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特開2023-151373積算データ検索装置、積算データ検索方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151373
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】積算データ検索装置、積算データ検索方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060953
(22)【出願日】2022-03-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業「大学発新産業創出プログラム 社会還元加速プログラム(SCORE)大学推進型 拠点都市環境整備型」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 智晴
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正元
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】比較対象とすべき積算データを抽出する。
【解決手段】積算データ検索装置は、工事の積算データの種目項目、科目項目、細目項目及び細目項目の内訳表を相互に関連させて夫々DB化する積算データ変換手段と、積算データ変換手段によりDB化された工事の積算データを順位蓄積する積算データ蓄積手段と、積算データ蓄積手段に蓄積された過去の工事の種目項目、科目項目及び細目項目と、新規工事の種目項目、科目項目及び細目項目における対応項目の類似度から、新規工事に類似する過去の工事を特定する関連工事抽出手段と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事の積算データの種目項目、科目項目、細目項目及び細目項目の内訳表を相互に関連させて夫々DB化する積算データ変換手段と、
前記積算データ変換手段によりDB化された工事の積算データを順位蓄積する積算データ蓄積手段と、
前記積算データ蓄積手段に蓄積された過去の工事の種目項目、科目項目及び細目項目と、新規工事の種目項目、科目項目及び細目項目における対応項目の類似度から、前記新規工事に類似する過去の工事を特定する関連工事抽出手段と、
を有する積算データ検索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の積算データ検索装置であって、
前記類似度は、ハミング距離である、
積算データ検索装置。
【請求項3】
請求項1から2のいずれかに記載の積算データ検索装置であって、
前記新規工事と抽出された前記過去の工事との間における種目項目、科目項目、細目項目及び細目別内訳の差分を表示する差分表示手段をさらに備える、
積算データ検索装置。
【請求項4】
コンピュータが、
工事の積算データの種目項目、科目項目、細目項目及び細目項目の内訳表を相互に関連させて夫々DB化する積算データ変換手順と、
前記積算データ変換手順によりDB化された工事の積算データを順位蓄積する積算データ蓄積手順と、
前記積算データ蓄積手順で蓄積された過去の工事の種目項目、科目項目及び細目項目と、新規工事の種目項目、科目項目及び細目項目における対応項目の類似度から、前記新規工事に類似する過去の工事を特定する関連工事抽出手順と、
を実行する積算データ検索方法。
【請求項5】
コンピュータに、
工事の積算データの種目項目、科目項目、細目項目及び細目項目の内訳表を相互に関連させて夫々DB化する積算データ変換手順と、
前記積算データ変換手順によりDB化された工事の積算データを順位蓄積する積算データ蓄積手順と、
前記積算データ蓄積手順で蓄積された過去の工事の種目項目、科目項目及び細目項目と、新規工事の種目項目、科目項目及び細目項目における対応項目の類似度から、前記新規工事に類似する過去の工事を特定する関連工事抽出手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積算データ検索装置、積算データ検索方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事等のコストを見積もるために、工事で使用する材料費及び作業費を積算した積算データが利用されている。これらの積算データを処理する積算データ処理システムを用いて、見積もりが変更された場合に、過去の見積もりとの差分を把握することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、入力された積算データと蓄積されている過去の積算データとの差分を比較し、差分がある場合には差分箇所を表示する積算データ処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-201044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術では、比較対象とする積算データが限定される、という課題がある。例えば、特許文献1は、積算データが変更された場合の差分を把握することを想定している。そのため、比較対象とする積算データは過去の同種の工事に関する積算データに限定されている。
【0006】
本発明の一態様は、上記のような技術的課題に鑑みて、比較対象とすべき積算データを抽出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様の積算データ検索装置は、工事の積算データの種目項目、科目項目、細目項目及び細目項目の内訳表を相互に関連させて夫々DB化する積算データ変換手段と、積算データ変換手段によりDB化された工事の積算データを順位蓄積する積算データ蓄積手段と、積算データ蓄積手段に蓄積された過去の工事の種目項目、科目項目及び細目項目と、新規工事の種目項目、科目項目及び細目項目における対応の項目の類似度から、新規工事に類似する過去の工事を特定する関連工事抽出手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、比較対象とすべき積算データを抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態における積算データ検索システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】一実施形態におけるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】一実施形態における積算データ検索装置の機能構成の一例を示す図である。
図4】一実施形態における積算データ検索方法の処理手順の一例を示す図である。
図5】一実施形態における積算データのデータ構造の一例を示す図である。
図6】一実施形態における積算データのデータ遷移の一例を示す図である。
図7】一実施形態における積算データのデータ構造の一例を示す図である。
図8】一実施形態における関連工事抽出処理の一例を示す図である。
図9】一実施形態における差分表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0011】
[実施形態]
本発明の一実施形態は、工事に関する積算データを検索する積算データ検索システムである。本実施形態における積算データ検索システムは、複数の積算データ管理装置が管理する積算データから比較対象とすべき積算データを抽出する。
【0012】
従来の積算データ管理装置においては、工事に関する積算データは、複雑な階層データ構造を有しており、新規の特定の工事と比較対象とすべき過去の工事の積算データを抽出することは困難であった。したがって、専ら、作業者の知識・経験に基づいて、過去の工事から新規工事に近似する工事を抽出し、目視により両者を比較することにより、新規工事を評価していた。この評価法には多くの労力と時間を要する問題点があった。本実施形態における積算データ検索システムは、積算データ管理装置が管理する積算データを検索可能な形式に変換してデータベースに蓄積し、当該データベースに基づいて新規の工事との比較対象とすべき過去の工事に関する積算データを抽出可能とする。
【0013】
したがって、本実施形態における積算データ検索システムによれば、作業者の知識・経験に関わらず、比較対象とすべき積算データを適切に抽出することができる。
【0014】
<積算データ検索システムの全体構成>
まず、本実施形態における積算データ検索システムの全体構成を、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における積算データ検索システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
図1に示されているように、本実施形態における積算データ検索システム1は、積算データ検索装置10及び積算データ管理装置20を含む。積算データ検索装置10及び積算データ管理装置20は、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信ネットワークN1を介してデータ通信可能に接続されている。
【0016】
積算データ検索装置10は、積算データ管理装置20から積算データを取得し、ユーザの要求に応じて積算データの検索を行うPC(Personal Computer)、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。
【0017】
積算データ管理装置20は、工事に関する積算データを管理し、積算データ検索装置10に積算データを提供するPC(Personal Computer)、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。
【0018】
積算データ管理装置20は、公知の積算データ管理装置である。従来の積算データ管理装置として、例えば、下記参考文献1に開示されている営繕計算システムが知られている。
【0019】
〔参考文献1〕一般財団法人建築コスト管理システム研究所,"営繕積算システムとは",[online],[令和4年1月27日検索],インターネット<URL: https://www.ribc.or.jp/ribc/ribc1_1.html>
【0020】
なお、図1に示した積算データ検索システム1の全体構成は一例であって、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があり得る。例えば、積算データ検索装置10は、複数台のコンピュータにより実現してもよいし、クラウドコンピューティングのサービスとして実現してもよい。また、例えば、積算データ検索システム1は、積算データ検索装置10及び積算データ管理装置20がそれぞれ備えるべき機能を兼ね備えたスタンドアローンの情報処理装置により実現してもよい。
【0021】
<積算データ検索装置のハードウェア構成>
次に、本実施形態における積算データ検索装置のハードウェア構成を、図2を参照しながら説明する。
【0022】
≪コンピュータのハードウェア構成≫
本実施形態における積算データ検索装置10及び積算データ管理装置20は、例えばコンピュータにより実現される。図2は、本実施形態におけるコンピュータ500のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図2に示されているように、コンピュータ500は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HDD(Hard Disk Drive)504、入力装置505、表示装置506、通信I/F(Interface)507及び外部I/F508を有する。CPU501、ROM502及びRAM503は、いわゆるコンピュータを形成する。コンピュータ500の各ハードウェアは、バスライン509を介して相互に接続されている。なお、入力装置505及び表示装置506は外部I/F508に接続して利用する形態であってもよい。
【0024】
CPU501は、ROM502又はHDD504等の記憶装置からプログラムやデータをRAM503上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0025】
ROM502は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROM502は、HDD504にインストールされている各種プログラムをCPU501が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶装置として機能する。具体的には、ROM502には、コンピュータ500の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、EFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラムや、OS(Operating System)設定、ネットワーク設定等のデータが格納されている。
【0026】
RAM503は、電源を切るとプログラムやデータが消去される揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。RAM503は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等である。RAM503は、HDD504にインストールされている各種プログラムがCPU501によって実行される際に展開される作業領域を提供する。
【0027】
HDD504は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。HDD504に格納されるプログラムやデータには、コンピュータ500全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOS上において各種機能を提供するアプリケーション等がある。なお、コンピュータ500はHDD504に替えて、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いる記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive等)を利用するものであってもよい。
【0028】
入力装置505は、ユーザが各種信号を入力するために用いるタッチパネル、操作キーやボタン、キーボードやマウス、音声等の音データを入力するマイクロホン等である。
【0029】
表示装置506は、画面を表示する液晶や有機EL(Electro-Luminescence)等のディスプレイ、音声等の音データを出力するスピーカ等で構成されている。
【0030】
通信I/F507は、通信ネットワークに接続し、コンピュータ500がデータ通信を行うためのインタフェースである。
【0031】
外部I/F508は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、ドライブ装置510等がある。
【0032】
ドライブ装置510は、記録媒体511をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体511には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体511には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。これにより、コンピュータ500は外部I/F508を介して記録媒体511の読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0033】
なお、HDD504にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体511が外部I/F508に接続されたドライブ装置510にセットされ、記録媒体511に記録された各種プログラムがドライブ装置510により読み出されることでインストールされる。あるいは、HDD504にインストールされる各種プログラムは、通信I/F507を介して、通信ネットワークとは異なる他のネットワークよりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0034】
<積算データ検索装置の機能構成>
続いて、本実施形態における積算データ検索装置の機能構成を、図3を参照しながら説明する。図3は本実施形態における積算データ検索装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
図3に示されているように、本実施形態における積算データ検索装置10は、積算データ変換部11、積算データ蓄積部12、関連工事抽出部13及び差分表示部14を備える。
【0036】
積算データ変換部11は、積算データ管理装置20から工事の積算データを取得し、データ処理を容易にするため、エクセル(EXCEL)(登録商標)データなどに変換する。また、積算データ変換部11は、取得した積算データに基づいて、工事の積算データの種目項目、科目項目、細目項目及び細目項目の内訳表を相互に関連させて夫々データベース化する。積算データ変換部11は、図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0037】
積算データ蓄積部12は、積算データ変換部11によりデータベース化された工事の積算データを順位蓄積する。積算データ蓄積部12は、例えば、図2に示されているHDD504を用いて実現される。なお、各工事の積算データの種目項目、科目項目、細目項目及び細目項目の内訳表は夫々項目毎にDB化すれば、項目内での検索を容易できる。
【0038】
関連工事抽出部13は、ユーザの要求に応じて、新規工事の積算データを特定する。また、関連工事抽出部13は、積算データ蓄積部12に蓄積された過去の工事の種目項目、科目項目及び細目項目と、新規工事の種目項目、科目項目及び細目項目における対応の項目の類似度を計算する。
さらに、関連工事抽出部13は、計算した類似度に基づいて、新規工事に類似する過去の工事を抽出する。関連工事抽出部13は、図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0039】
差分表示部14は、ユーザの要求に応じて、関連工事抽出部13により抽出された過去の工事から比較対象とする過去の工事を特定する。また、差分表示部14は、新規工事と過去の工事との間における種目項目、科目項目、細目項目及び細目別内訳の差分を表示する。差分表示部14は、図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501及び表示装置506に実行させる処理によって実現される。
【0040】
<積算データ検索方法の処理手順>
次に、本実施形態における積算データ検索システムが実行する積算データ検索方法の処理手順を、図4を参照しながら説明する。図4は本実施形態における積算データ検索方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS1において、積算データ変換部11は、積算データ管理装置20から工事の積算データを取得する。次に、積算データ変換部11は、取得した積算データに基づいて、工事の積算データの種目項目、科目項目、細目項目及び細目項目の内訳表を相互に関連させて夫々データベース化する。
【0042】
積算データ変換部11は、具体的には、積算データ管理装置20が提供するエクスポート機能を利用して積算データを取得する。この際、積算データ変換部11は、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA: Robotic Process Automation)技術を用いて、自動的に積算データを取得する。積算データ管理装置20が提供するエクスポート機能は、設定内容が複雑であるため、作業者の知識不足や手順ミス等で異なる形式の積算データが取得されることがあり、検索できない場合がある。RPA技術により積算データの取得を自動化することで、そのような事態を回避することができる。
【0043】
ここで、積算データのデータ構造について、図5から図7を参照しながら説明する。
【0044】
図5は、本実施形態における積算データのデータ構造の一例を示す概念図である。図5に示されているように、本実施形態における積算データは、工事種目の各項目を表す種目情報101、工事科目の各項目を表す科目情報102、工事細目の各項目を表す細目情報103及び工事細目の内訳表104が相互に関連付けられている。なお、積算データの工事種目、工事科目及び工事細目は、積算データ変換部11から取得する積算データに含まれるように、RPA技術によりエクスポートされる。エクスポートされた積算データの一例は、表計算ソフトのシート又はブックである。この実施例では、図5の様なデータ構成としたので、図6に遷移状態を示す様に、各工事相互間の種目項目、科目項目、細目項目及び細目内訳表の検索が容易に行うことが出来る。
【0045】
図7は、本実施形態における積算データのデータ構造の具体例を示す概念図である。図7に示されているように、本実施形態における種目情報101は、積算データの細目を含む種目の一覧である。本実施形態における科目情報102は、積算データの細目を含む科目の一覧である。本実施形態における細目情報103は、積算データの細目を含む科目の一覧である。本実施形態における工事細目の内訳表104は、科目毎に、細目項目と金額等とを対応付けた内訳表である。なお、図77の例では、内訳には項目と金額のみが含まれているが、適用、単価及び数量等、一般的に積算データの内訳に含まれる情報が含まれていてもよい。
【0046】
図7に示されているように、積算データの種目項目、科目項目及び細目項目は、階層構造を有している。本実施形態では、種目、科目及び細目の3階層の例を示したが、その他の分類を追加した4階層以上のデータ構造としてもよいし、種目、科目及び細目のいずれかを省略した2階層以下のデータ構造としてもよい。
【0047】
図4に戻って説明する。ステップS2において、積算データ変換部11は、データベース化した工事の積算データを積算データ蓄積部12に記憶する。積算データ蓄積部12は、積算データ変換部11によりデータベース化された工事の積算データを順位蓄積する。
【0048】
ステップS3において、関連工事抽出部13は、ユーザの要求に応じて、新規工事の積算データを特定する。次に、関連工事抽出部13は、積算データ蓄積部12に蓄積された過去の工事の種目項目、科目項目及び細目項目と、新規工事の種目項目、科目項目及び細目項目における対応の項目の類似度を計算する。
【0049】
続いて、関連工事抽出部13は、計算した類似度に基づいて、新規工事に類似する過去の工事(以下、「関連工事」とも呼ぶ)を抽出する。関連工事抽出部13は、新規工事との類似度が所定の閾値よりも高い関連工事を抽出してもよいし、新規工事との類似度が高い所定数の関連工事を抽出してもよい。関連工事抽出部13は、抽出された関連工事に関する情報を、ユーザに提示する。
【0050】
ここで、関連工事を抽出する手順について、図8を参照しながら説明する。図8は、一実施形態における関連工事抽出処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
ステップS3-1において、関連工事抽出部13は、新規工事に関連する過去の工事を複数件抽出する。例えば、ユーザは、積算データ蓄積部12に記憶された過去の工事の積算データを、KWなどにより工事名により検索し、その検索結果から過去の関連工事の抽出を行う。
【0052】
ステップS3-2において、関連工事抽出部13は、新規工事の種目項目と、積算データ蓄積部12に蓄積された過去の工事中で、ステップS3-1で抽出された種目項目との類似度をハミング距離法等の手法にてそれぞれ計算し、関連工事抽出部13は、計算した類似度が高い所定数の過去工事を抽出する(工事種目検索)。
【0053】
ステップS3-3において、関連工事抽出部13は、新規工事の科目項目と、ステップS3-2において抽出された過去工事の科目項目との類似度をハミング距離法等の手法にてそれぞれ計算し、関連工事抽出部13は、計算した類似度が高い所定数の過去工事を抽出する(工事科目検索)。
【0054】
ステップS3-4において、関連工事抽出部13は、新規工事の細目項目と、ステップS3-2において抽出された過去工事の細目項目との類似度をハミング距離法等の手法にてそれぞれ計算し、関連工事抽出部13は、計算した類似度が高い所定数の過去工事を抽出する(工事細目検索)。
【0055】
ステップS3-5において、関連工事抽出部13は、ステップS3-2において抽出された過去工事に関する情報を、ユーザに提示する。ユーザに提示する情報は、抽出された過去工事の積算データから生成可能な情報であればどのようなものでもよく、例えば、抽出された過去工事の工事名等でもよい。なお、上記において、S3-1からS3-4において、検索を行う例を示しているが、検索途中において、関連工事が特定されれば、それ以降の検索を実施する必要がないことは言うまでもない。
【0056】
図8の例では、種目検索、科目検索及び細目検索を順次実行する例を示したが、これらの1つのみを実行してもよいし、任意の2つのみを実行してもよい。
【0057】
図4に戻って説明する。ステップS4において、差分表示部14は、ユーザの操作に応じて、関連工事抽出部13により抽出された過去の工事から比較対象とする関連工事を特定する。次に、差分表示部14は、新規工事と比較対象とする関連工事との間における種目項目、科目項目、細目項目及び細目別内訳の差分を表示するための差分表示画面を表示装置506に出力する。
【0058】
ここで、積算データの差分を表示する差分表示画面について、図9を参照しながら説明する。図9は、本実施形態における差分表示画面の一例を示す概念図である。
【0059】
図9に示されているように、本実施形態における差分表示画面200は、細目別内訳において、新規工事と関連工事との差分を色分けして表示する。具体的には、差分表示画面200は、新規工事と関連工事との両方に含まれる細目について、数量、単価又は金額に相違があれば、色分けして表示する(同図において、濃度の薄い□部分は水色、濃度の濃い□部分はピンク色を示している)。例えば、新規工事には存在するが、関連工事に存在しない部分には、水色、新規工事には存在しないが、関連工事には存在する部分には赤色表示する。一方、数量、単価又は金額に相違がなければ、色分けせずに表示する。
【0060】
このように表示することで、利用者は、新規工事と関連工事とで異なる細目及びそれらの差分を容易に把握することができ、新規工事の積算データの適格性を即座に判断することができる。
【0061】
<実施形態の効果>
本実施形態における積算データ検索装置は、工事の積算データの種目項目、科目項目、細目項目及び細目項目の内訳表を相互に関連させてデータベース化する。また、積算データ検索装置は、データベース化された積算データ間の類似度に基づいて、新規工事との比較対象とすべき過去の工事を抽出する。したがって、本実施形態における積算データ検索システムによれば、作業者の知識に関わらず、比較対象とすべき積算データを適切に抽出することができる。
【0062】
また、本実施形態における積算データ検索装置は、新規工事と比較対象とする関連工事との間における種目項目、科目項目、細目項目及び細目別内訳の差分を表示する。したがって、本実施形態における積算データ検索システムによれば、新規工事と関連工事との差分を容易に把握することができ、迅速に新規工事の積算データの適否を判断することができる。
【0063】
[補足]
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等の機器を含むものとする。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 積算データ検索システム
10 積算データ検索装置
11 積算データ変換部
12 積算データ蓄積部
13 関連工事抽出部
14 差分表示部
20 積算データ管理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9