(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151301
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】光学部材、面光源装置、表示装置および波長変換シート
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231005BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20231005BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20231005BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21V7/28 240
F21V9/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060855
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正浩
(72)【発明者】
【氏名】関口 博
(72)【発明者】
【氏名】西川 麻理衣
(72)【発明者】
【氏名】春木 暁人
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA01
3K244BA50
3K244CA02
3K244DA01
3K244GA03
3K244GA04
3K244GA05
3K244GA08
3K244GA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】波長変換剤の量を低減する波長変換シートを提供する。
【解決手段】光学部材30は、選択透過部を含む選択透過シート40と、選択透過シートと重ねられた波長変換シート60と、を含む。選択透過部は、入射角に応じて透過率が変化する透過特性を有する。波長変換シートは凹凸面を含む。波長変換シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含む。二次光は一次光の波長と異なる波長を有する。波長変換シートの一次光と異なる波長の光についての透過内部ヘイズは45%以下である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択透過部を含む選択透過シートと、
前記選択透過シートと重ねられた波長変換シートと、を備え、
前記選択透過部は、入射角に応じて透過率が変化する透過特性を有し、
前記波長変換シートは凹凸面を含み、
前記波長変換シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含み、
前記二次光は前記一次光の波長と異なる波長を有し、
前記一次光と異なる波長の光についての前記波長変換シートの透過内部ヘイズは、45%以下である、光学部材。
【請求項2】
前記一次光と異なる波長の光についての前記波長変換シートの前記透過内部ヘイズは18%以下である、請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
選択透過部を含む選択透過シートと、
前記選択透過シートと重ねられた波長変換シートと、を備え、
前記選択透過部は、入射角に応じて透過率が変化する透過特性を有し、
前記波長変換シートは凹凸面を含み、
前記波長変換シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含み、
前記二次光は前記一次光の波長と異なる波長を有し、
前記波長変換シートの透過内部ヘイズは、50%以下である、光学部材。
【請求項4】
前記波長変換シートの前記透過内部ヘイズは20%以下である、請求項3に記載の光学部材。
【請求項5】
前記波長変換シートの前記一次光と異なる波長の光についての透過内部ヘイズと、前記波長変換シートの透過内部ヘイズとの差は、5%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項6】
前記波長変換シートは、前記選択透過シートに対面する第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を含み、
前記第1面は前記凹凸面を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項7】
0°より大きい或る入射角で前記選択透過部に入射する特定波長の光についての前記選択透過部の透過率は、0°の入射角で前記選択透過部に入射する前記特定波長の光についての前記選択透過部の透過率より大きい、請求項6に記載の光学部材。
【請求項8】
前記波長変換シートは、前記選択透過シートに対面する第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を含み、
前記第2面は前記凹凸面を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項9】
0°の入射角で前記選択透過部に入射する特定波長の光についての前記選択透過部の透過率は、0°より大きい或る入射角で前記選択透過部に入射する特定波長の光についての前記選択透過部の透過率より大きい、請求項8に記載の光学部材。
【請求項10】
前記波長変換シートは、前記凹凸面を含む光学要素部を含み、
前記光学要素部は、複数の単位光学要素を含み、
各単位光学要素は、前記凹凸面を構成する要素面を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項11】
前記波長変換シートは、前記波長変換剤を含む波長変換部と、前記波長変換部と重ねられた第1バリア層および第2バリア層と、前記第1バリア層と重ねられ前記凹凸面を含む光学要素部と、を含み、
前記波長変換部は前記第1バリア層および前記第2バリア層の間に位置し、
前記第1バリア層及び前記第2バリア層の一方が、前記波長変換部および前記光学要素部の間に位置する、請求項1~10のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項12】
前記波長変換シートと重ねられた反射型偏光板を更に備え、
前記波長変換シートは、前記選択透過シートおよび前記反射型偏光板の間に位置する、請求項1~11のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項13】
前記波長変換シートと重ねられた光学シートを更に備え、
前記波長変換シートは、前記選択透過シートおよび前記光学シートの間に位置する、請求項1~12のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載された光学部材と、
前記光学部材に対面する光源と、を備える、面光源装置。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載された光学部材と、
前記光学部材に対面する反射層と、前記光学部材に入射する光を射出する光源と、を有する光源基板と、を備える、面光源装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の面光源装置と、
前記面光源装置と重ねられた表示パネルと、を備える、表示装置。
【請求項17】
第1面と、
前記第1面と対向する第2面と、
前記第1面および前記第2面の間に位置する波長変換剤と、を備え、
前記第1面および前記第2面の少なくとも一方を構成する光学要素部が設けられ、
前記光学要素部は複数の単位光学要素を含み、
前記第1面および前記第2面の前記少なくとも一方は、複数の単位光学要素によって構成された凹凸面を含み、
前記波長変換剤は、特定波長の一次光を吸収して二次光を放出し、
前記二次光は前記特定波長と異なる波長を有し、
前記一次光と異なる波長の光についての透過内部ヘイズは45%以下である、波長変換シート。
【請求項18】
前記第1面が光源に対面し、
前記第1面は凹凸面を含む、請求項17に記載の波長変換シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材、面光源装置、表示装置および波長変換シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、単色の光源を有する面光源装置が知られている。特許文献1の面光源装置は、波長変換剤を含有した蛍光層を含む。光源からの光が波長変換剤に衝突すると、波長変換剤は、光源からの光を吸収し異なる波長の光を放出する。十分な量の波長変換剤を蛍光層に含有させることによって、発光色を調節できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、波長変換剤の量を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態は、以下の[1]~[18]及び[A]~[F]に関する。
【0006】
[1] 選択透過部を含む選択透過シートと、
前記選択透過シートと重ねられた波長変換シートと、を備え、
前記選択透過部は、入射角に応じて透過率が変化する透過特性を有し、
前記波長変換シートは凹凸面を含み、
前記波長変換シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含み、
前記二次光は前記一次光の波長と異なる波長を有し、
前記一次光と異なる波長の光についての前記波長変換シートの透過内部ヘイズは、45%以下である、光学部材。
【0007】
[2] 前記一次光と異なる波長の光についての前記波長変換シートの前記透過内部ヘイズは18%以下である、[1]の光学部材。
【0008】
[3] 選択透過部を含む選択透過シートと、
前記選択透過シートと重ねられた波長変換シートと、を備え、
前記選択透過部は、入射角に応じて透過率が変化する透過特性を有し、
前記波長変換シートは凹凸面を含み、
前記波長変換シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含み、
前記二次光は前記一次光の波長と異なる波長を有し、
前記波長変換シートの透過内部ヘイズは、50%以下である、光学部材。
【0009】
[4] 前記波長変換シートの前記透過内部ヘイズは20%以下である、[3]の光学部材。
【0010】
[5] 前記波長変換シートの前記一次光と異なる波長の光についての透過内部ヘイズと、前記波長変換シートの透過内部ヘイズとの差は、5%以下である、[1]~[4]のいずれかの光学部材。
【0011】
[6] 前記波長変換シートは、前記選択透過シートに対面する第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を含み、
前記第1面は前記凹凸面を含む、[1]~[5]のいずれかの光学部材。
【0012】
[7] 0°より大きい或る入射角で前記選択透過部に入射する特定波長の光についての前記選択透過部の透過率は、0°の入射角で前記選択透過部に入射する前記特定波長の光についての前記選択透過部の透過率より大きい、[6]の光学部材。
【0013】
[8] 前記波長変換シートは、前記選択透過シートに対面する第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を含み、
前記第2面は前記凹凸面を含む、[1]~[5]のいずれかの光学部材。
【0014】
[9] 0°の入射角で前記選択透過部に入射する特定波長の光についての前記選択透過部の透過率は、0°より大きい或る入射角で前記選択透過部に入射する特定波長の光についての前記選択透過部の透過率より大きい、[8]の光学部材。
【0015】
[10] 前記波長変換シートは、前記凹凸面を含む光学要素部を含み、
前記光学要素部は、複数の単位光学要素を含み、
各単位光学要素は、前記凹凸面を構成する要素面を含む、[1]~[9]のいずれかの光学部材。
【0016】
[11] 前記波長変換シートは、前記波長変換剤を含む波長変換部と、前記波長変換部と重ねられた第1バリア層および第2バリア層と、前記第1バリア層と重ねられ前記凹凸面を含む光学要素部と、を含み、
前記波長変換部は前記第1バリア層および前記第2バリア層の間に位置し、
前記第1バリア層及び前記第2バリア層の一方が、前記波長変換部および前記光学要素部の間に位置する、[1]~[10]のいずれかの光学部材。
【0017】
[12] 前記波長変換シートと重ねられた反射型偏光板を更に備え、
前記波長変換シートは、前記選択透過シートおよび前記反射型偏光板の間に位置する、[1]~[11]のいずれかの光学部材。
【0018】
[13] 前記波長変換シートと重ねられた光学シートを更に備え、
前記波長変換シートは、前記選択透過シートおよび前記光学シートの間に位置する、[1]~[12]のいずれかの光学部材。
【0019】
[A] 前記凹凸面を構成する要素面の傾斜角度θp(°)および前記波長変換シートの前記要素面を構成する部分の屈折率npは、次の式を満たし、
sin-1(1/np)≦90-θp
前記傾斜角度θp(°)は、前記選択透過シートおよび前記波長変換シートの積層方向に直交する面と、前記要素面との間の角度である、[1]~[13]のいずれかの光学部材。
【0020】
[B] 前記凹凸面を構成する要素面の傾斜角度θp(°)、前記波長変換シートの前記要素面を構成する部分の屈折率npおよび前記波長変換シートへの入射方向に関する角度θx(°)は、次の式を満たし、
sin-1(1/np)≦sin-1(sin(θx-θp)/np)+θp
前記傾斜角度θp(°)は、前記選択透過シートおよび前記波長変換シートの積層方向に直交する面と、前記要素面との間の角度であり、
前記角度θx(°)は、前記選択透過部での前記特定波長の光の透過率が最大値の1/2となる入射角で前記選択透過部に入射した光の前記選択透過シートからのピーク出射方向と、前記積層方向との間の角度である、[1]~[13]及び[A]のいずれかの光学部材。
【0021】
[C] 前記凹凸面を構成する要素面の傾斜角度θp(°)、前記波長変換シートの前記要素面を構成する部分の屈折率npおよび前記波長変換シートへの入射方向に関する角度θx(°)は、次の式を満たし、
sin-1(sin(θx-θp)/np)+θp≦90-θp
前記傾斜角度θp(°)は、前記選択透過シートおよび前記波長変換シートの積層方向に直交する面と、前記要素面との間の角度であり、
前記角度θx(°)は、前記選択透過部での前記特定波長の光の透過率が最大値の1/10となる入射角で前記選択透過部に入射した光の前記選択透過シートからのピーク出射方向と、前記積層方向との間の角度である、[1]~[13]、[A]及び[B]のいずれかの光学部材。
【0022】
[14] [1]~[13]及び[A]~[C]のいずれかの光学部材と、
前記光学部材に対面する光源と、を備える、面光源装置。
【0023】
[15] [1]~[13]及び[A]~[C]のいずれかの光学部材と、
前記光学部材に対面する反射層と、前記光学部材に入射する光を射出する光源と、を有する光源基板と、を備える、面光源装置。
【0024】
[D] 前記凹凸面を構成する要素面の傾斜角度θp(°)、前記光学シートの前記要素面を構成する部分の屈折率npおよび前記光学シートへの入射方向に関する角度θx(°)は、次の式を満たし、
sin-1(1/np)≦sin-1(sin(θx-θp)/np)+θp
前記傾斜角度θp(°)は、前記選択透過シート、前記波長変換シート及び前記光学シートの積層方向に直交する面と、前記要素面との間の角度であり、
前記角度θx(°)は、前記選択透過シートよりも前記波長変換シート側の構成要素を取り除いた状態で得た前記選択透過シートの前記波長変換シートに対面する面上での輝度角度分布におけるピーク輝度の1/2の輝度が得られる方向と、前記積層方向と、の間の角度である、[14]又は[15]の面光源装置。
【0025】
[E] 前記凹凸面を構成する要素面の傾斜角度θp(°)、前記光学シートの前記要素面を構成する部分の屈折率npおよび前記波長変換シートへの入射方向に関する角度θx(°)は、次の式を満たし、
sin-1(sin(θx-θp)/np)+θp≦90-θp
前記傾斜角度θp(°)は、前記選択透過シート、前記波長変換シート及び前記光学シートの積層方向に直交する面と、前記要素面との間の角度であり、
前記角度θx(°)は、前記選択透過シートよりも前記波長変換シート側の構成要素を取り除いた状態で得た前記選択透過シートの前記波長変換シートに対面する面上での輝度角度分布におけるピーク輝度の1/10の輝度が得られる方向と、前記積層方向と、の間の角度である、[14]、[15]又は[D]の面光源装置。
【0026】
[16] [14]、[15]、[D]又は[E]の面光源装置と、
前記面光源装置と重ねられた表示パネルと、を備える、表示装置。
【0027】
[17] 第1面と、
前記第1面と対向する第2面と、
前記第1面および前記第2面の間に位置する波長変換剤と、を備え、
前記第1面および前記第2面の少なくとも一方を構成する光学要素部が設けられ、
前記光学要素部は複数の単位光学要素を含み、
前記第1面および前記第2面の前記少なくとも一方は、複数の単位光学要素によって構成された凹凸面を含み、
前記波長変換剤は、特定波長の一次光を吸収して二次光を放出し、
前記二次光は前記特定波長と異なる波長を有し、
前記一次光と異なる波長の光についての透過内部ヘイズは45%以下である、波長変換シート。
【0028】
[F] 第1面と、
前記第1面と対向する第2面と、
前記第1面および前記第2面の間に位置する波長変換剤と、を備え、
前記第1面および前記第2面の少なくとも一方を構成する光学要素部が設けられ、
前記光学要素部は複数の単位光学要素を含み、
前記第1面および前記第2面の前記少なくとも一方は、複数の単位光学要素によって構成された凹凸面を含み、
前記波長変換剤は、特定波長の一次光を吸収して二次光を放出し、
前記二次光は前記特定波長と異なる波長を有し、
透過内部ヘイズは50%以下である、波長変換シート。
【0029】
[18] 前記第1面が光源に対面し、
前記第1面は凹凸面を含む、[17]又は[F]の波長変換シート。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、波長変換剤の量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、一実施の形態を説明するための図であって、表示装置および面光源装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された面光源装置の縦断面図であって、面光源装置に含まれ得る光学部材および光源基板を示している。
【
図3】
図3は、
図2に示された光源基板を示す平面図であって、複数の光源の配置の一例を示している。
【
図4】
図4は、
図2に示された光源基板を示す断面図であって、光源基板の構成の一例を示している。
【
図5】
図5は、
図2に示された光学部材に含まれる得る選択透過シートの一具体例を示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示された選択透過シートに含まれ得る選択透過部の光学特性の第1具体例および第2具体例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、
図2に示された光学部材に含まれ得る波長変換シートの一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図2に示された光学部材に含まれ得る波長変換シートの他の例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図7および
図8に示された波長変換シートに含まれ得る波長変換部の一例を示す縦断面図である。
【
図10A】
図10Aは、
図7および
図8に示された波長変換シートに含まれ得る光学要素部の一例を示す平面図であって、光学要素部に含まれ得る単位光学要素の配置を示している。
【
図11】
図11は、
図2に示された光学部材に含まれ得る光学シートの一例を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、
図2に示された光学部材に含まれ得る波長変換シートの作用を説明する断面図である。
【
図13】
図13は、
図2に示された光学部材に含まれ得る選択透過シートの第2面での輝度角度分布の一例を示すグラフである。
【
図14】
図14は、
図6に対応するグラフであって、選択透過部の光学特性の他の具体例を示すグラフである。
【
図15】
図15は、
図12に対応する断面図であって、光学部材に含まれ得る波長変換シートの一変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。一部の図において示された構成等は、他の図において省略され得る。
【0033】
本明細書において、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0034】
本明細書において、「シート」、「フィルム」および「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されない。例えば、「波長変換シート」は、波長変換フィルム又は波長変換板と呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。「選択透過シート」は、選択透過フィルム又は選択透過板と呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0035】
本明細書において、シート状(シート状、板状)の部材の法線方向とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材のシート面への法線方向のことを指す。「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材を全体的且つ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(フィルム状部材、板状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
【0036】
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面は、共通する符号を付した矢印により第1方向D1、第2方向D2および第3方向D3を共通する方向として示す。矢印の先端側が各方向の第1側である。矢印の先端とは逆側が各方向の第2側である。例えば
図2に示すように、円の中に×を設けた記号は、図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を示す。例えば
図3に示すように、円の中に点を設けた記号は、図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を示す。
【0037】
図1~
図15は、一実施の形態を説明するための図である。
図1は、光学部材30の一適用例としての面光源装置20および表示装置10を概略的に示す斜視図である。表示装置10は、例えば動画、静止画、文字情報、或いはこれらの組み合わせで構成された映像を表示してもよい。表示装置10は、室内又は屋外において、広告、プレゼンテーション、テレビジョン映像、各種情報の表示等、様々の用途に使用されてもよい。表示装置10は、例えば車載用の液晶表示装置として使用されてもよい。
図1に示された表示装置10は、発光面20aを有する面光源装置20と、発光面20aに対面する表示パネル15と、を含んでいる。
【0038】
図2は、面光源装置20の一具体例を示す縦断面図である。
図2に示すように、面光源装置20は、主要な構成要素として、光源23と、光源23から放出された光の光路を調整する光学部材30と、を含んでいる。光学部材30は、光源23に正対している。光学部材30は、シート状の部材である。光学部材30は、その法線方向に光源23と対面している。光学部材30は、光源23から放出された光を拡散する拡散部材である。光学部材30は、光源23の配置に起因した照度の面内バラツキを効果的に抑制できる。光学部材30での拡散によって、光学部材30の出光側面30b上の各位置での照度、或いは、出光側面30bの近傍に位置する出光側面30bと平行な仮想の受光面上の各位置での照度が効果的に均一化され得る。
【0039】
以下、一実施の形態における表示装置10、面光源装置20および光学部材30について、図示された具体例を参照しながら、説明する。
【0040】
図1に示すように、表示パネル15は、第3方向D3に面光源装置20と重ねられる。表示パネル15は、面光源装置20の発光面20aに対面して配置されている。表示パネル15は、第3方向D3における面光源装置20とは反対側、すなわち第1側を向く面として、映像が表示される表示面15aを含んでいる。図示された例において、表示パネル15は、平板状である。表示パネル15は、第3方向D3に直交する第1方向D1および第2方向D2に広がっている。表示パネル15は、第3方向D3から観察して、矩形形状である。第1方向D1及び第2方向D2は直交している。
【0041】
表示パネル15は、例えば透過型の液晶表示パネルとして構成される。面光源装置20から入射した光の一部が、液晶表示パネルとしての表示パネル15を透過することによって、表示面15aに映像が表示される。表示パネル15は、液晶材料を有する液晶層を含んでいる。表示パネル15の光透過率は、液晶層に印加される電界の強度に応じて変化する。
【0042】
面光源装置20は、面状に光を放出する発光面20aを含んでいる。面光源装置20は、直下型のバックライトとして構成されている。面光源装置20は、光源23および光学部材30を含んでいる。第3方向D3への投影において、光学部材30と重なる領域内に光源23が設けられている。
【0043】
図2に示された面光源装置20は、光源23を含む光源基板22を含んでいる。光源基板22および光学部材30は、この順で第3方向D3に重ねられている。第3方向D3において、光学部材30は、光源基板22及び表示パネル15の間に位置する。光源基板22および光学部材30は、シート状である。光源基板22および光学部材30は、第1方向D1および第2方向D2に広がっている。
【0044】
光源基板22は、光源23および支持基板25を含んでいる。図示された例において、光源基板22は、第3方向D3からの観察において矩形形状を有している。
【0045】
光源23は、光を射出する発光素子を有する。発光素子として、LEDと表記される発光ダイオードを用いてもよい。発光ダイオードの寸法は特に限定されない。光源23の像を目立たなくさせる観点から、小型の発光ダイオード、例えばミニLEDやマイクロLEDを用いてもよい。具体的には、
図3に示された第3方向D3からの観察において四角形形状を有する光源23の一辺の長さWL1,WL2を、0.5mm以下としてもよく、0.2mm以下としてもよい。
【0046】
光源23の発光波長は、面光源装置20の用途に応じて適宜選択され得る。光源23から放出された光は、一次光LAとして後述の波長変換剤67に吸収されてもよい。光源23の発光波長は、波長変換剤67の光学特性に応じて適宜選択されてもよい。図示された例において、光源23は、青色光を放出する。光源23は、430nm以上500nm以下としてもよい。
【0047】
光源23の配光特性は、特に限定されない。光源23の配光特性は、ランバーシアン配光でもよい。その一方で、光源23の発光光度分布において、第3方向D3以外の方向にピーク光度が得られるようにしてもよい。例えばJP6299811Bに開示されたバッドウイング配光を、光源23が有してもよい。光源23は、一例として、発光素子のみによって構成されてもよい。他の例として、光源23は、発光素子に加え、発光素子からの配光を調節するカバーやレンズ等の光学要素を含んでもよい。
【0048】
図示された面光源装置20のように、光源基板22は複数の光源23を含んでもよい。光源23の数量は、面光源装置20の用途や発光面20aの面積等に応じて適宜選択される。光源23の配置に起因した明るさのむらを抑制する観点から、面光源装置20に含まれる複数の光源23は、第3方向D3に垂直な面上において、規則的に配置されてもよい。光源23の規則的な配置の一例として、ハニカム配列や正方配列を採用してもよい。ハニカム配列において、互いに60°傾斜する三つの方向のそれぞれに一定のピッチで光源23が配置され得る。正方配列において、互いに直交する二つの方向のそれぞれに一定のピッチで光源23が配置され得る。
【0049】
図3に示された例において、複数の光源23は、互いに直交する第1方向D1および第2方向D2のそれぞれに一定のピッチで配置されている。図示された例において、第1方向D1への光源23の配置ピッチPL1および第2方向D2への光源23の配置ピッチPL2は同一となっている。配置ピッチPL1および配置ピッチPL2は異なっていてもよい。図示された例において、第1方向D1および第2方向D2は、それぞれ、矩形状をなす面光源装置20および光学部材30の側縁とそれぞれ平行になっている。配置ピッチPL1および配置ピッチPL2は、それぞれ、0.2mm以上10mm以下でもよい。
【0050】
次に、複数の光源23とともに光源基板22を構成する支持基板25について説明する。支持基板25は、第3方向D3における第2側から複数の光源23を支持している。支持基板25はシート状である。支持基板25は、光源23に電力を供給する回路を含んでもよい。支持基板25は、光を反射して光学部材30へ向ける光反射性を有してもよい。
【0051】
図4に示された支持基板25は、シート状の基板本体26と、基板本体26上に設けられた反射層27および配線29と、を含んでいる。基板本体26は、第1方向D1および第2方向D2に広がっている。基板本体26は絶縁性を有してもよい。基板本体26は、樹脂フィルム、たとえはポリエチレンテレフタレート製フィルムでもよい。配線29は、光源23と電気的に接続している。配線29は、はんだ等を介して、光源23の図示しない端子と電気的に接続している。基板本体26および反射層27が絶縁性を有している場合、
図4に示すように、配線29は、基板本体26および反射層27の間に位置してもよい。
【0052】
反射層27は、光学部材30の側から基板本体26に積層されている。反射層27は、基板本体26上における光源23が配置されていない領域を覆っている。反射層27は、光源23で発光される特定波長の光に対して又は面光源装置20での発光に用いられる光に対して、反射性を有する。反射層27での反射は、鏡面反射とも呼ばれる正反射でもよく、拡散反射でもよく、さらに異方性拡散反射でもよい。酸化チタンや二酸化ケイ素等の白色粒子を含有した白色反射層によって反射層27を構成することによって、反射層27に拡散反射性を付与してもよい。反射層27は、基板本体26上に積層された金属層でもよいし、反射型の回折光学素子でもよい。
【0053】
光学部材30は、選択透過シート40および波長変換シート60をこの順番で含んでいる。選択透過シート40および波長変換シート60は第3方向D3に重ねられている。つまり、第3方向D3は、選択透過シート40および波長変換シート60の積層方向である。選択透過シート40は、波長変換シート60よりも、第3方向D3における第2側に位置する。波長変換シート60は、選択透過シート40よりも、第3方向D3における第1側に位置する。図示された例において、選択透過シート40および波長変換シート60は、共に、第1方向D1および第2方向D2に広がるシート状の部材である。図示された例において選択透過シート40が光学部材30の入光側面30aを形成している。選択透過シート40および波長変換シート60は、互いに接合していてもよいし、単に接触しているだけであって接合していなくてもよく、互いから離れていてもよい。
【0054】
選択透過シート40は、選択透過部45を含んでいる。選択透過部45の反射率および透過率は、入射角に依存して変化する。選択透過部45は、入射角に応じて透過率が変化するように透過特性を調節されている。選択透過部45は、入射角に応じて反射率が変化するように反射特性を調節されている。
【0055】
図5に示された例において、選択透過シート40は、選択透過部45のみよって構成されている。図示された選択透過部45は、シート状である。
【0056】
図示された選択透過シート40は、第1面40aおよび第2面40bを含んでいる。第1面40aは、第3方向D3における光源側となる第2側を向く、第2面40bは、第3方向D3における観察者側となる第1側を向く。選択透過部45は、第1面45aおよび第2面45bを含んでいる。第1面45aは、第3方向D3における第2側を向く。第2面45bは、第3方向D3における第1側を向く。選択透過部45の第1面45aは、選択透過シート40の第1面40aを構成している。選択透過部45の第2面45bは、選択透過シート40の第2面40bを構成している。第1面40aおよび第2面40bは平行な平坦面となっている。第1面40aおよび第2面40bは、第3方向D3に直交している。
【0057】
選択透過部45の透過特性および反射特性は、入射角依存性を有している。選択透過部45の透過率及び選択透過部45の反射率は、入射角に応じて変化する。選択透過部45の透過特性および反射特性は、波長依存性を有してもよい。選択透過部45の透過率及び選択透過部45の反射率は、波長に応じて変化してもよい。入射角は、光が入射するシート状等の部材の法線方向に対して入射光の進行方向がなす角度(°)を意味する。出射角は、光が出射するシート状等の部材の法線方向に対して出射光の進行方向がなす角度(°)を意味する。
【0058】
選択透過部45は、種々の透過特性および反射特性を有してもよい。以下、選択透過部45の透過特性および反射特性の一例を説明する。
【0059】
0°の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、0°より大きい或る入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率よりも、小さくてもよい。すなわち、垂直入射する特定波長光についての選択透過部45の透過率は、少なくとも或る一つの斜め方向から選択透過部45に入射する特定波長光についての選択透過部45の透過率よりも、小さくてもよい。0°の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の反射率は、0°より大きい或る入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の反射率よりも、大きくてもよい。すなわち、垂直入射する特定波長光の選択透過部45の反射率は、少なくとも或る一つの斜め方向から選択透過部45に入射する特定波長光についての選択透過部45の反射率よりも、大きくてもよい。選択透過部45は、角度依存選択透過部とも表記できる。
【0060】
0°の入射角で入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、5%未満でもよく、3%未満でもよく、1%未満でもよい。0°の入射角で入射する特定波長の光についての選択透過部45の反射率は、95%以上でもよく、97%以上でもよく、99%以上でもよい。
【0061】
絶対値で0°以上35°以下の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、選択透過部45の透過率の最大値の半分以下でもよく、選択透過部45の透過率の最大値の1/5以下でもよく、選択透過部45の透過率の最大値の1/10以下でもよい。絶対値で0°以上45°以下の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、選択透過部45の透過率の最大値の半分以下でもよく、選択透過部45の透過率の最大値の1/5以下でもよく、選択透過部45の透過率の最大値の1/10以下でもよい。絶対値で0°以上55°以下の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、選択透過部45の透過率の最大値の半分以下でもよく、選択透過部45の透過率の最大値の1/5以下でもよく、選択透過部45の透過率の最大値の1/10以下でもよい。
【0062】
絶対値で0°以上35°以下の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、10%未満でもよく、5%未満でもよく、1%未満でもよい。絶対値で0°以上40°以下の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、10%未満でもよく、5%未満でもよく、1%未満でもよい。絶対値で0°以上45°以下の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、15%未満でもよく、10%未満でもよく、5%未満でもよい。絶対値で0°以上50°以下の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、15%未満でもよく、10%未満でもよく、5%未満でもよい。
【0063】
選択透過部45の透過率の最大値が得られる入射角は、絶対値で、50°以上でもよく、55°以上でもよく、60°以上でもよい。選択透過部45の透過率の最大値が得られる入射角は、絶対値で、80°以下でもよく、75°以下でもよく、70°以下でもよい。
【0064】
ここで説明する選択透過部45の光学特性は、選択透過部45の第1面45aおよび第2面45bが平行であり、第1面45aおよび第2面45bが空気層に隣接していることを想定している。
【0065】
図6は、選択透過部45が有する透過特性の第1具体例および第2具体例を示している。
図6のグラフにおける横軸の入射角(°)は、選択透過部45が空気層と界面を形成する場合の入射角を示している。
図6に示された第1具体例および第2具体例において、入射角が絶対値で65°以上70°以下となる範囲で、選択透過部45の透過率は最大値をとる。入射角が0°から最大値を取る入射角まで増加するにつれて、選択透過部45の透過率は増加する。選択透過部45は透過率の最大値は、40%以上50%以下である。
【0066】
特定波長の光とは、面光源装置20や光学部材30の用途に応じて適宜設定できる。光源23から射出する光を、特定波長の光としてもよい。特定波長の光を可視光としてもよい。「可視光」とは、380nm以上波長780nm以下の波長を有する光を意味する。
【0067】
選択透過部45の反射率は、村上色彩技術研究所社製の変角光度計(ゴニオフォトメーター)GP-200を用いて測定された値とする。選択透過部45の透過率は、JIS K7361-1:1997に準拠して測定された全光線透過率である。選択透過部45の透過率は、村上色彩技術研究所社製の変角光度計(ゴニオフォトメーター)GP-200を用いて測定された値とする。
【0068】
選択透過部45としては、反射率の入射角依存性および透過率の入射角依存性を有するものであれば、特に限定されない。選択透過部45は、誘電体多層膜、反射型の体積ホログラム、コレステリック液晶構造層、再帰反射フィルム、反射型の回折光学素子を含んでもよい。誘電体多層膜は、反射特性および透過特性の設計自由度が比較的高い点において優れる。
図6に示された透過特性は、誘電体多層膜の透過特性の一例である。誘電体多層膜、反射型の体積ホログラム、コレステリック液晶構造層および反射型の回折光学素子は、波長依存性を有している。構造的に反射率の入射角依存性および透過率の入射角依存性を付与された反射構造体を、選択透過部45が含んでもよい。反射構造体は、波長依存性が低い点において優れる。
【0069】
選択透過部45を構成する誘電体多層膜は、交互に積層された屈折率の異なる低屈折率層および高屈折率層を含んでもよい。低屈折率層および高屈折率層は、無機化合物の層でもよいし、樹脂層でもよい。誘電体多層膜を構成する多層膜は、片面に又は両面に、保護層を有してもよい。保護層の材料は、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートでもよい。保護層の厚みは5μm以上でもよい。誘電体多層膜の製造方法として、共押出法等が採用されてもよい。具体的には、JP2008-200861Aに記載の積層フィルムの製造方法を採用してもよい。誘電体多層膜として、市販の積層フィルムを用いてもよい。市販の誘電体多層幕として、東レ株式会社製のピカサス(登録商標)や、3M社製のESR等が例示される。
【0070】
図7および
図8に示すように、波長変換シート60は、第1面60aおよび第2面60bを含んでいる。第1面60aは、第3方向D3における光源側となる第2側を向く。第2面60bは、第3方向D3における観察者側となる第1側を向く。波長変換シート60は、第1面60a及び第2面60bの少なくとも一方の面に凹凸面61を含む。以下、第1面60aが凹凸面61を含む図示された例を参照して、波長変換シート60について説明する。図示された第1面60aは、全面において、凹凸面61である。第2面60bは、平坦面を含んでいる。図示された第2面60bは、全面において、平坦面である。第2面60bは、第3方向D3に垂直な面でもよい。
【0071】
波長変換シート60は波長変換剤67を含んでいる。波長変換剤67は、一次光を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を放出する。
【0072】
図7および
図8に示された例において、波長変換シート60は、光学要素部70、第1バリア層63、波長変換部65および第2バリア層64を、この順で含んでいる。光学要素部70、第1バリア層63、波長変換部65および第2バリア層64は、第3方向D3にこの順で重ねられている。光学要素部70、第1バリア層63、波長変換部65および第2バリア層64は、第3方向D3おける第2側から第1側へ向けて、この順で配置されている。光学要素部70、第1バリア層63、波長変換部65および第2バリア層64は、シート状である。光学要素部70、第1バリア層63、波長変換部65および第2バリア層64は、第1方向D1および第2方向D2に広がっている。
【0073】
図7および
図8に示された例において、波長変換部65は、第1面65a及び第2面65bを含んでいる。第1面65aは、第3方向D3における第2側を向く。第2面65bは、第3方向D3における第1側を向く。波長変換部65は、波長変換剤67を保持する母材部66を含んでもよい。母材部66として、樹脂を用いてもよい。母材部66を構成する樹脂として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が例示される。
【0074】
波長変換剤67は、或る波長の一次光LAを吸収し、一次光LAの波長とは異なる波長を有した二次光LBを放出する。波長変換剤67として、量子ドットや蛍光体を用いてもよい。一次光LAの波長は、光源23から放出される光の波長でもよい。すなわち、光源23から放出される光は、或る波長の一次光LAを含んでもよい。
【0075】
量子ドット(Quantum dot)は、半導体のナノメートルサイズの微粒子である。量子ドットは、1種の半導体化合物から構成されてもよい。量子ドットは、2種以上の半導体化合物から構成されてもよい。量子ドットは、例えば、半導体化合物からなるコアと、該コアと異なる半導体化合物からなるシェルとを有するコアシェル型構造を有してもよい。
【0076】
量子ドットのコアの材料として、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSeおよびHgTeのようなII-VI族半導体化合物が例示される。量子ドットのコアの材料として、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAsおよびTiSbのようなIII-V族半導体化合物も例示される。量子ドットのコアの材料として、Si、GeおよびPbのようなIV族半導体等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶も例示される。
【0077】
コアシェル型の量子ドットを用いる場合、シェルを構成する半導体として、コアを形成する半導体化合物よりもバンドギャップの高い材料を用いてもよい。この場合、励起子がコアに閉じ込められ、量子ドットの発光効率を向上できる。このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)として、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が例示される。
【0078】
量子ドットの大きさは、所望する二次光LBの波長を考慮して調節される。量子ドットは粒子径が小さくなるにつれて、エネルギーバンドギャップが大きくなる。結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。量子ドットの大きさを変化させることにより、二次光LBの波長を調節できる。量子ドットの平均粒子径は、20nm以下でもよく、0.5nm以上20nm以下でもよく、1nm以上10nm以下でもよい。量子ドットの形状、分散状態等は、透過型電子顕微鏡(TEM)により特定される。量子ドットの結晶構造、粒子径は、X線結晶回折(XRD)により特定される。
【0079】
波長変換部65は、波長変換剤67として、放出波長の異なる複数の量子ドットを含んでもよい。各量子ドットの含有量を調節することによって、面光源装置20から出射する光の色を調節することができる。
図9に示された例において、波長変換剤67は、第1変換剤67Aおよび第2変換剤67Bを含んでいる。第1変換剤67Aおよび第2変換剤67Bは、互いに異なる大きさを有している。第1変換剤67Aおよび第2変換剤67Bは、互いに異なる波長の光を放出する。
【0080】
一具体例として、光源23は、430nm以上500nm以下の波長を有した青色光を放出してもよい。第1変換剤67Aは、光源23からの一次光LAを吸収して、500nm以上600nm以下の波長を有した緑色光を、第1二次光LB1として、放出してもよい。第2変換剤67Bは、光源23からの一次光LAを吸収して、600nm以上750nm以下の波長を有した赤色光を、第2二次光LB2として、放出してもよい。この例によれば、第1二次光LB1、第2二次光LB2、および波長変換部65で波長変換されなかった一次光LAの加法混色により、面光源装置20は種々の色の光を放出できる。第1変換剤67Aおよび第2変換剤67Bの含有量を調節することによって、面光源装置20が白色光を放出できる。
【0081】
波長変換部65は、透過光を拡散させる光拡散成分を含んでもよい。光拡散成分は、母材部66内に分散していてもよい。光拡散成分として、金属化合物、気体を含有した多孔質物質、金属化合物を周囲に保持した樹脂ビーズ、白色微粒子、単なる気泡が例示される。
【0082】
図示された例において、波長変換剤67は、一次光LAを吸収して第1二次光LB1を放出する第1変換剤67Aと、一次光LAを吸収して第2二次光LB2を放出する第2変換剤67Bと、を含んでいる。この例において、第2二次光LB2の波長は第1二次光LB1の波長よりも長い。
【0083】
第1バリア層63は、波長変換部65の第1面65aに接合している。第2バリア層64は、波長変換部65の第2面65bに接合している。第1バリア層63および第2バリア層64は、酸素や水分から波長変換剤67を保護する機能を有する。
【0084】
第1バリア層63および第2バリア層64は、酸素バリア性を有してもよい。この例において、第1バリア層63および第2バリア層64の酸素透過率は、23℃、相対湿度90%の条件下において、1.0×10-1cc/m2/day/atm以下でもよく、1.0×10-2cc/m2/day/atm以下でもよい。酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/21)を用いて測定され得る。
【0085】
第1バリア層63および第2バリア層64は、水蒸気バリア性を有してもよい。この例において、第1バリア層63および第2バリア層64の水蒸気透過率は、40℃、相対湿度90%の条件下において、1.0×10-1g/m2/day以下でもよく、1.0×10-2g/m2/day以下でもよい。水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(DELTAPERM(Technolox社製))を用いて測定され得る。
【0086】
第1バリア層63および第2バリア層64は、バリア性を発現し得る材料を用いて、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長(PVD)法や、化学気相成長(CVD)法等の蒸着法、又は、ロールコートやスピンコート等のコーティング法によって作製され得る。材料として、無機酸化物、金属、ゾルゲル材料等を用いてもよい。無機酸化物として、酸化ケイ素(SiOx)、酸化アルミニウム(AlnOm)、酸化チタン(TiO2)、酸化イットリウム、酸化ホウ素(B2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化窒化炭化ケイ素(SiOxNyCz)等が例示される。金属としては、Ti、Al、Mg、Zr等が例示される。ゾルゲル材料として、シロキサン系ゾルゲル材料が例示される。
【0087】
光学要素部70は、第3方向D3における観察者側となる第1側を向く第2面70bを含んでいる。光学要素部70は、第2面70bにおいて、第1バリア層63に接合している。光学要素部70は、第3方向D3における光源側となる第1側を向く第1面70aを含んでいる。図示された例において、光学要素部70は、第3方向D3における選択透過シート40と波長変換部65との間に位置している。この例において、光学要素部70の第1面70aは、波長変換シート60の第1面60aを構成している。第1面70aは凹凸面61を含んでいる。
【0088】
図7および
図8に示された例において、光学要素部70は、各々が凸部73または凹部74として形成された複数の単位光学要素75を含んでいる。単位光学要素75は、屈折や反射等によって光の進行方向を変化させる要素である。単位光学要素75は、単位形状要素、単位プリズム、単位レンズと呼ばれる要素を含む概念である。単位光学要素75は、選択透過シート40に直接対面している。単位光学要素75によって、凹凸面(プリズム面)61が形成されている。
【0089】
図7に示された光学要素部70は、シート状の本体部72と、本体部72上に設けられた複数の凸部73と、を含んでいる。
図7に示された例において、複数の凸部73は、隙間無く隣接して設けられてもよい。
図8に示された光学要素部70は、第3方向D3における選択透過シート40に対面する面に複数の凹部74を設けられた本体部72を含んでいる。
図8に示された例において、複数の凹部74は、隙間無く隣接して設けられてもよい。
【0090】
図7および
図8に示すように、単位光学要素75は、第3方向D3に対して傾斜した要素面76を有している。この要素面76によって単位光学要素75が画成されている。波長変換シート60の凹凸面(プリズム面)61は、単位光学要素(単位プリズム)75の要素面(要素プリズム面)76によって構成されている。
【0091】
凹凸面61の光学特性は、単位光学要素75の要素面76の傾斜角度に影響を受ける。したがって、単位光学要素75の断面形状は、面光源装置20や光学部材30に要求される光学特性に基づいて、適宜調節され得る。一つの単位光学要素75に含まれる複数の要素面76の傾斜角度が互いに異なってもよいし、同一でもよい。光学要素部70が、形状および向きの少なくとも一方において異なる単位光学要素75を含んでもよいし、互いに同一の単位光学要素75のみを含んでもよい。光学要素部70は、凸部73としての単位光学要素75と、凹部74としての単位光学要素75と、の両方を含んでもよい。
【0092】
図7および
図8に示された例と異なり、要素面(要素プリズム面)76がいくらか湾曲してもよい。単位光学要素75が、半球状等の球の一部分の外形状を有してもよいし、回転楕円体の一部分の外形状を有してもよい。
【0093】
複数の単位拡散要素75は、二次元配列されてもよい。この例によれば、光学要素部70に含まれる単位光学要素75の要素面76は、種々の方向を向く。結果として、光学要素部70は、二次元配列された単位光学要素75によって、光を種々の方向に誘導できる。つまり、非平行な複数の方向へ光を誘導することができ、照度の面内分布を効果的に均一化できる。各単位光学要素75は、第3方向D3と平行な軸線を中心として回転対称に構成されていてもよい。例えば、各単位光学要素75は、第3方向D3と平行な軸線を中心として3回転対称、4回対称又は6回対称に構成されてもよい。
【0094】
複数の単位光学要素75は、不規則に配列されてもよいし、規則的に配列されてもよい。複数の単位光学要素75を規則的に配列することによって、光学要素部70の設計を容易化できる。複数の単位光学要素75を規則的に配列することによって、単位光学要素75を隙間無く敷き詰めることが容易となる。
【0095】
第3方向D3からの観察における単位光学要素75の寸法が大きいと、単位光学要素75の形状に起因した明るさのムラが視認されやすくなる。このような不具合を防止する観点から、単位光学要素75の第3方向D3に垂直な方向への最大長さは、1.5mm以下でもよく、1mm以下でもよく、0.5mm以下でもよい。単位光学要素75の配列ピッチは、0.01mm以上1.5mm以下でもよい。更に、面光源装置20に適用した際に光学部材30の出光側面30b上での照度の面内分布を効果的に均一化する観点から、単位光学要素75の配列ピッチは、0.05mm以上1mm以下でもよく、0.1mm以上0.5mm以下でもよい。単位光学要素75の第3方向D3への高さ又は深さは、0.025mm以上0.5mm以下でもよく、0.05mm以上0.25mm以下でもよい。
【0096】
図10A及び
図10Bは、光学要素部70に含まれる単位光学要素75の具体例を示している。
図10A及び
図10Bに示された例において、複数の単位光学要素75の配置は、正方配置となっている。複数の単位光学要素75は、第1方向D1に一定のピッチで配置されている。複数の単位光学要素75は、第2方向D2にも一定のピッチで配置されている。第1方向D1への配置ピッチと、第2方向D2への配置ピッチは、同一でもよいし、異なってもよい。
図10A及び
図10Bに示された例において、複数の単位光学要素75は隙間無く敷き詰められてもよい。図示された例において、第1方向D1への配置ピッチと、第2方向D2への配置ピッチは、互いに同一となっている。
【0097】
単位光学要素75を第1方向D1及び第2方向D2に傾斜した方向に配置してもよい。例えば、
図10Cに示された例において、複数の単位光学要素75は、第1方向D1に対して±45°傾斜した二つの方向に一定のピッチで配置されている。
図10Bに示された単位光学要素75に対して、
図10Cの配置を適用できる。この例によれば、要素面76が第1方向D1に対して±45°傾斜した二つの方向に向き、この二つの方向に光を広げることができる。
【0098】
図7~
図10Cに示された光学要素部70は、エンボス加工や樹脂賦型によって、作製され得る。単位光学要素75を含む光学要素部70は、粘着剤や接着剤を含む接合層を介して、第1バリア層63に接合してもよい。単位光学要素75を含む光学要素部70を第1バリア層63上に作製してもよい。
【0099】
図2に示すように、光学部材30は、選択透過シート40および波長変換シート60に加えて、更に構成要素を含んでもよい。
図2に示された光学部材30は、選択透過シート40および波長変換シート60と第3方向D3に重ねられた第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85を含んでいる。第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85は、波長変換シート60よりも、第3方向D3における第1側に位置している。第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85は、この順で第3方向D3に重ねられている。第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85は、第1方向D1および第2方向D2に広がるシート状の部材でもよい。
【0100】
第1光学シート81および第2光学シート82は、入射光に対して、反射、屈折、回折等の光学作用を及ぼす。第1光学シート81および第2光学シート82は、光学部材30や面光源装置20の用途に対して適切な機能を有してもよい。
【0101】
図11は、第1光学シート81および第2光学シート82の一具体例を示している。
図11に示された第1光学シート81および第2光学シート82は、複数の線状に延びる単位プリズム84を含むプリズムシートである。プリズムシートは、シート状の本体部83と、本体部83上に設けられた複数の単位プリズム84と、を含んでいる。単位プリズム84は、複数の単位プリズム84の配列方向と直交する方向に直線状に延びてもよい。すなわち、第1光学シート81および第2光学シート82は、単位プリズム84がリニア配列されたプリズムシートである。
図11に示された、リニア配列された単位プリズム84は、主として、単位プリズム84の配列方向および第3方向D3の両方に平行な面内での輝度角度分布を調整する。したがって、第1光学シート81および第2光学シート82は、単位プリズム84の配列方向が非平行となるようにして、光学部材30に組み込まれてもよい。例えば、第1光学シート81の単位プリズム84の配列方向が、第2光学シート82の単位プリズム84の配列方向と直交してもよい。
図11に示されたプリズムシートは、米国3M社から入手可能な「BEF」(登録商標)でもよい。
図11に示されたプリズムシートは、透過光の進行方向と第3方向D3との間の角度が小さくなるように、透過光の進行方向を曲げる。
図11に示されたプリズムシートは、集光シートとして機能する。
【0102】
反射型偏光板85は、一方の直線偏光成分を透過させ、他方の直線偏光成分を反射する。反射型偏光板85によれば、表示パネル15の面光源装置20側に位置する偏光板を透過し得る直線偏光成分の光を選択的に透過させることができる。反射型偏光板85で反射された光は、その後の反射等によって、偏光状態を変化させて反射型偏光板85へ再度入射し得る。これにより、光源23から放出された光の利用効率を向上できる。反射型偏光板85は、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)でもよい。反射型偏光板85は、韓国Shinwa Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」や、ワイヤーグリッド偏光子等でもよい。
【0103】
次に、以上の構成を有する面光源装置20で面状光を生成する際の作用について説明する。
【0104】
図2に示すように、光源23が一次光LAを放出する。一次光LAは、一例として、青色光である。青色の一次光LAの波長は、430nm以上500nm以下でもよい。光源23から放出された光L21は、光学部材30へと向かう。光源23からの一次光LAは、光学部材30の選択透過シート40に入射する。
図5に示すように、選択透過シート40は、選択透過部45を含んでいる。
【0105】
光源23からの一次光LAは、選択透過部45に入射する。選択透過部45の透過率は入射角に依存している。図示された例において、0°より大きい或る入射角で入射する一次光LAについての選択透過部45の透過率は、0°の入射角で入射する一次光LAについての選択透過部45の透過率より大きい。
図6に示された光学特性では、0°の入射角で選択透過部45に入射する光についての選択透過部45の透過率は5%以下である。また、絶対値で0°以上35°以下の出射角で選択透過シート40から出射する光についての選択透過部45の透過率は、選択透過部45の透過率の最大値の半分以下となっている。さらには、絶対値で0°以上65°以下の広い範囲内において出射角が大きくなるにつれて、選択透過部45の透過率は大きくなる。出射角が絶対値で0°以上50°以下の範囲において、透過率は10%以下となる。すなわち、第3方向D3に対して傾斜した方向に選択透過シート40から出射する光が、第3方向D3に選択透過シート40から出射する光と比較してより高い透過率で選択透過部45を透過できる。
【0106】
光源23と第3方向D3に対面する領域と、当該領域の近傍となる周囲の領域と、を直上領域とする。この直上領域には、多量の光が入射する。しかしながら、直上領域への光の入射角は小さい。このため、光源23から放出されて選択透過シート40に進んだ光L21は、直上領域において、高い反射率にて反射される。直上領域において、光は、低い透過率にて選択透過シート40を透過する。これにより、直上領域において発光面20aが明るくなり過ぎることを抑制できる。
【0107】
選択透過部45で反射した多くの光L22は、光源基板22に向かう。
図2に示すように、光L22は、光源基板22の反射層27で反射する。この反射によって、反射層27で反射した光L23は、第3方向D3において光学部材30に向けて進む。反射層27での反射は拡散反射でもよい。拡散反射により、反射光L23の進行方向が第3方向D3に対してなす角度は大きくなる。
図2に示すように、光L23は、第3方向D3に直交する第1方向D1や第2方向D2に光源23から離れた位置において、光学部材30に再入射する。
【0108】
光L23は、第3方向D3に直交する方向に光源23から離れた離間領域において、選択透過シート40に再入射し得る。反射光L23が第3方向D3に対して大きく傾斜した方向に進む場合、当該光L23は、選択透過シート40を透過し得る。これにより、離間領域において、発光面20aが暗くなり過ぎることを抑制できる。
【0109】
以上のような、選択透過部45の選択透過機能によって、光源23の配置に応じた明るさの面内バラツキを抑制できる。これにより、選択透過シート40の第2面40b上の各位置での照度を効果的に均一化できる。
【0110】
図2及び
図7に示すように、選択透過シート40を透過した光L24,L71は、波長変換シート60に向かう。
図7に示すように、波長変換シート60は、第3方向D3における光源側となる第2側から、光学要素部70、第1バリア層63、波長変換部65および第2バリア層64を含んでいる。光学要素部70は、波長変換シート60の第1面60aに凹凸面61を付与している。
図7に示すように、光L71は、光学要素部70へ入射する際に要素面76での屈折によりいくらか進行方向を変化させる。光L71は、第1バリア層63を通過して、波長変換部65に向かう。
【0111】
図9に示すように、波長変換部65は波長変換剤67を含んでいる。波長変換部65内を進む光L91の一部は、波長変換剤67に衝突する。波長変換剤67は、光源23から放出された一次光LAを吸収して、波長の異なる二次光LBを放出する。図示された例において、波長変換部65は、第1変換剤67Aおよび第2変換剤67Bを含んでいる。第1変換剤67Aは、青色の一次光LAの一部L91を吸収して、緑色の第1二次光LB1を放出する。第2変換剤67Bは、青色の一次光LAの一部L92を吸収して、赤色の第2二次光LB2を放出する。
【0112】
選択透過シート40を透過した光L24(
図2参照)の多くは、選択透過部45の透過特性に起因して、第3方向D3に対して大きく傾斜した方向に進む。図示された例において、この光L24の進行方向は、選択透過シート40の第2面40bでの屈折により、更に第3方向D3に対して傾斜する。更に、波長変換シート60の入射面となる第1面60aは、凹凸面61となっている。
図7に示す例のように、波長変換シート60へ入射する光L71は、当該光L71の進行方向と第3方向D3に関して逆方向に傾斜した要素面76へ入射しやすい。そして、この要素面76を入射する際、光L71の進行方向は大きく変化しにくい。これにより、
図7に示すように、波長変換シート60内を進む光L71は、第3方向D3に対して非常に大きく傾斜した方向に進み易くなる。これにともない、波長変換部65内における光L24の光路長は長くなる。このため、波長変換シート60内において、波長変換剤67に入射し易くなる。結果として、波長変換剤67を効率的に使用できるので、波長変換剤67の波長変換部65への含有量を低減できる。
【0113】
波長変換剤67から放出される二次光LBの進行方向は、当該波長変換剤67に吸収される前の一次光LAの進行方向に依存しない。
図9に示すように、二次光LBは、波長変換剤67から広い角度範囲に放出される。二次光LBに起因する輝度の角度分布は、波長変換シート60の第2面60b上において或る程度均一化される。波長変換剤67から放出された二次光LBの多くは、平坦な第2面60bを通過し、波長変換シート60から出射する。
【0114】
図9に示すように、一次光LAの一部L93は、波長変換剤67に入射せず、第2面60bへ入射する。このような光L93の一部も、平坦な第2面60bを通過し、波長変換シート60から出射し得る。
【0115】
以上のようにして、波長変換シート60から、一次光LA、第1二次光LB1および第2二次光LB2等の光L25(
図2参照)が、第3方向D3における第1側に出射する。光L25は、第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85を透過して、光学部材30の出光側面30bから出射する。このようにして、光学部材30の出光側面30bが発光する。
【0116】
ところで、
図2および
図12に示すように、波長変換シート60の第2面60bに入射する光L26,L121は、第2面60bにおいて反射し得る。第2面60bで反射した光L26,L121は、第3方向D3における第2側へ進む。このような光は、いずれかの界面、例えば反射層27の表面で反射することによって、第3方向D3における進行方向を折り返し、再度、波長変換シート60に入射し得る。
【0117】
波長変換シート60の第2面60bで反射した光L26,L121は、第3方向D3に直交する第1方向D1や第2方向D2に進む。すなわち、光L26,L121は、第3方向D3に直交する方向に光源23から離れる。したがって、第2面60bでの反射を利用することにより、光源23の配置に起因した明るさの面内バラツキを効果的に抑制できる。すなわち、波長変換シート60は、選択透過部45の入射角依存性を有した光学特性を補強または補完して、照度の面内分布を十分に均一化できる。
【0118】
また、第2面60bでは、一次光LAが非常に高い反射率にて選択的に反射され得る。図示された例において、波長変換シート60の第1面60aは、光学要素部70によって構成された凹凸面61を含んでいる。光学要素部70は複数の単位光学要素75を含んでいる。凸部73又は凹部74としての単位光学要素75は、複数の要素面76を含んでいる。そして、複数の要素面76によって、第1面60aの凹凸面61が構成されている。この例によれば、
図12に示すように、波長変換シート60へ入射する一次光LAとしての光L121は、凹凸面61を構成する要素面76のうち、第3方向D3に対して当該進行方向と逆側に傾斜した要素面76に入射しやすくなる。この光L121の進行方向は、波長変換シート60への入射時に、凹凸面61での屈折によって大きく曲げられない。すなわち、一次光LAは、波長変換シート60内において、第3方向D3に対して非常に大きく傾斜した進行方向を維持できる。結果として、波長変換シート60の平坦な第2面60bへの入射角θyは大きくなる。これにより、波長変換剤67によって波長変換されなかった一次光LAは、第2面60bにおいて高い反射率で反射する。さらに、入射角度が大きくなることから、一次光LAは、第2面60bにおいて全反射し得る。
【0119】
その一方で、二次光LBの波長変換剤67から放出される方向は、波長変換剤67への入射方向に依存しない。したがって、二次光LBは、拡散光となっており、第2面60bにおいて高い反射率で反射され得ない。
【0120】
以上のようにして、一次光LAの出射方向に影響与える選択透過部45の透過特性と、凹凸面61との組合せにより、第2面60bは、一次光LAを選択的に高い反射率で反射する。この一次光LAの波長変換シート60と光源基板22との間での循環光路内に、波長変換剤67が位置している。
【0121】
なお、凹凸面61による一次光LAの進行方向維持機能を強化するには、選択透過シート40の第2面40b上において一次光LAのピーク輝度が得られる方向に対して直交する要素面76を用いてもよい。このように一次光LAの出射方向に影響を及ぼす選択透過部45の透過特性を考慮して凹凸面61の傾斜角度を決定することにより、第2面60bは、一次光LAを選択的に高い反射率で反射し得る。
【0122】
図12では、波長変換シート60内における光路に関する光学的作用の理解を容易とするため、波長変換シート60の厚みが薄く示されている。また、
図12では、波長変換剤67の図示が省略されている。実際には、波長変換シート60の第1面60aおよび第2面60bの間に、波長変換剤67が設けられている。波長変換シート60の第2面60bでの反射を利用することにより、光源23から放出された光の循環光路内に、波長変換剤67が位置する。とりわけ、波長変換剤67は、循環光路において第3方向D3における進行方向を折り返す波長変換シート60の内部に分散している。したがって、波長変換剤67が含有された波長変換シート60内における一次光LAの光路長は非常に長くなる。
【0123】
このように、一次光LAが選択的に第2面60bで反射される。これにより、一次光LAに起因した照度の面内分布を十分に均一化できる。そして、第3方向D3における第2面60bと光源基板22との間となる一次光LAの循環光路中に、波長変換剤67が設けられている。これにより、照度の面内分布を十分に均一化できることに加え、発光面20a内における色むらを抑制できる。そして、一次光LAが選択的に第2面60bで反射されて循環することから、波長変換剤67の利用効率を顕著に改善でき、波長変換剤67の波長変換部65への含有量を大幅に低減できる。例えば、波長変換部65の厚みを薄くでき、光学部材30および面光源装置20の第3方向D3への厚みを低減できる。波長変換部65内における波長変換剤67の密度を低減できる。
【0124】
波長変換シート60においては、波長変換部65の側端面にバリア層が設けられないことがある。この例によれば、側端面近傍に位置する波長変換剤67の劣化が進み、波長変換部65の周縁部において色が変化し得る。本実施の形態によれば、上述のように波長変換剤67の波長変換部65への含有量を低減できる。したがって、第3方向D3への投影における、単位面積当たりにおける波長変換剤67の面積割合を低減できる。これにより、波長変換部65の側端面にバリア層を設けない場合でも、周縁部における色の変化を抑制できる。
【0125】
また、誘電体多層膜である選択透過部45の透過率は、波長依存性を有している。すわち、誘電体多層膜である選択透過部45の透過率は、波長が異なると変化する。誘電体多層膜である選択透過部45の透過率は、特定波長よりも長波長の光に対し大きくなりやすい。すなわち、選択透過部45の入射角に依存した選択透過性は、特定波長よりも大きな波長の光に対して、弱くなる。したがって、特定波長よりも長い波長を有した二次光LBに対して、選択透過部45は入射角に依存した選択透過性を有効に発揮し得ない。すなわち、選択透過部45は、一次光LAと同様に、二次光LBを反射できない。
【0126】
したがって、照度の面内分布を十分に均一化させる観点から、光学部材30と光源基板22との間で一次光LAを十分に循環させて照度の面内分布を均一化させた後、一次光LAを二次光LBに変換することが好ましい。すなわち、明るさの面内バラツキを抑制する観点においても、循環光路内となる選択透過部45における波長変換剤67の含有量を低減することが好ましい。また、一次光LAに起因した照度の面内分布を均一化するとともに、波長変換剤67の密度を低減することによって、色むらを効果的に抑制できる。
【0127】
ところが、入射角依存性を有する選択透過シートと組み合わせて凹凸面を含む波長変換シートを用いることによる照度の面内分布の均一化機能および色むらの抑制機能は、従来の波長変換部(波長変換シート)を用いた場合、十分に発揮されなかった。従来の波長変換部を用いた場合、波長変換シートに凹凸面を付与しても、波長変換剤の使用量を低減できなかった。また、波長変換剤を大量に使用することで、発光面の色を白色にすることができたとしても、発光面の色むらを十分に解消できないことがあった。
【0128】
この不具合の原因について、本件発明者らが検討したところ、従来の波長変換部に使用されていた散乱剤が影響していることが知見された。従来の波長変換部は、波長変換剤とともに、大量の散乱剤を含んでいる。従来の波長変換部では、散乱剤を含有することにより、当該波長変換部内での光路長を確保している。散乱剤を用いることにより、波長変換剤の使用量を約半分とすることができる。従来の波長変換部では、散乱剤を用いることにより波長変換剤の使用量を低減し、波長変換剤に起因した色変化に対処していた。この従来の波長変換部では、波長変換シート内を進む一次光LAが拡散される。すなわち、選択透過部の透過特性に応じた一次光LAの進行方向の分布が散乱剤によって解消され、波長変換シートの第2面において一次光LAを選択的に反射することができない。このため、従来の波長変換部を用いた場合、選択透過部の透過特性に応じた凹凸面を波長変換シートに付与したとしても、照度の面内分布を十分に均一化できないと考えられた。
【0129】
本件発明者らが確認したところ、一次光LAと異なる波長の光についての波長変換シート60の透過内部ヘイズ(%)に上限を設けることによって、波長変換剤67の使用量を大幅に低減しながら、照度の面内分布を十分に均一化でき且つ色むらを十分に抑制できた。具体的には、この透過内部ヘイズを45%以下とすることによって、波長変換剤67の使用量を大幅に低減しながら、照度の面内分布を十分に均一化でき、さらに色むらを効果的に抑制できた。照度及び色の面内分布を均一化しながら波長変換剤67の使用量を低減する観点から、この透過内部ヘイズを18%以下としてもよく、12%以下としてもよく、7%以下としてもよく、さらに5%以下としてもよい。
【0130】
一次光LAと異なる波長の光についての波長変換シート60の透過内部ヘイズ(%)は、1%以上としてもよい。この透過内部ヘイズを1%未満に低減しても、波長変換剤67の使用量を更に低減することは難しい。したがって、色むらや照度均一化の観点から、この透過内部ヘイズを1%以上としてもよい。
【0131】
波長変換シート60の透過内部ヘイズ(%)は、村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM-150を用いて、JIS K7136:2000に準拠して測定された値とする。すなわち、透過内部ヘイズ(%)は、拡散透過率の全光線透過率に対する割合(%)である。
【0132】
「内部ヘイズ」とは、波長変換シート60の内部での散乱に起因したヘイズを意味する。「内部ヘイズ」とは、波長変換シート60の第1面60a及び第2面60bでの散乱以外の散乱に起因したヘイズを意味する。「内部ヘイズ」の測定には、波長変換シート60の凹凸面61を、当該凹凸面61を構成する材料と同一の屈折率を有した材料で埋めて平坦面としたサンプルを用いることができる。或いは、「内部ヘイズ」の測定には、波長変換シート60の凹凸面61を構成する部分(上述の例では単位光学要素75)を取り除いて平坦な表面を形成したサンプルを用いることができる。凹凸面61を埋めたサンプル及び凹凸面61を取り除いたサンプルの二つから、波長変換シート60の構成等を考慮して内部ヘイズをより高精度に測定できる一方のサンプルを選択し、当該一方のサンプルについての測定値を内部ヘイズの値とする。
【0133】
「一次光LAと異なる波長の光」とは、測定対象となる波長変換シート60に含まれた波長変換剤67を励起状態とし得る波長を有した光以外の光を意味する。すなわち、「一次光LAと異なる波長の光」とは、測定対象となる波長変換シート60に含まれた波長変換剤67を励起状態とし得る波長を有さない光を意味する。上述したヘイズメーターの光源から射出した測定光を、一次光の透過を規制するバンドパスフィルタを透過させた後に、測定対象となるサンプルに照射することによって、当該サンプルのヘイズ値が測定される。一次光の透過率が5%以下となるバンドパスフィルタが用いられる。測定に用いられるバンドパスフィルタは、波長変換剤67を励起状態とし得る波長範囲の光だけでなく、当該波長範囲以外の波長の光も遮光してもよい。
【0134】
一次光LAは波長変換剤67によって吸収される。この際、波長変換剤67は、一次光LAの入射方向と無関係な方向に二次光LBを放出する。このような波長変換剤67による光路変換機能を排除することで、波長変換シート60の散乱剤に起因した散乱機能の程度をより正確に評価できる。すなわち、測定に用いられる光の波長を制限することによって、凹凸面61に入射する直前における一次光LAの拡散度合いを高精度に評価し得る。このため、「一次光LAと異なる波長の光」を透過内部ヘイズに測定に用いる。
【0135】
上述したように、本実施の形態によれば、波長変換剤67の使用量を低減できる。波長変換剤67の含有量を十分に低減された波長変換シート60は、透過光に対して及ぼす波長変換剤67による光路変換機能は弱められている。この結果、波長変換剤67の含有量が低減された波長変換シート60についての測定光の波長を制限することなく測定した透過内部ヘイズ(%)は、一次光LAと異なる波長の光のみを用いて測定した透過内部ヘイズ(%)と同様に小さい値となる。そして、上述のヘイズメーターに内蔵された光源から射出した全光を用いて測定した場合においても、波長変換剤67の含有量を低減できた波長変換シート60の透過内部ヘイズ(%)は、従来の波長変換シートの透過内部ヘイズ(%)と大きく異なる値となる。この点から、上述のヘイズメーターの光源からの全光を測定に用いた場合の透過内部ヘイズ(%)も、照度の面内分布を十分に均一化しながら波長変換剤67の使用量を低減し得る波長変換シート60を、従来の波長変換シートと区別して、示す指標となる。
【0136】
すなわち、上述の村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM-150を用いて、内蔵光源からの測定光を制限することなく、JIS K7136:2000に準拠して測定された波長変換シート60の透過内部ヘイズ(%)に上限を設けることによって、波長変換剤67の使用量を大幅に低減でき、しかも照度の面内分布を十分に均一化できる。具体的には、この透過内部ヘイズを50%以下とすることによって、波長変換剤67の使用量を大幅に低減でき、且つ照度の面内分布を十分に均一化でき、さらに色むらを効果的に抑制できた。照度及び色の面内分布を均一化しながら波長変換剤67の使用量を低減する観点から、この透過内部ヘイズを20%以下としてもよく、15%以下としてもよく、10%以下としてもよく、さらに5%以下としてもよい。
【0137】
村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM-150を用いて、内蔵光源からの測定光を制限することなく、JIS K7136:2000に準拠して測定された波長変換シート60の透過内部ヘイズ(%)は、1%以上としてもよい。この透過内部ヘイズを1%未満に低減しても、波長変換剤67の使用量を更に低減することは難しい。したがって、色むらや照度均一化の観点から、この透過内部ヘイズを1%以上としてもよい。
【0138】
一次光LAと異なる波長の光についての波長変換シート60の透過内部ヘイズ(%)と、ヘイズメーターの内蔵光源からの測定光を制限することなく測定した通常の透過内部ヘイズ(%)との差を、5%以下としてもよく、3%以下としてもよい。一次光LAと異なる波長の光についての波長変換シート60の透過内部ヘイズ(%)と、ヘイズメーターの内蔵光源からの測定光を制限することなく測定した通常の透過内部ヘイズ(%)との差を0%以上としてもよい。このような例によれば、波長変換剤67を十分に低減できている。
【0139】
ところで、照度の面内分布を十分に均一化させる観点から、波長変換シート60の第2面60bでの反射は全反射でもよい。具体的には、第2面60bへの入射角θy(°)を用いた全反射条件である式(A)が成立してもよい。
np×Sinθy≧1・・・式(A)
式(A)における、「np」は、波長変換シート60の要素面76を構成する部分の屈折率である。したがって、「np」は、単位光学要素75を構成する部分の屈折率としてもよい。厳密には、「np」は、第2面60bを構成する部分の屈折率とすべきである。
図7および
図8に示すように、光学要素部70の第2面70b、波長変換部65の第1面65aおよび第2面65b、波長変換シート60の第2面60bは、通常であれば互いに平行であり、第3方向D3に略直交する。したがって、式(A)における「np」を、波長変換シート60の要素面76を構成する屈折率としてもよい。
【0140】
式(A)を満たす入射角で第2面60bに向かう光の進行を妨げないように、要素面76の傾斜角θpを次のように決定してもよい。
sin-1(1/np)≦90-θp ・・・(X)
式(X)におけるθp(°)は、第3方向D3に直交する面と、要素面76との間の角度(°)である。式(X)が満たされる場合、第3方向D3に対して全反射臨界角(°)以上の角度で傾斜した方向に進む光が、要素面76に入射することなく、第2面60bへ入射することを促進できる。このような設定により、波長変換シート60と光源基板22との間での光循環を促進して、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0141】
図12に示すように、単位光学要素75の要素面76に入射する光L121の光路に関し、次の式が成立する。
θ1=θx-θp ・・・式(B)
Sinθ1=np×Sinθ2 ・・・式(C)
θy=θp+θ2 ・・・式(D)
式(B)におけるθx(°)は、波長変換シート60に向かう光L121の進行方向と第3方向D3との間の角度(°)である。式(B)におけるθp(°)は、第3方向D3に直交する面と、光L121が入射する要素面76との間の角度(°)である。式(C)におけるθ1(°)は、光L121が入射する要素面76に対する光L121の入射角(°)である。式(C)におけるθ2(°)は、光L121が通過した要素面76での光L121の屈折角(°)である。すなわち、θ2(°)は、要素面76への法線方向と、要素面76での屈折後における光の進行方向と、の間の角度である。
【0142】
式(B)~(D)を用いて式(A)を記載し直すと、次の条件式(E)が得られる。
sin-1(1/np)≦sin-1(sin(θx-θp)/np)+θp
・・・式(E)
式(E)が満たされる場合、第3方向D3に対してθx(°)傾斜した方向に進む光が、要素面76を通過して波長変換シート60に入射した後、第2面60bにおいて全反射する。波長変換シート60に入射する光の少なくとも一部に対して式(E)を成立させるように、要素面76を構成する部分の屈折率npおよび要素面76の傾斜角度θp(°)を設定してもよい。このような設定により、波長変換シート60と光源基板22との間での光循環を促進して、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0143】
ここで、式(E)において用いられる光の進行角度θx(°)を、選択透過部45での特定波長の光の透過率が最大値の1/2となる入射角で選択透過部45に入射した光の選択透過シート40からのピーク出射方向と、第3方向D3との間の角度(°)である第1特定角度θx1(°)としてもよい。なお、透過率が最大値の1/2となる入射角は、透過率が最大値となる入射角より小さい角度とする。実際の面光源装置において、選択透過シート40から出射して波長変換シート60に向かう多くの光の進行方向は、第3方向D3に対して第1特定角度θx1以上の角度だけ傾斜した方向となる。したがって、第1特定角度θx1を用いた次の式(F)が満たされる場合、選択透過シート40から波長変換シート60へ向かう多くの光が、波長変換シート60で全反射する。結果として、式(F)が満たされる場合、波長変換シート60と光源基板22との間での光循環が促進でき、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
sin-1(1/np)≦sin-1(sin(θx1-θp)/np)+θp
・・・式(F)
【0144】
図6に示された第1具体例の透過特性を有する選択透過部45との組合せにおいて、光学シートに通常用いられている樹脂材料によって光学要素部70を形成した場合、式(F)によれば、要素面76の傾斜角度θpは16°以上が好ましい。
【0145】
他の例として、式(E)において用いられる光の進行角度θx(°)を、選択透過部45での特定波長の光の透過率が最大値の1/10となる入射角で選択透過部45に入射した光の選択透過シート40からのピーク出射方向と、第3方向D3との間の角度(°)である第2特定角度θx2(°)としてもよい。なお、透過率が最大値の1/10となる入射角は、透過率が最大値となる入射角より小さい角度とする。第2特定角度θx2に進む光は、波長変換シート60への入射光のうち入射角が非常に小さい光である。この入射角が小さい光が第2面60bでの全反射条件を満たす場合、波長変換シート60に入射するほとんどの光が、波長変換シート60での全反射条件を満たし得る。したがって、第2特定角度θx2を用いた次の式(G)が満たされる場合、波長変換シート60と光源基板22との間での光循環がより促進でき、照度の面内分布を非常に効果的に均一化できる。
sin-1(1/np)≦sin-1(sin(θx2-θp)/np)+θp
・・・式(G)
【0146】
図6に示された第1具体例の透過特性を有する選択透過部45との組合せにおいて、光学シートに通常用いられている樹脂材料によって光学要素部70を形成した場合、式(G)によれば、要素面76の傾斜角度θpは30°以上が好ましい。
【0147】
更に他の例として、式(E)において用いられる光の進行角度θx(°)を、選択透過シート40の第2面40bでの輝度角度分布における半値角(°)である第3特定角度θx3としてもよい。この例によれば、実際に使用されている面光源装置20において波長変換シート60に入射する光のうち入射角が比較的に小さくなる光が、第2面60bでの全反射条件を満たす。したがって、第3特定角度θx3を用いた次の式(H)が満たされる場合、波長変換シート60と光源基板22との間での光循環が促進でき、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
sin
-1(1/np)≦sin
-1(sin(θx3-θp)/np)+θp
・・・式(H)
第3特定角度θx3は、選択透過シート40の第2面40bでの輝度角度分布から特定される。この輝度角度分布は、選択透過シート40よりも第3方向D3における観察者側となる第1側の構成要素を面光源装置20から取り除いた状態で光源23から光を放出し、第2面40b上で測定される各方向での輝度の分布である。この輝度角度分布の一例を
図13に示す。輝度角度分布における半値角は、当該輝度角度分布におけるピーク輝度の半分の輝度が得られる方向と、第3方向D3との間の角度の大きさ(絶対値)のうちの最小値である。
【0148】
なお、式(F)、(G)および(H)は、要素面76の全領域における傾斜角度θpで満たされる必要はなく、要素面76の50%以上の領域でこの条件が満たされると、優位に照度の面内分布を均一化できる。好ましくは要素面76の70%以上の領域での傾斜角度θpについて、より好ましくは要素面76の80%以上の領域での傾斜角度θpについて、式(F)、(G)および(H)が満たされる。
【0149】
以上に説明した全反射条件は、
図12に示された光L121についての条件である。この光L121は、一つの要素面76を通過して、波長変換シート60内を進む。この光L121は、他の要素面76に入射することなく、第2面60bに入射する。その一方で、一の要素面76を通過した光L122が、当該一の要素面76に対面する他の要素面76に入射することも想定される。この光L122は、他の要素面76で全反射し、小さい入射角で第2面60bに入射し得る。この光L122の第2面60bでの反射率は小さくなる。
【0150】
このような光L122の発生を抑制して、第2面60bでの反射を促進する観点から、単位光学要素75内を進む光の進行方向と第3方向D3との間の角度は、要素面76と第3方向D3との間の角度以下でもよい。具体的には、次の式(I)が満たされてもよい。上述した式(B)~(D)を考慮して式(I)を書き換えた式(J)が満たされてもよい。式(I)および式(J)中で用いられる角度や屈折率については、上述した通りである。
θp+θ2≦90-θp ・・・式(I)
sin-1(sin(θx-θp)/np)+θp≦90-θp
・・・式(J)
ここで、式(J)において用いられる光の進行角度θx(°)を、上述した第1特定角度θx1(°)としてもよい。
【0151】
ここで、式(J)において用いられる光の進行角度θx(°)を、上述した第2特定角度θx2(°)としてもよい。第2特定角度θx2を用いた次の式(L)が満たされる場合、一の要素面76から単位光学要素75に入射した光の少なくとも一部が、一の要素面76に対面する他の要素面76に入射することなく第2面60bに入射できる。したがって、式(L)が満たされる場合、波長変換シート60と光源基板22との間での光循環を期待でき、照度の面内バラツキを抑制できる。
sin-1(sin(θx2-θp)/np)+θp≦90-θp
・・・式(L)
【0152】
図6に示された第1具体例の透過特性を有する選択透過部45との組合せにおいて、光学シートに通常用いられている樹脂材料によって光学要素部70を形成した場合、式(L)によれば、要素面76の傾斜角度θpは45°以下が好ましい。
【0153】
他の例として、式(J)において用いられる光の進行角度θx(°)を、選択透過シート40の第2面40bでの輝度角度分布におけるピーク輝度の1/10の輝度が得られる方向と、第3方向D3と、の間の角度(°)である第3特定角度θx4としてもよい。この例によれば、実際に使用されている面光源装置20において一の要素面76から単位光学要素75に入射した光の少なくとも一部が、一の要素面76に対面する他の要素面76に入射することなく第2面60bに入射できる。したがって、第3特定角度θx4を用いた次の式(M)が満たされる場合、波長変換シート60と光源基板22との間での光循環を期待でき、照度の面内バラツキを抑制できる。
sin
-1(sin(θx4-θp)/np)+θp≦90-θp
・・・式(M)
第4特定角度θx4は、選択透過シート40の第2面40bでの輝度角度分布から特定される。この輝度角度分布は、選択透過シート40よりも第3方向D3における観察者側となる第1側の構成要素を面光源装置20から取り除いた状態で光源23から光を放出し、第2面40b上で測定される各方向での輝度の分布である。この輝度角度分布の一例を
図13に示す。輝度角度分布におけるピーク輝度の1/10の輝度が得られる方向と第3方向D3との間の角度は、当該輝度角度分布におけるピーク輝度の1/10の輝度が得られる方向と、第3方向D3との間の角度の大きさ(絶対値)のうちの最小値である。
【0154】
なお、式(L)および(M)は、要素面76の全領域における傾斜角度θpで満たされる必要はなく、要素面76の50%以上の領域でこの条件が満たされると、優位に照度の面内分布を均一化できる。好ましくは要素面76の70%以上の領域での傾斜角度θpについて、より好ましくは要素面76の80%以上の領域での傾斜角度θpについて、式(L)および(M)が満たされる。
【0155】
上述した式(E)および式(J)を両立させる上で、特定角度θxは、35°以上であることが好ましい。特定角度θxを35°以上とすることによって、要素面76を構成する部分の屈折率npが1.50以上1.60以下の範囲において、傾斜角度θpが適切な範囲を有するようになる。この点から、選択透過シート40から波長変換シート60へ向かう光の進行方向が第3方向D3に対してなす角度は、35°以上でもよく、40°以上でもよく、45°以上でもよい。また、絶対値で0°以上35°以下の出射角で選択透過シート40から出射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、選択透過部45の透過率の最大値の半分以下でもよく、選択透過部45の透過率の最大値の1/10以下でもよい。
【0156】
以上に説明した一実施の形態において、光学部材30は、選択透過部45を含む選択透過シート40と、選択透過シート40と重ねられた波長変換シート60と、を含む。選択透過部45は、入射角に応じて透過率が変化する透過特性を有する。波長変換シート60は凹凸面61を含む。波長変換シート60は、一次光LAを吸収して二次光LBを放出する波長変換剤67を含む。二次光LBは一次光LAの波長と異なる波長を有する。一次光LAと異なる波長の光についての波長変換シート60の透過内部ヘイズは45%以下でもよいし、波長変換シート60の透過内部ヘイズは50%以下でもよい。
【0157】
以上に説明した一実施の形態において、波長変換シート60は、第1面60aと、第1面60aと対向する第2面60bと、第1面60a及び第2面60bの間に位置する波長変換剤67と、を含む。第1面60a及び第2面60bの少なくとも一方を構成する光学要素部70が設けられている。光学要素部70は複数の単位光学要素75を含む。第1面60a及び第2面60bの少なくとも一方は、複数の単位光学要素75によって構成された凹凸面61を含む。波長変換剤67は、特定波長の一次光LAを吸収して二次光LBを放出する。二次光LBは特定波長と異なる波長を有する。一次光LAと異なる波長の光についての透過内部ヘイズは45%以下でもよいし、透過内部ヘイズは50%以下でもよい。
【0158】
このような一実施の形態によれば、一次光LAは、波長変換シート60内において、選択透過部45の透過特性に応じた狭い角度範囲内の方向に主として進む。一方、波長変換シート60内において波長変換剤67から放出された二次光LBは、一次光LAの進行方向とは無関係な方向に進む。したがって、選択透過部45の透過特性に応じて凹凸面61の構成を調節しておくことにより、波長変換シート60によって、一次光LAを選択的に高い反射率で反射することができる。すなわち、波長変換シート60において波長変換されなかった一次光LAが、波長変換シート60と光源基板22との間で循環する。これにより、照度の面内分布を十分に均一化できる。また、一次光LAの循環光路内に波長変換剤67が位置しているので、波長変換剤67を効率的に利用できる。したがって、波長変換剤67の使用量を低減できる。波長変換剤67の波長変換シート60への含有量を減らすことによって、一次光LAに起因した照度の面内分布を十分に均一化でき、これにともなって、色むらを効果的に抑制できる。また、波長変換剤67の使用量を減じることによって、波長変換シート60の厚み及び光学部材30の厚みを薄型化できる。
【0159】
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【0160】
例えば、上述した面光源装置20において、光源基板22と光学部材30との間に、スペーサが配置されてもよい。光源基板22と光学部材30との間に、透明な樹脂層が設けられ、樹脂層がスペーサとして機能してもよい。樹脂層は、熱可塑性樹脂によって形成されてもよい。樹脂層は光拡散成分を含んでもよい。光拡散成分として、金属化合物、気体を含有した多孔質物質、金属化合物を周囲に保持した樹脂ビーズ、白色微粒子、単なる気泡が例示される。
【0161】
スペーサは、光源基板22と接合されてもよいし、光源基板22と継ぎ目無しで一体的に形成されてもよい。スペーサは、光学部材30(図示された例では選択透過シート40)と接合されてもよいし、光学部材30(図示された例では選択透過シート40)と継ぎ目無しで一体的に形成されてもよい。スペーサは、光源基板22及び光学部材30(図示された例では選択透過シート40)の両方と接合されてもよいし、光源基板22及び光学部材30(図示された例では選択透過シート40)の両方と継ぎ目無しで一体的に形成されてもよい。スペーサとして機能する機能層が、光源基板22及び光学部材30の少なくとも一方に接合されてもよい。
【0162】
スペーサや機能層を設けることにより、光源基板22及び光学部材30の相対位置を維持できることに加え、光源基板22の反り及び光学部材30の反りを抑制できる。光源基板22及び光学部材30の少なくとも一方にスペーサや機能層が接合することにより、光源基板22の反り及び光学部材30の反りをより効果的に抑制できる。
【0163】
例えば、上述した具体例において、光学部材30から、第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85の一以上を省略してもよい。
【0164】
光学部材30が、更に他の構成要素を含んでもよい。例えば、光学部材が、光を拡散させる光拡散シートを更に有してもよい。光拡散シートは、母材と、母材中に分散した光拡散成分と、を含んでもよい。光拡散成分として、金属化合物、気体を含有した多孔質物質、金属化合物を周囲に保持した樹脂ビーズ、白色微粒子、単なる気泡が例示される。光拡散シートは、表面に凹凸を有してもよい。光拡散シートは、第3方向D3において、波長変換シート60及び第1光学シート81の間に位置してもよい。波長変換シート60は、第3方向D3において光拡散シート及び選択透過シート40の間に位置してもよい。
【0165】
選択透過シート40の選択透過部45の透過特性は種々の変更が可能である。一例として、選択透過部45は、
図14に示された透過特性を有してよい。
図14に示された透過特性でも、入射角に応じて透過率が変化する。具体的には、0°の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率は、0°より大きい或る入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の透過率よりも、大きくてもよい。すなわち、垂直入射する特定波長光についての選択透過部45の透過率は、少なくとも或る一つの斜め方向から選択透過部45に入射する特定波長光についての選択透過部45の透過率よりも、大きくてもよい。0°の入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の反射率は、0°より大きい或る入射角で選択透過部45に入射する特定波長の光についての選択透過部45の反射率よりも、小さくてもよい。すなわち、垂直入射する特定波長光の選択透過部45の反射率は、少なくとも或る一つの斜め方向から選択透過部45に入射する特定波長光についての選択透過部45の反射率よりも、小さくてもよい。選択透過部45の透過率は、入射角が大きくなるにつれて、小さくなってもよい。選択透過部45の透過率は、入射角が0°において、最大でもよい。選択透過部45の透過率は、入射角が20°以上において、15%以下でもよく、10%以下でもよく、5%以下でもよい。
【0166】
図示された具体例において、波長変換シート60の第1面60aが凹凸面を含む例を示した。波長変換シート60の第1面60aが凹凸面を含むことに代えて、
図15に示すように、波長変換シート60の第2面60bが凹凸面を含んでもよい。波長変換シート60の第1面60aが凹凸面を含むことに加えて、波長変換シート60の第2面60bが凹凸面61を含んでもよい。
図15に示された例において、光学要素部70は、凸部73としての単位光学要素75を第2面60bに含んでいる。光学要素部70は、凹部74としての単位光学要素75を第2面60bに含んでもよい。
【0167】
図15に示された波長変換シート60は、再帰反射シートとして機能し、第3方向D3に大きく傾斜しない方向に進む光L151を集中的に反射する。この波長変換シート60は、第3方向D3を中心とした狭い角度範囲の方向に進む光を主として透過させる選択透過シート40と、組合せてもよい。
図15に示された波長変換シート60は、例えば
図14に示された透過特性を有する選択透過シート40との組合せにおいて、好適であり、波長変換剤67の使用量を大幅に低減できる。この組合せによれば、波長変換シート60の波長変換部65で波長変換されなかった一次光LAは、凹凸面61で反射、とりわけ全反射して、第3方向における進行方向を折り返す。一方、波長変換シート60の波長変換部65で波長変換された二次光LBは、凹凸面61を介して、波長変換シート60から出射し易い。
【0168】
なお、
図15では、波長変換シート60内における光路に関する光学的作用の理解を容易とするため、波長変換シート60の厚みが薄く示されている。また、
図15では、波長変換剤67及び波長変換部65の図示が省略されている。実際には、波長変換シート60の第1面60aおよび第2面60bの間に、波長変換剤67が設けられている。
図15に示された波長変換シート60は、第1バリア層63及び第2バリア層64を含んでもよい。
【0169】
他の例として、波長変換シート60の第1面60a及び第2面60bの両方が凹凸面61を含んでもよい。この例において、第1面60a及び第2面60bは、一部に凹凸面61を含んでもよい。凹凸面61の配置は、光源23の配置に応じてもよい。
【実施例0170】
以下、実施例を用いて上述した一実施の形態示をより詳細に説明するが、上述した一実施の形態は以下の実施例に限定されない。
【0171】
<面光源装置>
面光源装置のサンプル1~18を作製した。サンプル1~18の面光源装置は、
図2~
図6、
図7、
図9、
図10Aおよび
図10Bに示された構成を有していた。すなわち、面光源装置は、光源基板および光学部材を含んでいた。サンプル1~18において、光学部材は、選択透過シート、波長変換シート、第1光学シート、第2光学シートおよび反射型偏光板を含んでいた。サンプル1~18の間で、光源基板、選択透過シート、第1光学シート、第2光学シートおよび反射型偏光板は共通とした。
【0172】
(光源基板)
光源基板は、青色のマイクロ発光ダイオードを第1方向および第2方向の両方向に6mmのピッチで配置した。各光源として、450nmを中心波長として青色光を射出する発光ダイオードを用いた。この発光ダイオードの平面形状は、0.2mm×0.4mmとなる長方形形状であった。発光ダイオードの側辺が第1方向及び第2方向に沿うように、発光ダイオードを支持基板上に配置した。各光源の光学部材に対面する面から光学部材の入光側面までの第3方向D3に沿った距離を0.5mmとした。光源基板の反射層は、酸化チタンを含有した白色ポリエチレンテレフタレート製板とした。反射層は、95%の反射率を有し、拡散反射性を有していた。
【0173】
(選択透過シート)
選択透過シートは、選択透過部のみを含んでいた。選択透過部は、
図6に示された第1具体例の透過特性を有する誘電体多層膜であった。サンプル1~18の面光源装置において、選択透過シートの第1面は、選択透過部によって構成される平坦面であった。サンプル1~18の面光源装置において、選択透過シートの第2面は、選択透過部によって構成される平坦面であった。選択透過シートの第1面および第2面は、互いに平行で、第3方向に直交していた。
【0174】
(波長変換シート)
サンプル1~18の面光源装置について、波長変換シートを次のように作製した。
【0175】
サンプル1~9の波長変換シートは、光学要素部、第1バリア層、波長変換部および第2バリア層を含んでいた。波長変換シートのサンプル10~18は、第1バリア層、波長変換部および第2バリア層を含んでいた。波長変換シートのサンプル10~18は、光学要素部を含んでいなかった。波長変換シートのサンプル10~18において、波長変換シートの第1面は、第1バリア層によって構成される平坦面であった。サンプル1~18の間で、第1バリア層および第2バリア層は同一に構成した。サンプル1~9の間で、光学要素部は、同一に構成した。
図10Bに示すように、サンプル1~9の光学要素部は、正四角錐形状の単位光学要素を含んでいた。複数の単位光学要素は、
図10Aに示すように、第1方向及び第2方向に0.1mmピッチで隙間無く配列されていた。光学要素部に含まれる要素面の傾斜角度θpは40°とした。
【0176】
波長変換シートのサンプル1~7及び9の波長変換部は、母材と、母材中に分散した波長変換剤および散乱剤を含んでいた。サンプル8の波長変換部は、母材と、母材中に分散した波長変換剤を含んでいた。サンプル8の波長変換部は、散乱剤を含んでいなかった。サンプル1~9の波長変換部は、散乱剤の含有量及び波長変換剤の含有量において互いに異なり、その他において同一の構成を有していた。波長変換剤は、光源からの青色光を吸収して緑色光を放出する第1変換剤と、光源からの青色光を吸収して赤色光を放出する第2変換剤と、を含んでいた。
【0177】
サンプル1~8の面光源装置において、波長変換剤の含有量は、Synopsys社製のLightToolsを用いた光線追跡シミュレーションにより決定した。サンプル1~8の面光源装置について、波長変換剤の含有量は、各サンプルの面光源装置を対象としたシミュレーションにおいて、発光面を白色に発光させることができる量に決定した。サンプル10~17の波長変換部への波長変換剤の含有量は、それぞれ、サンプル1~8の波長変換部への波長変換剤の含有量と同一にした。サンプル9及び18の波長変換剤の含有量は、波長変換剤の含有量が最も少なかったサンプルの波長変換剤の含有量の5倍とした。サンプル1~18の波長変換部に含有されていた波長変換剤の量を、相対比にて、表1の「含有量比」の欄に示す。
【0178】
サンプル10~18は、光学要素部が設けられていない点を除き、サンプル1~9のそれぞれと同一の構成を有していた。すなわち、サンプル10は、光学要素部が設けられていない点においてサンプル1と異なり、その他の点においてサンプル1と同一の構成を有していた。サンプル11は、光学要素部が設けられていない点においてサンプル2と異なり、その他の点においてサンプル2と同一の構成を有していた。サンプル12は、光学要素部が設けられていない点においてサンプル3と異なり、その他の点においてサンプル3と同一の構成を有していた。サンプル13は、光学要素部が設けられていない点においてサンプル4と異なり、その他の点においてサンプル4と同一の構成を有していた。サンプル14は、光学要素部が設けられていない点においてサンプル5と異なり、その他の点においてサンプル5と同一の構成を有していた。サンプル15は、光学要素部が設けられていない点においてサンプル6と異なり、その他の点においてサンプル6と同一の構成を有していた。サンプル16は、光学要素部が設けられていない点においてサンプル7と異なり、その他の点においてサンプル7と同一の構成を有していた。サンプル17は、光学要素部が設けられていない点においてサンプル8と異なり、その他の点においてサンプル8と同一の構成を有していた。サンプル18は、光学要素部が設けられていない点においてサンプル9と異なり、その他の点においてサンプル9と同一の構成を有していた。
【0179】
(第1光学シート、第2光学シート、反射型偏光板)
第1光学シートおよび第2光学シートは米国3M社から入手可能な「BEF」(登録商標)とした。第1光学シートは、プリズムの長手方向が第1方向と平行になるように配置した。第2光学シートは、プリズムの長手方向が第2方向と平行になるように配置した。反射型偏光板は米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)とした。
【0180】
<評価1>
サンプル1~18としての面光源装置の発光面を発光させて、明るさのむら及び色むらの有無を確認した。結果を表1の「評価1」の欄に示した。「〇」が記入されたサンプルの面光源装置では、明るさ及び色の面内分布が均一化されていた。明るさ及び色の面内分布がより均一化されていたサンプルに、より多くの「〇」を記入している。「×」が記入されたサンプルの面光源装置では、明るさのむら及び色むらの少なくとも一方が生じていた。
【0181】
<評価2>
サンプル1~18としての面光源装置の発光面を発光させた状態で、発光面の色を確認した。結果を表1の「評価1」の欄に示した。また、表1には、光学要素部の有無、すなわち光学要素部によって形成される凹凸面の有無が記入されている。
【0182】
<評価3>
サンプル1~18の波長変換シートについて透過内部ヘイズを測定した。ヘイズは、村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM-150を用いて、JIS K7136:2000に準拠して測定した値とした。一次光と異なる波長の光についての波長変換シートの透過内部ヘイズの測定結果を、表1の「ヘイズ1」の欄に示す。「ヘイズ1」の測定では、ヘイズメーターの光源からの光がバンドパスフィルタを透過してサンプルに入射するようにした。「ヘイズ1」の測定では、サンプルには500nm以下の波長の光が実質的に入射しないようにした。ヘイズメーターの光源からの光がすべてサンプルに入射するようにして測定して各サンプルの透過内部ヘイズを測定し、その測定結果を表1の「ヘイズ2」の欄に示す。
【0183】
ヘイズ1の値が45%以下となるサンプルを用いた場合、評価1の結果が「○」以上となった。ヘイズ2の値が50%以下となるサンプルを用いた場合、評価1の結果が「○」以上となった。
【0184】
ヘイズ1の値が45%以下となるサンプルでは、単位光学要素による凹凸面を設けることによって、発光面の色を調節できた。ヘイズ2の値が50%以下となるサンプルでは、光学要素部の凹凸面を設けることによって、発光面の色を調節できた。ヘイズ1の値が45%より大きいサンプルでは、光学要素部の凹凸面を設けることによって、発光面の色を調節できなかった。ヘイズ2の値が50%より大きいサンプルでは、光学要素部の凹凸面を設けることによって、発光面の色を調節できなかった。これらから、ヘイズ1が45%以下である場合、光学要素部の凹凸面によって一次光の循環が促され、波長変換剤の利用効率を改善して波長変換剤の使用量を低減できる、と考えられた。ヘイズ2が50%以下である場合、光学要素部の凹凸面によって一次光の循環が促され、波長変換剤の利用効率を改善して波長変換剤の使用量を低減できる、と考えられた。
【0185】
10:表示装置、15:表示パネル、15a:表示面、20:面光源装置、20a:発光面、22:光源基板、23:光源、25:支持基板、26:基板本体、27:反射層、29:配線、30:光学部材、30a:入光側面、30b:出光側面、40:選択透過シート、40a:第1面、40b:第2面、45:選択透過部、45a:第1面、45b:第2面、46:誘電体多層膜、60:波長変換シート、60a:第1面、60b:第2面、61:凹凸面、63:第1バリア層、64:第2バリア層、65:波長変換部、65a:第1面、65b:第2面、66:母材部、67:波長変換剤、67A:第1変換剤、67B:第2変換剤、70:光学要素部、70a:第1面、70b:第2面、72:本体部、73:凸部、74:凹部、75:単位光学要素、76:要素面、81:第1光学シート、82:第2光学シート、83:本体部、84:単位プリズム、85:反射型偏光板、D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向、LA:一次光、LB:二次光、LB1:第1二次光、LB2:第2二次光