(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151392
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】タイマ回路、半導体装置、及び割込制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/14 20060101AFI20231005BHJP
H03K 21/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G06F1/14 520
H03K21/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060977
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 啓介
(57)【要約】
【課題】複雑な処理を要せずに基本周期を維持しつつ、後段の処理回路で実行される処理に応じた割込信号を出力することができるタイマ回路、半導体装置、及び割込制御方法を提供する。
【解決手段】タイマ回路は、基本周期に応じた基本周期設定値が設定された基本周期記憶部と、クロック信号に応じてカウントしたカウント値を出力し、また、リセット信号が入力されると前記カウント値をリセットするカウンタと、前記基本周期記憶部の前記基本周期設定値と、前記カウンタの前記カウント値とが一致した場合、前記カウンタに前記リセット信号を出力する第1比較回路と、後段の処理回路で実行される処理に応じた処理設定値が設定された処理記憶部、及び 前記処理記憶部の前記処理設定値と前記カウンタの前記カウント値とが一致した場合、前記処理回路に割込信号を出力する第2比較回路を含む割込信号出力回路と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本周期に応じた基本周期設定値が設定された基本周期記憶部と、
クロック信号に応じてカウントしたカウント値を出力し、また、リセット信号が入力されると前記カウント値をリセットするカウンタと、
前記基本周期記憶部の前記基本周期設定値と、前記カウンタの前記カウント値とが一致した場合、前記カウンタに前記リセット信号を出力する第1比較回路と、
後段の処理回路で実行される処理に応じた処理設定値が設定された処理記憶部、及び 前記処理記憶部の前記処理設定値と前記カウンタの前記カウント値とが一致した場合、前記処理回路に割込信号を出力する第2比較回路を含む割込信号出力回路と、
を備えたタイマ回路。
【請求項2】
前記基本周期記憶部は、前記クロック信号に応じて前記基本周期設定値を出力するレジスタであり、
前記処理記憶部は、前記クロック信号に応じて前記処理設定値を出力するレジスタである
請求項1に記載のタイマ回路。
【請求項3】
前記処理回路は複数の処理を順次、実行し、
前記割込信号出力回路を、前記複数の処理毎に備える
請求項1または請求項2に記載のタイマ回路。
【請求項4】
前記割込信号出力回路に含まれる前記処理記憶部に設定された処理設定値は、前記複数の処理のうち最初に実行される処理の開始から、自回路に対応する処理が終了するまでに要する時間に応じたカウント値である
請求項3に記載のタイマ回路。
【請求項5】
前記割込信号出力回路に含まれる前記処理記憶部に設定された処理設定値は、前記複数の処理のうち自回路に対応する処理に要する処理時間に応じたカウント値である
請求項3に記載のタイマ回路。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のタイマ回路と、
前記タイマ回路から出力された割込信号が入力される処理回路と、
を備えた半導体装置。
【請求項7】
基本周期に応じた基本周期設定値と、クロック信号に応じてカウントしたカウント値を出力し、また、リセット信号が入力されると前記カウント値をリセットするカウンタの前記カウント値とが一致した場合、前記カウンタに前記リセット信号を出力し、
後段の処理回路で実行される処理に応じた処理設定値と、前記カウンタのカウント値とが一致した場合、前記処理回路に割込信号を出力する
割込制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイマ回路、半導体装置、及び割込制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、マイコンやシステムLSI(Large Scale Integrated Circuit)等の半導体装置に搭載され、定期的な処理や時間管理を行うためのタイマ回路が知られている。タイマ回路は、所定のタイミングで割込信号を後段の処理回路に対して出力する。特許文献1には、所定のクロックをカウントし、所定のタイミングで割込信号をCPU(Central Processing Unit)に出力するタイマ回路において、複数の割込タイミングを1つの記憶部(メモリ)を用いて制御する技術が記載されている。
【0003】
また、従来からタイム回路として、
図5に示したタイマ回路114が知られている。
図5に示したタイマ回路114は、カウンタ121を含む同期リセット付カウンタ120と、処理に応じた処理設定値が設定された処理レジスタ125と、比較回路123と、を備える。比較回路123は、クロック信号CLKに応じて処理レジスタ125から出力された処理設定値と、同期リセット付カウンタ120のカウンタ121からクロック信号CLKに応じて出力されたカウント値とが一致した場合、後段の処理回路に、処理の割り込みを行わせるための割込信号を出力する。また、処理レジスタ125から出力された処理設定値と、同期リセット付カウンタ120のカウンタ121から出力されたカウント値とが一致した場合、リセット信号RSTにより、カウンタ121のカウント値がリセットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術や
図5に示したタイマ回路114では、複数の処理毎に要する処理時間によっては、タイマ回路の基本周期の維持が困難であったり、処理が複雑になったりする場合があった。
【0006】
本開示は、複雑な処理を要せずに基本周期を維持しつつ、後段の処理回路で実行される処理に応じた割込信号を出力することができるタイマ回路、半導体装置、及び割込制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示のタイマ回路は、基本周期に応じた基本周期設定値が設定された基本周期記憶部と、クロック信号に応じてカウントしたカウント値を出力し、また、リセット信号が入力されると前記カウント値をリセットするカウンタと、前記基本周期記憶部の前記基本周期設定値と、前記カウンタの前記カウント値とが一致した場合、前記カウンタに前記リセット信号を出力する第1比較回路と、後段の処理回路で実行される処理に応じた処理設定値が設定された処理記憶部、及び 前記処理記憶部の前記処理設定値と前記カウンタの前記カウント値とが一致した場合、前記処理回路に割込信号を出力する第2比較回路を含む割込信号出力回路と、を備える。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本開示の半導体装置は、本開示のタイマ回路と、前記タイマ回路から出力された割込信号が入力される処理回路と、を備える。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本開示の割込制御方法は、基本周期に応じた基本周期設定値と、クロック信号に応じてカウントしたカウント値を出力し、また、リセット信号が入力されると前記カウント値をリセットするカウンタの前記カウント値とが一致した場合、前記カウンタに前記リセット信号を出力し、後段の処理回路で実行される処理に応じた処理設定値と、前記カウンタのカウント値とが一致した場合、前記処理回路に割込信号を出力する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、複雑な処理を要せずに基本周期を維持しつつ、後段の処理回路で実行される処理に応じた割込信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の半導体装置の構成の一例を表すブロック図である。
【
図2】第1実施形態のタイマ回路の構成の一例を表す回路図である。
【
図3】実施形態のタイマ回路の同期リセット付カウンタから出力されるカウント値と、処理回路において順次実行される各処理との関係の一例を表すタイミングチャートである。
【
図4】第2実施形態のタイマ回路の構成の一例を表す回路図である。
【
図5】従来のタイマ回路の構成の一例を表す回路図である。
【
図6A】従来のタイマ回路のカウント値の一例を表すタイムチャートである。
【
図6B】従来のタイマ回路のカウント値の他の例を表すタイムチャートである。
【
図6C】従来のタイマ回路のカウント値の他の例を表すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本開示の技術を限定するものではない。
【0013】
[第1実施形態]
まず、本実施形態の半導体装置の構成の一例について説明する。
図1には、本実施形態の半導体装置10の構成の一例を表すブロック図が示されている。半導体装置10としては、いわゆるマイコンや、LSI等が挙げられる。
図1に示すように本実施形態の半導体装置10は、発振回路12、タイマ回路14、及び処理回路16を備える。
【0014】
発振回路12は、タイマ回路14にクロック信号CLKを出力する回路である。一例として、本実施形態の発振回路12は、原振周波数が32.768kHzである水晶振動子を有する発振回路であり、1秒間に32768回のクロック信号CLKをタイマ回路14に出力する。
【0015】
処理回路16は、複数の処理を所定の順序で、順次実行する回路である。一例として本実施形態の処理回路16は、CPU(図示省略)を有し、タイマ回路14から複数の処理の各々に応じて出力された割込信号A(
図2参照、詳細後述)を受け付けると、受け付けた割込信号Aに応じて、複数の処理を順次実行する。なお、処理回路16が実行する処理の具体的な処理内容、及び実行する処理の総数は、特に限定されない。
【0016】
タイマ回路14は、後段の処理回路16に対する時計(タイマ)としての機能を有する。タイマ回路14は、クロック信号CLKに応じてカウントを行ったカウント値に基づいて、基本周期を表す割込信号B(
図2参照、詳細後述)を出力し、また、処理回路16が実行する複数の処理の各々に応じた割込信号A(
図2参照、詳細後述)を処理回路16に出力する。
【0017】
本実施形態のタイマ回路14の詳細について説明する。
図2には、本実施形態のタイマ回路14の一例の回路図が示されている。
【0018】
図2に示すように本実施形態のタイマ回路14は、同期リセット付カウンタ20、基本周期レジスタ22、及び比較回路23を備える。また、タイマ回路14は、処理回路16で順次実行される処理の総数に応じた数(
図2ではn)の処理用割込信号出力回路24(
図2では、24
1~24
n)を備える。
【0019】
基本周期レジスタ22は、タイマ回路14の基本周期に応じた基本周期設定値が設定されるレジスタである。上述したように、本実施形態では、発振回路12の原振周波数が32.768kHzであり、基本周期を1秒としている。そのため、基本周期レジスタ22には、「32768」のカウント値に相当する基本周期設定値が設定される。一例として本実施形態の基本周期レジスタ22は、16bitのレジスタを用いている。基本周期レジスタ22は、クロック信号CLKに応じて基本周期設定値を出力する。
【0020】
同期リセット付カウンタ20は、カウンタ21を有しており、クロック信号CLKに応じてカウントしたカウント値を出力する。なお、一例として本実施形態のカウンタ21では、クロック信号CLKに応じて出力したカウント値に「1」を加算したデータが入力されることで、カウント値のカウントアップを行う。また、同期リセット付カウンタ20は、リセット信号RSTが入力されるとカウント値をリセットする。
【0021】
比較回路23は、基本周期レジスタ22から出力される基本周期設定値と、同期リセット付カウンタ20(カウンタ21)から出力されるカウント値とを比較した比較結果を割込信号Bとして出力する回路である。本実施形態の比較回路23は、XNOR回路であり、基本周期レジスタ22から出力される基本周期設定値と、同期リセット付カウンタ20(カウンタ21)から出力されるカウント値とが一致する場合に「1」を表す割込信号Bを出力する。また、比較回路23は、基本周期レジスタ22から出力される基本周期設定値と、同期リセット付カウンタ20(カウンタ21)から出力されるカウント値とが異なる場合に「0」を表す割込信号Bを出力する。本実施形態の比較回路23が、本開示の第1比較回路の一例である。
【0022】
また、基本周期レジスタ22から出力される基本周期設定値と、同期リセット付カウンタ20(カウンタ21)から出力されるカウント値とが一致する場合、同期リセット付カウンタ20のカウンタ21には、「1」を表すリセット信号RSTが比較回路23から入力される。これにより、カウンタ21のカウント値がリセットされる。上述したように、基本周期レジスタ22には基本周期設定値として「32768」に相当する値が設定されているため、カウンタ21では、カウント値が「32768」に達すると、カウント値がリセットされる。
【0023】
処理用割込信号出力回路24は、後段の処理回路16で順次実行される処理毎に設けられている。
図2に示した例では、処理回路16で順次実行する処理が、処理1から処理nまでであり、タイマ回路14には、処理1~処理nの各々に応じて処理用割込信号出力回路24
1~24
nが設けられている場合が示されている。
【0024】
図2に示すように処理用割込信号出力回路24
1~24
nの各々は、処理レジスタ26及び比較回路28を含んでいる。処理レジスタ26は、処理回路16で実行される処理に応じた処理設定値が設定されるレジスタである。例えば、処理用割込信号出力回路24
1の処理レジスタ26には、処理1の処理時間に応じたカウンタ21のカウント値に相当する処理設定値が設定される。また、処理用割込信号出力回路24
2の処理レジスタ26には、処理1の処理時間及び処理2の処理時間に応じたカウンタ21のカウント値に相当する処理設定値が設定される。換言すると、処理用割込信号出力回路24
2の処理レジスタ26の処理設定値は、処理1の処理時間に応じたカウント値と、処理2の処理時間に応じたカウント値との合計値に相当する。このように、処理レジスタ26に設定される処理設定値は、処理1から自回路(処理用割込信号出力回路24)に対応する処理までの累積処理時間に応じたカウント値に相当する。一例として本実施形態の処理レジスタ26は、16bitのレジスタを用いている。
【0025】
処理用割込信号出力回路241~24nは、各処理レジスタ26に設定される処理設定値が異なる他は、同様の構成である。本実施形態では、処理用割込信号出力回路241~24nについて総称する場合は、ここを区別する符号1~nを省略し、「処理用割込信号出力回路24」という。
【0026】
比較回路28は、処理レジスタ26の処理設定値と、カウンタ21のカウント値とを比較した比較結果を割込信号Aとして出力する回路である。本実施形態の比較回路28は、XNOR回路であり、処理レジスタ26から出力される処理設定値と、同期リセット付カウンタ20(カウンタ21)から出力されるカウント値とが一致した場合に「1」を表す割込信号Aを処理回路16に出力する。また、比較回路23は、処理レジスタ26から出力される処理設定値と、同期リセット付カウンタ20(カウンタ21)から出力されるカウント値とが異なる場合に「0」を表す割込信号Aを処理回路16に出力する。処理回路16では、「1」を表す割込信号Aを受け付けた場合、割り込み処理を行う。本実施形態の比較回路28が、本開示の第2比較回路の一例である。
【0027】
さらに、本実施形態のタイマ回路14の作用について
図3を参照して説明する。
【0028】
基本周期レジスタ22および各処理レジスタ26のそれぞれには、予めソフトウェア等により値が設定されているものとする。
図3では、一例として、処理回路16において順次実行される処理の総数が10(nが0~9)である場合が示されており、基本周期レジスタ22にはカウント値「32768」が設定されており、各処理レジスタ26のそれぞれには処理1_C1~処理9_C9がそれぞれ設定されている。
【0029】
まず、基本周期を維持するための動作の流れについて説明する。タイマ動作許可により、同期リセット付カウンタ20は、クロック信号CLKに応じてカウンタ21によりカウントアップを開始する(T0)。同期リセット付カウンタ20から出力されたカウント値と、基本周期レジスタ22から出力された基本周期設定値とが一致するようになった場合、比較回路23は、基本周期に至ったことを示す割込信号Bを出力し、また、カウント値のリセットを指示するためのリセット信号RSTを同期リセット付カウンタ20のカウンタ21に出力する(T10)。これにより、本実施形態の同期リセット付カウンタ20では、カウント値が「32768」から「0」にリセットされる。同期リセット付カウンタ20から出力されたカウント値と、基本周期レジスタ22から出力された基本周期設定値とが一致しない場合、カウンタ21はカウントアップを継続する。
【0030】
また、カウント値をリセットすると、再びカウントアップを開始し(T0)、タイマ動作が実行されている間は
図3のT0~T10が繰り返される。一方、タイマ動作を終了させる場合、同期リセット付カウンタ20はカウントアップを停止し、基本周期レジスタ22、及び比較回路23による、基本周期を維持するための動作が終了する。
【0031】
このようにして、本実施形態のタイマ回路14では、基本周期を維持することができる。
【0032】
次に、本実施形態のタイマ回路14の同期リセット付カウンタ20、及び処理用割込信号出力回路24による、処理回路16に処理の割り込みを行わせるための割込信号Aのそれぞれを出力するための動作の流れについて説明する。前述の基本周期を維持するための動作との違いとしては、割込信号Aのそれぞれを出力する際、カウント値のリセットを指示するためのリセット信号RSTを同期リセット付カウンタ20のカウンタ21に出力しない事であり、その他の基本動作は同じである。
【0033】
比較回路28は、同期リセット付カウンタ20から出力されたカウント値と、処理レジスタ26から出力された処理設定値とを比較する。同期リセット付カウンタ20から出力されたカウント値と、処理レジスタ26から出力された処理設定値とが一致しない場合、比較回路28から出力される割込信号Aは処理の割り込みを指示するものではない。一方、同期リセット付カウンタ20から出力されたカウント値と、処理レジスタ26から出力された処理設定値とが一致するようになった場合、比較回路28は、処理の割り込みを指示する割込信号Aを処理回路16に出力する。
【0034】
図3に示した例では、処理用割込信号出力回路24
1の処理レジスタ26には、処理1の処理時間S1に応じたカウント値C1が処理設定値として設定されている。同期リセット付カウンタ20から出力されたカウント値がカウント値C1に達すると、処理用割込信号出力回路24
1から「1」を表す割込信号Aが処理回路16に出力される。処理回路16では、当該割込信号Aまでの間に処理1を終了させ、次の「1」を表す割込信号Aに応じて処理2を開始する。また、処理用割込信号出力回路24
2の処理レジスタ26には、処理1の処理時間S1と処理2の処理時間S2との累積時間(S1+S2)に応じたカウント値C2が処理設定値として設定されている。同期リセット付カウンタ20から出力されたカウント値がカウント値C2に達すると、処理用割込信号出力回路24
2から「1」を表す割込信号Aが処理回路16に出力される。処理回路16では、当該割込信号Aまでの間に処理2を終了させ、次の「1」を表す割込信号Aに応じて処理3を開始する。同期リセット付カウンタ20から出力されたカウント値がカウント値C3に達すると、処理用割込信号出力回路24
3から「1」を表す割込信号Aが処理回路16に出力される。処理回路16では、当該割込信号Aまでの間に処理3を終了させ、次の「1」を表す割込信号Aに応じて処理4を開始する。このように処理回路16に処理の割り込みを指示する割込信号Aの出力を繰り返す。
【0035】
タイマ動作が実行されている間は、割込信号Aのそれぞれおよび割込信号Bに応じて、処理1から処理10までの各処理が順次行われる。
【0036】
一方、タイマ動作を終了させる場合、同期リセット付カウンタ20、及び処理用割込信号出力回路24による、処理回路16に処理の割り込みを行わせるための割込信号Aを出力するための動作が終了する。
【0037】
このようにして、本実施形態のタイマ回路14では、同期リセット付カウンタ20のカウント値をリセットすることなく、処理回路16に対して複数の処理を順次行わせるための割込信号Aを出力することができる。
【0038】
[第2実施形態]
本実施形態は、タイマ回路14の構成が、第1実施形態のタイマ回路14(
図2参照)と異なるため、本実施形態のタイマ回路14について説明する。なお、本実施形態のタイマ回路14は、第1実施形態のタイマ回路14(
図2参照)と同様の構成を含むため、同様の構成についてはその旨を記載し、詳細な説明を省略する。
【0039】
図4には、本実施形態のタイマ回路14の一例の回路図が示されている。
図4に示すように本実施形態のタイマ回路14は、第1実施形態のタイマ回路14と同様に、同期リセット付カウンタ20、基本周期レジスタ22、及び比較回路23を備える。
【0040】
本実施形態の処理用割込信号出力回路24の処理レジスタ26には、処理用割込信号出力回路24に対応する処理回路16で実行される処理に要する処理時間応じたカウント値が設定される。例えば、
図3に示した例では、処理用割込信号出力回路24
1の処理レジスタ26には、前段の処理がないため、第1実施形態の処理用割込信号出力回路24
1と同様に、処理1の処理時間T1に対応するカウント値C1が処理設定値として設定される。また、処理用割込信号出力回路24
2の処理レジスタ26には、処理2の処理時間T2に対応するカウント値C2-C1が処理設定値として設定される。また、処理用割込信号出力回路24
3の処理レジスタ26には、処理3の処理時間T3に対応するカウント値C3-C2が処理設定値として設定される。
【0041】
すなわち、各処理用割込信号出力回路24の処理レジスタ26には、自回路(処理用割込信号出力回路24)に対応する処理に対応するカウント値Cx(x=1~n)と、直前の処理に対応するカウント値C(x-1)との差分値が処理設定値として設定される。このような本実施形態の処理レジスタ26としては、例えば、14bitのレジスタが挙げられる。
【0042】
一方、比較回路28には、対応する処理レジスタ26から出力された処理設定値と、自回路に対応する処理よりも前に実行される処理に対応する処理用割込信号出力回路24の処理レジスタ26から出力された処理設定値の累積値と、の加算値が入力され、同期リセット付カウンタ20から出力されたカウンタ値と比較される。
【0043】
具体的には、
図4に示すように、処理1に対応する処理用割込信号出力回路24
1の比較回路28には、処理レジスタ26から出力された処理設定値であるカウント値C1が入力され、同期リセット付カウンタ20から出力されたカウンタ値と比較される。また、処理2に対応する処理用割込信号出力回路24
2の比較回路28には、処理レジスタ26から出力された処理設定値であるカウント値C2-C1と、処理用割込信号出力回路24
1の処理レジスタ26から出力された処理設定値であるカウント値C1の加算値が入力され、同期リセット付カウンタ20から出力されたカウンタ値と比較される。すなわち、処理用割込信号出力回路24
2の比較回路28は、カウント値C2と、同期リセット付カウンタ20から出力されたカウンタ値とを比較する。また、処理3に対応する処理用割込信号出力回路24
3の比較回路28には、処理レジスタ26から出力された処理設定値であるカウント値C3-C2と、処理用割込信号出力回路24
2の比較回路28に入力されるカウント値C2の加算値が入力され、同期リセット付カウンタ20から出力されたカウンタ値と比較される。すなわち、処理用割込信号出力回路24
3の比較回路28は、カウント値C3と、同期リセット付カウンタ20から出力されたカウンタ値とを比較する。
【0044】
このように、
図4に一例を示した本実施形態のタイマ回路14においても、第1実施形態のタイマ回路14と同様に、動作する。従って、本実施形態のタイマ回路14においても、同期リセット付カウンタ20のカウント値をリセットすることなく、処理回路16に対して複数の処理を順次行わせるための割込信号Aを出力することができる
【0045】
また、本実施形態のタイマ回路14の処理レジスタ26は、第1実施形態の処理レジスタ26に比べて、ビット数を減らすことができる。
【0046】
以上説明したように、上記各実施形態のタイマ回路14は、基本周期に応じた基本周期設定値が設定された基本周期レジスタ22と、クロック信号CLKに応じてカウントしたカウント値を出力し、また、リセット信号RSTが入力されるとカウント値をリセットする同期リセット付カウンタ20と、基本周期レジスタ22の基本周期設定値と、同期リセット付カウンタ20のカウント値とが一致した場合、同期リセット付カウンタ20のカウンタ21にリセット信号RSTを出力する比較回路23を備える。また、タイマ回路14は、後段の処理回路16で実行される処理に応じた処理設定値が設定された処理レジスタ26、及び 処理レジスタ26の理設定値と同期リセット付カウンタ20のカウント値とが一致した場合、処理回路16に割込信号Aを出力する比較回路28を含む処理用割込信号出力回路24を備える。
【0047】
一方、
図5に示した従来のタイマ回路114を用いた場合、複雑な処理を要するようになる場合がある。一例として、後段の処理回路が、基本周期である1秒に、10個の処理を順次実行するものであって、1秒を処理の総数である10で割った、0.1秒以内に、各処理を終了する場合を考える。タイマ回路114は、0.1秒毎に各処理に対応する割込信号を出力するよう動作する。上述した原振周波数が32.768kHzである水晶振動子により、0.1秒を得ようとすると、32768を10で割った、3276.8値をカウント値とする必要があるが、小数点以下のカウント値は実現ができないため、
図6Aに示すように処理レジスタ125の処理設定値を「3276」に設定し、同期リセット付カウンタ120のカウンタ121のカウント値が3276になるとカウント値をリセットする。この場合、カウント値が「3276」では、正確な0.1秒とならず、不足分があるため、10回目のカウントの際には、カウント値を、32768-3276×9=3284としないと、基本周期の1秒を維持することができない。
【0048】
また、
図6Bに示すように、タイマ停止中のみ設定値変更が許可されている場合があり、そのような場合、10回目のカウントの際に、一端、カウントを停止し、停止時間を考慮した新設定値を処理レジスタ125に設定することで、10回目のカウントの際のカウント値を調整する場合がある。この場合、正確な基本周期を維持することが困難になる。
【0049】
また、正確な0.1秒を得るために、原振周波数が38.400kHzの水晶振動子を用いて、クロック信号CLKを供給する場合が挙げられる。この場合、
図6Cに示すように、「3840」のカウント値で0.1秒が実現できる。しかしながら、原振周波数が38.400kHzの水晶振動子は、汎用的ではないという問題があった。一般に、水晶振動子は、流通量により価格が変動するため、汎用的ではない水晶振動子を用いるとコストアップに繋がる懸念が生じる。
【0050】
このように従来のタイマ回路114では、基本周期を、後段の処理回路で要する処理の総数で割り切れ無い場合、基本周期を維持するのが困難になり、また複雑な処理を要するという問題があった。
【0051】
これに対して上記各実施形態のタイマ回路14によれば、複雑な処理を要せずに基本周期を維持しつつ、後段の処理回路16で実行される処理に応じた割込信号Aを出力することができる。また例えば、上述したように従来のタイマ回路114では、各処理の処理時間を同じとしていた。これに対して、上記各実施形態のタイマ回路14によれば、処理用割込信号出力回路24の処理レジスタ26に対応する各処理に要する処理時間に応じた処理設定値を設定すればよいため、上記各実施形態のタイマ回路14によれば、処理回路16で順次実行する各処理の処理時間を容易に自由に設定することができる。
【0052】
また、上記各実施形態のタイマ回路14によれば、クロック信号の元として、汎用的に用いられている原振周波数が32.768kHzの水晶振動子を用いることができるため、コストアップするのを抑制することができる。
【0053】
なお、上記各実施形態における半導体装置10の具体的なハードウエア構成は特に限定されない。例えば、発振回路12と、タイマ回路14、処理回路16の各々を1つのチップとして形成してもよいし、異なるチップとして形成してもよい。
【0054】
また、上記各実施形態で説明した発振回路12、タイマ回路14、及び処理回路16等の構成及び動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
10 半導体装置
12 発振回路
14、114 タイマ回路
16 処理回路
20、120 同期リセット付カウンタ
21、121 カウンタ
22 基本周期レジスタ
23、28、123 比較回路
241~24n 処理用割込信号出力回路
26、125 処理レジスタ