場所にまとめて取り付ける。あるいは、1つの消音部材を定め(選択し)、その消音部材を取り付けるようにする装着方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、乗物などに対し、消音効果などを、適宜調整可能な消音装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態である消音装置を備えた二輪自動車の平面図である。
図2】サイレンサーの概略的分解斜視図である。
図3図2の消音部材とは異なる複数の消音部材で構成されるサイレンサーの概略的分解斜視図である。
図4】第2の実施形態である二輪自動車のサイレンサーの概略的分解斜視図である。
図5】第2の実施形態における消音装置の分解斜視図である。
図6図5の消音部材とは異なる消音部材で構成される消音装置の分解斜視図である。
図7】第3の実施形態における消音装置の斜視図である。
図8】第3の実施形態における消音装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1は、第1の実施形態である消音装置を備えた二輪自動車の平面図である。二輪自動車1は、図示しないエンジンと接続する排気システム2を備える。排気システム2では、内燃機関の排気ポートと接続するエキゾーストパイプ3が、車体底部から後方に延び、エキゾーストパイプ3の端部にサイレンサー(マフラー)10が連結されている。内燃機関から排出される高温、高圧の排気ガスは、エキゾーストパイプ3に設けられたキャタライザーを通過し、サイレンサー10を通じて大気中に放出される。
【0027】
図2は、サイレンサー10の分解斜視図である。サイレンサー10は、サイレンサー本体20と、複数の消音部材30とを備え、複数の消音部材30がサイレンサー本体20に収容されている。本実施形態では、サイレンサー10が、それぞれカートリッジ式であって代替可能な複数の消音部材30から成るアッセンブリとして構成されている。ここでは、5つの消音部材31~35が、サイレンサー本体20に収容、保持されている。
【0028】
筒状ケーシングであるサイレンサー本体20は、一方の端部22T1に排気口20Rを形成した筒体22と、エキゾーストパイプ3と接続する筒状の接続部24とを備え、消音部材31~35を収容可能な所定の内径、軸方向長さをもつ。筒体22は、その端部22T2において、接続部24と取り外し可能に連結されている。
【0029】
ここでは、筒体22の端部22T2において、周方向に沿ってリベットBが所定間隔で並び、サイレンサー本体20がリベット接合されている。ただし、ビス止めや溶着であってもよい。一方、接続部24の外周面周りに形成された環状部25には、ジグザク状(Z字型)の切り欠き部25Nが、筒体22内周面に設けられた突起部材(不図示)の配置箇所に応じて形成されている。突起部材を切り欠き部25Nに沿って奥まで通すように筒体22を両方向に回しながら押し込むことにより、筒体22が接続部24に固定される。
【0030】
また、筒体22の端部22T2には、相対する位置にそれぞれ穴を設けた一対の突起部23が取り付けられている。突起部23は、両端にフックを設けたエキゾーストパイプ3との連結用スプリング(不図示)と接続される。なお、上述した連結構造以外の連結手段を採用することも可能である。
【0031】
上述したように、ここでは5つの消音部材31~35がサイレンサー本体20に収容され、保持されている。消音部材31~35の形状は、筒状、環状、あるいは管状であり、全体またはその一部において外径が略等しく、サイレンサー本体20の内径に応じてその大きさが定められている。また、消音部材31~35には、排気ガスの流れる流路31N~35Nが、中心軸周りに形成されている。ここでは、流路31N~35Nは、断面円状に形成されている。
【0032】
消音部材31~35は、それぞれ、流路31N~35Nを通過する排気ガスに対して消音機能を発揮する部材として構成され、その消音方式、機構、消音効果(音量抑制)の程度、形状、サイズなどは、互いに相違する。以下、消音部材31~35の特性についてそれぞれ説明する。
【0033】
消音部材31は、両端にフランジ31R1、31R2を形成したパイプ形状であり、流路31Nを形成する内壁31Dに対し、規則的に多数の小穴を形成したパンチングパイプ構造となっている。流路31Nの内径は、サイレンサー本体20の接続部24の内径よりも小さく、サイレンサー本体20の接続部24と比べて流路が狭い。さらに、消音部材31のフランジ31R1、31R2の間の外周面には、フィン31Bが設けられている。フィン31Bは、薄いリング状のフィン要素をフランジ31R1、31R2の間に複数並べた構成になっている。
【0034】
消音部材32は、ここでは筒状体であり、収音材(吸音材)であるグラスウール32Gが外周面に巻かれている。なお、グラスウール以外の吸音材を用いてもよい。流路32Nを形成する内壁32Dは、消音部材31と同様、排気ガスを径方向外側に放出させるパンチングパイプ構造であり、流路32Nの内径は、ここでは消音部材31の流路31Nの内径と等しい。消音部材32の軸方向長さは、消音部材31と比べて長い。
【0035】
消音部材33は、両端にフランジ33R1、33R2を設けたパイプ形状であって、流路33Nを形成する内壁33Dに小穴が形成されていない。消音部材33の流路33Nの内径は、ここでは消音部材31、32の流路31N、32Nの内径と等しい。消音部材33の軸方向長さは、消音部材31と比べて長い。
【0036】
消音部材34は、消音部材31と同様、外周面にフィン34Dを設けたパイプ形状であり、流路34Nを形成する内壁34Dは、パンチンパイプ構造となっている。流路34Nの内径は、消音部材31~33の流路31N~33Nの内径よりも小さい。
【0037】
消音部材35は、フランジ35R1、35R2を両端に設けたパイプ形状であり、流路35Nを形成する内壁35Dは、パンチングパイプ構造になっている。流路35Nの内径は、消音部材31~34の流路31N~34Nの内径よりも大きい。
【0038】
上述した構成の消音部材31~35は、以下のような消音方式および機構を採用している。まず、消音部材31は、パンチングパイプ構造によって排気ガスを径方向に拡散させ、干渉によって音を打ち消す構造を採用している。また、フィン31Bによって、排気ガスを一層拡散させる構造を採用している。さらに、流路31Nの径を、サイレンサー本体20の接続部24と比べて絞り込む構造を採用している。消音部材32は、パンチングパイプ構造によって径方向に排気ガスを拡散させ、グラスウール32Gによって吸収する消音方式および構造を採用している。
【0039】
消音部材33は、サイレンサー本体20の接続部24と比べて流路を絞り込む構造を採用している。消音部材34は、消音部材31~33よりも流路をさらに絞り込む構造を採用するとともに、パンチングパイプ構造によって径方向に排出される排気ガスをフィン34Bによって一層拡散させる構造を採用している。そして、消音部材35は、流路を拡大するとともに、パンチングパイプ構造によって排気ガスを径方向に拡散させる。
【0040】
このように消音機能そして消音効果の程度が、それぞれ異なる消音部材31~35が、所定の並び順で、消音機能をもたないサイレンサー本体20に収容されている。サイレンサー本体20は、アッセンブリ構造のホルダとして機能し、消音部材31~35をまとめて保持するととともに、その並び順を任意に変更な状態で保持することができる。ここでは、消音効果の高い吸収式の消音部材32を配列順として先の位置に配置しているため、効果的に消音(減音)することができる。一方で、グラスウールは、高温下での使用の影響などにより、流速のある排気ガスに対する消耗が比較的早い。これらを考慮し、相対的に接続部24側と比べて熱が低く、流速も低くなる排気口20R側に消音部材32を配置し、他の消音部材を接続部24により近い場所へ配置転換してもよい。並び順を変えても、消音装置全体の並び方向長さは変わらず、サイレンサー本体20のサイズ(長さ)はそのままとなる。
【0041】
具体的に説明すると、消音部材31~35は、フランジを含めてその外径が互いに略等しい形状になっている。そのため、サイレンサー10に収容された消音部材31~35は、サイレンサー本体20に対して同軸的に配置される。また、消音部材31のフランジ31R1側の内壁周縁には、径が拡がるように軸方向に沿って延びる拡径部31Fが形成されている。拡径部31Fの径は、サイレンサー本体20の接続部24の端部24Tよりも大きい。
【0042】
消音部材31~35は、サイレンサー本体20内部において、互いに側面同士で接するように隣接配置される。したがって、消音部材32~35を、消音部材35、消音部材34、消音部材33、消音部材32の順で筒体22に収容し、消音部材31を接続部24のエキゾーストパイプ側から挿入し、筒体22と接続部24を連結することにより、消音部材31~35は、互いに隙間のない状態で配置される。
【0043】
このようなアッセンブリ構造を採用することにより、サイレンサー10内で、消音部材31~35の並び順を変更して配置することが可能になる。したがって、並び順を変えながらサイレンサー10全体の消音効果、音量抑制の程度を計測、評価することにより、排気音の抑制、あるいは排気効率が相対的に高い並び順を定め、配置することができる。
【0044】
また、カスタム化などを行う所有者の場合、その排気音が自身の好みの音になることが重要になる。この場合、所望する排気音となる消音部材31~35の並び順を定めればよい。音の調整を含めた消音機能、消音効果を適宜変更することができる。
【0045】
上述したように消音部材31~35は、全体でサイレンサー本体20内の軸方向長さに合わせた長さをもつ限り、その並び順が自由である。したがって、1つあるいは2つ以上の消音部材を、サイレンサー本体20の軸方向長さに合わせて用意することによって、上述した消音部材31~35のすべて、あるいはいくつかの消音部材を、その他の消音部材に代替することが可能である。
【0046】
図3は、他の消音部材を配置させてサイレンサー10を構成した場合の分解斜視図である。ここでは、サイレンサー本体は図示していない。複数の消音部材40は、ここでは4つの消音部材41~44によって構成されている。消音部材41~44は、図2に示した消音部材と同様、環状、筒状、あるいは管状である。消音部材41は、消音部材31と同様のパンチングパイプ構造である一方、グラスウール131Gが外周面に沿って設けられている。
【0047】
消音部材42は、隔壁によって複数の区画を設けた隔壁式の筒状体として構成されている。消音部材43は、図2に示した消音部材33と同様、絞り筒状の部材であって、パンチングパイプ構造となっていない。消音部材44は、図2に示した消音部材35と同様のパンチングパイプ構造になっている。
【0048】
消音部材41~44は、サイレンサー本体20内において、互いに隣接配置された状態で保持、位置決めされる。すなわち、消音部材41~44を隣接配置させたときの軸方向に沿った全体長さが、図2に示す消音部材31~35を隣接配置させたときの軸方向に沿った全体長さと等しい。ここでは、隔壁式の消音部材42の軸方向長さが、図2の消音部材32、33を合わせた軸方向長さと等しくなるように定められている。
【0049】
このように、消音部材31~35、そして消音部材41~44を用意することで、サイレンサー本体20の収容スペースに合わせて消音部材を選択し、並び順を変更しながら隣接配置させることが可能となる。したがって、各消音部材に対して軸方向長さの異なる多数のバリエーションを揃えることにより、全体長さをサイレンサー本体20の収容スペースに合う消音部材を適宜選択し、並び順を調整しながら配置することができる。
【0050】
一方、軸方向長さを調整可能にするため、スプリングなどをサイレンサー本体20内に収容可能な構成にすることにより、各消音部材の軸方向長さに関してバリエーションを持たせることなく、適宜選択した消音部材を隣接配置させることも可能である。接続部24端部側にスプリングを挿入して付勢することにより、複数の消音部材をサイレンサー本体20内において保持し、動かないように位置決めすることができる。あるいは、消音機能をもたず、排気ガスの流れる流路を中心周りに形成した筒状、環状、あるいは管状部材を介在させるようにしてもよい。
【0051】
このように本実施形態によれば、ホルダとして機能するサイレンサー本体20内に、消音部材31~35、あるいは消音部材41~45などの複数の消音部材を集合体として収容し、その並び順を調整可能にして互いに隣接配置させる。このようなアッセンブリ構造を採用することにより、ユーザやメーカー、カスタマー(業者)などの取り付け、装着作業によって、所望する消音効果のあるサイレンサー10を排気システムに構成することができる。また、メンテナンス作業において、すべての消音部材あるいは一部消音部材を交換することができる。
【0052】
なお、内燃機関の排気量や動作形式などに従い、サイレンサー本体20のサイズ、軸方向長さ、消音部材の収容スペースのサイズなどを変更することも可能であり、それに応じて、収音部材のサイズ、形状も変更することができる。本実施形態では、サイレンサー本体20に対し、消音部材同士、あるいはスペーサ機能を持つ部材を含めて互いに隣接配置させる構成であるが、収容可能なスペースをすべて満たすように配置する必要はなく、一部スペースに配置する構成にしてもよい。
【0053】
次に、図4を用いて、第2の実施形態である二輪自動車の排気システムについて説明する。第2の実施形態では、排気システム端部に設けられたサイレンサー内に、消音部材の集合体がアッセンブリとして別途設けられている。
【0054】
図4は、第2の実施形態における自動二輪車のサイレンサーを示した斜視図である。ここでは、説明のため内部構成を示すように一部切断した図を描いている。サイレンサー100は、排気口100Rを端部に設けたサイレンサー本体120を備え、サイレンサー本体120は、筒体122と、エキゾーストパイプ3に接続する接続部124によって構成されている。
【0055】
サイレンサー本体120の筒体122は、従来のサイレンサーと同様の消音機能を備え、流路120Nを形成する内壁120Bは、規則的な多数の小穴が形成されたパンチングパイプ構造になっている。そして、内壁120Bの外周にグラスウール122Gが巻かれている。本実施形態では、アッセンブリとして構成される消音装置130が、サイレンサー本体120の流路120Nに配置されている。
【0056】
図5は、消音装置130の分解斜視図である。消音装置130は、筒状のベース部136を備え、サイレンサー100の接続部124側から挿入され、サイレンサー本体120の内壁120Bに形成された係合部128(図4参照)と係合し、サイレンサー本体120に位置決めされる。消音装置130の筒状ホルダ150(図4参照、図5では図示せず)は、一連の消音部材およびそれに関連する部材131~138を収容し、外側から保持する。筒状ホルダ150は、パイピングパイプ構造であって、ベース部136と係合して保持される。
【0057】
消音部材131、132、133、134、135は、それぞれ中心周りに流路131N、132N、133N、134N、135Nを形成している。消音部材131、132、133は、第1の実施形態で示した消音部材32、31、35と同様の消音方式および構造を採用している。消音部材134は、その両端から中央部に向けて流路が先細くなる絞り形状を採用している。サイレンサー100の排気口100Rに最も近い消音部材135の内壁135Bは、パンチングパイプ形状であり、また内壁排気口100R側から中央部側に向けて絞り込むテーパー形状になっている。
【0058】
消音部材131~135は、ここでは、消音部材135を筒状ホルダ150内に最初に挿入して端部150Tと当接させ、消音部材134、133、132、131の順で筒状ホルダ150に挿入させる。そして、リングスプリング137、コイルスプリング138をベース部136と消音部材131との間に介在させる。これによって、消音部材131~135が互いに密接し、筒状ホルダ150内において保持され、位置決めされる。
【0059】
このような消音装置130をサイレンサー100内に配置することにより、サイレンサー100の消音機能との相乗効果によって、より一層消音を図ることができる。また、今までのサイレンサー設置型排気システムを備えた二輪自動車に対しても、ユーザの嗜好性などに合わせて、適宜消音効果を調整することができる。そして、第1の実施形態と同様、消音部材131~135は、他の消音部材と交換可能なカートリッジタイプとして構成される。
【0060】
図6は、図5の消音部材131~135とは異なる消音部材で構成される消音装置140の分解斜視図である。消音装置140は、消音部材142から構成され、第1の実施形態の消音部材42と同様、隔壁式を採用している。ただし、1つの吸音式の消音部材など、他の消音方式などの消音部材で構成してもよい。ここでは、消音部材142の軸方向長さが、図5に示した消音部材131~135を隣接配置させたときの軸方向長さに対応している。このように、1つの消音部材142で消音装置130を構成することも可能である。
【0061】
次に、図7、8を用いて、第3の実施形態である消音装置について説明する。第3の実施形態では、消音部材が流路を形成する内壁側から保持されたアッセンブリ構造を採用する。
【0062】
図7は、第3の実施形態における消音装置の斜視図である。図8は、消音装置の分解斜視図である。消音装置230は、第2の実施形態と同様、ここでは図示しないサイレンサー本体内に収容される。消音装置230は、その端部にパンチングパイプ構造を採用したベース部231と、筒状ホルダ250とを備え、筒状ホルダ250は、ベース部231と係合する。
【0063】
消音部材232、233、234、235は、それぞれ流路232N、233N、234N、235Nを有し、消音部材232、234の内壁232B、234Bは、小穴のない管形状であり、所定間隔で凹状の開口部232P、234Pが設けられている。消音部材234は、消音部材232よりも軸方向長さが長い(ここでは約2倍)。消音部材233、235の内壁233B、235Bは、フィン形状であり、消音部材235は、消音部材233よりも軸方向長さが長い(ここでは約2倍)。
【0064】
筒状ホルダ250の外径は、消音部材232~235の内壁232B~235Bと実質的に等しく、筒状ホルダ250の排気口側に形成された環状部250Bは、消音部材235の端部と当接するサイズをもって形成されている。したがって、消音部材235、234、233、232を、この順で筒状ホルダ250に通して隣接配置させ、コイルスプリング236を介在させて筒状ホルダ250をベース部231に係合、固定させることにより、消音装置230が組み立てられる。第3の実施形態では、特に、小径のサイレンサーに対しても設置が容易となる。
【0065】
第2、第3の実施形態では、消音装置がサイレンサー内に収容される構成であるが、その一部がサイレンサーとエキゾーストパイプとの間に配置される構成であってもよい。また、消音装置が、サイレンサー端部側に固定される構成であってもよく、エキゾーストパイプ側、サイレンサー排気口両方で固定される構成であってもよい。筒状ホルダの軸方向長さを自在に調整することが可能であり、それに合わせて消音部材の軸方向長さ、形状を調整し、また、様々なバリエーションの消音部材を用意して適宜選択して消音装置を組み立て、サイレンサーに取り付けるようにすればよい。さらに、第1~第3の実施形態である消音装置の少なくとも2つの実施形態である消音装置を組み合わせて排気システムに装備する構成も可能である。例えば、エキゾーストパイプの中間部分に第2または第3の実施形態である消音装置を配置し(あるいは両方の消音装置を配置し)、第1の実施形態である消音装置をサイレンサーとして構成することが可能である。また、第2(または第3)の実施形態である消音装置をエキゾーストパイプの中間部分に配置し、サイレンサー本体内に第3(または第2)の実施形態である消音装置を配置してもよい。あるいは、第2、第3の実施形態である消音装置をサイレンサー本体内に配置する構成も可能である。用意された複数の消音部材を組み合わせ、あるいは分解して一部の部材を交換、付加する消音装置を構成することで、今まで以上の消音効果を発揮することができ、ユーザなどに求められる様々な消音に関する要求に対し、対処、適合することができる。
【0066】
第1~第3の実施形態では、二輪自動車の排気システムに装備される消音装置の構成を例示したが、自動車の排気システムに対しても同様に適用することが可能である。さらに、小型船舶、農耕機械、建設機械(建設用車両を含む)、草刈り機、チェーンソーといった工具などに装備される排気システムに適用することも可能である。一方、建物や構造物の一部(空調装置、暖房機、送風装置の通気用流路や配管内など)、工具の排気用流路などにも、表面形状や内部空間形状、流路の形状などに合わせて消音装置を構成し、配置することも可能であり、乗物(内燃機関を備えていない乗物も含む)や工具などの一部に設けられた流路、通気部分などに対して消音装置を配置することも可能である。騒音が生じるようなシステム全般に対して消音装置を配置することができる。これらのシステムに対しても、上述したように複数の消音装置を組み合わせて配置することも可能である。そこでは、消音装置の構成部品(ボディ本体を含む)を、ボディ形状、エンジン形状や内部空間形状(例えば、カウル内、ボンネット内の空間形状)に合わせて、形状および構造を定めることが可能である。
【0067】
上述した消音装置によれば、従来既存の消音部品、新規の消音部品を互いに組み合わせて構成することも可能であり、排ガス規制、SDGsなどにより求められる企業に対する社会的責任などによって要求される消音効果など、その時代に応じて定められるものに順応、適合可能な消音装置を構成することができ、消音装置の利用可能性が増し、設置する消音装置の構成の選択肢を増やすことにも繋がる。
【符号の説明】
【0068】
1 二輪自動車
10 サイレンサー
20 サイレンサー本体
30 複数の消音部材
31~35 消音部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、流路を形成した複数の消音部材を備え、
前記複数の消音部材が、それぞれ、着脱可能な状態で装着されるカートリッジタイプであり、その並び順を変換可能に、装置両端に渡って流路が繋がる配置構成になっていることを特徴とする消音装置。
【請求項2】
前記複数の消音部材が、一方向に沿って、対向配置され
前記複数の消音部材が、隣接配置されるように装置端部側から前記一方向に沿って付勢される、または、消音機能をもたない部材が介在することによって、位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の消音装置。
【請求項3】
前記複数の消音部材をまとめて保持可能なホルダをさらに備え
前記ホルダが、直状または曲状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の消音装置。
【請求項4】
前記ホルダが、前記複数の消音部材を、外側から保持
前記複数の消音部材が、流路の断面形状に応じた断面形状をそれぞれ有することを特徴とする請求項3に記載の消音装置。
【請求項5】
前記ホルダが、前記複数の消音部材を、流路を形成する内壁側から保持し
前記複数の消音部材が、流路の断面形状に応じた内壁の断面形状をそれぞれ有することを特徴とする請求項3に記載の消音装置。
【請求項6】
前記複数の消音部材が、消音方式、消音機構、消音効果の程度、形状およびサイズのうち少なくともいずれか1つ互いに異なることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の消音装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された消音装置を、内燃機関と接続する排気システムに設けた乗物であって、
前記消音装置が、前記排気システムの端部に設けられるサイレンサーとして構成されることを特徴とする乗物。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載された消音装置を、内燃機関と接続する排気システムに設けた乗物であって、
少なくとも1つの消音装置が、前記排気システムの端部に設けられるサイレンサーの内部、および/または、前記排気システムのエキゾーストパイプに配置されることを特徴とする乗物。
【請求項9】
流路を形成したシステムであって、
請求項1乃至6のいずれかに記載された消音装置を前記流路に備えたことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれかに記載された消音装置に対し、前記複数の消音部材の少なくともいずれか1つの消音部材を交換することを特徴とする消音装置のメンテナンス方法。
【請求項11】
それぞれ、流路を形成するとともに、消音方式、消音機構、消音効果の程度、形状およびサイズのうち少なくともいずれか1つ互いに異なる複数のカートリッジタイプの消音部材と、
定められた並び順に従って互いに配置された前記複数の消音部材をまとめて保持するホルダとを備え
前記複数の消音部材が、それぞれ、着脱可能な状態で装着されるカートリッジタイプであり、装置両端に配置された消音部材も含めて並び順変更可能に、前記装置両端に渡って流路が繋がる配置構成であることを特徴とする、消音機能を備えたアッセンブリ。
【請求項12】
それぞれ、流路を形成するとともに、消音方式、消音機構、消音効果の程度、形状およびサイズのうち少なくともいずれか1つ互いに異なる複数のカートリッジタイプの消音部材の並び順を定める、あるいは1つの取り付ける消音部材を定め、
定められた並び順に従い、前記複数の消音部材を、乗物又は建物を含むシステムの定められた場所にまとめて取り付ける、あるいは定めた1つの消音部材を取り付けることを特徴とする消音装置の装着方法であって、
前記複数の消音部材が、それぞれ、着脱可能な状態で装着されるカートリッジタイプであり、
前記複数の消音部材のうちの少なくとも1つが、吸音材を有する消音部材として構成されていることを特徴とする消音装置の装着方法。