(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151330
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】密閉型圧縮機及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F04B 39/12 20060101AFI20231005BHJP
F04C 29/12 20060101ALI20231005BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F04B39/12 101F
F04C29/12 C
F04C29/12 D
F04C29/00 B
F04C29/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060897
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 直人
(72)【発明者】
【氏名】上田 健史
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 浩志
(72)【発明者】
【氏名】秋本 諒
(72)【発明者】
【氏名】安井 達也
(72)【発明者】
【氏名】森田 雄大
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB04
3H003AC03
3H003CD01
3H003CD06
3H129AA04
3H129AA13
3H129AA32
3H129AB03
3H129BB32
3H129CC09
3H129CC10
3H129CC24
3H129CC26
(57)【要約】
【課題】圧縮機本体容器の径方向に対する小型化を図る。
【解決手段】密閉型圧縮機は、圧縮機本体容器の下方に、気体冷媒を圧縮部に供給するアキュムレータ容器が設けられる。アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、アキュムレータシェルの開口側が圧縮機本体容器に接合される。アキュムレータシェルの内部には、アキュムレータシェルから圧縮部へ気体冷媒を供給する単一の冷媒供給管が設けられる。冷媒供給管は、アキュムレータシェルの内部から圧縮機本体容器のボトムシェルを貫通して圧縮部に接続される。圧縮部には、冷媒供給管から上シリンダの上圧縮室及び下シリンダの下圧縮室のそれぞれに気体冷媒を供給する冷媒供給経路が形成され、冷媒供給経路には冷媒供給管が接続される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型円筒状の圧縮機本体容器の内部に、吸入した気体冷媒を圧縮して前記圧縮機本体容器内に吐出する上シリンダ及び下シリンダを有する圧縮部と、前記圧縮部を駆動するモータと、が収容され、
前記圧縮機本体容器の下方に、吸入した冷媒を気体冷媒と液体冷媒とに分離して気体冷媒を前記圧縮部に供給するアキュムレータ容器が設けられた密閉型圧縮機であって、
前記圧縮機本体容器は、円筒状のメインシェルと、前記メインシェルの下端部に接合されるボトムシェルと、を有し、
前記アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、前記アキュムレータシェルの開口側が前記圧縮機本体容器に接合され、
前記アキュムレータシェルの内部には、前記アキュムレータシェルから前記圧縮部へ気体冷媒を供給する単一の冷媒供給管が設けられ、
前記冷媒供給管は、前記アキュムレータシェルの内部から前記圧縮機本体容器の前記ボトムシェルを貫通して前記圧縮部に接続され、
前記圧縮部には、前記冷媒供給管から前記上シリンダの上圧縮室及び前記下シリンダの下圧縮室のそれぞれに気体冷媒を供給する冷媒供給経路が形成され、
前記冷媒供給経路には前記冷媒供給管が接続される、密閉型圧縮機。
【請求項2】
前記圧縮部は、前記上シリンダと前記下シリンダの間に配置された仕切板と、前記下シリンダの下端を閉塞する下端板と、を有し、
前記冷媒供給経路は、前記上シリンダに形成された上圧縮部吸入路と、前記仕切板に形成された連通路と、前記下シリンダに形成された下圧縮部吸入路と、前記下端板に形成された接続路と、を有し、
前記冷媒供給管は、前記接続路に接続される、
請求項1に記載の密閉型圧縮機。
【請求項3】
前記下シリンダの前記下圧縮部吸入路は、前記下圧縮室に接続される第1流路と、前記仕切板の前記連通路に接続される第2流路とに分岐する、
請求項2に記載の密閉型圧縮機。
【請求項4】
前記冷媒供給経路は、前記下端板の前記接続路から前記上シリンダの前記上圧縮部吸入路まで前記圧縮部の上下方向に沿って形成された直線経路を含む、
請求項2または3に記載の密閉型圧縮機。
【請求項5】
前記冷媒供給管は、前記ボトムシェルから前記圧縮部まで前記圧縮部の上下方向に沿って直線状に延ばされる、
請求項4に記載の密閉型圧縮機。
【請求項6】
前記上シリンダ、前記仕切板及び前記下シリンダは、外周の一部が当該外周から張り出した張り出し部をそれぞれ有し、
前記冷媒供給経路の少なくとも一部は、前記張り出し部に形成される、
請求項2ないし5のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
【請求項7】
前記仕切板の端面は、前記上圧縮部吸入路及び前記下圧縮部吸入路の少なくとも一方の一部を形成している、
請求項2ないし6のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
【請求項8】
前記下端板には、前記接続路の内周と前記冷媒供給管の外周との間を封止する封止部材が設けられる、
請求項2ないし7のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
【請求項9】
前記冷媒供給管の一端部は、外径が徐々に縮径するテーパ状に形成され、
前記下端板の前記接続路は、内径が徐々に縮径するテーパ状に形成され、
前記冷媒供給管の前記一端部は、前記接続路に圧入された、
請求項2ないし8のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
【請求項10】
縦型円筒状の圧縮機本体容器の内部に、吸入した液体冷媒を圧縮して前記圧縮機本体容器内に吐出する上シリンダ及び下シリンダを有する圧縮部と、前記圧縮部を駆動するモータと、が収容され、前記圧縮機本体容器の下方に、吸入した冷媒を気体冷媒と液体冷媒に分離して気体冷媒を前記圧縮部に供給するアキュムレータ容器が設けられ、前記圧縮機本体容器は、円筒状のメインシェルと、前記メインシェルの下端部に接合されるボトムシェルと、を有し、前記アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、前記アキュムレータシェルの開口側が前記圧縮機本体容器に接合され、前記アキュムレータシェルの内部には、前記アキュムレータシェルから前記圧縮部へ気体冷媒を供給する単一の冷媒供給管が設けられ、前記冷媒供給管は、前記アキュムレータシェルの内部から前記圧縮機本体容器の前記ボトムシェルを貫通して前記圧縮部に接続され、前記圧縮部には、前記冷媒供給管から前記上シリンダの上圧縮室及び前記下シリンダの下圧縮室のそれぞれに気体冷媒を供給する冷媒供給経路が形成され、前記冷媒供給経路には前記冷媒供給管が接続される、密閉型圧縮機の製造方法であって、
前記圧縮部に接続された前記冷媒供給管が貫通して設けられると共に前記メインシェルに接合された前記ボトムシェルに対して、前記アキュムレータシェルを溶接により接合する、密閉型圧縮機の製造方法。
【請求項11】
縦型円筒状の圧縮機本体容器の内部に、吸入した液体冷媒を圧縮して前記圧縮機本体容器内に吐出する上シリンダ及び下シリンダを有する圧縮部と、前記圧縮部を駆動するモータと、が収容され、前記圧縮機本体容器の下方に、吸入した冷媒を気体冷媒と液体冷媒に分離して気体冷媒を前記圧縮部に供給するアキュムレータ容器が設けられ、前記圧縮機本体容器は、円筒状のメインシェルと、前記メインシェルの下端部に接合されるボトムシェルと、を有し、前記アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、前記アキュムレータシェルの開口側が前記圧縮機本体容器に接合され、前記アキュムレータシェルの内部には、前記アキュムレータシェルから前記圧縮部へ気体冷媒を供給する単一の冷媒供給管が設けられ、前記冷媒供給管は、前記アキュムレータシェルの内部から前記圧縮機本体容器の前記ボトムシェルを貫通して前記圧縮部に接続され、前記圧縮部には、前記冷媒供給管から前記上シリンダの上圧縮室及び前記下シリンダの下圧縮室のそれぞれに気体冷媒を供給する冷媒供給経路が形成され、前記冷媒供給経路には前記冷媒供給管が接続される、密閉型圧縮機の製造方法であって、
前記アキュムレータシェルが接合された前記ボトムシェルを貫通して設けられた前記冷媒供給管を前記圧縮部に接続すると共に、前記メインシェルに対して前記ボトムシェルを溶接により接合する、密閉型圧縮機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型圧縮機及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機として、縦型円筒状の圧縮機本体容器と、圧縮機本体容器の径方向に並んで配置されたアキュムレータと、を備えるものが知られている。
【0003】
関連技術の圧縮機としては、圧縮機本体容器の下方に、アキュムレータ容器が配置されたものがある。このようにアキュムレータ容器が圧縮機本体容器の下方に配置されたことで、圧縮機本体容器の径方向に対しての圧縮機の小型化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-27043号公報
【特許文献2】特開2020-109283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した圧縮機では、アキュムレータ容器から圧縮部のシリンダへ気体冷媒を供給する冷媒供給管が、圧縮機本体容器の外部に配置されているので、圧縮機本体容器の径方向に対して冷媒供給管が占める空間を確保することで圧縮機が大型化する問題がある。特に、圧縮部が上シリンダと下シリンダを有する場合には、各シリンダに接続される2本の冷媒供給管が圧縮機本体容器の外部に配置されるので、圧縮機本体容器の径方向に対して圧縮機が更に大型化する問題がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、圧縮機本体容器の径方向に対する小型化を図ることができる密閉型圧縮機及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する密閉型圧縮機の一態様は、縦型円筒状の圧縮機本体容器の内部に、吸入した気体冷媒を圧縮して圧縮機本体容器内に吐出する上シリンダ及び下シリンダを有する圧縮部と、圧縮部を駆動するモータと、が収容され、圧縮機本体容器の下方に、吸入した冷媒を気体冷媒と液体冷媒に分離して気体冷媒を圧縮部に供給するアキュムレータ容器が設けられた密閉型圧縮機であって、圧縮機本体容器は、円筒状のメインシェルと、メインシェルの下端部に接合されるボトムシェルと、を有し、アキュムレータ容器は、カップ状のアキュムレータシェルを有し、アキュムレータシェルの開口側が圧縮機本体容器に接合され、アキュムレータシェルの内部には、アキュムレータシェルから圧縮部へ気体冷媒を供給する単一の冷媒供給管が設けられ、冷媒供給管は、アキュムレータシェルの内部から圧縮機本体容器のボトムシェルを貫通して圧縮部に接続され、圧縮部には、冷媒供給管から上シリンダの上圧縮室及び下シリンダの下圧縮室のそれぞれに気体冷媒を供給する冷媒供給経路が形成され、冷媒供給経路には冷媒供給管が接続される。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する密閉型圧縮機の一態様によれば、圧縮機本体容器の径方向に対する小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、実施例における圧縮部を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例の要部を拡大して示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、実施例における冷媒供給管の接続構造を示す縦断面図である。
【
図5A】
図5Aは、実施例における上シリンダを上方から見た平面図である。
【
図5B】
図5Bは、実施例における上シリンダを下方から見た平面図である。
【
図6A】
図6Aは、実施例における下シリンダを上方から見た平面図である。
【
図6B】
図6Bは、実施例における下シリンダを下方から見た平面図である。
【
図7】
図7は、実施例における中間仕切板を上方から見た平面図である。
【
図8】
図8は、実施例における下端板を下方から見た平面図である。
【
図9】
図9は、実施例における下端板カバーを下方から見た平面図である。
【
図10】
図10は、実施例における冷媒供給管の接続構造の他の例を示す縦断面図である。
【
図11】
図11は、実施例のロータリ圧縮機の製造方法を説明するための縦断面図である。
【
図12】
図12は、実施例のロータリ圧縮機の製造方法の他の例を説明するための縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する密閉型圧縮機及びその製造方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する密閉型圧縮機及びその製造方法が限定されるものではない。
【実施例0011】
(ロータリ圧縮機の構成)
本実施例では、密閉型圧縮機の一例として、ロータリ圧縮機について説明する。
図1は、実施例のロータリ圧縮機を示す縦断面図である。
図2は、実施例における圧縮部を示す分解斜視図である。
【0012】
図1に示すように、ロータリ圧縮機1は、圧縮機本体容器10の内部に、冷媒供給管31から冷媒を吸入して圧縮した冷媒を圧縮機本体容器10の内部に吐出する圧縮部12と、圧縮部12を駆動するモータ11と、が収容され、圧縮部12で圧縮された高圧冷媒を圧縮機本体容器10の内部に吐出し、さらに吐出管107を通して冷凍サイクルに吐出する内部高圧型の密閉型圧縮機である。
【0013】
圧縮機本体容器10は、
図1に示すように、縦型円筒状のメインシェル10aと、カップ状のトップシェル10bと、カップ状のボトムシェル10cと、を有している。圧縮機本体容器10は、メインシェル10aの上端部にトップシェル10bの開口側10gが溶接によって固定され、メインシェル10aの下端部にボトムシェルの開口側10dが溶接によって固定されることで構成されている。
【0014】
圧縮部12で圧縮された高圧冷媒を圧縮機本体容器10の内部から冷凍サイクルに吐出するための吐出管107がトップシェル10bを貫通して設けられている。吐出管107はトップシェル10bに直接ろう付けによって接合されている。
【0015】
図1及び
図3に示すように、圧縮機本体容器10の下方には、後述するアキュムレータ吸入管27を介して吸入される低圧冷媒を気体冷媒と液体冷媒とに分離して気体冷媒だけを圧縮部12に吸入させるためのアキュムレータ容器25が設けられている。アキュムレータ容器25は、カップ状のアキュムレータシェル26を有しており、アキュムレータシェル26の開口側26aが圧縮機本体容器10のボトムシェル10cに溶接によって接合されている。したがって、圧縮機本体容器10のボトムシェル10cは、アキュムレータシェル26の開口側26aを塞ぐ蓋を兼ねている。なお、図示しないが、カップ状のアキュムレータシェル26は、円筒状のメインシェルと、皿状のボトムシェルと、を有し、メインシェルの下端部にボトムシェルの外周部が接合されることで形成されてもよい。
【0016】
アキュムレータシェル26には、アキュムレータ容器25の内部に冷媒を吸入するアキュムレータ吸入管27と、アキュムレータ容器25の内部から気体冷媒を圧縮部12へ送る単一の冷媒供給管31と、が設けられている。アキュムレータ吸入管27は、アキュムレータシェル26の側壁を貫通してアキュムレータシェル26に溶接によって接合されている。冷媒供給管31は、アキュムレータシェル26の内部に設けられており、アキュムレータシェル26の内部から圧縮機本体容器10のボトムシェル10cの底部10eを貫通して圧縮部12に接続されている。冷媒供給管31の構造の詳細については後述する。
【0017】
図1に示すように、アキュムレータシェル26における下部、すなわち、開口側26aとは反対側である反開口側26bには、ロータリ圧縮機1全体を支持するベース部材310が溶接によって固定されている。
【0018】
図1及び
図2に示すように、圧縮部12は、上シリンダ121Tと、下シリンダ121Sと、中間仕切板140と、上端板160Tと、下端板160Sと、回転軸15と、を有する。圧縮部12は、上端板160T、上シリンダ121T、中間仕切板140、下シリンダ121S、下端板160Sの順に積層され、複数のボルト175によって固定されている。すなわち、中間仕切板140は、上シリンダ121Tと下シリンダ121Sの間に配置されている。上端板160Tは、上シリンダ121Tの上端を閉塞している。下端板160Sは、下シリンダ121Sの下端を閉塞している。
【0019】
また、上端板160Tには主軸受部161Tが設けられている。下端板160Sには副軸受部161Sが設けられている。回転軸15には主軸部153と、上偏心部152Tと、下偏心部152Sと、副軸部151と、が設けられている。回転軸15の主軸部153が上端板160Tの主軸受部161Tに嵌め込まれ、回転軸15の副軸部151が下端板160Sの副軸受部161Sに嵌め込まれることにより、回転軸15は回転自在に支持されている。
【0020】
モータ11は、外側に配置されたステータ111と、内側に配置されたロータ112と、を有している。ステータ111は、メインシェル10aの内周面に焼嵌めによって固定されている。ロータ112は、回転軸15に焼嵌めによって固定されている。
【0021】
圧縮機本体容器10の内部には、圧縮部12の摺動部材の潤滑及び圧縮室内の高圧部と低圧部とのシールのために、圧縮部12がほぼ浸漬する量の潤滑油18が封入されている。
【0022】
次に、
図2を用いて圧縮部12を詳しく説明する。上シリンダ121Tには内部に円筒状の上中空部130Tが設けられ、上中空部130Tには上ピストン125Tが配置されている。上ピストン125Tは回転軸15の上偏心部152Tに嵌め込まれている。下シリンダ121Sには内部に円筒状の下中空部130Sが設けられ、下中空部130Sには下ピストン125Sが配置されている。下ピストン125Sは回転軸15の下偏心部152Sに嵌め込まれている。
【0023】
上シリンダ121Tには上中空部130Tから外周側へ延びる溝部が設けられており、溝部に上ベーン127Tが配置されている。上シリンダ121Tは、円形状の外周の一部がこの外周から張り出した張り出し部122Tを有する。上シリンダ121Tには、張り出し部122Tの外周から溝部に通じる上スプリング穴124Tが設けられており、上スプリング穴124Tに上スプリング126Tが配置されている。下シリンダ121Sには下中空部130Sから外周側へ延びる溝部が設けられており、溝部に下ベーン127Sが配置されている。下シリンダ121Sは、円形状の外周の一部がこの外周から張り出した張り出し部122Sを有する。下シリンダ121Sには、張り出し部122Tの外周から溝部に通じる下スプリング穴124Sが設けられており、下スプリング穴124Sに下スプリング126Sが配置されている。
【0024】
上ベーン127Tの一端が上スプリング126Tによって上ピストン125Tに押し当てられることにより、上シリンダ121Tの上中空部130Tにおいて上ピストン125Tの外側の空間が、上圧縮室としての上吸入室131Tと上吐出室133Tに区画される。上シリンダ121Tには、冷媒供給管31を通して気体冷媒が上吸入室131Tに供給される冷媒供給経路143が形成されている。下ベーン127Sの一端が下スプリング126Sによって下ピストン125Sに押し当てられることにより、下シリンダ121Sの下中空部130Sにおいて下ピストン125Sの外側の空間が、下圧縮室としての下吸入室131Sと下吐出室133Sに区画される。下シリンダ121Sには、冷媒供給管31を通して気体冷媒が下吸入室131Sに供給される冷媒供給経路143が形成されている。上シリンダ121T及び下シリンダ121Sに形成される冷媒供給経路143の詳細については後述する。
【0025】
上端板160Tには、上端板160Tを貫通して上吐出室133Tに連通する上吐出穴190Tが設けられている。上端板160Tには、上吐出穴190Tを開閉するリード弁である上吐出弁200Tと、上吐出弁200Tの反りを規制する上吐出弁押さえ201Tと、が上リベット202Tによって固定されている。上端板160Tの上側には、上吐出穴190Tを覆う上端板カバー170Tが配置され、上端板160Tと上端板カバー170Tとで閉塞される上端板カバー室180Tが形成される。上端板カバー170Tは、上端板160Tと上シリンダ121Tとを固定する複数のボルト175によって上端板160Tに固定される。上端板カバー170Tには、上端板カバー室180Tと圧縮機本体容器10の内部を連通する上端板カバー吐出穴172が設けられている。また、圧縮部12が圧縮機本体容器10内に設けられる際、圧縮機本体容器10の内周面が上端板160Tの外周面に焼き嵌めされると共に、圧縮機本体容器10と溶接によって接合される。
【0026】
下端板160Sには、下端板160Sを貫通して下吐出室133Sに連通する下吐出穴190Sが設けられている。下端板160Sには、下吐出穴190Sを開閉するリード弁である下吐出弁200Sと、下吐出弁200Sの反りを規制する下吐出弁押さえ201Sと、が下リベット202Sによって固定されている。下端板160Sの下側には、下吐出穴190Sを覆う下端板カバー170Sが配置され、下端板160Sと下端板カバー170Sとで閉塞される下端板カバー室180Sを形成する(
図1参照)。下端板カバー170Sは、下端板160Sと下シリンダ121Sとを固定する複数のボルト175によって下端板160Sに固定される。また、下端板160Sには、上シリンダ121T及び下シリンダ121Sに気体冷媒を供給する冷媒供給経路143を形成する接続路147が設けられており、冷媒供給管31の後述する直管部32の上端部32aが接続路147に接続されている。
【0027】
また、圧縮部12には、下端板160S、下シリンダ121S、中間仕切板140、上端板160T及び上シリンダ121Tを貫通し、下端板カバー室180Sと上端板カバー室180Tとを連通する冷媒通路穴136(
図2参照)が設けられている。
【0028】
以下に、回転軸15の回転による冷媒の流れを説明する。回転軸15の回転によって、回転軸15の上偏心部152Tに嵌め込まれた上ピストン125T、及び下偏心部152Sに嵌め込まれた下ピストン125Sが公転運動することにより、上吸入室131T及び下吸入室131Sが容積を拡大しながら冷媒を吸入する。冷媒の吸入路として、冷凍サイクルの低圧冷媒は、アキュムレータ吸入管27を通してアキュムレータ容器25の内部に吸入され、気体冷媒だけが冷媒供給管31に吸入される。冷媒供給管31に吸入された気体冷媒は、後述する冷媒供給経路143を通って上シリンダ121Tの上吸入室131T及び下シリンダ121Sの下吸入室131Sにそれぞれ吸入される。
【0029】
次に、回転軸15の回転による吐出冷媒の流れを説明する。回転軸15の回転によって、回転軸15の上偏心部152Tに嵌合された上ピストン125Tが公転運動することにより、上吐出室133Tが容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が上吐出弁200Tの外側の上端板カバー室180Tの圧力よりも高くなったとき、上吐出弁200Tが開いて上吐出室133Tから上端板カバー室180Tへ冷媒を吐出する。上端板カバー室180Tに吐出された冷媒は、上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出穴172から圧縮機本体容器10内に吐出される。
【0030】
また、回転軸15の回転によって、回転軸15の下偏心部152Sに嵌め込まれた下ピストン125Sが公転運動することにより、下吐出室133Sが容積を縮小しながら冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒の圧力が下吐出弁200Sの外側の下端板カバー室180Sの圧力よりも高くなったとき、下吐出弁200Sが開いて下吐出室133Sから下端板カバー室180Sへ冷媒を吐出する。下端板カバー室180Sに吐出された冷媒は、冷媒通路穴136及び上端板カバー室180Tを通って上端板カバー170Tに設けられた上端板カバー吐出穴172Tから圧縮機本体容器10内に吐出される。
【0031】
圧縮機本体容器10内に吐出された冷媒は、ステータ111の外周に設けられた上下を連通する切欠き(図示せず)、又はステータ111の巻線部の隙間(図示せず)、又はステータ111とロータ112との隙間115(
図1参照)を通ってモータ11の上方に導かれ、圧縮機本体容器10の上部に配置された吐出管107から吐出される。
【0032】
次に、潤滑油18の流れを説明する。圧縮機本体容器10の下部に封入されている潤滑油18は、回転軸15の遠心力により回転軸15の内部(図示せず)を通って圧縮部12に供給される。圧縮部12に供給された潤滑油18は、冷媒に巻き込まれ霧状となって冷媒と共に圧縮機本体容器10の内部に排出される。霧状となって圧縮機本体容器10の内部に排出された潤滑油18はモータ11の回転力によって遠心力で冷媒と分離され、油滴となって再び圧縮機本体容器10の下部に戻る。しかし一部の潤滑油18は分離されずに冷媒と共に冷凍サイクルに排出される。冷凍サイクルに排出された潤滑油18は冷凍サイクルを循環してアキュムレータ容器25に戻り、アキュムレータ容器25の内部で分離されアキュムレータ容器25における下部に滞留する。アキュムレータ容器25における下部に滞留した潤滑油18は気体冷媒と共に油戻し穴37を通って少量ずつ上吸入室131T、下吸入室131Sに吸入される。
【0033】
(ロータリ圧縮機の特徴的な構成)
次に、実施例のロータリ圧縮機1の特徴的な構成について説明する。実施例の特徴には、冷媒供給管31がアキュムレータシェル26の内部から圧縮機本体容器10のボトムシェル10cを貫通して圧縮部12に接続される構造、冷媒供給管31から供給された気体冷媒を圧縮部12へ供給する冷媒供給経路143を有する構造が含まれる。
【0034】
図3は、実施例の要部を拡大して示す縦断面図である。
図4は、実施例における冷媒供給管31の接続構造を示す縦断面図である。
【0035】
図3に示すように、冷媒供給管31は、ボトムシェル10cから圧縮部12まで圧縮部12の上下方向(回転軸15の軸方向)に沿って直線状に延ばされた直管部32と、直管部32の下端から上方に向かって略U字状に折り曲げられた曲管部33と、を有する。冷媒供給管31の直管部32の上端部32aは、下端板160Sの接続路147に接続されている。冷媒供給管31の曲管部33の上端は、アキュムレータシェル26の内部に開口している。冷媒供給管31の曲管部33の上端がアキュムレータ吸入管27の開口端よりも上方に位置することにより、アキュムレータ吸入管27からアキュムレータ容器25内に流れ込んできた液体冷媒が冷媒供給管31に直接流入してしまうことが防止されている。
【0036】
下端板160Sの接続路147には、
図4に示すように、接続路147の内周と冷媒供給管31の外周との間を封止する封止部材34が設けられている。封止部材34としては、例えば、樹脂材料や金属材料によって形成されたOリングが用いられる。冷媒供給管31は、ボトムシェル10cの底部10eの貫通穴10fに通されて、アキュムレータシェル26の内部に位置する、ボトムシェル10cの底部10eの下面側から貫通穴10fに溶接部Wによって接合されている。
【0037】
図3に示すように、圧縮部12には、冷媒供給管31から上シリンダ121Tの上吸入室131T及び下シリンダ121Sの下吸入室131Sのそれぞれに気体冷媒を供給する冷媒供給経路143が形成されている。冷媒供給経路143は、上シリンダ121Tに形成された上圧縮部吸入路144と、中間仕切板140に形成された連通路145と、下シリンダ121Sに形成された下圧縮部吸入路146と、下端板160Sに形成された接続路147と、を有する。
【0038】
また、冷媒供給経路143は、下端板160Sの接続路147から上シリンダ121Tの上圧縮部吸入路144まで圧縮部12の上下方向に沿って形成された直線経路143aを含んでいる。これにより、冷媒供給経路143を簡素に形成できるので、冷媒供給経路143の加工性を高めると共に、冷媒供給経路143を有する圧縮部12の径方向への小型化を図れる。
【0039】
図5Aは、実施例における上シリンダ121Tを上方から見た平面図である。
図5Bは、実施例における上シリンダ121Tを下方から見た平面図である。
図3及び
図5A、5Bに示すように、上シリンダ121Tの上圧縮部吸入路144は、中間仕切板140に接する上シリンダ121Tの下端面121Tbに開口する溝状に形成されている。上圧縮部吸入路144は、上吸入室131Tに接続される第1流路144aと、中間仕切板140の連通路145に接続される第2流路144bと、を有する。第1流路144aは、第2流路144bから上シリンダ121Tの内周面まで、上シリンダ121Tの径方向に沿って延ばされている。
【0040】
図6Aは、実施例における下シリンダ121Sを上方から見た平面図である。
図6Bは、実施例における下シリンダ121Sを下方から見た平面図である。
図3及び
図6A、6Bに示すように、下シリンダ121Sの下圧縮部吸入路146は、下吸入室131Sに接続される第1流路146aと、中間仕切板140の連通路145に接続される第2流路146bと、を有する。
【0041】
第1流路146aは、中間仕切板140に接する下シリンダ121TS上端面121Saに開口する溝状に形成されている。第1流路146aは、第2流路146bから下シリンダ121Sの内周面まで、下シリンダ121Sの径方向に沿って延ばされている。第2流路146bは、下シリンダ121Sの厚み方向(圧縮部12の上下方向)に下シリンダ121Sを貫通して形成されている。下圧縮部吸入路146は、下吸入室131Sに冷媒を供給すると共に、中間仕切板140の連通路145に冷媒を供給するように、第1流路146aが第2流路146bから分岐して形成されている。
【0042】
このように下圧縮部吸入路146は、第1流路146aと第2流路146bとに分岐することで、単一の冷媒供給管31を用いて上圧縮部吸入路144及び下圧縮部吸入路146に気体冷媒をそれぞれ供給することが可能になり、下圧縮部吸入路146の一部を、上吸入室131Tと下吸入室131Sに気体冷媒を送る共通経路として共用できる。その結果、冷媒供給経路143を簡素化し、冷媒供給経路143を有する圧縮部12の小型化を図れる。
【0043】
図7は、実施例における中間仕切板140を上方から見た平面図である。
図3に示すように、中間仕切板140は、上シリンダ121Tに接する上端面140aと、下シリンダ121Sに接する下端面140bと、を有する。
図3及び
図7に示すように、中間仕切板140は、円形状の外周の一部がこの外周から張り出した張り出し部141を有しており、張り出し部141に、連通路145が中間仕切板140の厚み方向に貫通して形成されている。
【0044】
中間仕切板140の上端面140aは、上シリンダ121Tに接することで上圧縮部吸入路144における第1流路144aの下側の流路壁を形成している。同様に、中間仕切板140の下端面140bは、上シリンダ121Tに接することで上圧縮部吸入路144における第1流路144aの下側の流路壁を形成している。
【0045】
図8は、実施例における下端板160Sを下方から見た平面図である。
図3及び
図8に示すように、円形状の外周の一部がこの外周から張り出した張り出し部162を有しており、張り出し部162に、接続路147が下端板160Sの厚み方向に貫通して形成されている。
【0046】
図9は、実施例における下端板カバー170Sを下方から見た平面図である。
図3及び
図9に示すように、下端板カバー170Sの外周部には、下端板160Sに接続された冷媒供給管31との衝突を避けるための円弧状の切り欠き部171が形成されている。したがって、冷媒供給管31が圧縮部12に接続される際、冷媒供給管31は切り欠き部171内を通って下端板160Sの接続路147に接続される。
【0047】
上述したように、冷媒供給経路143を形成する上圧縮部吸入路144、連通路145、下圧縮部吸入路146、接続路147(以下、各経路とも称する。)は、各張り出し部122T、141、122S、162にそれぞれ形成されている。これにより、各経路が形成される部分の機械的強度を適正に確保されるので、各経路の流路断面積を大きく形成することが可能になる。その結果、冷媒供給経路143を流れる気体冷媒の流動抵抗を低減し、気体冷媒の圧縮効率を高められる。
【0048】
また、上述した実施例では、
図4に示すように、封止部材34を用いて冷媒供給管31の上端部32aと接続路147との接続部分が封止されたが、封止部材34を用いる構造に限定されない。
図10は、実施例における冷媒供給管31の接続構造の他の例を示す縦断面図である。
【0049】
図10に示すように、冷媒供給管31の上端部32aは、外径が徐々に縮径するテーパ状に形成されている。下端板160Sの接続路147は、内径が徐々に縮径するテーパ状に形成されている。冷媒供給管31の上端部32aは、接続路147に圧入されことで接続されている。このように接続路147に冷媒供給管31を圧入することにより、接続路147の内周と冷媒供給管31の外周との間が密閉されるので、封止部材34を用いることや、接続路147の内周面に封止部材34を固定する溝を加工することを省ける。
【0050】
(ロータリ圧縮機の製造方法)
以上のように構成されたロータリ圧縮機1の製造方法において、アキュムレータシェル26の内部に冷媒供給管31を組み付ける工程を説明する。
図11は、実施例のロータリ圧縮機1の製造方法を説明するための縦断面図である。
図12は、実施例のロータリ圧縮機1の製造方法の他の例を説明するための縦断面図である。
【0051】
図11に示すように、メインシェル10aの内部にモータ11及び圧縮部12を組み付けると共に、ボトムシェル10cの底部10eを貫通して接合した冷媒供給管31の上端部32aを圧縮部12の接続路147に接続し、ボトムシェル10cの開口側10dをメインシェル10aに接合することで中間体を製造する。続いて、圧縮部12に接続された冷媒供給管31が貫通して設けられると共にメインシェル10aに接合されたボトムシェル10cに対して、アキュムレータシェル26の開口側26aを溶接により接合する。なお、アキュムレータ吸入管27は、アキュムレータシェル26をボトムシェル10cに接合した後に組付けられてもよい。
【0052】
または、
図12に示すように、底部10eを貫通して冷媒供給管31を接合したボトムシェル10cに、アキュムレータシェル26の開口側26aを溶接により接合することで中間体を製造する。また、メインシェル10aの内部にモータ11及び圧縮部12を組み付けることで別の中間体を製造する。そして、アキュムレータシェル26が接合されたボトムシェル10cを貫通して設けられた冷媒供給管31の上端部32aを圧縮部12の接続路147に接続すると共に、メインシェル10aに対してボトムシェル10cの開口側10dを溶接により接合する。
【0053】
(実施例の効果)
上述したように実施例のロータリ圧縮機1におけるアキュムレータシェル26の内部には、アキュムレータシェル26から圧縮部12へ気体冷媒を供給する単一の冷媒供給管31が設けられており、冷媒供給管31が、アキュムレータシェル26の内部から圧縮機本体容器10のボトムシェル10cを貫通して圧縮部12に接続されている。圧縮部12には、冷媒供給管31から上シリンダ121Tの上吸入室131T及び下シリンダ121Sの下吸入室131Sのそれぞれに気体冷媒を供給する冷媒供給経路143が形成されており、冷媒供給経路143に冷媒供給管31が接続されている。このようにアキュムレータシェル26の内部から冷媒供給管31を通って、圧縮機本体容器10の内部から圧縮部12へ気体冷媒が供給されることで、冷媒供給管31が圧縮機本体容器10の外部に配置されないので、圧縮機本体容器10の径方向に対する小型化を図ることができる。
【0054】
また、実施例のロータリ圧縮機1の圧縮部12における下シリンダ121Sの下圧縮部吸入路146は、下吸入室131Sに接続される第1流路146aと、中間仕切板140の連通路145に接続される第2流路146bとに分岐する。これにより、単一の冷媒供給管31を用いて上圧縮部吸入路144及び下圧縮部吸入路146に気体冷媒をそれぞれ供給することが可能になり、下圧縮部吸入路146の一部を、上吸入室131Tと下吸入室131Sに気体冷媒を送る共通経路として共用できる。その結果、冷媒供給経路143を簡素化し、冷媒供給経路143を有する圧縮部12の小型化を図れる。
【0055】
また、実施例のロータリ圧縮機1の圧縮部12における冷媒供給経路143は、下端板160Sの接続路147から上シリンダ121Tの上圧縮部吸入路144まで圧縮部12の上下方向に沿って形成された直線経路143aを含む。このように冷媒供給経路143が直線経路143aを含むことにより、冷媒供給経路143の簡素化を簡素化し、冷媒供給経路143の加工性を高めると共に、冷媒供給経路143を有する圧縮部12の小型化を図れる。
【0056】
また、実施例のロータリ圧縮機1における冷媒供給管31は、ボトムシェル10cから圧縮部12まで圧縮部12の上下方向に沿って直線状に延ばされる。これにより、圧縮機本体容器10の内部における冷媒供給管31の引き回しを容易にし、冷媒供給管31を圧縮部12に接続する作業性を高められる。
【0057】
また、実施例のロータリ圧縮機1の圧縮部12における冷媒供給経路143の少なくとも一部の経路は、上シリンダ121Tの張り出し部122T、中間仕切板140の張り出し部141、下シリンダ121Sの張り出し部122S、下端板160Sの張り出し部162に形成されている。これにより、冷媒供給経路143の各経路が形成される部分の機械的強度が適正に確保されるので、各経路の流路断面積を大きく形成することが可能になり、冷媒供給経路143の流動抵抗を低減し、気体冷媒の圧縮効率を高められる。