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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151320
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】レフィル容器および二重容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20231005BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20231005BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65D77/06 F
A45D34/00 510Z
A45D40/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060880
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】神村 千秋
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA04
3E067AB81
3E067BA02C
3E067BA13B
3E067BB08C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC02B
3E067BC06C
3E067CA07
3E067EA17
3E067EA32
3E067EB17
3E067EB27
3E067EE40
3E067FA04
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】寸法公差が比較的大きな容器本体に対しても、寸法精度を要する付け替えを容易に行うことができる、レフィル容器および二重容器を提供する。
【解決手段】レフィル容器1は、容器本体50の空間S50に取外し可能に収容される胴部2と、底部3と、を備える。胴部2には、当該胴部2を空間S50に収容した状態において当該容器本体50の内周面F51を全周にわたって押圧する、固定用フランジ4が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に形成された空間に取外し可能に収容される胴部と、前記胴部に連なる底部と、を備える、レフィル容器であって、
前記胴部には、当該胴部を前記容器本体の前記空間に収容した状態において当該容器本体の内周面を全周にわたって押圧する、固定用フランジが設けられている、レフィル容器。
【請求項2】
前記固定用フランジは、変形および復元が可能な、柔軟なフランジである、請求項1に記載されたレフィル容器。
【請求項3】
前記胴部には、複数の前記固定用フランジが設けられている、請求項1または2に記載されたレフィル容器。
【請求項4】
前記胴部の片側のうちの、前記固定用フランジよりも前記底部側に位置する底部側部分は、軸直方向内側に向かって扁平状に凹んだ扁平状形状に形作られており、
前記底部側部分には、当該前記底部側部分の一部を軸直方向内側に凹ませて軸直方向内側に突出させた凸部が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載されたレフィル容器。
【請求項5】
前記胴部の上端は、当該上端に形成された開口部を閉じるシール部材を取り付けるためのシール用フランジによって形作られている、請求項1~4のいずれか1項に記載されたレフィル容器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載されたレフィル容器と、前記レフィル容器の前記胴部を取外し可能に収容する空間が形成された容器本体と、を備える、二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レフィル容器および二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の二重容器には、例えば、容器本体(外容器)に交換可能なレフィル容器を装着させた化粧料容器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。レフィル容器の付け替えは、例えば、レフィル容器を外容器に圧入などで嵌合させることによって固定する手段、または、アンダーカット嵌合などの互いを引っ掛けて固定する手段を用いることによって、行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-007410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の容器本体が寸法公差の比較的大きな材料(例えば、ガラス)によって形成されている場合、当該寸法公差のために、上記手段のような寸法精度を要する付け替えによって、二重容器の付け替え化(レフィル化)を行うことは困難である。
【0005】
本発明の目的は、寸法公差が比較的大きな容器本体に対しても、寸法精度を要する付け替えを容易に行うことができる、レフィル容器および二重容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、レフィル容器は、容器本体に形成された空間に取外し可能に収容される胴部と、前記胴部に連なる底部と、を備える、レフィル容器であって、前記胴部には、当該胴部を前記容器本体の前記空間に収容した状態において当該容器本体の内周面を全周にわたって押圧する、固定用フランジが設けられている。
【0007】
本発明に係る、レフィル容器において、前記固定用フランジは、変形および復元が可能な、柔軟なフランジであることが好ましい。
【0008】
本発明に係る、レフィル容器において、前記胴部には、複数の前記固定用フランジが設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明に係る、レフィル容器において、前記胴部の片側のうちの、前記固定用フランジよりも前記底部側に位置する底部側部分は、軸直方向内側に向かって扁平状に凹んだ扁平状形状に形作られており、前記底部側部分には、当該前記底部側部分の一部を軸直方向内側に凹ませて軸直方向内側に突出させた凸部が形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明に係る、レフィル容器において、前記胴部の上端は、当該上端に形成された開口部を閉じるシール部材を取り付けるためのシール用フランジによって形作られているものとすることができる。
【0011】
本発明に係る、二重容器は、上記のいずれかに記載された前記レフィル容器と、前記レフィル容器の前記胴部を取外し可能に収容する空間が形成された容器本体と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、寸法公差が比較的大きな容器本体に対しても、寸法精度を要する付け替えを容易に行うことができる、レフィル容器および二重容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るレフィル容器を備える、本発明の一実施形態に係る、二重容器を概略的に示す断面図である。
図2図1の二重容器から蓋体が取り外された状態を上側から示す平面図である。
図3】レフィル容器が装着されていない図1の二重容器を一部断面で概略的に示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るレフィル容器を一部断面で概略的に示す側面図である。
図5図4のレフィル容器を下側から示す底面図である。
図6図3の容器本体に対して、図4のレフィル容器の装着が開始される直前の状態を一部断面で概略的に示す側面図である。
図7図3の容器本体に対して、図4のレフィル容器の装着が完了した状態を一部断面で概略的に示す側面図である。
図8図7の二重容器において、図4のレフィル容器に充填された内容物の残量を確認するための方法の一例を一部断面で概略的に示す側面図である。
図9図7の二重容器において、図4のレフィル容器に充填された内容物を使い切った後、図4のレフィル容器の取出しが行われている状態を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、レフィル容器1及び二重容器10について説明をする。本開示において、レフィル容器1及び二重容器10は、化粧クリームなどを内容物Mとする、化粧料用レフィル容器および化粧料容器として使用することができる。本開示において、符号О10は、二重容器10の中心軸線である。また、符号О1および符号О50は、それぞれ、レフィル容器1の中心軸線および容器本体50の中心軸線である。本開示において、レフィル容器1は、当該レフィル容器1の中心軸線О1が容器本体50の中心軸線О50と同軸になるように、当該容器本体50に収容される。すなわち、本開示において、二重容器10の中心軸線О10は、レフィル容器1の中心軸線О1および容器本体50の中心軸線О50と同軸である。
【0015】
さらに、本開示において、中心軸線に対して平行に延在する方向を軸線方向といい、中心軸線に対して直交する方向を軸直方向という。加えて、本開示において、「上」とは、通常の意味のほかに、二重容器(容器本体、レフィル容器を含む)の開口部の側を意味することを含む。また、以下の説明において、「下」とは、通常の意味のほかに、二重容器(容器本体、レフィル容器を含む)の底部の側を意味することを含む。
【0016】
<二重容器>
図1中、符号10は、本発明の一実施形態に係る、二重容器である。二重容器10は、後述のレフィル容器1と、レフィル容器1の胴部2を取外し可能に収容する空間S50(以下、「容器本体50の収容空間S50」ともいう。)が形成された容器本体50と、を備えている。
【0017】
加えて、本開示において、二重容器10は、蓋体60を備えている。図2には、二重容器10から蓋体60が取り外された状態が上側から示されている。
【0018】
図3には、レフィル容器1が装着されていない二重容器10が一部断面で概略的に示されている。
【0019】
本開示において、容器本体50は、例えば、ガラス、合成樹脂によって形成することができる。本開示において、容器本体50は、寸法公差が大きいガラスによって形成されている。図3を参照すれば、本開示において、容器本体50は、当該容器本体50の収容空間S50に通じる開口部A50が形成された口部51と、口部51に連なる肩部52と、肩部52に連なる胴部53と、胴部53に連なる底部54とを備えている。
【0020】
図3に示すように、本開示において、容器本体50の収容空間S50は、底付き穴である。具体的には、容器本体50の中心軸線О50に沿って延在するストレート穴である。ここで、ストレート穴とは、段差を有しない平滑な内周面F51によって形成されている穴をいう。本開示において、容器本体50の収容空間S50は、直径D50(以下、「内径D50」ともいう。)の丸穴によって形成されている。具体的には、容器本体50の収容空間S50は、内径D50が軸線方向に沿って同一のストレート穴によって形成されている。ただし、本開示において、ストレート穴は、同一の内径D50によって形成された穴に限定されるものではない。本開示において、ストレート穴には、底部54に向かうにしたがって内径D50が小さくなるテーパ穴も含まれる。
【0021】
また、本開示において、蓋体60は、容器本体50の口部51に対して着脱可能に装着されている。本開示において、蓋体60は、ねじキャップである。具体的には、蓋体60は、容器本体50の口部51に取外し可能に螺合する内蓋61と、内蓋61の下面に取り付けられた裏蓋62と、内蓋61を覆う外蓋63と、を備えている。外蓋63は、内蓋61に固定されている。裏蓋62は、蓋体60を容器本体50の口部51に取り付けた状態で、口部51の開口部A50を密封する。ただし、蓋体60は、本開示のように、内蓋61と外蓋63とを備えた多層のねじキャップに限定されるものではない。蓋体60は、外蓋63が省略された単層のねじキャップとすることができる。また、蓋体60は、容器本体50の口部51に対して着脱可能なキャップであれば、ねじキャップに限定されるものではない。
【0022】
<レフィル容器>
図4には、本発明の一実施形態に係るレフィル容器1が一部断面で概略的に示されている。
【0023】
本開示において、レフィル容器1は、合成樹脂によって形成されている。本開示において、レフィル容器1は、薄肉のレフィル容器である。本開示において、レフィル容器1は、合成樹脂によって一体的に成形されている。合成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどが挙げられる。本開示において、前記合成樹脂には、より再利用しやすいポリプロピレンが使用されている。
【0024】
レフィル容器1は、容器本体50の収容空間S50に取外し可能に収容される胴部2と、胴部2に連なる底部3と、を備えている。
【0025】
レフィル容器1の内部には、内容物Mを収容する収容空間S1(以下、「レフィル容器1の収容空間S1」ともいう。)が形成されている。レフィル容器1の収容空間S1は、胴部2の上端に形成された開口部A1を通して外界に通じる。
【0026】
また、胴部2には、固定用フランジ4が設けられている。図1に示すように、固定用フランジ4は、胴部2を容器本体50の収容空間S50に収容した状態において当該容器本体50の内周面F51を全周にわたって押圧する。これによって、レフィル容器1は、固定用フランジ4によって容器本体50に固定される。
【0027】
本開示において、固定用フランジ4は、変形および復元が可能な、柔軟なフランジである。これによって、本開示において、レフィル容器1は、固定用フランジ4によって容器本体50により強固に固定される。本開示において、固定用フランジ4は、胴部2とともに、変形および復元が可能な合成樹脂(ポリプロピレン)によって形成されている。
【0028】
また、本開示において、胴部2には、複数の固定用フランジ4を設けることができる。この場合、レフィル容器1は、固定用フランジ4によって容器本体50により強固に固定される。本実施形態において、胴部2には、上部固定用フランジ4aと、下部固定用フランジ4bとの、2つの固定用フランジが設けられている。本開示において、上部固定用フランジ4aと、下部固定用フランジ4bとは、軸線方向(レフィル容器1の中心軸線О1の延在方向)に間隔を置いて配置されている。
【0029】
さらに、レフィル容器1において、胴部2の片側のうちの、固定用フランジ4よりも底部3側に位置する底部側部分は、軸直方向内側に向かって扁平状に凹んだ扁平状形状に形作られている。
【0030】
図5には、レフィル容器1が下側から示されている。
【0031】
本開示において、「胴部2の片側」とは、胴部2の全周を前後で規定した場合、前後両側のうちの、前側または後側をいう。あるいは、「胴部2の片側」とは、胴部2の全周を左右で規定した場合、左右両側のうちの、右側または左側をいう。
【0032】
図5を参照すれば、本開示において、胴部2の片側とは、図5に示すように底面視において、中心軸線О1を通る境界線Xを基準に、当該境界線Xを挟んだ一方側または他方側をいう。以下の説明では、説明を簡略化するため、胴部2の両側のうち、片側の一方を前側21とし、胴部2の片側の他方を後側22とする。
【0033】
本開示において、胴部2は、前側21および後側22の2つの片側によって規定されている。また、図4を参照すれば、本開示において、後側22は、軸線方向(上下方向)において、開口部側部分22aと、底部側部分22bとによって規定されている。この場合、後側22の開口部側部分22aは、後側22のうちの、開口部A1の側に位置するとともに固定用フランジ4が設けられた部分である。また、後側22の底部側部分22bは、後側22のうちの、開口部側部分22aよりも底部3側に位置する部分である。
【0034】
図5を参照すれば、本開示において、後側22の開口部側部分22aの外形は、底面視において、前側21の外形とともに、中心軸線О1を中心とする直径D1の円形によって形作られている。即ち、胴部2の開口部側部分(固定用フランジ4が設けられた部分)の外形は、直径D1の円形である。これに対して、後側22の底部側部分22bの外形は、図5に示すように、底面視において、境界線Xと前側21の外形との、2つの交点X1との間を長軸とする半楕円形によって形作られている。本開示において、後側22の底部側部分22bの外形は、底部3に向かうにしたがって軸直方向内側(中心軸線О1側)に向かって扁平になるように凹んでいる。図4には、後側22の底部側部分22bの外形が開口部側部分22aの外形と同様に、中心軸線О1を中心とする直径D1の円形によって形作られている場合の、後側22の底部側部分22bの外形が二点鎖線によって仮想的に示されている。本開示において、後側22の底部側部分22bの外形は、後述する境界二等分線Y及び中心軸線О1を含む断面(図4の断面)でみたとき、二点鎖線に示された仮想的な後側22の底部側部分22bの外形に対して、底部3に向かうにしたがって角度αだけ軸直方向内側(中心軸線О1側)に向かって傾斜している。
【0035】
さらに、底部側部分22bには、当該底部側部分22bの一部を軸直方向内側に凹ませて軸直方向内側に突出させた凸部23が形成されている。この場合、レフィル容器1の収容空間S1から凸部23を軸直方向外側に押圧すれば、後述のとおり、レフィル容器1の前側(胴部2の前側21)が下側を向くように、当該レフィル容器1を傾けることができる。
【0036】
図2を参照すれば、凸部23は、レフィル容器1の収容空間S1の側に突出するように形成されている。本開示において、凸部23の内面(凸部23の収容空間S1側の面)F23は、図2に示すように、平面視において、中心軸線О1に向かって凸の湾曲面によって形作られている。特に、本開示において、凸部23の内面F23には、滑り止め部24が設けられている。
【0037】
また、本開示において、凸部23は、境界二等分線Y上に形成されている。本開示において、境界二等分線Yは、図2に示すように、平面視において、中心軸線О1を通って境界線Xに対して直交する線である。即ち、本開示において、凸部23は、底部側部分22bの左右方向(境界線Xの延在方向)中央に形成されている。この場合、凸部23を収容空間S1の側から押すことによって、レフィル容器1を最も効率的に傾けることができる。
【0038】
また、図4を参照すれば、本開示において、胴部2の上端は、当該上端に形成された開口部A1を閉じるシール部材6を取り付けるためのシール用フランジ5によって形作られている。シール部材6は、シール用フランジ5の上面に、接着等によって取り付けることができる。これによって、レフィル容器1の収容空間S1を外界に対して容易に密封させることができる。加えて、本開示において、シール部材6は、シール用フランジ5から取り外すことができる。これによって、レフィル容器1の収容空間S1を外界に開放することができる。本開示において、シール部材6には、把手6aが設けられている。これによって、シール部材6を容易に取り除くことができる。
【0039】
次に、レフィル容器1の装着方法の一例について説明する。以下の説明では、本開示の二重容器10は、図3に示すように、レフィル容器1が装着されてない状態を製品出荷時の状態として説明する。
【0040】
図3を参照すれば、この説明において、二重容器10は、容器本体50の収容空間S50に内容物Mが充填された状態で出荷される。このため、使用者は当初、蓋体60を開けて、容器本体50の収容空間S50に充填された内容物Mを、開口部A50を通して取り出す。即ち、レフィル容器1の装着は、容器本体50の収容空間S50に充填された内容物Mを使い切った後に行われる。
【0041】
図6には、容器本体50に対して、レフィル容器1の装着が開始される直前の状態を一部断面で概略的に示されている。また、図7には、容器本体50に対して、レフィル容器1の装着が完了した状態が一部断面で概略的に示されている。
【0042】
図6に示すように、レフィル容器1を装着するときには、容器本体50の開口部A50からレフィル容器1を挿入する。本開示において、容器本体50の収容空間S50の内径D50は、胴部2の開口部側部分(胴部2における、固定用フランジ4が設けられた部分)の外形の直径(胴部2の開口部側部分の外径)D1よりも大きい。即ち、本開示において、レフィル容器1の胴部2は、容器本体50の内周面F51に対して嵌合することはない。
【0043】
これに対し、固定用フランジ4の外形の直径(固定用フランジの外径)D4は、容器本体50の内径D50よりも大きい。このため、レフィル容器1を容器本体50の収容空間S50に押し込むと、図7に示すように、レフィル容器1を容器本体50に固定することができる。
【0044】
本開示において、レフィル容器1の押し込みは、レフィル容器1のシール用フランジ5が容器本体50の口部51の上端と接触することによって制限される。また、図7に示すように、本開示において、レフィル容器1が容器本体50に固定された状態では、レフィル容器1の底部3と、容器本体50の底部54との間には、隙間Cが形成されている。即ち、本開示において、レフィル容器1が容器本体50に固定された状態では、レフィル容器1の底部3と、容器本体50の底部54とは接触していない。
【0045】
本開示において、使用者は、レフィル容器1に充填された内容物Mを使用する場合、シール部材6を取外した後、レフィル容器1の開口部A1を通して内容物Mを取り出す。
【0046】
ところで、本開示において、固定用フランジ4は、変形および復元が可能な、柔軟なフランジである。この場合、レフィル容器1を容器本体50の収容空間S50に押し込むと、固定用フランジ4が変形する。この変形によって、固定用フランジ4と容器本体50の内周面F51との間から、容器本体50の収容空間S50の空気を外界に排出させることができる。次いで、レフィル容器1の押し込みを解除すると、レフィル容器1の押し込みによって変形していた固定用フランジ4が元の形状に復元しようとする。この復元動作によって、固定用フランジ4と容器本体50の内周面F51とは、二重容器10の中心軸線О10の周りで周方向に全周にわたって密に接触する。これによって、本開示において、レフィル容器1は、図7に示すように、容器本体50に対してより強固に固定される。
【0047】
具体的には、固定用フランジ4と容器本体50の内周面F51とは、密に接触していることから、レフィル容器1の胴部2と容器本体50の内周面F51との間の底部空間ΔS1は、固定用フランジ4によって密閉された状態にある。このため、レフィル容器1のみを容器本体50から引き上げるときには、レフィル容器1の胴部2と容器本体50の内周面F51との間の底部空間ΔS1は減圧状態となる。したがって、本開示において、レフィル容器1のみを容器本体50から引き上げようとしても、レフィル容器1のみが簡単に取り外されてしまうことがない。このように、本開示に係る、レフィル容器1によれば、図7に示すように、当該レフィル容器1を容器本体50に対してより強固に固定することができる。
【0048】
さらに、本開示において、胴部2には、上部固定用フランジ4aと、下部固定用フランジ4bとの、2つの固定用フランジ4が設けられている。この場合、レフィル容器1の胴部2と容器本体50の内周面F51との間のフランジ間空間ΔS2は、上部固定用フランジ4aと、下部固定用フランジ4bとによって密閉された状態にある。このため、レフィル容器1のみを容器本体50から引き上げるときには、レフィル容器1の胴部2と容器本体50の内周面F51との間のフランジ間空間ΔS2もまた減圧状態となる。したがって、本開示のように、複数の固定用フランジ4を胴部2に設ければ、レフィル容器1のみを容器本体50から引き上げようとしても、当該レフィル容器1を容器本体50に対してより一層強固に固定することができる。
【0049】
次に、レフィル容器1の取外し方法の一例について説明する。
【0050】
図8には、図7の二重容器10において、レフィル容器1に充填された内容物Mの残量を確認するための方法の一例が一部断面で概略的に示されている。また、図9には、図7の二重容器10において、レフィル容器1に充填された内容物Mを使い切った後、当該レフィル容器1の取出しが行われている状態を概略的に示されている。
【0051】
レフィル容器1の使用後半になると、図8に示すように、凸部23が使用者の目視によって、または、使用者の指による触感によって、内容物Mの残量を確認することができる。例えば、凸部23の上端23aは、内容物Mの内容量全体の半分以下となるときに当該内容物Mから露出する位置に設定する。この場合、凸部23は、内容物Mの量が全体の半分以下となって残りが少なくなったことを知らせる、シグナルとなる。すなわち、凸部23は、内容物Mの量が残り少なったことを知らせる、注意喚起機能を発揮することができる。
【0052】
次いで、レフィル容器1の交換時には、図9に示すように、胴部2における後側22の底部側部分22bを容器本体50の内周面F51に押し付ける。本開示において、使用者は、図9に示すように、凸部23の内面F23に設けられた滑り止め部24を軸直方向外側(容器本体50の内周面F51側)に押圧する。これによって、胴部2における後側22の底部側部分22bを容器本体50の内周面F51に押し付けることができる。
【0053】
ここで、本開示において、胴部2の後側22は、図4を参照して説明したとおり、底部側部分22bが開口部側部分22aに対して底部3に向かうにしたがって中心軸線О1に接近するように角度αだけ傾斜している。このため、図9に示すように、胴部2における後側22の底部側部分22bを容器本体50の内周面F51に押し付けると、レフィル容器1は、容器本体50の収容空間S50内で前側に向かって角度αだけ下向きに傾く。このとき、図9に示すように、胴部2の前側21では、下部固定用フランジ4bと容器本体50の内周面F51との間に隙間C1が生じるとともに、胴部2の後側22では、上部固定用フランジ4aと容器本体50の内周面F51との間に隙間C2が生じる。すなわち、このとき、底部空間ΔS1は、フランジ間空間ΔS2を経由して外界に通じる。これによって、底部空間ΔS1およびフランジ間空間ΔS2の減圧状態は、当該底部空間ΔS1およびフランジ間空間ΔS2が外界に通じることによって解消される。したがって、レフィル容器1をそのまま、容器本体50の内周面F51に沿って上側に滑らせていくと、レフィル容器1を容器本体50から容易に取り除くことができる。
【0054】
本開示のように、胴部2の片側(22)のうちの、底部側部分(22b)を、軸直方向内側に向かって扁平状に凹んだ扁平状形状に形作るとともに、当該底部側部分(22b)に凸部(23)を形成すれば、上述のとおり、使用中においては、内容物Mの量が残り少なったことを知らせる、注意喚起機能を発揮することができる一方で、使用後においては、レフィル容器1を容器本体50から容易に取り除くことに役立つ。ただし、レフィル容器1の胴部2は、開口部側部分と底部側部分との全体を含めて、すなわち、軸線方向に沿って、同一の直径D1で形作られた円形となるようにすることもできる。すなわち、胴部2には、本開示のように、平面視(底面視)において、前側21と後側22とが非対称な形状となるものの他に、前側21と後側22とが対称な形状となるものも含まれる。
【0055】
新しいレフィル容器1は、使用済みのレフィル容器1を取り除いた後、図6および図7を参照して説明した操作を行うことによって、容器本体50に装着させることができる。このように、レフィル容器1を用いれば、寸法公差が比較的大きな容器本体50に対しても、寸法精度を要する付け替えを容易に行うことができる。
【0056】
したがって、本発明によれば、寸法公差が比較的大きな容器本体50に対しても、寸法精度を要する付け替えを容易に行うことができる、レフィル容器1および二重容器10を提供することができる。なお、本開示の二重容器10は、レフィル容器1が装着された状態を製品出荷時の状態とすることもできる。また、本発明によれば、容器本体50は、そのまま使用することができる。これによって、容器本体50の新規作製が不要となる。また、容器本体50の新規作製が不要となる分だけ、省資源化を図ることができる。
【0057】
以上、本発明の一実施形態に係る、蓋体付き容器及び蓋体付き容器の付け替え方法について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、様々に変更することができる。例えば、容器本体50は、上述のとおり、合成樹脂によって形成することができる。また、本発明によれば、容器本体50は、口部51を省略することができる。この場合、レフィル容器1には、容器本体50で省略された口部(51)が設けられる。また、レフィル容器1の固定用フランジ4は、上述のとおり、複数であることが好ましいが、これに限定されることなく、少なくとも1つであればよい。さらに、本開示において、レフィル容器1及び二重容器10は、化粧料用に限定されるものではない。また、内容物Mは、クリーム状の内容物に限定されるものではない。例えば、内容物Mは、固形状、粉状、または液状の内容物とすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1:レフィル容器, 2:レフィル容器の胴部, 21:胴部の前側(胴部の片側), 22:胴部の後側(胴部の片側), 22a:胴部における後側の開口部側部分, 22b:胴部における後側の底部側部分, 23:凸部, 24:滑り止め部, 3:レフィル容器の底部, 4:固定用フランジ, 4a:上部固定用フランジ, 4b:下部固定用フランジ, 5:シール用フランジ, 6:シール部材, 50:容器本体, 51:容器本体の口部, 52:容器本体の肩部, 53:容器本体の胴部, 54:容器本体の底部, A1:レフィル容器の開口部, A50:容器本体における口部の開口部, α:角度, D1:レフィル容器の胴部の直径(レフィル容器の胴部の開口部側部分の外径), D50:容器本体の内径, F23:凸部の内面, F51:容器本体の内周面, M:内容物, О1:レフィル容器の中心軸線, О10:二重容器の中心軸線, О50:容器本体の中心軸線, S1:レフィル容器の収容空間, S50:容器本体の収容空間, ΔS1:底部空間, ΔS2:フランジ間空間, X:境界線, Y:境界二等分線
図1
図2
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図6
図7
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図9