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特開2023-151333電力管理システム、表示装置、電力管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151333
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】電力管理システム、表示装置、電力管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20231005BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02J13/00 301K
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060900
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祥真
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB08
5G064DA02
5G066HA13
5G066HB01
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】グリッド間の自己託送の電力量を適切に表示する電力管理システム、表示装置、電力管理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】電力系統10を介して複数のグリッド100a~100c間で自己託送により行う送電を管理する電力管理システム1において、電力管理装置300は、自己託送により送電側グリッドから受電側グリッドへ送電される電力量である自己託送電力量を管理する管理部と、自己託送電力量を表示装置に表示させる制御部と、を備える。制御部は、送電側グリッドについて自己託送電力量を表示する場合と、受電側グリッドについて自己託送電力量を表示する場合とで、自己託送電力量の表示態様を異ならせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統を介して複数のグリッド間で自己託送により行う送電を管理する電力管理システムであって、
前記自己託送により送電側グリッドから受電側グリッドへ送電される電力量である自己託送電力量を管理する管理部と、
前記自己託送電力量を表示装置に表示させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記送電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示させる場合と、前記受電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示させる場合とで、前記自己託送電力量の表示態様を異ならせる
電力管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記送電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示させる場合、前記自己託送電力量を消費電力量として前記表示装置に表示させ、
前記制御部は、前記受電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示させる場合、前記自己託送電力量を発電電力量として前記表示装置に表示させる
請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記送電側グリッドにおける余剰電力量を前記自己託送により前記受電側グリッドに送電する場合、前記余剰電力量を前記消費電力量として前記表示装置に表示させる
請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記自己託送により1つの送電側グリッドから2以上の受電側グリッドへの送電を行う場合、前記2以上の受電側グリッドへの前記自己託送電力量の配分を識別可能な態様で、前記自己託送電力量を表示装置に表示させる
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記自己託送により2以上の送電側グリッドから1つの受電側グリッドへの送電を行う場合、前記2以上の送電側グリッドからの前記自己託送電力量の配分を識別可能な態様で、前記自己託送電力量を前記表示装置に表示させる
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数のグリッドのそれぞれについて、前記送電側グリッドとして動作することを可能とするか否かの送電可否設定と、前記受電側グリッドとして動作することを可能とするか否かの受電可否設定とを行う
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記自己託送により1つのグリッドから他のグリッドへの送電を行うときの送電優先度を、前記他のグリッドのそれぞれについて設定する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記自己託送により1つのグリッドから他のグリッドへの送電を行うときの送電優先度を、前記送電優先度を判定する判定基準が異なる複数の判定方法の中から選択された判定方法を用いて、前記他のグリッドのそれぞれについて判定する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項9】
電力系統を介して複数のグリッド間で自己託送により行う送電を管理する電力管理システムで用いる表示装置であって、
前記自己託送により送電側グリッドから受電側グリッドへ送電される電力量である自己託送電力量を表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記送電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合と、前記受電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合とで、互いに異なる態様で前記自己託送電力量を表示する
表示装置。
【請求項10】
電力系統を介して複数のグリッド間で自己託送により行う送電を管理する電力管理システムで用いる電力管理方法であって、
前記自己託送により送電側グリッドから受電側グリッドへ送電される電力量である自己託送電力量を表示するステップを有し、
前記表示するステップは、前記送電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合と、前記受電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合とで、互いに異なる態様で前記自己託送電力量を表示するステップを含む
電力管理方法。
【請求項11】
電力系統を介して複数のグリッド間で自己託送により行う送電を管理する電力管理システムで用いる表示装置に、
前記自己託送により送電側グリッドから受電側グリッドへ送電される電力量である自己託送電力量を表示するステップを実行させ、
前記表示するステップは、前記送電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合と、前記受電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合とで、互いに異なる態様で前記自己託送電力量を表示するステップを含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システム、表示装置、電力管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送配電事業者等によって管理される電力系統を介して、分散電源から、当該分散電源と同じ主体に属する電力需要施設(別の観点では、電力負荷)への送電を行う自己託送が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、電力系統に接続されるとともに、分散電源と当該分散電源の出力電力を消費する電力負荷とを有するマイクログリッドも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-87278号公報
【特許文献2】特開2022-13180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力に関するデータをユーザが把握するためには「電力の見える化」が重要であり、分散電源の発電電力量を示すグラフ及び電力負荷の消費電力量を示すグラフ等を表示装置に表示させることが好ましい。しかしながら、マイクログリッド等のグリッド間で自己託送を行う場合、自己託送の電力量については送電側と受電側とで捉え方が変わり得るため、自己託送の電力量の表示方法が一意に定まらないという問題がある。
【0006】
本発明は、グリッド間の自己託送の電力量を適切に表示することが可能な電力管理システム、表示装置、電力管理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る電力管理システムは、電力系統を介して複数のグリッド間で自己託送により行う送電を管理するシステムである。前記電力管理システムは、前記自己託送により送電側グリッドから受電側グリッドへ送電される電力量である自己託送電力量を管理する管理部と、前記自己託送電力量を表示装置に表示させる制御部と、を備える。前記制御部は、前記送電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示させる場合と、前記受電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示させる場合とで、前記自己託送電力量の表示態様を異ならせる。
【0008】
第2の態様に係る表示装置は、電力系統を介して複数のグリッド間で自己託送により行う送電を管理する電力管理システムで用いる装置である。前記表示装置は、前記自己託送により送電側グリッドから受電側グリッドへ送電される電力量である自己託送電力量を表示する表示部を備える。前記表示部は、前記送電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合と、前記受電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合とで、互いに異なる態様で前記自己託送電力量を表示する。
【0009】
第3の態様に係る電力管理方法は、電力系統を介して複数のグリッド間で自己託送により行う送電を管理する電力管理システムで用いる方法である。前記電力管理方法は、前記自己託送により送電側グリッドから受電側グリッドへ送電される電力量である自己託送電力量を表示するステップを有する。前記表示するステップは、前記送電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合と、前記受電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合とで、互いに異なる態様で前記自己託送電力量を表示するステップを含む。
【0010】
第4の態様に係るプログラムは、電力系統を介して複数のグリッド間で自己託送により行う送電を管理する電力管理システムで用いる表示装置に、前記自己託送により送電側グリッドから受電側グリッドへ送電される電力量である自己託送電力量を表示するステップを実行させる。前記表示するステップは、前記送電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合と、前記受電側グリッドについて前記自己託送電力量を表示する場合とで、互いに異なる態様で前記自己託送電力量を表示するステップを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、グリッド間の自己託送の電力量を適切に表示することが可能な電力管理システム、表示装置、電力管理方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る電力管理システムの全体構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る電力管理装置の構成例を示す図である。
図3】実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
図4】実施形態に係る電力管理システムの動作フローを示す図である。
図5】第1実施形態に係る電力管理システムの動作例を示す図である。
図6】自己託送により送電を行う時間帯の送電側電力データの表示例を示す図である。
図7】自己託送により受電を行う時間帯の受電側電力データの表示例を示す図である。
図8】第2実施形態に係る電力管理システムの第1動作例を示す図である。
図9】第2実施形態に係る電力管理システムの第2動作例を示す図である。
図10】自己託送により2つの受電側マイクログリッド(他グリッド1及び2)に対して送電を行う時間帯の送電側電力データの表示例を示す図である。
図11】自己託送により2つの送電側マイクログリッド(他グリッド1及び2)から受電を行う時間帯の受電側電力データの表示例を示す図である。
図12】第3実施形態について説明するための図である。
図13】第3実施形態に係る電力管理システムの動作例を示す図である。
図14】第4実施形態に係る電力管理システムの動作例を示す図である。
図15】第4実施形態の変更例に係る電力管理システムの動作例を示す図である。
図16】電力管理システムの構成の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら、実施形態に係る電力管理システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。実施形態の説明では、「グリッド」が「マイクログリッド」であるものとするが、「グリッド」は「マイクログリッド」に限定されず、例えば「大規模グリッド」であってもよい。
【0014】
(1)第1実施形態
(1.1)電力管理システムの構成
まず、第1実施形態に係る電力管理システムの構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る電力管理システム1の全体構成例を示す図である。
【0015】
図1に示す電力管理システム1は、電力系統10に接続された複数のマイクログリッド100(100a,100b,100c・・・)と、複数の表示装置200(200a,200b,200c・・・)と、電力管理装置300とを有する。図1において、3つのマイクログリッド100(100a,100b,100c)を例示しているが、マイクログリッド100の数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。各マイクログリッド100及び電力管理装置300は、通信ネットワーク20を介して相互に通信可能に接続されている。通信ネットワーク20は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、及びインターネットのうち少なくとも1つを含む。
【0016】
各マイクログリッド100は、他のマイクログリッド100から地理的に離れた場所に設けられる。すなわち、複数のマイクログリッド100は、地理的に分散して設けられる。各マイクログリッド100は、分散電源110及び/又は電力負荷120を有する「施設」であってもよい。各マイクログリッド100は、分散電源110及び/又は電力負荷120を有する「エリア(地理的範囲)」であってもよい。
【0017】
各マイクログリッド100は、同一の主体に属する。ここで、「同一の主体」は、各マイクログリッド100が属する主体が完全に一致する場合(例えば、各マイクログリッド100が同一の事業者又は同一の地方自治体等に属する場合)に限定されない。例えば、あるマイクログリッド100が属する主体と他のマイクログリッド100が属する主体とが同一と見なせる程度に密接な関係を有する場合(例えば、ある企業及びそのグループ企業である場合)も「同一の主体」に含まれる。
【0018】
各マイクログリッド100は、電力系統10に接続されている。電力系統10は、各マイクログリッド100が属する主体とは異なる主体によって管理される。電力系統10を管理する主体は、電力系統10を管理する電力会社、発電事業者、送配電事業者、又は電力小売事業者であってもよい。
【0019】
第1実施形態では、各マイクログリッド100は、少なくとも1つの分散電源110及び少なくとも1つの電力負荷120を有する。図1の例では、各マイクログリッド100が分散電源110及び電力負荷120の両方を有する一例を示しているが、いずれかのマイクログリッド100が分散電源110及び電力負荷120の一方のみを有する構成であってもよい。分散電源110は、太陽光発電設備及び/又は燃料電池設備等の発電設備を含む。発電設備は、風力発電設備、地熱発電設備、及び/又はバイオマス発電設備であってもよい。分散電源110は、蓄電池設備をさらに含んでもよい。電力負荷120は、電力を消費(使用)する装置である。
【0020】
ここでは、各マイクログリッド100が同様に構成されるものとし、マイクログリッド100aを例に挙げて説明する。マイクログリッド100aは、電力線101aに接続された分散電源110a及び電力負荷120aを有する。電力線101aは、マイクログリッド100aが属する主体が管理する電力線(例えば自営線)であってもよいし、電力系統10の一部であってもよい。電力線101aは、受電点102aで電力系統10に接続される。電力負荷120aは、電力線101aを介して供給される電力、具体的には、分散電源110aから供給される電力及び/又は電力系統10から供給される電力を消費する。同様に、マイクログリッド100bは、電力線101b(及び受電点102b)に接続された分散電源110b及び電力負荷120bを有する。マイクログリッド100cは、電力線101c(及び受電点102c)に接続された分散電源110c及び電力負荷120cを有する。
【0021】
図1に示す電力管理システム1では、各マイクログリッド100は、自マイクログリッド100に関する電力データを表示する表示装置200を有する。例えば、マイクログリッド100aは、マイクログリッド100aに関する電力データを表示する表示装置200aを有する。同様に、マイクログリッド100bは、マイクログリッド100bに関する電力データを表示する表示装置200bを有する。マイクログリッド100cは、マイクログリッド100cに関する電力データを表示する表示装置200cを有する。
【0022】
各表示装置200は、通信ネットワーク20を介して電力管理装置300と通信し、電力管理装置300から受信する電力データを表示する。表示装置200は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン(PC)、又はウェアラブル端末等のモバイル端末であってもよい。表示装置200は、デスクトップPC又は電子看板等の据置端末であってもよい。
【0023】
電力管理システム1において、あるマイクログリッド100から他のマイクログリッド100に対して、電力系統10を介して自己託送により送電が行われる。これにより、例えば、1つのマイクログリッド100内で、分散電源110が出力(発電)する電力のうち電力負荷120の消費電力を除いた余剰電力を、他のマイクログリッド100で効率的に消費することが可能になる。また、離れた場所にある発電設備から自己託送をすることで複数拠点を跨いで自家消費量を増やすことができる。さらに、拠点間で発電電力を融通できることで再生可能エネルギーの比率を高め、企業及び/又はグループ全体での二酸化炭素排出量の削減に寄与することができる。
【0024】
但し、自己託送は、各マイクログリッド100が属する主体とは異なる主体、例えば、電力会社又は送配電事業者等が管理する電力系統10を送電に用いるものである。そのため、自己託送を利用する場合、「計画値同時同量」が課せられてもよい。例えば、あるマイクログリッド100aから出力される電力(ここでは、自己託送によって送電される電力と同義)の単位時間あたりの計画値及び実績値に、閾値以上の差分(いわゆる、「インバランス」)が発生した場合、マイクログリッド100が属する主体にペナルティーが課されてもよい。単位時間は、例えば30分であってもよい。ペナルティーが課されるインバランスには、送電側における送電インバランス(すなわち、送電計画値と送電実績値との差分)と、受電側における受電インバランス(すなわち、受電計画値と受電実績値との差分)とがあってもよい。
【0025】
電力管理装置300は、各マイクログリッド100の電力データを管理する装置である。電力管理装置300は、各マイクログリッド100に設けられるスマートメータ及び/又はセンサから計測データを収集することにより電力データを管理してもよい。センサは、分散電源110及び/又は電力負荷120に設けられたセンサであってもよい。電力管理装置300は、例えば、各マイクログリッド100について、分散電源110の発電電力量、電力負荷120の消費電力量、電力系統10からの買電電力量(潮流電力量)、及び自己託送の電力量(以下、「自己託送電力量」と称する)を管理する。ここで、「電力量」とは、一定期間(例えば、30分)の積算電力量(kWh)に限定されず、瞬時電力(kW)であってもよい。以下においては、「電力量」が積算電力量(kWh)である場合を主として想定する。また、「電力量」は、計測値に限定されず、予測値であってもよい。以下においては、「電力量」が計測値である場合を主として想定する。
【0026】
電力管理装置300は、自身が管理している電力データに基づいて、各マイクログリッド100内の「電力の見える化」のための表示制御を行う。例えば、電力管理装置300は、マイクログリッド100aに関する電力データを表示するよう表示装置200aを制御する。電力管理装置300は、分散電源110aの発電電力量を示すグラフ、電力負荷120aの消費電力量を示すグラフ、及び/又は電力系統10からの買電電力量を示すグラフ等を表示装置200aに表示させる。同様に、電力管理装置300は、マイクログリッド100bに関する電力データを表示するよう表示装置200bを制御する。電力管理装置300は、マイクログリッド100cに関する電力データを表示するよう表示装置200cを制御する。
【0027】
このような表示制御において、自己託送電力量については、送電側と受電側とで捉え方が変わり得るため、自己託送電力量の表示方法が一意に定まらない。また、各マイクログリッド100におけるユーザは電力管理に関する知識に乏しい場合があり、自己託送電力量をユーザに理解しやすい態様で表示可能とすることが望まれる。
【0028】
(1.2)電力管理装置の構成
次に、第1実施形態に係る電力管理装置300の構成について説明する。図2は、電力管理装置300の構成例を示す図である。
【0029】
図2に示す電力管理装置300は、通信部310と、管理部320と、制御部330とを有する。通信部310、管理部320、及び制御部330は、バス301によって接続されている。
【0030】
通信部310は、制御部330の制御下で、通信ネットワーク20を介したデータ通信を行う。通信部310は、送信を行う送信機と、受信を行う受信機とを有する。通信部310は、通信ネットワーク20を介して各マイクログリッド100との通信を行う。例えば、通信部310は、各マイクログリッド100に設けられるスマートメータ及び/又はセンサから計測データを受信する。また、通信部310は、表示装置200に表示させる電力データを表示装置200に送信する。
【0031】
管理部320は、データを記憶する記憶部321を含み、各マイクログリッド100の電力データを管理する。記憶部321は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び補助記憶装置等の種々のメモリにより構成されてもよい。記憶部321は、制御部330によって実行されるプログラムを記憶していてもよい。
【0032】
管理部320は、自己託送により送電側マイクログリッドから受電側マイクログリッドへ送電される電力量である自己託送電力量を電力データとして管理する。以下において、送電側マイクログリッドを「送電側マイクログリッド100T」と表記し、受電側マイクログリッドを「受電側マイクログリッド100R」と表記する。例えば、管理部320は、送電側マイクログリッド100Tにおける余剰電力を送電計画に従って送電側マイクログリッド100Tから電力系統10に出力する場合、送電側マイクログリッド100Tから電力系統10に出力する電力量を送電側の自己託送電力量として管理してもよい。管理部320は、受電側マイクログリッド100Rが受電計画(調達計画)に従って電力系統10から電力供給を受ける場合、受電側マイクログリッド100Rが電力系統10から受電する受電側の自己託送電力量として管理してもよい。
【0033】
管理部320は、各マイクログリッド100について、分散電源110の発電電力量、電力負荷120の消費電力量、及び/又は電力系統10からの買電電力量を電力データとしてさらに管理してもよい。管理部320は、自己託送電力、及びその他の電力データ(発電電力量、消費電力量、及び/又は買電電力量)を単位時間ごとに管理してもよい。単位時間は、30分であってもよい。ここで、管理部320は、自己託送電力量については、送電側の自己託送電力量であるか又は受電側の自己託送電力量であるかを識別可能な態様で管理する。
【0034】
制御部330は、少なくとも1つのプロセッサを含み、記憶部311に記憶されたプログラムを実行することにより通信部310及び管理部320を制御する。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuits)等)によって構成されてもよい。
【0035】
制御部330は、管理部320が管理している電力データを表示装置200に表示させるように、管理部320が管理している電力データを表示装置200に送信するよう通信部310を制御する。例えば、制御部330は、自己託送電力量を表示装置200に表示させる表示制御を行う。制御部330は、送電側マイクログリッド100Tについて自己託送電力量を表示する場合と、受電側マイクログリッド100Rについて自己託送電力量を表示する場合とで、自己託送電力量の表示態様を異ならせる。「自己託送電力量の表示態様を異ならせる」とは、以下の第1実施形態で説明するように、自己託送電力量を表示するときの電力種別を異ならせる方法だけでなく、後述の第2実施形態のように、自己託送電力量の配分の表示を異ならせる方法も含まれる。
【0036】
このように、送電側マイクログリッド100Tについての自己託送電力量と受電側マイクログリッド100Rについての自己託送電力量とを互いに異なる態様で表示することにより、送電側及び受電側のそれぞれに適切な態様で自己託送電力量を表示することが可能になる。よって、自己託送電力量について送電側と受電側とで捉え方が変わり得る前提下において、送電側及び受電側のそれぞれに適切な表示を行うことができる。
【0037】
第1実施形態では、制御部330は、送電側マイクログリッド100Tについて自己託送電力量を表示する場合、当該自己託送電力量を「消費電力量」として表示装置200に表示させる表示制御を行う。例えば、制御部330は、送電側マイクログリッド100Tにおける余剰電力量を電力系統10に出力する場合、当該出力電力量を消費電力量として表示装置200に表示させるよう制御する。
【0038】
これにより、送電側マイクログリッド100Tにおけるユーザは、自己託送についての知識を自身が有していない場合であっても、表示装置200の表示内容に基づいて送電側の自己託送電力量を消費電力量として容易に理解できる。また、送電側マイクログリッド100Tにおける余剰電力が受電側マイクログリッド100Rで消費されていることをユーザが把握可能になり、自己託送のメリットをユーザにアピールできる。
【0039】
第1実施形態では、制御部330は、受電側マイクログリッド100Rについて自己託送電力量を表示する場合、当該自己託送電力量を「発電電力量」として表示装置200に表示させる表示制御を行う。例えば、制御部330は、受電側マイクログリッド100Rが電力系統10から購入電力とは別に電力を受電する場合、当該受電電力量を発電電力量として表示装置200に表示させるよう制御する。
【0040】
これにより、受電側マイクログリッド100Rにおけるユーザは、自己託送についての知識を自身が有していない場合であっても、表示装置200の表示内容に基づいて受電側の自己託送電力量を発電電力量として容易に理解できる。また、送電側マイクログリッド100Tにおける余剰電力(発電電力)を消費していることをユーザが把握可能になり、自己託送のメリットをユーザにアピールできる。
【0041】
(1.3)表示装置の構成
次に、第1実施形態に係る表示装置200の構成について説明する。図3は、表示装置200の構成例を示す図である。
【0042】
図3に示す表示装置200は、通信部210と、表示部220と、操作部230と、制御部240と、記憶部250とを有する。通信部210、表示部220、操作部230、制御部240、及び記憶部250は、バス201によって接続されている。
【0043】
通信部210は、制御部240の制御下で、通信ネットワーク20を介したデータ通信を行う。通信部210は、送信を行う送信機と、受信を行う受信機とを有する。通信部210は、通信ネットワーク20を介して電力管理装置300との通信を行う。このような通信は、無線通信及び/又は有線通信を含む。例えば、通信部210は、表示部220に表示させる電力データを電力管理装置300から受信する。
【0044】
表示部220は、画像を表示する。表示部220は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等によって構成されてもよい。これらのディスプレイは、規則的に配列された比較的多数の画素を有しており、画像データに基づいて任意の形状を含む画像を表示可能である。表示部220は、カラー画像を表示可能であってもよいし、グレースケール画像(及びモノクロ画像)のみを表示可能であってもよいし、モノクロ画像(2値の画像)のみを表示可能であってもよい。
【0045】
操作部230は、ユーザ操作(ユーザ入力)を受け付ける。操作部230の少なくとも一部は、表示部220と一体化されて、タッチパネルディスプレイを構成してもよい。操作部230の少なくとも一部は、1つ又は複数の物理ボタンとして構成されてもよい。
【0046】
制御部240は、少なくとも1つのプロセッサを含み、表示装置200の全体を制御する。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuits)等)によって構成されてもよい。制御部240は、記憶部250に記憶されたプログラムを実行することにより、通信部210、表示部220、及び記憶部250を制御する。例えば、制御部240は、通信部210が電力管理装置300から受信した電力データを表示するよう表示部220を制御する。
【0047】
第1実施形態において、電力データの表示を制御する「制御部」は、電力管理装置300の制御部330のみによって構成されてもよいし、表示装置200の制御部240のみによって構成されてもよいし、これらの制御部330及び制御部240の両方によって構成されてもよい。
【0048】
記憶部250は、例えば、ROM、RAM、及び補助記憶装置等の種々のメモリを含んで構成される。制御部240により実行されるプログラムは、例えば、記憶部250のROM及び/又は補助記憶装置に記憶されている。
【0049】
(1.4)電力管理システムの動作
次に、第1実施形態に係る電力管理システム1の動作について説明する。
【0050】
(1.4.1)動作フロー
図4は、第1実施形態に係る電力管理システム1の動作フローを示す図である。
【0051】
ステップS1において、電力管理装置300の管理部320は、自己託送により送電側マイクログリッド100Tから受電側マイクログリッド100Rへ送電される電力量である自己託送電力量を管理する。ここで、管理部320は、送電側であるか又は受電側であるかを識別可能な態様で自己託送電力量を管理する。
【0052】
ステップS2において、電力管理装置300の制御部330は、表示装置200に表示させる自己託送電力量が送電側の自己託送電力量であるか又は受電側の自己託送電力量であるかを判定する。
【0053】
送電側の自己託送電力量である場合(ステップS2:YES)、ステップS3において、電力管理装置300の制御部330は、当該自己託送電力量を第1の態様で表示するよう表示装置200を制御する。第1実施形態では、制御部330は、当該自己託送電力量を「消費電力量」として表示装置200に表示させる表示制御を行う。
【0054】
一方、受電側の自己託送電力量である場合(ステップS2:NO)、ステップS4において、電力管理装置300の制御部330は、当該自己託送電力量を第2の態様で表示するよう表示装置200を制御する。第1実施形態では、制御部330は、当該自己託送電力量を「発電電力量」として表示装置200に表示させる表示制御を行う。
【0055】
(1.4.2)動作例
図5は、第1実施形態に係る電力管理システム1の動作例を示す図である。
【0056】
図5の例では、ある単位時間(対象単位時間)において送電側マイクログリッド100Tから受電側マイクログリッド100Rに対してX[kWh]の送電を行うものとする。送電側マイクログリッド100Tにおける電力データを表示する表示装置200を「送電側表示装置200T」と称し、受電側マイクログリッド100Rにおける電力データを表示する表示装置200を「受電側表示装置200R」と称する。
【0057】
図5の例では、電力管理装置300は、対象単位時間について、送電側マイクログリッド100Tの電力データを積み上げ棒グラフで送電側表示装置200Tに表示させる。また、電力管理装置300は、対象単位時間について、受電側マイクログリッド100Rの電力データを積み上げ棒グラフで受電側表示装置200Rに表示させる。
【0058】
送電側表示装置200Tは、送電側マイクログリッド100Tの分散電源110の発電電力量を示す棒グラフと送電側マイクログリッド100Tの電力負荷120の消費電力量を示す棒グラフとを並べて表示する。発電電力量から消費電力量を差し引いた余剰電力量はX[kWh]であり、当該余剰電力量が自己託送により送電される。送電側表示装置200Tは、送電側マイクログリッド100Tの電力データにおいて、当該余剰電力量(すなわち、自己託送電力量)を消費電力量として表示する。ここで、当該余剰電力量は送電側マイクログリッド100Tで消費されていないにもかかわらず、送電側表示装置200Tは、当該余剰電力量を送電側マイクログリッド100Tの消費電力量として表示してもよい。送電側表示装置200Tは、送電側マイクログリッド100Tの電力負荷120の消費電力量と、自己託送電力量に対応する消費電力量とを識別可能な態様で、送電側マイクログリッド100Tの消費電力量を表示してもよい。
【0059】
受電側表示装置200Rは、受電側マイクログリッド100Rの電力負荷120の消費電力量を示す棒グラフと受電側マイクログリッド100Rの買電電力量を示す棒グラフとを並べて表示する。買電電力とは別に電力系統10から受電する電力量はX[kWh]であり、当該受電電力量が自己託送により受電される自己託送電力量である。受電側表示装置200Rは、受電側マイクログリッド100Rの電力データにおいて、自己託送電力量を発電電力量として表示する。ここで、当該自己託送電力は受電側マイクログリッド100Rで発電されていないにもかかわらず、受電側表示装置200Rは、当該自己託送電力量を受電側マイクログリッド100Rの発電電力量として表示してもよい。受電側表示装置200Rは、受電側マイクログリッド100Rの分散電源110の発電電力量と、自己託送電力量に対応する発電電力量とを識別可能な態様で、受電側マイクログリッド100Rの発電電力量を表示してもよい。
【0060】
図5の例は、ある単位時間についての電力データの表示例であるが、図6及び図7に示すように、時間的に連続する複数の単位時間の電力データを時系列順で表示してもよい。図6は、あるマイクログリッド100において自己託送により送電を行う時間帯の送電側電力データの表示例を示す図である。図6に示す例では、表示装置200は、30分ごとの各単位時間について送電側マイクログリッド100Tの電力データを時系列順で表示している。図7は、あるマイクログリッド100において自己託送により受電を行う時間帯の受電側電力データの表示例を示す図である。図7に示す例では、表示装置200は、30分ごとの各単位時間について受電側マイクログリッド100Rの電力データを時系列順で表示している。このように、各単位時間で時系列順に自己託送電力量を表示させることにより、余剰の電力が生じたタイミングで適切に自己託送が行われていることを、ユーザが把握することができる。
【0061】
本動作例では、電力データを表すグラフとして積み上げ棒グラフを用いる一例について説明したが、積み上げ棒グラフに限定されず、積み上げ折れ線グラフ、積み上げ面グラフ、又は円グラフ等を用いてもよい。
【0062】
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態について、上述の第1実施形態との相違点を主として説明する。第2実施形態に係る電力管理システム1、表示装置200、及び電力管理装置300のそれぞれの構成については、上述の第1実施形態と同様である。第2実施形態では、送電側マイクログリッド100Tと受電側マイクログリッド100Rとの対応関係が1対1ではなく、1対多の関係である場合を想定する。
【0063】
第2実施形態では、電力管理装置300の制御部330は、自己託送により1つの送電側マイクログリッド100Tから2以上の受電側マイクログリッド100Rへの送電を行う場合、当該2以上の受電側マイクログリッド100Rへの自己託送電力量の配分を識別可能な態様で、自己託送電力量を表示装置200に表示させる。ここで、「自己託送電力量の配分を識別可能な態様」とは、送電側マイクログリッド100Tが送電する自己託送電力量を示すテキスト(数値等)及び/又はグラフと、2以上の受電側マイクログリッド100Rのそれぞれで受電する自己託送電力量を示すテキスト及び/又はグラフと、を同時に表示する態様であってもよい。或いは、「自己託送電力量の配分を識別可能な態様」とは、送電側マイクログリッド100Tが送電する自己託送電力量のうち、2以上の受電側マイクログリッド100Rのそれぞれで受電する自己託送電力量の割合(配分)を算出し、算出されたそれぞれの割合を表示する態様であってもよい。以下においては、送電側マイクログリッド100Tが送電する自己託送電力量を示す棒グラフと、2以上の受電側マイクログリッド100Rのそれぞれで受電する自己託送電力量を示す積み上げ棒グラフと、を並べて表示する一例について主として説明する。
【0064】
これにより、送電側マイクログリッド100Tにおけるユーザは、自己託送における送電先である託送先の配分を表示装置200の表示内容に基づいて容易に理解できる。
【0065】
また、第2実施形態では、電力管理装置300の制御部330は、自己託送により2以上の送電側マイクログリッド100Tから1つの受電側マイクログリッド100Rへの送電を行う場合、当該2以上の送電側マイクログリッド100Tからの自己託送電力量の配分を識別可能な態様で、自己託送電力量を表示装置200に表示させる。
【0066】
これにより、受電側マイクログリッド100Rにおけるユーザは、自己託送における送電元である託送元の配分を表示装置200の表示内容に基づいて容易に理解できる。
【0067】
図8は、第2実施形態に係る電力管理システム1の第1動作例を示す図である。ここでは、1つの送電側マイクログリッド100Tから2つの受電側マイクログリッド100R1及び100R2に対して自己託送による送電を行うものとする。
【0068】
図8の例では、ある単位時間(対象単位時間)において、送電側マイクログリッド100Tは、送電側マイクログリッド100Tにおける余剰電力X[kWh]を送電計画に従って電力系統10に出力する。電力管理装置300の管理部320は、X[kWh]を示す送電側電力データを、対象単位時間における送電側マイクログリッド100Tの自己託送電力量として管理する。
【0069】
対象単位時間において、受電側マイクログリッド100R1は、買電電力とは別に電力系統10からA[kWh]の電力を受電する。電力管理装置300の管理部320は、A[kWh]を示す受電側電力データを、対象単位時間における受電側マイクログリッド100R1の自己託送電力量として管理する。ここで、電力管理装置300の管理部320は、A[kWh]を示す受電側電力データを、X[kWh]を示す送電側電力データと対応付けて管理する。
【0070】
対象単位時間において、受電側マイクログリッド100R2は、買電電力とは別に電力系統10からB[kWh]の電力を受電する。電力管理装置300の管理部320は、B[kWh]を示す受電側電力データを、対象単位時間における受電側マイクログリッド100R2の自己託送電力量として管理する。ここで、電力管理装置300の管理部320は、B[kWh]を示す受電側電力データを、X[kWh]を示す送電側電力データと対応付けて管理する。
【0071】
そして、電力管理装置300の制御部330は、送電側マイクログリッド100Tから2つの受電側マイクログリッド100R1及びR2への自己託送電力量の配分を識別可能な態様で、自己託送電力量を送電側表示装置200Tに表示させる。例えば、送電側表示装置200Tは、送電側マイクログリッド100Tの自己託送電力量(X[kWh])を示す棒グラフと、2つの受電側マイクログリッド100R1及びR2のそれぞれの自己託送電力量(A[kWh]及びB[kWh])を積み上げた棒グラフとを並べて表示する。すなわち、送電側表示装置200Tは、送電側マイクログリッド100Tの自己託送電力量X[kWh]のうち、A[kWh]が受電側マイクログリッド100R1に送電され、且つ、B[kWh]が受電側マイクログリッド100R2に送電されたことを示すグラフを表示する。ここで、電力管理装置300の制御部330は、受電側マイクログリッド100R1の識別子をA[kWh]と対応付けて表示し、受電側マイクログリッド100R2の識別子をB[kWh]と対応付けて表示してもよい。
【0072】
このような表示制御により、送電側マイクログリッド100Tにおけるユーザは、送電側表示装置200Tの表示内容に基づいて、2つの受電側マイクログリッド100R1及びR2への自己託送電力量の配分を容易に把握できる。
【0073】
図9は、第2実施形態に係る電力管理システム1の第2動作例を示す図である。ここでは、2つの送電側マイクログリッド100T1及び100T2から1つの受電側マイクログリッド100Rに対して自己託送による送電を行うものとする。
【0074】
図9の例では、ある単位時間(対象単位時間)において、送電側マイクログリッド100T1は、送電側マイクログリッド100T1における余剰電力C[kWh]を送電計画に従って電力系統10に出力する。電力管理装置300の管理部320は、C[kWh]を示す送電側電力データを、対象単位時間における送電側マイクログリッド100T1の自己託送電力量として管理する。
【0075】
対象単位時間において、送電側マイクログリッド100T2は、送電側マイクログリッド100T2における余剰電力D[kWh]を送電計画に従って電力系統10に出力する。電力管理装置300の管理部320は、D[kWh]を示す送電側電力データを、対象単位時間における送電側マイクログリッド100T2の自己託送電力量として管理する。
【0076】
対象単位時間において、受電側マイクログリッド100Rは、買電電力とは別に電力系統10からY[kWh]の電力を受電する。電力管理装置300の管理部320は、Y[kWh]を示す受電側電力データを、対象単位時間における受電側マイクログリッド100Rの自己託送電力量として管理する。ここで、電力管理装置300の管理部320は、Y[kWh]を示す受電側電力データを、C[kWh]を示す送電側電力データ及びD[kWh]を示す送電側電力データと対応付けて管理する。
【0077】
そして、電力管理装置300の制御部330は、2つの送電側マイクログリッド100T1及び100T2からの自己託送電力量の配分を識別可能な態様で、自己託送電力量を受電側表示装置200Rに表示させる。例えば、受電側表示装置200Rは、受電側マイクログリッド100Rの自己託送電力量(Y[kWh])を示す棒グラフと、2つの送電側マイクログリッド100T1及びT2のそれぞれの自己託送電力量(C[kWh]及びD[kWh])を積み上げた棒グラフとを並べて表示する。すなわち、受電側表示装置200Rは、受電側マイクログリッド100Rの自己託送電力量Y[kWh]のうち、C[kWh]が送電側マイクログリッド100T1から送電され、且つ、D[kWh]が送電側マイクログリッド100T2から送電されたことを示すグラフを表示する。ここで、電力管理装置300の制御部330は、送電側マイクログリッド100T1の識別子をC[kWh]と対応付けて表示し、送電側マイクログリッド100T2の識別子をD[kWh]と対応付けて表示してもよい。
【0078】
このような表示制御により、受電側マイクログリッド100Rにおけるユーザは、受電側表示装置200Rの表示内容に基づいて、2つの送電側マイクログリッド100T1及びT2からの自己託送電力量の配分を容易に把握できる。
【0079】
図8及び図9の例は、ある単位時間についての電力データの表示例であるが、図10及び図11に示すように、時間的に連続する複数の単位時間の電力データを時系列順で表示してもよい。
【0080】
図10は、あるマイクログリッド100(自マイクログリッド)において、自己託送により2つの受電側マイクログリッド100R(他グリッド1及び2)に対して送電を行う時間帯の送電側電力データの表示例を示す図である。図10に示す例では、表示装置200は、30分ごとの各単位時間について、送電側マイクログリッド100Tの電力データを時系列順で表示している。ここでは、第1実施形態と同様に、送電側の自己託送電力量を「消費電力量」として表示する一例を示している。具体的には、送電側の自己託送電力量は、「他グリッド1消費電力量」と「他グリッド2消費電力量」とに分けて表示されている。
【0081】
図11は、あるマイクログリッド100(自マイクログリッド)において、自己託送により2つの送電側マイクログリッド100T(他グリッド1及び2)から受電を行う時間帯の受電側電力データの表示例を示す図である。図11に示す例では、表示装置200は、30分ごとの各単位時間について受電側マイクログリッド100Rの電力データを時系列順で表示している。ここでは、第1実施形態と同様に、受電側の自己託送電力量を「発電電力量」として表示する一例を示している。具体的には、受電側の自己託送電力量は、「他グリッド1発電電力量」と「他グリッド2発電電力量」とに分けて表示されている。
【0082】
本動作例では、電力データを表すグラフとして積み上げ棒グラフを用いる一例について説明したが、積み上げ棒グラフに限定されず、積み上げ折れ線グラフ、積み上げ面グラフ、又は円グラフ等を用いてもよい。
【0083】
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態について、上述の第1及び第2実施形態との相違点を主として説明する。第3実施形態に係る電力管理システム1、表示装置200、及び電力管理装置300のそれぞれの構成については、上述の第1実施形態と同様である。
【0084】
第3実施形態では、1つのマイクログリッド100が自己託送における送電側及び受電側のいずれにもなり得る場合を想定する。例えば、図12に示すように、余剰電力の発生タイミングが異なる複数のマイクログリッド間では、自己託送における送電側及び受電側の関係が時間帯によって逆転することが考えられる。図12の例では、マイクログリッド100aは分散電源110aとしてベースロード電源(例えば、水力発電設備又は地熱発電設備)を有し、マイクログリッド100bは分散電源110bとして環境変動電源(例えば、太陽電池設備)を有する。
【0085】
マイクログリッド100aでは、電力負荷120aの消費電力量の少ない第1時間帯(ここでは、「夜間」とする)において余剰電力が発生する一方、マイクログリッド100bでは、夜間における分散電源110bの発電電力量が少なく、電力が不足する。そのため、夜間の時間帯において、自己託送によりマイクログリッド100aからマイクログリッド100bへの送電を行う。この場合、マイクログリッド100aが送電側マイクログリッド100Tになり、マイクログリッド100bが受電側マイクログリッド100Rになる。
【0086】
マイクログリッド100bでは、分散電源110bの発電電力量の多い第2時間帯(ここでは、「昼間」とする)において余剰電力が発生する一方、マイクログリッド100aでは、昼間における電力負荷120aの消費電力量が多く、電力が不足する。そのため、昼間の時間帯において、自己託送によりマイクログリッド100bからマイクログリッド100aへの送電を行う。この場合、マイクログリッド100aが受電側マイクログリッド100Rになり、マイクログリッド100bが送電側マイクログリッド100Tになる。
【0087】
このような想定下において、電力管理装置300の制御部330は、複数のマイクログリッド100のそれぞれについて、送電側マイクログリッド100Tとして動作することを可能とするか否かの送電可否設定と、受電側マイクログリッド100Rとして動作することを可能とするか否かの受電可否設定とを行う。これにより、各マイクログリッド100が自己託送における送電側にも受電側にもなり得る想定下において自己託送を適切に管理できる。また、送電可否設定のみを行ってもよく、受電可否設定のみを行ってもよい。
【0088】
電力管理装置300の制御部330は、複数のマイクログリッド100のそれぞれについて、送電可否設定及び受電可否設定を時間帯ごとに行ってもよい。当該時間帯は、単位時間(例えば、30分)の整数倍の時間長であってもよい。
【0089】
電力管理装置300の制御部330は、送電可否設定により送電側マイクログリッド100Tに設定されたマイクログリッド100については、送電側電力データを表示するよう表示装置200(送電側表示装置200T)を制御する。ここで、電力管理装置300の制御部330は、第1実施形態と同様に、当該マイクログリッド100(送電側マイクログリッド100T)の自己託送電力量を「消費電力量」として表示する表示制御を行ってもよい。電力管理装置300の制御部330は、当該マイクログリッド100(送電側マイクログリッド100T)から2以上の受電側マイクログリッド100Rに対して自己託送により送電を行う場合、第2実施形態と同様に、当該2以上の受電側マイクログリッド100Rの自己託送電力量の配分を識別可能な態様で自己託送電力量を表示する表示制御を行ってもよい。一方、電力管理装置300の制御部330は、送電可否設定により送電側マイクログリッド100Tに設定されないマイクログリッド100については、送電側電力データを表示しないよう表示装置200を制御する。
【0090】
また、電力管理装置300の制御部330は、受電可否設定により受電側マイクログリッド100Rに設定されたマイクログリッド100については、受電側電力データを表示するよう表示装置200(受電側表示装置200R)を制御する。ここで、電力管理装置300の制御部330は、第1実施形態と同様に、当該マイクログリッド100(受電側マイクログリッド100R)の自己託送電力量を「発電電力量」として表示する表示制御を行ってもよい。電力管理装置300の制御部330は、当該マイクログリッド100(受電側マイクログリッド100R)から2以上の送電側マイクログリッド100Tから自己託送により受電を行う場合、第2実施形態と同様に、当該2以上の送電側マイクログリッド100Tからの自己託送電力量の配分を識別可能な態様で自己託送電力量を表示する表示制御を行ってもよい。一方、電力管理装置300の制御部330は、受電可否設定により受電側マイクログリッド100Rに設定されないマイクログリッド100については、受電側電力データを表示しないよう表示装置200を制御する。
【0091】
図13は、第3実施形態に係る電力管理システム1の動作例を示す図である。ここでは、電力管理装置300が3つのマイクログリッド100からなる自己託送グループにおける自己託送を管理する一例を示す。
【0092】
電力管理装置300の管理部320は、マイクログリッド100a乃至100cのそれぞれについての送電可否設定及び受電可否設定を含む自己託送グループ設定を管理する。電力管理装置300の制御部330は、当該自己託送グループ設定に基づいて、マイクログリッド100a乃至100cのそれぞれについて送電可否及び受電可否を設定する。
【0093】
図13の例では、マイクログリッド100aは、自己託送における送電及び受電のいずれも可能(ON)に設定される。電力管理装置300の制御部330は、マイクログリッド100aについては、送電側電力データ及び受電側電力データの両方を表示するよう表示装置200aを制御する。
【0094】
マイクログリッド100bは、自己託送における送電が可能(ON)に設定され、且つ、自己託送における受電が不可(OFF)に設定される。電力管理装置300の制御部330は、マイクログリッド100bについては、送電側電力データだけを表示するよう表示装置200bを制御する。
【0095】
マイクログリッド100cは、自己託送における送電が不可(OFF)に設定され、且つ、自己託送における受電が可能(ON)に設定される。電力管理装置300の制御部330は、マイクログリッド100bについては、受電側電力データだけを表示するよう表示装置200cを制御する。
【0096】
このように、第3実施形態によれば、マイクログリッド100ごとに自己託送における送電及び受電の設定が可能となることにより、マイクログリッド100ごとに必要な電力データだけを適切に表示可能になる。
【0097】
(4)第4実施形態
次に、第4実施形態について、上述の第1乃至第3実施形態との相違点を主として説明する。第4実施形態に係る電力管理システム1、表示装置200、及び電力管理装置300のそれぞれの構成については、上述の第1実施形態と同様である。
【0098】
上述のように、1つの送電側マイクログリッド100Tから2以上の受電側マイクログリッド100Rに対して自己託送により送電を行い得る場合において、当該2以上の受電側マイクログリッド100Rについて自己託送電力量の配分をどのように決定するかが問題になる。
【0099】
第4実施形態では、電力管理装置300の制御部330は、自己託送により1つのマイクログリッド100から他のマイクログリッド100への送電を行うときの送電優先度を、当該他のマイクログリッド100のそれぞれについて設定する。すなわち、2以上の受電側マイクログリッド100Rに対して自己託送により送電を行うにあたり、各受電側マイクログリッド100Rへの託送設定の中に優先度を設ける。
【0100】
これにより、各マイクログリッド100が属する主体(マイクログリッド管理者)にとって最も経済的メリットのある自己託送を計画することが可能となる。
【0101】
電力管理装置300の制御部330は、当該2以上の受電側マイクログリッド100Rのそれぞれについて、送電優先度の設定を時間帯ごとに行ってもよい。当該時間帯は、単位時間(例えば、30分)の整数倍の時間長であってもよい。
【0102】
図14は、第4実施形態に係る電力管理システム1の動作例を示す図である。ここでは、送電側マイクログリッド100Tから2つの受電側マイクログリッド100R1及び100R2に対して自己託送により送電を行い得る場合を想定する。
【0103】
第1に、電力管理装置300の管理部320は、自己託送により送電側マイクログリッド100Tから受電側マイクログリッド100R1及び100R2への送電を行うときの送電優先度を、受電側マイクログリッド100R1及び100R2のそれぞれについて管理する。図14の例では、受電側マイクログリッド100R1が送電優先度「高」であり、受電側マイクログリッド100R1が送電優先度「低」であると管理されている。このような送電優先度は、マイクログリッド管理者により定められたものであってもよい。
【0104】
第2に、電力管理装置300の制御部330は、自己託送により送電側マイクログリッド100Tから受電側マイクログリッド100R1及び100R2への送電を行うときの送電優先度を、受電側マイクログリッド100R1及び100R2のそれぞれについて設定する。例えば、電力管理装置300の制御部330は、受電側マイクログリッド100R1が送電優先度「高」であり、受電側マイクログリッド100R1が送電優先度「低」であると設定する。この場合、受電側マイクログリッド100R1は、自己託送により送電側マイクログリッド100Tからの受電を行う際に、受電側マイクログリッド100R2に比べて多くの電力を受電してもよい。或いは、受電側マイクログリッド100R2が自己託送により送電側マイクログリッド100Tからの受電を行わずに、受電側マイクログリッド100R2だけが自己託送により送電側マイクログリッド100Tからの受電を行ってもよい。
【0105】
(4.1)第4実施形態の変更例
次に、上述の第4実施形態の変更例について、上述の第4実施形態との相違点を主として説明する。上述の第4実施形態では、送電優先度が予め固定的に設定されることを想定していたが、本変更例では、より柔軟に送電優先度を設定可能とする。
【0106】
本変更例では、電力管理装置300の制御部330は、自己託送により1つのマイクログリッド100から他のマイクログリッド100への送電を行うときの送電優先度を当該他のマイクログリッド100のそれぞれについて判定する。具体的には、電力管理装置300の制御部330は、送電優先度を判定する判定基準が異なる複数の判定方法の中から選択された判定方法を用いて送電優先度を判定する。これにより、複数の受電側マイクログリッド100Rに対して自己託送により送電を行う場合において、各受電側マイクログリッド100Rへの託送設定の中に優先度の設定がなくとも、各受電側マイクログリッド100Rの優先度を判定することが可能である。なお、電力管理装置300の制御部330は、送電優先度を判定する判定方法を時間帯ごとに切り替えて用いてもよい。当該時間帯は、単位時間(例えば、30分)の整数倍の時間長であってもよい。
【0107】
ここで、送電優先度を判定する判定基準が異なる複数の判定方法としては、例えば、次のような判定方法a乃至dがある。
【0108】
「判定方法a」は、受電側マイクログリッド候補内で託送電力によりピークカットが可能となるマイクログリッドがある場合、そのマイクログリッドに電力を送電することを優先する方法である。「判定方法a」は、少なくとも自己託送を行う時間帯において自己託送電力によりピークカットが可能になるマイクログリッド100を優先するという判定方法であってもよい。
【0109】
「判定方法b」は、受電側マイクログリッド候補内で充電可能な蓄電設備を有するマイクログリッドがある場合、そのマイクログリッドに電力を送電することを優先する方法である。ここで、受電側マイクログリッド内の蓄電設備については当該時間に充電を計画する。「判定方法b」は、少なくとも自己託送を行う時間帯において自己託送電力により充電が可能な蓄電池を有するマイクログリッド100を優先するという判定方法であってもよい。
【0110】
「判定方法c」は、受電側マイクログリッド候補内で需給計画値の信頼性の低い(すなわち、予測の信頼区間が広い)マイクログリッドがある場合、そのマイクログリッドに電力を送電することを優先する方法である。「判定方法c」によれば、受電側マイクログリッドにおける不足インバランスの抑制を図ることができる。「判定方法c」は、少なくとも自己託送を行う時間帯における需給計画値の信頼性を示す値が所定値未満であるマイクログリッド100を優先するという判定方法であってもよい。
【0111】
「判定方法d」は、受電側マイクログリッド候補の電気料金プランを把握しておき、託送時間帯において電気料金単価が最も高いマイクログリッドに電力を送電することを優先する方法である。「判定方法d」は、少なくとも自己託送を行う時間帯において電力系統10からの電気料金(買電電力)単価が最も高いマイクログリッド100を優先するという判定方法であってもよい。
【0112】
図15は、第4実施形態の変更例に係る電力管理システム1の動作例を示す図である。ここでは、送電側マイクログリッド100Tから2つの受電側マイクログリッド100R1及び100R2に対して自己託送により送電を行い得る場合を想定する。
【0113】
第1に、電力管理装置300の管理部320は、自己託送により送電側マイクログリッド100Tから受電側マイクログリッド100R1及び100R2への送電を行うときの送電優先度を判定する判定方法を、その判定順序と対応付けて管理する。図15の例では、最初に用いる判定方法が「判定方法1」であり、2番目に用いる判定方法が「判定方法2」である。このような判定方法の設定は、マイクログリッド管理者により定められたものであってもよい。
【0114】
第2に、電力管理装置300の制御部330は、最初に「判定方法1」を用いて、受電側マイクログリッド100R1及び100R2に対する送電優先度を判定する。「判定方法1」を用いて送電優先度を判定できない場合、電力管理装置300の制御部330は、次に「判定方法2」を用いて、受電側マイクログリッド100R1及び100R2に対する送電優先度を判定する。このようにして送電優先度が判定されると、電力管理装置300の制御部330は、判定された送電優先度を受電側マイクログリッド100R1及び100R2のそれぞれについて設定する。
【0115】
(5)その他の実施形態
上述の第4実施形態及びその変更例において、送電優先度について受電側マイクログリッド100Rが電力を必要とするケースにおいて、複数の受電側マイクログリッド100Rについて優先度を設定する一例を主として説明した。しかしながら、電力管理装置300は、複数の送電側マイクログリッド100Tのうち、他の送電側マイクログリッド100Tよりも優先して送電を行う送電側マイクログリッド100Tの設定を行ってもよい。例えば、電力管理装置300は、1つの送電側マイクログリッド100Tと別の送電側マイクログリッド100Tとが存在する前提下において、送電側マイクログリッド100Tが有する発電設備の種別に基づいて、いずれか一方の送電側マイクログリッド100Tが優先的に送電を行うように設定してもよい。
【0116】
上述の実施形態において、マイクログリッド100内に表示装置200がある構成を例に挙げて説明したが、このような構成に限定されない。図16に示すように、表示装置200は電力管理装置300にアクセス可能であればよく、マイクログリッド100外に表示装置200があってもよい。電力管理装置300は、表示装置200から電力管理装置300に対する認証(ログイン)の際に、どのマイクログリッド100の電力データを当該表示装置200に表示させるかを決定してもよい。例えば、電力管理装置300は、認証情報とマイクログリッド100との対応関係を保持しており、表示装置200から受信する認証情報に基づいて対応するマイクログリッド100を特定し、特定したマイクログリッド100の電力データを当該表示装置200に表示させてもよい。
【0117】
上述の実施形態に係る動作をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM又はDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、上述の実施形態で行う動作を実行する回路を集積化して半導体集積回路(チップセット、SoC)を構成してもよい。
【0118】
本開示で使用する「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。本開示で使用する「に基づいて」、「に応じて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。さらに、本開示で使用した「第1」、「第2」等の呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0119】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0120】
1 :電力管理システム
10 :電力系統
20 :通信ネットワーク
100 :マイクログリッド
100T :送電側マイクログリッド
100R :受電側マイクログリッド
101 :電力線
102 :受電点
110 :分散電源
120 :電力負荷
200 :表示装置
200T :送電側表示装置
200R :受電側表示装置
201 :バス
210 :通信部
220 :表示部
230 :操作部
240 :制御部
250 :記憶部
300 :電力管理装置
301 :バス
310 :通信部
311 :記憶部
320 :管理部
321 :記憶部
330 :制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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