(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151379
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車載システム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20231005BHJP
G01M 17/007 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B60R16/02 650J
G01M17/007 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060963
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田原 慎一郎
(57)【要約】
【課題】故障原因を判断するための情報を適切に出力する。
【解決手段】車載システム100は、制御装置1の故障を検知して、制御装置の状態を示す診断情報を取得して、故障が検知されたタイミングの前後の範囲の診断情報を出力する。このように、車載システム100は、故障が検知されたタイミングの前後の範囲の診断情報を出力するので、故障原因を判断するための情報を適切に出力することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障診断機能を有する制御装置を備える車載システムであって、
前記制御装置の故障を検知する検知部と、
前記制御装置の状態を示す状態情報を取得する取得部と、
前記検知部により故障が検知されたタイミングの前後の範囲の状態情報を出力する出力部と、を備える車載システム。
【請求項2】
故障と当該故障の対処方法とを対応付けたテーブル情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記出力部は、前記検知部により故障が検知された場合、検知された故障に対応する対処方法を出力する、請求項1に記載の車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の制御装置は、故障診断機能を有しており、故障を検知すると異常を検知した旨を出力する。また、故障発生時の制御装置の状態を示す情報を出力する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
なお、故障発生時に、故障原因を判断するための情報を取得することが望ましい。故障原因を判断するための情報を適切に出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、故障診断機能を有する制御装置を備える車載システムであって、制御装置の故障を検知する検知部と、制御装置の状態を示す状態情報を取得する取得部と、検知部により故障が検知されたタイミングの前後の範囲の状態情報を出力する出力部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、診断データの出力処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、故障発生時の対処方法の出力手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態に係る車載システム100を
図1に示す。車両に搭載される車載システム100は、エンジン、ボディ、メータ、トランスミッション、ブレーキ、カーナビゲーションなどのシステムの制御用に複数の制御装置(ECU)1を備えている。これらの制御装置1は、情報、制御、安全などの機能に応じた系統に分けられ、系統ごとにネットワークが形成される。これらのネットワークは、CAN(登録商標)を構成している。各ネットワークを一元管理するためにゲートウェイ装置(CGW:Central Gateway)2が設けられ、各ネットワークの通信バス3がゲートウェイ装置2にそれぞれ接続されている。
【0008】
制御装置1は、自己診断を実行する故障診断機能を有している。自己診断において、システム状態を監視する。システムに何らかの異常が発生したとき、制御装置1は、センサの出力信号から故障が発生したと判断して、故障コードを記憶すると同時に、故障が発生したときのセンサの検出値などの故障に関する診断データ(フリーズフレームデータ)を記憶する。なお、車載システム100は、制御装置1から当該診断データを取得する。また、車載システム100は、当該故障コードと、対処方法とを対応付けたテーブル情報を記憶する。
【0009】
車載システム100は、無線通信によりゲートウェイ装置2を通じてリモートで故障診断を行う故障診断ユニット5を備えている。
【0010】
ゲートウェイ装置2は、マイクロコンピュータからなる制御部10と通信バス3を介して各制御装置1間の通信を行う通信部11とメモリ12とを備えている。そして、ゲートウェイ装置2の制御部10は、故障診断ユニット5から故障診断の通信要求があると、通信を許可する。通信部11は、故障診断ユニット5とターゲットの制御装置1との通信を中継する。
【0011】
故障診断ユニット5は、無線通信機能を有する通信制御装置(TCU:Telematics Control Unit)8と、通信制御装置8と無線通信を可能とされ、故障診断を行うセンタ装置9とから構成される。通信制御装置8は、情報系の通信バス3に接続され、ゲートウェイ装置2を通じて他の制御装置1と通信を行うとともにセンタ装置9と無線通信を行う。なお、センタ装置9は、スマートフォンなどの携帯通信端末であってもよい。センタ装置9が故障診断の指示を行うと、通信制御装置8は、ゲートウェイ装置2を通じて制御装置1と通信を行い、故障診断を実行する。
【0012】
なお、車載システム100は、制御装置1が自己診断により取得した診断データを逐次取得し、取得した診断データを逐次通信制御装置8を介してセンタ装置9へ送信するようにしてもよい。また、車載システム100は、上記携帯通信端末を介して診断データを逐次センタ装置9へ送信するようにしてもよい。
【0013】
また、車載システム100は、制御装置1が自己診断により取得した診断データを所定期間記憶しておき、所定のタイミングで通信制御装置8を介してセンタ装置9へ送信するようにしてもよい。
【0014】
このように、車載システム100は、センタ装置9へ診断データを送信し続けることで、故障が発生する前の診断データをセンタ装置9へ送信することができる。
【0015】
また、車載システム100は、制御装置1が自己診断により故障を検知した場合、通信制御装置8を介してセンタ装置9へ故障を検知したことを示す情報(例えば、故障コード)をセンタ装置9へ送信する。また、車載システム100は、制御装置1が故障を検知した後の診断データをセンタ装置9へ送信するようにしてもよい。
【0016】
このように、車載システム100は、診断データをセンタ装置9へ送信し続ける。また、制御装置1は、故障を検知したことを示す情報をセンタ装置9へ送信すると共に、故障を検知した後の診断データをセンタ装置9へ送信する。このことから、車載システム100は、故障発生前の診断データを送信出力すると共に、故障発生後の診断データを送信出力している。
【0017】
一般的に、故障発生時または故障発生直前の診断データでは、故障の原因を適切に判断することは困難である。本実施形態にかかる制御装置1は、故障発生後の診断データだけでなく、故障が発生する前から診断データを送信出力するので、故障の原因を適切に判断するための情報を出力することができる。
【0018】
また、車載システム100は、自己診断により故障を検知した場合、テーブル情報を参照して、検知した故障に対応する対処方法を取得して、当該対処方法を表示出力する。例えば、制御装置1は、車両内のディスプレイ装置へ故障が発生した旨と対処方法を表示出力するようにしてもよい。
【0019】
続いて、診断データの出力処理手順について、
図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0020】
まず、車載システム100は、制御装置1から診断データを取得し、センタ装置9へ診断データを送信する(ステップS1)。制御装置1による故障診断結果、故障発生していなければ(ステップS2:No)、ステップS1へ進む。一方、ステップS2において、制御装置1から故障検知した旨を取得すると(ステップS2:Yes)、車載システム100は、故障情報をセンタ装置9へ送信する(ステップS3)。また、車載システム100は、故障発生した制御装置1から診断データを取得し、当該診断データをセンタ装置9へ送信する。
【0021】
続いて、故障発生時の対処方法の出力手順を
図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0022】
まず、制御装置1が自己診断して故障を検知すると(ステップS11)、車載システム100は、テーブル情報を参照して、検知した故障に対応する対処方法を選択する(ステップS12)。車載システム100は、故障した旨と、選択した対処方法とに基づいたデータを生成し(ステップS13)、故障した旨と、対称方法を表示出力する(ステップS14)。また、車載システム100は、生成したデータを記録する(ステップS15)。
【0023】
上述の実施形態のように、車載システム100は、制御装置1の故障を検知して、制御装置の状態を示す診断情報を取得して、故障が検知されたタイミングの前後の範囲の診断情報を出力する。
【0024】
このように、車載システム100は、故障が検知されたタイミングの前後の範囲の診断情報を出力するので、故障原因を判断するための情報を適切に出力することができる。
【0025】
また、車載システム100は、故障が検知された場合、検知された故障に対応する対処方法を出力する。これにより、車載システム100は、運転手等に故障に対応する対処方法を適切に提示することができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 制御装置、2 ゲートウェイ装置、3 通信バス、5 故障診断ユニット、8 通信制御装置、9 センタ装置、100 車載システム。